いじめ予防|からかい・プロレスごっこ・暴力などを見たときの指導と対応〜4月が勝負!〜

子どもの性格や家庭環境、子ども同士の人間関係などをまだ把握しきれていない4月に、子どもたちの、からかいやプロレスごっこ、暴力などを目撃したときに、どのような声かけをするか、その後どうすればいいかなどの対応に困る先生も少なくありません。

一方で、子どもたちのからかいや暴力などは、目撃したその瞬間に適切に指導しなければ、その後いじめに発展してしまう可能性も十分あります

もしかすると、今すでにいじめの加害者・被害者の関係が成立してしまっているのかもしれません。

今回は、私たち教師が子どもたちのからかいや暴力などいじめに発展しそうな現場を目撃した時、どのように声をかけ、その後どのような対応を心がけると良いのか、筆者の経験を踏まえてまとめました。

 

目次

はじめて目撃した時が勝負!

集団を指導する学校現場において、からかいや暴力などのいじめに発展しそうな子どもたちの行為を目撃した瞬間に、適切な指導をすることが重要です。

もしその場にいながら、教師が指導をせず見過ごしてしまった場合

 

  1. 問題行動がエスカレートし、いじめに発展する(いじめがエスカレートする)
  2. 他の児童生徒(傍観者)も教師を信用できなくなり、精神的苦痛を感じる

 

などの結果を招き、クラスのされなる荒れを引き起こしてしまいかねません。

 

① 問題行動がエスカレートし、いじめに発展する(いじめがエスカレートする)

もし教師が子どもたちのからかいや暴力などを見過ごしてしまうと、からかわれている子・暴力をふるわれた子は「この先生は、私を守ってはくれない。アテにならない大人だ。」と感じるでしょう。

仮に子ども両者が「遊びの一貫」と感じていたとしても、その行為を見過ごすことでいじめに発展する可能性が高くなります。

被害者が誰にも相談できず一人で抱え込んでしまい深刻ないじめに発展したり、その行為がまさしくいじめの一場面だった場合には、さらにいじめがエスカレートする可能性もあります。

 

② 他の児童生徒(傍観者)に教師を信用できなくなり精神的苦痛を感じる

その場にいながら教師が指導せずに見過ごしてしまうことによる、実は大きい弊害が、他の児童生徒つまりクラスの傍観者たちにとっても、精神的苦痛(フラストレーション)が溜まることです。

教師が、いじめに発展しそうな状況を止めないことにより、その一部始終を見ている児童生徒は「この先生は、ダメなことをダメと指導してくれない」つまり「もし私の身に何かおきても、この先生は守ってはくれない」と感じます。

それ以降、その他さまざまな悩みや出来事を、生徒は教師を信頼して相談してくれなくなってしまいます。

そして、教師の耳に入った頃には、すでに大きな事件になっているという結果になってしまいがちです。

子どもたちの望ましくない行動に毅然とした態度で対応できるからこそ、その教師の姿を見た他の児童生徒が「この先生なら私を守ってくれる」「この先生ならなんとかしてくれそう」と、教師を信頼するようになります。

クラスの児童生徒が教師を信頼し、悩みや出来事の小さいうちに教師に相談してくれるようになれば、大事件を未然に防ぐことにつながります。

 

 

どのように声かけをすればいい?

そこで悩ましいのが「遊びの一環」とも見える「からかい」やプロレスごっこなどの行動に、教師としてどのように声をかけるかということです。

 

よく見るのは

「やめなさい!〇〇くん(被害者)は嫌がっているでしょ!」

という声かけですが、私はこのような声かけは基本的にはNGだと考えています。

 

なぜなら、この声かけによって、被害者と加害者の関係に亀裂が入るきっかけにもなるからです。

 

教師の「〇〇くんは嫌がっているでしょ!」という言葉を受けて、加害者が「別に嫌がってないよな?」と被害者に問いかけることも考えられます。

被害者が仮に「嫌だ!」と答えても、子ども同士の関係はギクシャクしたり加害者からのリベンジがあるかもしれません。

被害者は本当は嫌なのにリベンジを恐れて「嫌じゃない」と答えてしまえば、教師としてもその後の対応が難しくなります。

 

そこで私が選択した言葉は

「やめなさい。そんなやり取りを見ているこちらも気が悪い!」

「やめなさい。そんなことをしていると大きな怪我に繋がるかもしれないでしょ」

というものです。

 

このような言葉かけを選択した理由は以下の2点です。

  1. 子ども同士の対立を生まない
  2. 「事実」に目を向け、子どもの人格を評価しない

 

① 子ども同士の対立を生まない

まず第一に、見ている側も目に余るようなからかいの言葉などに対して「見ている私(教師)も、気が悪い」ということを伝えることにより、当事者である子ども同士の対立を生まないという点があります。

もちろん、そう声かけをすることによって、加害者から「うるさいな!」「うざい!」など矛先が教師に向くこともあります。

私は、それで良いと考え生徒に向き合っていました。

なぜなら、最も避けたいのは、加害者と被害者の関係悪化によるいじめへの発展であり、教師と加害者との関係は、教師の働きかけにより今後も改善の余地がいくらでもあります。

まだどの児童生徒とも関係をつくることができていない4月であれば、その後、加害者の行動の心理的背景はどこにあるのかなどを探りながら、加害者との関係を築いていく必要はでてきます。

教師が、加害者・被害者の両者ともしっかり信頼関係を築けているタイミングであれば、「そのような言動は、私(教師)は不快だ」という言葉でからかいや暴力を止め、そののち加害者に対して個別に「せっかくこんないいところがあるのに、あんなことをするともったいないよ。何か嫌なことでもあった?」などフォローをすると、加害者の問題行動を根本からなくしていくきっかけになるコミュニケーションも可能です。

 

② 「事実」に目を向け、子どもの人格を評価しない

また、「大きな怪我に繋がるかもしれない」という「事実」に目を向けることで、加害者の人格を評価しなくて済みます。

「これくらいなら大丈夫!」「遊んでいるだけ!」という子どもの反応も返ってくるかと思いますが、「それでも、私は許さない」というスタンスを一貫することが大切です。

そこだけは譲ってはいけないところでしょう。

ここでもやはり重要なのは、「私は」と「Iメッセージ」で伝えることです。

そのためには、まず「私は、この言動は許さない」という自分なりの基準をしっかり考えておきましょう。

ただ、この基準も経験を積んだり、子供の様子を見ながら模索することも大切です。

「基準がブレると良くない」という意見もありますが、誰でも最初から完璧な考えをもっている訳ではなく、様々な個性がある集団を動かす先生は、上手にブレることが大切です。

私が学級運営をするうえで、非常に共感した本を下記に紹介しておきますので、もしよければ参考にしてみてください。

 

その後の対応

とりあえず「からかい」やプロレスごっこなどに対してその場で指導をしたら、次に欠かしてはいけないのは、その後の対応です。

大きな事件にならないよう未然に防止するために、下記の点を同時並行しながら対応することが大切だと私は考えます。

  1. 情報収集
  2. 被害者との関係づくりと聞き取り
  3. 加害者との関係づくり

 

① 情報収集

4月の初めは、クラスの友人関係などをまだ把握できていない時期なので、

「前担任」から、当該児童生徒の昨年度の人間関係を聞きながら今回の出来事を相談したり、

「他教師」に今回の出来事を情報共有して、普段の当該児童生徒の人間関係で気になっている言動を目撃したことがないかなどを聞き出します。

当該児童生徒とすでに良好な関係を築いている先生が他にいるのであれば、その先生にさりげなく聞き出してもらうというふうに、協力してもいいかもしれません。

もし当該児童生徒が一年生であれば、前の小学校や前の中学校からの申し送り事項を再度確認してみるのも一つです。

 

② 被害者との関係づくりと聞き取り

そして、欠かしてはならないのが、被害者(暫定)がこちらに正直な思いを伝えられるような関係づくりをしながら、「さっきのアレ、正直嫌じゃないの?」と本音を聞き出すことです。

その際、他の生徒のいるところで改まって呼び出したりすると「さっきの件で聞き取りか?」と他の生徒も勘付いてしまいますので、他の生徒との距離が離れている時にさりげなく聞き出したり、他の生徒がいない時に「あ、そうだそうだ!ちょっと職員室来てくれる?」と、深刻ではない感じで話す機会を設けていました。

本人の本音を聞き出した結果、加害者の言動について「やめてほしい」を感じていた場合には、その後どうするかを被害者と作戦会議することが必要になります。

もし、「別に遊びでやっているからいい」というのが本音だったとしても、「そうなんだね。私はあなたがもし嫌だったらすぐに止めてあげないとと思っていたから安心した。ただ、あのような言動は今後、怪我や喧嘩に繋がる可能性も高いから、私は今後も止めようと思ってる。」と、ここでもやはり「私は」という教師の考えやスタンスとして伝えていくことが大切だと思います。

 

③ 加害者との関係づくり

被害者だけでなく加害者との関係をつくることは、長い目で見て、最も根本的な解決策だと考えています。

加害者が暴言や暴力的な行為をとるのは、加害者の心が満たされていなかったり危機的状況にあることがほとんどだからです。

その場で指導した後は切り替えて、何事もなかったようにその加害者とコミュニケーションをとり、加害者の話の中から何か悩みや辛いことがないかをさりげなく聞き出し、受けとめてあげます。

「この先生は、自分の悪い行いには叱ってくれるけど、いいところもたくさん見てありのままの自分を受け入れてくれる」という安心感信頼関係が成立してくれば、こちらの話もその子の心に入りやすくなってきます。

自分の言動をコントロールする前頭葉が未発達の児童生徒(私たち大人も鍛える必要あり)には、学級活動やLHRで、アンガーマネジメントや、自分や相手の気持ちを理解し合うためのコミュニケーションスキルであるアサーションについて、一緒に学んで習得していくのもいいかもしれません。

教師塾AMBの2021年4月のスキルアップ講座はアサーションをテーマに1時間ほどの動画講座を公開しました。

興味のある方は、教師塾AMBについての情報も下記のリンクからご覧ください。

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まとめ

4月は、クラスの荒れを予防するために非常に重要な時期です。

ただし、もし仮に4月におさえるべき点をおさえずに学級が始まってしまったとしても、いつからでも人間や集団はより良い方向に変わることができます

私自身、学級担任でたくさんの失敗や事件を経験してきました。

その経験から、完璧主義になって失敗や事件を過度に恐れるのではなく、「どんなに予防しても事件が起きるときは起きる。フラストレーションが溜まっている子どもたちの欲求不満は早いうちに発散させてあげなくちゃ」という感じでドシっと構えて

失敗や事件が起こってしまったら、「子どもファースト」で他教員や保護者、その他関係職の協力も得ながら誠実に対応することです。

そのことを忘れなければ、失敗や事件をきっかけに、クラスはもっとまとまってきます。

応援しています!!!

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