教員採用試験を受験する際、教員を志望した理由を志願書や面接で問われることがほとんどです。
今回は、教員採用試験の志願書や面接に向けて準備しておきたい「教員を志望した理由」のつくり方を例文を挙げながら解説します。
志望動機は、戦略的につくれ!
そもそも、あなたの志望動機から面接官は何をみているのでしょうか?
面接官が志望動機から何をみているか
- あなたが学校教育を通して、子どもたちや社会をどうしていきたいと考えているか(教育の目的)
- あなたなりの教育の目的を成し遂げることへの本気度(使命感の強さ)
- あなたなりの教育の目的を達成する実力があるか(資質・能力)
ただ志願書に書かれてある志望動機を読んだり、面接で話す志望動機を聞くだけでは、実は面接官は上記のような要素を見極めることができません。
口だけは達者に、綺麗な志望動機をつくることができる受験者もいるでしょうから、「本当にこの受験者の想いか?本気度は?本気ならそれに見合う展望もあり努力もしてきているよね?」ということを確かめるために
志望動機を足がかりに、受験者の教員としての資質や能力を見極めようとするのです。
つまり、志望動機は「ただ良い志望動機をつくって終わり」ではなく、その先にある面接を見据えて戦略的につくる必要があります。
その志望動機を読んだ面接官が「あなたに対しどんな印象をもつか」「どこをさらに深掘りさげて質問したくなるか」さらには、その印象や質問が「あなたの望んでいるものであるか」という点を考慮しながら、戦略的にあなたのフィールドに面接官を誘導することが大切です。
志望動機 NG例文・OK例文
それでは早速、志望動機の例文を見ながら解説していきましょう!
塾講師編
① 字数は有限。凝縮された中身の濃い文章を!
「初めは数学に苦手意識をもち消極的だった生徒」でOK。「初めて担当した」という情報はいらない。
② エピソードが詳細すぎて掘り下げるポイントがない!
取り上げるエピソードが詳細すぎると、面接官があなたの資質・能力を見極めるために掘り下げる質問がなくなります。
あなたの指導力を面接で話したいなら、面接官が「もう少し詳しく聞きたい」と感じる程度に簡潔に表現しながらも、概要はしっかり相手に伝わるように書くのが望ましいでしょう。
③ 薄っぺらい「やりがい」はNG
「子どもに感謝されて嬉しい」といった「やりがい」では薄い。教員として子どもや社会を「こうしたい」という使命感があるのであれば、その目的に向けて達成した喜びややりがいを表現する方が、あなたの使命感や信念、教育観が伝わります。
仮にそれを表現できない場合は、まずはあなたの教育観や教員を志した理由などをしっかり自己分析することが不可欠です。
さらに、この志望動機では、受験者が「どのような教師になりたいのか」「どのような教育活動をしたいのか」などが明記されておらず、受験者の使命感や将来性を感じないことが残念なところです。
① 面接官が抱くであろう疑問をクリアする
志望動機だけでなく受験者の経歴なども見て面接官は、「この受験者が教師として採用するにふさわしいか」を吟味します。
職歴で「塾講師」という前歴があれば、「同じ『教える』という職業であるのに、なぜ塾ではなく学校の教諭を目指したのか?」という点が面接官としては気になるところです。
このような面接官の疑問に思う観点にこそ、受験者の学校教育にかける想いが隠れており、面接官はそこが見たいのです。
OK例文では、面接官の「なぜ塾ではなく学校教諭を目指したの?」という問いに簡潔に応えることができています。
② 「教師になって何をしたいか」(教師を志望する理由)が明確
「子どもに学力を身につけさせる」ことに重点をおいて教育現場では授業にこだわって教育活動をする人なのであろうと感じます。
ただ、冒頭にも述べたようにこれだけでは受験者の教師としての資質・能力はわかりませんから、子どもの学力を伸ばすことを重視している理由や実際にどのように子どもの学力を伸ばすのかなどを面接では問われる可能性が高いでしょう。
③ より高次な「やりがい」に感じる
「やりがい」に高次も低次もないと思いますが、面接官が「『感謝されて嬉しい』なんて誰にでもあることだ」と無意識に軽視してしまうことは否めません。
受験者自身がしっかりと自己分析し、「教育において自分が何を大切にしていて、それを大切にしているからこそ子どもたちにこのような変化が見られたことに喜びややりがいを感じたのだ」ということをしっかり言語化することが大切です。
恩師編
① 志望動機の主旨を忘れている!
志望動機は「あなたが教員を志望する理由」を書く・話す場です。
決して恩師との思い出話をする場ではありません。
NG例文では、恩師との思い出話にかなり字数が割かれており、受験者ではなく恩師がいかに素晴らしい教師であったかをアピールするものになってしまっています。
恩師との出会いは「きっかけ」として、「あなたは教育に対しどのような課題意識や使命感、教員像」をもっているのかを前面に表現していくことが大切です。
そのためにも、自己分析が不可欠なのです。
② 主体性を感じにくい
NG例文では「恩師の模倣」感が拭えず、「あなたは、どうしたいのか、どうなりたいのか」という主体性が感じにくい書き方になってしまっています。
恩師の真似に留まらず、恩師との出会いをきっかけに、あなたなりに教育について学ぶ中で更新してきたはずの考えをしっかり表現しましょう。
② 恩師との出会いは「きっかけ」程度にサラッと
OK例文のように、恩師の特徴を簡潔に示しながらも恩師との出会いはあくまでもサラッと表現してしまいましょう。
③ 教師の道を決心・覚悟した経験に重点を置く
あなたがご自身の経験で教師という道を進むことを決心したり覚悟した、「教育」への想いを一層強くした経験を前面に出していきましょう。
OK例文のように、このような経験からは意図せず人間性や指導力など、あなたの教師としての資質・能力が垣間見えたりします。
恩師への感謝の念も大切にしながらも、志望動機は「あなた」について面接官が知りたがっている場なので、その主旨を見失わないよう気をつけましょう!
まとめ
一文一文が薄っぺらく字数の割に内容の薄いNG例文を、内容が濃くなぜか受験者に魅力を感じてしまうOK例文にするためには、自己分析が不可欠です。
あなた自身の教育観や、あなたの考え方や生き方の軸となるものを自己分析によって見出し、言語化することで、あなたの志望動機はピカリと光るものになるでしょう。
多くの志望動機を見てきた私も、光る志望動機にはやはり魅力を感じ「この人のことをもっと知りたい!」と前向きな気持ちで受験者に質問を投げかけてしまうものです。
残念ながら、志望動機はとてもいいのに、質問をすればするほど受験者があまり深く物事を考えていないことに気づき面接官がガッカリしてしまうこともあります。
だからこそ、しっかり自己分析し言語化したうえで、光る志望動機をつくり、志望動機を足がかりに面接でも説得力のある言葉で面接官を虜にすることが大切です!
今回紹介した例文を参考に、皆さんの魅力が光る志望動機をつくっていただければ幸いです。
応援しています!