教員採用試験の模擬授業 完全攻略【2027年度採用版】 |受かる授業・落ちる授業の違いと評価の3観点

こんにちは、金井志津乃です! 

模擬授業がいつもボロボロで、今年も落ちてしまいました…。私はそもそも教員に向いていないのかもしれません。

大丈夫です。私も最初はボロボロでした。ただそれは、どこをどのように直せばいいのかが具体的に分からないから改善できないというだけ。それを知れば、改善して合格に近づくことはできます!

この記事では、教員採用試験の模擬授業について、落ちる授業と受かる授業はどこが違うのか・面接官は何を見ているのかを、私自身が高校地歴で新卒一発合格したときの授業と、個別指導で数多くの模擬授業を見てきた経験から徹底解説します。

さらに前半では、令和9年度採用(2026年夏実施)で模擬授業を課す自治体の一覧と、全国42自治体・3年分の受験者報告から分かった実施形式(時間・構想時間・生徒役)もまとめました。「自分の自治体に模擬授業はあるのか」「何分なのか」から確認できます。

この記事の根拠

  • 全68自治体の令和9年度採用 実施要項から作成した「模擬授業の実施一覧」
  • 全国42自治体・3年分(令和6〜8年度採用)の模擬授業関連の受験者報告190件
  • 高校地歴で新卒一発合格した私自身の模擬授業と、個別指導で模擬授業を見てきた経験
  • 模擬授業をテーマにしたYouTube動画3本とセットで学べます
  • 模擬授業で面接官が「何を」見ているのか知りたい
  • 落ちる授業と受かる授業の違いを、具体例で知りたい
  • 自分の受ける自治体の模擬授業が何分で、どんな形式なのか知りたい

こんな人はぜひ、この記事を最後までご覧ください!

目次

まず確認|模擬授業を課す自治体はどこ?【令和9年度採用】

模擬授業は「全国どこでもある試験」ではありません。全68自治体(47都道府県+政令市等21)の令和9年度採用の実施要項を1つずつ確認したところ、二次試験で模擬授業を課すのは実施38自治体+一部実施4自治体=合計42自治体でした。逆に、26自治体は模擬授業を課していません。

区分自治体(令和9年度採用の実施要項ベース)
実施(38)岩手県/秋田県/福島県/茨城県/千葉県/神奈川県/石川県/山梨県/長野県/岐阜県/三重県/滋賀県/京都府/大阪府/兵庫県/島根県/岡山県/広島県/山口県/徳島県/香川県/高知県/福岡県/佐賀県/大分県/宮崎県/沖縄県/横浜市/相模原市/千葉市/名古屋市/京都市/神戸市/岡山市/広島市/北九州市/福岡市/熊本市
一部実施(4)愛媛県(高校・特支の教職経験者/現職教員特別選考のみ)/長崎県(高校・特別支援学校のみ)/熊本県(小学校・中学校のみ)/川崎市(中高英語の実技のなかで実施)
実施なし(26)北海道/青森県/宮城県/山形県/栃木県/群馬県/埼玉県/東京都/新潟県/富山県/福井県/静岡県/愛知県/奈良県/和歌山県/鳥取県/鹿児島県/大阪府豊能地区/札幌市/仙台市/さいたま市/新潟市/静岡市/浜松市/大阪市/堺市

出典:各自治体の令和9年度採用 実施要項(当ブログで全件を読み取り、整理したものです)。実施の有無・形式・時間は年度によって変わりますので、受験する年度の実施要項で必ず最終確認をしてください。

「模擬授業」という名前がついていない自治体もある

要項の読み取りで分かったのは、模擬授業は置かれ方が自治体ごとにまったく違うということです。大きく分けると4つの型があります。

置かれ方自治体の例(要項の記載)
① 独立した試験科目(配点あり)石川県(面接試験=個人面接100点+模擬授業100点)/兵庫県(模擬授業120点)/宮崎県(模擬授業30点)/佐賀県(個人面接Ⅱ120点のうち模擬授業30点)/熊本市(模擬授業等60点)
② 個人面接の中で実施三重県・長野県・神戸市・沖縄県(「個人面接(模擬授業を含む)」等の表記)/島根県(模擬授業・場面指導とも個人面接の中で実施)
③ 集団面接・討議の中で実施山口県(集団面接=模擬授業・討議)/山梨県(集団討議に模擬的授業を含む)/三重県(3人1組で各自の模擬授業の後に受験者同士で話し合う)
④ 場面指導と選択・代替される福島県・徳島県・大分県・岡山市(養護教諭は模擬授業に代えて場面指導/模擬保健指導)/広島県・広島市(「模擬授業面接」の中で授業または場面指導)/千葉県・千葉市(社会人特別選考のみプレゼンテーションに代替)

つまり、要項の科目名に「模擬授業」と書かれていなくても、個人面接の中で授業をさせられる自治体はたくさんあるということです。「うちは模擬授業がないから」と油断せず、面接の項目に注記がないか、必ず要項の本文まで読んでください。

何分?構想時間は?|受験者報告190件から見えた実施形式

ここからは、全国の受験者の皆さんからご提供いただいた模擬授業関連の報告190件(42自治体・令和6〜8年度採用)を読み込んで分かった、本番のリアルな形式です。

  • 実演の時間は2分〜20分と幅が広い。多いのは5〜10分のゾーン
  • 当日の構想時間は「なし」から30分まで。1〜5分という短い自治体が目立つ
  • テーマの出し方は「事前提示」「当日提示」「複数から選択」の3類型
  • 生徒役は「他の受験者」「面接官」「誰もいない(一人芝居)」の3類型
  • ほぼすべての自治体で、授業のあとに「意図」を問う質問(口頭試問)がセットになっている

自治体別・実施形式の代表例(受験者報告より)

自治体実演の時間構想・テーマの出し方・生徒役
神奈川県準備・片付け込みで10分指定テーマの授業計画のうち導入から展開の最初。指導案を当日提出。4〜5人1組で、他の受験者が生徒役
千葉県・千葉市6分会場で課題提示。構想5分(メモは一度回収され、自分の番に返却)。7〜8人グループで、他の受験者が児童役
横浜市約10分3つのテーマから1つを選択し、控室で構想5分。面接官が児童役(指名が必要な回もあり)
兵庫県要項は約15分(特別支援学校の合格者は教科専門と合わせて計約25分)。報告でも実演12〜15分冒頭1分で「ねらい」と50分の授業構想を説明してから開始。事前提示テーマ+当日の教科書コピーの回も。生徒役なしの一人芝居が中心
広島県15分(特別支援は導入20分)教科書2ページ分等を提示され、指導案作成30分。その後、授業に関する面接20分
岡山県3〜6分構想2〜4分。机上の教科書コピーやカードから選択。面接官が生徒役で、授業中に質問が飛ぶことも
山口県導入5分構想15分。模擬授業のあと、同じテーマで集団討論(30分)に移る
秋田県10分(準備時間を含むかは報告が分かれています)指導案を事前提出。4人1組でくじ引き順。導入なら「ねらい」、展開なら「これまでの内容」を1分以内で説明してから開始
大阪府4分30秒前後内容が事前に発表され、3週間ほど準備できた回も。終了後そのまま個人面接
宮崎県10分課題は一次合格発表と同時に判明。事前準備可・教材持ち込み不可。児童役なし
沖縄県5〜7分課題は事前提示、構想時間なしの回も。生徒30人を想定した一人芝居。模擬授業+面接で1人40分
北九州市5分指導案記入10分。4〜6人でローテーションし、待機者は生徒役。板書・指名は必須
香川県8〜10分構想15分。掲示用の資料が用意されている回も
福岡県7〜10分学級活動・ホームルームでの「話をしてください」型。構想10〜15分。面接官2名の前で一人芝居
福岡市10分教科書見開き1ページのコピーで指導案作成30分→模擬授業→口頭試問5分

出典:当ブログに寄せられた受験者報告(令和6〜8年度採用)。同じ自治体でも校種・教科・年度によって形式は変わりますので、あくまで「幅を知る」ために使ってください。

4分半の自治体もあれば、指導案を30分書いてから15分授業する自治体もあるんですね…。準備の仕方が全然違いそう。

そうなんです。ただ、評価されている中身は自治体が違ってもほとんど同じなんですよ。ここからが本題です!

模擬授業で見られている3つの観点

私が採用試験を受けたときに心がけていたチェックポイントと、現場に出てから分かったことを合わせると、模擬授業で見られているのは大きく3つです。①先生としての雰囲気/②授業の構成/③授業者としてのスキル。この3つを押さえて練習すると、面接官にとって「この人は授業力があるな」「学校に出て即戦力になるな」というポイントになってきます。

観点① 先生としての雰囲気

チェック項目見られていること
声の大きさ教室のどこに座っていても聞こえる大きさになっているか
目線教室の隅々まで、どこの席に座っている子にも目を配れているか
話すスピード早口すぎて聞こえない・何を言っているか分からない、になっていないか
姿勢猫背で自信なさそうにしゃべっていないか

ここで一番おすすめしたいのが、自分の授業を自撮りして、客観的に見ることです。私自身もYouTubeを撮っていて思うのですが、撮っているときには分からなかった改善点が、動画にして客観的に自分を見ることで見えてきます。大学や学校で模擬授業の練習がしづらいときも、家で自分の授業をやってみて自撮りする、これだけで相当変わります。

観点② 授業の構成|「目標」「流れ」「引きつける工夫」

授業の構成については、次の3点をチェックしながら模擬授業を作ってください。

  • 目標を示す——この授業を受ける目標がどこにあるのかを明示する
  • 授業の流れを最初に明示する——1時間の見通しを最初に説明する
  • 児童生徒の興味・関心を引きつける工夫がある

私が採用試験で実際にやった「産業革命」の模擬授業を例にすると、目標は「産業革命を経て、当時の人々の生活や世界がどのように変わったのかを、この授業の終わりに説明できるようになっていたらクリア」。英語なら「make を使って A を B にするという文が作れるようになっていたらクリア」。こういう授業の軸になる具体的な目標を、授業の最初に示します。

流れの明示も同じです。「まずは産業革命で機械がどう進化したのかを見てみよう。その進化を見れば人々の生活がどう変わったのかが分かる。人々の生活が変わると、世界がどんなふうに変わっていくのかが分かってくる。そんな流れで今日は見ていこう。最後は隣同士のペアで、産業革命を経て世界がどう変わったかを説明し合ってもらうからね」——このように1時間の流れを最初に説明します。

「流れの明示」は本物の授業でも効く

最初に見通しを示すことは、軽度の発達障害があるお子さんや、先が見通せないと集中力を保つことが難しいお子さんにも有効な手立てです。ここで挙げている「構成」と「スキル」の話は、試験用のテクニックではなく、実際に学校の授業で必要になることばかり。だからこそ、面接官には「現場に出てすぐ通用するか」が見えるのです。

3つ目の「興味・関心を引きつける工夫」。私が産業革命の模擬授業でやったのは、「みんな、自分の制服の繊維をよく見てみて。この1枚の布は、1本1本の糸がどんなふうに交わっている?」と生徒に見せる演技でした。実際には生徒はいなくて面接官しかいないのですが、糸の絡まり方を絵に描いて、「この布を手作りするの、めちゃめちゃ時間かかるくない?」というところから入っていったんですね。

英語の授業なら、「みんなONE OK ROCK知ってる? ”Wherever you are” のサビで “I always make you smile” って言ってるけど、日本語で言ったら何て言ってるんやろ?」。自分の身近なもの・自分に関係があると思えること・子どもたちの文化に切り込んでいく、これも一つの手です。

観点③ 授業者としてのスキル|「対話」と「言葉かけ」

授業者としてのスキルで見られるポイントは2つです。

1つ目は対話を入れること。しかも対話は2種類あります。「制服の布どうなってるか見てみて」「どうなってた?」のような生徒と教師の対話と、グループワークやペアワークのような生徒と生徒の対話。実際は面接官しかいないので、めちゃめちゃ気まずいと思うのですが、私は空席に誰かが座っていると思って見渡しながら「ねえねえ」という感じで話しかけていました。本番の恥じらいを減らすためにも、この練習は本番までにやっておいてください。

2つ目は児童生徒の意欲・自己肯定感を高める言葉かけをしているか。「採用試験の模擬授業でそこまで見られるの?」と思うかもしれませんが、見られます。子どもたちに投げかけて、「うんうん」と子どもが話しているのを聞いている演技をして、その後に「いや、面白いことに気づいたね」と返す。演じることで、模擬授業の中でもきちんとアピールできるところです。

【実演比較】落ちる授業と受かる授業は、ここが違う

ここからが、この記事の核心です。私が動画の中で、「落ちる授業」と「受かる授業」を自分で実演して比較した回があります。設定は世界史で、「当日テーマが与えられて30分で考えた場合に、これくらいのクオリティにできるといいよね」というレベル感で作ったものです。

落ちる授業(帝国主義)で起きていたこと

落ちる授業の実演では、「帝国主義って何? どうして海外へ進出したのか?」というテーマで、第二次産業革命の説明から入り、用語を順に説明して、最後に「なぜアジアやアフリカへ進出したのか」をグループワークにする、という展開をしました。一見それらしく見えるのですが、実は次のような問題が起きています。

落ちる授業で起きていたこと受ける側にどう見えるか
指示が曖昧(「プリントを見てください」)どこを見ればいいのか分からない。今は書く時間なのか、聞く時間なのかも分からない
板書のタイミングが不明いつ、どこに書けばいいのか分からないまま授業が進む
教科書の理解が足りていないめあてが何なのか、この授業の押さえどころがどこなのかが授業者自身も示せない
教科書の言葉でしか説明できない難しい言葉をなぞるだけの授業になり、分かりやすい説明にならない
無駄にウロウロする動きに意図が感じられず、落ち着かない印象になる

受かる授業(日清戦争)の組み立て

一方、受かる授業の実演は「日清戦争」の導入でした。おおまかな流れはこうです。

  • 前回の学習(江戸幕府と清の近代化)を確認し、今回は日本と清が戦争をする、とつなぐ
  • 「この戦争、勝ったのはどっちだと思う?」と問い、ほとんどの生徒が「清」と答えるところで、「実は日本が勝ちます」と裏切る
  • 「もしみんなが清の立場だったら?」と当事者にする。「強豪校の自分たちが弱小校に負けたらどんな気持ち? 次に負けないために何を考える?」と、部活の話に置き換える
  • 生徒から「なんで負けたんだろうと考える」「相手がどんな練習をしてきたか見る」という言葉を引き出す
  • 「まさにそれが、日清戦争後の清の気持ちです」とつなぎ、清の立場に立って日本と清の近代化の違いを分析するという本時の課題に入る

違いが分かるでしょうか。落ちる授業は教師が知識を説明していく授業、受かる授業は子どもたちが「なんでだ?」と考えたくなる授業です。しかも、生徒に置き換えて考えさせている「強豪校が弱小校に負けたら」という例は、子どもたちが想像しやすい事例。ここが観点②の「興味・関心を引きつける工夫」そのものなんですね。

ほかにも、「幸せはお金で買えると思いますか?」のように、子どもたちがつい考えてしまいたくなる発問を、私たちが頭を振り絞って考えていく。これも一つの手です。実際の授業の様子は、動画で見ていただくのが一番早いと思います。

対策のポイント5つ

この2つの実演を踏まえて、模擬授業対策で押さえてほしいポイントを5つにまとめます。

ポイント具体的にどうするか
① 指示を明確にする「板書を今から書くよ、写していこうね」「プリントのここに書いてね」のように、今が書く時間なのか聞く時間なのかを生徒がスムーズに分かるようにする。デジタル教科書を写して「教科書のここだよ」とパッと見て分かるように支援するのも一つの手
② 授業者としての姿勢・態度無駄にウロウロしない。普段はパシッと立ち、必要のあるときにパッと動く。授業者自身が楽しそうにする。ずっと目もわからず話すのではなく、子どもたちを見ながら授業する(プリントを出せているか、前に写したものを見られているかの確認にもなる)
③ 専門性=教材研究落ちる授業では、そもそも授業者が教科書を理解できていなかった。だからめあても押さえどころも示せない。まずは教材研究に力を入れる
④ 興味・関心を引く工夫視聴覚教材を使う、子どもたちの日常と結びつける、想像しやすい事例に置き換える、つい考えたくなる発問をする
⑤ 子どもの実態把握子どもがどんな知識を持っていて、何を知らないのかを押さえる。それが分かって初めて「この情報を与えるとこんな疑問を抱くだろう」「この言葉なら理解してくれるだろう」と発想できる。土台は常に子ども理解

受験者の声

フォーム「情報提供のお願い」に寄せられた一言から、匿名で抜粋しています。

  • 「模擬授業や面接対策も何度も練習を重ねていたおかげで、本番も緊張せずに挑むことが出来ました」(大阪府・小学校・2024年)
  • 「討論や面接練習が億劫でも、金井先生の動画を見て、まずは見よう見まねで内容なども少し真似しながら練習と成功体験から自信をつけることが出来ました」(兵庫県・特別支援・2024年)

合格する人の模擬授業に共通する3つの要素

ここまでは「基本」の話です。教壇の前でしっかり話せる、立ち居振る舞いができる——それはクリアしている前提で、そこからさらに他の受験生よりも評価の高い模擬授業をするために必要な3つの要素をお話しします。私が個別指導で模擬授業を見させていただいた方で、高校のある教科・採用枠2名という少ない枠を合格された方も、やはりこの3つすべてをクリアされていました。

要素① 子どもが見える

その人の模擬授業を見ると、普段その人が子どもたちとどのように関わっているかが、すごくよく分かります。何よりも、子どもたちを見る視線や目の温かさ。「こういう温かい視線で子どもたちを見ているんだな」というのは、表情でパッと見えてくるんです。まるで目の前に本当に子どもたちがいるような模擬授業をされる方がいます。

テクニック的なところで言うと、子どもたちの反応の想定がリアルだということ。模擬授業では、子どもがいないのに「こういう反応を示すだろうな」「こんな疑問を投げかけてくるだろうな」と想定して進めなければいけません。合格する人の想定は「確かに子どもはそう反応するだろうな」というリアルさがあって、それに的確に対応できている。だから「この授業は学校でやっても成り立つな」「子どもたちが実際に面白いと思うだろうな」と見えてくるんですね。

逆に、「こんな反応は返ってこないだろう」「こんなにスムーズに進まないだろう」という想定で作ってしまっている授業は、現場でやってもうまくいきません。現場でやってうまくいく反応・疑問を考えて模擬授業を作れているか、ここをぜひ意識してください。

要素② 意図が見える

なぜそのタイミングでその活動を入れたのか。なぜそのタイミングでその発問をしたのか。なぜそこに立ち位置を変えたのか。なぜそのタイミングで板書をしたのか。教育活動の一つ一つの行動に意図が見える——これが2つ目です。

私自身も授業者の一人だったので、その意図はすごく見えます。ところが、評価があまり高くないだろうなと思う授業の場合、意図を汲み取ろうと思っても汲み取れない。なぜ汲み取れないかというと、意図を持たずに何気なく授業をしているからなんです。

なぜこの構成にしたのか、なぜその立ち位置なのか、なぜこのタイミングなのか、なぜその発問を選び、その言葉のチョイスにしたのか。この一つ一つに意図が見える授業を目指してください。

要素③ その人「らしさ」が光っている

3つ目は、その人らしさです。その人の持っているキャラクターが、プラスの意味で磨かれて授業の中で生きていること。そしてもう一つが、「この授業を通してこういう力を身につけてほしい」「こういうことを学んでほしい、考えてほしい、感じてほしい」という、その人なりの子どもたちへの思いが授業の中に出ていることです。

今は、ただ知識を注入する授業ではなく、「この授業の内容を学んで何なの?」「どういう力を身につけるの?」というところが、かなり問われる時代になっています。そこに先生の”らしさ”が出ます。自分は子どもたちにこんなことを学んでほしいと思っている、こういう力を身につけてほしいと思っている、自分はこういうふうに思ってもらえる授業者でありたいと思っている——それを、ぜひ模擬授業の中で出していってください。

授業のあとに来る「意図」を問う質問への備え

自治体によっては、模擬授業のあとに、その授業について面接で聞かれることがあります。受験者報告を読むと、ほぼすべての自治体で授業後の質問(口頭試問)がセットになっていて、聞かれることも驚くほど似ています。

よく聞かれるタイプ実際に報告された質問の例
この後の展開「この後の授業の流れを説明してください」「この流れで最後までいけそうですか」
意図・工夫「授業で気をつけたことは何ですか」「どこを工夫しましたか」「今日のめあてを設定した理由を教えてください」
自己評価「今回の模擬授業は何点でしたか、その理由は」「良かったところと悪かったところを教えてください」
つまずく子への支援「学習が遅れている児童にどう指導しますか」「違う答えを出す子がいたときの対応は」「意見が言いにくい子がいたらどうしますか」
評価・ICT「ABCの評価はどうつけますか。C評価の子にどんな支援をしますか」「ICTをこの授業のどの場面で使いますか」
教科の意義「この教科を学ぶ意義を自分の言葉で述べてください」「この分野の面白さをどう伝えますか」

先ほどの「日清戦争」の授業なら、私は次のように答えます。

Q. この後の授業の展開はどうなりますか?
明治維新と洋務運動を子どもたちに比較させ、そこから「自分たちなら清をこう変えていく」と考えさせて発表させたあと、実際の清はどのように改革していったのかを見ていく、という流れです。

Q. なぜこのような授業の組み立てにしたのですか?
2点あります。1点目は、前時に学んだことを活用して今回のテーマを考えることで、前時の定着度を上げるため。2点目は、自分ならどうするかを先に考えさせてから実際の歴史を見ることで、「自分の考えは合っていたのか」という知りたいを引き出すためです。

Q. どんな生徒像を思い浮かべて作りましたか?
進学校の授業を想定しています。導入はかなり簡単な言葉で興味関心を引いていますが、それは「自分にもできる」と思えるようにするため。展開で行う「明治維新と洋務運動を資料から比較する」はかなり高度な思考になるので、進学校の生徒を対象にしています。

こう答えると、面接官は次に「では学力困難校に行った場合、この授業をどうしますか?」と聞きたくなりますよね。それに対しては、「洋務運動のときの清の動きと明治維新のときの日本の動きをロールプレイの台本にして演じてもらいます。演技にするとアニメチックになって分かりやすくなるので、そこで理解させてから比較させる展開に持っていきます」と答えます。

逆に言うと、意図を持たずに授業を作っていると、この突っ込み質問でボロが出てしまいます。「受かる授業の型」をまねするだけでは足りなくて、そこにあなたの意図や思いが明確にあることが不可欠なんです。

本番までの練習法

  • 自撮りして客観的に見る——声・目線・スピード・姿勢は、自分では絶対に分からない
  • 「誰もいない教室」に話しかける練習をする——生徒役なしの一人芝居を課す自治体は多い。空席に子どもがいると思って見渡し、指名し、うなずきを受け取る動きまで練習する
  • 本番の持ち時間で切る練習をする——4分半なのか15分なのかで、入れられる活動はまったく違う。自治体の時間で必ず通しをやる
  • 1つの授業について「なぜ?」を自問する——なぜこの発問、なぜこのタイミング、なぜこの言葉。答えられない場所が、口頭試問で崩れる場所です
  • 教材研究に戻る——うまくいかない原因が「話し方」ではなく「教科書の理解不足」であることは、本当によくあります

自治体別の模擬授業対策

実施形式が特徴的で、受験者報告も多く集まっている自治体は、個別に記事にまとめています。自分の自治体の「時間・テーマの出し方・生徒役」を確認してから練習を始めてください。

  • 神奈川県の模擬授業|指導案を当日提出。準備・片付け込みで10分
  • 千葉県・千葉市の模擬授業|構想5分+実演6分。他の受験者が児童役
  • 兵庫県の模擬授業|冒頭1分で「ねらい」と50分の構想を説明してから実演
  • 横浜市の模擬授業|3つのテーマから1つを選択。面接官が児童役
  • 福岡県の模擬授業|学級活動での「話をしてください」型

よくある質問

Q. 導入だけで終わってもいいですか?

自治体の指示に従ってください。「導入から展開の最初まで」と指定される自治体もあれば、受験者報告のなかには「導入だけで終わらず、展開まで行くこと」と当日に指示されたという例もあります。「どこを切り取ってもよい」という自治体もあるので、要項と当日の注意事項の読み取りが最優先です。

Q. 板書は必ずしたほうがいいですか?

これも自治体次第です。受験者報告には「板書・指名発言は必須」「必ず黒板を使用すること」「めあてを必ず板書すること」と指示されたという例があります。指示がない場合でも、板書は「指示を明確にする」ための強力な道具です。ただし、いつ、どこに書くのかを言葉で示さない板書は逆効果。「今から書くよ、写していこうね」をセットにしてください。

Q. 生徒役がいない一人芝居が恥ずかしくて、うまくできません。

気持ちはよく分かります。私も面接官しかいない教室で、制服の繊維を見せる演技をしました。恥ずかしさは練習量でしか減りません。空席に誰かが座っていると思って見渡しながら「ねえねえ」と話しかける、子どもが答えている間うなずいて聞く、「面白いことに気づいたね」と返す——ここまでを一連の動きとして練習しておくと、本番の恥じらいはかなり減ります。

Q. 教材研究の時間がありません。何から手をつけるべき?

まず「この授業で子どもに何が分かればいいのか」(目標)を1文で言えるようにするところからです。落ちる授業の実演で起きていた問題は、話し方ではなく、授業者自身が押さえどころを分かっていなかったこと。目標が1文で言えれば、そこから逆算して「流れ」と「発問」は作れます。

Q. 模擬授業がない自治体を受けるなら、練習しなくていい?

いいえ。実施要項に「模擬授業」という科目名がなくても、個人面接や集団面接の中で授業をさせる自治体があります(この記事の前半の表を確認してください)。また、模擬授業がない自治体でも、面接では「どんな授業をしたいですか」「主体的・対話的で深い学びをどう実現しますか」とよく聞かれます。授業を1本きちんと作る作業は、そのまま面接対策になります。

まとめ|「正解の授業」を探さないでください

最後にお伝えしておきたいのは、この記事で紹介した「受かる授業」が正解ではないということです。

もちろん、私自身はあのような授業をして高校地歴で新卒一発合格しました。でも授業は、生徒と教師が出会って成り立つもの。たった一つの答えや「これが正解の授業だ」というものがあるわけではありませんし、子どもたちに確かな学力をつけていくのに最も有効な授業だったのか——それは常日頃考え続けることが非常に重要だと、私自身は思っています。

ですから、この記事の授業をゴールにするのではなく、「自分だったらもっといい授業ができるぞ」と、踏み台にしてください。あなた自身の子どもたちへの思い、こんな力を身につけさせたい、この授業でこれだけは分かってほしい——そういうあなたの意図があるかどうかが、模擬授業では非常に重要ですし、それが反映された分かりやすい授業は、やっぱり他の受験者と比べて光ります。

私も昔は下手くそで、ボロボロでした。「自分は教師に向いていないんじゃないか」と思わずに、これを子どもたちに身につけさせたいというものがあるのなら、そこにまっすぐに授業づくりを頑張っていただきたいと思います。応援しています!

あなたの1行が、来年の受験生を救います

この記事の自治体別の形式は、すべて受験された方からの報告でできています。模擬授業は自治体差がとても大きい試験なので、報告が1件増えるだけで、その自治体を受ける人の準備がまるごと変わります。受験された方は、ぜひ受験報告フォームから教えてください。

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