こんにちは、金井志津乃です!

佐賀県の小論文対策をしようと思って調べていたら、「今年からない」って書いてある記事を見かけて……。結局どっちなんですか?

ありません。令和9年度採用から、佐賀県の小論文は廃止されました。実施要項の1ページ目に「自身の強みを最大限アピールしていただけるよう、小論文からエントリーシートに変更します」と明記されています。ただ——過去の小論文テーマは、今も捨てないでください。あれは「佐賀県が何を大事にしているか」の一覧表そのものなんです。
この記事では、佐賀県公立学校教員採用選考試験の小論文について、①廃止の事実と正確な範囲、②過去5年(令和4年度〜8年度採用)の出題テーマ一覧、③そのテーマが今どこで効くのか、④800字の書き方——の順にまとめます。
この記事の根拠
- 令和9年度採用(2026年夏実施)の受験者報告1件を「令和9年度採用の報告」として追加収録
- 廃止の事実は令和9年度採用の実施要項(佐賀県教育委員会)から。この要項は画像PDFのため、私がOCRして全文を確認しています。
- 過去テーマは市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用)の佐賀県分から、テーマの要旨と出題校種のみを整理(課題文・設問文は転載していません)
- 試験の形式(60分・800字)は受験者の実録(高等学校1名の報告)から
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
まず結論|令和9年度採用から小論文は実施されません
より受験しやすく!
・これまで最大4日間で実施していた第二次試験を2日間で実施します
・自身の強みを最大限アピールしていただけるよう、小論文からエントリーシートに変更します
実施要項の試験内容を確認しても、小論文は出てきません。
| 第一次試験(一般選考等) (令和8年6月14日) | 一般・教職教養試験(50点/教育原理・教育心理・人権教育・教育法規・時事)+専門試験Ⅰ・Ⅱ(200点)+小学校特別選考筆記試験(該当者のみ100点)。小論文なし。 |
| 第二次試験(一般選考等) (令和8年7月25日・26日) | 一般選考等は個人面接Ⅰ(20分程度・80点)+個人面接Ⅱ(30分程度・120点/模擬授業10分程度30点を含む)。小論文なし。特別選考は日程・配点構成が異なる場合があります。 |
| 代わりに | エントリーシート(テーマに沿って記入。パソコン入力でも自筆でも可)を提出書類として提出。一般選考等では第一次試験当日に会場で回収(第一次試験免除者は6月15日締切)。さがUJIターン特別選考・スポーツ芸術特別選考は5月7日締切です。 |
※出典:佐賀県教育委員会「令和9年度佐賀県公立学校教員採用選考試験 実施要項」第5・第6・第7・第15。
■ 佐賀県のエントリーシートの書き方|面接で深掘りされる欄を実録から逆算
それでも過去テーマを見てほしい3つの理由
- エントリーシートのテーマを読み解く土台になる——佐賀県が受験者に何を語らせたいかは、5年分のテーマにそのまま出ています
- 個人面接の質問とほぼ同じ土俵——実録では「いじめについて」「不登校について」「教員に必要な資質」と、小論文で問われていたことがそのまま口頭で聞かれています
- 県の施策名がそのまま出てくる——「ほめよう、さがっ子。」「佐賀県教育大綱Vol.3」「さがすたいるスクール」。面接で県の教育を語るときの語彙が、ここに全部あります。
過去5年の出題テーマ(令和4年度〜8年度採用)
市販の全国版過去問集5年分から、佐賀県の小論文テーマを校種別に整理しました。著作権への配慮から、課題文・設問文はそのまま載せず、テーマの要旨のみを記載しています。字数はすべて800字以内でした。
小・中学校教諭等
| 採用年度 | テーマの要旨 | 問われ方の型 |
|---|---|---|
| 令和4年度採用 | 自己肯定感の育成——変化の激しい未来を生きる児童生徒にとって自己肯定感を育む教育が必要とされていること | 受け止め+佐賀県の教員としてどう向き合うか |
| 令和6年度採用 | 「ほめよう、さがっ子。」と子どもの主体性——県教委が掲げる、子どもの主体性を尊重する教育の推進 | 受け止め+学級経営や教科指導など様々な場面を想定して具体的に |
| 令和7年度採用 | 佐賀県教育大綱Vol.3「自分で自分のことを決められる子どもに育てたい。」 | この姿をどう解釈するか+佐賀県の教員としてどう教育活動を進めるか |
| 令和8年度採用 | 「誰一人取り残されない教育」——学力差・言語・家庭環境など様々な背景をもつ子どもが共に学ぶ状況で | 受け止め+佐賀県の教員としてどう向き合うか |
高等学校教諭等
| 採用年度 | テーマの要旨 | 問われ方の型 |
|---|---|---|
| 令和4年度採用 | 学校の魅力の磨き上げ——各学校が強みを打ち出し、地域の活性化につなげる県の方針 | 高校の教師としてどのような実践をしたいか |
| 令和6年度採用 | 「主体的・対話的で深い学び」の実現——「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的充実 | その「授業」とはどのようなものだと考えるか、具体的に |
| 令和7年度採用 | 教科横断的な視点に立った資質・能力の育成 | どのようなことを実践していきたいか |
| 令和8年度採用 | 県立高等学校と地域等の協働——特色ある教育活動で次世代を担う人材を育成する県の方針 | 高等学校の教師としてどのような教育を実践したいか |
特別支援学校教諭等
| 採用年度 | テーマの要旨 | 問われ方の型 |
|---|---|---|
| 令和4年度採用 | 効果的な校内の支援体制の構築——発達段階や一人ひとりの障がいの程度・特性に応じた教育の充実 | 指導・支援のために必要なこと+目指す教師像にも触れて |
| 令和5年度採用 | 教師の専門的な指導力の向上——障害特性に応じた適切な指導と支援を行うために | 高い専門性を身につけるために取り組みたいこと+現状と課題にも触れて |
| 令和6年度採用 | 児童生徒の持てる力を高める——自立と社会参加に向けた主体的な取組を支援する視点 | 必要な指導や支援+自身の特別支援教育に対する目標に触れて |
| 令和7年度採用 | 「さがすたいるスクール」——個性や多様な価値が尊重され、誰もが安心して学べる学校づくり | 特別支援学校の教師としてどのような教育活動を実践したいか |
| 令和8年度採用 | インクルーシブ教育システムの構築——特別支援学校に求められる役割をふまえて | 特別支援学校の教師としての専門性をどう高めていきたいか |
養護教諭等
| 採用年度 | テーマの要旨 | 問われ方の型 |
|---|---|---|
| 令和5年度採用 | 学校保健委員会を機能させる——児童生徒および職員の心身の健康の保持増進 | 養護教諭としてどのように関わるか |
| 令和6年度採用 | 子どものサインを見逃さない——いじめ・不登校・児童虐待など様々な対応が求められる中で | どのように取り組むか、具体的に |
| 令和7年度採用 | 発達課題や教育的ニーズに応じた支援——学校組織の一員としての役割 | どう取り組むか+今日的な教育課題を踏まえて |
| 令和8年度採用 | 健康教育——自分の健康について自分で考え行動できる児童生徒の育成 | どう関わるか+養護教諭の果たすべき役割に触れて |
※栄養教諭は令和4年度採用に出題がありましたが、資料庫の公刊PDFの連続2ページから、栄養教諭として「健やかな体を育む教育の推進」にどう取り組むかを述べる設問(800字以内)と確認できます。令和6年度採用以降、佐賀県は栄養教諭の採用選考を実施していません。
型のパターン|掲載した過去テーマから問われ方を確認する
並べてみると、佐賀県の出題はきれいに揃っています。
- 字数はすべて800字以内。確認できた範囲では、5年間とも例外はありませんでした。
- 校種ごとに別問題(小・中/高/特別支援/養護/栄養)。共通問題ではありません。
- 「県の施策・今日的な教育課題」を提示 →「あなたはどう受け止め、どう実践するか」の2段構えが多い。ただし高等学校・特別支援学校には、受け止めを問わず実践だけを問う年もあります。資料の読み取り型(グラフ・課題文)は、確認できた範囲では出ていません。
- 「目指す教師像にも触れながら」「今日的な教育課題を踏まえながら」といった“追加条件”がつく年が多い。この一文を落とすと大幅減点になります。
- 佐賀県固有の言葉がそのまま出る。「ほめよう、さがっ子。」「佐賀県教育大綱Vol.3」「さがすたいるスクール」——県の資料を読んでいるかどうかが、答案に影響すると考えられます。

4番、ここが本当に大事です。私はよく「出題者があえて書いた言葉をスルーしない」とお伝えしています。「目指す教師像にも触れながら」と書いてあるのに触れていない答案は、内容がどれだけ良くても「問われたことに答えていない」と評価されてしまいます。これはエントリーシートでもまったく同じですよ。
令和9年度採用(2026年夏)に事前提出した課題です。令和9年度採用は小論文がエントリーシートに変更されており、受験報告フォームの「小論文」欄に届いたのは、この事前提出の3題でした(エントリーシートの設問にあたるとみられます)。
中学校|事前提出の課題(小論文欄に届いた報告・計3題)
- 1 あなたが考える自身の「強み」を三つ挙げ、それぞれを教育現場でどのように活かすのかを述べなさい。(400字程度)
- 2 これまでに経験した困難な状況について、それを乗り越える過程で学んだことや身についたことを述べ、それらを教員としてどのように活かしていこうと考えているかを述べなさい。(400字程度)
- 3 佐賀県教育大綱Vol.3にある「自分で自分のことを決められる子ども」に育てるために、どのような実践をしていきたいですか。なぜそのように考えるのかを、自身の経験と関連付けて述べなさい。(800字程度)
出典:私の受験報告フォーム(2026年10月14日時点・この自治体の報告1件)。校種までの表記とし、個人が特定されうる記述は除いています。
受験者の実録|実際に出された3問(令和6年度採用)
ここでは、私に届いた佐賀県の受験報告のうち、令和6年度採用(2023年夏実施)の3件を紹介します。3名それぞれが小論文を受けています。
- 【小学校】主体性の向上について、あなたの考えを述べなさい。
- 【特別支援学校】児童生徒の自立と社会参加を目指しています。児童生徒の持てる力を引き出す指導について、あなたが求める教師像も含めて800字で書きなさい。
- 【高等学校・理科】「主体的・対話的で深い学び」を実践するための授業とはどのようなものかについて、あなたの考えを述べなさい。(60分・800字)
※試験時間「60分」は高等学校の受験者からの報告によるものです。私の資料庫に令和6年度採用の実施要項がないため、他校種も同じ時間だったかは確認できていません。
この3問、先ほどの過去テーマ表とぴったり重なっているのが分かるでしょうか。小学校の「主体性の向上」は同じ年の「ほめよう、さがっ子。」(子どもの主体性を尊重する教育)と、特別支援の「持てる力を引き出す」は「児童生徒の持てる力を高める」と、高等学校の「主体的・対話的で深い学び」はそのまま同じテーマです。受験者の記憶と、公刊の記録が一致している——それだけこのテーマ群が佐賀県の核心だったと考えられます。
800字の書き方|今も使える基本
佐賀県では小論文がなくなりましたが、併願先で小論文がある方も多いはずです。またエントリーシートを書くときの原則も、根っこは同じです。私が指導のたびにお伝えしていることをまとめます。
① 指定文字数の8〜9割は必ず書く
文字数が不足していると、それだけで足切りされる恐れがあります。800字以内なら640〜720字以上を目安に。逆に超過は論外です。
② 課題文で問われている点を線引きしてピックアップする
まず問題文に線を引いて、答えるべき要素をすべて洗い出すこと。佐賀県のように「あなたが求める教師像も含めて」と条件が加わる出題では、この作業が合否を分けます。書き終えたあと、線を引いた要素に自分の文章のどこが対応しているかを照合してください。
③ 学習指導要領・県の計画の要点を盛り込む
佐賀県の場合、読むべきは「佐賀県教育大綱 Vol.3」と「佐賀県教育施策実施計画」です。ただし丸写しはNG。自分が本当にやりたいと思っていないのに、計画に書いてある言葉をただピックアップするのは逆効果です。深掘りされたときにボロが出ますから。
④ 構想メモを先に作る
いきなり書き始めないこと。60分・800字なら、構想に10分ほど使う配分を、私の目安にしています(私自身は、和歌山県の90分2000字の小論文で構想メモに15〜20分ほど使っていたと思います)。私の型としては、序論で課題の受け止め、本論で具体的な取り組みを2つ、結論で目指す教師像に着地——という骨組みをメモしてから書き出します。
⑤ よくある4つの失敗を知っておく
- 社会的背景の理解が浅い——なぜ今この課題が問われているのかを書けていない
- 問題文の要求(複数の観点)を満たしていない——「〜にも触れながら」を落としている
- 主語と述語のねじれ——一文が長くなるほど起こります。一文は短く。
- 抽象的で本旨と関連が薄い結び——「精一杯頑張ります」で終わらせない
NG例文とOK例文を並べて添削した動画がこちらです。「合格レベルの答案はここまで書くのか」という水準を、一度体感しておくことが何よりの近道です。添削コメントをもとに実際に書き直してみると、体に入りますよ。
佐賀県の言葉を、自分の言葉にする
過去テーマに何度も登場した県の施策を、最後に整理しておきます。ここに出てくる言葉は、エントリーシートでも個人面接でもそのまま使えます。
大綱の冒頭に掲げられている一文は、「自分で自分のことを決められる子どもに育てたい。」。令和7年度採用の小・中学校の小論文では、この一文そのものがテーマになりました。3つの柱はこちらです。
- 高い志と佐賀に誇りを持った骨太でたくましい子どもを育てる——多様な経験、失敗を恐れない挑戦の応援、「ほめるから、はじめる。はじまる。」
- 豊かな感受性や人を想う優しさを持った子どもを育てる——一人の人格を持った者として子どもと向き合う、「さがすたいる」を広げる
- 佐賀の未来を担う、多様な個性を持った人材を育てる——子どもの自己判断・責任を尊重、唯一無二の学校づくり
令和7年度佐賀県教育施策実施計画の5本柱は(令和8年度以降の計画は、佐賀県教育委員会の公式ページでご確認ください)、「志と誇りを高める教育の推進」「自分らしく学べるさがん学びの推進」「健やかな佐賀の子どもを育む教育の推進」「誰もが安心して学べるさがすたいるスクールの推進」「教育DXの推進と学びを支える環境づくり」。
※「さがすたいる」とは、お年寄りや障がいのある方、子育て・妊娠中の方など、みんなが自然に支え合い心地よく過ごせる「佐賀らしい、やさしさのカタチ」。そのコンセプトを学校に取り入れ、誰もが、それぞれの個性や多様な価値観が尊重され、安心して学ぶことができる学校づくりが「さがすたいるスクール」です。
あわせて、文部科学省の『生徒指導提要(改訂版)』も一度は目を通しておきましょう。「発達支持的生徒指導」の考え方は、佐賀県が繰り返し問うてきた「子どもの主体性」「自分で決める」とまっすぐつながります。
よくある質問
Q. 本当に小論文はもうないのですか? 復活する可能性は?
A. 令和9年度採用については、実施要項に小論文の記載がなく、実施されません。今後については分かりませんので、令和10年度採用の実施要項を必ずご自身で確認してください。この記事は、令和10年度採用の要項が公表された後に見直します。
Q. 小論文がなくなった分、何を対策すればいいですか?
A. エントリーシートと、二次の個人面接200点です。一般選考等の第二次試験は「第一次試験の得点は算入しないが、選考の参考とする」(実施要項)とされており、個人面接Ⅰ(80点)と個人面接Ⅱ(120点/模擬授業30点込み)の合計200点に加え、所定の加点(該当者のみ)や基準点も踏まえて選考されます。小論文にかけていた時間は、そのまま面接と模擬授業に回してください。
Q. 過去の小論文テーマで練習する意味はありますか?
A. あります。ただし「800字で書く練習」ではなく「1〜2分で話す練習」に変えてください。たとえば「さがすたいるスクールをふまえて、あなたはどんな学級をつくりますか」という問いに、面接で1分半で答えられるか。過去の小論文テーマは、面接ノートに「このテーマが来たら具体例としてはこういう取り組みを挙げよう」とメモしておく材料として使えます。教員として具体的に何をするのかを日々考えておくことが大切です。
Q. 併願先で小論文がある場合、佐賀県の過去問は役に立ちますか?
A. 役に立ちます。佐賀県の出題は「県の施策・教育課題を提示 →どう受け止め、どう実践するか」というオーソドックスな型が中心(高等学校・特別支援学校には実践だけを問う年もあります)で、多くの自治体と共通しています。自己肯定感、主体性、誰一人取り残されない教育、インクルーシブ、健康教育——テーマも全国でよく扱われる領域です。800字以内という分量も標準的ですので、練習素材として十分に使えます。
合格レベルの答案がどのくらいのものかを一度体感しておくと、練習の精度が上がります。
この記事は、受験された皆さんの報告で育ちます
佐賀県の実録は、令和8年10月時点で4名分です(令和6年度採用の3名と令和9年度採用の1名)。令和9年度採用からエントリーシートに変わって、実際にどんなテーマだったのか。面接で何を聞かれたのか。あなたの報告が、来年この県を受ける人の道しるべになります。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。
■ 佐賀県のエントリーシートの書き方|面接で深掘りされる欄を実録から逆算
■ 佐賀県の倍率|令和9年度採用の状況と5年間の推移(校種別・教科別)
■ 佐賀県の特別選考と一次免除ルート|7つの特別選考・3年生チャレンジ受験・加点制度
■ 合格する小論文の書き方|例文解説
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