【教員採用試験】面接対策のロードマップ|いつから何をするかを「評価の3観点」から逆算する

こんにちは、金井志津乃です! 

面接対策って、いつから始めればいいんでしょうか。とりあえず一次試験の合否が出てから、でいいですよね?

それは、めっちゃ遅いです。一次の合否が出てからということは、志願書や面接カードをもう出してしまっているということなんですよね。実は面接の勝負は、そこから始まっているんです。

面接対策はいつから始めればいいのか。そもそも面接対策ってしないといけないものなのか。するとして、何をどうやってすればいいのか——分からないですよね。大学生で教採対策を始めた私も、まったく同じ気持ちでした。

この記事では、面接で評価されている3つの観点から逆算して、いつ・何をするかを1枚のロードマップに整理します。今が9月でも、2月でも、5月でも、そして一次試験の直後でも——今日から何をすればいいかが分かるように書きました。

この記事でわかること
  • 教採の面接で評価されている3つの観点と、それがどの質問につながっているのか
  • 面接対策を早く始めると得られる2つの利点(そして遅く始めると詰む理由)
  • 出願から合格発表までの年間スケジュールと、月ごとにやること
  • 面接対策の7つの柱——何を、どの順番で、どれくらいの時間で
  • 「自分は合格に近づいているのか」を測る3つの指標
  • 元面接官の校長先生から見た「採用したい先生」と、2月から始めて一発合格した人の10項目

この記事の根拠

  • 解説動画「面接対策、いつから何をする」と「最短合格を勝ち取る本質的な面接対策」でお話しした内容を、記事として整理し直したものです
  • あわせて、教採のリアルセミナーで登壇いただいた元校長(幼稚園・小学校・中学校で校長を歴任し、教採の面接官を複数回経験)の先生と、二次試験に一発合格された先生のお話も、ご本人が特定されない形で引用しています
  • 試験日程は各自治体の令和9年度採用 実施要項・受験案内から引用しています(推定は載せていません)
目次

出発点|面接で評価されているのは、この3つだけ

ロードマップを引く前に、ゴールがどこにあるのかを先に確認しましょう。どこを評価されているかを知っているからこそ、どんな対策をすべきかも見えてきます。

面接の評価の観点は、各自治体によって文言こそ違いますが、どの自治体も見ている観点を凝縮すると、つまり次の3つです。

観点面接官が見ていること
① 教育的情熱教職に対する誇りや責任感、使命を持って一生懸命・主体的に働いてくれるか。面接官を務めるのは校長や教育委員会の指導主事、自治体によっては保護者の方で、いずれにしても教育に熱心な人たちです。だから一教育者として、そう思ってしまうんですね
② 専門性子どもの学力や人間的な部分を育てる教員だからこそ、授業内容についての専門的な知識、教育心理などの教育者としての専門的な知識や経験を持っているか
③ 人間性幅広くさまざまな子どもや保護者に対応しながら、同僚とも良い関係を築いて働いてくれるか。学び続ける姿勢、相手を思いやる姿勢——子どものお手本となるような人であるか

これはまさしく、文部科学省が教員に求められる資質能力として掲げている代表的な3つでもあります。教員採用試験でも、この3つの要素をできるだけ高いレベルで満たしている人を採用したいと思って面接をしているわけですね。

よくある面接質問は、必ずこの3つのどれかにつながっている

「なぜこの質問をされるんだろう」と思ったときは、3つの観点に当てはめてみてください。ぜんぶ、きれいにつながります。

よくある質問主に見ている観点質問の意図
教員を志望した理由は教育的情熱どれくらい本気で学校の先生を目指しているのか、教員として主体的に教育課題に向き合っているのかが分かります
自己PRをしてください専門性・人間性あえて本人に強みを発信してもらうことで、限られた時間の中で注目すべき採用メリットを浮き彫りにする意図があります
主体的・対話的な学びをどう実現しますか専門性令和の日本型学校教育が求める授業観を、自分の言葉で持っているか
授業中に立ち歩く児童にどう対応しますか専門性・人間性学習指導だけでなく人間的な面も育てる全人的な指導ができるか
保護者からのクレーム/同僚と考えが食い違うとき人間性専門家・保護者・同僚と協力して、一人の子どもの成長を支えられるか
教員の不祥事はなぜ起こると思いますか教育的情熱・人間性不祥事をできる限り減らしたい、という自治体側の切実さから来ています

それぞれの質問が、受験者の教育的情熱・専門性・人間性のいずれかの評価につながっている。そう分かってしまえば、対策は「思いつきの丸暗記」から抜け出せます。面接の全体像は、この動画でも詳しくお話ししています。

なぜ「早く始める」が効くのか|2つの理由

面接対策をいつから始めるか。結論から言うと、筆記試験に支障を来さない程度に時間を確保して、できる限り早くです。理由は2つあります。

理由① 面接から逆算して「実績」を作れる

早く始めると、面接質問への回答を考えるなかで「あ、対話的な学びについて語れる実績や経験がないな」と気づけます。そうしたら、ちょっと本で調べて、次の授業で取り入れてみよう——という形で、実績のほうを作りにいけるんですね。

でも、これが夏休みに入ってから、試験直前になってから気づいたのでは、もう時すでに遅し。話す中身が薄い状態で面接に臨まなければいけません。

理由② 面接から逆算して「ペース配分」の見通しが立つ

早く始めると、より早く自分の現状を知ることができて、試験までの面接練習のペースを逆算して見通せます。思考を深めるのも言語化するのも早い人なら、一次試験の後から練習しても間に合うことはあります。でも、そもそも実績を作らないといけない人、考えることに時間がかかる人、話す練習の回数を積んだほうがいい人——その人の現時点の実力によって、合格までの距離が違うんです。だから「間に合わない」ということが起きます。

見落とされがちな話|年数を重ねるほど、期待値は上がっていく

「何回か受けていれば、そのうち合格するでしょう」——この考え方は、実はすごく危険です。

講師を何年かやれば合格できるだろう、とたかをくくって面接に臨む。ところが講師年数を重ねるほど、面接官の期待値のほうが上がっている。そのことに気づいた頃には講師を5年以上やっていて、ますます合格しにくくなる——という人も少なくありません。

スポーツの世界でも、高校生を採るときと社会人を採るときでは見方が違いますよね。高校生には将来性を見る。社会人には「すぐ戦力になるか」を見る。教員採用試験でも、まったく同じことが起きています。だから、新卒の方と同じような実践内容を挙げてしまうと「経験、積んでるよね?」という受け止められ方になってしまう。これは意地悪ではなくて、採用する側の当たり前の感覚なんですよね。

でも今は教員不足で倍率も下がっていますよね。1点何倍なら、そんなに構えなくても……?

その誤解、むしろ危険だと思います。倍率1.5倍でも、150名のうち50名は不合格なんです。しかも教採は誰でも受けられる試験ではなく、教育に情熱を持って、大学で単位も取ってきた方たちの戦い。そこに毎年、新卒という有力なライバルが生まれます。「余裕でしょ」と臨んで落ちたときに「自分は教員に向いていないのかも」と落ち込んでしまう——それが、いちばんもったいないんです。

逆算の土台|出願から合格発表までのスケジュール

「早く」と言われても、何月に何があるのかが分からないと逆算できません。令和9年度採用(2026年夏実施)の実施要項を見ると、第1次試験は6月中旬〜7月中旬、第2次試験は7月下旬〜8月に実施する自治体が多いです。たとえば京都府は第1次試験が筆記6月13日(土)・面接6月27日〜7月5日のうち指定日、第2次試験が8月13日(木)〜8月23日(日)の期間。岡山県は第1次試験の結果通知が8月6日で、第2次試験は8月17日(月)〜23日(日)のうち1〜3日を指定される形でした。そして最終合格発表は、早い自治体の8月上旬から遅い自治体の10月上旬まで、2か月ほどの幅があります。出願はさらにその前で、志願書の提出は3月・4月、遅いところで5月。東京都のように面接カードの提出が直前という自治体もあります。

※出典:各自治体の令和9年度採用(令和8年実施)教員採用選考試験 実施要項・受験案内。全68自治体の合格発表日は合格発表日一覧の記事にまとめています。日程は自治体・校種によって異なるので、必ずご自身の受験案内でご確認ください。

つまり、「一次の合否が出てから面接対策」では、志願書という一枚目のカードをすでに切ってしまっているということです。ここが、多くの方がつまずくポイントです。

月ごとのロードマップ|いつ、何をするか

ここからが本題です。時期ごとに「やること」と「詳しい記事」をまとめました。今いる行から読み始めてください。

時期この時期にやること詳しくはこの記事へ
9〜12月
(腰を据えて動ける時期)
今年の面接質問を記録する。自己分析をひととおりやる。面接ノートを1テーマずつ作り始める。教育について学ぶ習慣をつくる。筆記の年間計画を立てる面接ノートの作り方/筆記対策の年間計画/合格者に共通する勉強法
1〜2月
(エンジンをかける最後)
志望動機・自己PRの原型を作る。志願書に書く材料を棚卸しする。最初の面接練習を1回だけやって現状を知る志望動機の作り方/自己PRの作り方
3〜5月
(出願・勝負の始まり)
実施要項・教育振興基本計画を読む。戦略的に志願書を書く(種まき/突っ込み想定)。自己PRを何度も推敲する。筆記のラストスパート志願書・面接カードの書き方/筆記対策の年間計画
6〜7月
(一次試験)
筆記が主戦場。合間に面接ノートを見返す。集団面接・集団討論がある自治体は一次で実施されることも多いので形式を確認集団面接の対策/集団討論の過去問と対策
7〜8月
(二次試験・直前期)
個人面接・模擬授業・場面指導・小論文の実践練習。志願書からの深掘りツリーを作る。入室から退室までを通しで1回やる模擬授業の対策/場面指導の対策/小論文の書き方/面接の話し方
試験当日面接ノートをパラパラ見て、キーワードが瞬発的に浮かぶか確かめる。想定外が来ても慌てない準備をしておく教採当日の「想定外あるある」
8〜10月
(結果待ち〜発表)
今年の質問を記憶が鮮明なうちに記録。行動を習慣化する。そしてまた「9〜12月」の行に戻る合格発表日一覧

私がセミナーでいつもお伝えしているのは、「2月が、本気でエンジンをかけていく最後」ということです。5月のゴールデンウィークから始めても遅いんですよね。その時点でもう出願をしてしまっていて、出願から勝負は始まっているからです。だから2月から自己分析をして、志願書を作り込んで、それをもとに面接対策をしていく——この流れをぜひ作ってください。

ちなみに、東京都のように過去問の蓄積が多い自治体は、質問の全体量をつかむだけでも逆算がしやすくなります。「これくらいの量の質問について考える時間がいるんだな」「1日1問ずつ面接ノートを作っていこうかな」という計画が立てられるからです。→ 東京都の個人面接・過去問200問

何をやるか|面接対策の7つの柱

では、具体的に何をやるのか。これまで多くの受講生を見てきたなかで「ここが課題ですね」とお伝えすることになるポイントを、7つに整理しました。読みながら「自分はどこに課題があるかな」と考えてみてください。課題が明確に分かれば、何をやるべきかが見えてきます。

柱① 自己分析——自分がよく知っていることしか、話せない

「面接が苦手で、話せないんです」という方と対面して指導していると、そもそも話す内容が明確でないということが本当に多いです。だから自信なさそうに話してしまったり、なかなか言葉が浮かんでこなかったりする。

でも、自分が今いちばん好きなこと、夢中になってきたこと、めっちゃ調べてきたことについて話してくださいと言われたら、たぶんいくらでも話せますよね。これが、面接で話せる・話せないの分かれ目です。自分がよく知っているものは、話せるんです。

なぜ教員になろうと思ったのか。どんな子どもたちを育てたいのか。何のために教壇に立つのか。なぜ公立の教員になりたいのか。自分のどんな強みが、子どもの力を育むことに生きるのか——こういったことを棚卸ししておく。ここが明確でないと、「こういうとき子どもたちにはどう対応しますか」という質問でも軸がぶれぶれになります。マニュアル的には正しいかもしれないけれど、採用したくはないな、となってしまうんですね。

なお、ここでよく「こんなありきたりな志望動機で合格しますか」「もっと奇抜なことを言ったほうがいいのでは」と悩まれます。ぶっちゃけて言うと、全然ありきたりなことで難関に合格してくる人はいっぱいいます。私自身も、奇抜なことは何も言っていません。なぜ輝くのかというと、その人の経験と思いが絡んでいるからです。

柱② 相手分析——自治体と面接官の立場に立つ

面接は相手のあることです。相手とは、目の前の面接官と、その背景にある自治体。この自治体はどんな教育課題を抱えていて、どんな人が欲しいと思っているのかを理解しておくことで、「この自治体にマッチしているな」と感じてもらえます。

おすすめの考え方は、自分がリーダーだったらどうかを想像してみることです。校長先生になったことがある人は少ないと思いますが、部活のキャプテンや職場の部署のリーダーなら経験がある方も多いですよね。「もっと結果を出したい」と思っているとき、どんな部員・部下がいると助かって、どんな人は避けたいでしょうか。採用する側も、綺麗事ではなく本音ベースで判断します。お給料は市民の皆さんの税金から成り立っています。だからこそ慎重に見るんですね。

ただし、この「こんな人がいいな」に100%当てはまる人なんて、いません。「これもできてない、あれもできてない、私はダメだ」ではなく、「じゃあこれから何を意識しようか」と考えていただきたいです。完璧じゃなくても、合格はします。

柱③ 考え方(マインド)——自責思考と、実践家であること

実は、ここで不合格になっている人もいます。どんなマインドで自己分析・相手分析をするかによって、出てくるものが変わるからです。

そのマインドで分析すると
他責思考「わがままな面接官だな」「なんで私を採らないの」。誰かを批判するようなものしか出てきません。そしてそれは、人相や表情、ちょっとした言葉のチョイスに出てしまいます
自責思考自分を責めることではなく、自分の変えられることに集中しようということ。「うちの自治体は倍率も高いし採用枠も少ない。でも自分のできることに集中して、ぜひ働きましょうと言ってもらえるためにできることをしよう」となります

不平不満が多い人が部下になったら、面接官も「自分も裏で何か言われるのかな」と思ってしまいますよね。逆に、置かれた環境で自分のできることをしよう、という考え方の人は、管理職としては心強いんです。もうひとつは、評論家ではなく実践家であろうということ。「政府がこうだから」「こんな親だから子どもがこうなる」と論じるのではなく、「この保護者の方は何に困っているんだろう」「今の学校の現状はこうだけど、その中で自分は何ができるかな」と考えて動く。評論家のままだと、動いているのは口先だけになってしまいます。

柱④ 戦略的な志願書——面接が始まる前に、有利か不利かは決まっている

志願書(面接カード・自己申告書・エントリーシートなど、呼び方は自治体によって違います)は、面接官がその文章を見ながら面接をしてくれる土台です。だからここに、面接につながる種まきをしておく。

  • あえてここまでしか書かない——聞いてほしいところを少しだけ抽象的にして、面接官が気になるように仕向ける
  • ただし全部を抽象的にしない——全部気になって全部聞きたくなってしまいます。文章で読み取ってもらう部分と、聞いてもらう部分を分ける
  • 聞かれたくないところも準備する——経歴のように、あるがままを書くしかない部分は、突っ込まれる前提で答えを用意しておく

そうすると、面接官が「ここが気になるな」と聞いてくれたときに、「よし、聞かれると思っていました」という状態で向かっていけます。自分のフィールドにしっかり持っていけるわけですね。詳しい書き方は志願書・面接カードの記事にまとめています。

柱⑤ 面接ノート——話す内容を深掘りして、体系化する

面接ノートというと「この質問が来たらこう答える」をまとめるもの、と思われがちですが、私が考える面接ノートはそうではありません。目的は話す内容の深掘りと、体系化(整理)です。

たとえば「子どもたちの自己肯定感をどのように高めますか」と聞かれるとしたら——そもそも自己肯定感とは何なのか。高まっている状態とはどんな状態か。高まっていない状態は。なぜ高める必要があるのか。高まっていないとどんな良くないことがあるのか。その大前提を踏まえたうえで、どう育てるかを考えていく。

ここまで深掘りしておくと、予期していなかった角度の質問が来ても「その角度か。でもこれ、考えたことある」と答えられるんです。逆に「どう高めるか」しか考えていないと、「そもそも自己肯定感をどう捉えていますか」と聞かれた瞬間に「えっと……」となってしまう。面接官からすると「さっき話していた方法は、いったい何だったんですか」ということになってしまうんですよね。

それに、私たちの頭が整理できていないということは、聞き手も整理できないということです。教育のテーマは多岐にわたっていて、頭の中だけで整理できる人は正直かなり天才的。だから書き出します。深掘りして体系化して話している人の言葉は短いのに、バックボーンが見えるんですよ。→ 面接ノートの作り方(実例つき)

柱⑥ 話し方——表情・声・結論ファースト・論理と感情

ここでひとつ、はっきりお伝えしておきたいことがあります。話す練習をすると練習した気になってしまうのですが、話す練習だけをしていても、合格はしません。めっちゃ大事なのは話す内容のほうです。ただし話し方も、もちろん重要ではあります。ポイントは4つ。

  • 表情・姿勢・声のトーン——人の表情や声のトーンは、ミラーニューロンの働きで相手にも影響します。楽しそうに話していると、相手も楽しくなってくるんです
  • 速さ——速く喋ると「自信がないのかな」と思われます。ゆっくり落ち着いて話すほうが信頼感を与えます
  • 結論ファースト——「きっかけは何ですか」と聞かれたら「中学校時代の恩師との出会いがきっかけです」と、相手が使った言葉で締める。聞いたことに答えてくれたな、という印象を与えられます
  • 論理と感情——「こう対応します。次にこうします」だけだと、間違ってはいないけれど惜しい。「子どもたちにこうなってほしいと思うからです」「この子はこう思っていると思うので、そこをケアしたいです」と意図や思いを入れるだけで、伝わり方が変わります

もうひとつ、実践を伝えるときはビフォーアフターと手立てをセットで。「私の指導でこの子の算数が70点になりました」だけでは、すごさが伝わりません。「10点や20点しか取れなかった子が70点を取れるように」と言えて、そのために何をしたかを添えられると、その人の実績として伝わります。→ 面接の話し方の記事

柱⑦ 経験を積む——1か月前では「ないやん」となる

教員採用試験なので、当然ながら教員としての資質能力が必要です。どんなに自己分析をして、相手分析をして、マインドを整えて、志願書を考えて、面接ノートを作って、話し方を対策しても——教員としての経験値を増やしていかないと、話す内容が薄くなってしまうんですね。

「学校現場に講師として立てていないから、経験がないんです」という方もいらっしゃいます。ここが、伸びる人と伸びない人の分かれ目だと私は思っています。伸びる人は、今自分が置かれた状況の中で、教員として採用したいと思ってもらえる経験を積めないかを考えています。相手は子どもではないかもしれないけれど、人間という面では今の職場の人との関わりも同じ。部下をどう育てるか、上司とどう関わるかは、学校での管理職との関わりに通じます。

実際、現場に立ったことがないのに、めっちゃリアルなことを言える方はいます。「この人は置かれた状況の中で、学校に生きるスキルを高める経験をかなり積んできている」——それは分かるんです。なぜなら、人は人だから。

そして、これこそが長期戦略が必要な理由です。1か月前から対策を始めると、「教育実習のときにもっとこうすればよかった」「夏休みに入る前にこれをやっておけばよかった」——と気づいたところで、もう取り返せません。早くから面接ノートや志願書に取り組んでいるからこそ、「ここの経験が足りないな」が早く分かって、埋めにいけるのです。

それぞれ、どれくらい時間がかかるのか

「7つもあるのか……」と思われたかもしれませんが、机に向かう時間としては、思っているほど長くありません。

やること目安の時間
情報収集(提出物・面接の流れ・よく出る質問・教育振興基本計画・実施要項)全部合わせて3〜5時間。近い土日の半日で片づきます
自己分析(机に向かってやる分)1日で十分。あとは日常の中で問い続けて、ひらめきを記録する
面接ノート(1テーマあたり)30分あれば、けっこう深まります
現状把握のための面接練習(質問と回答を考える時間+実践+フィードバック)合計2〜3時間

一度自己分析をすると、脳の網様体賦活系という部位が働いて、「私はどんな教員になりたいのか」の答えを無意識に探し続けてくれるようになります。だから経験を積んだときに「あ、そうか」とひらめく。これも、早く始めることの大きな利点です。ひととおりの自己分析は完璧でなくて、暫定のものでOKですよ。

元面接官の校長先生から見た「一緒に働きたい先生」

当スクールのリアルセミナーに、幼稚園・小学校・中学校で校長を歴任され、教員採用試験の面接官も複数回務められた先生をお招きしたことがあります。そのお話が「相手分析」を考えるうえでとても示唆的でしたので、ご本人が特定されない形で紹介させてください。まずおっしゃったのは、「感じのいい先生になってください。感じのいい人間になりなさい」。そのうえで、20年間言い続けてきたという7つを挙げられました。

  • ニコッと笑顔ですれ違う
  • 「ありがとう」が言える(「おはよう」「さようなら」も含めて)
  • うなずいて話を聞く
  • 丁寧な言葉で話す
  • さりげなくゴミを拾う(誰も通らない廊下でも、こそっと)
  • 困っている人を手助けできる
  • どんなときでもひたむきに頑張れる

そして、「笑顔の力のある先生になってほしい」。笑顔には人間を元気にする力、癒やしの力があって、しかもいくら使ってもなくならない——そうおっしゃっていました。これは面接テクニックの話ではなく、人の前に立ったときに相手の受け止め方が変わる、という話です。だからこそ、面接でも伝わるのだと思います。

この先生のお話を受けて、私からひとつだけ補足させてください。面接で「困ったときは校長先生に判断を仰ぎます」と答える方が、めっちゃ多いんです。でも面接官からすると「自分は校長だけど、そこで思い切り振られるのか」となってしまう。「自分はこうしたいと思うのですが、いかがでしょうか」——ご自身で判断したうえで確認する形にすると、安心して任せられるという印象になります。

2月から始めて二次に一発合格した人が、やっていた10のこと

同じセミナーには、二次試験に一発合格された先生にも登壇いただきました。その先生が当時の面接ノートを持ってきてくださったのですが、最初の面接練習をした日付が「2月下旬」だったんです。セミナー当日がちょうど2月下旬で、みんなで驚きました。その先生が2月からの4〜5か月でやっていたことは、10項目ありました。

やったこと具体的に関連記事
① 集団面接練習毎回面接ビデオを撮る。猫背だな、語尾を強く言う癖があるな、と見て初めて気づけるので、客観的に見て修正していった集団面接の対策
② 自己PRの作成ノートの1ページ目が自己PR。5月までに10回修正(月に2〜3回の見直し)。話す長さ・スピード・ジェスチャー・声のトーン・目線も記録自己PRの作り方
③ 求める教師像の把握受験する自治体の応募要項を見て、事前に頭に入れておく志望動機の作り方
④⑤ 教育時事・時事問題気になるものは必ず調べる。その問題の背景・データ・なぜそうなるのかという根拠まで持ったうえで、自分の考えを話せるようにする勉強法の記事
⑥ 小論文練習課題の要求に必ず答える文章にする。できるだけ簡潔に。過去のお題で書いて添削してもらう小論文の書き方
⑦ 集団討論の練習お題が出たら、討論に入る前に「2〜3回に分けて何を話すか」のシナリオを組み立ててから入る集団討論の過去問と対策
⑧ 場面指導・模擬授業一貫性のある指導。どういう狙いで、どんな力をつけたいのかを必ず明確にして子どもの前に立つ場面指導/模擬授業
⑨ 筆記試験対策一般教養・教職教養・教科専門を並行して学習筆記対策の年間計画
⑩ 環境を整える同じ志の人がいる環境に、自分から身を置く。「一人でできることは限られてくる」—

その先生は最後に、「教員になってからの自分をイメージできていたことが大きかった」とおっしゃっていました。教員になってやりたいことが溢れていて、とても楽しみだった、と。思っていなければ、実現はしない——思考が行動の質を変えるから、現実が変わっていく。そういうお話でした。

道しるべ|合格に近づいているかを測る3つの指標

対策を進めていくと、必ず「自分は今、合格に近づいているんだろうか」と不安になる瞬間が来ます。そのときの指標が3つあります。この3つが以前と比べてできるようになっていたら、対策の方向性としては間違っていません。

指標① 質問を聞いて、パッと自分なりの回答のポイントが浮かぶ

「あなたにとって理想の授業はどんな授業ですか」と聞かれて、パッと回答のキーワードが浮かびましたか。「えー、何だろう、分かる授業かな……でもそんなのでいいのかな」とあれこれ考えないと言えない場合は要注意です。

自分の頭でしっかり考えてきた人は、はっきりと自信を持って話せます。なぜなら、考える過程で「子どもたちが分かるって、何で測れるんだろう」「テストの点だったら、暗記しているだけかもしれない」「じゃあ本当の理解って何だ?」と、自分で自分にツッコミを入れてきたから。面接官のツッコミ質問は、以前に自分が自分へやってきたツッコミなんです。だからうろたえずに対応できます。

あわせて、「パッと浮かぶ質問は、自分の質問集の何割を占めているか」も指標にしてみてください。

指標② 話したとき、相手が「なるほど」「確かに」と納得する

私自身、大学生の頃に面接練習は2回程度しかしませんでした。その代わり、大学の講義で同級生と教育課題を話し合う場面、教育実習やアルバイトで子どもに指導する場面で、自分の考えを話したときの相手の反応を見ていました。納得してくれたとき、その言葉で行動が変わったとき、どの言葉が響いたのかを後から分析する——これを繰り返していたんですね。

面接練習でも同じです。面接官役の人がどんなときに大きくうなずいて、どんなときに「ん?」と考える反応をしたかをよく見てください。意外なところで引っかかっているときは、使っている言葉のニュアンスや前提知識にズレがあるサインです。

指標③ 話しているあなた自身が、楽しくなってきている

面接に合格する人の大きな共通点として、その人自身が話していて楽しそうというところが挙げられます。「面接官の求める正解を話せているだろうか」とドギマギしながら話しているときって、楽しくも何ともないですよね。一度不合格になると、「何か正解があって、それを話さなければいけなかったのでは」と間違った方向に進んで悪循環になる人が本当に多いんです。でも、まったく異なる回答をしている人が、それぞれ合格を勝ち取ってきてくれています。

個別指導をしていて「話すのが苦手」と言う方に、「思いっきり失敗してもいいので、いつも私に話してくださっているみたいに、本当に思っていることを話してもらえますか」と促すと、皆さんの言葉が突然輝き始めるんですね。ぜひ心のブレーキを外して、普段子どもたちに見せている魅力を、面接官にも肌で感じさせてあげてください。

この3つが満たされているのに不合格だったら

方向性としては間違っていません。他の受験者に勝るレベルまで達していなかった、というだけです。実績が足りないのか、実績の言語化が不十分なのか、本人が思っている以上に印象面で損をしているのか——課題は人それぞれですが、面接官が総合的に見ているのは、「自分の言葉で話している」「つい納得してしまう」「人間的な魅力をなぜか感じてしまう」——この3つだと私は考えています。

今年の質問を、来年の受験生のために残しませんか

面接で聞かれたことを書き出したら、その内容を受験報告フォームにも入れていただけると本当に助かります。当ブログの自治体別記事は、すべて受験者の皆さんの報告でできています。倍率や日程は公表資料で追えますが、「実際に面接で何を聞かれたか」は、受験した方からしか集まりません。

■ 受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK)

受験者の声

フォーム「情報提供のお願い」に寄せられた一言から、匿名で抜粋しています。

  • 「一通り目を通して、自分なりの回答を持つことができたおかげで、前回よりも自信を持って試験に臨むことができました」(長崎県・高校・2024年)
  • 「金井先生のおかげもあり、面接も無事終えることができ、合格することができました!本当に感謝しております!」(群馬県・小学校・2024年)

よくある質問

今は筆記の勉強で手一杯です。面接対策まで手が回りません。

筆記に支障を来さない範囲で大丈夫です。おすすめは、面接質問集をざっと外観して「これ、ピンとこないな」というものにチェックをつけておくこと。そうすると、大学の講義や研修で普段なら聞き流してしまう言葉にも「あ、それ面接質問にあったな」と反応できるようになります。机に向かっている時間以上に、それ以外の時間で差はついています。

面接練習は、何回くらいやればいいですか?

これはその人によって話せない理由が違うので、いちばん言い切るのが難しいところです。だからおすすめは、大学の先生でも友達でもいいので、できるだけ早く1回だけやってみること。「事前に考えていたことなら話せた」なら準備不足であって、話すのが苦手なわけではありません。「考えていたのに理解されていなかった」なら話し方の課題。「まったく話せなかった」なら慣れる練習の回数が要る。1回やるだけで、あなたの課題と見通しが決まります。

講師をやったほうが受かりやすいですか? それとも、しないほうが期待値が上がらなくて有利ですか?

そのご質問こそ、他責思考が出てしまっているサインかもしれません。今の自分を高めることが前提にないまま、講師になるかならないかだけで受かりやすさを測ろうとしている状態だからです。「現場経験を積みたいから講師をする」でもいいし、「今の職場で責任を果たしたいから、そこで教員として任せてもらえるだけの人間性とスキルを高める」でもいい。自分が大事にしていることを基準に選べば、面接で何を問われても自分の思っていることを言えます。

もう5月です。出願も済んでしまいました。今からでは遅いですか?

「長期でやったほうがいい」のは本当ですが、直前期にガッと集中してやり込んで合格を勝ち取る方も、実際にいらっしゃいます。人によって課題の量も、集中したときの努力値も違うからです。ただ、これまで直前だけ頑張って結果が出なかった方は、今回を最後の短距離走にせず、今年の試験の後からそのまま長期戦に切り替えることをおすすめします。上のロードマップの「9〜12月」の行から始めてください。

7つの柱、正直めんどくさいなと思ってしまいました……。

その気持ち、すごく分かります。でも正直に言うと、めんどくさいことをずっと避けてきたから、結果が出ていないということはあります。逆に、不合格が続いていた方が合格に切り替わるのは、この「めんどくさいこと」をやりきったときなんですね。全部を完璧にやる必要はありません。自分の課題がどこにあるかを見極めて、そこからで大丈夫です。

まとめ|課題が分かれば、やるべきことが見えてくる

面接対策ロードマップ・要点まとめ
  • 面接で見られているのは教育的情熱・専門性・人間性の3つ。質問はすべてここにつながっています
  • 始めるのは筆記に支障を来さない程度に、できる限り早く。理由は「実績を逆算して作れる」「ペース配分の見通しが立つ」の2つ
  • 一次の合否が出てからでは、志願書という一枚目のカードをもう切ってしまっている
  • 柱は7つ——自己分析/相手分析/マインド/戦略的な志願書/面接ノート/話し方/経験を積む。話す練習だけでは合格しません
  • 本質はマインドと論理的思考。ここが整っている人は、他がぐんと伸びるのが早いです
  • 合格に近づいているかの指標は「パッと浮かぶ」「相手が納得する」「自分が楽しい」の3つ
  • 年数を重ねるほど期待値は上がります。腰を据えて動けるのは年内です

今日お話しした7つのうち、あなたの課題はどこにありましたか。課題が明確に分かれば、何をやるべきかが見えてきます。私自身も、この7つすべてが完璧で誰よりも優れているなんて思っていません。誰かと比べて「自分は劣っている」と考えるより、自分がありたい教員像、自分の子どもたちや教育に対する情熱に集中して、ご自身の成長に楽しみを見出しながらやっていただきたいなと思っています。応援しています!

あわせて読みたい・見たい

\登録無料/ ロードマップを、あなた専用の計画に

この記事のような実際の受験者情報をもとにした教採対策を、メルマガ&LINEでさらに詳しくお届けしています! いま登録すると、メルマガ・セミナー・過去問を含む豪華11大特典をプレゼント中です。

  • 【多数の合格者が愛読】教採メルマガ
  • 一発合格を勝ち取る極意セミナー
  • 【6ヶ月で合格する】ロードマップセミナー ←この記事の対策に◎
  • 【厳選】面接質問TOP50
  • 【早期登録者限定】シークレット特典
  • あなたに必要な対策診断 ←この記事の対策に◎
  • 教採に受かる人の15の習慣
  • 【無料版】教員採用試験必勝ノート ←この記事の対策に◎
  • 【全国版】集団討論過去問
  • 【全国版】小論文テーマ集
  • 【全国版】場面指導テーマ集

「メルマガ登録」&「LINE友だち追加」ですぐに受け取れます

YouTubeでも教採対策を発信しています! ■金井志津乃のYouTubeチャンネル

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次