こんにちは、金井志津乃です!

堺市って小論文があるんですね……。一次の勉強しか考えていませんでした。何字くらいで、いつ書くんですか?

ここ、本当に見落とされやすいところです。堺市の小論文は第2次試験の筆答試験の「中」にあります。択一式30問と小論文500字程度を、あわせて120分。しかも小学校系の受験者だけ(教諭経験者対象選考・大学3年生等対象選考を除く)が対象なんです。順番に整理していきますね!
この記事では、堺市立学校教員採用選考試験の小論文について、令和9年度採用の受験案内に書かれた実施方法・評価の観点と、過去の出題テーマをもとに、書き方をまとめます。
この記事の根拠
- 実施日・時間・字数・対象校種・評価の観点は令和9年度採用の受験案内と照合済みです
- 出題テーマは市販の全国版過去問集から。テーマの要旨と出典資料名のみを掲載し、課題文は転載していません。
- 堺市の受験者の方からの報告(実録)は、令和8年10月時点で1件も届いていません。そのことを正直にお伝えしたうえで、公表資料で厚みを出しています。
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
小論文の形式|30秒でわかる基本情報
| 実施 | 第2次試験の筆答試験の中で実施されます。令和9年度採用は8月8日(土)13時30分〜17時【予備日8月9日(日)】 |
| 対象 | 「小学校」「特別支援学校小学部」「小学校外国語推進」「小学校・幼稚園共通」の受験者が対象です。ただし「教諭経験者対象選考」は2次筆答・実技がなく(面接のみ)、「大学3年生等対象選考」は令和9年度採用の2次試験を受験しないため、これらの選考区分では小論文はありません。中学校・高等学校・養護教諭・栄養教諭の受験者は小論文はありません(択一式および記述式の専門試験)。 |
| 内容 | 国語・社会・算数・理科・英語についての択一式(30問)と、小論文(500字程度)をあわせて120分で |
| 字数 | 500字程度 |
| 時間配分 | 択一式と小論文の時間の内訳は受験案内に指定がありません。自分で決めておく必要があります。 |
| 配点 | 2次筆答試験(実技を含む)で400点(「小学校・幼稚園共通」は460点)。小論文単独の配点は公表されていません。 |
| 基準点 | 2次筆答試験(実技試験を含む)に基準点があり、達しない場合は総合得点にかかわらず不合格になります |
| 過去問 | 堺市ホームページで閲覧可能。加えて「R4試験」〜「R8試験」の問題等は堺市市政情報センターで閲覧・コピー(有料)ができます。 |
※出典:令和9年度採用 受験案内P6「4.選考試験の日程及び携行品等について」、P8「5.選考試験の内容 2次試験<筆答試験>」、P11「6.選考の決定等」、P21「19.前年度までの試験問題の閲覧等」。

いちばんの注意点は、「小論文だけの試験時間がない」ことです。択一30問と小論文500字を自分で時間を割り振って120分で書き切る。択一に夢中になって小論文が10分しか残らなかった——これが堺市でいちばん怖いパターンです。本番前に必ず1回、同じ形式で通し練習をしてください。
- 小学校教員として必要な知識と教養を有するか
- テーマを正しく理解し、具体的かつ客観的な考えを述べているか
- 論旨の通った文章となっているか
- 正確で適切な表記、表現となっているか(文字の丁寧さ、句読点の使い方、誤字脱字がないか等を含む)
※出典:令和9年度採用 受験案内P8。
この4つは択一式と小論文を合わせた「2次筆答試験」全体の観点として示されていますが、後ろの3つは小論文の採点にも関わる観点と考えられます。
注目してほしいのが、4つ目に「文字の丁寧さ」がわざわざ書かれていることです。内容の話ではなく、字そのものが観点に入っている。これは他の自治体ではあまり見かけません。

上手な字を書く必要はまったくありません。でも丁寧に書くことは誰にでもできます。私はいつも「この人はこの文字を黒板に書くのかな」と採点者が連想してしまう、とお伝えしています。止め・跳ね・払いを丁寧に、読みやすい大きさで。それだけで観点の1つが埋まるなら、やらない手はありません。
過去の出題テーマ|「資料を参考にしながら、具体的な取組を」
市販の全国版過去問集に収録されている堺市の小論文から、テーマの要旨と出典資料をまとめます(課題文そのものは掲載しません)。
| 採用年度(実施) | 字数 | テーマの要旨 | 資料・出典 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度(2024年夏) | 500字程度 | 「令和の日本型学校教育」で示された「9年間を見通した新時代の義務教育の在り方」を踏まえ、義務教育9年間を通した教育課程等の実施に向けて、教員としてどのように取り組むかを、資料を参考にしながら具体的な取組をあげて述べる | 中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」(令和3年1月26日)概要の抜粋 |
| 令和8年度(2025年夏) | — | 過去問集に堺市の収録がありません。堺市市政情報センターで問題を閲覧できます。 | |
| 令和9年度(2026年夏) | — | 受験された方の報告を募集中です(下記フォーム) | |
収録が1年分しかないため「5年分の傾向」とは言えませんが、この1問だけでも読み取れることが3つあります。
- 資料が添えられる「資料読み取り型」。中央教育審議会の答申(概要)が、そのまま資料として付いています。まっさらな状態から書くのではなく、渡された資料を使って書く形式です。
- 「具体的な取組をあげて」と明示されている。評価の観点の2つ目「具体的かつ客観的な考えを述べているか」と、そのまま対応しています。抽象論で500字を埋めると、観点に合いにくい可能性があります。
- テーマが文科省の政策文書。「令和の日本型学校教育」「個別最適な学び」「協働的な学び」「小学校高学年の教科担任制」「カリキュラム・マネジメント」——この答申のキーワードは、面接の時事質問にも出てくることがあります。
なお、同じ過去問集にはもう1問、「こどもの読書」の現状と課題を複数の資料から読み取り、読書活動をどう推進するかを800字程度で述べるという出題も収録されています(資料の1つは全国学校図書館協議会「学校図書館」2023年11月号の学年別・男女別の平均読書冊数)。ただしこの問題は「自分が希望する校種の教員として」という設定で、字数も800字——現行の受験案内(500字程度・小学校系のみ)とは条件が違います。堺市の出題として確定できていないため、参考程度にお読みください。

堺市は前年度までの試験問題を市政情報センターで閲覧・コピーできる自治体です(R4試験〜R8試験)。堺市周辺にお住まいの方は、これが最強の対策だと思ってください。5年分の実物を手に入れて、1本ずつ書く。それ以上に効く対策はないと私は考えています。
書き方|択一30問+500字を120分で終わらせる
まず時間配分を決めてしまう
受験案内に内訳の指定はありませんので、これは私からの提案(目安)です。120分をこう割ってみてください。
| 時間 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 最初の5分 | 小論文の設問と資料に目を通す | 先に読んでおくと、択一を解いている間も頭の片隅で考えが進みます |
| 55分 | 択一式30問(国語・社会・算数・理科・英語) | 1問あたり約1分50秒。迷った問題は印をつけて飛ばす。 |
| 10分 | 構想メモ | 「資料から読み取ること」「具体的な取組2つ」を箇条書きで先に決める |
| 40分 | 執筆(450〜550字) | 500字は意外と短い。書きたいことを絞らないと入りません。 |
| 10分 | 見直し | 誤字脱字・主語述語のねじれ・句読点(観点4つ目) |
大事なのは、構想メモを飛ばさないことです。500字しかないのに、いきなり書き出すと、途中で行き詰まる可能性が高くなります。構想メモには、論点のズレを防ぐ・筆が止まるのを防ぐ・大幅な書き直しを防ぐ、という3つの効果に加えて、周りが先に書き始めても焦らずにいられるというメンタル面の効果もあります。
500字の型|4ブロックに割る
- ①資料から読み取ったこと(約100字):資料の言葉をそのまま引いて、「資料には〜と示されている」と書く。ここで課題文の言葉を使うと、論点がズレません。
- ②その課題をどう捉えるか(約80字):なぜそれが子どもにとって大事なのか。ここが観点1つ目「知識と教養」に当たります。
- ③具体的な取組(約250字・2つ):ここが本体です。「授業での取組」+「学級や学校全体での取組」のように、粒度の違う2つを出すと厚みが出る、というのが私の型です。設問に「具体的な取組をあげて」とあれば、実際の具体例(自分の実践例)を入れると強くなります。
- ④結び(約70字):堺市の教員としてどうありたいかで締める
500字は原稿用紙1枚と少し。1つのブロックが100字前後です。言いたいことを3つ書こうとすると必ず溢れます。「読み取り1つ・取組2つ」に絞ってください。

小論文でまず意識してほしいのは、「課題の趣旨・論点からそれないこと」です。防ぎ方はシンプルで、課題文の言葉をそのまま使って書くこと。「9年間を見通した」と設問にあるなら、答案にも「9年間を見通して」と書く。それだけで、採点者に「この人は設問を読んでいる」と伝わります。
NG例文とOK例文を並べて添削した動画がこちらです。「社会的背景の理解不足」「問題文の要求を満たしていない」「主語述語のねじれ」「抽象的で本旨と関連が薄い結び」——堺市の観点3つ目・4つ目に直結する話をしています。
堺市らしい答案にするために|「よさ」と「誰一人取り残さない」
結びの70字を、どこに着地させるか。堺市には、そのための言葉が用意されています。
求める人物像(受験案内・表紙/「あなたの“ゆめ”と“よさ”を受けとめます」)
- こどもの主体的な学びを創造する人〔主体的な学び〕
- 学校のチーム力を向上させる人〔チーム力〕
- 豊かな人権感覚をもち、自覚と責任のもとに行動する人〔豊かな人権感覚〕
教育理念「ひとづくり・まなび・ゆめ」(第3期未来をつくる堺教育プラン・計画期間は令和3年度〜7年度。令和8年度以降の計画は、堺市の公式ページでご確認ください)
- 豊かな心の人づくり 自分のよさや可能性を知り、多様な価値観を認め、相手の立場を思いやり大切にできる豊かな心
- 確かな学びの形成 自ら問題を発見し、試行錯誤しながら解決し、新たな価値を創造していく力/自ら学び、他者と協働しながら、学んだことを社会で生かすことのできる幅広い学力
- ゆめをはぐくむ教育の推進 自分のよさや個性、可能性を発揮し、ゆめの実現に向けて多様な選択ができる誰一人取り残すことのない教育
過去に出た「令和の日本型学校教育」のテーマと、堺市の教育理念はきれいに重なります。答申が掲げる「個別最適な学びと協働的な学び」は、堺市の「確かな学びの形成」の「自ら学び、他者と協働しながら」そのものですし、答申の「誰一人取り残さない」は、堺市の「誰一人取り残すことのない教育」という言葉で計画に書き込まれています。
ですから、堺市の小論文の結びは「堺市が掲げる◯◯(自ら学び他者と協働する学び/誰一人取り残さない教育)を、私は◯◯という取組で実現したい」という形にすると、一本の線でつながります。国の答申の言葉と、市の計画の言葉を両方使える——ここが堺市の答案の作りやすいところです。
そして、小論文は「書く面接」です。ここで書いた「具体的な取組」は、後日実施される2次の個人面接(+場面指導)でそのまま聞かれておかしくありません。小論文と面接の答えを同じ軸でそろえておくと、準備が一気に楽になりますよ。
■ 堺市の二次試験|個人面接+場面指導の内容・日程・出題傾向
よくある質問
Q. 何字くらい書けばいいですか?
A. 指定は「500字程度」です。「以内」ではなく「程度」ですので、450〜550字に収める意識で書いてください。「以内」の場合は、指定字数の8〜9割を書き切るのが一つの目安です。「程度」なら、少なすぎるのも多すぎるのも避けて、ぴったり500字前後で着地するのが理想です。字数が極端に少ないと、読まれずに流される場合もあるらしい、とも聞きます。
Q. 中学校志望なので小論文はありませんよね?
A. その通りです。「中学校(全教科)」「特別支援学校中学部」「高等学校(工業)」「養護教諭」「栄養教諭」の2次筆答は、出願した校種等(教科)についての択一式および記述式(実技試験の対象教科は70分、それ以外は90分)で、小論文はありません。ただし「特別支援学校小学部」「小学校外国語推進」「小学校・幼稚園共通」の受験者には小学校の択一式および小論文が実施されます(「特別支援学校中学部」の受験者には、所有する中学校免許の教科の択一式および記述式)。
Q. 小論文だけで不合格になることはありますか?
A. 小論文単独の基準点は公表されていません。ただし受験案内には「1次筆答試験、1次面接試験、2次筆答試験(実技試験含む)、2次面接試験の各試験にそれぞれ基準点を設け、各試験において得点が基準点に達しないものがある場合は、総合得点にかかわらず不合格とします」と明記されています。小論文は2次筆答試験の一部ですから、白紙や大幅な字数不足は、2次筆答全体の点を押し下げるおそれがあります。必ず最後まで書き切ってください。
Q. 過去問はどこで手に入りますか?
A. 堺市は前年度までの試験問題等を堺市ホームページで閲覧できると受験案内に明記しています。さらに「R4試験」から「R8試験」までの問題等は堺市市政情報センターで閲覧およびコピー(有料)ができます。所在地は堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所本館1階(令和8年3月23日(月)に高層館3階から移転)、最寄りは南海電鉄高野線「堺東」駅から南西へ約300m、利用時間は月〜金の9時〜17時30分(祝日を除く)です。
Q. 対策の時間がありません。最短の方法は?
A. 合格レベルの例文を読んで「OKパターン」を体に入れ、例文をそのまま使うのではなく、具体例や考え、経験は自分のオリジナルにして仕上げていくのがおすすめです。私のおすすめとして、堺市なら「資料つきの500字」を2本書いて、添削を受けて書き直すところまでを目安にしてください。そして1回は、択一30問と通しで120分を計ってやってみると安心です。
Q. 大阪府・大阪市の小論文と同じですか?
A. まったく別です。大阪府・大阪市・堺市・大阪府豊能地区は4つとも別実施で、問題も日程も違います。大阪市の一般選考には小論文がなく(スペシャリスト特別選考のみ論文試験)、堺市は小学校系の2次筆答の中に500字程度の小論文があります。必ず受けたい自治体の受験案内で確認してください。
令和9年度採用を受験された方へ
8月8日に堺市の2次筆答試験を受けられた方へ。小論文のテーマを教えていただけませんか。
堺市の受験報告は、令和8年10月時点で1件も届いていません。「こんな資料が出て、こういうことを問われた」という一行だけで、来年の受験生の準備がまったく違うものになります。覚えている範囲で構いません。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。
■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム(2〜3分・匿名OK)
■ 堺市の倍率|令和9年度採用の最終結果と7年間の推移
■ 堺市の特別選考と一次免除ルート
■ 堺市の面接シートの書き方
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