こんにちは、教採スクール教師塾AMBの金井志津乃です。
「講師を経験してから教採を受けた方が面接で有利か」
「現場経験の少ない社会人や学生は面接で不利なのか」
「講師で現場経験があるはずなのに合格できない…。どんな対策が必要か」
現在、講師として現場におられる方も、学校での現場経験があまりない社会人や学生も、「講師として現場経験を積む方が有利かどうか」が気になりますよね。
結論から言うと、講師が有利になる点と不利になる点の両面があります。
その本質を理解し、現在あなたが置かれている立場でできる最も有益な過ごし方をすることが、教採面接で合格を勝ち取る最短ルートになります。
この記事では、講師の有利な点と不利な点を解説し、それらを踏まえて講師がすべき面接対策と講師経験のない人がすべき対策について解説しました。
自分自身の置かれた環境で合格を勝ち取るために参考にしていただけると幸いです。
講師の有利な点
現場経験のある講師が面接で有利な点は、主に2つあると考えます。
- 面接で話す内容に説得力がつく
- 講師経験がない人よりも「信用」が蓄積している
では、詳しく解説していきます。
① 面接で話す内容に説得力がつく
講師として現場経験があると、現場経験がない人よりも話す内容の説得力が勝ります。
例えば、面接で「子どもの主体性を引き出す授業をどのように実践しますか?」など、具体的に何ができるのかを問われたとき、
「はい。授業において2点のことを日々実践しています。一点は〇〇です。〇〇することで初めは受け身で学ぶ意欲が低かった生徒も次第に…(省略)…。」
と、実際に「子どもの主体性を引き出した」実績を語れます。
そのため、その受験者の話に説得力が増し、教師としての高い資質能力を感じます。
教採の面接では、「自己肯定感を伸ばします」という抽象的な教育観に加えて、
「具体的にはどのように自己肯定感を伸ばしていくのか?」という行動・実践レベルの回答も求められます。
そのような追加質問をすることで面接官は、受験者の教師力を見極めているんですね。
現場レベルの具体的な実践を回答しやすいという点は、講師経験が有利に働きます。
② 講師経験がない人よりも「信用」が蓄積している
二つ目の講師の有利な点は、講師経験がない人より「信用」が蓄積しているという点です。
社会人や学生さんは、現場経験がない分、実際に学校で教師を続けられるのか、教師という仕事が本当に向いているのかなどの「不確定要素」が多いです。
一方、講師は、実際にここまで教師という職を継続しているという「信用」があります。
「学校で働いてみたら、やっぱり思っていたのと違ったから辞めたい」などと言うリスクも低いです。
現在学校で働いて教師の仕事の大変さなども味わった上で「教諭になろう」と教採を受験しているわけですからね。
その意味で、講師には「信用」が蓄積されている状態です。
ここまで読むと、「講師の方が明らかに有利ではないか!」と思われるかもしれませんが、あながちそうとも言い切れません。
実は、この講師の利点が、逆に不利に働くこともあるのです。
では次に、講師が不利になる点について解説します。
講師が不利になる点
私は講師が不利になる点として、以下の2点が挙げられると考えます。
- 筆記試験の時間を確保するのが難しい
- 面接官の期待値が高くなる
詳しくみていきましょう。
① 筆記試験の時間を確保するのが難しい
まずわかりやすいのは、純粋に筆記試験の時間を確保することが難しいという点です。
常勤で勤めておられる講師は、教諭と変わらない量の仕事を任されます。
たとえば高校教諭の場合、毎日の授業や教材研究、分掌、生徒対応、部活指導があり、土日祝日は部活指導で半日または一日時間が拘束されます。
普段授業で教材研究をしている専門教養ならまだしも、一般教養や教職教養の時間を確保するとなると
早朝や勤務後、土日祝で時間を捻出して筆記試験の学習をする必要があります。
なかなかハードな生活です。
学校の業務改善や働き方改革が叫ばれる昨今ですが、やはり教員の業務過多はまだまだ見過ごせない問題で、教採においても勉強時間に大きな影響を与えていることは否めません。
ただしこの点は、民間企業にお勤めの受験者で残業が多い場合にも同じことが言えるということは念頭に置いておきたいですね。
学習時間の確保が難しい点には、業務の効率化などを測ることが必要です。
学級の集計作業などをGoogleフォームに頼る
不必要な教室掲示やプリントの装飾をなくす
まとまった時間に作業に取り掛かるのではなく途中で中断しても良いから隙間時間にタスクにとりかかる
など非効率なものを効率化したり不要なものをなくして業務を整理しましょう!
ただし、教採の合否を左右するのは面接です。
面接に大きく関わる講師の不利な点として、次の2点目を理解し対策することが必要です。
② 面接官の期待値が高くなる
先ほど、講師の有利な点として、「説得力がつく」・「信用」という点を挙げました。
ですがこれは、ただ日々の業務を「こなしている」だけでなく
教師として自己研鑽を怠らず、他の受験者に勝る採用メリットを感じさせられるよう言語化できている場合に限ります。
現場経験があるにも関わらず、
「具体的には?」
「今どんなことをしている?」
という面接質問に、面接官の期待値よりも低い回答が返ってくると
「講師経験があるのに」と逆に低評価に繋がります。
「講師経験」に価値があるのではなく、「講師経験で高めた教師力」に価値があるのです。
講師経験に実力や自己研鑽が伴えば説得力を感じますが、実力や自己研鑽を感じなければ逆に今後も教師としての成長が見込めないことを証明することにもなる、ということです。
配点が高く合否を左右する面接で、講師経験で高めた教師力を適切にアピールできるかが、講師経験が有利になるか不利になるかの分かれ道です。
では、講師はどのように教採面接対策をすればいいのか、また現場経験のない社会人や学生はどうすればいいのか、さらに解説していきますね!
講師がするべき対策
講師が面接で採用メリットを感じさせるための対策は大きく2つあります。
【対策1】学校現場でアピールできる実績をつくる
【対策2】適切に言語化できるよう面接ノートをつくる
では具体的に何をすれば良いか、下記にまとめましたので参考にしてください。
【対策1】学校現場でアピールできる実績をつくる
「こんな場合どうしますか?」
「具体的には何をしますか?」
「あなたにとって〇〇とは?」
という面接質問に対し、明確に回答できていないと感じる方は、現在勤めている学校の子どもたちにプラスの変化を生み出す実績を積んでいくことが必要です。
「子どもの主体性を引き出す授業にするために、こんな授業をしてみよう」
「やってみたけれど消極的な子が3人いた。どうすれば次は積極的に取り組んでくれるかな?」
「上手くやっている人の本を読んで実践してみよう」
など、日々の教育活動で先生自身が「子どもにこんな力を身につけさせたい」という目的意識を明確にもち、その目的に向かって日々自己研鑽を重ねることが地道ではありますが、合格への最短ルートです。
面接官はまさしく、そのような目的意識や教育的情熱をもって自己研鑽し続ける人を求めています。
教師力の観点で教採対策を考える際には、「合格レベル」の教師力を目指すのではなく、あなたの「理想の教師像」「教育の目的」をめがけて愚直に努力を重ねることが重要です。
合格はあくまでも通過点ですからね。
面接官が「この人は採用したい!」と感じられるような教員であるかを謙虚に振り返る視点が大切です。
ただし、日々の教育活動に奔走し魅力的な先生であってもなかなか教採に合格しないという現実はあります。
そのような人は、自身の考えや経験を適切に整理して言語化するという段階でつまずいていることがほとんどです。
そんな人は、次の対策を心がけましょう!
【対策2】適切に言語化できるよう面接ノートをつくる
とても魅力的な先生なのになかなか合格しない人の共通点として、
自身の教育観や経験を
適切なタイミングに
適切な切り口で
適切な言葉を使って
表現することができていないという点が挙げられます。
そんな人に必要な対策は、面接ノートをつくることです。
ただノートに面接回答を考えて書くのではありません。
面接ノートをつくるときには、下記のポイントをおさえましょう。
- できる限り多くの面接質問について思考を巡らせる
- 回答の要点になるキーワードを赤ペンで抽出しチェックする
- 現場のエピソードを青ペンでメモする
- 原因と結果、目的と手段などの論理を通す
面接ノートでどれだけ考えが論理的に整理・言語化されているかが、面接官に納得感を与える話し方ができるかどうかに関わります。
では、現場経験の少ない社会人や学生がするべき対策は何でしょうか?
講師の方にも共通しますので、講師の方もぜひ参考にしてください。
社会人や学生がするべき対策
現場経験の少ない社会人や学生の方でも、面接官に高い教師力を感じさせることはもちろんできます。
私自身も高校地歴教諭に講師経験のない新卒の頃に一発合格しました。
中学保健体育や高校英語に新卒で一発合格
社会人から高校英語・中学社会に一発合格
など、社会人や学生で現場経験なく高倍率を勝ち抜くことも、
私の受講生の中では珍しいことではありません。
現場経験の少ない社会人や学生であっても「高い教師力」を面接官に感じさせることができれば、当然合格します。
社会人や学生が、高い教師力を感じさせるための対策として以下の2つを実践してみてください。
① これまでの経験であなたの考えを補強する
確かに「学校現場」での経験は語れないかもしれませんが、
これまでにチームをまとめた経験があれば「学級経営」につなげた話ができます。
教育実習や塾、子育てなどで子どもと関わる中で身につけたことや学んだことがあれば、
その経験を子どもとの人間関係の構築や指導に結びつけて話すこともできます。
これまでの人生で課題意識をもって本や研修で学んできたことで、
学校教育の一場面に応用できるものがあれば、
それもあなたの考えの裏付けとして語れます。
極論、教育は教師と子ども、子どもと子どもなど、様々な人間関係の中で織りなすものなので、これまでの人間関係や人間観察での学びやスキルは全て教育に生きると言っても過言ではありません。
講師の方と同様、面接ノートをつくり、これまでの経験で身につけたスキルや学んだことを棚卸しして、「学校現場のこんな場面で活かせる」というものを考え、書き出していきましょう!
② 子ども・保護者目線に立って想像しながら学ぶ
とはいえ、
「子どもから〇〇と言われました、どう対応しますか?」
「保護者から▲▲と言う要望がありました、どう対応しますか?」
などと聞かれた時に、現場経験がなければ実際にどうすれば良いのか自信をもてません。
その場合は、ご自身が身につけたいと思う力(学級運営力、生徒理解の力、授業力など)に応じて本や研修でとことん学ぶことが不可欠です。
その際、ただ学んだことを鵜呑みにするのではなく、実際に子どもに対応している自分を想像しましょう。
子どもの言葉を具体的にイメージしながら、あなたが
どんな雰囲気や語調で子どもに何を話すのか、
そのあなたの対応に子どもはどう感じどのような反応が返ってくるか、
その子どもの反応に対してさらにあなたはどうするか…
と言うことを考えます。
そうすると、経験はなくとも、
「こんな時にはこう対応しよう。もしそれがダメなら、次はこの手がある」と自分に合った対応を現場レベルで練ることができます。
実際に私自身が教採を受験する時には、
面接質問100選のような教材を使って、
私なら現場で実際にどうするか考えまとめて言語化できるようにしました。
ぜひ、「自分ならこうして子どもをプラスの変化を生み出そう」とワクワクしながら考えてみてくださいね!
まとめ
教採は、講師、社会人、学生などといった表面的な要素ではなく、その環境であなたが身につけた力がいかに学校で生かされるのかという「採用メリット」が合否を左右します。
「講師だから」「社会人だから」と自分が置かれた環境の有利・不利などに振り回されるのではなく、
今置かれた環境やこれまでの人生経験を武器にして、あなたの魅力を磨きアピールしようという視点で教採対策を進めていきましょう!
応援しています。
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