- 教採に落ちた後の進路の選択肢
- どんな人にどの進路がオススメか
- やっておくべきこと
教員採用試験の不合格通知を目の当たりにすると、「来年に向けてどうしよう…」と不安と絶望にのみ込まれてしまいますよね。
「来年も教採に再挑戦するのか、しないのか」「再挑戦するとして、仕事はどうするのか」「講師をした方がいいのか、就活をする方がいいのか」など決断に迷いますし
「ってか、自分なんかを採用してくれるところなんてあるのかな」なんて自信をなくして弱気になってしまったりもしますよね。
その気持ち、すごくよくわかります。
私(筆者)も、教採では高校地歴で新卒一発合格を果たすことができましたが、それまでは大学受験などで連敗続きで「このまま、どこにも合格しないんじゃないか…」って毎日不安な気持ちで勉強していたことがありました。
あれは、本当にツラい。
でも、教採の結果は、あなたの人格を評価するものではありません。
だから、どうか自己否定することなく、あなたにとって最も良い選択であなたの人生を謳歌してくださいね!
この記事をご覧になってくださったあなたが、さまざまな選択肢で視野を広げ、前向きに次のステップに進んでくださることを心から願って、不合格を受けての選択肢について詳しく解説していきます!
教採に落ちた後の進路
1:公立校に講師として勤務
絶対に公立校で教諭になりたいんだ!という思いの強い人は、来年春から講師として勤務しながら教採を再受験するという選択肢が最もメジャーです。
【公立校で講師をするメリット】
- 今年の教採で不足していた力を現場で高められる
- 一生懸命働く姿が管理職に評価される(かも)
- 教師力を高めれば、その他の受験者よりも信用度が高い
講師として学校現場を経験することによって、授業力・生徒指導力・学級経営力・保護者対応力・同僚との関係構築力など、教員に求められる力を高めることができます。
面接官にとっては、教員未経験者で1年目にして退職したり病休に入ってしまう人も多く見ているので、実際に学校現場で健康に働いている人は退職・病休のリスクが低く採用後の信用度が高いことは事実ですね。
【公立校で講師をするデメリット】
- 面接官の高い期待値に応じた教師力を感じさせる対策が必要
- 仕事に慣れないうちは忙しく、筆記試験などの時間が取れない
一方で、講師をしているからこそ、面接官から求められるレベルも高くなるため、その面接官の期待値を下回ってしまうと、教員未経験でも将来性を感じた学生や民間社会人などを採用したいと思ってしまうという点も注意が必要です。
また、一次の筆記試験が免除になっていない人は、筆記試験の学習時間の確保も課題になります。
私の受講生にも、早朝、退勤後1時間、土日祝日などに学習時間を確保して教採対策をしている講師の人も数多くいました。
また、講師は、常勤か非常勤かによっても環境は大きく異なります。
表1のように、常勤は正規の教諭と同じように分掌や部活動、学年団の役割、場合によっては担任も任せてもらえたりします。
だからこそ、面接で採用メリットを感じさせる経験を積みやすいですね。
非常勤だと、基本的には受け持った授業のみを行い、1コマあたり〇〇円といった感じで給料が決まります。
ちなみに私が教諭を退職した後、非常勤講師を任されたときには、50分の授業1コマ約2,900円で、1週間に6コマ(1週間24コマ)で1ヶ月で約7万円でした(※私は6年半の教諭経験がありましたが、未経験だと2,000〜2,500円が相場らしい)。
私は、別の仕事もあったので上記のコマ数に制限しましたが、今は教員不足なので特に中学・高校の非常勤はもっと多くのコマ数を持てると思います。(※コマ数に応じてボーナスが出ることも)
非常勤講師だと、業務内容や給料は常勤講師には劣りますが、学習時間を確保できる点はメリットの一つですね。
でも、担任経験のない非常勤講師でも、教採で合格できるの?
結論、合格できますよ!
確かに、非常勤講師は担任や分掌などの経験はないかもしれませんが、「この人は担任も任せられそうだ」と面接官に感じさせることができれば、非常勤でも合格はできます。
実際、私の受講生にも、非常勤で担任経験がない立場でも高校地歴などで合格者が出ていますよ!
なんとしても公立校の教諭になりたい人は、常勤でも非常勤でも講師として学校現場で実力をメキメキつけていくことがオススメですね!
【講師になるには】
- 自治体の教育委員会のHPで調べて講師登録をする(教採受験時に講師登録の項目がある自治体も)
※通常、年度末1〜3月に募集する自治体が多い
ただし、講師登録をしたからといって、必ず講師の仕事がくるとは限りません!
「ずっと電話がこなくて、無職の日々が続いた」
といった声も少なくないですから、これから紹介する他の選択肢も準備しておくことがオススメです!
2:私立学校の教員
二つ目の選択肢は、私立学校の教員として働くことです。
【私立学校で働くメリット】
- 授業や生徒対応、分掌など教員としてのスキルを高める経験ができる
- その学校と相性が良ければ、そのままその学校で勤務し続けられる
私立学校は、公立とは児童・生徒の特徴が少し違うということは、これまでも多くの受講生から聞いてきました。
それでも、実際に授業や生徒対応、保護者対応、分掌などでスキルアップしてきた経験はやはり軽視できず、面接でのアドバンテージになります。
また、もしその学校と相性が良ければ「このままこの学校で勤めたい」という選択もいいですよね。
【私立学校で働くデメリット】
- 忙しくて筆記試験の学習時間を確保しにくい
- 学校経営の影響を受けやすい
私立学校で勤めるにしても、常勤講師と同様、毎日の業務に追われて筆記試験などの学習時間を確保しにくいというデメリットはあります。
また、学校経営がうまくいっていない時の人員カットや給料カットなど、学校経営の影響も受けるというリスクは公立校ではあまりない点かもしれませんね。
とはいえ、もし私立学校にご縁があれば、また公立校の教採受験する・しないどちらにしてもいい経験にはなりますので、選択肢の一つとして情報収集しておくに越したことはないでしょう!
【私立学校の教員になるには】
- 受験したい私立学校のHPで募集要項を調べる
- 当該学校の採用試験を受験する
※1〜3月に採用募集をかける私立学校もあるので、根気強く調べましょう!
私立学校であっても、試験対策は公立の教採と根本は同じです!
まずは自己分析を綿密にしてから、その学校をよくよくリサーチし、あなたとその学校のマッチポイントを見つけて志望動機や自己PR、イメージ戦略を練っていきましょう!
模擬授業は、その学校のパンフレットなどでどんな学びにこだわりを持っているかをリサーチして、取り入れるべきことは取り入れていきましょう!
公立・私立にこだわらず、とにかく学校で働くという経験を積んでおきたいよ、という方にオススメです。
私立の教員で、公立の教採2名という狭き門を合格された受講生もいますので、私立で働いたから教採に不利ということはありませんので、柔軟に考えてあなたにピッタリな進路選択をしてくださいね!
3:塾講師
また、学校の先生と同じように「教える」という仕事をする塾講師も、一つの選択肢としてありだと思います。
【塾講師のメリット】
- 「教える力」をとことん高められる
- 相性が良ければ、そのまま塾講師を極める道も拓ける
とにかく数値としての実績を求められる塾講師として、教材研究やわかりやすい説明など子供の反応を見ながら「教える力」を高めることができる点はメリットだと思います。
授業をするうえで、児童生徒の理解も不可欠ですから、来年の教採を見据える人は特に、塾講師をしながら関わる児童生徒とのコミュニケーションも重視するよう心がけると良いですね!
もし、塾講師としての仕事にピタッとハマってしまえば、そのまま塾講師としての道を極めることもできますよね!
【塾講師のデメリット】
- 学級経営の力を伸ばしにくい(かも)
- 「数字」を第一優先しなければならない(かも)
塾講師として働きながら教採を受験するデメリットとしては、どうしても「数字(実績)」を求められやすい立場でもあるので、学級経営の力を伸ばしにくい環境なのかもしれません。
あとは、現在学校で求められている「主体的・対話的で深い学び」につながるような授業実践を行いづらいというところもありますね。
でも、塾講師としての授業形態の方が合っている人にとっては、そのまま塾講師の方が適職と言えます。
もし、学校で授業がしたいという人で、塾講師として一旦お勤めになられる場合は、「この単元、学校で授業するならどう組み立てるかな?」と考えながら働くと教採にも活用できて有意義ですね!
【塾講師になるには?】
- さまざまな塾のHPから募集要項をチェック
- エントリーして受験
ここでは「塾講師」と書きましたが、塾じゃなくても、教育系の民間企業でお勤めになられていた人で、中学校社会科に合格された人なども私の受講生の中にはいらっしゃいました。
あなたなりの目的意識をもって教育の仕事に携わり、その経験から公立校の教諭を目指す思いが強くなることもあります。
教採面接では、塾講師としてのあなたの経験や目的意識から、公立校の教諭になることへの思いを熱く語りましょう!
4:大学院に進学
これは、大学4回生で教採を受験して不合格になった人に多い選択肢ですね。
【大学院進学のメリット】
- 社会に出るまでに、あと2回教採受験のチャンスがある
- 教採対策の学習時間を確保しやすい
- 専門性をより高められる
大学院に進学するメリットとしては、学生期間を2年間伸ばすことで、あと2回教採受験のチャンスができます。
大学院1回生で教採に合格した場合に、大学院を卒業するまで待ってくれる制度があるのがメリットですね。
【大学院進学のデメリット】
- 学費がかかる
- 現場経験を踏まえた研究テーマではなくなる
実際に、大学院に進学するとなると、その分学費がかかってしまうという点がデメリットというか、悩ましい点ですね。
また、学校での現場経験を経て感じた課題意識などをもって大学院に進んで研究するという考え方もありますが、できればそうしたかった人にとっても、お金のかかることなので悩ましいところです。
この記事にも書かれている他の選択肢なども検討したうえで、大学院に進学することが自分にとってベストかどうかを考えて決断したいですね!
【大学院に進学するには】
- 大学院も第三次(1月頃出願)まで募集している場合もあるので諦めずに情報収集
- 出願して受験
定員が満たされた場合には、実施されないようですが、1月ごろまで募集をかけている大学もあるようです。
あなたが研究したいことにマッチした大学院探しと、費用との相談をしながら検討してみてください!
実際、大学4年生で不合格、大学院1回生で3自治体の合格を勝ち取って猶予期間の人もいますよ!
5:民間企業
最後に、民間企業の就職を考えるという点ですね。
【民間企業就職のメリット】
- 教員以外の職業を経験し視野を広げられる
- 教員以外の道が拓ける可能性もある
営業や福祉など、教育以外の職業を経験することで、将来的に学校で子供たちに向き合う際の視野広さや現実味を獲得できるという点は強みでもあります。
また、「本当は、学校で自分がやっていけるのか」「本当に自分がしたいのは先生なのか」といった迷いがある人にとっても、就活をする過程でご自身と向き合うことであなたが本当に望んでいるものを手にするという可能性があります。
実際に、私の受講生でこれまで教採を幾度か受験して不合格だったけど、就活では「無敗」といった人もいました。
しかも、内定をいただいた雇用条件もその人のワークライフバランスや希望の業務内容にピッタリだったそうです。
【民間企業就職のデメリット】
- しっかり自己分析しないと就職してから後悔する
- 求人を調べることに労力を割かなければいけない
まず、安易に民間企業への就職を決めてしまうと、働いた後で「やっぱり向いていなかった」と後悔して転職することが無駄に増えてしまう可能性があります。
転職することでステップアップする業界もありますから、転職自体が良くないということではなく、「なんとなく」就職してフラフラと転職してしまうことで、自分自身のセルフイメージが下がってしまうことを私は最も懸念しています。
教採受験するにも転職するにも、自分に自信をもって人生を切り拓いていけることが私の一番の願いです。
でも、求人を調べるのって、すごく時間がかかりそう。
求人のリサーチは、自分一人だけでやらないことがポイントです!
転職求人のサイトなどから、自分に合った求人を調べてピックアップしていく作業って、結構時間がかかります。
「来年の教採どうしようかな」と考えておられる人にとって、もし来年も教採にチャレンジするなら早く対策を開始したいところなのに、転職先を調べるなんてことに時間をなかなか割けません。
だからこそ、転職エージェントを活用して、あなたの希望に合った職場を一緒に探してもらうという形で、できる限りリサーチに時間をかけすぎないことも大事です。
「転職エージェント」とは、転職を検討している人と採用を考えている企業の間に立って、転職成功を支援してくれるサービス
【就活のポイント】
- 転職エージェントは複数登録
- 自分が心から望む業務内容・職場・ワークライフバランスについて明確にしておく
1.転職エージェントは複数登録
転職活動に成功した私の受講生によると、転職エージェントは複数利用することがベストとのことでした。
理由は3つ。
一つは、転職エージェントは、どの会社が良いか以上に「どんな担当者がつくか」で、自分の欲している求人をもってきてくれるかが左右される一面もあるからです。
複数のエージェントを利用することで、仕事ができない担当者につかれた場合のリスクヘッジができます。
「大手企業であっても担当者がイマイチだと、あまり役に立たなかった」ということも受講生から聞きました。
もう一つの理由は、各エージェントによりもっている求人の特性が違うからです。
高収入の求人を多くもっていたり、非公開の好条件求人をもっているなど、それぞれのエージェントにはそれぞれの武器があります。
どれが自分にヒットするかは見てみないとわからないところもありますから、決断するうえで必要な情報収集を隈なく行うためにも複数の転職エージェントにお世話になることがオススメです。
最後3つめの理由は、複数エージェントを利用することで競合してくれるからです。
各エージェントは、自分の紹介で転職を成功させてほしいので、あなたが他のエージェントも利用しているということを知ったら「他よりも良い案件を!」とより良い求人を探してきてくれます。
あなたにとってより良い職場と巡り会えるためにも、複数のエージェントにお世話になると良いでしょう!
理系の人で、教員からエンジニアに転職する人もいるので、エンジニア転職に強いエージェント、40・50代の人や倍率の高い保健体育の人むけのエージェントも見つけたので掲載しました!
2.自分が心から望む業務内容・職場・ワークライフバランスについて明確にしておく
最後に、これは教採を受験するにも就活するにも、何をするにも共通して言えることかもしれませんが、あなたが心から願っている業務内容や職場、ワークライフバランスなどについて明確にしておくことは不可欠です。
なぜなら、それが不明確だから「なんとなく」進路選択をして後悔したり、エージェントにお世話になるときにも漠然とした希望しか言えず、エージェントもあなたに最適な職場を探すことが難しくなります。
あなたが心から望む人生を実現するには、あなた自身が自分の心に正直に向き合い、「自分ならそれを実現できる」と信じて自分の力で切り拓いていくことが不可欠です。
だからせめて、転職エージェントに明確に「こんな職場がいい」「こんな業務内容がいい」という要件を言えるようにしておきましょう!
今年不合格でも、合格はできる!!
ここまで、教採に落ちた後の進路の選択肢を大きく5つ解説してきました。
教採対策の指導を通して、教採に不合格になって自信をなくしている人を私はたくさん見てきました。
そんな人たちを教採合格に導くことで数えきれない喜びも感じてきましたが、極論、私は、皆さんが自分の人生を楽しく笑顔で幸せを感じて生きてくれればそれでいいと思っています。
だから今、「自分の本当にしたいこと」がわからず「なんとなく」人生を生きて、それが故に教採も転職もうまくいかず、一層自信をなくしている人を応援したいという思いで、コーチングを学んでいます。
この記事をここまで読んでくださったあなたも、おそらく「ずっと不合格だったらどうしよう…」と不安を抱え、自信をなくしているのではないかと思います。
結論、何回不合格になっても合格はできます!
実際に私はこの仕事を通してこれまで
- 50代で合格
- 16回目の受験で合格
- 1名という枠で合格
など、たくさんの奇跡を見てきました。
確かに、そのゴールに辿り着くまではラクな道のりではなく、上記の人たちは、汗水垂らして人一倍の努力をされていました。
あなたがもし、本気で「教員になりたい!」と教育の道に使命を感じて教壇に立とうとしているなら、上記の奇跡はきっとあなたにとっても他人事ではないはずです。
でも、もし心のどこかで教育の道に迷いがあるなら、それもそのままに受けとめて、あなたが本当に幸せであれる道を本気で考え歩いていくことも英断だと私は思います。
私の受講生にも、教採を悔いのないところまでやりきったからこそ踏ん切りがついて就活をし、その人が本心では一番求めていた職場との縁を掴むことができたという例もあります。
中途半端な努力だと「もっと頑張れたのかな?」とダラダラと現状維持してしまいますからね。
どんな選択も必ず意義のあることですから、あなた自身がその選択を意義あるものにするために、今やるべきことに集中してやり切ってみてください!!
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