【教員採用試験】茨城県の小論文(論作文)|令和7年度採用から廃止。過去の出題テーマと、いま代わりに問われるもの

こんにちは、金井志津乃です! 

茨城県の小論文って600〜800字ですよね? 参考書にも載っているし対策しなきゃと思っているんですが……過去問が最近のぶん見つからなくて。

そこ、とても大事なところです。確認できた令和8年度採用・令和9年度採用の茨城県の一般選考には、小論文がありません。実施要項を見ると、一般選考の試験内容にも配点表にも小論文は出てきません(離職者・スペシャリストを対象とした特別選考を除く)。この記事で「本当に無いのか」の確認方法と、過去のテーマ、そして小論文で問われていた力が令和9年度採用ではどこで問われているかを整理しますね!

この記事では、茨城県公立学校教員選考試験の小論文(論作文)について、令和9年度採用の実施状況・過去の出題テーマ・受験者報告・茨城県スタイルの書き方をまとめます。他県と併願される方、次年度以降に復活した場合に備えたい方にも役立つ内容にしました。

この記事の根拠

  • 実施の有無は令和9年度採用・令和8年度採用の実施要項で確認(試験内容・配点表のいずれにも小論文の記載がありません)
  • 令和6年度採用(2023年夏実施)の受験者の報告を校種別に収録(小学校3名・高等学校1名・特別支援学校2名の分を掲載)
  • 令和4年度〜6年度採用の出題テーマを3年分整理(テーマの要旨と字数のみ。課題文・設問文は転載していません)
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

結論|令和9年度採用の茨城県の一般選考に小論文はありません

令和9年度採用(令和8年度実施)の実施要項を開くと、試験内容はこう書かれています。

第1次試験13:00〜14:30(90分)専門教科・科目(300点)のみ。高等学校の水産・看護・福祉を除きマークシート方式。
第2次試験個人面接240点+模擬授業240点(特別支援学校教諭は個人面接240点+集団活動240点)。教科により実技試験または口述試験100点。
小論文記載なし(試験内容にも配点表にも登場しません)

令和8年度採用(令和7年度実施)の実施要項も同じ構成です。さらに、市販の全国版過去問集を5年分(令和4年度〜8年度採用)集計したところ、茨城県の小論文は令和6年度採用(2023年夏実施)までしか収録がなく、令和7年度採用以降はゼロでした。確認した令和8年度採用・令和9年度採用の一般選考には小論文はありません。令和7年度採用の実施有無・廃止時期は、当時の実施要項での確認が必要です。ただし、令和9年度採用の離職者を対象とした特別選考とスペシャリストを対象とした特別選考には、小論文(100点)と個人面接(200点)の計300点の選考があります。

ただし、試験制度は変わることがあります。茨城県は令和9年度採用でも変更点がありました。出願前には必ずその年の実施要項(令和9年度採用は2026年2月24日から出願受付)の「日程及び試験内容」と「配点及び選考基準」の2か所を自分の目で確認してください。この記事も、変更があれば更新します。

かつての茨城県の小論文はこうでした

受験者の報告から、令和6年度採用までの実施形式を復元します。

実施のタイミング受験者報告では、第2次試験の1日目(一次ではなく二次の科目)に小論文、そのあと集団討論、翌日に個人面接という流れでした。
時間・字数小学校・中学校:600字以上800字以内/高等学校:90分・800字以内(受験者報告では8:40〜10:10)/特別支援学校:90分・1,200字
書式高等学校は常体(だ・である調)で横書き、原稿用紙の使い方にしたがう、と設問に明記されていました
出題の型①テーマ提示型(小・中・養護・栄養・特別支援):教育課題を示し「教員としてどのように考え、どのように取り組むか」を問う
②課題文型(高等学校):2つの文章を読み、要約または共通点の説明+自分の実践を1つ述べる
問題校種・職種ごとに別問題(小・中は共通、高校・養護・栄養・特別支援はそれぞれ別)

※出典:受験者報告(令和6年度採用)および当ブログの公刊過去問集計

過去の出題テーマ|令和4年度〜6年度採用の3年分

テーマの要旨と字数のみ掲載しています(問題文そのものは各年度の茨城県出題をご確認ください)。令和7年度採用・令和8年度採用は収録がないため、収録は3年分です。

採用年度(実施)校種・職種テーマの要旨字数
令和6年度(2023年夏)小学校・中学校子どもたちの豊かな学びの展開に向けて、問いの発見と解決に重点を置く探究的な学びを推進することが重要である。教員としてどのように考え、どのように取り組むか。600字以上800字以内
高等学校2つの文章の内容を250字程度でまとめ、それに関連した自分の考える実践を具体的に1つ述べる800字以内(常体・横書き)
特別支援学校障害者権利委員会の勧告を踏まえ、日本のインクルーシブ教育システムについてどのように考えるか1,200字(90分)
養護教諭集団で行う指導と、個々の課題に応じて対応する指導の双方の必要性をどう考え、どのように取り組むか/健康診断の結果から支援が必要な生徒を把握した事例への対応600字以上800字以内
令和5年度(2022年夏)小学校・中学校教師には、子どもたちの成長に関わる一人の人間として、広く社会から尊敬され、信頼される人格的資質を備えていることが求められる。どのような教師を目指し、どのように取り組むか。600字以上800字以内
高等学校2つの文章を読み、自分の考える実践を下線部に関連させて具体的に1つ述べる。高等学校学習指導要領(平成30年告示)の改訂の趣旨を踏まえ、実践のねらいと予想される成果も述べる。800字以内(常体)
特別支援教育各学校で児童生徒に1人1台のICT(タブレット端末等)が整備されている。茨城県の特別支援学校の教員としてどのように活用し、どんな授業を行うか。—
養護教諭学校の管理下で児童生徒がけがをする事故が発生したときの対応/健康上の問題があると認めるとき、養護教諭その他の教職員が相互に連携して行う保健指導800字以内/600字以上800字以内
栄養教諭子どもたちが豊かな人間性を育み、生きる力を身に付けていくためには何よりも食が大切であるといわれている。栄養教諭としてどう考え、どう取り組むか。600字以上800字以内
令和4年度(2021年夏)高等学校2つの文章の共通点を説明し、それに関連付けて、教員として生徒にどのような指導を実践するのかを具体的に述べる800字以内(常体)
栄養教諭ある小学校の児童の生活習慣等に関するアンケート結果(朝食の摂取状況と朝食内容)を読み取り、問いに答える—

※テーマの要旨のみ掲載。課題文・設問文の全文は転載していません。
出典:当ブログの公刊過去問データベース(令和4年度〜6年度採用)および受験者報告

確認できた3年分を並べると、茨城県の小論文にはおおむね共通する型がありました。小・中は「◯◯が重要です。あなたは教員として、このことをどのように考え、どのように取り組んでいきますか」という設問文が共通していました。高校だけが2つの文章を読ませて要約+実践1つという別形式です。テーマは「探究的な学び」「人格的資質」「ICT」「インクルーシブ教育」と、その年に教育界でよく語られていた言葉が出ていたと考えられます。

受験者の報告|令和6年度採用(2023年夏実施)

小学校(3名から同じ問題の報告)

子どもたちの豊かな学びの展開に向けては、問いの発見と解決に重点を置く探究的な学びを推進することが重要です。あなたは、教員として、このことをどのように考え、どのように取り組んでいきますか。600字以上800字以内で、あなたの考えを具体的に述べなさい。

高等学校(当日の進行つき)

次の【文章1】【文章2】の内容を250字程度でまとめて、それに関連したあなたの考える実践を具体的に1つ述べなさい。字数は800字以内とし、原稿用紙の使い方にしたがって常体で記述すること(横書き)。
※【文章1】は約1,900字(中略2か所)、【文章2】は約2,500字(中略1か所)。哲学と、学びの生成に関する書籍からの引用でした。

当日の流れ:8:10 試験会場(教室)に入室完了。試験官1名が入室し、提出物の回収・受験票と本人確認・日程説明。8:30 準備時間、8:38頃 問題配布、8:40〜10:10(90分)。終了後、黒板に掲示されたプリントで集団討論のグループ・時間帯と、翌日の個人面接の時間帯を各自で確認。

特別支援学校(2名)
  • インクルーシブ教育について、あなたの考えを述べなさい。(1,200字・90分)
  • インクルーシブ教育システムについて、あなたの考えを述べなさい。

さらに、このページのもとになった令和4年度採用(2021年夏実施)の合格者レポートでは、小学校が60分・800字で「自己肯定感を育てるためには自信をつけさせる必要があります。あなたは担任としてどのように児童と関わりますか」、特別支援が90分・1,200字で「主体的・対話的で深い学びの視点を踏まえ、特別支援学校の教員として授業に対してどのような思いをもち、どのように授業を展開することが重要と考えるか」でした。特別支援の90分・1,200字は、令和4年度採用と令和6年度採用で同じだったことが分かります。

茨城県の合格者が語っていた「書き方」

令和4年度採用に合格された方が、当時レポートに書いてくださった言葉をそのまま残します。小論文が復活したときはもちろん、他県の論作文にも通じる部分が多い内容だと考えています。

小論文は茨城県のスタイルがあります。序論、本論(3本立て)、結論の書き方が決まっています。最後のマスまで埋めること、誤字脱字は減点。きれいな文字で書くことも点数に反映されています。テーマに対して箇条書きノートを作成しておくとよいと思います。

「最後のマスまで埋める」は、字数指定が「600字以上800字以内」のように下限と上限の両方で示される県では特に大事です。字数については、指定された字数の8割から9割は書くようにしてください。字数を満たしていないものは、読まれずに捨てられている可能性もあります。

手書きで時間内に必要な字数を書き切るには、構想メモで大枠を固めてから書き出すことをおすすめします。文の途中で書き足したり、消して書き直したりしているうちに時間は溶けていきます。私が実際に書きながら構想メモの取り方を実演した動画がこちらです。

そして小論文でまず意識してほしいのは「課題の趣旨からそれないこと」。テーマ提示型なら設問の言葉(「探究的な学び」「人格的資質」など)を答案の中で使うようにする、課題文型なら筆者の主張に触れずに自分の話だけを書かない。1分のショートにまとめています。

小論文で問われていた力は、いまどこで問われているのか

ここがこの記事で一番お伝えしたいところです。小論文が無くなったからといって、「教育課題をどう考え、どう取り組むか」を問われなくなったわけではありません。問われる場所が移ったと考えられます。

かつて小論文で問われていたこと令和9年度採用で問われている場所
探究的な学びをどう推進するか(令和6年度採用・小中)模擬授業の質疑応答。令和9年度採用の実施要項に掲載された前年度の参考例に「質疑応答の場面において、『探究的な学び』や『ICT活用』など授業に関連する教育時事について問うことがあります」と明記。
1人1台端末をどう活用し、どんな授業を行うか(令和5年度採用・特別支援)特別支援学校の個人面接では「ICTをどのように使いたいですか」という報告があります。令和9年度採用の特別支援学校の二次科目は個人面接240点と集団活動240点で、模擬授業ではありません。
主体的・対話的で深い学びをどう実現するか模擬授業のテーマ(令和7年度採用・令和8年度採用の2年とも「主体的・対話的で深い学びの実現へ向けて、単元等の導入場面において〜」が出題テーマ)
信頼される人格的資質をどう備えるか(令和5年度採用・小中)個人面接(240点)。評価の観点は「使命感、堅実性、判断力」等。
インクルーシブ教育システムをどう考えるか(特別支援)個人面接の専門質問。「対話的な学びをする際に、重度重複の子どもに対してどう工夫しますか」など。

つまり、小論文対策としてやってきた「教育時事を自分の言葉で語れるようにする」作業は、模擬授業と個人面接の準備にも生かせると考えられます。むしろ書く時間がなくなったぶん、「口で2分で言えるか」まで仕上げておくと安心です。テーマごとの箇条書きノートは、令和9年度採用の対策にも使えます。

■ 茨城県の個人面接・模擬授業|実録10名の質問と5年分の出題傾向
■ 茨城県の集団討論・集団活動|過去問アーカイブと特別支援「ポスター作成」対策

他県と併願する方へ|書く力は捨てないでください

令和9年度採用の志願状況では、水戸以外の会場またはSPI3を選んだ方が1,336人です。この人数だけから他県との併願者数は分かりません。併願先に論作文がある場合は、その自治体の試験内容に合わせて準備してください。

合格レベルの例文を読んで「OKパターン」を体に入れ、例文をそのまま使うのではなく、具体例や考え、経験は自分のオリジナルにして仕上げていきましょう。NG例とOK例を添削しながら解説した動画がこちらです。

小論文全体の攻略法は、この1本にまとめています。

よくある質問

Q. 参考書には茨城県の小論文が載っています。どちらが正しい?

A. 参考書に載っている茨城県の小論文は、確認できた範囲では令和6年度採用(2023年夏実施)までの過去問です。過去問集は数年前の出題をまとめて掲載するため、制度が変わっても数年は載り続けることがあります。正しいのはその年の実施要項です。判断に迷ったら、実施要項の「日程及び試験内容」と「配点及び選考基準」を見てください。選考区分によっては別の実施要項があるため、受験する区分の資料も確認してください。令和9年度採用の離職者・スペシャリスト特別選考には小論文があります。

Q. 小論文が無くなって、対策は楽になりましたか?

A. 総量は減りましたが、楽にはなっていません。令和9年度採用の第2次試験は個人面接240点+模擬授業240点(特別支援学校教諭は集団活動240点)が基本で、中高の英語は口述試験100点、指定教科は実技試験100点が加わり、580点(中高英語・実技教科)となります。ただし、現職教諭等在職者・大学等推薦など、口述試験や実技試験が免除される場合があります。また、一つでも一定の基準に達しない方は不合格と実施要項に明記されています。かつて小論文・集団討論・個人面接の3つに分かれていた評価が、令和9年度採用の一般選考では面接と授業の2つに集約されています(中高の英語・実技教科は、免除対象者を除き、口述試験・実技試験も加わります)。1つあたりの重みは、むしろ増していると考えられます。

Q. 第1次試験に論述はありますか?

A. 令和9年度採用の第1次試験は専門教科・科目90分(300点)のみで、高等学校の水産・看護・福祉を除いてマークシート方式です。つまりこの3科目以外は記述問題そのものがありません。なお外部試験(SPI3)による特別選考で受験する場合は、基礎能力検査(言語・非言語)200点と性格検査(配点なし)になります。中学校・高等学校の英語の受験者は英語検査200点も受検し、計400点です。

Q. 過去の小論文テーマを練習する意味はありますか?

A. あります。「探究的な学び」「1人1台端末」「インクルーシブ教育」「主体的・対話的で深い学び」といった過去のテーマは、模擬授業の質疑応答や個人面接でも聞かれた報告があります。書かなくてもいいので、1テーマにつき「200字で書けること」を箇条書きで用意しておくと、面接での深掘りに強くなります。

Q. 倍率はどのくらいですか?

A. 令和9年度採用は全体で志願倍率2.83倍(小学校1.48倍・中学校3.21倍・高等学校4.23倍・特別支援2.18倍・養護19.38倍・栄養21.50倍)。校種別・教科別の推移は倍率記事にまとめています。

■ 茨城県の倍率|令和9年度採用の志願状況と5年間の推移(校種別・教科別)

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

「その年に小論文があった/なかった」という一言でも、次年度以降の受験生には大きな情報です。茨城県を受験された方は、ぜひ教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム

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