こんにちは、金井志津乃です!

教採の勉強、毎日やってはいるんです。でも模試の点数が伸びなくて……。このやり方で合っているのか、そもそも自信がありません。

そのご相談、本当によくいただきます。同じくらい勉強に時間を当てているはずなのに、点数が上がってくる人と上がらない人がいる。その間には、実は勉強の仕方に違いがあります。今日はそこを、まるごとお話しさせてください。
教員採用試験の勉強法について、私はこれまで何本も動画でお話ししてきました。「合格者に共通する勉強法10選」「やってはいけない勉強法」「効率よく得点につなげる勉強法」「最も効果的な暗記術」「筆記対策でやってはいけないこと5選」——バラバラに出してきたので、結局どれから手をつければいいのか分かりにくいというお声もいただいていました。
そこでこの記事では、それらを1本にまとめた「勉強法の完全版」としてお届けします。やることだけでなく、やってはいけないことも同じ分量でお伝えします。忙しい皆さんにとっては、何をするか以上に何をしないかを決めることのほうが、実は大事だからです。
- そもそも筆記対策に、どこまで時間をかけていいのか(かけすぎてはいけない理由)
- 合格者に共通する勉強法10選(アウトプット7割・やることを絞る・プロセスゴール ほか)
- やってはいけない勉強法3つ(まとめて満足する・最初から完璧を目指す・浮気する)
- 筆記対策でやってはいけないこと5選と、その裏返しの「こうするといい」
- 効率よく得点につなげる回し方(「10回目で完璧にする」つもりで回す)
- 暗記のコツ3つ(反復学習・インターリーブ学習・夜覚えて朝復習)
この記事の根拠
- 私がこれまで出してきた勉強法の解説動画5本(勉強法10選/やってはいけない勉強法/筆記対策やってはいけないこと5選/効率よく得点につなげる勉強法/最も効果的な暗記術)の内容を、動画ごとの順番のまま記事に整理したものです
- 一般論ではなく、私自身が教員採用試験を受けたときに実際にやったことと、教員の学校の受講生を見てきて感じていることだけを書いています
- 動画内で紹介している研究・実験は、私がその動画でご紹介したものです。出典の詳細は各動画をご覧ください
大前提|筆記は「最短で合格ラインを超える」ための試験です
勉強法の話に入る前に、どうしても先にお伝えしたいことがあります。教員採用試験は、筆記試験で満点を取っても合格する試験ではないということです。
最終的に合否を決めるのは何かというと、面接であったり模擬授業であったり小論文であったりする、人物試験の部分なんですね。この人物試験の点数が低ければ、いくら筆記試験で100点満点を取ったとしても不合格になる。それが教員採用試験です。
| どういう試験か | |
|---|---|
| 筆記試験 | 「教員としてこれぐらいの教養を持っていてほしい」というラインをクリアしてよね、という試験。合格ラインを超えることが目的 |
| 二次試験(人物試験) | 合格ラインを超えてきた人たちの中で上位を取っていく試験。最後に合否を決めるのは圧倒的にこちら |
だからこそ、筆記試験に時間を食われている場合ではないんです。筆記対策は最小の労力で合格ラインに達するべきで、そこで浮いた時間を二次対策に回せるかどうかが、合格を左右します。教員の学校の受講生の皆さんも、多くの方が9月・10月ごろから二次対策を始めておられます。

いくら一次を通過しても、二次が通らずに何回も落ちてしまう——これが本当に多いんです。1〜2年かけて一次対策をして、そこからまた4〜5年かけて二次対策……となると、すごい年月がかかってしまいますよね。短い時間で合格したいのなら、筆記は最小の労力で。これが今日の大前提です。
ちなみに、教科の内容そのものを教えていなくても、学習法を見直しただけで一次が通ったという方は何人もいらっしゃいます。「今までで一番勉強していないと思いました。こんなので本当に大丈夫かなと思って行ったんですけど、通りました」——そんなご報告をいただくこともあります。それくらい、やり方の差は大きいということです。
※二次試験(面接・模擬授業・場面指導など)の対策の進め方は、面接対策ロードマップの記事にまとめています。いつ何をするかという年間スケジュールは筆記対策の1年計画の記事をどうぞ。
合格者に共通する勉強法10選
ここからが本題です。高校教諭として大学受験指導もしてきて、教採指導でもたくさんの合格者と不合格者を見てきた私が、科学的な根拠があり、かつ「確かにそうだな」と実感しているものだけを10個に絞りました。順番にいきましょう。
① アウトプット7割・インプット3割で学習する
覚える(インプット)と復習する(アウトプット)の時間の割合を、インプット3割・アウトプット7割にしたグループがもっとも高得点を取った——という実験があります(動画で紹介しています)。
思い出せないと焦って「ちゃんと理解していないからだ」とまとめる作業に時間を費やしてしまう方が少なくないのですが、この時期にまとめても得点には結びつきにくいです。おすすめのアウトプットは、問題を解くときに答えを書くこと。私は過去問や一問一答を解くとき、パッと正解が思い浮かばない問題だけ、答えをいらないプリントの裏に一回だけ書いていました。完璧に覚えている問題は頭の中で答えて、正解を見て確かめるだけ。10分のうち3分でさらっとインプットして、残りの7分はひたすら思い出す作業、というイメージです。
② 意味を理解して記憶する
ノートにきれいにまとめる必要はありませんが、これから覚えることの内容を理解しているのは大切です。記憶力が良い人のうち内容を理解せずに丸暗記する人はごくわずかで、記憶力が悪い人ほど丸暗記しようとする、という研究を動画で紹介しています。人が何かを記憶するまでには理解 → 整理 → 記憶 → 反復のステップがあり、この理解・整理は飛ばせません。
とはいえ体系的にまとめるのに時間をかけるのは非効率なので、すでに体系的にまとまっている参考書に、理解・整理の部分を担ってもらう。参考書を見ても分からずに人に教えてもらったりネットで調べたりしたときも、分かりやすい説明を付箋に書いて参考書の該当ページに貼っておくくらいでOKです。
③ 楽しみながら勉強する工夫をする
特に苦手・嫌いな教科や分野こそ意識してほしいところです。憂鬱な気分で勉強するより、楽しさを感じながら勉強するほうが記憶力が高まる。楽しいと感じているときはドーパミンが分泌されていて、これが記憶力を上げると分かっているそうです。
とはいえ苦手な分野を楽しめと言われても難しいですよね。そんな方におすすめなのが頭文字を取った記憶法です。たとえば古代ギリシャの代表的な哲学者を古い順に覚えるときに、それぞれの頭文字を取ってひとつの言葉にしてしまう、というイメージ。ちょっと狂って一人で笑ってしまうような面白いことを考えながら学習してみてください。
④ タイムリミットを設けて勉強する
「25分でここまでやる」と決めて、ある種のストレスや負荷をかけながら勉強するということです。タイムリミットを設けるとノルアドレナリンが分泌されて記憶力が高まる、と言われています。
やり方の例:邪魔なものをすべて取り除いた環境を作る → タイマーを25分にセットして集中 → 5分休憩。2時間やりたいならこれを4回繰り返す。この25分間は、スマホが鳴ろうが何が浮かんでこようが、やると決めたことだけ。気になることが浮かんだら、そこに着手せずメモだけして戻る。
⑤ やるべきことを、スケジュール帳やメモに書き出す
一見、勉強法とは関係なさそうですが、これは非常に重要です。「あの人にLINEを送らなきゃ」「これも調べておいたほうがいいかも」——そういうパッと浮かんだことを書き出さずに頭の中で覚えておこうとすると、脳がマルチタスクな状態になって、作業効率も記憶力も落ちてしまうんです。同時並行でやっている人は作業効率が大きく低下する、という報告もあります。
浮かんだことをメモに書いて頭の外に出すことで、目の前のことに集中できる状態に脳を持っていってあげる。しかも書き出したものをクリアしてチェックで消していくと、進み具合が見える化されて達成感を感じやすい。達成感を感じるとドーパミンが出て、またやる気も記憶力も上がります。
⑥ やることを絞る
試験まで残り数か月になると焦りが出て、今の勉強法に不安を感じて、あれこれ新しいものに手を出してしまいがちです。でも取り掛かることを増やすと、またマルチタスク脳になって効率も記憶力も落ちてしまいます。
| 今の状態 | どうするか |
|---|---|
| 取り組んできた過去問も問題集も完璧 | 新しい問題集に手を出して、より高度な問題を解けるようにするのはOK |
| 過去問も問題集もまだ中途半端 | まずは過去問を完璧になるまでやり抜く |
理由は、過去問の傾向を押さえてもいないのに網羅的な問題集を解いても、その自治体で全然出ない問題に時間と労力を割きすぎて、出題頻度の高い問題の得点率を落としてしまうから。試験のために準備する最高の方法は「目の前の問題によく似た問題に当たって練習すること」だという海外の研究も紹介しています。私がこれまで受験指導してきた生徒たちも、教採に合格した受講生も、とにかく過去問は完璧になるまで取り組んでいました。
過去問分析をすると頻出分野が分かり、最優先で取り組むべきことが見えます。同時に「何に時間を割かないか」を決められる——これが重要です。二兎追うものは一兎も得ず、ですね。
⑦ 隙間時間を活用する
私の受講生には働きながら勉強している方が多いのですが、忙しい中でも着実に合格ラインを超える人たちの共通点が、隙間時間を活用してコツコツ前に進めていることです。私自身も教採受験のときは、常に一問一答を手に取れるところに置いておいて、待ち時間や休憩時間を見つけては開いていました。通勤時間や料理の時間を使って合格した受講生も多いです。
40〜50代での受験だと「昔より記憶力が落ちた」と苦戦される方も少なくありません。でも40〜50代で合格した私の受講生も、とにかく隙間時間を生かして知識を蓄積・定着させていました。何歳になっても脳が成長する可能性があるという研究も、動画でご紹介しています。
⑧ ひっかかりがあっても、とにかく学習を前に進める
調べても頑張って考えても分からない問題は、付箋を貼ってさっさと次に進むほうがいい。理由は2つあります。
- モチベーションが下がらない——分からないところがいくつかあっても、今日やると決めたところまで進めば「ここまで進んだぞ」という達成感が得られ、それが次のモチベーションになります
- 不意に解けるようになる瞬間が訪れる——脳には集中モードと拡散モードがあり、分からない問題を解決するにはこの2つを繰り返すのが有効だと言われています。別のことをしている間に「あ、こうすればいいのかも」とひらめく、あの感覚です
単元をどんどん進めたり、異なる教科を横断して学んだりすると、知識の幅が増えて理解力も高まります。全体像が見えることで、一部の見え方も変わってくるんですね。最初は理解しがたかったことが分かるようになる瞬間は、決して少なくありません。
⑨ 問題を見てパッと思い出せるようになるまで、繰り返し学習する
1日に10時間詰め込むよりも、10日間かけて合計10時間学習するほうが記憶できる、と分かっています。私は「これと決めた問題集を10周するつもりでリズムよくリピートする」ことをおすすめしています。
実際には、多くの人が完璧に暗記するまで10回もかかりません。それなのになぜ10周と言うのか。正答率がグッと上がってくるまでの「耐えないといけない時期」を乗り越えるメンタルを作るためです。1周目から4周目くらいまでは、なかなか思い出せず「本当にこのやり方でいいのかな」と挫折しそうになります。最初から10周と決めておけば、その辛い時期を越えられます。
⑩ プロセスゴールに目を向ける
最後の10個目です。指導をしてきて私が感じているのは、受験は心理戦だということ。合格ラインまで達することができない受験者の背景には、ほぼ必ずと言っていいほどメンタルが影響しています。
決めたことをやり遂げられない背景には、結果が目に見える形になるまで耐えられず、積み上げてきたものが地表に出てくる直前でやめてしまい、また一から別のことに取り組んでしまうということがあります。周りを見て「今の状態はまずいんじゃないか」と感じて勉強法がブレてしまうのも、受験生あるあるですね。それが合格までの道のりを遠回りにしていたと気づくのは、不合格という結果を見た後になることがほとんどです。
ではどうするか。プロセスゴールに目を向けることです。「筆記試験で8割得点する」という最終ゴールがあったとしても、勉強する過程では「今日は3つの単元を一通りするぞ」というプロセスのゴールに目を向けて、それを毎日達成していく。途中で挫折してしまう人の特徴は、最終ゴールしか見えておらず、最終ゴールと現状のギャップに心が折れてしまうことなんです。

結果が出始めるまでは特に、「今日もできたぞ」と達成感を感じながら前に進めることが大切です。毎日毎日、頑張った自分にいいねをしてあげてくださいね。
この10選は、動画でも詳しくお話ししています。
やってはいけない勉強法 3つ
ここからは反対に、やってはいけない勉強法です。実はこれからお話しする3つは、全部、私自身が大学受験のときにやってしまっていたことなんです。その大学受験は失敗して1年浪人し、浪人しても目指していた大学には進学できませんでした。
なぜ得点に結びつかなかったのかをしっかり考えて臨んだのが教員採用試験です。結果、筆記試験では取りたい得点をことごとくクリアできましたし、勉強に割いた時間は大学受験の何分の1という少なさでした。
NG① まとめることに満足する
特に社会科でやりがちです。ノート1冊にまとめると、そのノートを見てすごく達成感があるんですよ。でもよく考えてみてください。そのまとめたもの、どれくらい見ていますか? 一回まとめて、それが頭に入っていますか?——全然入っていないんですね。
残念ながら、まとめることに満足しても得点に結びつかないどころか、まとめること自体にかなり時間がかかるので、他の問題集をする時間が減ってしまいます。私自身、高校のときに「世界史を夏休み中にまとめるんだ」と思って、まとめて夏休みが終わりました。
本当は要点だけをまとめればよかったんです。教科書を一通り理解したうえで、理解できないところだけ。あるいは問題集を何回解いても常にここだけは間違える、というところだけをピックアップしてまとめればよかった。
NG② 最初から完璧を目指す
私は教採で「世界史は100点を取ろう」と目指していました。でもその最終ゴールを、最初から自分に求めないということなんです。最初から求めてしまうと、スモールステップを踏まずに「100点を取るにはこういう細かい知識まで知っておかないと」となる。細かい知識まで一緒くたに詰め込むと、情報過多で頭がパンクして整理できず、引き出すこともできず、得点につながりません。しかも、やる気も失せていきます。
私たちは子どもたちに対しては「スモールステップで、小さな成功体験を積ませてあげよう」と考えますよね。同じことを自分自身にもしてあげてください。
| 段階 | 世界史でいうと |
|---|---|
| 最低限のライン | 教科書の太字の部分をまず覚える。ここが完璧になるまで、注釈や太字でない本文は得点できなくていい |
| 次のレベル | 太字が完璧になったら「よっしゃ、次はこのレベル行こう」 |
| その次 | これができたら、また次のレベルへ。越えるべき階段を小さくする |
教職教養や一般教養も同じです。全部を完璧に勉強しようとすると、全部が身にならないという結果になることが多い。「このラインを超えればいい、でも怖いから10点上を目指そうか」——そんなふうにラインを決めて、小さなハードルを自分に設けてあげる。積み重ねているうちに「あれ、100点になってた」となるイメージです。
NG③ 浮気する
参考書や問題集を、他の人が「これいいよ」と言ったのを見て乗り換えてしまうことです。これをやると、もともとやっていた問題集に費やした時間もなくなってしまう。私は高校時代にこれをやって、結果、どれ一つとして完璧にできませんでした。
友達から紹介された問題集はすごく魅力的に思えるし、「この子がこれをやっているんだ、私もしなきゃ」と思ってしまいます。でも人によってレベルは違うし、合う・合わないもある。いろんな問題集に浮気するよりも、一つの問題集をボロボロになるまでやり切る。「この問題集に出てくる問題なら、どれを聞かれても答えられるよ」という状態にするほうが、本当に得点に結びつきます。
もし他の問題集に行くのであれば、今やっている問題集を完璧にしてから、その発展として進む。もちろん、最初に問題集をしっかり選定することは大切です。
筆記対策でやってはいけないこと 5選(と、その裏返し)
やればいいことは、いっぱいあるんです。でもそれを全部鵜呑みにしてやってしまうと、時間が足りない。だからここでは「やるといいこと」ではなく、やってはいけないことを5つ、そしてそれをどう置き換えるか(◎)をセットでお話しします。
| やってはいけないこと | ◎ こうするといい | |
|---|---|---|
| 1 | 網羅的に学習する | 過去問で頻出分野を攻略する |
| 2 | 無駄に多い教材を持つ | 各教材の目的・役割を明確にして絞る |
| 3 | 結果で一喜一憂する | 学習の意図を常に認識する |
| 4 | 隙間時間を使わない | 隙間時間に学習する |
| 5 | インプットに時間を割きすぎる | アウトプットに時間を使う |
1. 網羅的に学習する → ◎ 過去問で頻出分野を攻略する
教職教養ひとつ取っても、教育法規、教育史(西洋・日本)、教育心理学……といろいろな分野があります。不合格になりやすい人は、問題集や参考書を買って1から10まで全部やろうとしてしまうんですね。これが果てしない。最短で合格ラインに行けない決定的な理由です。

過去問って、全国版と自治体版がありますよね。どちらを選んだほうがいいんですか?

いい質問です。受験する自治体のものを選んでください。全国版は「全国的によく出る分野」がまとめられたものであって、その自治体でよく出る問題ではないからです。頻出分野を攻略しないといけないのに、そこがズレてしまいます。
ただし、筆記試験を統一しようという動きもありますね。もし自治体独自の出題でなくなるのであれば、全国の中でどの分野が頻出なのかを全国版で見るほうがいいと思います。
そして過去問は、勉強の最初から使ってください。実践形式だから直前に、と思う方が多いのですが、逆です。しかも過去問は問題集であると同時に参考書としても使うのがおすすめ。
過去問を「自分専用の参考書」にする方法:問題のところに書き込むよりも、端のところにメモしたり付箋を貼ったりして、答えだけでなく周辺知識も書いておく。たとえば「次の選択肢のうちアセアン10か国に入っている国はどれか」という問題なら、他の加盟国も一緒にメモしておく。解くときに隠せる位置にメモしておけば、参考書にも問題集にもなります。
最初は知識がないので、問題を見ても意味不明で解く気が失せると思います。一瞬考えて分からなければ、すぐ答えを見て、周辺知識も一緒にメモする。それでいいんです。
2. 無駄に多い教材を持つ → ◎ 目的・役割を明確にして絞る
「多い教材」ではなく「無駄に多い教材」と言っているのがポイントです。意味があるなら教材が多くてもいい。問題は、教材同士で役割が被っていないかです。決めたはずなのに、周りが違うものをやっていると聞いて増やしてしまう——これが本当にあるあるなんですね。
参考までに、私自身が使った教材はこれくらいです。
| 科目 | 使った教材 | 理由 |
|---|---|---|
| 一般教養 | 過去問だけ(1冊) | 当時大学生で、社会は自分の専門。英国数は塾で教えていた。理科は捨てたので、それぞれに問題集を持つ必要がなかった |
| 教職教養 | 穴埋めの問題集だけ | 暗記のものが多いので、過去問分析で出した頻出のところから穴埋めを全部押さえていった |
| 専門教養 | 過去問+網羅的な問題集+一問一答+通史の読み物など5〜6冊 | 筆記の中で高得点を狙いたいところなので、ここだけは教材が多かった |
「理科を捨てた」と言うと思い切って聞こえますが、これは計算したんです。一般教養の問題数を数えて、理科が何割を占めるかを出して、理科を全問捨てても合格ラインだな、という計算が立った。専門の社会はある程度取れる。国語・英語・数学は学習すれば伸ばせる。でも理科は「そもそもこれ知らん」というものが多くて、わけの分からない公式を理解することに時間を割くくらいなら、思い出せばすぐできそうな英国数に時間を割くほうが絶対にいいと判断しました。
今の時代なら、たとえば「二次関数が苦手だな」と気づいたときに、その単元の問題を作ってもらうこともできますよね。それなのに数学の問題集を1冊買ってしまうと、解けばいいのは二次関数だけなのに「真面目に全部やらなあかんのかな」という心理が働いてしまう。ここが落とし穴です。

専門教養って、どれくらいのレベルまで持っていけばいいんでしょうか。

最短で合格ラインへ、と考えたときには最悪7割ぐらいでも全然いいです。難易度が簡単なら点が取りやすいし、難しければ平均点も下がるので、結局は同じなんですね。頭ひとつ出ておきたいという余裕があるときは、平均して8割を目指すといいと思います。
なお小学校全科の場合は、英国数理社をある程度押さえにいく必要があります。ただその場合でも、中学校レベル(時によっては高校レベル)の総まとめの問題集という形で絞ったほうがいい。すでにできているものにそんなに時間を割かない、というのは大事です。
3. 結果で一喜一憂する → ◎ 学習の意図を常に認識する
模試の点数や、他の人がどれくらい覚えているか。そういう結果で一喜一憂するのは、筆記対策で本当にやってはいけないことです。メンタルが結構ブレるからです。
たとえば、自治体に特化していない全国的な模試を受けたとします。自分は受験自治体の過去問に合わせた学習をしてきたので、得点できないことがある。その点数だけを見て「他の人は結構取っているみたい」と比べると、ブレてしまうんですね。なぜブレるかというと、自分が学習している意図を念頭に置いていないからです。
意図を頭に置いておけば、こう見られます。「この模試はそもそも自分の自治体に特化した模試じゃない。じゃあ、今まで過去問で押さえてきた問題については解けているかな?」——結構解けているなと思えれば、ブレません。「この問題、うちの自治体ではあんまり出ないんだよな」と見ていけば、メンタルは揺れないんです。
友達と問題を出し合って「こんな問題も分からへんの?」と言われることもあります。そんなときも一喜一憂せず、「ちょっと待って、この問題は本当に学習すべき問題なのか?」と考える。確かに知っておいたほうがいいなと思えば「今知れてよかった」でいいし、そうでもないなら「自分には自分のペースがある、こういう意図で今この学習をしている」とブレずにいられます。実際、私が学生のときに「こんな問題も解けやんの?」と言ってきた子のほうが、結果の点数は低かったんです。覚えなくていいものを覚えて、そこに時間を割いていたからでした。

教採の模試って、受けたほうがいいんですか?

受けても受けなくても、どっちでもいいです。力試しをしたい、試験の空気感を練習しておきたい、過去問とは違う出され方にも対応できるか試したい——そういう意図を持って受けるならOK。ちなみに私は、模試を受けたことがありません。
過去問についても同じで、問題の答えを覚えることに意味はありません。頻出分野を押さえることと、出た問題の周辺知識まで一緒にやっていくこと。そうすれば問題が変わっても解けるようになります。
4. 隙間時間を使わない → ◎ 隙間時間に学習する
「まとまった時間がないと対策ができない」という発想だと、本当に学習が進みません。もちろん机に向かう時間も一定数は必要です。でも土日に1〜2時間取れるだけでも、平日や日頃の隙間時間を使えば結構進むんですね。
- まとまった時間(土日の1〜2時間):思い切り過去問をやる。分からないところはメモする
- 隙間時間:一問一答をパッと開く。通史の流れをつかむ読み物を読む。1ページでも進めば、思い出そうとするだけでもかなり進みます
- 過去問も隙間時間で使えます:メモした周辺知識の部分だけ隠して「この答え、これやったかな?」と確認する。たった3分あれば一問分できます
私は日本史を隙間時間だけで6割ぐらいまで持っていきました。地理や世界史は、まとまった時間と隙間時間の掛け算という感じでしたね。隙間時間にアウトプットをたくさんしておくと、まとまった時間にガツッと過去問を解いたときに「もう結構覚えてる」という状態になります。成長や得点につながっている感じを持てるので、学習もどんどん前に向いていきます。
5. インプットに時間を割きすぎる → ◎ アウトプットに時間を使う
きれいにノートにまとめたり分かりやすく整理したりすると、めちゃめちゃ勉強した気になるんですね。でも時間がかかる割に、身にはなっていない。筆記対策における「身になる」とは、得点になるということです。
もちろん、まとめることで得たかった理解・頭の整理は必要です。ただ、きれいにノートにまとめるのはコスパもタイパも悪すぎる。本当に分からなかったところだけ付箋にメモしたり、参考書を調べて「なるほどね」と理解できたらOKにする。なぜなら、理解することが本質だからです。
アウトプットとは「アウト(外)に出す」ということ。問題を解くのも、答えを思い出そうとするのも、一問一答も、全部アウトプットです。このとき脳は「また思い出そうとしてる」「あ、間違った——これは覚えなあかんことやったんか」と学んでくれます。インプットは受動的なので、脳も結構ぼーっとしているんですね。整理できたらいい、理解できたらいい、で止まってしまうから得点につながりません。

まとまった時間を本来なら取れないところを一生懸命取って、隙間時間も活用して——そうやって頑張っている人には、報われてほしいんです。だからこそ、できる限り「やってはいけないこと」をしてほしくないなと思っています。
効率よく得点につなげる回し方|「10回目で完璧にする」つもりで
では、具体的にどう回していくのか。ポイントは本番と同じことをするということです。本番で問題を解いているように、普段の勉強でもひたすら問題を解く。
なぜ演習かというと、記憶のメカニズムです。私たちが「忘れた」というのは、脳内から消え失せているわけではなく、引き出せていないということがほとんどなんですね。普段よく使うものはどこの引き出しに直したか分かっているけれど、あんまり出さないもの——私の場合はパスポートですが——はどこに直したか思い出せない。記憶も同じで、引き出す作業を何回もしないと思い出せないんです。
得点になるかどうかは、結局覚えたものを引き出せるかどうか。引き出せれば得点になるし、「何やったっけな」と思ってしまえば得点になりません。だからひたすら引き出す作業をする。演習というのは、問題を解くというより引き出す作業をひたすらするということです。私自身、一般教養も教職教養も専門教養も、ひたすら過去問をやりました。まとめる時間は本当に取らなかったですね。
1冊を「10回目で完璧にしよう」という意識で回す
演習するときの注意点は、これひとつです。私が実際にやっていた回し方をご紹介します。
| 周 | やること | 気持ち |
|---|---|---|
| 1周目 | 解いて、できなかった問題に鉛筆でチェック。合っていても「なぜ合っているか」が分からなかった問題にもチェック | チェックまみれで当たり前。10回目で完璧にすると決めているので、これでいい |
| 2周目 | 消しゴムを持って解き、解けた問題のチェックを消していく | だいたいチェックはあまり減りません。それも想定内 |
| 3〜4周目 | チェックが減ってくる | 「お、なんか身になっているな」と感じ始めます |
| 5〜6周目 | 答えを覚えてしまってもOK。ただし理解して覚えている形にする(理解せず答えだけ覚えたならチェックを残す) | 実際には10回かからずに終わります。だから達成感しかない |
復習のときも、まとめなくていいです。解説を読んで「あ、そうだったな」「これは要点ノートのどこかに書いてたな」くらいの感じで、さっと復習する。理解さえできればOKです(理解できずに進むのはダメですが)。
「2〜3回目で完璧にしよう」と思っていると、1回目にこんなにチェックがついて大丈夫かと不安になり、まとめたりして必要以上の復習時間を取ってしまう。でも「10回目で完璧にしよう」と思っていれば「まあそうだろう」とさらっといけます。つまり、1周あたりの勉強に時間がかからない。それでいいんです。大事なのは引き出す回数を増やすことだからです。
「まとめ」は参考書に任せる。ただし最後の最後だけは例外
理解のために手を動かしたほうがいいのでは、と思われるかもしれませんが、まとめは参考書に任せればOKです。参考書はそもそもまとめてくれているものですから。一般教養は中学・高校ですでに習ってきた内容なので、一度はノートにまとめたことがあるものなんですね。解説を読めば分かる、というレベルだと思います。
教職教養については、私も要点ノート・整理ノートで一周だけ、穴埋めに答えを書き込んでいくということをやりました。書き込みながら「あーなるほどね」という理解だけのために、さらっと一周。それならそんなに時間はかかりません。
参考書と演習はコラボさせるのがコツです。演習していて「参考書には書いてなかったな」という解説をちょこっとメモする、間違えた問題に付箋をポチッと貼る。それくらいで十分です。
唯一まとめたのは、試験の直前です。最後の最後まで「この問題、どうしてもいつも間違えてしまう・忘れてしまう」というものだけをノートにまとめて、試験の直前はそのノートを眺めている。結局そこに書いていたことが世界史で出て、ほぼ満点が取れました。最初に完璧を目指さなくても、最終的に完璧になっている——そういう形になります。
暗記のコツ 3つ
最後に、教職教養など暗記ものに特化したコツを3つ。テキストを一周、あるいは2〜3周したのに模試で結果がついてこない、このままの勉強でいいのかな——そう迷われている方に向けたお話です。
コツ① 反復学習
なんだかんだ、やっぱりこれです。「2〜3回やったのに」とおっしゃる方は多いのですが、実際2〜3回では覚えません。自分が望んでいるレベルまで2〜3回で覚えるというのは、脳にとってかなり無理難題を押し付けているようなものなんですね。
脳は「これはいつも何回も思い出そうとしているから、記憶に値するものなんだな」と思わないと、なかなか覚えてくれません。東大生の勉強法に「7回教科書を読む」というものがあるくらいです。私自身、東大に進んだ方に世界史の勉強法を聞いたことがあるのですが、返ってきた答えは「教科書を小説を読むようにただひたすら何回も読んでいた。教科書以外はやっていない」でした。
私は高校時代、その重要性を感じられずに、2周目で得点につながらないと心が折れて、いろんな教材に浮気していました。結果、世界史は全然ダメでしたね。でも教員採用試験のときは「これ」と1つに絞って何回も繰り返しました。高校で選択していなかった日本史を、通史の読み物で2〜3回読んで理解したあと、一問一答形式の教材をチェックをつけながらひたすら回して、7周ぐらいでほぼ完璧に。初めて学習した教科なのに、ボーダーラインよりも全然上を取れました。

ポイントはリズムよく回すことです。いつも正解するものに時間を割くのはもったいないので、2〜3周目以降はチェックのついたものに絞って、テンポよく。まだ1周目という方は、落ち込む必要はまったくありません。これからです。
コツ② インターリーブ学習(変化をつける)
反復が大事とお伝えしましたが、同じものを2時間も続けると脳が飽きてきて集中力が切れ、学習効率が下がります。そこで、関連した分野の中で変化をつける。これがインターリーブ学習です。
日本史をリズムよく2〜3単元やったら、次は世界史を2〜3単元。その次は地理。——というふうに切り替えていく。教職教養でも、教育法規をずーっとやるのではなく、教育法規をさっとやって、次に教育史をさっと、というふうに同じ分野の中でもバリエーションを入れていきます。
こうすると脳が退屈するのを避けられますし、日本史・世界史・地理がなんだかんだつながっている部分に気づけたり、新しい発見があったりします。そうすると知識が点や線ではなく「面」になってくるので、その意味でも学習効果が高いと言われています。
コツ③ 夜覚えて、朝復習する
暗記ものについては、この時間帯のリズムが一番ベストです。理由は、私たちは睡眠している間に知識を整理しているから。だから寝る前に暗記ものをしっかりやって、朝起きて同じ範囲をさらっと復習する。これがおすすめです。

「一周したけれど効果がない」「2〜3回やったけれど効果がない」——そうやって迷われている方は本当に多いです。でもむしろここからが勝負。それを信じてやり抜くのか、途中で諦めてしまうのか。暗記ものはそこで分かれます。弱気にならず、最後までやりきってくださいね。
なお、勉強を続けるための行動や習慣づくりについては、メルマガ登録の特典としてお渡ししている「教採に受かる人の15の習慣」もあわせてご覧いただければと思います(受け取り方はこの記事の最後に載せています)。
当ブログの自治体別記事は、すべて受験者の皆さんの報告でできています。倍率や日程は公表資料で追えますが、「実際に何が出たか・何を聞かれたか」は、受験した方からしか集まりません。記憶が鮮明なうちに、ぜひ教えてください。
■ 受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK)
受験者の声
フォーム「情報提供のお願い」に寄せられた一言から、匿名で抜粋しています。
- 「仕事が忙しく2次試験前の1週間しか勉強できませんでしたが、通勤中に見たYouTubeに助けられました。無事合格もできました」(京都府・特別支援学校・2024年)
- 「動画をたくさん見て勉強してきました。三日間のトレーニングもとても参考になりました」(埼玉県・中学校・2025年)
まとめ|やることを絞って、リズムよく回す
- 筆記は「合格ラインを超える」試験。最小の労力で通過して、二次対策に時間を回す
- アウトプット7割・インプット3割。まとめは参考書に任せる
- 網羅的にやらない。受験する自治体の過去問で、頻出分野を最初から攻略する
- 教材は役割で絞る。浮気しない。1冊をボロボロになるまでやり切る
- 「10回目で完璧にする」つもりで回す。1周あたりは時間をかけず、引き出す回数を増やす
- 隙間時間にアウトプット。3分あれば一問できます
- 暗記は反復+変化(インターリーブ)+夜覚えて朝復習
- 結果で一喜一憂しない。学習の意図を常に頭に置き、プロセスゴールに目を向ける
よくある質問

まとめノートは、本当に作らなくていいんですか?

体系的にまとめる作業は参考書に任せてください。ただし、まとめること自体が悪いのではありません。私も試験の直前だけは、どうしてもいつも間違えてしまう問題だけをノートにまとめて眺めていました。過去問や問題集で9割以上正答できるようになった段階で、残りの1割に満たない「よく間違える問題」だけをリストアップするなら、とてもおすすめです。

過去問は、全国版と自治体版のどちらを買えばいいですか?

受験する自治体のものです。全国版は「全国的によく出る分野」であって、あなたの自治体で出る問題ではありません。頻出分野を攻略するのが目的なので、そこがズレると意味がなくなってしまいます。ただし、筆記試験が統一される動きが実際に自分の受験年に及ぶのであれば、そのときは全国版で頻出分野を見るほうがいいと思います。

過去問は、勉強の最初から使っていいんですか?

最初から使ってください。知識がないうちは意味不明で解く気が失せると思うので、一瞬考えて分からなければすぐ答えを見て、周辺知識も一緒にメモする。解くときに隠せる位置に書いておけば、過去問がそのまま自分専用の参考書になります。

苦手教科を「捨てる」のは、さすがに危険じゃないですか?

私が理科を捨てたときは、先に計算しました。一般教養の問題数を数えて、理科が何割を占めるかを出して、全問落としても合格ラインに届くかを確認したうえでの判断です。感覚で捨てるのではなく、過去問を数えてから決めてください。そして捨てた分の時間は、伸ばせる科目に回します。

専門教養は何割を目標にすればいいですか?

最短で合格ラインへ、という考え方であれば7割ぐらいでも十分です。余裕があって頭ひとつ出ておきたいなら、平均して8割を目指すといいと思います。問題の難易度が高ければ平均点も下がるので、難易度によって狙うラインが極端に変わるものではありません。

模試の判定が悪くて、心が折れそうです。

点数そのものではなく、「自分が過去問で押さえてきた問題は解けていたか」を見てください。自治体に特化していない模試なら、出題のズレは当然あります。ちなみに私は模試を受けたことがありません。受けるなら「何のために受けるのか」という意図を持って受けてくださいね。

働きながらで、まとまった勉強時間がまったく取れません。

「まとまった時間がないと対策できない」という発想を、まず外してください。土日のどちらかに1〜2時間取れれば、そこで過去問に思い切り取り組む。あとは隙間時間に一問一答や、メモした周辺知識の確認を。3分あれば一問できます。私も日本史は隙間時間だけで6割まで持っていきました。

年齢的に、記憶力が落ちている気がします。

40〜50代で合格された私の受講生も、とにかく隙間時間を生かして知識を蓄積・定着させていらっしゃいました。何歳になっても脳が成長する可能性があるという研究も、動画でご紹介しています。前向きな気持ちで、楽しみを見つけながら取り組んでいただければと思います。
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