こんにちは、金井志津乃です!

山口県の二次に「集団面接(模擬授業・討議)」ってあるんですけど、これって集団面接なんですか? 模擬授業なんですか? 何をするのか全然わかりません……

その混乱、すごくよく分かります! 山口県の「集団面接」は、受験者報告によると質問に順番に答える形式ではありません。報告では、同じ主題で「模擬授業」をやり、そのあと同じメンバーで「討議」をする形式です——模擬授業と討議で1つの試験項目なんです。この記事では前半の模擬授業を、実際の報告から丸ごと解説しますね!
この記事では、山口県公立学校教員採用候補者選考試験第二次試験の模擬授業(試験項目「集団面接(模擬授業・討議)」の前半)について、実際に受験した方々の報告をもとに、当日の流れ・出題された主題・準備の仕方をまとめます。
この記事の根拠
- 令和9年度採用(2026年夏実施)の受験者報告1件を「令和9年度採用の報告」として追加収録
- 令和6年度〜8年度採用(2023〜2025年実施)の受験者8名分の報告から、出題された主題と当日の流れを収録
- 試験項目・評価の視点・評価方法・時間割は令和9年度採用の実施要項と照合済み
- 後半の「討議」は別記事にまとめています →山口県の集団討論(討議)|「1時間の授業を立案する」30分討議の攻略法
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に模擬授業つきで新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
模擬授業の基本情報|30秒でわかる
| 位置づけ | 第二次試験の試験項目「集団面接」。実施要項の試験内容欄には「模擬授業及び討議」と書かれています。模擬授業と討議で1つの科目です。 |
| 実施日・時間 | 令和9年度採用は7月4日(土)11:50〜17:20。小論文のあと、丸半日の枠で行われます(個別の実施時刻は当日の案内を確認してください)。 |
| 構想時間 | 15分という報告があります(全受験者共通とは限りません) |
| 実演時間 | 5分(導入)という報告があります。「授業の導入部分をやりなさい」という指示で、1時間の授業を全部やるわけではない、とされています。 |
| 生徒役 | 他の受験生が生徒役として協力します(受験者報告)。当日の指示に従ってください。 |
| 号令 | 面接官がかけます(受験者報告)。号令の担当は当日の指示を確認してください。 |
| 主題 | 報告されている主題は教科の授業ではなく、道徳・学級活動(LHR)系のテーマ。掲載した報告の多くは「◯◯の大切さ」型、養護教諭は健康テーマ(後述)。 |
| 対象学年 | 指定される場合(「中学2年生を対象に」)と、自由に設定してよい場合(「高校1〜3年で好きに設定してよい」)の両方が報告されています |
| 評価の視点 | 個人面接・小論文と共通:教育的愛情、教育に対する情熱・意欲、教育観、人権意識、倫理観、表現力、創造力、指導力、社会性、積極性、協調性 等 |
| 評価方法 | 各評価の視点について5段階で評価(点数化された配点は実施要項に記載がありません) |
※構想15分・導入5分・生徒役・号令は受験者報告にもとづく情報で、実施要項には記載がありません。試験項目・評価の視点・評価方法・時間割は令和9年度採用 実施要項「4 試験項目等」「6 試験時間等」「8 試験内容、評価の視点、評価方法及び選考方法」より。

掲載した受験者報告には「伝え合うことの大切さ」「自ら考えて行動することの大切さ」など、道徳やLHRに関わる主題があります。養護教諭では「睡眠と健康」などの報告があります。出題内容と対象学年は当日の指示を確認してください。
当日の流れ|受験者報告から再現した一例
- 主題と課題が示される(例:「模擬授業の主題=伝え合うことの大切さ」「討議の課題=その主題で1時間の授業を立案する」)
- 構想15分。ここで模擬授業(導入5分)の中身を組み立てます。
- 受験者が順番に模擬授業(導入5分)を実演。他の受験者が生徒役になり、号令は面接官がかけます。
- 全員の実演が終わったら、同じ主題で「1時間の授業を立案する」討議(5〜6人・30分)へ
ここが山口県の最大の特徴です。模擬授業と討議の主題は「同じ」。自分がやった導入5分を、そのあとグループ全員で「1時間の授業」に発展させる——という報告が複数あります(実施要項には記載がありません)。
つまり、構想15分の使い方が大きく影響すると考えられます。導入5分のことだけを考えていると、討議で「その後の展開は?」と話が進んだときに何も出せません。逆に、構想の段階で「1時間の授業の見取り図」まで描いておけば、模擬授業も討議も同じ準備で戦えます。

当ブログの型としては、構想15分でこの4つをメモすることをおすすめします。①この1時間で子どもに何を持ち帰らせるか(目標)②導入の問い(5分で使う)③展開で何をさせるか(討議で出す)④まとめで何を言わせるか。②だけが模擬授業、①③④が討議の材料になります。
令和9年度採用(2026年夏実施)の試験で出た内容として報告されたものです。令和9年度採用の受験者報告の要旨を掲載しています。
特別支援学校|模擬授業(ロングホームルームの冒頭5分・面接委員3人・順番はくじ引き)
- 【模擬授業】ロングホームルームの冒頭5分として、「夢や目標を持つことの大切さ」をテーマに授業をしなさい。
出典:当ブログの受験報告フォーム(2026年9月18日時点・この自治体の報告1件)。
校種までの表記とし、個人が特定されうる記述は除いています。
実際に出た主題|受験者報告(令和6年度〜8年度採用)
受験者の皆さんから届いた報告を、年度別・区分別に収録します。
- 【小学校】「コミュニケーションの大切さ」についての模擬授業(導入5分間)。その後、授業についてのグループディスカッション。
- 【養護教諭】「望ましい食習慣と健康」(構想15分・実施5分)→ その後、討議「望ましい食習慣と健康について、中学2年生を対象に1時間の授業を作る」(5〜6人・30分)
- 【養護教諭・別の受験者】「望ましい食習慣と健康」の授業の導入(5分)+討議(30分)(複数の受験者が同一主題を報告)
- 【特別選考】「伝え合うことの大切さ」(構想15分・導入5分/号令は面接官がかける/他の受験生が生徒役として協力)→ 討議「伝え合うことの大切さについて考えを深めさせる授業の立案」(6人・30分)
- 【高等学校】「自ら考えて行動することの大切さについての授業」(導入5分)。対象は高校1年〜3年で好きに設定してよい → 討議「模擬授業と同じ課題で、LHRで1時間の授業を立案してください」
- 【高等学校・別の受験者】「自分で考えて行動することの大切さを伝える授業」→ 討議「試験科目(1)について、討論して授業案を作成しなさい」(原文のとおり。「試験科目(1)」の指す内容は未確定)
- 【高等学校・英語】「LHRの授業で、どのようにしたら異なる他者と協働して学べるかについての授業」(報告者ご本人が「だったと思います」と記憶が曖昧な旨を記載)
- 【養護教諭】「睡眠と健康」(構想15分・実施5分)→ 討議「中学2年生を対象に1時間の授業をする想定」(6人・30分)
掲載した報告では「◯◯の大切さ」という主題が多く、養護教諭では健康に関する主題が報告されています。対象学年が指定される場合と、自由に設定できる場合の両方が報告されています。
主題と「県が育てたい子どもの姿」の関連を考える
ここが、山口県対策の核心です。実際に出た主題を、山口県の教育目標と並べてみてください。
| 実際に出た主題 | 山口県が育てたい「3つの力」「3つの心」との対応 |
|---|---|
| 伝え合うことの大切さ/コミュニケーションの大切さ | 生き抜く力:コミュニケーション能力 |
| 自ら考えて行動することの大切さ | 学ぶ力:自ら学びに向かう意欲や態度/創る力:自ら課題を見つけよりよく解決していく力 |
| 異なる他者と協働して学ぶ | 広い心:多様な考えを理解し尊重する態度 |
| 睡眠と健康/望ましい食習慣と健康 | 生き抜く力:たくましく生き抜くために必要な健康や体力 |
※山口県の教育目標「未来を拓く たくましい『やまぐちっ子』の育成」と「3つの力・3つの心」の全文は面接記事にまとめています。
出典:山口県教育委員会「令和6年度 山口県教育推進の手引き」(2024年4月)

報告された模擬授業の主題には、県の教育計画と重なる言葉が見られます。ということは、「3つの力」「3つの心」の6つそれぞれについて、導入5分のネタを1つずつ用意しておくと、主題に対応しやすくなります。これは山口県対策の一つの進め方です。
■ 山口県の個人面接|「3つの力」「3つの心」の全文と、実録3年分の質問
導入5分の型|模擬授業で押さえたい3つのポイント
5分は短いようで、意外と長いです。何も決めずに立つと、「説明」で終わりがちです。私が模擬授業で伝えている評価ポイントは3つです。
- 教師としての雰囲気——声量・目線・話す速さ・姿勢。教室のどこに座っていても聞こえる声か、教室の隅々まで目を配れているかを確かめてください。
- 授業の構成——この時間の目標を子どもに示す/流れを明示する/興味を引く導入をつくる
- 対話を入れるスキル——問いを投げ、生徒役の反応を受け止め、次につなぐ
そして山口県の模擬授業でぜひ意識してほしいのが、③の「対話」です。理由は2つあります。
- 生徒役が実在するから。山口県は、受験者報告によると他の受験者が生徒役として座っています。空気に向かって話す形式ではないので、問いかけて、待って、拾うができる人とできない人で差が出やすいと考えられます。
- 県が「主体的・対話的で深い学び」を重点施策に掲げているから。個人面接でも「主体的・対話的な学びのためにどう工夫しますか」と同趣旨の質問が複数の報告にあります。言葉で説明するより、模擬授業でやってみせるほうが伝わりやすいと考えられます。

合格する人の模擬授業に必要な要素を3つ挙げるなら、①子どもが見える(普段の子どもとの関わりが透けて見える、リアルな反応や疑問を想定できている)②意図が見える(発問や立ち位置に理由がある)③その人らしさが光る(この授業を通して伝えたい思いがある)。私が指導した合格者の方も、この3つ全てをクリアしていました。導入5分でも、この3つが伝わる授業をつくってください。
「落ちる授業」と「受かる授業」を実演で比べた動画もあります。知識を一方的に説明する授業と、生徒の当事者感を引き出す導入——授業の組み立てや関わり方がどう違うか、目で見てみてください。
構想15分の使い方|1枚のメモに落とす
| 時間 | やること | 書くこと |
|---|---|---|
| 最初の3分 | 主題を「子どもの言葉」に置き換える | 「伝え合うことの大切さ」→ 子どもにとっては「思ってることを言うのって、こわい」。子どもがつまずいている現実を1つ決める。 |
| 次の5分 | 1時間の授業の骨組み | ①目標(この時間で持ち帰らせること)②導入(問い)③展開(何をさせるか)④まとめ(何を言わせるか)。③④は討議で発言する材料になります。 |
| 次の5分 | 導入5分の台本 | 最初の一言/問い/想定される子どもの答え3つ/それをどう受け止めて次につなぐか |
| 最後の2分 | 声に出さずリハーサル | 時間が余ったとき・足りないときの逃げ道を1つ決めておく |
構想の段階で「1時間の授業の骨組み」まで考えておくと、討議で発言する内容を準備できます。ただし、メモ用紙なしで討議したという報告もあり、構想メモを討議中に参照できるとは限りません。当日の指示に従ってください。
■ 山口県の集団討論(討議)|「1時間の授業を立案する」30分討議の攻略法
よくある質問
Q. 自分の専門教科の授業をするのですか?
A. 報告されている主題を見るかぎり、教科の授業ではありません。「伝え合うことの大切さ」「自ら考えて行動することの大切さ」「コミュニケーションの大切さ」——道徳・学級活動(LHR)系のテーマです。討議の課題でも「LHRで1時間の授業を立案してください」という指示が報告されています。ただし令和6年度採用には「試験科目(1)について、討論して授業案を作成しなさい」という報告もあり(「試験科目(1)」が何を指すかは原文だけでは確定できません)、教科の視点も準備しておくと安心です。
Q. 板書はできますか? 教材は持ち込めますか?
A. この記事に掲載した受験者報告だけでは、板書や教材持込みの扱いを断定できません。第二次試験の携行品として実施要項に挙げられているのは受験票・筆記用具・上履きです(第一次試験免除者は提出書類も持参します)。討議で黒板の使用が認められたという公刊の報告もありますが、模擬授業での扱いは当日の指示に従ってください。黒板や教材がなくても成立する導入も準備しておきましょう(言葉と問いかけだけで組み立てる)。
Q. 生徒役の受験者にはどう接すればいいですか?
A. 本物の子どもとして接してください。そして、自分が生徒役になったときは全力で協力してください。山口県の評価の視点には「社会性」「協調性」が入っています。自分の実演だけがんばって、他の人の授業では反応しない——この差は、面接官に見られている可能性があります。
Q. 対象学年が指定されなかったらどうしますか?
A. 「高校1年〜3年で好きに設定してよい」という報告があります。この場合は最初に「◯年生の◯月を想定します」と宣言してから始めてください。学年と時期を決めると、子どもの実態が具体的になり、授業が急に立体的になります。討議でも「私は◯年生を想定しました」と言えるので、話が噛み合います。
Q. 養護教諭も模擬授業をするのですか?
A. します。報告されている主題は「睡眠と健康」「望ましい食習慣と健康」。いずれも中学2年生を対象とした保健の授業という設定で討議が行われています。養護教諭は山口県の志願区分の中で倍率が高い区分(令和9年度採用の最終倍率20.0倍)。保健の授業を1時間つくれるように準備しておくことをおすすめします。
Q. 何を勉強すれば専門性が伝わりますか?
A. 道徳・LHRのテーマであっても、自分の専門が透けて見える授業は強いです。専門教養の勉強が浅いと、そもそも「面白い授業」が思いつきません。まず自分が面白いと思えるまで専門を勉強する——これは遠回りに見えて近道になると私は考えています。
この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます
模擬授業の主題は、受験した方の報告でしか集まりません。山口県を受験された方は、ぜひ次の年度の受験生のために教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。
全国の模擬授業対策の基本は、こちらの記事にもまとめています。
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