【教員採用試験】宮崎県の個人面接|受験者4名の実録と出題傾向(二次は個人面接・模擬授業・グループワーク各30点)

こんにちは、金井志津乃です! 

宮崎県の二次って、模擬授業のテーマが事前に配られるって本当ですか? あと「グループワーク」って、集団討論とは違うんでしょうか……。

どちらも本当です! 宮崎県は模擬授業もグループワークも、題材が第二次選考試験の受験者に事前通知されるのが最大の特徴。しかも一次の得点は二次に持ち越されません(二次が同点の場合のみ、一次得点を選考に反映します)。つまり二次は原則としてリセットの勝負です。何が出るか分かっている試験だからこそ、準備した人が勝ちますよ!

この記事では、宮崎県公立学校教員採用選考試験の第二次選考試験——個人面接・模擬授業・グループワークについて、実際に受験した方々からご提供いただいた「生の質問」をもとに、内容・流れ・傾向と対策をまとめます。

この記事の根拠

  • 令和6・7年度採用(2023・2024年夏実施)の受験者4名の実録を、年度別・校種別に収録(すべて無料で読めます)
  • 市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用)の宮崎県分73問を独自に集計——宮崎県に特有の出題の偏りがデータで分かります
  • 日程・配点・評価の観点・実技の対象は令和9年度採用の実施要項および「よくある質問Q&A」と照合済み
  • 宮崎県の倍率・特別選考は別記事にまとめています →宮崎県の倍率/宮崎県の特別選考と一次免除ルート
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
令和9年度採用(2026年夏実施)|選考の日程

出願(電子申請のみ):一般選考 4月1日(水)〜4月30日(木)正午/特別選考 4月1日(水)〜4月27日(月)正午
書類の郵送:一部試験免除〜5月8日(金)/特別選考〜4月30日(木)/加点申請〜5月29日(金)(いずれも当日消印有効・簡易書留)
特別選考の書類選考結果:5月27日(水)にメールを発送予定/受験票等のPDF配信:5月29日(金)
第一次選考試験:6月14日(日)(予備日6月21日)/第一次の結果発送:7月6日(月)(県HPに受験番号を掲載)
第二次選考試験:7月25日(土)〜8月2日(日)のうち指定された1日(要項の日程。会場:宮崎東高等学校)
最終結果の発送:9月11日(金)

気をつけたいのが特別選考の締切が一般選考より3日早いことと、免除・加点の書類は締切がバラバラだということ。免除申請だけは5月8日(金)と早いので、講師経験や補欠での免除を使う方はゴールデンウィーク前に雇用証明書の準備を終えておいてください。※令和10年度採用の日程は、実施要項の公開(例年3月末〜4月)後に更新します。
出典:令和9年度(令和8年度実施)宮崎県公立学校教員採用選考試験実施要項

お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

第二次選考試験の形式|30秒でわかる基本情報

科目と配点模擬授業30点+個人面接30点+グループワーク30点=90点(全受験区分共通)。実技のある区分はこれに10〜30点が加わり、合計100〜120点になります(実施要項P14)。
個人面接面接官3人・15〜20分という報告が中心(市販過去問集の形式メモでも「面接官3人、15分」「面接官3人、20分」の記載)。面接シート(志望動機等)からの質問があったという報告あり。
模擬授業10分(受験者報告)。領域・単元名等は第二次選考試験の受験者に事前通知されます。小学校教諭等全教科は国語科・算数科・道徳科のいずれか、小学校教諭等英語・特別支援はそれぞれ専門の内容。中学校技術・高等学校情報はICT端末を用いた模擬授業。授業後に質問があります。
グループワーク「数名のグループで協力して課題に取り組むもの」(要項・Q&A A28)。報告では受験者4〜5人・面接官2人・35分(3分の発表を含む)。課題も事前に通知されます。校種・教科が異なる受験者でグループが組まれたという報告があります。
実技小・中・高の英語(外国語科で活用する英会話)、中音楽・高芸術(音楽)・特支音楽、中美術・特支美術、高芸術(書道)、養護教諭(救急処置等)。中学校・高等学校の保健体育は一次・二次とも実技なし(Q&A A27)。
令和9年度の変更点小学校教諭等(全教科・特別支援)の英会話を廃止(実施要項の「今年度の主な変更点」)。過去の受験者報告にある「小学校の個人面接の最後に英会話」は、令和9年度採用からは実施されません。
小論文実施されません。第一次は教職教養と専門(+英語受験者はリスニング)、第二次は上の3科目+実技のみです。
一次の点は残る?残りません。「第一次選考試験の得点結果は、第二次選考試験の選考には反映されません」(要項P8)。ただし第二次が同点だった場合にかぎり、一次の得点を反映します。

宮崎県対策で最初に頭に入れてほしいのは、この「二次は原則リセット」という一点です(二次が同点の場合のみ、一次得点を選考に反映します)。一次を1位で通過しても、二次で90点満点(実技のある区分は100〜120点満点)を取り直すことになります。逆にいえば、ぎりぎりで一次を通過した人にも同じチャンスがあるということ。しかも模擬授業とグループワークは題材が事前に分かります。

科目配点準備の軸
模擬授業30点題材が事前通知される=指導案・導入・発問・板書を作り込む時間がある。授業後の「この後の展開は」「身に付けさせたい力は」「工夫したところは」まで用意する。
個人面接30点宮崎県の教育課題とコンプライアンスが目立ちます。面接シートに書いた志望動機からも深掘りされる。
グループワーク30点課題も事前通知。アイデアを3つ出して発表する型が続いている。当日は自分が用意したアイデアを出し合うところから始まる(受験者報告)。
実技10〜30点対象区分のみ。内容・持参物は一次合格通知と一緒に7月上旬に郵送(Q&A A26)。

3科目が30点ずつのフラットな配点というのも大事なポイントです。「面接だけ頑張る」では届きません。模擬授業とグループワークにも同じだけ時間を割いてください。まずは面接対策の全体像を、この動画で土台から固めておきましょう!

評価する観点(令和9年度採用 実施要項P14より)

模擬授業・個人面接/教員としての適性、専門的知識・技能、授業構成力、指導方法・手立ての工夫等の実践的指導力等を総合的に評価します。教職教養を含め、教育者としての使命感や意欲、幅広い社会性や人間性等を総合的に評価します。

グループワーク/課題に基づくグループワークを通して、コミュニケーション能力や社会性、教養の豊かさや人間性等を総合的に評価します。

実技試験/必要な専門的技能、課題解決への意欲等、実技に関する能力を総合的に評価します。

注目してほしいのは、模擬授業と個人面接の観点が「一文でまとめて」書かれていることです。宮崎県では、模擬授業と個人面接が同じものさしで評価されると読めます。授業で見せる姿と、面接で語る教育観がバラバラだと弱い、ということですね。

宮崎県の倍率|令和9年度採用は9月11日に最終結果を公表(内定366人・最終倍率2.4倍)

令和9年度採用(2026年夏実施)について宮崎県教育委員会が公表しているのは、出願登録状況(2026年6月1日)・第一次選考試験の合格者(2026年7月6日)・第二次選考試験の結果(2026年9月11日)です。第二次選考試験の結果は、採用予定464人程度に対して採用内定者366人、最終倍率2.4倍(一次試験受験者882人÷採用内定者366人)でした。合否通知は9月11日(金)付けで郵送され、同日に合格者の受験番号が県ホームページに掲載されました。

受験区分採用予定出願登録者出願登録倍率第一次合格者(参考)令和8年度の出願登録倍率第一次試験受験者(第1希望)採用内定者最終倍率
小学校教諭等200人211人1.1倍171人0.9倍197人155人1.3倍
中学校教諭等168人270人1.6倍175人2.1倍251人118人2.1倍
高等学校教諭等53人289人5.5倍119人4.4倍264人54人4.9倍
特別支援学校教諭等32人88人2.8倍73人2.6倍78人28人2.8倍
養護教諭11人96人8.7倍31人11.8倍92人11人8.4倍
合計464人954人2.1倍569人2.1倍882人366人2.4倍

※出願登録倍率=出願登録者数÷採用予定者数(宮崎県教育委員会の公表値)。出願登録者数は第1希望のみの数で、大学3年生チャレンジ受験の出願登録者は含みません。採用予定者数は特別選考(スポーツ分野)の4人を除いた数で、確定したものではありません。第一次合格者数は校種ごとの公表値(特別選考試験の合格者・第一次選考試験の免除者を含む)で、合計569人は私の集計です。令和9年度採用では栄養教諭の募集がありません(令和8年度は採用予定1人・出願登録16人)。表の右端3列(第二次選考試験の結果)の最終倍率は、一次試験受験者数(第1希望の受験区分)÷採用内定者数で、宮崎県教育委員会の公表値です。採用内定者数は併願受験合格者を含みます。
出典:宮崎県教育委員会「令和9年度(令和8年度実施)宮崎県公立学校教員採用選考試験の出願登録状況について」(令和8年6月1日)、「令和9年度(令和8年度実施)宮崎県公立学校教員採用第一次選考試験の合格者について」(令和8年7月6日)、「令和9年度(令和8年度実施)宮崎県公立学校教員採用第二次選考試験の結果について」(令和8年9月11日)

この表で驚いてほしいのが小学校の1.1倍——そして令和8年度採用は0.9倍と、出願の段階で採用予定を下回っていたということです。中学校も国語0.6倍・理科0.8倍・美術0.4倍・技術0.3倍・家庭0.2倍と、免許さえあれば大きなチャンスがある教科が並びます。一方で高校は5.5倍、養護教諭は8.7倍。宮崎県は「校種・教科でまったく別の試験」だと思ってください。教科別の数字は倍率記事に載せています。

■ 宮崎県の倍率|令和9年度採用の最終結果と7年間の推移・教科別の全データ
■ 宮崎県の特別選考と一次免除ルート|10種類の特別選考・大学3年生チャレンジ受験・補欠者・加点15項目

① 宮崎県の教育課題|受験者4名全員が聞かれた最重要テーマ

実録を並べて最初に見えたのがこれです。4名全員が「宮崎県の課題」を聞かれています。しかも聞き方が校種ごとに少しずつ違い、答えた内容からさらに深掘りされています。

  • 宮崎の課題について教えてください。→(答えた内容で深掘り)学力テストの結果から学力向上について。→ 個別最適な学びについて。→ 不登校について。(小学校)
  • 本県の教育的課題は何ですか。→ その課題にどのように対応しますか。(学力向上と体力の二極化について)(小学校)。
  • 宮崎県の子どもの課題を解決するために、どのような教育を行いたいですか。(高等学校)
  • 宮崎県民の課題は何ですか。(栄養教諭)

「宮崎県民の課題」まで聞かれているのが印象的です。教育の話に閉じず、県全体をどう見ているかを問われています。答えの土台になるのは宮崎県教育振興基本計画(令和5年策定・計画期間は令和5年度〜8年度。令和9年度以降の計画は、宮崎県教育委員会の公式ページでご確認ください)。スローガンは「未来を切り拓く 心豊かでたくましい 宮崎の人づくり」で、7つの基本目標と19の施策が示されています。

宮崎県教育振興基本計画の7つの基本目標
  1. 多様性を認め合い、一人一人を大切にする教育の推進(施策:いのちと人権を守り豊かな心を育む教育/特別支援教育/全ての児童生徒に応じた教育機会の確保)
  2. 次代へ向けて学び続ける子供たちを育む教育の推進(幼児期の教育/確かな学力/教育の情報化)
  3. ふるさとへの誇りと愛着を持ち、世界を視野に活躍する人材の育成(郷土を愛し地域社会に参画する態度を育む教育/社会の変化に対応した多様な人材/キャリア教育・職業教育)
  4. スポーツを生かした「未来のみやざき」づくりの推進
  5. 生涯を通じて学び、文化に親しむ社会づくりの推進(生涯学習/文化の振興/読書県づくりの推進)
  6. 学校業務の改善と教職員の資質能力の向上(働き方改革/教職員の資質能力)
  7. 教育効果を高める体制や環境の整備・充実

出典:宮崎県教育振興基本計画(令和5年策定)概要版。
推進指標には「不登校児童生徒のうち学校内外の機関等で相談・指導等を受けている児童生徒の割合(令和3年度:小54.1%・中47.7%・高68.6%→令和8年度:いずれも75.0%)」「全国学力・学習状況調査における各教科の平均無解答率(令和4年度:小3.0%・中6.8%→令和8年度:小2.0%・中4.1%)」「ふるさとが好きだと答えた児童生徒の割合(令和4年度:小93.1%・中88.0%・高80.4%)」などが並びます。

実録で挙がった学力向上・不登校・体力の二極化は、この計画の推進指標と対応しています。同じく実録で挙がった個別最適な学びは、施策5「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善」に関わる内容です。「宮崎県の課題は何ですか」に答えるときは、計画の言葉+自分が現場でどうするかをセットにしてください。

② 志望動機・あなた自身のこと

宮崎県の個人面接は、事前に電子申請で提出する面接シート(志望動機等)をもとに進みます。受験者の報告では、実際に以下のような質問がありました。

  • 宮崎県の教員を志望した理由は何ですか。/宮崎を志望した理由を教えてください。(志望理由は4名全員に出題。うち「宮崎(県)を」と明示して聞かれたのは2名)
  • 小学校教諭を希望した理由を教えてください。/教員を志望したわけを教えてください。
  • 講師経験を通してよかったこと、悪かったことを教えてください。/講師をして大変だったことを教えてください。
  • 他の自治体の教採、もしくは企業などの試験は受けていますか。(複数の報告)
  • 採用された場合、いろいろな市町村に異動することになりますが、生活に支障はないですか。/赴任地について教えてください。
  • 採用されたときの期待と不安について教えてください。
  • (願書・面接シートに書いた内容からの質問)

「他の自治体を受けているか」「どこへでも異動できるか」は、宮崎県で確認されることが多いようです。「はい、県内どこでも」+そこで何をしたいかを一言添える形にしておきましょう。志望理由の作り込みは、実演のbefore・afterで見るのが一番早いです。

面接シートの書き方と、そこから何を深掘りされるかは、専用の記事にまとめました。

■ 宮崎県の面接シート(面接カード)の書き方|面接で深掘りされる欄を実録から逆算

③ コンプライアンス・服務|宮崎県で目立つ質問

実録でも市販過去問集でも、繰り返し出てくるのがコンプライアンスです。宮崎県の聞き方は「一番気をつけたいこと/一番大事だと思うこと」を1つに絞らせるのが特徴です。

  • コンプライアンスで気をつけたいことは何ですか。(栄養教諭)
  • コンプライアンスで1番大事だと思うことは何ですか。(高等学校)
  • 教員の不祥事について教えてください。(小学校)

市販の全国版過去問集でも、宮崎県は「教員の守るべきコンプライアンスの中であなたが一番気をつけたいもの」型の出題が繰り返し収録されています。「1つ選ぶ」と言われたときに即答できるかが分かれ目です。SNS・個人情報の管理・体罰・飲酒運転・金銭の取り扱い——このうち自分が一番落とし穴になりそうなものを1つ決め、「なぜそれか」「そのために何をするか」まで言えるようにしておいてください。

④ 保護者・地域からの信頼とICT

この2つも、宮崎県では複数の受験者に共通して出ています。

  • 地域や保護者から信頼されるためにはどうしますか。(栄養教諭)
  • 保護者や地域から信頼されるために、どんなことを大事にしたいですか。(高等学校)
  • ICTの良さは何ですか。(栄養教諭)/ICTのメリットは何だと思いますか。(高等学校)
  • 不登校の生徒がいた場合、どう対応しますか。(高等学校)

市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用・宮崎県分73問)を集計すると、宮崎県は地域連携の出題率が全国平均の約4倍、外国籍・多様性が約11倍、いじめが約2.6倍、特別支援・合理的配慮が約2.3倍、ICTが約2.2倍という結果でした。「地域」と「多様性」が宮崎県の2大キーワードだと考えてよさそうです。教育振興基本計画の基本目標1(多様性)と基本目標3(ふるさと・地域)にそのまま重なります。

⑤ 模擬授業|10分・題材は事前通知・児童役なし

宮崎県の模擬授業は受験区分の教科・領域で行う「授業そのもの」です。高校地歴の報告では、場面指導や学級活動ではなく教科の授業でした。一方、栄養教諭の報告には特別活動の題材があります。受験者の報告に共通する流れはこうです。

  1. 題材(領域・単元名等)が事前に通知される。「一次の発表と同時に分かった」という報告あり。事前準備は可能/教材の持ち込みは不可。
  2. 小学校教諭等全教科は国語科・算数科・道徳科のいずれか(要項)。「試験日ごとに決まっている」という報告もあります。
  3. 10分間実施したという報告があります。小学校算数の1名は、児童役なし・1人1台端末がある想定で、子どものつぶやきを拾いながら進めたと報告しています。
  4. 授業後に質問:「この後の流れ・展開は」「身に付けさせたかった力は」「工夫したことは」「難しかったところは」

実際に出題された題材です(受験者報告より)。

  • 【小学校・算数】4年生の「割合」の導入の授業を行いなさい。(児童役なし・1人1台端末がある想定)→ この後の展開は。→ この授業で身に付けさせたい力は。→ 難しかったところは。
  • 【小学校・道徳】高学年「幸せのコアラ」のはじめの10分の授業を行いなさい。(課題は事前に配布)
  • 【小学校・特別活動(栄養教諭)】第5学年【題材名】体によいおやつについて考えよう。おやつのとり方と健康について1時間で取り扱いたい。夏季休業明けに授業が位置付けられていることや、おやつのとり方に問題のある児童が多いという実態を想定して、導入場面の授業を行いなさい。(10分)→ この後の流れは。→ 身につけさせたかったことは。→ 工夫したことは。
  • 【高等学校・地理歴史】「世界恐慌とナチ党の台頭」の授業を行いなさい。与えられた2つのグラフ(黒板に貼って活用する)を使い、生徒は1人1台タブレット端末を持っている設定で行う。(10分)

4件を並べると、宮崎県の出し方がはっきり見えます。①「導入」または「はじめの10分」を指定してくる ②「こういう実態の子どもたちだと想定して」と条件が付く ③グラフや端末など「使う道具」が指定される——つまり、授業のうまさより「この条件でどう組み立てるか」を見ているのではないかと考えられます。

私が模擬授業の指導をしてきて、評価が高い人に共通していたのは3つです。①子どもが見える——目の前に本当に子どもがいるような授業で、想定している反応や疑問がリアル。②意図が見える——なぜその発問を、なぜそのタイミングで、なぜその立ち位置で、と一つ一つに理由がある。③その人らしさが光る——この授業を通して子どもたちに何を学んでほしいのか、という思いが出ている。宮崎県は題材が事前に分かるのですから、この3つは準備の段階で作り込めますよ!

「落ちる模擬授業」と「受かる模擬授業」を同じ題材で実演した動画もあります。導入の作り方の差がそのまま評価の差になることが、見ると一発で分かります。

⑥ グループワーク|35分・アイデアを3つ出して3分で発表

要項での名称は「グループワーク」(旧「集団討論」)。Q&Aでは「数名のグループで協力して課題に取り組むもの」と説明され、課題は第二次選考試験の受験者に事前に知らされます。受験者報告から分かる進み方はこうです。

  1. 校種や科目が異なる受験者でグループが組まれる(受験者4〜5人・面接官2人という報告。市販過去問集の形式メモでは「面接官2人、受験者5〜6人、35分」)
  2. 円座になって35分。3分以内の発表を含むので、話し合いは実質30分程度。
  3. テーマは事前通知のため、「開始後は1からアイデアを考える時間はなく、受験者それぞれが準備してきたアイデアをいきなり出し合うところから始まった」(高等学校の受験者報告)
  4. 話し合いの進め方や発表の方法も受験者側で自由に決める。発表は指定された座席に着座したまま行う(市販過去問集の形式メモ)。
  5. 持ち込めるものは筆記用具と本用紙(メモ用)のみ。配布された用紙への書き込みは可。

そして、ここが宮崎県対策のいちばんおいしいところです。過去のテーマを並べると、出どころがはっきり見えます。

実施年(採用年度)テーマの主題対応する教育振興基本計画
2022年夏(令和5年度採用)宮崎県の特産物をアピールする動画の内容基本目標3(ふるさとへの誇りと愛着)
2023年夏(令和6年度採用)「読書県みやざき」——県民がさらに進んで読書に取り組めるアイデア施策14 読書県づくりの推進
2024年夏(令和7年度採用)「郷土を愛し、地域社会に参画する態度を育む教育」——地域の課題解決に主体的に参画する意識を育てる教育活動のアイデア施策7 の名称そのまま
2025年夏(令和8年度採用)「多様性を認め合い、一人一人を大切にする教育」——互いの違いを認め尊重し合い、一人一人の可能性や個性を引き出す教育活動のアイデア基本目標1 の名称そのまま

※テーマの主題は市販の全国版過去問集および受験者報告から。テーマの全文は転載していません。宮崎県教育振興基本計画(令和5年策定)との対応は私による整理です。

お分かりでしょうか。宮崎県のグループワークのテーマは、宮崎県教育振興基本計画の基本目標・施策の名前がほぼそのまま出ています。しかも形式は3年連続で「〜のアイデアをグループで話し合い、3つ発表しなさい」。テーマは事前通知されますが、通知が来る前に7つの基本目標それぞれで「アイデアを3つ」考えておけば、ほぼ全部カバーできるということです。これは知っているかどうかで差がつきますよ!

実際の話し合いでは、時間配分が命綱になります。35分・5人なら1人あたり7分。これを一気に7分話してしまうのが最悪のパターンです。

私は、結論・理由の順で、1回あたり30秒〜1分に整理して話すことをすすめています。私は、短すぎると要点だけになって説明が伝わらず周りをまとめにくくなり、長すぎると独演会になって貢献度・協調性の評価が下がりやすいと考えています。「1分を、要所要所で複数回」——これが、35分・5人の場合の私の目安です。

あわせて、私が「これだけはやってはいけない」とお伝えしている5つも押さえておいてください。①我を通す(反対意見への苛立ちを顔に出す)②長時間話す ③論点がずれる ④相手を見下す(講師の方が「学生さんは現場経験がないと思いますので」と言ってしまう類い)⑤無理に司会をする。宮崎県は校種も教科も違う人と組まされるので、④は特に気をつけてください。

全国の集団討論の過去問と、テーマ別の考え方はこちらにまとめています。宮崎県のように「アイデアを出す型」の練習素材としても使えます。

■ 教員採用試験の集団討論【過去問140問程度】

⑦ 実技(英会話)|令和9年度から小学校全教科・特別支援は廃止

令和6・7年度採用の受験者報告には、小学校の受験者が個人面接の最後に英会話を受けたという記録が残っています。

  • 【小学校】新学期の児童向け自己紹介/夏と冬はどちらが好きか、その理由/どこの国に行きたいか、その理由
  • 【小学校】6年生の初めての授業のスモールトークと、英会話での質問(個人面接の最後に実施)

ただし、令和9年度採用(2026年夏実施)からは、小学校教諭等(全教科・特別支援)の英会話は廃止されました(実施要項「今年度の主な変更点」)。英会話が実施されるのは小学校教諭等英語・中学校教諭等英語・高等学校教諭等英語の受験者で、内容は当日発表です。上の質問は「宮崎県が英語で何を見ようとしていたか」の参考として残しておきますが、小学校全教科のみを受験する方は英会話の対策は不要です。ただし、第1希望・第2希望のいずれかに英語を含む場合は英会話を実施します。

【資料編】年度別・受験区分別 過去問アーカイブ|受験者4名の実録を収録

ここからは、受験者の報告を年度別・受験区分別に整理して収録します。個人が特定される経歴・固有のエピソードに関する記述は省略・一般化しています。

令和7年度採用(2024年夏実施)|2名の実録

高等学校・地理歴史

  • 【個人面接】宮崎県の教員を志望した理由。/ICTのメリットは何だと思うか。/保護者や地域から信頼されるためにどんなことを大事にしたいか。/コンプライアンスで1番大事だと思うことは何か。/不登校の生徒がいた場合、どう対応するか。/宮崎県の子どもの課題を解決するためにどのような教育を行いたいか。/願書からの質問。/他の自治体の教採、もしくは企業などの試験は受けているか。/採用された場合、いろいろな市町村に異動することになるが生活に支障はないか。
  • 【模擬授業】受験科目で10分間(場面指導や学活ではない)。テーマは一次試験合格者に事前通知。「世界恐慌とナチ党の台頭」——与えられた2つのグラフ(黒板に貼って活用する)を使い、生徒は1人1台タブレット端末を持っている設定で授業を行う。
  • 【グループワーク】校種や科目が異なる受験者で構成。5人1グループで話し合い、発表まで行う。テーマは模擬授業と同様に一次試験合格者へ事前通知されているため、開始後は各自が準備してきたアイデアをいきなり出し合うところから始まった。35分(3分の発表時間を含むため、30分程度でまとめる必要がある)。進め方や発表の方法も受験者側で自由に決める。

小学校・全科

  • 【個人面接】教員を志望したわけ。/本県の教育的課題。→ 課題にどのように対応するか(学力向上と体力の二極化について)。/採用されたときの期待と不安について。
  • 【模擬授業】道徳・高学年「幸せのコアラ」のはじめの10分。事前に課題は配布されている。
  • 【グループワーク】4人で円座。協議35分、最後に発表3分。地域への関心を高め、参画を推進する教育的活動のアイデアを3つあげる。
  • 【実技・英会話】個人面接の最後に実施。6年生の初めての授業のスモールトークと英会話での質問。※令和9年度採用から小学校教諭等全教科の英会話は廃止。

令和6年度採用(2023年夏実施)|2名の実録

小学校・全科

  • 【個人面接】宮崎を志望した理由。/小学校教諭を希望した理由。/講師をして大変だったこと。/宮崎の課題——答えた内容で深掘り(学力テストの結果から学力向上/個別最適な学びについて/不登校について)。/教員の不祥事について。/他県、他の採用は受けているか。/赴任地について。
  • 【模擬授業】国語・算数・道徳のいずれか1つが試験日ごとに決まっている。内容は一次の発表と同時に分かる。事前準備可能・教材持ち込み不可。この受験者は4年の「割合」の導入。児童役なし、1人1台端末がある想定で児童のつぶやきなどを拾いながら行う。→ この後の展開。→ この授業で身に付けさせたい力。→ 難しかったところ。
  • 【グループワーク】試験官2人・受験者5人。35分(発表3分を含む)。図書推進のための新しいアイデアを、課題を踏まえて3つ発表する。
  • 【実技・英会話】新学期の児童向け自己紹介/夏と冬どちらが好きか、その理由/どこの国に行きたいか、その理由。※令和9年度採用から小学校教諭等全教科の英会話は廃止。

栄養教諭

  • 【個人面接】志望理由。/講師経験を通してよかったこと、悪かったこと。/コンプライアンスで気をつけたいこと。/宮崎県民の課題。/地域や保護者から信頼されるためには。/ICTの良さ。
  • 【模擬授業】10分間。教科:特別活動/対象学年:小学校第5学年。【題材名】体によいおやつについて考えよう——おやつのとり方と健康について1時間で取り扱いたい。夏季休業明けに授業が位置付けられていることや、おやつのとり方に問題のある児童が多いという実態を想定して、導入場面の授業を行いなさい。→ この後の流れ。→ 身につけさせたかったこと。→ 工夫したこと。
  • 【グループワーク】35分で、話し合いと3分間の発表。「読書県みやざき」を目指す施策を踏まえ、県民がさらに進んで読書に取り組むことのできる新しいアイデアをグループで話し合い、3つ発表する。

宮崎県の実録は令和8年10月時点で4名分です。受験された方の報告が、このページをさらに育てます。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。とくに中学校・特別支援学校・養護教諭の報告は令和8年10月時点で届いていません。あなたの1件が、来年の受験生を助けます。

傾向と対策|実録と5年分の出題データから見えた7つの法則

受験者4名の実録と、市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用・宮崎県分73問)の集計から見えた、宮崎県の法則です。

  1. 確認した実録4名では、全員が宮崎県・県民・子ども等の課題に関する質問を受けています。答えた内容から深掘りされた報告もあります。教育振興基本計画の推進指標(学力・不登校・体力・ふるさと意識)を自分の言葉に落としておきましょう。
  2. グループワークのテーマは教育振興基本計画から出ている。3年連続で基本目標・施策の名称がほぼそのまま使われ、確認した資料にはアイデアを3つ発表する課題があり、3分以内で発表する指定がある年度もあります。
  3. 模擬授業もグループワークも題材は事前通知。当日の思いつきではなく準備の質が点になります。「一次の発表と同時に分かった」という報告もあるので、一次の直後から動ける状態にしておくのが理想です。
  4. 一次の得点は二次に持ち越されない(同点時のみ反映)。二次は90点満点(+実技)の勝負。一次をぎりぎりで通過した人にも同じチャンスがあります。
  5. コンプライアンスは「1つに絞らせる」聞き方。「一番気をつけたいこと」「一番大事だと思うこと」を即答できるようにしておく。
  6. 地域連携・多様性・いじめ・特別支援・ICTの出題率が全国平均を大きく上回る。地域連携は全国平均の約4倍、外国籍・多様性は約11倍。逆に生成AI・SNS・安全危機管理・キャリア教育は収録がありませんでした(市販過去問集での集計)。
  7. 過去問は県内4か所で閲覧できる。筆答試験問題と標準解答は過去5年分、模擬授業題材とグループワーク題材は過去3年分を、県民情報センター・中部/南部/北部の各教育事務所で閲覧できます(平日8:30〜17:00・Q&A A33)。宮崎県内・近隣の方は、ここに行くのが最強の対策です。

なお、市販過去問集での宮崎県の追質問(深掘り)の収録率は2.7%で、全国平均の約10.5%より低めでした。ただし実録には、宮崎の教育課題について、答えた内容を深掘りされた報告があります。数字を鵜呑みにせず、深掘り前提で準備してください。深掘りに強くなるコツは、面接官が「知りたい順番」を先回りすることです。

宮崎県では、このような教師を求めています(実施要項の冒頭より)
  • 子どもに対する愛情と教育に対する情熱・使命感をもち、子どもとの信頼関係を築くことができる。【愛情と情熱・使命感】
  • 分かりやすい授業を行い、子どもに確かな学力を育成するなど高い専門性を身に付けている。【高い専門性】
  • 社会人としての幅広い教養と良識や倫理観、心の豊かさを身に付けている。【幅広い社会性、倫理観、人間性】
  • 絶えず学び続け、自らの資質能力を高めている。【学び続ける姿勢】

この4つは、第二次選考試験の評価の観点とも重なります(対応づけは私の整理です)。模擬授業=「高い専門性」、個人面接=「愛情と情熱・使命感」「学び続ける姿勢」、グループワーク=「幅広い社会性、倫理観、人間性」。回答をこの4つのどれかに着地させると、3科目を通して一貫した人物像が伝わります。

また、『生徒指導提要(改訂版)』には、不登校・いじめ・多様性への対応が体系的にまとめられています。宮崎県の個人面接で聞かれる「不登校の生徒がいた場合の対応」を考えるうえで必読です。

よくある質問

Q. 宮崎県に小論文(論作文)はありますか?

A. ありません。第一次選考試験は「教職教養」と「専門」の筆答試験(英語受験者はリスニング)、第二次選考試験は模擬授業・個人面接・グループワーク(+対象区分は実技)です。実施要項にも小論文の記載はありません。

Q. 場面指導はありますか?

A. 実施要項に「場面指導」という科目はありません。高等学校の受験者からは「宮崎県の模擬授業は場面指導や学活ではなく、受験科目で10分間行う」という報告が届いています。ただし個人面接では「不登校の生徒がいた場合、どう対応しますか」のような対応を問う質問が出ていますので、場面ごとの対応は言葉で説明できるようにしておきましょう。

Q. 模擬授業の題材は、いつ分かりますか?

A. 実施要項には「『模擬授業』の領域、単元名等については、第二次選考試験受験者へ事前にお知らせします」とあります。受験者報告では「一次の発表と同時に分かった」というものと、「事前に課題が配布されていた」というものがあります。いずれにしても、報告では一次合格の通知と同時、またはそれ以前に題材が分かった例があります。届き次第すぐ準備に入れるよう、段取りを組んでおいてください。

Q. 中学校・高等学校の保健体育に実技はありますか?

A. ありません。「よくある質問Q&A」に「第一次選考試験及び第二次選考試験いずれにおいても実技試験は実施しません」と明記されています。

Q. 併願受験をした場合、模擬授業は2回受けるのですか?

A. いいえ。第一次選考試験で第1希望と第2希望の両方に合格した場合は、第1希望の受験区分のみで模擬授業を受験し、第1希望の模擬授業の得点により第2希望の合否を判定します(実施要項)。令和9年度採用からは併願が可能な受験区分・教科が増えました。

Q. 不合格だったとき、点数は教えてもらえますか?

A. はい。第一次・第二次いずれも、不合格となった方には各試験の得点と総合得点が知らされます(簡易開示制度の対象も同じ内容)。二次の90点(+実技)のどこで落としたのかが分かるので、翌年の対策を組み立てるうえで非常に役に立ちます。

Q. 補欠になった場合はどうなりますか?

A. 採用内定者に欠員が出た場合等に、第二次選考試験の不合格者のうち「補欠」と決定した者が採用内定者になることがあります。採用内定者にならなかった場合も、次年度(次年度に採用がない場合は直近で実施する年度)の選考試験で「補欠」の受験区分・教科に限り、申請すれば第一次選考試験が免除されます。補欠の有無は第二次の結果通知と併せて知らされます。詳しくは特別選考の記事にまとめました。

■ 宮崎県の特別選考と一次免除ルート|10種類の特別選考・大学3年生チャレンジ受験・補欠者・加点15項目

面接の手応えが気になる方へ

宮崎県は第二次選考試験が7月下旬〜8月上旬、最終結果の発表が9月11日(令和9年度採用の実績)と、1か月以上の待ち時間があります。「あの答えでよかったのか」と何度も面接を再生してしまう時期ですね。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由はこちらの記事にまとめています。

■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由

この記事では、受験者の皆さんからの情報提供と、公刊過去問の情報をそれぞれ参照しています。ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございます。応援しています!

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