【教員採用試験】二次で落ちても翌年は一次免除?補欠・追加合格・前年度成績による免除がある自治体まとめ

こんにちは、金井志津乃です! 

二次で不合格でした……。来年もまた筆記から全部やり直しかと思うと、正直きついです。

ちょっと待ってください。二次まで進んだ人は、翌年の第1次試験が免除される自治体がたくさんあります。しかも「補欠」や「ランクA」の通知が来ている方は、その通知そのものが来年の切符です。この記事で、全国の制度を条文ごと並べますね!

この記事では、「前年度に二次まで進んだ/二次で不合格だった/補欠になった」ことを要件に、翌年の第1次試験が免除・一部免除になる制度を、令和9年度採用の実施要項・受験案内の条文をもとに31自治体分まとめました。

この記事の根拠

  • 制度名・対象・免除の範囲は、すべて令和9年度採用(令和8年度実施)の実施要項・受験案内・実施要綱の条文から。要約するときも、要件の数字と言い回しは原文どおりに残しています
  • 当ブログで作成済みの自治体別「特別選考」記事(19自治体)に出典付きで書いた内容と、教育委員会が公表している要項PDF(15県)を突き合わせています
  • 表に載せていない自治体は「制度が無い」という意味ではありません。該当しそうな方はご自身の自治体の要項で必ず確認してください
  • 執筆:金井志津乃(教採スクール「教員の学校」運営。YouTubeチャンネル登録者1.7万人。大学での講演や、教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験あり)
結論から
  • 「一次で落ちた」と「二次で落ちた」では、翌年のスタートラインがまったく違う。二次まで進んだ実績を翌年に持ち越せる自治体が全国に多数ある
  • 免除の条件は大きく3タイプ。①二次を最後まで受ければ免除(広島・福島など。広島は対象の選考区分で二次の全試験項目を受験し、翌年も同一区分等で受験することが条件)/②成績ランクが一定以上なら免除(栃木・山口※ランクC・Dは自己研鑽の成果認定も要件・宮城・島根・福岡など)/③二次実績+その年も講師をしていることが条件(岡山・愛媛・香川・福井・青森・滋賀・富山・岐阜など)
  • ほぼすべての自治体で「前年度と同一の校種・教科」「翌年度限り」「出願時の申請が必要」。ここを外すと権利があっても使えない
  • そして免除は「入口が広がるだけ」。二次の倍率は多くの自治体で2倍前後で、免除組が特別有利になるわけではありません
【予告】令和10年度採用(2027年夏実施)で免除・加点が変わると公表された自治体
  • 富山県:「令和9年度教員採用選考検査(令和8年度実施)の『大学3年等出願』において、第1次検査に合格した受検者は、令和10年度教員採用選考検査(令和9年度実施)の第1次検査を免除します」(2026年2月20日発表)
  • 福井県:「令和9年度(令和8年度実施)(中略)の『一般選考』および『チャレンジ第1次選考』において得た免除資格は、令和10年度(令和9年度実施)(中略)に適用します」(2026年8月25日)
  • 群馬県:前年度の「大学3年生等対象選考」で通過した者が「大学等推薦特別選考」で受験する場合、加点の対象。「令和10年度採用群馬県公立学校教員選考試験より実施します」(令和8年1月20日)
  • 岐阜県:継続常勤講師・継続養護助教諭は第1次選考試験の「全部を免除」から「一部〔教養試験(教職教養)〕を免除」へ。中学校教諭(英語)の英語資格保有者は「教科専門試験の免除」から「筆記試験の得点に加点」へ。任期付採用職員Aとして任用された場合は任用期間、第1次選考試験を免除(令和8年8月27日)
  • 大阪府:令和9年度教採の「大学3年生等を対象とした選考」通過者は、令和10年度教採で「専門筆答テスト、面接テスト、実技テスト」を第二次選考として受験(令和10年度教採に限り特別選考として実施)(令和7年12月24日)
  • 大阪市:大学推薦特別選考特例・教職大学院推薦特別選考特例は「第1次選考(筆答テスト【教職教養・一般教養】、面接テスト)を免除」、大阪市教師養成講座修了者特例は「第1次選考(筆答テスト【教職教養・一般教養・専門】、面接テスト、実技テスト)を免除」(令和7年12月24日)
  • 堺市:一次免除者対象選考は「経過措置として、1次試験の筆答試験(専門)の受験が必要(合格者のみ2次試験を実施)」。令和11年度(令和10年度実施)は現行と同様、1次試験の全てを免除し2次試験のみ実施(2026年9月10日)
  • 相模原市:令和8年度実施の選考試験は「令和9年度及び令和10年度採用予定の(中略)教員採用候補者を決定するために実施するもの」。「『大学3年生等早期チャレンジ!!』の受験者は『令和9年』をすべて『令和10年』に読み替えます」、教科専門・模擬授業・個人面接・実技試験は次年度に受験(2026年4月3日)。令和9年度実施の第1次試験は「令和9年7月4日(日曜日)予定」(公式ページ・2026年9月18日更新)
  • 奈良県:中学校・高等学校の外国語(英語)の教科専門試験は、従来は保有する英語資格を得点化し筆記試験を行いませんでしたが、「令和10年度(中略)からは、教科専門試験(筆記試験)を実施します」(2026年8月19日更新)
  • ここに挙げたのは、2026年10月4日時点で各自治体の公式ページに令和10年度採用の免除・加点の変更が明記されていたものだけです。ほかの自治体は、制度が無いという意味ではなく、公式発表がまだ出ていないという意味です

出典:富山県教育委員会(公式)、福井県教育庁教職員課(公式)、群馬県教育委員会(公式)、岐阜県発表資料(公式)、大阪府教育庁(公式)、大阪市教育委員会(公式)、堺市教育委員会(公式)、相模原市教育委員会「令和8年度実施相模原市立学校教員採用候補者選考試験実施要項」(公式)・「令和8年度実施 相模原市立学校教員採用候補者選考試験について」(公式)、奈良県教育委員会(公式)。 2026年10月4日時点の公式発表です。要項が出たら更新します。

目次

早見表①|第1次試験が「全部」免除になる自治体

まず、前年度の二次実績・成績ランク・補欠だけで第1次試験がまるごと免除になる自治体です。講師をしていることなどの追加条件が要らないタイプで、いちばん使いやすいグループです。

自治体制度名対象(要項の条文の要旨)第1次の扱い
福島県次年度第一次選考試験の免除本年度、第一次選考試験に合格(併願は第一志望が合格)した人で、第二次選考試験を有効に受験して名簿登載にならなかった人(採用辞退者を除く)。同一の校種等・教科(科目等)を志願する場合に限り、翌年度限り第一次選考試験を免除
広島県・広島市一般選考(第1次選考試験免除)前年度に、一般選考・障害のある者を対象とした特別選考・グローバル人材を対象とした特別選考【外国人留学生等】のいずれかで第2次選考試験の全ての試験項目を受験した人(名簿登載後に採用を辞退した人を除く)。前年度と同一の選考区分・校種・職種・教科で募集があり、その区分で受験すること全て免除(第2次から)
山口県①前年度ランクA・B/自己推薦特別選考前年度の第一次試験を受験し第二次試験で不合格となった人のうち総合評価ランクがA又はB→そのまま一次全免除。ランクC又はD→「自己推薦特別選考」で出願すれば一次全免除。ただし県教委が提供する教材等を活用して自己研鑽に努め、その成果を県教委が認めることが条件(いずれも同一の選考区分・志願区分・教科)第一次試験を全て免除
栃木県C-3 前年度第2次試験Aランク特別選考前年度の第2次試験不合格者のうち総合成績がAランク(不合格者の中で上位)の人。同一の募集区分・教科で出願第1次試験を全て免除
宮城県令和8年度選考総合成績ランク「B」特別選考前年度実施の第2次選考において名簿登載にならなかった総合成績ランク「B」(不合格者の中で上位20〜30%程度)の受験者。前年度の第2次選考で受験した校種・職種・教科と同一の出願に限る第1次選考の筆記試験(専門・教養)を免除=第1次選考免除
島根県特例区分2・3特例2=前年度第2次試験の「個人面接試験」の段階がAで、県教委から「第1次試験の特例について」の通知が送付されている人/名簿登載後に採用を辞退した人。特例3=前年度第2次試験で「繰り上げ登載候補者」だったが名簿登載にならなかった人(いずれも前年度と同一校種・職種・教科)全免除
長崎県【オ.通免】前年度選考試験の結果通知に関する免除申請前年度採用選考試験の第2次試験結果通知において「区分Ⅱ合格」後、名簿登載されなかった人。前年度に受験した第2次試験と同一校種・職、教科・科目を受験する人に限る第1次試験の全てを免除
東京都特例選考⑤ 前年度の名簿登載者等令和6・7年度実施の選考の採用候補者名簿登載者、または令和7年度実施の期限付任用教員採用候補者名簿の登載者(=不合格だったが成績上位で、申込時に希望した人。任用の有無は問わない)第一次選考が全て免除(選考方法D・二次は個人面接のみ)
愛知県3 昨年度の補欠者に対する特別選考前年度に「補欠」だった人。前年度と同一の受験区分・教科で出願。補欠を辞退した人は対象外第1次試験を全て免除
宮崎県前年度「補欠」の者前年度の選考試験において「補欠」と決定した人で、第一次選考試験の免除を希望する人。前年度に補欠となった受験区分・教科(科目)等に限る第一次選考試験を免除
富山県第1次検査免除の条件ア前年度の採用選考検査において「補欠」と決定された人(同一受検種目・同一受検教科)第1次検査を免除
鳥取県B登載者に対する第一次選考試験の免除採用候補者名簿の「B登載者」(欠員の状況によっては教員として正式に採用される区分)となった人。翌年度の一般選考で同じ試験区分・教科を受験する場合に限る第一次選考試験を免除
京都府3 前年度追加合格候補者前年度の選考試験において「追加合格候補者」となった人。同一の校種等・教科(科目)を受験する場合に限るすべての第1次試験を免除
長野県信州3S選考 SK①A 補欠合格者等を対象とした選考前年度、本県の教員採用選考で補欠合格者又は合格者となった人で、前年度と同一の教科を志願する人(高等学校教諭・養護教諭が対象)一次選考が免除(書類審査等のうえ二次選考へ)
札幌市前年度成績優秀者特別選考前年度実施の選考検査(札幌市採用希望)の第2次検査で不合格になった人のうち一定の基準を満たした人。結果通知で個別に案内される第1次検査の全てを免除

※出典:各自治体の令和9年度採用 実施要項・受験案内・実施要綱(福島「12 次年度第一次選考試験の免除について」、広島「※今年度の第1次選考試験免除について」「13 次年度の第1次選考試験免除」、山口「5 試験の一部免除」、栃木「10 特別選考」、宮城「(6)第2次選考総合成績ランク『B』の優遇措置」、島根「5(1) 特例区分」、長崎「免除区分」、東京「第1-2 特例選考」、愛知「第1-4 選考種別」、宮崎「特別選考試験」「8 補欠制度」、富山「第1次検査免除の条件」、鳥取「10 採用候補者名簿への登載等」、京都「5 一部試験免除」、長野「募集案内・採用選考要項」、札幌市「実施要領」)。制度は年度で変わります。出願前に必ずその年の要項の原文を確認してください。

この表でいちばん驚いてほしいのは福島県と広島県です。成績のランクも、講師をしているかどうかも問われません。ただし広島県は、一般選考・障害のある者を対象とした特別選考・グローバル人材を対象とした特別選考【外国人留学生等】のいずれかで第2次選考試験の全ての試験項目を受験したことが条件で、名簿登載後に採用を辞退した人は対象外。翌年も同一の選考区分・校種(特別支援学校は同一部)・職種・教科で受験する必要があります。逆に言えばこの条件を満たせば、成績にかかわらず翌年の一次がまるごと免除になります。「今年の二次は、来年の切符でもある」——だから二次は、手応えがなくても最後まで全力で受けきってください。

早見表②|条件つきで免除・一部免除になる自治体

次は、「その年も講師をしていること」などの条件がつくタイプと、科目単位で免除されるタイプです。ここは要件の読み違いが起きやすいので、条文をそのまま並べます。

自治体制度名対象(要項の条文の要旨)第1次の扱い
神奈川県特別選考② 前年度試験実績者前年度の第2次試験の不合格者のうち成績が上位の人。選考結果通知書の判定結果欄に「不合格(前年度試験実績者)」と記載され、対象者には二次結果の発表時に知らせがある教科専門・一般教養/教職専門の両方を免除(論文は受験・採点あり)
千葉県・千葉市特別臨時的任用教諭特例選考/講師等特例選考B特別臨任=第2次選考不合格者の中から成績上位の人が「特別臨時的任用教諭」候補者名簿に登載され、翌年その校種・教科で臨時的任用教諭として任用されていること。講師等B=前年に一次に合格して二次まで進み、県内で講師をしていること第1次選考 全部免除(特別臨任は第2次選考も個別面接のみ)
福岡県【特例ⓕ】第一次試験合格者特例前年度の第一次試験に合格した人。ただし第二次試験の個人面接及び模擬授業の評価が、県立高等学校・養護・栄養はB以上、中学校・特別支援学校はC以上の人に限る(前年度に第一次試験合格者特例・第一次試験免除だった人は対象外)第一次試験がすべて免除
岐阜県①前年度第1次選考試験合格者前年度に第1次選考試験に合格し、第2次選考試験を受験した人。小学校・中学校・養護教諭のA区分は「出願締切日までに県内の公立学校で常勤講師又は養護助教諭として当年度の勤務を開始する人」。高等学校・特別支援学校は勤務要件なし。翌年1回限りA区分・高校・特支は第1次選考試験を免除/B区分(勤務要件なし・小中養護)は教科専門を免除
岡山県特別選考C① 講師経験者(前年度第1次試験合格者)前年度に第2次試験の受験資格を得た人+今年度も岡山県の公立学校等で講師として勤務中(同一の校種・職種・教科)第1次試験を全て免除
愛媛県③講師等特別選考前年度の選考試験で前期第1次選考試験に合格していた人(その年に一次を全て免除された人は対象外)+当年4月1日〜5月29日に県教委が講師等として任用前期第1次選考試験の全てを免除
埼玉県臨時的任用教員経験者特別選考B選考県内国公立学校での常勤の臨時的任用等の経験7か月以上+直近3年間の第1次試験を受験(免除を除く)し、合格した人。志願区分・教科は合格時と同じものに限る第1次試験 全科目免除
兵庫県【全部免除①】昨年度の条件付合格者前年度の二次で「条件付合格」となり追加合格にならなかった人+大学院在学、または県内公立校の臨時講師・会計年度任用職員第1次選考試験をすべて免除(二次から)
香川県特別選考Ⅴ(前年度第1次選考試験に合格した本県講師等)小学校・中学校を志願する人で、前年度の第1次選考試験に合格した人(前年度と同一校種・教科)+当年度に県内の国公立学校で講師等として勤務第1次選考試験のすべてを免除
福井県イ 昨年度1次合格者(講師等経験者および大学院在学者)前年度の第1次選考試験に合格した人で、県内国公立学校に講師等として勤務する人、または大学院に在学中の人(講師勤務の有無は問わない)。合格した校種・教科等に限る第1次選考 全部免除(一般・教職+教科等専門)。「昨年度基準到達者」は一般・教職のみ一部免除
青森県⑥前年度実施試験の第一次試験通過者(現に講師等に任用されている者)前年度実施の一般選考で第一次試験を通過し、かつ第二次試験を受験したものの通過しなかった人(同一校種・教科等)+当年5月11日時点で県内の国立・公立学校の講師(任期付・臨時)等として任用されている人。この両方に該当すること一般・教職教養試験と専門教科試験をいずれも免除
富山県第1次検査免除の条件イ前年度または前々年度の第2次検査受検者(第1次検査免除者を除く)+直近3年ほどの間に県内の公立学校・国立大学法人附属学校で講師等として勤務した(している)人第1次検査を免除
滋賀県③前年度・前々年度選考試験の第一次選考合格者第一次選考に合格し、第二次選考を有効に受験し不合格となった人(補欠者を含む)+前年9月1日から当年5月12日までの間に県内で常勤の講師等として通算1月以上の勤務経験がある人一般教養・教職教養を免除
島根県特例区分4前年度第1次試験合格者又は第1次試験全免除者(特例2の該当者を除く)+県内外の国公立学校で常勤講師等として通算1年(12月)以上の勤務経験一部免除(論述試験のみ実施)+加点
和歌山県免除1(過年度第二次選考試験受験)前年度または前々年度の第二次選考試験を受験した人(受験した校種・教科に限る)。第二次を欠席した人は該当しない総合教養を免除
京都府1 前年度合格試験前年度の選考試験において小論文/教職教養/専門を受験し、基準(基準点)を満たした人(前年度に当該試験を免除された場合は適用外)。同一の校種等・教科を受験する場合に限る基準を満たした科目のみ免除(重複可)
奈良県免除区分ク(教科専門の免除)1次試験の教科専門で成績優秀者(200点満点中160点以上/実技教科は250点満点中200点以上)。同じ校種・教科等を受験する場合に限る翌年度の教科専門を免除
北海道前年度の第1次検査成績による一次免除前年度の選考検査結果の通知時に、道教委から「第1次検査を免除する」旨の通知を受けた人(同一の選考区分・受検区分・受検教科で受検する場合に限る)一次免除
茨城県その他の特別選考「前年度第2次試験合格者」実施要項の別紙で規定。令和8年度採用の実績は志願3名→合格3名別紙参照

※出典:各自治体の令和9年度採用 実施要項・受験案内・選考試験要項(神奈川「3 選考区分と受験資格」「8 選考結果の発表」、千葉「受験区分により実施する選考」、福岡「3 特例申請」、岐阜「4 試験の免除」、岡山「選考の種別」、愛媛「志願要項」、埼玉「選考試験要項」、兵庫「Ⅲ4 選考試験の免除」、香川「特別選考Ⅴ」、福井「第1次選考免除」、青森「Ⅴ-1(5)」、富山「第1次検査免除の条件」、滋賀「第一次選考試験の免除」、島根「5(1) 特例区分」、和歌山「II-2 第一次選考試験の特例」、京都「5 一部試験免除」、奈良「〔4〕1次試験の免除」、北海道「実施要領」、茨城「実施要項」)。

読み解き|「講師をしているか」で分かれる

2つの表を並べると、全国の制度がきれいに3タイプに分かれます。

タイプ要件該当する自治体
①二次を受けただけで免除成績も職も問わない。二次を(全科目・有効に)受験したことが条件(広島は対象の選考区分での受験・採用辞退者は除外・翌年も同一区分等での受験が要件)福島県、広島県・広島市、和歌山県(総合教養のみ免除)
②成績ランク・区分が一定以上なら免除結果通知に書かれたランクや区分がそのまま権利になる栃木県(Aランク)、山口県(ランクA・B。ランクC・Dは自己推薦特別選考で、自己研鑽の成果認定が条件)、宮城県(ランクB)、島根県(面接A・繰り上げ登載候補者)、神奈川県(前年度試験実績者)、長崎県(区分Ⅱ合格)、東京都(期限付任用名簿)、千葉県(特別臨任名簿)、福岡県(面接・模擬授業の評価)、京都府(科目の基準点)、奈良県(教科専門の得点)
③二次実績+その年も講師をしていることが条件「働きながらもう一年」を前提にした設計岡山県、愛媛県、香川県、福井県、青森県、滋賀県、富山県、岐阜県(小中養護A)、埼玉県、千葉県(講師等B)、兵庫県(条件付合格+臨時講師等)
補欠・追加合格そのものが要件補欠通知=翌年の一次免除愛知県、宮崎県、富山県、鳥取県、京都府、長野県、滋賀県(補欠者を含む)

ここで気づいてほしいのが、③のグループがいちばん多いということです。つまり全国の教育委員会は「二次まで来た人が、翌年も現場に残ってくれること」を制度として後押ししています。「講師をしながら受け直す」は、遠回りではなく、多くの自治体が用意した本線のルートなんです。

■ 教員採用試験に落ちたらどうする?進路の選択肢とやるべきこと(講師・私立・塾・大学院・民間の5つの進路を数字つきで整理しています)
■ 教員採用試験で講師が有利な点と不利な点

補欠・追加合格の扱い|発表後も「12月まで」動く自治体がある

9月・10月の発表で不合格でも、その年のうちに結果が動くことがあります。補欠・追加合格・繰り上げの制度と、その後の一次免除への接続をまとめました。

自治体制度名内容(令和9年度採用)翌年への接続
愛知県補欠令和9年度採用の補欠者は310人(小92・中114・高69・特支24・養8・栄3)。欠員に応じて令和9年4月1日以降に順次採用され、令和10年3月31日までに採用されなければ失効翌年は一次全免除の特別選考
岡山県補欠「若干名」。直近5年は9人・8人・3人・5人・2人。有効期間は令和9年3月31日まで。3月31日までに名簿登録されなかった補欠者は、4月1日から県の公立学校で常勤講師等として優先的に任用講師として勤務すれば翌年C①で一次全免除
栃木県追加合格者制度(令和9年度採用から新設)合格発表後から12月上旬頃までに、募集区分に応じて第2次試験不合格者のうちAランクの人から合格を追加する場合があるAランクは翌年C-3で一次全免除
山口県追加合格第二次試験結果通知後、志願区分によっては合格者を追加することがある。原則として12月25日までに通知ランクA・Bはそのまま一次全免除、C・Dは自己推薦特別選考(自己研鑽の成果を県教委が認めることが条件)で一次全免除
愛媛県追加合格前期第2次選考試験結果の通知後、採用内定者に欠員が出た場合等、試験区分によっては合格者を追加。追加合格者には12月25日までに個別に通知前期第1次に合格していれば、講師勤務を条件に翌年一次全免除
宮城県追加名簿登載制度第2次選考で総合成績ランク「B」となった受験者は、教員需給上必要となった場合に追加で名簿登載となることがある。追加の通知は令和9年1月15日までランクBは翌年一次免除+講師の優先的任用
滋賀県補欠「合格」「不合格」とは別に若干名を「補欠」として通知(令和9年度採用の補欠は19人:小14・中4・高1)。補欠の人については12月上旬までに改めて「合格」か「不合格」を通知(第二希望で追加合格する場合、実技試験を課すことがある)補欠を含む二次不合格者は、講師勤務を条件に一般教養・教職教養が免除
島根県繰り上げ登載候補者第2次試験不合格者のうち若干名を繰り上げ登載候補者として通知(令和9年度採用は65人)。名簿登載者の辞退等で採用予定者数に満たない場合に登載。可否は10月30日までに通知繰り上げにならなかった人は翌年一次全免除(特例3)
福島県採用候補者名簿A/B名簿Bの登載者のうち令和9年4月1日採用となる人は11月末までに名簿Aへ繰り上げ。繰り上がらなかった人は臨時的任用職員等の候補者名簿にも登載繰り上がらなかった人は翌年の一次免除
兵庫県条件付合格第2次選考の結果は「合格」「条件付合格」「不合格」の3つ。条件付合格は合格者の辞退等により追加合格となることがある状態で、追加合格となる場合にのみ名簿に登載追加合格にならなかった人は、要件を満たせば翌年一次全部免除
富山県補欠名簿登載者以外に若干名を「補欠」と決定して通知(令和9年度採用の補欠は52人:小34・中高14・養護3・栄養1)。効力は令和9年2月28日まで補欠決定者は翌年の第1次検査が免除
鳥取県A登載・B登載名簿登載はA(令和9年度から正式に採用)とB(欠員の状況によっては採用)の2区分。A・Bそれぞれの受験番号がホームページに掲載されるB登載者は翌年の一次免除
宮崎県補欠制度第二次選考試験の不合格者のうち「補欠」と決定した人を採用内定者とすることがある。補欠の有無は二次の結果通知と併せて通知採用内定にならなかった補欠者は翌年の第一次選考試験が免除
京都府追加合格候補者第2次試験結果通知時に、追加合格とする可能性のある人にその旨を通知追加合格候補者は翌年すべての第1次試験が免除
秋田県追加合格合格者に欠員が生じた場合には、追加合格者を出す場合がある第二次選考試験の不合格者のうち総合評価が優秀な人は、翌年度の第一次選考試験が免除(同一の選考区分・志願種別に限る。結果通知で案内)
山形県繰り上げ合格合格者に欠員が生じた場合は、繰り上げ合格者を出す場合がある二次不合格者のうち判定通知に「前年度第二次選考試験Bランク特別選考(前特)に出願できます」と記載がある人は、翌年度の第一次選考試験が全部免除(同一の校種等・教科・科目に限る)
香川県追加合格種別によっては合格者を追加することがある。追加合格者には教育長から随時通知前年度一次合格+講師勤務なら特別選考Ⅴ
岐阜県補欠者名簿登載とならなかった人の中から補欠者を決定することがある。決定の有無は第2次選考の結果通知と併せて前年度一次合格者の免除が別にある

※出典:各自治体の令和9年度採用 実施要項・受験案内、愛知県教育委員会「令和9年度採用 第2次試験合格・補欠者について」(2026年8月28日)、富山県教育委員会「令和9年度 富山県公立学校教員任用候補者名簿登載状況について」(2026年9月18日)、滋賀県教育委員会「令和9年度 滋賀県公立学校教員採用選考試験(合格状況)」、島根県教育委員会「令和9年度(令和8年度実施)島根県公立学校教員採用候補者『一般選考試験』第2次試験の結果について」、岡山県教育委員会「第2次試験の結果について」各年度版。

いっぽうで、「補欠」という制度そのものを置いていない自治体もあります。神奈川県(代わりに「不合格(前年度試験実績者)」)、埼玉県、奈良県、和歌山県、群馬県、北海道(登録A・登録Bの2区分)、東京都(採用候補者名簿と期限付任用教員採用候補者名簿)などです。名前が違うだけで、実質的に同じ役割の仕組みを持っている場合があるので、「うちの県には補欠がないから終わり」と決めつけないでください。

■ 全国の教員採用試験 発表日一覧

使うときの落とし穴3つ

1. ほぼすべて「前年度と同一の校種・教科」が条件

今回まとめた制度は、ほぼ例外なく「前年度に受験した校種・職種・教科(科目)と同一の区分で出願する場合に限る」と書かれています。「小学校で二次まで行ったから、今年は中学校で免除を使おう」はできません。校種を変えるなら一次から受け直しです。

ただし例外もあります。北海道の大学3年生等選考は受検区分・教科を変更しても教養検査の免除が有効ですし、岐阜県は「異なる志願種別・教科に出願した場合は教職教養のみ免除」と、階段状の設計になっています。校種を変えたい方は、その一文があるかどうかを必ず読んでください。

2. 権利は「翌年度限り」。持ち越せない

福島県は「この取扱いは、第一次選考試験に合格して第二次選考試験を受験し、名簿登載にならなかった年度の翌年度に限る」、岐阜県は「この免除の適用は、第1次選考試験合格の翌年1回に限る」と明記しています。1年空けると権利は消えます。そして多くの自治体で「前年度に免除で受験した人は、翌年また同じ免除を使うことはできない」という連続使用の制限があります(岐阜・福岡・愛媛など)。

3. 自動では適用されない。出願時の「申請」が要る

ここがいちばん多い取りこぼしです。奈良県の受験案内には「出願時に免除申請が必要です。(免除申請が無い場合は対象であっても免除しません。)」とはっきり書かれています。広島県も「免除を受けるにも出願手続きは必要」で、出願時に前年度の受験番号を入力します。宮城県は「次年度の出願時に今年度の『出願者名票(受験票)』の提出が必要」、山梨県は一次免除者にも返信用封筒の郵送を求めています。

いま、捨ててはいけないもの
  • 今年の受験票(出願者名票)——宮城県・群馬県・広島県などで翌年の出願に必要
  • 第1次・第2次の結果通知書——京都府・長崎県・宮崎県・福岡県などで写しの提出が必要。ランクや評価が書かれた紙そのものが証明書です
  • 今年の受験番号——広島県・栃木県・茨城県などは出願時に前年度の受験番号を入力します。福島県は「本年度の受験番号が確認できる書類を保管しておいてください」と要項に書いています

それでも「免除は入口が広がるだけ」です

ここまで免除の話をしてきましたが、正直にお伝えしたいことがあります。一次免除は「合格の権利」ではありません。実際の数字を見てください。

自治体・ルート二次の結果
広島県「第1次選考試験免除」組(前年に二次を全科目受験した人)令和8年度採用:157人志願→144人が最終選考を受験→73人が名簿登載(登載率50.7%)。令和7年度採用は46.9%で、選考区分の中で最も低い
山口県「自己推薦特別選考」(前年度ランクC・D)令和9年度採用:志願31人(全員一次免除)→二次受験30人→名簿登載9人(約30%)。山口県全体の二次合格率は約60%
神奈川県「前年度試験実績者」令和9年度採用の二次:67人受験→23人合格(34.3%)。全体平均43.3%を下回る(令和8年度採用は55人→36人・65.5%で、全体平均49.2%を上回っていた)
山形県「前年度二次試験Bランク特別選考」(第一次全部免除)令和9年度採用:一次合格(免除)23人→二次合格13人(約57%)。全体は一次合格383人→二次合格288人(約75%)
埼玉県「臨時的任用教員経験者B選考」(第1次免除)令和8年度採用の合格率44.8%(A選考は30.4%、一般選考は28.0%)
愛知県「元教諭・講師経験者特別選考」(教職・教養免除)令和8年度採用:二次受験370人→合格136人(約37%)。全体平均は約50%

※出典:各教育委員会の公表資料(広島「選考試験の結果について」、山口「第一次・第二次試験の選考結果」、神奈川「実施状況詳細」「合格状況詳細」、山形「第一次選考試験 合格者数」「第二次選考試験 合格者数一覧」、埼玉「令和8年度選考試験結果」、愛知「結果について」)。割合は当ブログ算出。

免除されたルートほど合格率が高い、とは限らないんです。免除は「入口が広がるだけ」で、二次で問われる中身は何も変わりません。むしろ一次が免除されたルートには実力に幅のある層がまとめて進むので、分母が広がって率は下がります。差がついているのは免除の有無ではなく、浮いた時間を面接と模擬授業の準備にどれだけ回せたかです。

山口県の自己推薦特別選考が、一次全免除なのに二次の合格率30%——この数字の意味を正直にお伝えします。去年の二次で評価がC・Dだった原因は、筆記ではなく人物試験にあるということです。同じ準備で二次に戻れば、同じ結果になりやすい。だからこそ、まず「去年の二次で何を聞かれ、何と答えたか」を書き出すところから始めてください。

結果待ち・補欠のあいだにやってほしい3つ

補欠や追加合格候補の連絡を待っている時期は、いちばん動きにくい時期です。でも、この9月から12月をどう過ごすかで、来年がまるごと変わります。1月以降は年度末の締めで本当に忙しくなりますし、4月・5月には次の要項が出て出願が始まってしまう。腰を据えて準備できるのは、実は今この時期だけなんです。

① 今年の面接質問を記録する記憶が鮮明なうちに、聞かれた質問を全部書き出す。冷静に振り返ると「この文脈でこの質問なら、面接官はこういうことを聞きたかったのかもしれない。なのに私はこう答えていた」と客観視できます。翌年、一次免除で二次だけの勝負になるなら、その記録がそのまま最強の教材です
② 習慣化する不安な時期は意志の力だけでは動けません。外部からの強制力を借りる。友達と週2回の模擬授業をやると決める、勉強会の時間を先に押さえる。ゼロから習慣を作るのは難しいので、仕組みのほうを先に作ってしまう
③ 頭ではなく体を動かす不安や恐怖は、脳の扁桃体が活発になるほど大きくなります。ジョギング・ウォーキング・筋トレでその働きは抑えられます。何かしら行動を起こしていると、不安は小さくなっていきます

そして「自分の何がダメだったんだろう」と考え込みすぎないでください。教員採用試験は採用される枠が決まっている相対評価です。「何が良くなかったのか」より、面接官はどんな人を採用したいのか/これから磨いていける自分の武器は何か/自分の使命感はどこにあるのか——そこを考えるほうが建設的だと私は思います。そうすると、強いライバルがいるなかで「あなたを選ぶ理由」が明確になっていきます。

自治体別の詳しい免除・特別選考はこちら

この記事は「二次で落ちた人の免除」に絞っています。大学3年生前倒し・講師経験・現職・大学推薦・加点まで含めた全体像は、自治体ごとの記事にまとめました。

  • 北海道・札幌市/茨城県/栃木県/群馬県/埼玉県/千葉県・千葉市
  • 東京都/神奈川県/横浜市/愛知県/大阪府/兵庫県
  • 奈良県/和歌山県/岡山県/広島県・広島市/山口県/愛媛県/福岡県

よくある質問

Q. 私の県は表に載っていません。制度は無いということですか?

A. いいえ。この記事の表は令和9年度採用の実施要項から条文を確認できたものだけを載せています。要項に別紙で定めがある場合や、結果通知で個別に案内される場合(札幌市・島根県など)は、要項本体からは読み取れません。まずは今年の結果通知書を最後まで読み、それでも分からなければ教育委員会の担当課に電話で確認してください。「制度が無い」と自分で結論を出す前に、必ず一次情報にあたることをおすすめします。

Q. 一次で落ちた場合は、翌年に何も残らないのですか?

A. 自治体によっては残ります。京都府は「前年度の試験で小論文・教職教養・専門を受験し、基準を満たした科目」がそのまま翌年免除になります。奈良県は1次の教科専門で200点満点中160点以上(実技教科は250点満点中200点以上)なら、翌年その科目が免除。山口県の大学3年生受験も「一定の基準に達している試験項目があれば翌年度その項目を免除」と要項に明記されています。福井県には「昨年度基準到達者」という区分があります。合格していなくても、点数が残っている自治体があるということです。

Q. 一次免除と加点は同時に使えますか?

A. 自治体によって扱いが真逆です。茨城県は「志願者の特例を希望する方は、加点制度を利用できません」と明記。和歌山県は免除と加点の組み合わせ可否が表で決められています。京都府は「免除を重複して使用することは可能です」とQ&Aで答えています。兵庫県は「第1次を全部免除される人に加点は意味がない(一部免除なら残る科目に働く)」という設計です。免除で確実に一次を通すか、加点で得点を上げるか——出願前に必ず要項の表で確認してください。

Q. 二次で不合格になった年に講師の話が来なかったら、免除は使えませんか?

A. 「講師をしていること」が条件なのは早見表②のグループです。早見表①の自治体(福島・広島・山口・栃木・宮城・島根・長崎・東京・愛知・宮崎・富山・鳥取・京都・長野・札幌市)は、職を問いません。ご自身の自治体がどちらのタイプかで、来年の動き方が変わります。なお、岡山県のように補欠者を翌年度から常勤講師等として優先的に任用すると要項に書いている自治体、宮城県のようにランクBの人に講師の優先任用を用意している自治体もあります。

Q. 補欠のまま年度末を迎えたらどうなりますか?

A. 有効期限が来て失効します(愛知県は令和10年3月31日、岡山県は令和9年3月31日、富山県は令和9年2月28日)。ただし失効しても、翌年の一次免除の権利まで消えるわけではありません。愛知県は「昨年度の補欠者に対する特別選考」、宮崎県は「補欠となった受験区分・教科に限り第一次選考試験を免除」と、それぞれ別の条文で定めています。採用の連絡を待ちながら、来年の二次対策を進めるのが得策です。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

免除ルートで受験された方の「二次で何を聞かれたか」は、同じルートで受ける来年の受験生にとって何より貴重な情報です。そして今年の面接質問を記録して報告することは、来年のご自身のためにもなります。書き出す作業そのものが、いちばんの振り返りになるからです。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

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