【教員採用試験】長野県の特別選考「信州3S選考」と一次免除ルート|補欠合格者・講師経験者・社会人・加点制度

こんにちは、金井志津乃です! 

長野県の要項を開いたら「信州3S選考」ってあって、STとかSKとかSPとか記号だらけで……。自分が使えるものがあるのか、正直よく分かりません。

分かります、あれは最初びっくりしますよね。でも長野県は“入口”となる選考区分が多い県なんです。令和9年度採用だけで16区分(うちSK①Bは秋選考向け)。しかも一次選考の筆記試験などが免除される区分もあります。しかも長野県は区分ごとの合格実績まで公表しているので、区分ごとの採用候補者数の実績まで分かります。ひとつずつ整理しましょう!

この記事の根拠

  • 令和9年度採用の採用選考要項(高等学校教員)と「試験項目一覧」から、選考区分・受験者の条件・提出書類・一次免除の可否を転記
  • 令和9年度採用の申込状況資料から、夏の15区分それぞれの志願者数を掲載
  • 令和8年度採用の実施状況から、区分別の一次受験者数と採用候補者数(=実際の合格実績)を掲載
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
先にお断り(大事な前提)

令和9年度採用の要項は、高等学校版と、小学校・中学校・義務教育学校・特別支援学校(小中特支)版があります。同じ区分名でも条件・試験項目・提出書類が異なるため、「高等学校教員選考の要項より」と書いた箇所は高校の場合の内容として読み、ご自身の校種の要項で確認してください。
ST①〜⑤の5区分は小中特支の区分です(高等学校の要項には記載がありません)。

お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

早見表|令和9年度採用の選考区分(夏の15区分+一般・社会人。2年連続補欠合格者等が秋選考Aを受けられる「SK①B(秋チャンス選考)」を含めると16区分)

長野県の選考区分は、大きく①一般選考 ②社会人を対象とした選考 ③信州3S選考の3本立てです。信州3S選考はST・SK・SPの3系統に分かれています(要項ではSK=スキルアップ選考、SP=スペシャリスト選考と呼ばれています)。

記号選考区分の名称対象令和9年度採用の志願者(小中特支/高校)
—一般選考条件なし812人/253人
—社会人を対象とした選考①(教職)学校・幼稚園での教職経験が通算3年以上(講師・養護助教諭は常勤・非常勤を問わない)510人+81人/148人+30人
—社会人を対象とした選考②(民間企業等)民間企業・教職以外の公務員・NPO等の経験が通算3年以上、または青年海外協力隊等の国際貢献活動が通算2年以上
ST①学級担任経験のある小学校受験者を対象とした選考小学校志望で、県内の小・中学校の講師として令和6・7・8年度にそれぞれ学級担任経験があり、うち1回以上は小学校の学級担任経験がある人(小中特支要項)82人/—
ST②学級担任経験のある中学校受験者を対象とした選考中学校志望で、県内の中学校の講師として令和6・7・8年度に通常学級担任を2回以上務めた経験がある人(小中特支要項)40人/—
ST③学級担任経験のある特別支援学校受験者を対象とした選考【令和9年度採用で新設】特別支援学校教諭免許状を持ち、県内の特別支援学校の講師として令和6・7・8年度にそれぞれ学級担任経験がある人(小中特支要項)19人/—
ST④中学校複数免許所有者を対象とした選考県内の小・中学校の常勤・非常勤講師の経験が令和9年3月31日現在で通算2年以上あり、出願時に中学校の免許状を2教科以上持つ人(小学校・中学校教諭の志願者。小中特支要項)17人/—
ST⑤特別支援学校教諭免許状を有する者で、複数の免許状所有者を対象とした選考県内の学校で講師経験が令和9年3月31日現在で通算2年以上あり、特別支援学校教諭免許状に加えて、中学校・高校の複数教科の免許状、または小中高のうち2種類の免許状を出願時に持つ人(小中特支要項)15人/—
SK①A補欠合格者等を対象とした選考前年度に本県の選考で補欠合格者または合格者となり、前年度と同一の教科(小中特支は校種・教科)を志願する人74人/18人
SK②大学推薦選考小学校・中学校・特別支援学校の教諭志願者で、県教育委員会が依頼した大学の推薦を受け、令和9年3月に卒業見込みまたは大学院修了見込みの人(小学校・中学校の志願者は小学校と中学校の両方の教諭免許状を、特別支援学校の志願者は特別支援学校教諭免許状と小学校または中学校の免許状を持つ人〔取得見込みを含む〕。小中特支要項)47人/—
SK③A正規教員経験者を対象とした選考国公立学校の正規教員として令和9年3月31日現在で通算3年以上の勤務経験があり、教諭志願者は令和7年度または令和8年度に国公立学校で教諭または常勤・非常勤講師の経験がある人69人/8人
SK③B信州カムバック選考【令和9年度採用で新設】過去に長野県の国公立学校の正規職員として通算3年以上勤務し、退職した人(小中特支は、令和8年度中に教員として勤務していない人に限る)9人/1人
SP①日本語指導資格所有者選考【令和9年度採用で新設】希望する学校種の普通免許状を持ち、登録日本語教員の登録を受けた人(令和8年7月31日までに登録を完了できる人を含む。小中特支要項)2人/—
SP②英語資格所有者を対象とした選考英検1級/TOEFL iBT(会場受験)100点以上/TOEIC(公開テスト)900点以上(令和3年4月1日以降に取得)1人/5人
SP③発達障がい児童生徒特別支援のための選考希望する校種の普通免許状を持ち、発達障がいに関する専門の知識(指定の資格または特別支援学校教諭免許状)があり、その資格を生かした教育・療育等の経験が令和7年度または令和8年度にあり、かつ令和9年3月31日現在で通算3年以上ある人(小中特支要項)4人/—
SP④博士号取得者を対象とした選考高校は数学・理科・農業・工業・情報の受験教科の分野の博士の学位を有し、教員の職務に必要な熱意と見識をもつ人(教員免許の有無は問わない)。小中特支は中学校教諭の数学・理科が対象で、受験教科の分野の博士の学位を持ち、理数好きの生徒等を育てる意欲のある人(小中特支要項)2人/3人
SP⑤学芸員資格所有者選考【令和9年度採用で新設】希望する学校種の普通免許状と学芸員の資格を持ち、博物館・美術館等での勤務経験が通算2年以上ある人(小中特支要項)1人/—
SP⑥ネイティブ英語教員選考【令和9年度採用で新設】高校英語について、母国語が英語である人(公用語が英語である国・地域に在住(留学を除く)していた人を含む)またはそれと同等の英語力があり日常的に英語で業務を行っている人で、英語を母国語または公用語とする国・地域の大学・大学院(短期大学を除く)で学士以上を取得し、教員の職務に必要な日本語能力と、日本国内の高校での英語指導の教職経験1年以上がある人(詳しくは高校要項SP⑥)—/2人

※出典:令和9年度長野県公立学校教員採用選考申込状況について(志願者数・区分名)/令和9年度長野県公立高等学校教員募集案内・採用選考要項(対象の条件)。
ST①〜⑤・SK②・SP①・SP③・SP⑤の受験者の条件は、高等学校の要項には記載がないため、小学校・中学校・特別支援学校の要項(令和9年度採用)の内容を要約しています。正確な条件は自分の校種の要項でご確認ください。社会人選考の志願者数は「教職枠+民間枠」の内訳です。

令和9年度採用では、小中特支でST③・SK③B・SP①・SP⑤の4区分が新設され、計31人が志願しました。高校ではSK③Bに1人、SP⑥に2人が志願しています。条件は校種ごとの要項で確認してください。

一次選考が免除されるのはどの区分か(高等学校教員選考の場合)

ここが特別選考のいちばんの旨みです。「試験項目一覧」を読み解くと、筆記試験(教職教養・専門教科)と小論文がまるごと免除される区分があることが分かります。

選考区分一次:筆記
(教職教養・専門教科)
一次:小論文一次:書類審査適性検査
(オンライン)
二次:個人面接
一般選考○○○○○
社会人を対象とした選考○—○○○
SK①A 補欠合格者等———○○
SK③A 正規教員経験者○※—○○○
SK③B 信州カムバック——○○○
SP② 英語資格所有者——○○○
SP④ 博士号取得者——○○○(3回・うち2回は模擬授業を主とした面接)
SP⑥ ネイティブ英語教員——○○○(3回・うち2回は模擬授業を主とした面接)

※SK③Aの筆記試験は「二次選考の際に参考とします」(要項の注記)。要項には、一次選考の合否判定で筆記試験をどう扱うかは明記されていません。注記からは、二次選考の際の参考という位置づけと読めます。
出典:令和9年度長野県公立高等学校教員採用選考「試験項目一覧」。
この表は高等学校の試験項目一覧です。小学校・中学校・義務教育学校・特別支援学校は、小中特支要項の試験項目表でご確認ください。

この表から読み取れる3つのこと(高等学校教員選考)

  1. 小論文を書くのは「一般選考」(障がいのある人を対象とした選考を含む)だけ。社会人選考も信州3S選考も小論文はありません。
  2. SK①A(補欠合格者等)は、一次の試験項目がすべて免除。オンライン適性検査を受けて、二次の個人面接へ直行します。
  3. SK③B・SP②・SP④・SP⑥は、書類審査+適性検査+二次の個人面接のみ。筆記の準備をせずに勝負できます。

筆記試験が免除される区分でも、受験教科、資格の取得時期、経験年数や退職の有無などの条件があります。資格や経験を一つ持っているだけで免除されるとは限らないため、ご自身が区分の全条件を満たすか確認してください。

主流ルート①|補欠合格者(SK①A)——一次選考が免除される

長野県の二次選考は5段階(G・H・F1・F2・F3)で判定され、G=合格・H=補欠合格・F=不合格です。このH(補欠合格)を取ると、翌年度にSK①A「補欠合格者等を対象とした選考」を使えます。

受験者の条件前年度、本県の教員採用選考で補欠合格者または合格者となった者で、前年度と同一の教科を志願する者
採用する教員の種別高等学校教諭・養護教諭(高等学校教員選考の場合)
一次選考免除(筆記・小論文・書類審査なし)
受ける試験オンライン適性検査+二次選考の個人面接
実績(令和8年度採用・小中学校)一次受験者50人 → 採用候補者25人(50.0%)
実績(令和8年度採用・高校)一次受験者8人 → 採用候補者3人
令和9年度採用の志願者小中特支74人/高校18人

補欠合格の通知を受け取ると、多くの方は「落ちた」と受け取ります。でも長野県では、補欠合格は「翌年の一次免除チケット」でもあるんです。高校は前年度と同一教科、小中特支は前年度と同一校種・教科を志願することが条件です。翌年度の要項でも適用条件を確認してください。

主流ルート②|講師・学級担任経験(ST①〜③・SK③A)

小中特支の信州3S選考でいちばん志願者が多い区分は「学級担任経験のある小学校受験者を対象とした選考(ST①)」の82人です。中学校版(ST②)が40人、令和9年度採用で新設された特別支援版(ST③)が19人。合わせて141人——講師をしながら受験する方にとっての主戦場です。

令和8年度採用の実績(当時の区分名「長野県内小・中学校で学級担任経験のある講師で小学校教諭受験者を対象とした選考」など)はこうでした。

区分(令和8年度採用の名称)一次受験者採用候補者採用率
学級担任経験のある小学校受験者を対象とした選考101人31人30.7%
学級担任経験のある中学校受験者を対象とした選考57人19人33.3%
正規教員経験者を対象とした選考63人37人58.7%

※出典:令和8年度(2026年度)公立学校教員採用選考状況について(小中学校合計行)。
採用率は私が算出。

SK③A 正規教員経験者を対象とした選考は、条件がはっきりしています(高等学校教員選考の要項より)。

  • 国公立学校の正規教員として、令和9年3月31日現在で通算3年以上の勤務経験があること
  • 教諭志願者は、令和7年度または令和8年度に国公立高等学校で教諭または常勤・非常勤講師の経験があること(養護教諭志願者は養護教諭または養護助教諭の経験)
  • 令和9年度採用で採用選考を実施する教科等に限る
  • 所属長の推薦書(形式の指定なし)と履歴書(SK③A用の指定様式)を、5月7日(消印有効)までに郵送

講師の方によく言うのですが、講師経験は「不利な経歴」ではなく武器です。私は講師の強みを①クオリティ(現場で課題意識を持って試している)②信用(現場での積み重ねがある)③フレッシュさの3つだと考えています。「教えない授業をやってみたら、こんな変化があった」——そういう具体的な実践を、課題意識とセットで語れる人が強い。採用する側から見ても、自分で課題意識を持って現場で取り組んできたことをリアルに話せる人は、「この人は欲しい」と思ってもらえるのではないかと思います。

主流ルート③|複数免許(ST④・ST⑤)——県の課題に直結

長野県の実施状況には「令和8年度公立学校教員採用選考の成果」というページがあり、そこに「中学校専科教員の充足!」という見出しで、次の実績が紹介されています。

区分受験者合格者令和9年度採用の志願者
中学校複数免許所有者を対象とした選考(現ST④)17人8人17人
特別支援学校教諭免許状を有する者で複数免許状所有者選考(現ST⑤)8人1人15人

※出典:令和8年度(2026年度)公立学校教員採用選考状況について「令和8年度公立学校教員採用選考の成果」/令和9年度の志願者数は申込状況資料。

中学校複数免許所有者選考は、令和8年度採用で受験者17人・採用候補者8人でした。令和9年度採用のST④は、県内小中学校の講師経験が令和9年3月31日現在で通算2年以上あり、出願時に中学校の2教科以上の免許を所有することが条件です。免許の取得見込みだけで利用できる区分ではありません。

主流ルート④|社会人・民間企業経験者

長野県の「社会人を対象とした選考」は2種類あります(高等学校教員選考の要項より)。

①教職(常勤・非常勤講師を含む)経験者学校・幼稚園での経験が令和9年3月31日現在で通算3年以上(講師・養護助教諭は常勤・非常勤を問わない)。教諭受験者は教諭または講師の経験、養護教諭受験者は養護教諭または養護助教諭の経験。
②民間企業等経験者民間企業・教職以外の公務員・NPO等の経験が令和9年3月31日現在で通算3年以上、または青年海外協力隊等の国際貢献活動の経験が通算2年以上
試験項目一次は筆記試験(教職教養・専門教科)と書類審査に加え、保健体育・芸術の志願者には実技があります。小論文は課されません。二次は個人面接(模擬授業等を含む)。
注意「一般選考」と「社会人を対象とした選考」の双方を受験することはできません。また信州3S選考を複数受験することもできません。

令和9年度採用の志願者は、小中特支で社会人(教職)510人・社会人(民間)81人。とくに民間枠は令和8年度採用の59人から22人増と伸びています。高校でも社会人(教職)148人・社会人(民間)30人でした。

年齢については、要項の申込資格に「昭和42年4月2日以降に生まれた者」とあります(スポーツの技能や実績のある人を対象とした選考のみ49歳以下)。年齢の上限はかなり緩やかで、40代・50代からの挑戦も制度上は十分可能です。

40代・50代の方の面接で、面接官が気にするのは3つだと私は考えています。①いま求められている教育(ICT・主体的で対話的な学び)を謙虚に学べるか ②年下の同僚とフラットに働けるか ③人生経験を生かした調整役としての価値を出せるか。②は、年下の方にマウンティングしてしまわないよう気をつけて、謙虚でフラットな姿勢を大切にしてくださいね。

民間企業からの転職を考えている方は、こちらもどうぞ。

主流ルート⑤|大学推薦選考(SK②)——採用率75.8%

令和8年度採用の小中学校合計では、大学推薦選考の一次受験者33人に対して採用候補者25人でした(75.8%)。令和9年度採用の小中特支の志願者は47人です。対象者・事前選抜・校種が異なるため、この割合だけで他区分より通りやすいと判断することはできません。

大学推薦は、大学ごとに推薦枠と学内選考の仕組みがあります。まずは所属大学の教職支援センター・就職課に「長野県の大学推薦枠があるか」を聞いてください。学内の締め切りは、県の出願(令和9年度採用では5月7日)より早い場合があります。

大学推薦選考は、県教育委員会が依頼した大学の推薦を受け、令和9年3月に卒業又は大学院修了見込みであることなどが条件です。小中志願者は小学校・中学校両免許、特支志願者は特支免許(領域不問)と小学校又は中学校免許が必要です(取得見込みを含む)。詳細は小中特支要項と別途の大学推薦選考実施要項・所属大学の案内で確認してください。

加点制度|「情報」の免許で専門教科に10点

令和9年度採用の高等学校教員選考には、次の加点制度があります。

対象高等学校教員選考および障がいのある人を対象とした選考で、「情報」以外の教科(養護を除く)の一次選考「専門教科」受験者
加点対象「情報」の免許の取得または取得見込
加点方法一次選考の「専門教科」の得点に10点を加点(専門教科は120点満点)
手続き申込申請時に「ながの電子申請サービス」の該当部分に入力し、出願時に免許状の写しまたは取得見込証明書を提出
注意令和9年3月31日までに取得できないことが分かった場合は必ず申告。取得できない場合は加点が無効となり、採用内定を取り消す場合があります。また加点利用者は、配置校で「情報」を担当することもあります。

※出典:令和9年度長野県公立高等学校教員募集案内・採用選考要項「5 加点制度」。
小中特支は別要項の9〜10頁に対象免許・資格と加点表があります。高校の10点加点をそのまま適用せず、受験校種の表で確認してください。

専門教科120点に対して10点は8.3%分。決して小さくありません。高校を受験する大学生で、「情報」の免許が取得可能な課程にいる方は、真剣に検討する価値があります。

要項に載っている、もう2つのルート

① 免許状を所有しない社会人受験者を対象とした免許取得期間の猶予

小学校・中学校の教員選考で、民間企業等の経験が通算3年以上(または国際貢献活動が通算2年以上)ある教員免許を持っていない社会人が対象です。令和9年4月1日から臨時的任用教員として勤務できること、免許状取得の見通し(最大3年間)をもち9月30日までに免許状取得計画書を提出できることが条件で、二次選考で合格点に達し臨時免許状の取得が可能となった場合に、免許の取得まで最大3年間、採用を猶予するという制度です(小中特支要項より)。令和8年度採用は志願者7人 → 合格点到達者2人。令和9年度採用は6人が申し込み、一次選考では小学校教諭で3名が合格しています。実施状況の表では「外数」(他の選考区分とは別枠)として扱われています。

② 特定免許取得予定講師の優先的採用

これは長野県の実施状況の注記で紹介されている制度です。実施状況の注記にはこう書かれています——「二次不合格者の上位者のうち、特定教科の免許状取得予定者を任期付き採用教員として任用。任用期間中(最大3年間)に特定教科の免許状を取得した場合に、免許状を取得した翌年度の採用候補者とする」。

令和8年度採用は申込者52人・認定者3人、令和9年度採用は34人が申し込んでいます。令和9年度採用の小中特支要項では、対象は小学校・中学校・特別支援学校教員選考の二次不合格者の上位者(県教育委員会が指定)のうち美術・技術・家庭のいずれかの免許状取得予定者で、希望者は9月30日までに免許状取得計画書を提出するとされています。不合格になっても、任期付き採用の期間中(最大3年間)に指定の免許を取得した場合、その翌年度の採用候補者になれるという道が用意されている——この制度は、実施状況の注記で紹介されています。

秋にもチャンス|信州UIJターン秋選考

長野県には、夏の選考とは別に秋の選考があります。

受験者の条件令和9年度長野県公立学校教員採用選考の申込資格者であり、同選考の未受験者で、かつ受験時までに長野県以外の国公立学校の正規教員の経験が1年以上ある者
日程募集案内9月15日(火)/出願9月15日〜30日(電子申請のあと、申込書類を9月30日〔水〕消印有効で郵送)/受験票は10月8日(木)までに電子申請サービスで発行/選考10月24日(土)/結果通知11月上旬
選考内容個人面接(申込時に事前記入した内容についての質問を含む)+模擬授業等+書類審査・適性検査(事前にオンラインで実施)
模擬授業等の観点探究的な学びに向けた授業の構想・展開/教科の専門性/生徒、保護者等への適切な対応
判定3段階(G=合格・H=補欠合格・F=不合格)
注意大学院修士課程等在学者・進学者に対する採用猶予はありません。妊娠者等に対する採用猶予を希望する場合は11月27日(金)までに採用猶予願の提出が必要。

※出典:令和9年度長野県公立高等学校教員募集案内・採用選考要項「15 信州UIJターン秋選考実施要項」。
募集する学校種は高等学校です。小学校・中学校・特別支援学校(信州UIJターン秋選考A・B)も、出願期間(9月15日〜30日)と選考日(10月24日)は同じです。令和9年度採用の募集は、小学校=秋選考Aが南信ブロック・10名程度、秋選考Bが全県・若干名/中学校=国語(南信・若干名)、美術(全県・若干名)、技術(南信・若干名)、英語(全県・若干名)で、秋選考AとBは同じ行にまとまっています/特別支援学校=秋選考Aのみ・全県・若干名で、養護教諭・栄養教諭は秋選考を実施しません。春の採用選考要項には教員の種別として教諭・養護教諭と「令和9年度長野県公立学校教員採用選考の結果により、実施しない教科があります」との注記がありますが、秋選考の実施要項では教員の種別は高等学校教諭、教科は地理歴史・公民・数学・理科・英語・農業・工業・家庭、募集人数は若干名とされています。

また令和8年度採用からは、小・中・特別支援を対象に「山選考」(秋選考B=特定の山間地校勤務を条件とした採用)が導入されました(令和9年度採用の秋選考Bは小学校・中学校が対象で、特別支援学校は秋選考Aのみです)。実施状況の「成果」欄によると、信州UIJターン秋選考の志願者は令和7年度採用21人 → 令和8年度採用36人と大きく増えています。

「他県で正規教員をしているけれど、長野に帰りたい」——そういう方のための入口が、秋選考(他県からのUIJターン)と信州カムバック選考(長野を退職した方の復帰)の2つ用意されているわけです。ライフステージの変化で一度現場を離れた方にも、道はちゃんとあります。

採用猶予制度|大学院進学・妊娠出産で待ってもらえる

大学院修士課程等高等学校の令和9年度採用選考合格者(秋選考・スポーツ選考の合格者を除く)のうち、大学院修士課程(博士前期課程・教職大学院を含む)に在学している者は1年間、令和9年度に進学することが決定している者は2年間、採用を猶予(猶予期間のうちに修了することが条件)。令和8年11月9日までに採用猶予願の提出が必要(大学院の合格発表がそれより遅い場合は要相談)。
妊娠者等合格者のうち、令和8年度に妊娠されている者、および令和8年度末時点で0歳・1歳の子を養育している者は、男女を問わず希望により採用年度と次年度の最大2年間、採用を猶予できる。猶予終了後の4月1日から勤務できることが条件です。採用猶予願は令和8年11月9日まで(秋選考は11月27日まで)に提出します。

※出典:同要項「12 大学院修士課程等在学者・進学者に対する採用猶予」「13 妊娠者等に対する採用猶予」。
長野県は「妊娠者等に対する採用猶予制度」のQ&Aも別途PDFで公開しています。申込時に妊娠中の方、0歳・1歳の子を養育している方、申込み以降に妊娠が判明した方は、教育委員会に相談できると明記されています。

「男女を問わず」と明記されているのが素晴らしいですよね。合格を先に確保して、ライフイベントを終えてから現場に立つ——この選択肢があることを知らずに受験を先送りしてしまう方が、本当に多いんです。該当する方は、迷わず制度を使ってください。

まとめ|ルート別の採用実績(令和8年度採用・小中学校)

ルート一次受験者採用候補者採用率おすすめ度
大学推薦選考33人25人75.8%大学生なら最優先で確認
正規教員経験者を対象とした選考63人37人58.7%正規教員として通算3年以上の経験があれば要項で確認
補欠合格者を対象とした選考50人25人50.0%前年度に補欠合格・合格で、同一の教科(小中特支は校種・教科)を志願するなら一次免除
中学校複数免許所有者を対象とした選考17人8人47.1%免許は取れるだけ取る
学級担任経験のある中学校受験者を対象とした選考57人19人33.3%講師経験者の主戦場
学級担任経験のある小学校受験者を対象とした選考101人31人30.7%講師経験者の主戦場
発達障がい児童生徒特別支援のための選考9人2人22.2%専門性のある方向け
(参考)小学校教諭 全体543人250人46.0%—

※出典:令和8年度(2026年度)公立学校教員採用選考状況について(小中学校合計行)。
採用率は私が算出(採用候補者÷一次受験者)。参考行の小学校教諭は一般選考・社会人選考(教職・民間)の合算で、採用候補者には猶予終了者を含みます。令和9年度採用から区分名と体系が変わっているため、上記は旧区分での実績です。

大事なので繰り返します。「使える区分があるかどうか」は、受験の進め方に大きく関わります。要項が出たら真っ先に選考区分のページを開いて、自分に該当するものに印をつけてください。高校の所定書類は5月7日消印有効の郵送ですが、小中特支は5月7日までの電子提出、一次・二次会場での原本提出など区分で異なります。書類の準備は逆算して動きましょう。

よくある質問

Q. 信州3S選考は複数受けられますか?

A. できません。要項に「『信州3S(スリーエス)選考』を複数受験することはできません」と明記されています。また「一般選考」と「社会人を対象とした選考」の双方を受験することもできません。自分にとって一番有利な1つを選ぶ必要があります。

Q. 特別選考でも二次の内容は同じですか?

A. 高等学校教員選考では、基本的に同じです(個人面接+模擬授業等+適性検査・書類審査)。小中特支の二次は個人面接1回で、中学校の音楽・保健体育・英語には実技があります。高等学校では、SP④博士号取得者選考とSP⑥ネイティブ英語教員選考は個人面接が3回で、うち2回は模擬授業を主とした面接になります。スポーツの技能や実績のある人を対象とした選考は個人面接3回(うち1回はスポーツ関連事項)です(SP④・SP⑥と組み合わせる場合は4回)。つまり区分によっては、二次で見られる量が増えるということ。面接・模擬授業の準備が大切です。

■ 長野県の個人面接|受験者7名の実録と5年間の出題傾向(面接・場面指導・模擬授業の受験例)

Q. 障がいのある人を対象とした選考は、どんな配慮がありますか?

A. 受験条件は「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」のいずれかの交付を受けていること、および手帳の有効期限が出願時・一次選考日・二次選考日・採用時にそれぞれ有効であることです。受験にあたっては、受験者からの申し出をもとに、文字・用紙の拡大、手話通訳によるコミュニケーション、試験時間の延長、試験会場・座席の配慮、実技試験の一部免除等の配慮に努めるとされています。出願時に手帳の写し(障がいの種類と級が分かるもの)の提出が必要です。

Q. スポーツの技能や実績のある人を対象とした選考の条件は?

A. 高等学校教員選考では、スポーツ選考の実施要項上は高等学校教諭が対象で(Q&Aには養護教諭を含む全学校種で若干名とする記載もあり、原典どうしで食い違っています。小中特支にもスポーツ選考があり、要項は別です)、年齢制限は満49歳以下(令和9年3月31日現在)。競技者は①国際規模の競技会に日本代表選手として出場、または②全国規模の競技会で8位以上(平成31年4月1日以降の実績に限り、高校生以下を対象とした大会は除く)。団体競技は試合に出場した者に限ります。指導者は、該当する選手をその大会への出場に際して直接指導した者、又は指定の国際・全国大会への選手としての出場実績(団体競技は試合出場)があり指導者を希望する者です。書類審査を通過すると、一次では小論文と保健体育の実技は免除されます(筆記は、組み合わせる選考区分によって受ける場合と免除される場合があります)。二次は個人面接3回(うち1回はスポーツ関連事項)ですが、SP④・SP⑥と組み合わせる場合は4回です。

Q. 特別選考の書類は、いつまでに何を出せばいいですか?

A. 令和9年度採用の高等学校教員選考の場合、すべて5月7日(木)消印有効で郵送です(持参不可)。全員が学業成績証明書を提出し、加えて——SK③Aは所属長の推薦書(形式指定なし)と指定様式の履歴書、SP②は英語資格の級や得点が分かる証明書の写し(二次選考の面接時に原本を提示)、SP④は所属長等の推薦書と博士号の学位を証明するもの(写し)、加点制度利用者は「情報」の免許状の写しまたは取得見込証明書。音楽志願者は実技試験課題送付用封筒も必要です。推薦書は相手のある書類なので、4月中には依頼しておきましょう。

Q. 出願はインターネットだけですか?

A. はい。「ながの電子申請サービス」による電子申請のみで、郵送・持参では出願できません(高等学校では提出書類の郵送が別途必要です)。証明写真は「背景なし・正面・胸から上・帽子やマフラー不可・撮影から3か月以内・Jpeg形式・縦横4:3・2メガピクセル以内」と細かく指定があります。受験票は、令和9年度採用の高等学校では6月5日までに交付のメールが届き(小中特支は5月29日にメールで送信)、6月30日以降はダウンロードできなくなるので早めに保存してください(二次選考でも使います)。

長野県の選考区分は毎年更新されています。受験された方の報告が、この記事をさらに正確にします。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。

■ 長野県の倍率|令和9年度採用の申込・一次結果と3年間の推移(校種別・ブロック別)
■ 長野県の小論文(論作文)|過去5年の出題テーマと600字・800字の書き方
■ 長野県の個人面接カードの書き方|面接で深掘りされる欄を実録から逆算

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