【教員採用試験】山梨県の小論文(論作文)|過去の出題テーマと800字の書き方

こんにちは、金井志津乃です! 

山梨県の小論文、800字って短いですよね。何をどこまで書けばいいのか分からなくて……。

短いからこそ、設計図がないと必ず崩れます。しかも山梨県の小論文には「問いが2つに分かれている」年が多い、という型があるんです(条件つきの単問の年もあります)。そして評価の観点に「分量」が入っている——つまり書き切ることそのものが点数。この記事で、その型と時間配分を一緒に作っていきましょう。

この記事の根拠

  • 令和9年度採用(2026年夏実施)の受験者報告1件を「令和9年度採用の報告」として追加収録
  • 字数・配点・評価の観点・令和8年度採用の出題は、山梨県「各検査判定基準表」「選考検査内容及び配点」という県の公表資料から
  • 日程・会場・結果開示は令和9年度採用 山梨県公立学校教員選考検査案内と照合済み
  • 令和6年度採用の出題は受験者2名の実録から。それ以前は市販の全国版過去問集の集計からテーマの要旨のみを紹介しています(課題文は転載していません)。
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

山梨県の小論文|基本情報

いつ第二次検査【第一回目】=令和9年度採用は8月1日(土)。会場は山梨県総合教育センター(笛吹市御坂町成田1456)。
同じ日の他の検査適性検査(受験者報告ではクレペリン検査とYGPI検査を小論文より先に実施)、英語受検者は実技検査
字数800字以内(判定基準表・複数年度で共通)
配点100点(県の過年度(令和7・8年度採用)の公表資料では、二次の総点360点のうち。面接160点・集団討議100点。英語受検者は実技100点が加わり二次計460点。令和9年度採用の検査案内には配点の記載がありません)
評価の観点県の過年度(令和8年度採用)の判定基準表では、国語的視点=内容/構成/表記/分量 人物的視点=柔軟性/積極性/適格性(令和9年度採用の検査案内には評価の観点の記載がありません)
問題は校種で分かれるか年度によって変わります。令和8年度採用は【中学校・高等学校・特別支援学校】と【小学校・養護教諭・栄養教諭】の2題。令和6年度採用も判定基準表では【中学校・高等学校・特別支援学校】と【小学校・養護教諭・栄養教諭】の2題でした(受験者報告には「午前の題」「午後の題」という記録もありますが、県の公表資料は校種別です)。
結果開示令和9年度採用の検査案内では、本人からの請求があれば検査種別得点・合計得点・順位を開示するとされています。小論文が何点だったかが分かります。
免除される人大学推薦の受検者で大学3年次に一次を通過した人は、要項に「第一次検査と第二次検査の『小論文』を免除」と記載されています(詳しくはこちら)

※出典:山梨県「各検査判定基準表(令和8年度採用)」「令和8年度採用 選考検査内容及び配点」、令和9年度採用 選考検査案内。

評価の観点をよく見てください。「分量」がはっきり項目として立っています。これは「800字以内」を「600字でもいい」と読んではいけないというメッセージとも読めます。指定字数の8〜9割=640〜720字を書き切ることが一つの目安です。文字数を満たしていないものは読まれずに流されることがあるらしい、とも聞きますので、字数は必ずクリアするほうがよいと思います(自治体ごとの採点方針までは分かりません)。

過去の出題テーマ

年度(実施年)対象テーマの要旨引用・根拠として示された資料
令和8年度採用(2025年夏)中学校・高等学校・特別支援学校「自己指導能力」の獲得が求められている社会的背景として考えられることは何か。また、希望する校種において、児童生徒が自己指導能力を身に付けるために、具体的にどのような教育活動に取り組みたいか。生徒指導提要(令和4年12月改訂)
小学校・養護教諭・栄養教諭これまでに経験・見聞きした特別な教育的支援の例を具体的に挙げ、その意義について考えを述べる。また、希望する校種・職種で特別な教育的支援を行う際に、他の教職員とどのように協働し、どのような役割を果たしたいか。—(多様な背景を持つ児童生徒の増加という社会状況の提示)
令和7年度採用(2024年夏)中学校・高等学校・特別支援学校「新たな教師の学びの姿」が求められる理由を社会の変化を踏まえて述べ、採用後に教師としてどのように学んでいきたいかを述べる。中央教育審議会「『令和の日本型学校教育』を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて 審議まとめ」(令和3年11月15日)
小学校・養護教諭・栄養教諭採用時の目指す姿「教育に対する情熱と使命感を有し、今日の教育的課題を積極的にとらえようとしている」について、現在持っている教育に対する情熱や使命感を述べる。また、それを今後の教育活動にどう生かすか。改定やまなし教員等育成指標(令和5年3月改定)
令和6年度採用(2023年夏)中学校・高等学校・特別支援学校児童生徒と保護者に信頼される教員とはどのような教員か(児童生徒を取り巻く社会の実態を踏まえて)。また、教員として児童生徒や保護者との信頼関係を構築するために取り組みたいこと。山梨県が求める教師像「児童生徒と保護者に信頼される教員」
小学校・養護教諭・栄養教諭教員として、希望する校種において「安全教育の推進」を図るためにどのような取り組みを行うか(児童生徒を取り巻く社会の実態を踏まえて)令和5年度 山梨県学校教育指導重点
令和5年度採用(2022年夏)中学校・高等学校・特別支援学校希望する校種、教科・科目において「個別最適な学び」にどのように取り組むか。それを進める際に留意することを明らかにしたうえで述べる。中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」(令和3年1月16日)
小学校・養護教諭・栄養教諭児童生徒が多様な価値観や考え方等を尊重し合うために、具体的にどのような取り組みが必要だと考えるか。「人権教育」が注目されている社会的背景を含めて述べる。やまなし教員等育成指標 〜学び続ける教員のために〜(令和2年3月改訂)の「人権教育」
令和4年度採用(2021年夏)全校種ICTを効果的に活用するために、志願する校種において教員としてどのような取り組みを行うか令和3年度 山梨県学校教育指導重点(情報活用能力の育成/児童生徒用端末等のICTの効果的活用)

※令和8年度採用は山梨県「各検査判定基準表」に掲載された公表情報。令和6年度採用は受験者報告と市販の全国版過去問集の集計から。令和4・7年度採用は市販過去問集の集計によるもので、年度の対応が出典によって前後する場合があります。いずれもテーマの要旨のみを掲載し、課題文は転載していません。すべて800字以内です。

山梨県の小論文には「型」がある

5年分を並べると、山梨県の小論文の設計思想がはっきり見えてきます。この4つを知っておくだけでも、当日の焦りは和らぎます。

型①|設問で求められる内容を漏らさず整理する

過去の出題を見てください。多くが「〜について述べなさい。また、〜についても述べなさい」という2段構えです(令和6年度採用の【小学校・養護教諭・栄養教諭】や令和5年度採用のように、条件つきの単問の年もあります)。令和8年度採用では、設問の最後に「上記のことについて、合わせて800字以内で述べなさい」と書かれていました。

  • 令和8年度採用(中高特支)=①社会的背景 + ②具体的な教育活動
  • 令和8年度採用(小・養・栄)=①支援の例と意義 + ②他の教職員との協働と自分の役割
  • 令和7年度採用(小・養・栄)=①いま持っている情熱・使命感 + ②今後どう生かすか
  • 令和6年度採用(午前)=①信頼される教員とは + ②信頼関係の構築のために取り組みたいこと

片方しか書いていない答案は、それだけで大きく減点される可能性があります。800字を「前半=問い①、後半=問い②」で分ける。これが山梨県の答案の基本形と考えられます。

型②|年度によっては「根拠となる資料」が示される

生徒指導提要、中央教育審議会の審議まとめ、改定やまなし教員等育成指標、山梨県学校教育指導重点、山梨県が求める教師像——ほとんどの年で、何かの資料が引用される傾向があります(令和8年度採用の小学校等の【2】のように、資料名を示さず社会状況だけを示す題もあります)。

特に注目してほしいのが山梨県自身の資料が4回(やまなし教員等育成指標2回・学校教育指導重点2回)、さらに求める教師像が1回出ていること。国や自治体が求めている教員像にマッチしている内容を書き、その地域ならではの教育と結びつけると、より良い答案になります。

私のおすすめは、試験の1か月前までに、①山梨県が求める教員像(検査案内の冒頭5つ)②改定やまなし教員等育成指標 ③その年度の山梨県学校教育指導重点 ④生徒指導提要(改訂版)——この4つに目を通しておく。全部読み込む必要はありません。「何が書いてあるか」を知っていれば、課題文が出た瞬間に「あ、あれだ」と分かる。それだけで、書き出しの5分が全然違います。

型③|「希望する校種において」=自分の現場に引きつける

出題文には毎年のように「希望する校種において」「希望する校種、職種において」「志願する校種において」という言葉が入っています。これは「一般論で書かず、志望する校種の場面に引きつけて書く」ことを求めていると考えられます。

小学校志望なら小学校の子どもの姿で、養護教諭志望なら保健室での関わりで、高校志望なら教科の授業で。あなたが立つ現場の、具体的な場面を1つは必ず入れてください。

型④|「社会の実態を踏まえながら」=現状分析を書く場所がある

令和6年度採用の2題には、どちらにも「児童生徒を取り巻く社会の実態を踏まえながら」という条件がついていました。令和8年度採用も「社会的背景として考えられることは何か」と、実質同じことを聞いています。

つまり答案の最初のブロックは「いま、子どもたちのまわりで何が起きているか」を書く場所だと私は考えています。ここでSNS・情報化・多様化・災害・家庭環境の変化といった具体的な社会状況を1〜2つ挙げられると、そのあとの「だから私はこう取り組む」が一気に説得力を持ちます。

800字をどう配分するか

山梨県の型に合わせた、私の配分の目安です。800字以内なので、720字前後を目標に組み立てます。

第1段落(約150字)社会の実態+問い①への答えの核。「〜という状況の中で、私は〜が求められていると考える」と、最初に結論を置く。
第2段落(約200字)問い①の展開。なぜそう考えるのか。課題文の言葉を1つ使って、自分の理解を示す。
第3段落(約250字)問い②=具体的な取り組み。希望する校種の、具体的な場面で。「〜の時間に、〜のように」まで書く。
第4段落(約120字)決意。山梨県が求める教員像のどれかに着地させる(例:「児童生徒と保護者に信頼される教員」「生涯にわたって主体的に学び続ける教員」)。

書き始める前に、必ず構想メモを

いきなり原稿用紙に書き始めると、途中で論点がずれる・筆が止まる・大幅な書き直しになるという3つの事故が起きやすくなります(構想メモが甘い人ほど、その可能性が高いと言えます)。だから私は、必ず構想メモを先に作ってくださいとお伝えしています。

構想メモにはもう一つ、大きな効果があります。周りの人が先に書き始めても焦らなくなるということ。試験会場で鉛筆の音が聞こえ始めると、どうしても不安になります。でも「私はいま設計図を描いている」と分かっていれば、その音は気になりません。

構想メモに書くのは、この4つだけです。

  • 問いは何個か(山梨県は基本2つ。まず○で囲む)
  • 課題文の中で、答案に使う言葉を2〜3語(「自己指導能力」「協働」など。採点者に「読めています」と伝わる合図になります)
  • 具体的な取り組み(実際の具体例・自分の実践例があると強くなります)
  • 着地する教員像(求める教員像の5つのどれか)

構想メモの取り方は、実際にやってみせている動画があります。「学び続ける教師」という漠然としたテーマから、どう論を立ち上げていくかの実演です。山梨県の令和7年度採用で実際に出たテーマとほぼ同じなので、そのまま練習に使えます。

「人物的視点」で見られていること

山梨県の小論文の評価の観点には、文章の質(国語的視点)とは別に人物的視点=柔軟性・積極性・適格性があります。これは「この文章を書いた人は、教員として大丈夫か」を見ているのだと考えられます。

  • 柔軟性——「〜すべきだ」「〜しかない」と決めつけていないか。子どもや同僚の多様さを前提にした書き方になっているか。
  • 積極性——「〜だと思う」で終わらず、「私は〜する」と書けているか。評論家ではなく実践者の文章になっているか。
  • 適格性——教員としての常識・倫理観。子どもを下に見る表現、保護者を敵とみなす表現は避けたほうがよいと私は考えています。

令和8年度採用の小学校・養護教諭・栄養教諭の題を思い出してください。「他の教職員とどのように協働し、その中でどのような役割を果たしたいか」——これ、まさに柔軟性と積極性を同時に見ている問いです。「一人で頑張ります」ではなく「誰と、どう組むか」。学校はチームだという前提で書けているかどうかが、そのまま点数になります。

【2026年夏実施・令和9年度採用の報告】形式情報

令和9年度採用(2026年夏実施)の受験者から、800字だったという形式情報が届いています。設問内容は報告されていません。

特別支援学校|小論文(800字)

  • 形式のみ報告・800字

出典:私の受験報告フォーム(2026年10月14日時点・この自治体の報告1件)。校種までの表記とし、個人が特定されうる記述は除いています。

受験者の報告|令和6年度採用の実録

受験者A|高等学校

生徒や保護者から信頼される教師とはどのようなものか。具体的な取り組みも含めて、800字以内で書く。

受験者B|養護教諭

  • 午前の題:児童生徒と保護者に信頼される教員とはどのような教員か。信頼関係を構築するために取り組みたいことについても記述すること。
  • 午後の題:教員として、希望する校種において「安全教育の推進」を図るためにどのような取り組みを行いますか。児童生徒を取り巻く社会の実態を踏まえながら、800字以内で述べなさい。
  • 小論文と同じ日、小論文より先に適性検査(クレペリン検査・120問のYGPI検査)が行われた。

この2つの報告から分かることが3つあります。①令和6年度採用も、県の判定基準表では校種別の2題だったこと(報告者は「午前の題」「午後の題」と記録しています)、②「求める教師像」がそのまま題になる年があること、③小論文の前に適性検査で頭を使う年があること(1名の報告です)。特に③は当日の体力配分に関わります。小論文は「疲れた状態で書く」前提で練習しておいてください。

よくある質問

Q. 試験時間は何分ですか?

A. 山梨県は夏の検査案内・判定基準表のいずれにも小論文の試験時間を明記していません(私が確認した資料の範囲では。2026年11月15日の秋期検査の案内には、小論文は11:10〜12:00と書かれています)。私は分からない数字は書かない方針なので、ここは「不明」とお伝えします。練習の際は、800字を余裕をもって書き切れるよう、構想15分+執筆30分程度を目安に組み立ててみて、練習のなかで、構想メモにかける時間を自分で掴んでおきましょう。正確な試験時間は当日の指示でご確認ください。

Q. 何字書けばいいですか?

A. 800字以内なので、640〜720字(8〜9割)を書き切ることを目安にしてください。山梨県は評価の観点に「分量」を明記しています。字数が足りないと、内容以前に評価に響くおそれがあります。逆に800字を超えることはできないので、750字前後で着地する練習をしておくと安全です。

Q. 一次試験にも小論文はありますか?

A. 一般選考の第一次検査は一般・教職教養検査/専門教養検査/実技検査で、小論文はありません。ただし特別選考D2(山梨県で臨任10年以上+校長推薦)とD4(他県現職)は、出願時に小論文を提出し、それによる選考を通過すると第一次検査が全部免除されます。認められなかった場合、D2はD1または一般選考、D4はD1として受検できます。D1を希望する場合は志願書の選考区分欄の下段に○をつけます。これは本番の小論文とは別物です。

■ 山梨県の特別選考と一次免除ルート|大学3年生の前倒し・大学推薦・講師経験者・加点制度

Q. 小論文が免除になることはありますか?

A. 要項に免除の記載があります。大学推薦の受検者で、大学3年次に実施された選考検査で一次を通過した人は、要項に「第一次検査と第二次検査の『小論文』を免除」と記載されています(検査案内「5(3) 大学推薦」。読み方が一つに確定しない文のため、該当する方は県の案内でご確認ください)。仮に小論文が免除される場合、県の過年度(令和7・8年度採用)の配点では、二次は面接160点+集団討議100点=260点の勝負になる計算です(令和9年度採用の検査案内に配点の記載はありません)。

Q. 手応えがなかったら不合格ですか?

A. そんなことはありません。県の過年度(令和7・8年度採用)の公表資料では、小論文は100点、二次全体は360点です(英語受検者は実技100点が加わり460点)。面接160点・集団討議100点で十分に取り返せます。そして山梨県は結果を請求すれば検査種別ごとの得点が分かるので、「小論文で何点だったか」を次に生かせます。その日のうちに気持ちを切り替えて、次の面接・集団討議(令和9年度採用は8月8〜10日)に集中してください。

■ 山梨県の二次検査|集団討議(模擬的授業を含む)と個人面接の内容・日程・出題傾向

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

山梨県は、令和8年10月時点で受験報告が3名分(令和6年度採用の2名と令和9年度採用の1名)しか集まっていません。特に知りたいのは「その年の小論文の題」と「試験時間」です。県は判定基準表で題を公表してくれますが、公表は翌年度になるようです。受験直後の報告が、いちばん早く次の受験生に届きます。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム

また、山梨県の教育施策は山梨県教育庁義務教育課のページから、『生徒指導提要(改訂版)』は文部科学省のページから確認できます。令和8年度採用の小論文は、生徒指導提要の一節がそのまま引用されました。目を通しておく価値は非常に高いです。

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