こんにちは、金井志津乃です!

長崎県の要項を開いたら「特別採用選考A〜I」「免除申請ア〜カ」「加点制度19項目」……もう頭がパンクしそうです。私はどれに当てはまるんでしょうか?

わかります、あの要項は情報量がすごいですよね! でも安心してください。長崎県の制度は「①第1次試験が全部免除になるか ②教職教養だけ免除になるか ③加点がつくか」の3つに整理すると、一気に見通しが良くなります。しかもこの県、当てはまる人がとても多いんです。ひとつずつ見ていきましょう!
この記事では、長崎県公立学校教員採用選考試験の特別採用選考・免除申請・加点制度を、令和9年度採用(令和8年度実施)の実施要項の条文から整理します。
この記事の根拠
- 令和9年度採用(令和8年度実施)長崎県公立学校教員採用選考試験実施要項の全文(特別採用選考・免除申請・加点制度・大学3年生用実施要項)
- 長崎県教育委員会「令和9年度(令和8年度実施)長崎県公立学校教員採用選考試験の志願状況について」(大学3年生の志願者数)
- 確認できた範囲では、長崎県は特別採用選考の種別ごとの合格実績を公表していません。そのため、この記事では合格率や合格者数を一切書いていません。要項に書かれている条件と特別措置だけをお伝えします。
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
全体像|長崎県の制度は「3つの層」でできている
まず地図を頭に入れてください。長崎県では、出願のときに次の3つを重ねて選びます。
| 第1層:選考区分 | 一般選考か障害者特別採用選考のどちらか1つ(必ず選ぶ) |
| 第2層:受験種別 | 特別採用選考A〜I(9種類)と免除申請ア〜カ(6区分)から、該当するものを選ぶ(任意)。同じ第Ⅲ群に属するB〜Iおよび免除申請ア〜カは、その中での重複申請は不可。離島教育A・障害者特別採用選考とは、要項の対象校種・区分に従って重複申請できます。 |
| 第3層:加点制度 | 19の要件から最大2項目・合計6点まで第1次試験に加点(同一項目内での複数申請は不可) |
※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)実施要項「3 選考区分・受験種別・出願資格」「11 加点制度」。
特別採用選考と免除申請の重複申請については要項「10」に一覧があります。

大事なのは、特別採用選考も免除申請も「申請しないと使えない」ということ。要件を満たしていても、電子申請で選ばなければ一般選考のままです。締切は出願期間内(令和8年3月16日まで)が原則。2月13日の出願開始までに、自分がどれに当てはまるか調べ終えておくのが正解です。なお、令和9年度長崎県立学校教員採用特別選考試験(追加募集)が令和8年10月21日に公表されました。募集は高等学校の教諭44名(国語5・物理1・生物2・地学1・音楽1・家庭4・英語2・農業3・工業〔機械1・電気13・建築4・土木4・工業化学1〕・商業1・水産〔実習船指導教員〕1)と特別支援学校の教諭4名(小学部2・中学部・高等部2)で、小学校・中学校の募集はありません。出願は令和8年10月21日(水)〜11月24日(火)、選考はオンラインの個人面接(令和8年11月29日(日))、合格発表は令和8年12月23日(水)午前10時頃です。令和9年度採用の5〜8月の選考を受験した方と、現在長崎県の学校に勤務している方・勤務が内定している方は出願できません。
早見表①|特別採用選考A〜I(9種類)
| 種別 | 対象 | おもな要件 | 選考上の特別措置 |
|---|---|---|---|
| A 離島教育 | 小学校教諭 | 採用時を含めて通算10年、原則同一離島市町に勤務できる者(対馬市・壱岐市・五島市・新上五島町が基本) | 採用予定者数10名程度の専用枠。合格しない場合は一般選考の対象。 |
| B 特定教科(情報) | 高等学校(情報) | 平成21年度春期以降の基本情報技術者など指定11試験の合格者、又は当該資格に相当する研究により修士号・博士号を取得した者(令和9年3月31日までの取得見込み可)で、①大学・大学院を卒業(修了)した学士以上で、民間企業・研究機関等での情報システムの研究・開発・保守・運用等に出願時までに通算3年以上、または ②大学・大学院(科目等履修生を含む)で教育の基礎的理解に関する科目等を5単位以上取得(令和9年3月31日までに取得見込み可)し、かつ2週間程度の情報教育インターンシップを令和8年12月末までに終了した者 | ①は第1次試験の全部免除/②は教職教養試験の免除。免許がなくても出願可(特別免許状・臨時免許状による採用)。 |
| C 社会人 | 全校種・職・教科(栄養教諭を除く) | ①民間企業等は平成31年4月1日以降、②青年海外協力隊等・③国又は地方公共団体が設置した青少年教育施設は令和3年4月1日以降。いずれも令和8年3月31日までに①通算5年以上/②通算2年以上/③通算3年以上。 | 教職教養試験の免除。小・中は合格後2年以内に免許取得見込みでも出願可。 |
| D 英語資格等保有者 | 小学校(英語専科)・中学校英語・高等学校英語 | 令和3年4月1日以降受験のCEFR B2相当資格(英検準1級以上〔IBA不可〕、TOEIC L&R 785点以上〔IPテストオンライン不可〕、TOEFL iBT 72点以上〔新スコアTotal4以上〕ほか)に加え、所定の免許・職歴等の要件が必要。小学校英語専科は中学校英語普通免許の所有又は令和9年3月31日までの取得見込み、中高英語は要項p5の(1)〜(4)のいずれかに該当すること。 | 要件により第1次試験の全部免除または教職教養試験の免除 |
| E 本県本務教員退職者 | 全校種・職・教科(栄養教諭を除く) | 長崎県の本務教員として受験校種と同一の教職経験3年以上(休職・育休等の期間は除く)。育児・介護・家族の転勤等を理由に、平成28年4月1日以降に退職(それ以前に退職した方は、令和5年4月1日〜令和8年3月31日に本県公立学校の臨時的任用教員としての勤務実績が必要)。懲戒処分歴がないこと。 | 第1次試験の全部免除 |
| F スポーツ指導者 | 高等学校教諭 | 平成31年4月1日以降、令和8年3月31日までに、国際レベルの大会に日本代表として出場した選手の指導者、または日本選手権等で優秀な成績を収めた選手の指導者 | 教職教養試験の免除(保健体育志願者は第1次の実技試験も免除) |
| G 理数教育 | 高等学校(数学・物理・化学・生物) | 数学または理科に関する博士号取得者(専攻分野は問わない) | 第1次試験の全部免除。令和9年度採用で新設された枠。 |
| H 英語ネイティブスピーカー | 高等学校(英語) | 在留資格あり・海外の大学卒(学士以上)・英語が母語または公用語・日本語能力あり・学校教育法第1条の日本国内の学校で、令和3年4月1日〜令和8年3月31日に、教諭・講師(常勤又は非常勤)・ALTとして教科の授業に携わった経験が2年以上 | 第1次試験の全部免除。令和9年度採用で新設された枠。 |
| I 大学推薦 | 小・中・高・特別支援学校(教科により対象が異なる) | 長崎県を第1志望とし、学長・研究科長・学部長の推薦。小・中はGPA 4.0中3.0以上(5.0中3.75以上)、高・特支は学業成績が優秀であること。 | 第1次試験の全部免除(中学校技術・家庭は第2次試験の実技試験も免除) |
※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)実施要項「8 特別採用選考」。
各選考の採用予定者数は各校種・職・教科の採用予定者数に含まれます(Aは10名程度で、小学校教諭の採用予定者数220名程度の内数です)(Fのみ「高等学校各教科・科目の採用予定者数の1割以内で若干名」)。
早見表②|免除申請ア〜カ(6区分)
| 区分 | 対象 | おもな要件 | 免除内容 |
|---|---|---|---|
| ア.体免 | 中学校・高等学校(保健体育) | 国際レベルの大会に日本代表として出場、または日本選手権等で優秀な成績(特別免許状の取得を前提とした出願者は申請不可) | 第1次試験の全部または教職教養試験 |
| イ.特免 | 高等学校(保健体育を除く) | スポーツ=国際レベルの大会(オリンピック・アジア大会等)に日本代表として出場、または日本選手権大会あるいはこれに準ずる大会で優秀な成績。文化・芸術=国際レベルのコンクール・展覧会等に日本代表またはこれに準ずる資格で出場、または全国レベルのコンクール・展覧会等で優秀な成績。いずれも高校入学以降の実績に限り、団体種目はメンバー登録された者のみ(詳細条件は要項で確認してください)。 | 教職教養試験 |
| ウ.臨免 | 全校種・職(栄養教諭を除く) | 令和7年度に長崎県の国公立学校で臨時的任用され優秀と認められ、令和8年度の講師登録を令和8年2月20日までに行った者 | 要項の免除内容欄は「第1次試験の全て又は教職教養試験」。令和6・7年度に長崎県の国公立学校で臨時的に任用され、審査の結果特に優秀と認められた小・中・特別支援の志願者は第1次試験の全部が免除されます(「特に優秀」と認められる基準は要項に記載がありません)。 |
| エ.本免 | 全校種・職(栄養教諭を除く) | 令和8年3月1日時点で他自治体の国公立学校本務教員で、同一校種・職・教科・科目の本務経験2年以上、令和8年度末まで勤務継続 | 小・中・特支・養護は第1次試験の全部+第2次試験の実技試験/高等学校は教職教養試験 |
| オ.通免 | 全校種・職 | 令和8年度採用選考の第2次試験結果通知で区分Ⅱ合格後、名簿登載されなかった者(同一校種・職・教科・科目の受験に限る) | 第1次試験の全部 |
| カ.3免 | 全校種・職 | 令和9年度採用(令和7年度実施)選考試験の大学3年生試験で第1次試験合格通知書が発行された者(同一の校種・職・教科・科目に限る) | 第1次試験の全部 |
※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)実施要項「9 免除申請」。
免除区分どうしの重複申請は認められません。特別採用選考との重複については要項「10」を確認してください。

この2つの表を並べて見ると、長崎県が「一度でも長崎とつながった人を、何度でも呼び戻そうとしている」のがよく分かります。講師をしている人(ウ)、他県で先生をしている人(エ)、去年あと一歩だった人(オ)、大学3年で挑戦した人(カ)、そして一度辞めた元・長崎の先生(E)。全部に一次免除の道が用意されているんです。これは全国的に見てもかなり手厚い設計ですよ。
主流ルート①|大学3年生の前倒し受験(→翌年「カ.3免」)
長崎県で人が動いているルートのひとつがこれです。令和10年度採用向け(令和8年度実施)の大学3年生試験には262人が志願しました(令和9年度採用向け〔令和7年度実施〕の218人から+44人)。内訳は小学校117人・中学校43人・高等学校43人・特別支援学校16人・養護教諭41人・栄養教諭2人。
| 対象 | 令和8年3月時点で大学2年生等(大学の最終年次の2年前の年次。科目等履修生・短大生は含まない)で、令和9年度末に卒業見込みの者 |
| 受ける試験 | 第1次試験のみ。教職教養(35点満点)+専門教科・科目+該当者は実技・英会話力テスト。日程(令和8年5月10日)と試験内容・配点は、一般の受験生の第1次試験と同じ記載です。 |
| 合格すると | 翌年度(令和10年度採用)も同一校種・職、教科・科目で出願・免除申請した場合に、第1次試験が全部免除。第2次試験の結果をもって最終合格となります。 |
| 不合格でも | 翌年度に第1次試験から受験できます(受験資格を満たす場合) |
| 注意 | 大学3年生での受験は、特別免許状・臨時免許状の取得を前提とした出願、特別採用選考、免除申請、加点制度、名簿登載期間更新制度の対象外。また合格した人も翌年度に必ず電子申請を行い、免除申請「3免」を選択する必要があります。 |
※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)実施要項「大学3年生用実施要項」(P15〜)、志願状況PDF。

大学2年生・3年生の皆さんへ。落ちても翌年に何のペナルティもなく、受かれば(翌年度も同一校種・職、教科・科目で免除申請をすると)第1次の筆記が丸ごと免除されます。しかも本番と試験内容・配点が同じ記載の試験を1年早く経験できる。「今年は練習」のつもりで受けてみるという使い方もできます。ただし——出願は令和8年2月13日〜3月16日、試験は5月10日。大学2年生の後期のうちに動き出さないと間に合いません。受けるかどうかは、要項を確認して決めてください。
主流ルート②|講師として働いている人(ウ.臨免)
長崎県で講師をしている方には、2段階の免除が用意されています。
- 基本の免除(教職教養試験):令和7年度に長崎県の国公立学校で教員として臨時的に任用され、優秀と認められた者のうち、令和8年度の講師登録を令和8年2月20日(金)までに行った者
- 上乗せの免除(第1次試験の全部):さらに令和6・7年度に臨時的に任用され、審査の結果特に優秀と認められた者(認められる基準は要項に記載がありません)。ただし小学校・中学校・特別支援学校の志願者に限る。
申請は「免除申請書(臨免)」に必要事項を記入し、令和8年2月20日(金)までに現在勤務する学校の校長あてに提出します。出願(2月13日開始)とほぼ同時期に、学校での手続きも必要だということを忘れないでください。

講師の方が一番もったいないのは、「毎日忙しくて、気づいたら締切が過ぎていた」というパターンです。2月20日は年度末のいちばん忙しい時期。1月のうちに校長先生に「今年も申請したいです」と一声かけておく——これだけで違います。
そして講師の方に知っておいてほしいのは、「現場経験は、そのままでは強みにならない」ということです。私が面接指導をしてきた常勤講師の合格者に共通していたのは、次の3つでした。
- ネガティブな経験をポジティブに転換できている——うまくいかなかったことを、そこから何を学んだかまで語れる
- 自分の教育観がはっきりしている——「子どもにこうなってほしい」が一言で言える
- 言語化できている——実績とは表彰や成果ではなく、現場での子どもの具体的な変化のエピソードでいい。それを言葉にできているか。
主流ルート③|大学推薦特別採用選考(I)
新卒で受ける方にとって、第1次試験が全部免除になる最短ルートがこれです。
| 共通の要件 | 長崎県公立学校教員を第1志望とし、学長・研究科長・学部長が推薦する者。対象免許を有するか令和9年3月31日までに取得見込み。「長崎県が求める教師像」に相応する資質・能力を有すること。 |
| 小学校(全科・英語専科)・中学校(全教科) | 出願時までのGPAが4.0点満点中3.0点以上、または5.0点満点中3.75点以上 |
| 小中連携推進枠 | 小学校教諭+中学校(音楽・美術・技術・家庭)の両方の免許を有するか取得見込み。かつ上記のGPA要件。 |
| 高等学校・特別支援学校 | 学業成績が優秀であること(高等学校は、要項の対象教科に国語・世界史・日本史・地理・公民・数学・物理・化学・生物・英語・家庭・情報・工業・商業・農業が挙げられており、保健体育・芸術・水産は挙がっていません)。ただし所属大学が推薦指定校かどうかを大学担当者に確認する必要があります。 |
| 特別支援学校の特例 | 中学校(音楽・美術・技術)または高等学校(音楽・美術)の免許を有するか取得見込みなら、特別支援学校教諭免許を持っていなくても大学推薦に出願できます |
| 特別措置 | 第1次試験の全部免除。中学校(技術・家庭)は第2次試験の実技試験も免除。 |
| 手続き | 別途定める「大学推薦特別採用選考」実施要項(県HP掲載)を参照。大学での手続きに加えて、出願期間内に必ず電子申請も行うこと。 |
※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)実施要項「8 特別採用選考【I】」。

大学推薦で見落としがちなのが、「大学側の締切は、県の出願締切よりずっと早い」ことです。学内で推薦者を決める選考がある大学がほとんど。3年生の夏〜秋の時点で、教職課程の担当の先生に「長崎県の大学推薦を考えています」と伝えておくのが現実的なスケジュールです。GPAの要件がある以上、1年生からの成績が効いてくるということも、後輩の皆さんにはぜひ伝えてあげてください。
主流ルート④|社会人特別採用選考(C)
民間企業などから教員を目指す方のルートです。長崎県の社会人枠には、他県ではあまり見ない強い特例があります。
| 対象 | 全ての校種・職・教科(栄養教諭を除く) |
| 要件(いずれか1つ) | ①民間企業等(国公私立の小・中・高・特別支援学校を除く)で平成31年4月1日以降、令和8年3月31日までに通算5年以上の勤務経験 ②青年海外協力隊・日系社会青年ボランティア等として令和3年4月1日以降、令和8年3月31日までに通算2年以上の国際貢献活動 ③国又は地方公共団体が設置した青少年教育施設(少年自然の家、青年の家等)で指導業務の従事者として令和3年4月1日以降、令和8年3月31日までに通算3年以上の勤務経験 |
| 特別措置 | 第1次試験の教職教養試験を免除 |
| 免許の特例 | 小学校・中学校の志願者は、合格後2年以内(令和11年3月31日まで)に免許取得見込みの者も出願できます(名簿登載期間更新制度Zを併せて申請) |
| 手続き | 電子申請の際に「社会人特別採用選考申請書」を添付。第2次選考の合格者には職歴確認のため「在職証明書」の提出を求められます。 |
※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)実施要項「8 特別採用選考【C】」「17 名簿登載期間更新制度【Z】」。
小学校・中学校の志願者は、免許がまだなくても出願できます——これは大きいです。ただし令和11年3月31日までに免許が取得できなければ採用は取り消しになります。通信制大学などで単位を積む計画を、出願前に立てておいてください。

社会人の方が面接でバシッと話せるようにしておきたいのは、この2つです。①社会人経験を学校でどう生かすのか ②なぜ社会人経験を経て、いま教員を目指すのか。この2つをバシッと面接で話せるようにしておくと、合格しやすくなるポイントかなと思います。特に1つ目の「社会人経験を学校現場でどう生かしたいか」は、絶対に聞かれるところかなと思います。
年齢を気にされる方も多いのですが、長崎県の共通受験資格は「昭和42年4月2日以降に生まれた者」(令和9年度採用の場合)。50代でも受験できる設定です。40代・50代で合格した方に共通するポイントは、こちらで話しています。
主流ルート⑤|離島教育特別採用選考(A)
長崎県ならではの枠です。令和9年度採用の要項の「主な変更点」に「離島教育特別採用選考採用予定者数を増加」と明記されており、採用予定者数は10名程度とされています。
| 対象 | 小学校教諭 |
| 要件 | 採用時を含めて通算10年、原則として同一離島市町に勤務できる者。離島市町は対馬市・壱岐市・五島市・新上五島町を基本とする。 |
| 採用予定者数 | 10名程度(小学校教諭の採用予定220名程度の内数) |
| 申請 | 電子申請の際に「離島教育特別採用希望の有無」で「希望有り」を選択 |
| 不合格でも | 本特別採用選考で合格しない場合は、一般選考の対象になります |
| 加点との組み合わせ | 離島教育特別採用選考で受験する小学校志願者が、大学・大学院(科目等履修生を含む)で「複式教育論」「小規模教育論」などの科目の単位を取得していれば3点加点(加点⑲) |
※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)実施要項「8 特別採用選考【A】」「11 加点制度⑲」。

「10年間、同じ島で」という条件は重く聞こえるかもしれません。でも見方を変えると、10年間、腰を据えて同じ地域の子どもと家族に関われるということでもあります。しかもこの枠で不合格でも一般選考に回るので、挑戦のリスクはありません。二次の個人面接でも離島勤務は繰り返し聞かれるテーマなので、この枠を使うなら「小規模校のどこに関心があるか」を自分の言葉で用意しておいてください。
■ 長崎県の二次試験|個人面接+教科に関する課題面接・模擬授業の内容と出題傾向
主流ルート⑥|他県で先生をしている人(エ.本免)
他自治体の国公立学校で本務教員として働いている方は、第1次試験が全部免除(高等学校は教職教養試験のみ免除)になります。
- 要件:令和8年3月1日時点で他自治体の国公立学校本務教員。受験する校種・職、教科・科目と同一の本務教員経験が2年以上。令和8年度末まで勤務を継続すること。
- 免除内容:小学校・中学校・特別支援学校・養護教諭は第1次試験の全部+第2次試験の実技試験/高等学校は教職教養試験
- オンライン受験:小学校・中学校の志願者で第2次試験のオンライン受験を希望する場合は申請要件が異なります。「オンライン試験用実施要項」を必ず参照してください。長崎会場受験とオンライン受験の重複申請はできません。
令和9年度採用の「主な変更点」の第1項目が「全国オンライン試験を拡充(日程見直し、申請要件緩和等)」でした。長崎県は全国どこからでも受験できる仕組みを広げていると考えられます。令和9年度採用のオンライン第2次試験は令和8年8月29日(土)に実施されました。
主流ルート⑦|去年あと一歩だった人(オ.通免)と区分Ⅰ・Ⅱ
長崎県の合格には区分Ⅰと区分Ⅱがあります。ここを知らないと、通知書を読んでも意味が分かりません。
| 区分Ⅰ | 名簿登載期間は名簿登載日から令和10年3月31日まで。原則として令和9年4月1日〜令和10年3月31日の間に任用が始まります=いわゆる「合格」 |
| 区分Ⅱ | 名簿登載期間は名簿登載日から令和9年1月31日まで。区分Ⅰの合格者に辞退者が出た場合や定年退職以外の退職希望者が生じた場合に、順に区分Ⅰとして扱われます=他県でいう補欠合格に近い位置づけ。 |
| 区分Ⅱで任用されなかったら | 同一校種・職、教科・科目を受験する場合に限り、令和10年度採用選考の第1次試験が全部免除(=翌年の「オ.通免」) |
| 第2次試験不合格でも | 要項「15 公開・開示(3)」に、令和9年度選考の第2次試験不合格者のうち「16 登載・任用(3)」に該当する者は令和10年度採用選考の第1次試験が免除と明記。対象者には第2次試験の結果通知で知らされます。 |
※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)実施要項「15 公開・開示」「16 登載・任用」「9 免除申請【オ.通免】」。

長崎県は「二次まで進んだ人」を翌年に手厚く扱ってくれる県です。区分Ⅱで名簿に載ったけれど任用されなかった——それは翌年の一次免除というチケットでもあります。通知書は絶対に捨てないでください。「オ.通免」の申請には、その通知書の写しの郵送が必要です。
加点制度|最大2項目・合計6点
加点は19項目あり、最大2項目・合計6点まで第1次試験に加点されます(同一項目内での複数申請は不可)。教職教養が35点満点であることを考えると、6点はかなり大きい数字です。
| 加点要件 | 点数 | おもな対象校種 |
|---|---|---|
| ① 司書教諭の資格を有する者・取得見込みの者 | 3点 | 小・中・高・特別支援 |
| ② 大学院を修了した者・在学している者 | 3点 | 全校種・職 |
| ③ 英検2級以上/TOEFL iBT 61点以上/TOEIC L&R 550点以上(小学校。資格の受験期日は不問)、令和3年4月1日以降受験のCEFR B2相当資格(英語受験者・特支) | 3点 | 小学校/中高英語ほか |
| ④ 特別支援学校教諭普通免許状を有する者・取得見込みの者 | 3点 | 小・中・高 |
| ⑤ 小学校・中学校両方の免許を有する者・取得見込みの者 | 3点 | 小・中 |
| ⑥ 複数教科の中学校教諭免許(⑦との重複申請不可) | 3点 | 中学校・特支中高等部 |
| ⑦ 複数教科の高等学校教諭免許(⑥との重複申請不可) | 3点 | 特支中高等部 |
| ⑧ 志願教科以外に中学校免許「音楽・美術・技術・家庭のいずれか」を有する者・取得見込みの者 | 6点 | 小・中 |
| ⑨ 高等学校志願者(情報以外)で高等学校免許「情報」を有する者・取得見込みの者 | 3点 | 高等学校 |
| ⑩ 高等学校志願者(福祉以外)で高等学校免許「福祉」を有する者・取得見込みの者 | 3点 | 高等学校 |
| ⑪ 特別支援(小学部)志願者で中学校または高等学校免許を有する者・取得見込みの者 | 3点 | 特支小学部 |
| ⑫ 特別支援(中学部・高等部)志願者で小学校免許を有する者・取得見込みの者 | 3点 | 特支中高等部 |
| ⑬⑭ 視覚障害/聴覚障害の教育領域を定めた特別支援学校教諭免許 | 各3点 | 特別支援 |
| ⑮ 臨床心理士・公認心理師 | 3点 | 特別支援 |
| ⑯ 社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士 | 3点 | 特別支援 |
| ⑰ 看護師免許 | 3点 | 養護教諭 |
| ⑱ 管理栄養士 | 3点 | 栄養教諭 |
| ⑲ 離島教育特別採用選考の小学校志願者で「複式教育論」「小規模教育論」等の単位取得者 | 3点 | 小学校(離島枠) |
※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)実施要項「11 加点制度」。
校種ごとの適用可否は要項P9のマトリクス表で必ず確認してください(項目によって対象校種が細かく分かれています)。
加点の手続きで失敗しないための3点
- 出願時の電子申請での入力に加えて、第1次試験当日に「加点申請書」と証明書類の原本を持参・提出します(本部で確認後、当日返却)。加点申請書は教員採用試験ホームページからダウンロード。
- 一部は令和9年3月31日までの取得見込みでも申請可。ただし取得できなかった場合は、第2次試験に合格していても内定・名簿登載が取り消される場合があります。
- 改姓している場合は、改姓を証明できるものも持参。取得見込みで申請した人は受講中であることを証明する書類の提出が必要です。

注目してほしいのは⑧の6点です。小学校・中学校の志願者が、志願教科以外に音楽・美術・技術・家庭のどれかの中学校免許を持っていると、1項目で6点——上限をこれ1つで使い切れるんです。長崎県が実技系教科の人材を求めている可能性が、点数の設計から読み取れます。大学でこれらの免許を取れる環境にいる方は、真剣に検討する価値があります。
そのほか押さえておきたい制度
第2志望|中学校を受けて小学校で合格する道
- 中学校教諭→小学校教諭(小学校免許を有するか取得見込みの者)
- 中学校英語→小学校(英語専科)(中学校英語免許を有するか取得見込みの者)
- 中学校保健体育→小学校(体育専科)。小学校免許の取得の有無は問いません(令和9年度採用の新設枠)。
- 高等学校工業は、志願する科目以外の科目を第2志望にできます
- 栄養教諭は、中学校家庭または高等学校家庭を第2志望にできます(家庭の免許があれば教諭、なければ臨時免許状による助教諭採用。採用後の勤務実績が良好なら翌年度から特別免許状による教諭)
いずれも「第1次試験不合格者の中で成績優秀の者を、第2志望の第2次試験の受験対象とする」「第2次試験不合格者の中で成績優秀の者を、第2志望の第2次試験合格とする」という仕組み。一次で落ちても、二次で落ちても、二段階で拾われる可能性があるということです(要項「6 第2志望が可能な校種・教科」)。
障害者特別採用選考
全ての校種・職・教科が対象で、選考は一般選考と分けて行われます。身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方などが対象です。採用予定者数は20名と要項に明記されています。電子申請に加えて「障害者特別採用選考申請書」を出願期間内に郵送。申請書の記載内容により受験上の配慮が行われ、実技の免除等も審査のうえ行われます(要項「7 個別受験資格」)。
名簿登載期間更新制度(X・Y・Z)|合格を1年先送りできる
| X | 大学院進学予定・大学院在籍に伴う更新。進学予定者は令和8年12月末までに大学院の合格が確定する者に限る。任用は原則として大学院修了が条件。 |
| Y | 妊娠・出産・育児に伴う更新。第2次試験合格後に妊娠等で申請を希望する場合は、すみやかに県教委へ連絡。 |
| Z | 合格後2年以内に普通免許状を取得見込みの者の更新(社会人特別採用選考で合格した小・中志願者に限る) |
| 共通の注意 | 更新を希望する者は出願時に申請。許可が出た場合は令和8年12月末までに手続き(この手続きをすると令和9年度の採用を辞退することになります)。許可を与えるのは若干名。 |
※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)実施要項「17 名簿登載期間更新制度」。
原則は出願時の申請です。ただし第2次試験合格後の妊娠等により新たに希望する場合は、すみやかに県教委へ連絡してください——出願時の申請を忘れることが最大の落とし穴です。
まとめ|自分はどこから入るか
| あなたの立場 | 使えるルート | 第1次試験の扱い |
|---|---|---|
| 大学2年生(令和9年度末に卒業見込み) | 大学3年生試験(前倒し受験) | 一次のみ受験。合格すれば、翌年度も同一校種・職、教科・科目で免除申請をした場合に一次が全部免除。 |
| 大学4年生・新卒(成績優秀) | I 大学推薦 | 全部免除 |
| 大学4年生・新卒(一般) | 加点制度(司書教諭・大学院・英語資格・特支免許・小中両免・音美技家免許ほか) | 最大6点加点 |
| 長崎県で講師をしている | ウ 臨免 | 教職教養免除。令和6・7年度の任用をふまえた審査で「特に優秀」と認められた場合は全部免除(小・中・特支。基準は要項に記載なし)。 |
| 他県で本務教員をしている | エ 本免 | 小・中・特支・養護は全部免除+二次実技免除/高校は教職教養免除 |
| 長崎県の本務教員を退職した | E 本県本務教員退職者 | 全部免除 |
| 民間企業などで5年以上働いた | C 社会人 | 教職教養免除。小・中は合格後2年以内(令和11年3月31日まで)に免許取得見込みなら出願可。 |
| 令和8年度採用選考で区分Ⅱ合格となり、名簿登載されなかった | オ 通免 | 全部免除 |
| 離島で長く働く覚悟がある(小学校) | A 離島教育 | 専用枠10名程度。不合格なら一般選考へ。 |
| 英語の資格を持っている | D 英語資格等保有者/加点③ | 要件により全部免除または教職教養免除/3点加点 |
| 博士号がある(数学・理科) | G 理数教育 | 全部免除 |
| スポーツ・文化芸術で全国・国際レベルの実績がある(高校入学以降) | F スポーツ指導者/ア 体免/イ 特免 | 要件により全部免除または教職教養免除 |

この表を見て、自分が2つ以上に当てはまると気づいた方も多いはずです。特別採用選考と免除申請の重複にはルール(要項「10」)があり、免除区分どうしの重複はできません。迷ったら必ず県教委に電話で確認を。小・中・養護・栄養は義務教育課、高校・特別支援は高校教育課が窓口です。制度を1つ使い損ねるのは、勉強を1か月サボるより痛いですよ。
よくある質問
Q. 特別採用選考に落ちたら、一般選考でも不合格になりますか?
A. 要項には、審査の結果、特別採用選考の対象とならなかった場合は一般選考での受験となる(共通受験資格を満たす者に限る)と明記されています。離島教育特別採用選考も「合格しない場合は一般選考の対象となる」とあり、申請すること自体のリスクはありません。
Q. 特別採用選考ごとの合格者数は分かりますか?
A. 確認できた範囲では、長崎県は特別採用選考の種別ごとの出願者数・合格者数を公表していません。そのためこの記事でも合格率は出していません。分かっているのは、実施状況PDFの注記にある「小学校教諭には離島教育特別採用選考を含む」「小・中・高・特別支援学校教諭には障害者特別採用選考を含む」という点と、離島教育の採用予定者数が10名程度、障害者特別採用選考が20名であることです。
Q. 免除される「教職教養試験」は何点分ですか?
A. 35点満点です(要項「14 試験の評価・選考方法」)。専門教科・科目は100点満点(音楽・美術・保健体育は50点満点)。教職教養が免除されると、教職教養の学習負担を減らせます。ただし区分によって実技試験や英会話力テスト等の対策も必要です。これは非常に大きなアドバンテージです。
Q. 特別免許状・臨時免許状での採用とはどういう意味ですか?
A. 要項p2別表1・2で指定する校種・教科に限り、資格・経験・他の免許等の所定の条件を満たすと、志願教科等の普通免許状がなくても出願できます。臨時免許状による場合は助教諭として採用され、中学校(家庭・英語)、高等学校(家庭・英語・情報)の合格者は勤務実績が良好なら翌年度から特別免許状による教諭として任用されます。特別支援学校で臨時免許状による採用となる場合は助教諭採用で、免許取得の猶予期間が3年間設けられます(要項P2 別表1・2)。
Q. 何歳まで受験できますか?
A. 令和9年度採用の共通受験資格は「昭和42年4月2日以降に生まれた者」。大学3年生用(令和10年度採用)は「昭和43年4月2日以降に生まれた者」です。また令和9年度採用の共通受験資格には、「過去に性犯罪の前科がないこと」(こども性暴力防止法に基づく要件)が含まれています。
Q. 令和9年度採用の「主な変更点」は何でしたか?
A. 要項の冒頭に6つ挙げられています。①全国オンライン試験を拡充(日程見直し、申請要件緩和等)②中学校保健体育教諭に第2志望枠を新設③特別支援学校教諭の受験資格を緩和④離島教育特別採用選考の採用予定者数を増加⑤高等学校数学・理科に博士号取得者の採用枠を新設⑥高等学校英語に外国人の採用枠を新設。年度によって内容が変わるので、要項が出たらまずこの「主な変更点」を読んでください。
Q. 倍率が低い教科を狙うのはアリですか?
A. 長崎県は教科別の志願倍率まで公表しています。令和9年度採用では中学校技術0.2倍、高等学校の工業(電気)0.3倍など、採用予定者数が志願者数を上回っている教科がいくつもあります。ただし採用基準に達しなければ合格にはなりません。
■ 長崎県の倍率|令和9年度採用の志願状況と5年間の推移(校種別・教科別)
この記事は、受験者の皆さんの報告で育ちます
特別採用選考や免除申請を使って受験された方の情報は、要項だけでは分からない「実際どうだったか」を後輩に伝えられる貴重なものです。長崎県は令和8年10月時点で、届いている報告が2名分の自治体です。受験された方は、ぜひ来年の受験生のために教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。
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