こんにちは、金井志津乃です!

面接の準備はしているんですけど、当日「用意していないこと」が起きたらどうしようと思うと怖くて…。首をかしげられたり、答えを持っていない質問が来たり、いきなり「実演してください」と言われたり。

その不安、すごくよく分かります。でも安心してください。想定外は「起きるもの」です。そして、起きたときの動き方はあらかじめ決めておけます。今日は、実際に起きている想定外を受験者の報告から見たうえで、場面ごとの対応をお伝えしますね。
この記事で扱うのは、教員採用試験の面接で起きる4つの想定外です。①面接官に首をかしげられた、②答えを用意していない突っ込み質問が来た、③当日いきなり形式や条件が変わった、④「最後に何か一言」と振られた。どれも「準備していなかったから終わり」ではありません。準備の中身を少し変えておくだけで、その場で立て直せるようになります。
この記事の根拠
- 実際に受験された方から届いた報告(実録データベース)を横断して集めた、「実際にあった想定外」14件
- 首かしげ・納得感・当日あるある・最後の一言・深く頷かせる言葉をテーマにしたYouTube5本の内容を記事化
- 執筆・監修:金井志津乃(教員採用試験対策スクール「教員の学校」代表)
- 面接官の反応が気になって、話している途中で内容を変えてしまう
- 用意していない質問が来ると、頭が真っ白になる
- 「この自治体はこの形式」と思って準備したものが、当日変わっていたら怖い
- 「最後に何か言いたいことはありますか」で、毎回「特にありません」と言ってしまう
ひとつでも当てはまる方は、ぜひ最後までご覧ください。まずは、当日の「想定外あるある」を3つに絞ってお話ししたこちらの動画からどうぞ。
この記事の立ち位置|「面接官の反応をどう読むか」ではなく「こちらがどう動くか」
このブログには、面接官の反応をテーマにした記事がもう1本あります。合格サイン・不合格サインの記事です。ただ、あちらとこの記事は役割がはっきり違います。混ざると混乱しやすいところなので、最初に整理させてください。
| 記事 | 扱っていること |
|---|---|
| 面接官の合格サイン・不合格サイン | 面接官の反応の読み方。首をかしげられた・深掘りが来なかった・手応えがボロボロだった——それが合否とどうつながるのか(結論は「つながりません」)。面接が終わったあとに読む記事です |
| この記事 | その場でのこちらの対応。首をかしげられた瞬間に何を言うか、答えを持っていない質問にどう向き合うか、当日形式が変わったらどうするか。面接の前に読んでおく記事です |
つまり、合格サイン記事は「読み方」、この記事は「動き方」。終わったあとの解釈をいくら磨いても本番は変わらないので、まずはこちらから読んでいただくのがおすすめです。
実際にあった「想定外」14件|受験者の報告から
まず、本当に起きていることを見ていただきます。このブログには、受験された方から「実際に聞かれた質問」と「当日の様子」の報告が届いています。そこから、想定外にあたるものを自治体・校種をまたいで抜き出しました。
| 自治体・校種 | 実施年 | 何が起きたか |
|---|---|---|
| 大分県・中学校 | 2023年 | 一度に3つの質問をまとめてされてパニックになり、2つ目を答えそびれた。「もう一度おうかがいしてもよろしいですか」と聞き返せばよかった、との振り返り |
| 埼玉県・小学校 | 2024年 | 場面指導でぱっと思いつかず答えられずにいたら、面接官のほうから「学級通信に載せる」「児童会での挨拶運動」と例を挙げてくれた |
| 茨城県・小学校 | 2023年 | 場面指導の実演中、1分経過した時点で児童役の面接官から質問が入る形式。しかも、その質問に「どうしてそのように思うのか」と聞き返してはいけないという指示つき |
| 茨城県・小学校 | 2023年 | 同じ形式で、まとめを話す前に時間切れ。面接官も「このやり方は初めて」だったようで「ちょっと難しかったかもしれないね」と声をかけられた |
| 大分県・小中連携 | 2023年 | 模擬授業。事前案内では黒板(白・赤・黄のチョーク)だったが、当日ホワイトボードに変更 |
| 愛知県・養護教諭 | 2024年 | 個人面接が2回あり、1回目は時間切れで3人目の面接官の質問まで進まなかった |
| 大阪府・中学校 | 2026年 | 提出した書類・志望動機・自己アピールが一切聞かれなかった。準備の中心だった部分がまるごと出番なし |
| 兵庫県・養護教諭 | 2026年 | 模擬保健指導で「面接官は児童役」と説明されたのに、実際には反応を返してもらえない設定だった |
| 京都府・養護教諭 | 2024年 | ロールプレイで「AEDを持ってきてください」と頼むと、「どこにありますか」と聞き返される設定になっていた |
| 長野県・小学校 | 2023年 | 回答に対して「そんな授業ばかりしていたら時間が足りなくなるし、教材研究も大変だと思いますが、やりきれますか」と、反論を重ねる形の追質問 |
| 山梨県・高等学校 | 2023年 | 模擬授業の生徒役は他の受験者で、その受け答えも評価対象。構想用紙どおりに行うよう指示され、内容の変更は禁止 |
| 茨城県・高等学校 | 2023年 | 面接官はうなずきや笑顔もあったが、自信なさそうに話した場面では表情が曇ったように感じた |
| 北海道・養護教諭 | 2024年 | 自分は2日とも穏やかな面接官だったが、友人は圧迫だったと聞いた。同じ自治体でも、面接官によって内容も雰囲気も違った |
| 北九州市・小学校 | 2023年 | 模擬授業も討論も面接も圧迫は一切なし。冒頭に「リラックスして落ち着いて話してください」の声かけがあり、うなずきや相槌が多かった |
並べてみると、想定外は大きく3種類に分けられます。
- 形式が違った(黒板がホワイトボードに/実演中に質問が入る/生徒役が他の受験者/反応を返してもらえない)
- 質問が違った(準備した書類の話が出ない/3つまとめて聞かれる/反論を重ねられる)
- 面接官が違った(同じ自治体でも穏やか/圧迫、うなずく/表情が曇る)
ここでいちばんお伝えしたいのは、これらは全部「自分だけに起きたこと」ではないということです。同じ会場にいた他の受験者にも、同じ想定外が起きています。
だからこそ、ピンチはチャンスなんですね。「えっ、そんなの準備してなかったよ」と他の受験者がなっているところで、あなたが落ち着いて対応できたら、面接官はどう思うでしょうか。「お、この人やるな」と思うわけです。想定外は減点の場ではなく、差がつく場だと考えてください。
想定外①|面接官に首をかしげられたとき
話している途中で、面接官が「ん?」という顔で首をかしげる。これ、けっこうあります。私自身、教員採用試験でも、高校の推薦入試の面接でも、首をかしげられました。結果はというと、どちらも合格です。
ですので、まず「首をかしげられた=不合格決定」ではありません。ここは安心してください。そのうえで、首をかしげられてはいけないと考えるのではなく、面接官が首をかしげる背景を理解して、ベストな対処をする——この順番で考えていきましょう。
面接官が首をかしげる背景は2つだけ
| 背景 | 面接官の頭の中 |
|---|---|
| ① 質問の意図とズレた答えが返ってきた | 「ん? それってちょっとズレてるのかな?」——自分がした質問の意図を、正確に汲み取ってもらえていないのでは、と感じている |
| ② 話した内容が分かりにくい | 「ん? ちょっと分かりにくいぞ」——言っている内容そのものが理解しづらいと感じている |
大事なのは、どちらの背景であっても、面接官は「納得したい」と思っているということです。分かりたいと思っている。首をかしげるというのは、「納得できるように分かりやすく話してほしいな」ということの裏返しなんですね。敵意ではありません。
やってはいけないのは「別のことを付け足す」
首をかしげられた瞬間にいちばんやりがちなのが、「今話していることが違うんだ」と思って、別のことをどんどん付け加えていくことです。これをやると、こうなります。
- 論理が破綻する
- そもそも最初に言ったことが伝わっていないのに、さらに情報が乗って「よく分からん」になる
- 自信をなくして、自分が思ってもいないことを言い始め、軸がブレブレになる
最初に「分かりにくい」と思われたことに納得してもらえないまま話を進めるので、印象がむしろ悪くなってしまいます。
ベストな対処は2ステップ
ステップ1|まず、今話している内容を分かりやすく言い直す。付け足すのではなく、同じことを分かりやすくするのがポイントです。
私が高校の推薦入試で首をかしげられたときの実例でお見せしますね。質問は「競争することと助け合うことは両立できると思いますか」でした。私はこう答えたんです。
【首をかしげられた回答】
「はい、できると思います。競争することは助け合うことだと思うからです」
理由をすっ飛ばして、バシッと言い終えてしまったんですね。面接官は「ん?」となりました。そこで、内容を変えずに、間を埋めて言い直しました。
【言い直した回答】
「はい、できると思います。競い合うことは助け合うことだと考えるからです。お互いに競い合うということは、お互い自身の能力を高め合うことにつながります。お互いの能力を高め合うということは、それぞれが目標実現により近づいていけるということにつながりますので、競い合うということは、つまり助け合うということにもつながるのではないかと私自身は考えています」
すると面接官は「なるほど、この人は競い合うことと助け合うことを、そういうふうに捉えているんだな」と納得してくれます。面接の中で「ん?」→「あー」に変わることは、けっこうあります。
ステップ2|言い直しても「ん?」のままなら、深追いせずに自信を持って終える。ここが2つ目のポイントです。
分かりやすく簡潔に説明した。それでも面接官の表情が変わらない。そういうときは、そこで一旦終わります。泥沼に入ってはいけません。質問の意図に合っていない場合、自分の主張を深追いしても「いや、ちょっと待ってくれ、そういうことじゃないんだ」となるだけで、話が長くなると面接官も「早く終わってほしいな」と思ってしまいます。
あなたが話し終えると、面接官は別の言葉・別の角度で、さっき聞きたかったことをもう一度聞いてくれることがあります。そこで「あ、なるほど、さっきの質問はそういう意図だったのか」と分かったら——
「はい、失礼いたしました。○○ということでしたら——」
と、そのままつなげていけば大丈夫です。1回ぐらいのズレは誰にでもあります。落ち着いて、面接官の聞きたい意図に合った回答をし直せばいいだけです。
心構え|「ノーミス思考」を捨てる

頭では分かるんですが、本番でそんなに冷静でいられる自信がなくて…。

そこで効くのが、ノーミス思考を捨てるという心構えです。多くの方が「間違えたことを言ってはいけない」「答えられないことがあってはいけない」と思って面接に臨みます。私もそういうところが強かったので、気持ちはよく分かります。
でも、ノーミス思考のまま行くと、首をかしげられた瞬間に極度に萎縮してしまいます。そして自信がなくなって、思ってもいないことを付け加えていって、軸がブレる。いちばん避けたい流れですよね。
面接官の側からすれば、「あ、この人は質問の意図を汲み取ってくれていないな」ということが1回あったとしても、別の言い方をしてちゃんとした答えが返ってくれば、「よかったよかった。こっちも質問の仕方があまり良くなかったな」と思うものです。むしろ、そう思ってくれます。
面接質問のたった一問がうまくいかなかったからといって、おしまい・台無し・ゼロ、ということは全くありません。
面接の評価や印象は、その他の質問とトータルで決まります。トータルの印象が良いのであれば、動じることなく最後までやりきってきてください。そのために必要なのが、「少しぐらいミスしても挽回できる、挽回すればいい」という心構えです。
ちなみに、言い直すときの「間の埋め方」や、伝わる話し方そのものについては、話し方の記事で詳しく扱っています。あわせてどうぞ。
想定外②|突っ込み質問に「正解」が浮かばないとき
2つ目の想定外は、突っ込み質問(追質問)で、答えを用意していない場面です。先ほどの表にもありました。長野県の「そんな授業ばかりしていたら時間が足りなくなると思いますが、やりきれますか」のような、回答に反論を重ねてくるタイプですね。
こういうとき、私たちはつい「正解は何だろう」「模範回答は何だろう」と探してしまいます。でも、ここに落とし穴があります。
模範回答を探すと、萎縮します
面接という一瞬の中で「正解」を探し当てるのは、まず難しい。そして正解はひとつではありません。正解がひとつではない質問に対して模範回答を探しにいくと、私たちは萎縮するんですね。
そこで目指すものを変えます。正解ではなく、「納得感」を与えることを目指す。面接官に模範回答を返すよりも、納得感を与えるような話をしてあげるほうが、「この人を採用したいな」と感じてもらいやすいんです。
「納得感を与える回答」とは、具体的にどういうことか
例で見てみましょう。「読書嫌いな子が多いですが、担任としてどうしますか」と聞かれて、「はい、学級文庫を作りたいと思います」と答えたとします。すると、こう突っ込まれました。
面接官「では、もしその学級文庫をペラペラ見て終わってしまっている子がいた場合には、どのように指導しますか?」
ここで「正解は何だろう」と固まってしまう方が多いところです。納得感を与える回答は、たとえばこうなります。
「はい。ただペラペラめくっているだけで読んでいないように見えても、まずは読書嫌いというところから、本に親しむということが大切だと私は考えております。ですので、最初からその子に対して高いハードルを設けて『しっかり読むんだよ』と指導するのではなく、『そういう本に興味があるんだね』『この本のどういうところが面白かったか、また先生に教えてね』というふうに、その子がその本に興味を持ったことを肯定して、また本を読んで先生に教えたいと思えるような声かけをしていきたいと思います」
特別なことは言っていません。自分が素で考えていることを、率直に答えているだけです。でも、これが納得感なんですね。
面接官が突っ込み質問で見ているもの
では、面接官は突っ込み質問で何を見ているのか。「この人は正解を言える人かな」「模範回答を持ってくる人かな」は、全く見ていません。見ているのはここです。
- この人は、このテーマについて常日頃から自分で考えているのかな
- 教育について深く考えているのかな
- ——つまり、教員として主体的に学び続ける姿勢があるのかな
私たちも、目的意識を持っているものや「こうありたいな」と思っているものについては、どうすればそうなるかを主体的に考えて、調べたり試したりしますよね。そうやって考えているからこそ「こういうことを大事にして子どもに向き合いたいな」という自分のスタンスが持てる。面接官は、その主体性が見えるかどうかを見ています。
だから、普段から考えていることがあるのなら、萎縮せずに、理由をつけて、分かりやすく提示する。それだけで「なるほど、この人はそういう考えで子どもたちに向き合っているんだな」と、あなたのそのままの魅力が伝わります。
順番は「結論 → 理由 → 具体例」
納得感を作る話の順番は決まっています。結論、理由です。なぜかというと、面接官は理由を聞いて納得するから。
| 順番 | 面接官の頭の中 |
|---|---|
| ① 結論 | 「なるほど、この人はそう考えるのか」 |
| ② 理由 | 「そういう理由でそう思っているんですね、分かりました」← ここで納得が生まれる |
| ③ 具体例 | 「では具体的にはどうしますか?」← 納得したうえで、初めて聞きたくなる |
逆に、納得できていないうちに具体例を話されると、面接官は「いや、ちょっと待って。その取り組みをするって言っているけれど、そもそもなぜその結論になるんですか」と思ってしまいます。ここを聞きたい面接官、けっこう多いんですね。
ちなみに③の具体例は、面接官の追加質問を待ってもいいと思っています。結論と理由でいったん区切る。そのほうが会話になりますし、短く濃く話せます。
納得感を出せるようにするための準備は2つ
準備1|面接ノートを作る。「またノートの話か」と思われるかもしれませんが(笑)、これが本丸です。納得感の正体は理由ですから、その理由を自分の中で創造的かつ論理的に持っておく必要があります。それをやる場所が面接ノートです。
ノートで深めるときは、自分の中だけで考えるのではなく、外から学ぶことも混ぜてください。「これについての理解が自分には浅いな」と思ったら本屋さんに行って本を読む、セミナーに参加する、いろいろな先生の意見を聞く。そうやって深めたものが、そのまま理由の厚みになります。
■ 教採の面接ノートの作り方|図式化×8つの視点で深掘り質問に強くなる
準備2|誰かと教育について話す(集団討論する)。これは意外と見落とされがちですが、想定外対策としてはとても効きます。集団討論が試験にある方はそのまま対策になりますし、無い方も、先生・保護者・子どもたち・友達、誰でもいいので、教育のテーマについて話し合う場を取ってみてください。
なぜ効くのか。自分が話した言葉への「相手の反応」を見られるからです。
- 「あれ、私が伝えたいことをうまく汲み取ってもらえていないな」が分かる
- 「こういうバックグラウンドを持つ人は、この言葉をこう捉えるのか」が分かる
- 「この言葉はどうやら誤解を生みやすいらしい」と分かれば、別の言葉を選べる
自分ひとりで調べたり考えたりしているだけでは気づけない学びが、誰かと話すと起こります。そして何より、「深めたことが、ちゃんと伝わるのか」を試せる。想定外の場面で言い直しができる人は、この「試した経験」を持っている人です。
想定外③|当日、形式や条件が変わったとき
3つ目は、当日そのものの想定外です。動画では3つに絞ってお話ししました。実際の受験者報告と並べてご覧ください。
あるある①|「1分間で自己PRしてください」と突然言われる
「この自治体の個人面接で自己PRを求められることはない」と思っていても、突然「では、1分間で自己PRしてください」という無茶ぶりが来ることがあります。これは実際に、私自身にありました。
複数の自治体を受験していて、その自治体では「面接で1分間自己PRはない」と言われていたんです。ところが面接が始まって一番最初に「では、1分間で自己PRしてください」。「えっ」と思いました。
でも、他の自治体用に提出する1分間自己PRを考えてあったんですね。だから「ラッキー」と思いながら、「はい、私の長所は3つあります。○○力、○○力、○○力です」と、その場で答えられました。その様子を見て面接官も「うーん」と頷いていて、内心「よっしゃ!」と思ったのを覚えています。
ですので、自己PRを求められないと思っている自治体でも、考えておいて損はありません。理由は、当日役に立つからだけではないんです。
自己PRを考えることの副産物
- 自分のアピールポイントを炙り出す過程で、これまでやってきたことを棚卸しできる。「そういえばこういう経験があったな」を引き出しとしてパッと出せる状態になる
- 自己PRは、自分の長所を言うだけのものではなく、目指す教育像・教員像や、自治体が求める教員像とマッチさせて作るもの。その過程でビジョンが明確になり、自分の軸ができる
- 志望動機を作るときにも、そのまま効いてくる
逆のパターンもあります。先ほどの表にあった大阪府・中学校の報告では、提出した書類・志望動機・自己アピールが一切聞かれなかったそうです。準備の中心だった部分が、まるごと出番なし。これも立派な想定外ですよね。
つまり、「聞かれるはず」も「聞かれないはず」も、両方あてになりません。だからこそ、質問ごとの回答を用意するのではなく、自分の中に材料をそろえておく作り方が強いんです。
あるある②|自分の専門とは違う質問が来る
2つ目は、専門外の質問です。たとえば、部活動があまり関わってこない校種・職種であっても、「部活動についてあなたはどう思いますか」という質問がポーンと飛んでくることがあります。普段から考えていないと、なかなか答えられません。
なぜ専門外のことを聞くのか。教育的な課題や今話題になっているテーマにアンテナを高く張っていて、しかもそれについて自分なりの考え・スタンスを持っているか——ここからも教育に対する主体性が見えるからです。
「自分の校種と関係のないテーマだったら、スタンスも何も…」と思われるかもしれません。でも、自分の立場ならではの角度は必ずあります。たとえば養護教諭や栄養教諭の方で「部活動とは縁がなさそう」と思ったとしても、部活動を担当する担任の先生とどう関わっていくのかという視点で考えられますよね。
そうやって自分なりの角度で考えておくと、面接官には「この人はこれについて、そんなふうに自分ごと化して考えていたんだな」と見えてきます。一見関係なさそうな教育課題でも、「自分の立場から言えることは何かな」「何かお役に立てることはあるかな」と考えてみてください。
あるある③|アドリブ実演を突然求められる
3つ目がアドリブ実演です。「こういう生徒がいます、どうしますか」に対して「こういう形で対応しようと思います」と説明する形式だと思っていたのに、「では、目の前に生徒がいると思って実演してください」と言われる。過去問で見たことがなくても、突然あります。
「今そのような生徒が目の前にいると思って実演してみてください」「今目の前に保護者がいると思って、ちょっと実演してみてください」。私の受講生の中にも、模擬授業でこれまで面接官が生徒役として発言することはなかったのに、その年は突然、面接官が生徒役になって質問してきたという方がいました。
受験者の報告にも、まさにこの形が並んでいます。
- 茨城県・小学校:場面指導の実演中、1分経過した時点で児童役の面接官から質問が入る形式(「どうしてそう思うのか」と聞き返すのは禁止)
- 京都府・養護教諭:「AEDを持ってきてください」と頼むと「どこにありますか」と聞き返される設定
- 兵庫県・養護教諭:「面接官は児童役」と説明されたのに、反応を返してもらえない設定
では、どう準備するか。答えはひとつです。面接回答や模擬授業を考えるときに、子どもや保護者の反応を「リアルに」想像しておくこと。
| やること | 中身 |
|---|---|
| 反応をリアルに考える | 子どもならどんな反応があるか、保護者ならどんな反応があるか。そして自分ならどんな言葉で返すか。具体的なやりとりの形まで考える |
| そこから検証する | 「こんなやりとりだと生徒は納得しないな」「こういう言葉を選ぶと保護者はこうなっちゃうな」と、リアルに考えたからこそ分かることを拾う |
| 要素として抽出する | リアルに考えたやりとりから、面接で話す要素を取り出す。この順番で作る |
面接の回答を抽象論だけで作ってしまうと、「実演してください」はもちろん、「具体的にはどのような言葉をかけますか」と聞かれただけでも、「うーん」となって分からなくなってしまいます。逆に、リアルにイメージしたことがある・実際に対応したことがある事例なら、ある程度対応できます。
模擬授業の指導で私がいちばん口をすっぱくして言っているのも、ここです。「子どもたちから、リアルにどんな返答が返ってきそうですか」。リアルな返答を踏まえて次の動きを考える、リアルな返答を考えたときに「こういう答えが出るなら、発問の仕方はこっちのほうがいいかな」と変更する。思考している段階で、どれだけ子どもの反応をリアルに想像できるかが、そのまま当日の対応力になります。
形式が変わったときは、変わった事実だけを受け取る
報告の中には、黒板だと案内されていたのに当日ホワイトボードに変更(大分県・小中連携)、時間切れで最後まで進まなかった(愛知県・養護教諭/茨城県・小学校)、生徒役が他の受験者で、その受け答えも評価対象(山梨県・高等学校)といったものもありました。
こういうときに大事なのは、「変わった」という事実だけを受け取って、意味づけをしないことです。茨城県の報告では、時間切れになった受験者に面接官のほうから「このやり方は初めてで、ちょっと難しかったかもしれないね」と声がかかっています。運営側も手探りのことがあるんですね。
時間切れも、条件変更も、その場にいる全員に等しく起きています。動揺せずに粛々と続けられた人は、そこで差をつけられます。
想定外④|「最後に何か一言ありますか」と振られたとき
「最後に何か言いたいことはありますか」「何か言い残したことはありますか」。聞かない自治体もありますが、聞かれることは少なくありません。実録の中でも、北海道・北九州市・熊本県などの報告に登場しています。
ここでアドリブ的に聞かれて答えられないと、一番最後の印象が良くありません。最初と最後は相手にとって印象に残りやすいことが科学的にも分かっています。終わり良ければすべて良し。ここをバシッと決めましょう。
面接官の意図は「等しくアピールの場を設けること」
面接は短いところで10分、長いところで30分ほど(受験者の報告では40分という自治体もあります)。長いと言っても30分です。その中で受験者の魅力が全部出せるかというと、出せません。
面接官は面接カードや志願書を見て質問しますが、その切り口が、あなたが伝えたかったアピールポイントとは違うところだった、ということもあります。そうすると受験者にとっては不都合ですよね。だから面接官は、最後にこう聞くことで全員に等しくアピールの場を設けているとも考えられます。
この意図を受けて、面接の中で出し切れなかったところを出す。これが基本方針です。
回答例3パターン
動画で実演した3つを、そのまま載せます。きれいな言葉で作り込んでいないのがポイントです。
① 学校現場での経験がない方(新卒・民間からの社会人)
「4月から即戦力となれるように、ボランティアに様々参加し、書籍で学級経営や授業について学んできました。今後も先生方から教えていただくという謙虚な姿勢を忘れずに、学校現場でも成長し続ける教員として頑張ってまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします」
② 講師をされている方
「はい。これまでの講師としての経験で、自分自身の教員としての力を高めることを常に考え、学級経営についてのセミナーに参加したり、書籍で授業や学級経営について学び、実際の目の前の子どもたちに実践してきました。その中で、子どもたちの反応がどんどん良くなっていくことに喜びを感じ、今後もこういった学び続ける姿勢を大事に、学校現場で努めてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします」
③ 縁もゆかりもない自治体を受験する方
「本県は慣れない土地ではありますが、採用していただいた場合には本県に骨を埋める覚悟で、本県の教育活動に邁進できることに誇りを感じて頑張ってまいりたいと思っております。そのために、年内に本県の名所を訪れてみようかなというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします」
読み返してみると、めちゃめちゃきれいな言葉ではないと思いませんか。アドリブ感もあります。でも、それでいいんです。その場で詰まってしまっても、言葉が少しおかしくなっても、自分の思いややってきたことが面接官にスッと入っていけばいい。面接官との会話ですから、肩の力を抜いてお話しください。
作るときのポイントは2つ
| ポイント | やること |
|---|---|
| ① 話す内容の選び方 | 面接の中で出し切れなかったアピールポイントを選ぶ。そのためには事前に「絶対にアピールしたいこと」をピックアップしておく。たとえば教員として頑張ってきたことを話す機会がなかったなら、「今までこういうことをやってきました。今後もこんなふうに頑張りたいと思います」という内容を選ぶ |
| ② 思いを明確にする | 教育に対する思い、子どもたちに対する思い、そのために頑張りたいという気持ちで締める。思いの乗った言葉はオーラをまといやすく、面接官にあなたの魅力が伝わりやすい。「最後の雰囲気、良かったよね」になる |
きれいに終わろうとするよりも、「この思いだけは会場に置いていきたい」というものを先に洗い出しておく。そこが決まっていれば、その場でどんな振られ方をしても言葉は出てきます。
おまけ|面接官が「深く頷く言葉」はどこから生まれるのか
ここまで「想定外への対応」を見てきました。最後に、その対応をプラスに転じる話をさせてください。面接官が深く頷くような言葉は、どうやって生まれるのか、という話です。
同じことを言っていても、反応は変わります
「人権教育について、あなたは子どもたちにどのようなことを伝えたいですか」という質問があったとします。
| 回答 | 面接官の反応 |
|---|---|
| 「はい、命の大切さを伝えたいです」 | 一般論として言われている言葉。どういうことか、まだ目に浮かばない |
| 「はい、みんなそれぞれに存在しているだけで価値があるということを伝えたいです」 | 深く頷く。この人なりの「命の大切さ」が何なのかが、目に浮かんで分かる |
言っている内容自体は、同じことかもしれません。でも、その人自身から生み出されている言葉なのか、どこかに書かれてあるような言葉なのか——これだけで面接官の反応は全然違います。仮に抽象的な言葉でも、「その人はそう考えているんだな」と分かる言葉なら、心にスッと届くんですね。
私自身、以前に人事採用に関わっていた方と面接練習をしたときのことです。「体罰についてあなたはどう思いますか」と聞かれ、「体罰は、いかなる状況にあったとしても絶対にやってはいけないことだと考えています」と答えました。すると「なぜそのように考えるんですか」と返ってきたので、こう答えたんです。
「はい。体罰をすることによって、子どもたちに、何か問題があったときに暴力でそれを解決することが正しいのだということを教えることになると考えるからです」
そのとき、面接官は深く頷いていました。理由を聞かれたときは、あなたなりの言葉が出やすい質問なんですね。
自分の言葉をストックする2つの方法
方法1|刺さった言葉をメモしておく(引用する)。本を読んだり人の話を聞いたりする中で「あ、これは刺さったな」「すべてを言い得ている言葉だな」というものに出会うことがあります。私もよくメモしています。
ゼロからすべてを生み出そうとしなくていいんです。言葉の力が強い人の言葉を借りてくる。そのときに、「自分が同じことを言うとしたら、こういうことだよな」と自分なりに少し形を変えて使うのがコツです。
方法2|好感触だった言葉を覚えておく。子ども・保護者・同僚・友達と話している中で、相手が「あー」となった瞬間ってありますよね。納得してくれた、その言葉で相手が変わった、反応がパッと変わった。その瞬間を、絶対に忘れないでください。
相手が実際に好感触の反応を示したということは、その言葉が力を持っていることの裏づけです。私も、好反応のあった言葉は自分の中に留めるようにしていました。そうすると「これを聞かれたときはこの言葉だな」「自分なりの言葉で言うとこういうことだな」が出てくるようになります。
学校で働いていると、何年か経ってから子どもたちに「先生、あのときこう言ってくれましたよね。あの言葉がずっと刺さっていました」と言ってもらえることがあります。本人は覚えていなかったりするのですが(笑)、第三者の反応として好感触を得ていた言葉は、書き留めて面接にも活かしてください。
「名言」は毎回いりません
ひとつ大事な補足です。15分から30分の面接の中で、どの質問でも名言みたいなことを言う必要はありません。それはそれで、聞いている側も疲れてしまいます。
でも「ここ」というところでポンと出てくると、面接官は「あー」となります。そういう言葉が出やすい質問は、だいたい決まっています。
- 「なぜそのように考えますか」——理由は、あなたがどう考えているかをさらに深く問われている場所。だからこそ、あなたなりの言葉が出やすい
- 「子どもたちに何を一番伝えたいですか」——「理解させたい」ではなく「伝えたい」。メッセージ性が強い質問なので、自分の言葉が生まれやすい
- 「最後に何か言いたいことはありますか」——まさに、この記事の想定外④です
この要所要所であなたなりのカラーがスッと出ると、好印象につながります。ここでも、模範解答を答えないといけない・正解を答えないといけない、と考える必要はありません。普段から自分が大切にしていること——その軸を明確に持ったうえで、借りてきた言葉や好感触だった言葉を添えていく。それだけです。
想定外に強くなる準備リスト
ここまでの内容を、準備としてやることだけに絞ってまとめます。
| 想定外 | 準備しておくこと | 本番での動き |
|---|---|---|
| 首をかしげられた | 抽象的な言葉には「他の言葉で言うと何か」をセットで持っておく。結論→理由の順で話す癖をつける | 付け足さない。同じ内容を分かりやすく言い直す。それでも伝わらなければ深追いせず、自信を持って終える |
| 突っ込み質問で答えが浮かばない | 面接ノートでテーマを深める。誰かと話して「伝わるか」を試す | 正解を探さない。自分が素で考えていることを、理由をつけて率直に話す |
| 質問をまとめて振られた | —— | 「もう一度おうかがいしてもよろしいですか」と聞き返す。答えそびれるより、確認するほうがいい |
| 自己PRを突然求められた | 求められない自治体でも1分間自己PRを作っておく(棚卸し・軸づくりの効果もある) | 用意したものを、その場の言葉で話す |
| 専門外の質問が来た | 話題の教育課題に、自分の立場ならではの角度でスタンスを持っておく | 「自分の立場から言えること」を軸に答える |
| アドリブ実演を求められた | 面接回答・模擬授業を作る段階で、子どもや保護者のリアルな反応と自分の返しまで具体的に考えておく | 考えてあったやりとりを、そのまま実演に載せる |
| 形式・条件が当日変わった | 「聞かれるはず」「聞かれないはず」を前提にしない作り方をする | 変わった事実だけを受け取り、意味づけをしない。全員に等しく起きている |
| 「最後に何か一言」 | 面接で絶対にアピールしたいことと会場に置いていきたい思いを洗い出しておく | 出し切れなかったアピールポイントを選び、思いで締める |
ノートを作るテーマや、自分に投げる質問のストックが足りないという方は、メルマガ登録特典の【厳選】面接質問TOP50を素材に使ってみてください。想定外の多くは「考えたことがなかったテーマ」から生まれるので、テーマの数を増やしておくこと自体が対策になります(記事末尾のバナーから無料で受け取れます)。
それでも動揺してしまったときは
ここまで対応を書いてきましたが、本番で動揺しないのが正解、ではありません。動揺することもあります。首をかしげられて頭が真っ白になることも、答えそびれることもあります。
そのときに知っておいてほしいのは、面接官の反応と合否は、思っているよりずっとズレるということです。面接官は雰囲気ではなく「評価の観点」のシートで採点していますし、数字で見ても、二次に進めば「約2人に1人」以上が合格する自治体が多数あります。この話は合格サイン記事に詳しくまとめました。
- ■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由(面接官の反応の読み方)
- ■ 教採の結果待ちの過ごし方(終わったあとの過ごし方)
- ■ 教採の面接ノートの作り方(想定外に効く土台づくり)
- ■ 教採面接の話し方(言い直し・伝わる話し方)
また、受験する自治体の面接がどんな進み方をするのかは、実際に受けた方の報告がいちばん参考になります。自治体別の実録はこちらから。
■ 東京都の個人面接|過去問200問と対策 / ■ 教員採用試験 集団討論の過去問210問|全国の実録テーマ集
まとめ|想定外は「起きる」。だから、動き方を決めておく
- 首をかしげられても不合格決定ではありません。私自身、教採でも高校の推薦入試でも首をかしげられて、どちらも合格しています
- 首をかしげる背景は「意図とズレた」か「分かりにくい」の2つだけ。どちらも「納得したい」の裏返しです
- 対処は2ステップ。①付け足さずに分かりやすく言い直す ②それでも伝わらなければ深追いせず、自信を持って終える
- 心構えはノーミス思考を捨てること。一問うまくいかなくても、評価はトータルで決まります
- 突っ込み質問では正解ではなく納得感を目指す。順番は結論→理由。具体例は追加質問を待ってもいい
- 面接官が見ているのは模範回答力ではなく、日頃から教育について主体的に考えているか
- 当日あるあるは①突然の1分間自己PR ②専門外の質問 ③アドリブ実演。どれも「リアルに考えておく」で備えられます
- 形式や条件が変わったら、変わった事実だけを受け取る。想定外は全員に等しく起きていて、落ち着いて対応できた人に差がつく
- 「最後に一言」は出し切れなかったアピールポイントを、思いで締める。きれいに話す必要はありません
最後にお伝えしたいことがあります。想定外への強さは、テクニックでは作れません。「何を聞かれても、自分の考えを答えられます」という状態——それだけが、当日どんな形で崩れても立て直せる土台になります。
そしてそれは、模範回答を集めることではなく、教育について自分の頭で考えて、誰かに話して、伝わるか試しておくことで作られます。遠回りに見えて、いちばん確実な道です。
想定外が起きたときこそ、あなたが本当に考えてきたことが出る場面です。ピンチはチャンス。その瞬間に「お、この人やるな」と思わせてきてください。応援しています!
あわせて見たい面接対策動画
この記事の「実際にあった想定外」は、受験された方が送ってくださった報告からできています。受験報告フォームから、あなたの当日のことも教えてください。「こんなことがあって焦りました」の1行が、来年この記事を読む誰かを救います。
受験者の声
フォーム「情報提供のお願い」に寄せられた一言から、匿名で抜粋しています。
- 「何かスキルが身についたわけではなかったですが、特別講座を受けたという自信が付いたのが一番でした。周りの人より頑張っているんだという気持ちで、採用試験を頑張れたと思います」(千葉県・高校・2024年)
- 「おかげさまで教員採用試験に合格できました。ありがとうございます。心強かったです」(新潟県・中学校・2025年)
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