【教員採用試験】山形県の小論文・作文|過去5年の出題テーマと、800字50分の書き方

こんにちは、金井志津乃です! 

山形県の要項を読んでいたら、一次に「小論文」、二次に「作文」って別々に書いてあって混乱しています……。両方受けるんですか?

ここ、山形県でいちばん誤解されやすいところです! 結論から言うと、一次の「小論文」を受けるのは3つの特別選考だけ。二次の「作文」は第二次選考試験の受験者全員が受けます。字数も時間も違います。まずそこを整理してから対策に入りましょうね。

この記事の根拠

  • 試験の仕組み(対象区分・字数・時間・配点・評価の観点)は、すべて令和9年度採用(令和8年度実施)の実施要項から取っています
  • 過去の出題テーマは、市販の全国版過去問集に収録された山形県分35件前後(令和4年度〜8年度採用の5年分)を整理したものです。課題文そのものは転載していません(テーマの要旨・字数・対象区分のみ)。
  • 受験者1名の実録(令和8年度採用)で、実際に二次で出た作文テーマを確認しています
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

基本情報|誰が・いつ・何字書くのか

第一次「小論文」第二次「作文」
対象講師等特別選考・社会人特別選考・スポーツ特別選考のみ第二次選考試験の受験者全員
実施日令和8年7月11日(土)9:40〜10:50令和8年9月1日(火)〜3日(木)のうち指定された日
字数・時間1,000字以内・70分800字以内・50分
出題当日指定されたテーマについて論述当日指定されたテーマについて論述
配点講特・社特は教職教養・一般教養(100点)に代えて実施/スポーツ特別選考は120点(+面接280点=400点満点)50点(個人面接1が210点、個人面接2が140点。実技50点は小学校・特別支援学校小学部、中学校及び特別支援学校中学部の技術に実施し、元職Ⅰ・現職Ⅰは免除)
評価の観点「課題把握」「文章構成・表現」等(要項8⑶)

※出典:令和9年度採用山形県公立学校教員選考試験実施要項「6⑵②」「6⑷②」「7 選考方法と配点」「8⑶ その他の試験」

ここで大事なのは「講師等特別選考と社会人特別選考の方にとって、小論文は教職教養・一般教養の代わり」だということ。つまり100点分の筆記が、まるごと小論文に置き換わっているんです。マークシートが苦手で講師をしながら勉強時間が取れない方には、大きなチャンスです。ここで点を取れれば、教科・科目の記述式に集中できます。

過去5年の出題テーマ|「〜とは」「〜のために」の一行型

山形県の出題には、はっきりした特徴が2つあります。掲載した過去問には短いテーマが多く、選考区分ごとに異なる設問も見られるということです。

全校種向け(第二次「作文」と考えられるもの)

採用年度記録されているテーマの要旨
令和8年度採用
(2025年夏)
他の教職員と協働して勤務する際に大切にしたいこと/児童生徒が前向きに挑戦できる環境をつくるために大切にしたいこと/児童生徒の興味・関心・意欲を引き出すために必要な教育とは/児童生徒が試行錯誤する学びを支える教育とは/児童生徒が社会的に自立して生きていくために/豊かな体験が児童生徒にもたらすものとは
令和7年度採用
(2024年夏)
心身ともに健康な児童生徒を育むために/児童生徒が安心してすごせる学校づくりのために/児童生徒が他者と豊かに学び合うために/児童生徒が自らの可能性に気付くために/児童生徒が学ぶ楽しさを知るために
令和6年度採用
(2023年夏)
これからの社会を生きていく子どもたちに対して、教師として掛けたい言葉とは(800字以内)/教師として、成長するために必要なことは/学級における危機管理において重要なこととは/子どもたちが人生において幸福や生きがいを感じられるための教育とは/子どもたちの個別最適な学びをどのようにつくるか
令和5年度採用
(2022年夏)
子どもと学ぶ教師とは/郷土の魅力を伝える指導で大切なこと/学校行事を通じて指導したいこと/「いのち」を大切にすることができる生徒の育成とは/「人間力に満ちあふれる」児童・生徒の姿とは/思いやりの心を育む教育とは
令和4年度採用
(2021年夏)
変化の激しい時代だからこそ大切にしたい教育とは/多様性を認め合う集団作りのためにできること/地域とかかわり、地域をいかす人を育てる教育とは/児童生徒のより良い学びにつながる教師の支援とは

※市販の全国版過去問集に収録された山形県分の出題テーマの要旨です(課題文は転載していません)。同じ年度に複数のテーマが記録されていますが、その理由は公表資料では確認できていません。

実録|実際に二次で出たテーマ(令和8年度採用・高等学校)

豊かな体験が児童生徒に与える効果とは

※受験者ご本人の記録では「作文」と明記されていました。過去問集に記録された同年度のテーマ「豊かな体験が児童生徒にもたらすものとは」とほぼ一致しており、この一行型のテーマが二次の作文であることが裏づけられます。

特別選考向け(第一次「小論文」1,000字以内)

採用年度対象区分テーマの要旨
令和8年度採用講師等特別選考理想と考える教員へ成長するために、日々どのような努力が必要か(自身の教員としての経験を踏まえ、具体例を挙げて)
令和8年度採用スポーツ特別選考保健体育の授業における探究型学習について、どのような授業展開が考えられるか(具体例を挙げて)
令和8年度採用社会人特別選考多様な文化的・言語的背景を持つ児童生徒に対して、学習や生活の場面でどのような指導が大切か
令和7年度採用講師等特別選考これまでの講師等の経験をいかし、児童生徒に伝えていきたい「学校でしかできない学び」について(具体例を挙げて)
令和5年度採用講師等特別選考子どもにとって「魅力ある教員」とはどのような教員か。また、そのような教員になるためにどう取り組んでいくか。
令和5年度採用社会人特別選考社会人となって実感した「社会に出た時に求められる力」を生徒に身に付けさせるため、どのような授業を行いたいか
令和4年度採用社会人特別選考学校教育におけるキャリア教育の充実。社会人としての経験を踏まえ、どのような教育実践に取り組んでいくか。
令和4年度採用現職教員・講師経験者児童・生徒の「学び」を生かすために、どのような教育を行っていきたいか

※掲載した例の多くに「1,000字以内で論じなさい。なお、上記の課題に沿って、テーマ(題)は自由に設定し、原稿用紙の所定の欄に記入すること」という条件が付いています。

掲載した特別選考の小論文には、講師経験や社会人経験を踏まえるよう求めるものがあります。一方、令和8年度採用のスポーツ特別選考は保健体育の探究型学習、社会人特別選考は多様な文化的・言語的背景を持つ児童生徒への指導を問うもので、いずれも自分の経験への言及は明示されていません。その年の設問で求められた内容を確認してください。掲載した例の中には、課題に沿ってテーマ(題)を自由に設定し、所定の欄に記入する指示があるものがあります。

テーマの型を読む|県の教育計画と見比べる

5年分のテーマを並べて、実施要項の巻末に載っている「第7次山形県教育振興計画」(令和7年度から概ね10年間)の4つのチャレンジと見比べてみてください。ただし同計画は令和7年度からのもので、令和4〜7年度採用の出題はそれ以前に作られたものです。下の対応づけは編集上の読みで、県が示した出題対応表ではありません。

県民みんなでチャレンジ対応する出題テーマ
チャレンジ1『体験』 ワクワク無限大豊かな体験が児童生徒にもたらすものとは(令和8年度採用)/学校行事を通じて指導したいこと(令和5年度採用)
チャレンジ2『探究』 「なんで?」を大切に児童生徒が試行錯誤する学びを支える教育とは/児童生徒の興味・関心・意欲を引き出すために必要な教育とは(令和8年度採用)/保健体育の授業における探究型学習(スポーツ特別選考)
チャレンジ3『尊重』 みんなが主役で応援団児童生徒が自らの可能性に気付くために/児童生徒が安心してすごせる学校づくりのために(令和7年度採用)/児童生徒が前向きに挑戦できる環境をつくるために(令和8年度採用)/多様な文化的・言語的背景を持つ児童生徒への指導(社会人特別選考)
チャレンジ4『協働』 みんな笑顔で他の教職員と協働して勤務する際に大切にしたいこと(令和8年度採用)/児童生徒が他者と豊かに学び合うために(令和7年度採用)/地域とかかわり、地域をいかす人を育てる教育とは(令和4年度採用)
目標「ウェルビーイング」子どもたちが人生において幸福や生きがいを感じられるための教育とは(令和6年度採用)/心身ともに健康な児童生徒を育むために(令和7年度採用)

※左列は令和9年度採用実施要項の巻末「山形県の教育の目標、県民の皆様へ(第7次山形県教育振興計画の概要)」より。

見比べると、重なる語があります。対策としては、『体験』『探究』『尊重』『協働』『ウェルビーイング』の5語について、それぞれ「私はこう考える+教室でこうする」を800字で書ける状態にしておく。そのうえで、テーマについて理解を深め、文部科学省の文章を熟読して、小論文のテーマになるようなキーワードをよく理解しておくことが大切です。

もうひとつ、山形県らしい特徴として「郷土」「地域」が繰り返し出ています(郷土の魅力を伝える指導/地域とかかわり、地域をいかす人を育てる教育)。これは「山形県が採用時に求める教員の姿」の4番目「郷土を愛する心をもち、人とのつながりを大切にして、地域社会においてよりよい学校や地域社会を築こうとする方」と直結しています。県外出身の方は、山形の自然・産業・文化のうち一つを具体的に書けるようにしておくと強いです。

50分・800字をどう書くか|私が受講生に伝えている手順

山形県の作文は50分で800字以内。短い時間で書き切る必要があります。しかも二次では、作文のほかに個人面接1・個人面接2があります。頭が疲れている状態で、短時間で書き切る——そのための手順をお伝えします。

① 最初の8〜10分は「構想メモ」に使う

いきなり原稿用紙に書き始めないでください。構想メモを取ると、論点のズレ・途中で筆が止まる・大幅な書き直しという3つの事故を防げます。周りが先に書き始めても焦らないというメンタル面の効果もあります。私は、地元の和歌山県の90分2,000字の小論文では、構想メモに15〜20分くらいは使っていたんじゃないかなと思います。これを50分800字に当てはめた8〜10分は、私の目安です。

メモに書くのは3つだけ。①なぜ今このテーマが大切なのか(背景) ②私は何をするか(具体策を2つ) ③その結果、子どもがどうなるか(着地)。この3つが決まれば、あとは書くだけです。

② 指定字数の8〜9割は書くことをおすすめします

「800字以内」なので、640〜720字が最低ライン。文字数が大幅に足りないと、内容以前のところで評価が下がると考えられます。山形県の評価の観点には「文章構成・表現」が明記されていますから、途中で終わっている答案はマイナスに評価される可能性があります。逆に800字を超えるのは論外なので、700字前後で書き切って、残り時間で見直すのが理想の配分です。

③ 課題の言葉を、そのまま使う

これは小論文でいちばん大事なテクニックです。課題文の言葉をそのまま自分の文章に使うと、論点のズレを防げます。たとえば「豊かな体験が児童生徒に与える効果とは」なら、書き出しでも結びでも「豊かな体験」「効果」という言葉を使った方がいいです。そうすると論点がずれていないことが伝わって、採点する側もチェックしやすくなると私は考えています。「体験活動は大切だ」と言い換えてしまうと、少しずつテーマから離れていきます。

山形県の評価の観点の筆頭は「課題把握」です。「この受験者は、聞かれたことに答えているか」——要項では「課題把握」が評価の観点として挙げられています。課題の言葉を使うのは、その答えを目に見える形にする作業なんです。

④ NG例文とOK例文の差を、一度でいいから体感しておく

小論文は、まずテーマについての理解を深めておくことが大切です。合格レベルの答案を一度も見たことがないまま書き続けても、どこを直せばいいのか分かりません。添削コメントをもとに実際に書き直して、「OKパターン」を体で覚える——これが最短ルートです。NG例文がどう変わるのかを実演した動画がこちらです。

この動画で指摘しているNGの典型は、①社会的背景の理解不足 ②問題文の要求を満たしていない ③主語と述語のねじれ ④抽象的で本旨と関係の薄い結びの4つ。山形県の要項に挙げられている「課題把握」「文章構成・表現」という評価の観点にも関わる点です。

⑤ 時間がない方へ|合格例文を読んで、イメージだけ持つ

二次まで日数がない、講師をしていて勉強時間が取れない——そういう方は、市販の合格例文集を読んで「合格レベルはこのくらいか」というイメージを持つところから始めてください。丸写しはいけませんが、型を借りて自分の経験と工夫を入れるのは有効です。ゼロから唸っている時間がいちばんもったいないですから。

着地点は「山形県が求める教員の姿」

山形県が採用時に求める教員の姿(実施要項より)
  1. 児童生徒への深い教育愛と教育に対する強い使命感、責任感のある方
  2. 明るく心身ともに健康で、高い倫理観と規範意識を備え、法令を遵守する方
  3. 豊かな教養とより高い専門性を身につけるために、常に学び、自らを向上させる姿勢をもち続ける方
  4. 山形県の教員として、郷土を愛する心をもち、人とのつながりを大切にして、地域社会においてよりよい学校や地域社会を築こうとする方

作文の結びで迷ったら、この4つのどれかに着地させてください。「〜という教育を通して、子どもたちが◯◯できるようになることを目指し、私も学び続ける教師でありたい」——3番目に着地する形は、多くのテーマで使いやすい形です。ただし結びだけ立派にしても意味がありません。本文の具体策と、着地する教師像がつながっていることが大切です。

作文とあわせて備える個人面接

忘れてはいけないのが、山形県の二次は作文50点に対して、個人面接1が210点・個人面接2が140点だということです。作文は第二次の配点の12.5%(第二次に実技のない校種等の場合)です。ただし、第一次全免除の選考区分を除き、第二次の判定には第一次の得点も用います。作文で満点を狙うより、確実に評価される答案を短時間で書いて、面接に体力を残す——これがおすすめの戦略です。

それに、作文で考えたことは面接でそのまま使えます。「探究的な学びをどう進めますか」「協働的な学びにどう取り組んでいきますか」——実際にそう聞かれた記録があります。小論文は「書く面接」。同じ材料で両方に効きます。

■ 山形県の二次試験|個人面接1・2(210点+140点)と作文の内容・日程・出題傾向
■ 山形県の特別選考と一次免除ルート|13の選考区分・大学3年次前倒し・加点制度

よくある質問

Q. 一般選考でも一次に小論文はありますか?

A. ありません。実施要項の「第一次選考試験の試験項目」の表を見ると、小論文に「○」が付いているのは講師等特別選考・社会人特別選考・スポーツ特別選考の3区分だけです。一般選考と障がい者特別選考は「教職教養・一般教養」を受験します。ただし二次の作文(800字以内・50分・50点)は第二次選考試験の受験者全員に課されます(大学3年次特別選考は第二次を受けません)。

Q. 資料や課題文を読んで書く形式ですか?

A. 実施要項には「当日指定されたテーマについて、1,000字以内で論述(70分)」「当日指定されたテーマについて、800字以内で論述(50分)」とだけ書かれており、資料の提示に関する記載はありません。過去問集に記録されているテーマも一行のものが中心です。資料読解型ではなく、テーマ一行から自分で組み立てる形式と考えて準備してください。

Q. 題(タイトル)は自分で付けるのですか?

A. 特別選考向けの小論文には、過去の出題に「上記の課題に沿って、テーマ(題)は自由に設定し、原稿用紙の所定の欄に記入すること」という条件が繰り返し付いています。題を付ける欄があった年があるということです。題は凝る必要はなく、課題の言葉を入れた10〜20字程度が目安です。むしろ内容とずれた気取ったタイトルのほうが危険です。二次の作文についても、当日の指示を必ず読んでください。

Q. 作文の得点は教えてもらえますか?

A. はい。実施要項に「第二次選考試験の合否結果、個人面接、実技試験と作文の得点と総合ランクを、受験者あて郵送にて通知する」と明記されています。50点満点のうち何点だったかが分かるので、再受験する方にとっては次年度の設計図になります。

Q. 過去問はどこで手に入りますか?

A. 山形県教育委員会のホームページ上では小論文・作文の問題を確認できませんでしたが、過去3年分までは「行政資料のコピーサービス」で入手できると案内されています(県庁1階の行政情報センターで閲覧・複写〈1枚10円〉、または申込書を郵送・FAXするか電子申請で取り寄せ。手元に届くまで2週間程度とされています。料金・日数・対象年数は変わることがあるため、申込前に県ホームページで確認してください)。この記事のテーマ一覧は市販の全国版過去問集に収録された山形県分を整理したものです(著作権の関係で課題文そのものは掲載していません)。また私は受験された方からの報告を集めています。実際に出たテーマをご存じの方は、ぜひ教えてください。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

山形県の作文・小論文は、令和8年10月時点で受験者報告が1名分しか届いていません。「どんなテーマが出たか」「原稿用紙は何字詰めだったか」「題を書く欄はあったか」——たった一行の情報でも、次の受験生には大きなヒントになります。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム

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