教採の志望動機の作り方|ありきたりを心を掴む文に変える添削実演

こんにちは、金井志津乃です! 

志望動機が「恩師との出会いがきっかけで」になってしまいます。こんなありきたりなもので大丈夫でしょうか…。もっと特別なエピソードがないとダメですよね?

大丈夫です。それが本当の志望動機であれば、それでいいと私は思っています。問題はテーマではありません。同じ「恩師との出会い」でも、書き方ひとつで面接官の食いつきはまったく変わります。

この記事では、教員採用試験の志望動機の作り方を、私がYouTubeでやってきた添削の実演そのままでお伝えします。流れは3つ。①面接官が志望動機で何を見ているかを知る、②ありきたりを「心を掴む文」に変えるBefore/After、③NG例文をOK例文に直す2セットの添削。最後に、多くの人がいちばん詰まる「なぜ本県なのか」を、教育振興基本計画から作る手順まで解説します。

この記事の根拠

  • 私が例文をもとに添削した3本の動画の内容を、そのまま記事化(例文はすべて動画内のもの)
  • スクールのグループコンサルで実際に出た受講生のつまずきと、そのときの私の回答(匿名でFAQ化)
  • 読者のみなさんから届いた受験報告にある「実際に聞かれた質問」を、自治体横断で集計(当ブログ集計)
  • 執筆・監修:金井志津乃(教員採用試験対策スクール「教員の学校」代表)
  • 志望動機が「よくある話」になってしまう気がして書けない
  • 書いてはみたけれど、これでいいのか自分では判断できない
  • 「なぜ本県なのですか」に、うまく答えられる気がしない
  • 志望動機を書こうとすると、何から手をつければいいのか迷子になる

ひとつでも当てはまる方は、ぜひ最後までご覧ください。まずは、NG例文とOK例文を並べて解説したこちらの動画からどうぞ。

目次

面接官は志望動機で何を見ているのか

教採に限らず「なぜこの会社を選んだんですか」はよく聞かれますよね。教採でも「なぜ先生になろうと思ったんですか」は、当ブログ集計(個人面接393件中190件・約48%)でもよく聞かれる質問です。では、面接官はなぜ「なぜそれになりたいと思ったの?」を聞きたがるのでしょうか。

面接官が見ているもの中身
① あなたのビジョンなぜ先生になりたいのかを聞くことで、その人がどんな教育をしたいと思っていて、どんな生徒を育てたいと思っているのかが見えます
② 本気度・使命感語られている思いから、教員という仕事や子どもたちに対する本気度・使命感を感じ取りたい。ここが薄いと、どんなに整った文でも響きません
③ 突っ込み質問の足掛かり「じゃあ、そんな子どもを育てるために具体的にどうやっていくんですか」と重ねることで、思いの本気度を確かめ、結果としてその人の教員としての資質能力を測っています

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。面接官は志望動機を足掛かりに突っ込み質問をしてくることが多い。裏返せば、私たちが自分の意図するところを突っ込んでもらえるように戦略的に志望動機を作れば、面接を自分のペースに持っていけるということなんです。

高倍率でも一発で合格してしまう人は、無意識か有意識かは別として、この部分をしっかり押さえています。

実際、志望動機はどう聞かれているのか(受験報告より)

「そこまで作り込む必要ある?」と思われるかもしれないので、実際の出方をお見せします。このブログに届いた受験報告のうち、個人面接の報告393件を数えたところ、190件(約48%)に志望動機系の質問が含まれていました(当ブログ集計)。43自治体の報告で確認できています。つまり、ほぼ受ければ聞かれる質問です。

そして、聞かれ方には型があります。報告された設問を並べると、大きく4パターンでした。

出方実際に報告された質問(抜粋)準備しておくこと
① そのまま聞く
(いちばん多い)
「志望動機を教えてください」「志望理由は何ですか」「あなたの志望動機をお聞かせください」まずはこの一発を、迷わず話し切れる状態に
② 自治体名を入れて聞く「なぜ本県を志望したのですか」「東京都の教員を志望した理由は何ですか」「なぜ静岡県を志望しましたか」→「他に同じことを掲げている自治体はありませんでしたか」その自治体でなければならない理由。深掘りで他県との比較まで来ます
③ 校種・教科まで分けて聞く「なぜ小学校を志望しましたか」「なぜ兵庫県を志望したのですか」→「なぜ養護教諭なのですか」「中高の免許をお持ちですが、なぜ高校ですか」「普通学級ではなく、特別支援学級を志望する理由は」自治体の理由と校種・教科の理由は別物。それぞれ用意する
④ 書いた言葉を拾って聞く「(志望理由に書いていた)自己実現とは何ですか」「志望内容の『多様な学び』とはどのようなことですか」「外部機関の連携とは、具体的にどの取組のことですか」志願書に書いた抽象的な言葉は全部、言い換えを用意しておく

④のように、志願書・面接カードに書いた言葉がそのまま質問になる報告は多数ありました。時間を区切って「志望動機を1分で述べてください」「志望理由と自己アピールを合わせて4分程度で話してください」というスピーチ形式の報告もあります。書類に書く志望動機と、口頭で話す志望動機は地続きだと考えてください。

自治体ごとの提出書類の様式や、そこから何を聞かれたかは、それぞれの記事にまとめています。

  • ■ 愛知県の自己アピール(記入例と書き方)
  • ■ 神奈川県の面接カードの書き方
  • ■ 千葉県・千葉市の面接カードの書き方

Before/After|「ありきたり」は書き方で変わる

個別指導でも「こんなありきたりな志望動機でいいんですか」とよく聞かれます。私の答えは、それが本当の志望動機ならいいです。大事なのは、その志望動機を面接官の心をつかむようにどう編集し、どう表現するか。

同じ「恩師との出会い」で書いた2つを比べてみましょう。

Before(Aさん)

中学時代の恩師との出会いがきっかけで、私も子どもの個性を活かす教員になりたいと思い、教員を志望しました。子どもたちの長所を引き出すことで、子どもに自信を持たせることができるよう、教諭として学校現場で今後も務めたいと考えています。

After(Bさん)

私の人生を変えるきっかけとなった恩師との出会いを機に、教師という仕事に憧れを感じるようになりました。実際、教育ボランティアや塾講師として子どもたちと関わり、子どもたちの意欲や行動が前向きになっていくことに、教師としてのやりがいと社会的価値を強く感じ、志望しました。

いかがでしょうか。面接官として印象がいいのはBさんです。この差がどこで生まれるのかを、2つのポイントと1つの注意点にまとめます。

ポイント①|感情を表現する

Bさんには「憧れを感じるようになりました」「やりがいと社会的価値を強く感じ」と、教員を志望していく過程での心の動きがさりげなく入っています。Aさんがなんとなく表面的で、誰でも言えることのように聞こえてしまうのは、この心の動きが表現されていないからなんですね。

人間は、論理では心が動きません。何に動くかというと、やっぱりその人の感情が見えたときなんです。だから面接官は、Bさんの思いに共鳴したり、人間臭さに引き込まれたりする。「この人の信念をもっと聞いてみたいな」「言っていること、本当かな」と、つい前のめりになるんです。

ポイント②|経験を語る

そもそも志望動機は唯一無二です。その瞬間にその先生と出会って、その先生がどんな先生で、自分とどう関わったか——同じ経験をしている人は、他に誰もいません。

つまり、唯一無二の志望動機を、ありきたりに語ってしまっているのは私たち自身なんですね。論理で納得させようとして、経験を削ってしまう。だから、経験を語る。

Bさんは「恩師との出会い」ではなく「私の人生を変えるきっかけとなった恩師との出会い」と書いています。足したのは14文字ほど。それだけで印象がまったく違いますよね。さらに「教育ボランティアや塾講師として関わり、子どもたちの意欲や行動が前向きになっていくことに」と続けることで、最初は憧れだった気持ちが、実際に子どもと関わる中で強くなっていったという道筋が伝わります。

注意点|「オリジナル」でなければ意味がない

ひとつだけ、必ず守っていただきたいことがあります。自分自身としっかり向き合って自己分析した中で、納得した自分の言葉で語れるオリジナルの志望動機を作ること。これがないと、突っ込み質問が来たときにどうしてもボロが出ます。

私が個別指導で志望動機を添削するとき、必ずヒアリングから入るのはそのためです。私が魅力的に作り上げても意味がない。その人の魅力をヒアリングして、その人の思いが適切に表現できるように一緒に考えないと、意味がないんですね。

そして仕上げに、必ずこう確認します。「この志望動機の中で、どこを突っ込まれても自分が喋りたいと思えるところを、突っ込んでもらえそうですか?」ここにイエスと言えたら、その志望動機は完成です。

添削実演①|塾講師の経験を「思い出話」で終わらせない

ここからはNG例文をOK例文に直す実演です。1セット目は、塾講師の経験から教員を志望した方の例文です。

NG例文

私は塾講師の経験をきっかけに、教師になりたいと強く思うようになりました。初めて担当した生徒は、最初は数学が嫌いで授業にも積極的に取り組んでくれませんでした。そこでその子の好きなアニメの話やたあいもない話で信頼関係を築き、毎回の授業で小テストを行いました。小テストの満点シールを貯めるようになると生徒の意欲が高まり、積極的に学習する姿が見られるようになりました。卒業時には生徒に「授業の担当が先生でよかった」と言われ、やりがいを強く感じ、教員を志望しました。

え、これ、いい感じに書けているように見えるんですけど…。

面接官の立場に立たずに聞いていると、そう感じますよね。でも面接官視点で見ると、これはNGです。この人がどんな教師になりたくて、どんな子どもを育てたいのかが明言されていないんです。ただ単に、思い出話を語っているだけになってしまっています。

OK例文

家庭の経済力に関係なく教育ができる公教育で、子どもが楽しんで学力を身につけることができるような関わりや授業ができる教師になりたいと思い、小学校の教員を志望しました。塾講師の経験で、数学が苦手で無気力だった生徒が、こちらの働きかけで最終的には積極的に数学の問題に取り組み、成績を上げて自信をつけていく変化を見て、教えるという仕事に強くやりがいを感じました。誰もが通うことができる学校で、子ども一人一人が勉強することに楽しさや意義を感じ、自信を持って生涯学び続けられる人材となれるような教育活動を展開したいと考えています。

直したのは2か所です。ひとつは、「塾講師なのに、なぜ公教育に来るの?」に先回りして答えていること。「家庭の経済力に関係なく教育ができる公教育で」の一言がそれです。受験者の経歴から、おそらく面接官が疑問を抱くであろうポイントに、志望動機の中で答えておく。これは民間経験者の方、講師経験の長い方、他校種からの受け直しの方にも、そのまま使える考え方です。

もうひとつは、教員になって子どもにどんな力を身につけさせたいのかを明言していること。「自信を持って生涯学び続けられる人材」まで書いてあるので、面接官はあなたのビジョンを受け取ることができます。

添削実演②|恩師のアピールで終わらせない

2セット目は、冒頭の吹き出しにもあった「恩師との出会い」パターンです。

NG例文

私が教師を志望した理由は、中学校の頃の恩師との出会いです。してはいけないことには厳しく指導しながらも、休憩時間には一緒に遊んでくださり、クラスの生徒一人一人をよく見て褒めてくれる先生でした。その先生が、引っ込み思案だった当時の私に「誰に見られるでもなく真面目に役職をこなせるのがあなたのいいところだ」と長所を褒めてくださったことで、自分に自信を持つことができました。私も子ども一人一人の長所を伸ばしてあげられる教師になりたいと思い、教師を志望しました。

この例文で直さなければいけないところは、主に2つです。

NGポイント何が起きているか
① 恩師のアピールになっているいかにこの恩師が素晴らしいかを語ることに紙面をかけていて、あなたがどんな先生になりたいのかにフォーカスが置かれていません
② 教える側としての経験がない自分が教える立場として「こんな教師になりたい」と強く思ったきっかけや経験が語られていない。これでは恩師の模倣でしかなく、教師としての主体性が感じられません

OK例文

私が教師を志望した理由は、子ども一人一人の長所を伸ばして、変化の激しい社会で活躍できる人材を育てたいからです。クラス一人一人の長所を褒め、私に自信を持たせてくれた中学校の頃の恩師との出会いがきっかけで、教師という仕事に憧れを持つようになりました。実際に教育実習で、クラス一人一人の長所を見出し伝えることを心がけて接した結果、目標のなかった生徒が将来の夢を語ってくれるようになり、教師という仕事の社会的意義を強く感じました。今後も子ども一人一人が社会で自己実現できるよう、学校現場から私も社会貢献したいと考えています。

変えたのは順番と配分です。一文目で「どんな教師になりたいのか・どんな子どもを育てたいのか」を語り切る。恩師とのエピソードは、あくまで「きっかけ程度」に書く。そして、自分が教える側の立場として感じたこと(教育実習での変化)を、育てたい子ども像に照らし合わせて語る。

たとえきっかけが恩師との出会いであっても、そこから自分自身がどんな教員になりたいと思ったのか、その思いを教える側の経験でどう醸成していったのか——この要素を入れることのほうが、はるかに重要です。字数や話す尺が短いときは、自分の経験を優先して、恩師のエピソードをカットする。この優先順位で構いません。

「ちょっと抽象的では?」は、受験者が撒いた種

このOK例文を読んで「でも、ちょっと抽象的で分かりにくくない?」と感じた方もいらっしゃると思います。実は、それが受験者が撒いた種なんです。

「ここを面接官に突っ込んでもらいたい」というポイントを、受験者が計算して置いている。面接官からすると「ここ、ちょっと抽象的だよね」と思って突っ込むわけですが、受験者にとっては待ってましたという状態です。面接官にはアドリブに見える受け答えが、受験者にとっては計算済み。だから「なるほど、この人よく考えてきているな」と印象が良くなるんですね。

高倍率の試験で早く合格したいと思うのであれば、これくらい戦略的に志望動機を作ることも必要です。ただし、その前提には深い自己分析があります。自己分析がなければ、今回のNG例文のように表面的で薄い志望動機にならざるを得ません。どの要素を抽出してピックアップするかは、まず自分の経験や考えを書き出して見える化してから決めてください。

「なぜ本県か」を、教育振興基本計画から作る

ここまでは「なぜ教員か」の話でした。もうひとつの山が「なぜこの自治体なのか」です。前の章で見たとおり、深掘りでは「他に同じことを掲げている自治体はありませんでしたか」まで来ます。

まず、一文目に結論を置く

書き方に困っている方は、まず結論から入り、その後に理由や具体例に入るという鉄板の型にはめてみてください。ここでいう結論とは「◯◯県の教員を志望する理由はこれです」。たとえば地域や家庭と連携して子どもを育てたいのなら、「それが◯◯県ならできる」ということが伝わる一文を、最初にドンと書いてしまう。

型としてはPREP法——Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論で締める)が王道です。慣れないうちは、まずこの型で書いてみる。慣れてきたら、自分の言いたいことがもっと強く伝わるようにアレンジしていけばいいと思います。最後は「だから私はここを志望しています」で締めくくります。

その自治体の「強み」を知る=教育振興基本計画を読む

「自分のやりたい教育が、この県だからできる」と書くためには、その県の強みを知る必要があります。何を見るかというと、各都道府県・政令市が持っている教育振興基本計画です。ここには、その自治体の教育課題、それに対して実際にやっている取り組み、そしてどんな教員を求めているかが書かれています。

私の出身地である和歌山県を例に、動画では実際に画面で計画を開きながら解説しました。手順はこうです。

  1. まず県の目指す将来像と、自分の目指す教育像が合っているかをすり合わせる
  2. 「その実現に向けた取り組み」を読み、県がこだわっている実践を確認する(和歌山県なら、基本的方向のひとつに「子どもたちの成長を支えるコミュニティづくり」があり、そこにきのくにコミュニティスクールの推進が挙げられています)
  3. 気になった取り組みは中身まで調べる(地域の方が子どもの居場所づくりや読み聞かせに関わってくれる仕組み、など)
  4. 「自分がやりたい教育と結びつくのはどれか」を探して、志望動機に反映させる

「県がこだわっているところをちゃんと知っているんだね、調べてきているんだね」と伝わることは、それ自体がとても重要です。

特色は「2つ以上」を掛け合わせる

ひとつ見つけたので、それで書いてみます!

惜しいです。1つだと弱いんです。ひとつの特色だけなら、他の自治体もやっている可能性がある。「それって他でもできるじゃないですか」と突っ込まれてしまいます。

でも、1本の特色ともう1本の特色を掛け合わせると、「どちらか一方をやっているところはあるけれど、両方できるのはここだけ」と言えるんですね。だから最低2つ、できれば2〜3つの特色をピックアップしておきます。200字程度の志願書なら、2つが書ける限界くらいの感覚です。

組み合わせのコツは、切り口を変えること。たとえば地域連携の特色をひとつ選んだら、もうひとつは授業の観点から選ぶ。「この自治体の授業でのこだわりは何だろう」「特色ある実践は何だろう」「その中で自分が目指している教育とマッチするのはどこだろう」と探していきます。

最後に「書かなくても伝わる言葉」を削る

志望動機を書くときに、実はとても重要な作業があります。書かなくても分かる言葉を、どんどん端折っていくことです。

たとえば「学校の先生方が朝の校門で子どもの様子を見て」と書いたとします。「朝の校門で」と言えば、先生が「おはよう」と声をかけながら子どもを迎え入れている場面は、もう想像できてしまいますよね。だったら、その説明は要りません。

目指すのは最低限の言葉で、自分の伝えたいことを最大限に表現すること。何でもかんでも削ればいいのではなく、短い言葉にしてもニュアンスがちゃんと伝わる書き方がベストです。重複表現を削れば、そのぶん書ける要素が増える。結果として、中身の濃い志望動機になります。

「なぜ本県か」4つのポイントやること
① 自分の教育像を明確にするその自治体の課題意識ややっていることと合っているかを、しっかりすり合わせる
② 特色を2つピックアップする要項と教育振興基本計画を熟読し、「ここならできる」と言える要素を最低2つ。1つだと「他でもできる」と突っ込まれる
③ PREP法で書く結論→理由→具体例→結論。慣れないうちは、まずこの型にはめる
④ 点検して端折る「この言葉はなくても伝わるな」を削る。空いたぶんで内容を濃くする

よくあるつまずきQ&A(スクールで実際に出た質問から)

ここからは、スクールのグループコンサルで実際に出た相談と、そのときの私の回答です(個人が特定できない形にしています)。

志望動機と自己PRを自治体に合わせて書くところで、すごく悩んでいます。まとめ方が分からなくなって、迷子になっています。どこから切り口を書けばいいのか、限られた字数でどうやったら言いたいことを盛り込めるのか…。

まとめに入るときは、一旦「型」に当てはめるといいと思います。まとめるのが難しいということは、編集するのが難しいということ。そういうときはテンプレートに一旦はめてしまう。

ただし順番が大事です。最初から型にはめるつもりで自己分析すると、広がりがなくなってしまいます。自己分析は、自分の全体像を理解するために広くやる。最後に型にはめる。この順番でいってください。

「型にはめるなんて、ずるくないですか」と思われるかもしれません。でも、守破離という言葉があるように、まず「守」をやってみることで分かることがあります。合格した方が出してきた志望動機の型に、自分のキーワードを当てはめてみる。ひとつの型に当てはめて「おお、こうなるんや」、次の型に当てはめて「なるほど」——全部やってみたときに「自分はどのタイプかな」が見えてきます。最初はそれで十分だと私は思っています。

型の中身(要所)

  1. 最初=結論。自分がその学校で何がしたいのか。教員を志望する理由とは、結局「先生になって何がしたいのか」です
  2. 真ん中。なぜその教育をしたいのか。実際に「やっぱり教育だな」と自分の気持ちをより強くした経験。ここでも「自分が何をしたいのか」から絶対にそれない
  3. 最後。「こんなわけで先生になりたいと思いました」でまとめる

自己分析のコツ|マクロとミクロを交互に見る

自己分析をするときに大事なのは、マクロ(引き)とミクロ(寄り)を交互にやることです。

「きっかけ」のところを寄りで見る——あのとき自分はどう感じたんだろう、そこから学んだことは何だろう、そもそもなぜ私はその出来事をそう感じたんだろう。次に、ぐっと引いて俯瞰する——このときはこうで、その後こうなって、そう感じたんだな。全体像で見たときに話の筋が通っていないところはないかを確かめます。

「ここだけ浮いているな」「ちょっと筋がずれていないか」と思ったところを、もう一度寄って見る。このとき大切なのは、なぜ寄ったのかを忘れないこと。忘れると、寄っている間に話がそれて、わけが分からなくなってしまいます。

経歴に空白や迷いがある方へ

私、途中で教員をあきらめていた時期があって…。そこは書かないほうがいいですよね?

逆です。迷っていたこと自体が、一貫性になるんですよ。迷っていたのに、迷ったことをなかったことにしてしまうと、かえって一貫性が取れなくなります。「じゃあこの空白は何ですか?」となってしまいますよね。

自分の人生として生きてきたことには、必ず一貫性があります。途中で迷ったことがあったとしても、ストーリーとしてつながっていれば、それが一貫性です。「当時は倍率が高くて受からなかった」「他の仕事もやってみた」「でもやっぱり学校の先生を諦めきれなかった」「実際に学校現場に出たら、やっぱりこの仕事だと思った」——じゅうぶん筋が通っています。

そこまで来たら、次に言語化するのはこれです。「学校の先生という仕事の、何があなたを魅了したんですか?」ここが見つかれば、あとはその軸に合わせて志望動機を型にはめていくだけです。

「志望動機を書く」は、ゴールが抽象的すぎる

「今月中に志望動機を書きます」という計画を立てた方がいました。私がお伝えしたのは、その志望動機の内容はどんなものを書くのか、まで踏み込んで決めましょうということです。

志望動機の材料は、たいていいくつもあります。「これもある、あれもある、あっちもある」という選択肢の中からどれを書くのかを決めない限り、「志望動機を書く」という一言ではゴールが抽象的なままです。ゴールそのものを具体的にすると、自分がやることが決まります。

もうひとつ、材料が見つからないときに効く問いがあります。「学校の存在価値は何だろう」「教員の存在価値は何だろう」。分かりやすい授業動画は無料で手に入るし、アプリで自学できる子もいる。そんな中でこの学校に来る意味は何なのかを考えると、自分の志望動機につながってくることがあります。表面的な言葉としては同じことを言わなくても、本体のところでつながってくるんですね。

まとめ|志望動機は「戦略的に」作っていい

  1. 面接官が見ているのはビジョン・本気度・使命感。そして志望動機を足掛かりに突っ込んでくる
  2. ありきたりなテーマ自体は問題ではない。問題は編集の仕方。感情を表現する・経験を語るの2つで印象は変わる
  3. 思い出話で終わらせない。どんな教師になりたいか・どんな子どもを育てたいかを明言する
  4. 恩師の話はきっかけ程度に。自分が教える側として感じたことを優先する
  5. 経歴から面接官が抱くであろう疑問には、志望動機の中で先回りして答える
  6. 「なぜ本県か」は教育振興基本計画から。特色は掛け合わせで2つ以上
  7. 書き方はPREP法。最後に書かなくても伝わる言葉を削る
  8. すべての土台は深い自己分析。オリジナルでなければ、突っ込まれたときにボロが出る

最後にお伝えしたいのは、志望動機は戦略的に作っていいということです。「戦略的」と聞くと、なんだか嘘をつくみたいで抵抗がある方もいるかもしれません。でも、ここでいう戦略とは自分がいちばん語りたい本音を、面接官にちゃんと聞いてもらうための設計のことです。

自分と向き合って出てきた本当の思いを、伝わる順番に並べ、突っ込んでほしいところに種を撒く。それだけです。みなさんの教育への熱い思いを志望動機の中に言語化して、面接官の心をぎゅっと掴んできていただければと思います。

志望動機ができたら、次はそこから深掘りされる質問に耐えられる状態を作っていきます。テーマごとの考えを深める方法は、面接ノートの記事にまとめました。自己PRとの役割分担で迷っている方は、自己PRの記事もあわせてどうぞ。

志望動機の材料を掘り起こす自己分析ワークは、メルマガ登録特典の【無料版】教員採用試験必勝ノートに入っています。何から書き出せばいいか分からないという方は、こちらを手元に置いて進めてみてください。深掘り質問のストックがほしい方は【厳選】面接質問TOP50もどうぞ(記事末尾のバナーから無料で受け取れます)。

あわせて見たい志望動機の動画

この記事の「実際に聞かれた質問」は、受験されたみなさんの報告からできています。受験報告フォームから、どうか教えてください。あなたの1行が、来年この記事を読む誰かを救います。

受験者の声

フォーム「情報提供のお願い」に寄せられた一言から、匿名で抜粋しています。

  • 「手本となる面接回答と照らし合わせながら、自分の答えのどこが深掘りされるのかを意識して対策することができました。当日はまだ甘い部分もありましたが、これまで以上に自分の想いを出し切れたと感じています」(東京都・2025年)
  • 「面接ノート作りをして、自分の考えをまとめる事ができました」(埼玉県・2025年)
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