【教員採用試験】鹿児島県の特別選考と一次免除ルート|教職教養チャレンジ試験・大学推薦・現職教員・臨時的任用教員・加点制度

こんにちは、金井志津乃です! 

鹿児島県って「教職教養チャレンジ試験」というのがあるんですよね? あと講師をしていると免除があるとも聞いたけど……特別選考が9種類もあって、自分がどれに当てはまるのか分からなくて。

鹿児島県は特別選考が9区分、加点が13項目。しかも免除される範囲が校種・教科で違うという、要項を読むだけで一苦労なつくりです。この記事で「自分はどのルートか」「何が免除されるのか」を一気に整理しますよ!

この記事では、鹿児島県公立学校教員等採用選考試験の特別選考(第1次試験の免除)と加点制度、そして大学3年生以上が受けられる「教職教養チャレンジ試験」について、令和9年度採用の実施要項をもとにまとめます。

この記事の根拠

  • 選考区分・免除の範囲・申請要件・提出書類・加点は、すべて令和9年度採用の実施要項(鹿児島県教育委員会)から。要約ではなく、要項の記載に沿って整理しています。
  • 鹿児島県は特別選考ルート別の該当者一覧(受験番号)は公表されていますが、確認できた範囲ではルート別の合格者数は公表されていません。そのため、この記事に「このルートの合格率は◯%」という数字はありません。推定値は載せない方針です。
  • 鹿児島県の全体倍率・校種別・教科別の数字は →鹿児島県の倍率|令和9年度採用の最終結果と5年間の推移
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

早見表|あなたはどのルート?(令和9年度採用)

まず全体像です。鹿児島県の特別選考はⅠ〜Ⅸの9区分。要件を満たした申請者は、書類審査のうえで第1次試験の一部または全部が免除されます。免除の範囲は校種・教科によって違うのがポイントです。

選考区分主な対象免除の範囲対象校種
Ⅰ 現職教員小中・義務教育学校・高校・中等教育学校・特支・高等専門学校の、受験する校種(特支は部)等・教科(科目)等の正規教員として3年以上(令和8年3月31日時点、休職・育児休業等を除く)+出願時から令和9年3月31日まで継続勤務見込み1次試験を全部免除全校種・全職種
Ⅱ-A 正規教職員経験者(退職5年以内)受験する校種・教科の公立学校正規教員として通算3年以上(休職・育児休業等を除く)+直近5年以内(令和3年3月31日以降)に退職1次試験を全部免除全校種・全職種
Ⅱ-B 正規教職員経験者(退職後5年以上)同上の勤務経験があり、退職して5年を超えた人(令和3年3月30日以前に退職)教職教養を免除全校種・全職種
Ⅲ-A 英語(小学校・特別支援学校)小学校・特支(英語を除く)の受験者で、①中高英語の普通免許 ②CEFR B2相当以上 ③英語使用の海外留学経験2年以上 のいずれか教職教養を免除
※加点③⑦との併用不可
小学校・特支(小学部/中学部・高等部)
Ⅲ-B 英語(中学校・高校・特別支援学校)中高特支の「外国語(英語)」受験者で、志願する校種の英語教諭普通免許(取得見込みを含む)+CEFR C1相当以上教科専門を免除中英語・高英語・特支英語
Ⅳ スポーツ・芸術①オリンピック・アジア大会等の国際大会に日本代表として出場した実績を有する者およびその指導者
②国際的なコンクール・展覧会等で優秀な成績(高校卒業以降の成績)
1次試験を全部免除中[音楽・美術・保体]/高[芸術・保体]/特支[音美芸・保体]
Ⅴ 大学推薦鹿児島県教育委員会が指定した大学等が推薦する者1次試験を全部免除小・中・特支(全教科)/高は工業・商業・農業・家庭(※高校の「家庭」は、要項の一覧表で大学推薦が◎の行と空欄の行の両方に載っています)
Ⅵ 臨時的任用教員出願時に県内公立学校の臨時的任用教員等として任用されており、通算36月以上の勤務経験教職教養を免除全校種・全職種
Ⅶ 社会人情報・家庭・看護・福祉の分野で一定の資格と実務経験(詳細は後述)教職教養を免除高校[情報・家庭・福祉・看護]
Ⅷ 障害者身体障害者手帳(1〜6級)/精神障害者保健福祉手帳/療育手帳の交付を受けている人教職教養を免除
+申請内容により受験上の配慮
全校種・全職種
Ⅸ 教職大学院教職大学院を修了済み、または令和9年3月31日までに修了予定+志願する校種・教科の専修免許(取得見込み含む)教職教養を免除全校種・全職種

※出典:令和9年度鹿児島県公立学校教員採用選考試験実施要項「第6 特別選考・加点申請・各種特例」【特別選考一覧】【申請要件・提出書類等】。
申請は一つのみ(Ⅳスポーツ・芸術の申請者だけ、もう一つ申請可能)。制度は年度で変わるため、出願前に必ずその年の実施要項を確認してください。

表を見て気づいてほしいのは、特別選考で「1次試験を全部免除」になるのは4ルートだけだということ(スポーツ・芸術と大学推薦は、対象の校種・教科が限られます)。現職教員、退職5年以内の正規教職員経験者、スポーツ・芸術、そして大学推薦です。そのほかは主に「教職教養だけ免除」で教科専門は受験しますが、Ⅲ-Bの英語特別選考は教科専門が免除され、教職教養を受験します。ここを勘違いすると、対策の配分を間違えてしまいますよ。

なお、令和9年度採用の実施要項では「現職教員特別選考」の対象拡大、「大学推薦特別選考」の対象拡大、「中・高 英語特別選考」の申請要件変更および校種の拡大が「主な変更点」として挙げられています。令和9年度採用では、間口が広がる方向の変更が目立つということです。「令和8年度採用では対象外だった」という方も、令和9年度採用の要項を読み直してください。

大学生の最短ルート①|教職教養チャレンジ試験

鹿児島県で、出願者が増えているのがこのルートです(2025年6月実施の237人から2026年6月実施の306人へ)。大学3年生以上が在学中に「教職教養」だけを受験し、合格すると翌年度の採用選考試験で1次試験の教職教養が免除されます(小学校・中学校・特別支援学校のいずれかを受験する場合)。

受験資格①令和9年度に実施される本県教員採用選考試験(令和10年度採用)の受験を希望する者
②必要な普通免許状を所有または令和10年3月31日までに取得見込み
③2026年度(令和8年度)の時点で大学3年生以上に在籍している者(昭和43年4月2日以降生まれ)
試験日・時間本試験と同じ6月14日(日)。8:20〜8:50受付、9:10〜10:00の50分で教職教養(教育法規・教育史・教育原理・教育心理・一般教養等)のみ。
会場鹿児島中央高等学校(鹿児島市加治屋町)。本試験(鶴丸・甲南・鹿児島工業)とは別会場。
合格発表本試験の1次合格発表と同じ7月10日(金)
提出書類願書・履歴書・在学証明書・試験結果通知用レターパックライト(青)。電子申請は4月1日〜4月27日17時、書類は4月1日〜4月30日消印有効で簡易書留により郵送。
翌年の使い方翌年、改めて出願手続きを行い、出願書類に試験結果通知書の写しを同封する。1次では教職教養が免除され、教科専門のみ受験。
不合格でも翌年は通常どおり教職教養・教科専門の両方を受験する。

※出典:鹿児島県公立学校教員「教職教養チャレンジ試験」実施要項(令和9年度採用)

そして、この試験の出願者は1年で約1.3倍に増えています。

教職教養チャレンジ試験2025年6月実施(出願)2026年6月実施(出願)2026年6月実施 合格者(受験番号一覧を私が集計)
小学校157人174人87人
中学校70人103人55人
特別支援学校10人29人17人
計237人306人159人

※出願者数は鹿児島県教育委員会「令和9年度 出願状況について」(本試験の総計とは別枠で集計)。合格者数は令和8年7月に発表された受験番号一覧を私が集計したものです。

私自身、大学2回生のときに「学校の先生になる」と腹を決めて、そこから模擬授業と面接の練習を始めました。なりたいと思ったら、なりたいと思ったときから、なるための行動を始める。これが私の考えです。鹿児島県のチャレンジ試験は、3年生の6月に50分だけ。この50分で翌年の負担がひとつ減ることを考えると、受けてみる価値は大きいと私は考えています。

ひとつ注意点があります。チャレンジ試験で免除されるのは教職教養だけで、翌年は教科専門(200点)を受験します。そして鹿児島県は、中高・特支・養護・栄養では、要項の配点表で2次の総点の内訳に「1次教科専門」の欄がある仕組みです。免除がある年こそ、教科専門に時間を回してください。

大学生の最短ルート②|大学推薦特別選考(1次試験を全部免除)

鹿児島県で1次試験がまるごと免除になる、大学生にとって最も強いルートです。

申請要件鹿児島県教育委員会が指定した大学等が推薦する者
免除1次試験を全部免除(小学校・中学校・特別支援学校の全教科、高等学校は工業・商業・農業・家庭。ただし高校の「家庭」は要項の一覧表で◎の行と空欄の行の両方に載っているため、家庭で受ける場合は大学等や教職員課に確認してください)
提出書類「大学推薦特別選考申請書」の写し(原本は大学等へ提出)
手続き希望する人は、所属する大学等が指定されているかを学生課・就職支援課等に確認し、書類作成について相談のうえ、申請書を大学等へ提出

※出典:令和9年度実施要項「第6 特別選考」Ⅴ 大学推薦、「第4 出願手続き等」STEP4

要項には指定大学の一覧が載っていません。「自分の大学が指定されているかどうか」は、要項では学生課・就職支援課等に確認するよう案内されています。また申請書は大学等を経由して提出するため、大学内の締切が県の書類郵送締切(令和9年度採用の要項では4月30日消印有効。電子申請は4月27日17時)より早く設定されている場合があります。3年生の秋〜冬のうちに、一度だけでも学生課に足を運んで確認しておいてください。ここは「知っていた人だけが使える制度」になりがちです。

なお令和9年度採用では、この大学推薦特別選考も「対象の拡大」が主な変更点として挙げられています。令和8年度採用では対象外だった校種(高等学校の工業・商業・農業・家庭)が、令和9年度採用の変更点資料では対象に加えられています(高校の「家庭」の扱いは上の表の注記のとおりです)。

講師・現職・元教諭のルート|免除の範囲がまったく違います

学校現場で働きながら、あるいは働いていた経験を持って受験する人には3つのルートがあります。「1次全部免除」と「教職教養のみ免除」で、対策の重さがまったく変わります。

ルート主な要件免除提出書類
Ⅰ 現職教員小中・義務教育学校・高校・中等教育学校・特別支援学校・高等専門学校で、受験する校種(特支は部)・教科等の正規教員として令和8年3月31日時点で3年以上の勤務実績(休職・育児休業等の期間は含まない)。かつ出願時から令和9年3月31日まで継続勤務見込みで、令和9年4月1日から勤務可能。1次を全部免除現職教員特別選考申請書/現在の勤務校が保管する履歴書の写し(原本証明)
Ⅱ-A 正規教職員経験者(退職5年以内)受験する校種・教科等の公立学校正規教員として通算3年以上の勤務経験(休職・育児休業等を除く)+令和3年3月31日以降に退職。養護教諭・栄養教諭は校種を問わない。1次を全部免除正規教職員経験者特別選考申請書A/退職時の勤務校が保管する履歴書の写し(原本証明)
Ⅱ-B 正規教職員経験者(退職後5年以上)同上の勤務経験があり、令和3年3月30日以前に退職した人教職教養のみ免除正規教職員経験者特別選考申請書B/同上
Ⅵ 臨時的任用教員出願時に鹿児島県公立学校の臨時的任用教員等として任用されており、県内公立学校での勤務経験が通算36月以上(令和3年4月1日〜令和8年5月1日見込みの勤務が対象)教職教養のみ免除臨時的任用教員特別選考申請書

※Ⅵの「臨時的任用教員等」には、臨時的任用の教諭・助教諭・常勤講師・非常勤講師・養護教諭・養護助教諭・栄養教諭・実習助手・寄宿舎指導員が含まれます(要項に明記)。
出典:令和9年度実施要項「第6」【申請要件・提出書類等】

ここで押さえておきたいのは、臨時的任用教員(講師)ルートは「教職教養だけ」の免除だということです。教科専門200点は受験します。そして中高・特支・養護・栄養では、要項の配点表で二次の総点の内訳に「1次教科専門」の欄があります。「講師だから一次は楽」ではなく、むしろ教科専門の1点が最後まで効いてくるのが鹿児島県です。

講師の強みは3つあると私は考えています。「クオリティ」「信用」「フレッシュさ」。現場で課題意識を持って授業や生徒指導をやってきた実践(クオリティ)、実際に働いてきた積み重ね(信用)、そして現実を見ても初心を忘れていないこと(フレッシュさ)。この3つが面接で伝わる講師は強いです。

そして「実績」は、賞や研究発表のような大それたものでなくて構いません。4月にはこうだった子が、こう関わったらこう変わった。その実体験で語れる実績を持っている人は強いです。鹿児島県のグループ討議でも個人面接でも、そこを軸にしてください。新卒と講師で意識するポイントの違いは、1分のショートにまとめています。

他県の正規教員として鹿児島県を受け直す方(Ⅰ 現職教員特別選考。受験する校種・教科等の正規教員として令和8年3月31日時点で3年以上(休職・育児休業等の期間は含まない)、出願時から令和9年3月31日まで継続勤務見込みなどの要件があります)は、1次がまるごと免除になります。ただ、私の実感では他自治体への再受験は簡単ではありません。管理職は「今求められている授業をブラッシュアップし続けているか」「謙虚で一緒に働きたい人か」を見ています。この2つが伝われば「こんな人が他県から来てくれるなんて」と管理職が思ってくれる可能性がある、という話です。鹿児島県の面接では「なぜ鹿児島県なのか」を聞かれた報告がありますから、そこは丁寧に準備してください。

社会人・英語資格・スポーツ/芸術のルート

Ⅶ 社会人特別選考(高校の情報・家庭・看護・福祉)

鹿児島県の社会人特別選考は、要項の一覧表では高等学校の情報・家庭・福祉・看護の行が対象になっています。教員免許を持っていなくても受験でき、2次に合格した場合は審査のうえ特別免許状が授与されます。

情報基本情報技術者試験など「情報」に係る試験の合格者で、民間企業・大学・研究機関等において情報システムの研究・開発業務等に3年以上従事した者
家庭調理師法に基づく調理技術審査に合格し認定証書の交付を受けた者(専門調理師)、もしくは調理師の資格を持ち調理師として3年以上の実務経験を有する者
看護国公立または民間の医療機関で看護師(保健師・助産師・看護学校等の教官を含む)として3年以上の実務経験を有する者
福祉医療的ケア教員講習会修了者等で、かつ医師・保健師・助産師・看護師の資格を取得した後5年以上の実務経験を有する者

※免除は教職教養のみ。教員免許を保有しない人が2次に合格した場合は、特別免許状授与の審査に必要な書類(「教育職員検定申請書」「人物・身体に関する証明書」「実務成績証明書」等)を提出します。なお、2次試験の家庭の被服実技は社会人特別選考の受験者は免除されます。
出典:令和9年度実施要項「第6」Ⅶ、「第7 2次試験」

社会人特別選考では教職教養が免除されますが、面接では社会人経験そのものが武器になります。私が社会人受験の方におすすめしている準備は2つ。「社会人経験を学校現場でどう生かしたいか」と「なぜ社会人をしていたのに教員を目指すのか」。鹿児島県でも実際に「なぜ今、他業種から教員なのですか」という質問が受験者から報告されています。この2つを面接でバシッと話せるようにしておくと、社会人から教採を受けるときにも合格しやすくなるポイントかなと思います。

私自身、受講生の中で40代・50代で教採に合格する方を数多く見てきました。私が動画でお伝えしているのは、40代・50代の受験者に対して面接官が懸念しやすい3つのポイントです。今求められている教育を謙虚に学んで挑戦する姿勢があるか/年下の同僚と謙虚でフラットな姿勢で働けるか/謙虚な姿勢でチームに貢献しようとしているか——この3点が伝わるかどうかを、私は大切だと考えています。鹿児島県の受験資格は昭和42年4月2日以降に生まれた者(令和9年度採用の場合)なので、年齢の上限はかなり広く取られています。

Ⅲ 英語特別選考|「小学校で英語」と「中高で英語」で扱いが逆

鹿児島県の英語特別選考は、AとBで免除される科目が逆です。ここは要注意です。

  • Ⅲ-A(小学校・特別支援学校〔外国語(英語)を除く〕の受験者):志願校種の普通免許状(取得見込みを含む)を有し、①中学校または高等学校の英語普通免許状(取得見込みを含む)、②CEFR B2相当以上、③海外大学等で英語を使用した海外留学経験等が2年以上、のいずれかに該当すると教職教養が免除されます。※加点③(小+中の免許)・⑦(CEFR B1)との併用はできません。
  • Ⅲ-B(中高特支の「外国語(英語)」の受験者):志願する校種の英語教諭普通免許(取得見込みを含む)+CEFR C1相当以上で教科専門が免除。なお2次試験の英語会話(実技)は「英語特別選考による受験者は免除」と要項にあります(Ⅲ-AとⅢ-Bのどちらを指すかは要項に明記がありません)。

CEFRの目安は要項の別表1にあり、C1相当=英検1級/TOEFL iBT 95以上/IELTS 7.0以上、B2相当=英検準1級以上/TOEFL iBT 72以上/IELTS 5.5以上、B1相当=英検2級以上/TOEFL iBT 42以上/IELTS 4.0以上(TOEICは L&R+S&W×2.5 で C1=1,845点以上/B2=1,560点以上/B1=1,150点以上)。英検準1級以上(CEFR B2相当以上)に加えて、小学校の普通免許状(取得見込みを含む)があり、申請して要件が確認されれば、小学校受験なら教職教養が免除される——これは知らないと損をします。

Ⅳ スポーツ・芸術特別選考

オリンピック・アジア大会等の国際レベルの大会に日本代表として出場した実績を有する者およびその指導者、または国際的なコンクール・展覧会等で優秀な成績を収めている者(高校卒業以降の成績)が対象で、1次試験が全部免除されます。教員免許を保有していなくても受験可能で、対象は中学校[音楽・美術・保健体育]、高等学校[芸術・保健体育]、特別支援学校[音楽・美術・芸術・保健体育]。2次の実技試験も免除されます。この区分だけ、他の特別選考ともう一つ併願して申請できます。

第1次試験の加点制度|13項目・上限50点

1次試験の筆記は教職教養100点+教科専門200点の合計300点。そこに要件を満たす人は加点されます。複数の申請が可能で、上限は50点です。

加点要件小中高特支養護栄養
① 受験する校種の普通免許+特別支援学校の普通免許202020—2020
② 複数教科の中学校教諭普通免許20202020——
③ 小学校免許と中学校免許をともに有する15151515——
④ 受験する校種・教科・職種の専修免許15151515——
⑤ 「情報」の普通免許(高校「情報」の受験者は除く)——15
(情報以外)
———
⑥ 「基本情報技術者試験」相当以上の国家資格(令和9年度採用で新設)20202020——
⑦ CEFR B1相当の英語資格(英検2級以上等)10——10
(小学部のみ)
——
⑧ CEFR B2相当の英語資格(英検準1級以上等)—10
(英語以外)
10
(英語以外)
———
⑨ 青年海外協力隊等の隊員として2年以上の派遣実績101010101010
⑩ 司書教諭の資格555555
⑪ 「学校教育キャッチアップ講座」(鹿児島大学主催)を受講・修了555555
⑫ 養護教諭または高校「看護」の受験者で看護師・保健師の免許証——15
(看護)
—15—
⑬ 栄養教諭または高校「家庭」の受験者で管理栄養士・調理師の免許証——15
(家庭)
——15

※単位は点。加点の上限は50点。取得見込みで申請する場合は令和9年3月31日までに確実に取得し、免許状等の写しを提出する必要があります。期限までに取得できなかった場合は加点を無効として合否を判定し直し、不合格となれば採用予定者名簿から削除されます。申請は「加点申請書」をHPからダウンロードし、証明書類とともに出願書類に同封。
出典:令和9年度実施要項「第6 2 加点申請」【加点申請一覧】別表1・別表2

1次は300点満点。そこに最大50点=約17%分の加点が乗るというのは、かなり大きいです。たとえば小学校志望で特別支援学校の免許(20点)+中学校免許との併有(15点)+司書教諭(5点)+キャッチアップ講座(5点)=45点。持っているのに申請しないのは、自分からハンデを背負うのと同じですよ。

⑪の「学校教育キャッチアップ講座」は、要項に「主に潜在教員(いわゆるペーパーティーチャー等)を対象とした講座」と説明されています。免許は持っているけれど現場から離れていた方が、受講し修了したうえで加点申請を行い、要件が確認されると5点を得られる制度です。⑥の「基本情報技術者試験相当以上の国家資格」は令和9年度採用で新設された項目で、基本情報技術者・応用情報技術者・ITストラテジスト・システムアーキテクト・プロジェクトマネージャ・ネットワークスペシャリスト・データベーススペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリスト・ITサービスマネージャ・システム監査技術者・情報処理安全確保支援士の11資格が対象です(平成21年度春期からの試験制度)。

見落としがちな2つの制度|Ⅱ区分の翌年免除と、採用の猶予

Ⅱ区分で名簿に載って採用されなかった人は、翌年1次免除

鹿児島県は合格者を「Ⅰ区分」「Ⅱ区分」に分けて採用予定者名簿に登載します。

区分名簿登載期間採用
Ⅰ区分名簿登載日から令和10年3月31日まで原則として名簿登載期間に採用
Ⅱ区分名簿登載日から令和9年3月31日までⅠ区分の合格者から辞退者が出た場合、順にⅠ区分として名簿に登載し採用

そして要項には、「Ⅱ区分で採用予定者名簿に登載された者で名簿登載期間内に採用がなかった者については、次年度の選考試験で同校種・職種を受験する場合に限り、1次試験を免除する」と明記されています。翌年の出願時に、Ⅱ区分名簿に登載された年の試験結果通知書の写しを同封します。

Ⅱ区分になった方は、採用の連絡を待ちながら「今年の面接で何を聞かれたか」を、記憶が鮮明なうちに書き出しておいてください。合格していてもいなくても、面接質問を記録して客観視しておくことは、どちらにしても役に立ちます。翌年に同じ校種・職種を受験する場合は1次が免除で二次からなので、その記録は来年の面接練習の参考になります。私が「結果待ちの時期にやってほしいこと」としてお話ししているのも、まずこれです。

大学院進学・大学編入学を予定している人の「採用の猶予」

合格しても、すぐには働けない事情がある人のための制度です。出願時に申請しないと猶予は認められません——ここが最大の落とし穴です。

大学院等進学希望者・在学者の特例大学院修士課程または教職大学院への進学希望者、または第1学年在学者が対象。合格すると「大学院等特例者名簿」に登録され、修了予定年月日まで採用を最長2年間猶予(大学院等で小学校教諭免許の取得を希望し、取得に3年を要する場合は最長3年)。修了予定日までに修了し、合格した校種・教科の専修免許を取得することが条件。
大学編入学希望者の特例大学への進学希望者が対象。合格すると「大学編入学特例者名簿」に登録され、卒業予定年月日まで採用を最長3年間猶予。卒業予定日までに卒業し、合格した校種・教科の一種免許を取得することが条件。

※どちらも申請書をHPからダウンロードし、出願書類に同封します。大学院第1学年在学者は在学証明書を出願時に、大学院・大学に合格した時点で合格通知書の写しを提出。要件を満たさない場合は特例者名簿から削除されます。なお令和9年度採用では「大学院等進学希望者及び在学者の特例」の猶予期間が変更されており、主な変更点として要項に挙げられています。
出典:令和9年度実施要項「第6 3 各種特例」

まとめ|免除は「入口」、勝負はどのルートでも二次

あなたの状況使えるルート免除
大学3年生教職教養チャレンジ試験翌年の小学校・中学校・特別支援学校受験時に教職教養免除
大学4年生・大学院生大学推薦(指定大学)/教職大学院(Ⅸ)1次全部/教職教養
鹿児島県で講師をしている(通算36月以上)Ⅵ 臨時的任用教員教職教養
受験する校種(特支は部)等・教科等の現職正規教員(休職等を除き3年以上、継続勤務等の要件あり)Ⅰ 現職教員1次全部
正規教員として通算3年以上の勤務経験があり、退職して5年以内Ⅱ-A 正規教職員経験者1次全部
英検準1級以上を持っていて小学校志望(小学校の免許状を持つ、または取得見込みの方)Ⅲ-A 英語教職教養
英検1級を持っていて中高英語志望Ⅲ-B 英語教科専門(2次の英語会話は「英語特別選考による受験者は免除」と要項にあり、Ⅲ-A・Ⅲ-Bのどちらを指すかは明記なし)
情報・調理・看護・福祉の実務経験があるⅦ 社会人(高校の該当教科)教職教養
障害者手帳等をお持ちの方Ⅷ 障害者教職教養+受験上の配慮
前年度にⅡ区分で名簿登載され、採用されなかった(次年度に同じ校種・職種を受験する場合に限る)実施要項「第8」の規定1次全部

どのルートで入っても、最後は個人面接200点+グループ討議200点の二次です。しかも令和9年度採用の1次試験では、小学校・特別支援学校で受験者数と1次合格者数が同数でした。免除で浮いた時間と労力を、そのまま二次の準備に回してください。

■ 鹿児島県の二次試験|受験者3名の実録と5年間の出題傾向(個人面接+グループ討議)
■ 鹿児島県の倍率|令和9年度採用の最終結果と5年間の推移(校種別・教科別)

よくある質問

Q. 特別選考は複数申請できますか?

A. できません。実施要項に「申請は一つのみ」と明記されています。例外はⅣスポーツ・芸術特別選考で、この申請者だけ、もう一つ申請することが可能です。一方で加点は複数申請が可能(上限50点)なので、「特別選考は1つ、加点は該当するだけ全部」というのが基本の考え方になります。

Q. 特別選考と加点は併用できますか?

A. 要項では、Ⅲ-A(英語 小学校・特別支援学校)は加点③(小学校免許と中学校免許の併有)・⑦(CEFR B1相当)との併用ができませんと明記されています。そのほかの特別選考と加点の併用について、併用不可とする記載は要項に見当たりません。英検準1級を持っている小学校志望の方は、「Ⅲ-Aで教職教養を丸ごと免除にする」か「加点⑦で10点をもらう」かの選択になります。免除のほうが有利になる場合もありますが、必ずご自身の状況で計算してください。

Q. 講師経験が36月に届かない場合は?

A. Ⅵ 臨時的任用教員特別選考の要件(通算36月以上)を満たさないため、ほかの特別選考に該当しなければ、一般の受験になります。ただし加点は申請できます。複数免許(②③)、特別支援学校免許(①)、専修免許(④)、司書教諭(⑩)など、該当するものを積み上げてください。面接では講師としての実践をそのまま語れるので、一般選考でも不利にはなりにくいと私は考えています。なお、要件の「36月」は令和3年4月1日〜令和8年5月1日(見込み)の勤務が対象という期間の縛りがあるので、通算年数だけでなく期間もご確認ください。

Q. 自分の大学が「大学推薦」の指定校かどうかは、どこで分かりますか?

A. 実施要項には指定大学の一覧が載っていません。要項自身が「希望する者は、所属する大学等が指定されているかを学生課、就職支援課等に確認し、書類作成について相談のうえ、大学推薦特別選考申請書を大学等へ提出」と案内しています。大学内の推薦手続きの締切は、県の書類郵送締切(令和9年度採用の要項では4月30日消印有効。電子申請は4月27日17時)より早く設定されている場合があります。3年生の秋のうちに学生課へ確認しておきましょう。

Q. 免許を「取得見込み」で加点申請してもいいですか?

A. できます。取得見込みの場合、申請時の添付書類は不要です(⑥〜⑨・⑪を除く)。ただし令和9年3月31日までに確実に取得し、免許状等の写しを提出することが条件です。期限までに取得できなかった場合は加点を無効として合否をあらためて判定し、不合格となれば採用予定者名簿から削除されます。「たぶん取れる」ではなく「確実に取れる」ものだけを申請してください。

Q. 出願はインターネットだけで完結しますか?

A. しません。鹿児島県は電子申請(出願登録)+書類の郵送の二段構えです。令和9年度採用の要項では、電子申請は2026年4月1日〜4月27日17時、書類の郵送は2026年4月1日〜4月30日消印有効とされています。角形2号の封筒に、郵便局の窓口で「簡易書留」の受付をして送る必要があり、持込は不可です。全員が提出するのは願書・履歴書・試験結果通知用レターパックライト(青)の3点で、特別選考・加点の該当者はそれぞれの申請書と証明書類を同封します。証明書類の一部は原本と照合するため2次試験に持参する必要があります(詳細は各申請書に記載)。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

制度は要項で追えますが、「実際にこのルートで受けたらどうだったか」「二次で何を聞かれたか」は受験した方の報告でしか集まりません。鹿児島県の実録は、令和8年10月時点で、令和6〜8年度採用の3名分と令和9年度採用の2件です。受験された方は、ぜひ次の年度の受験生のために教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

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