【教員採用試験】富山県の教養(Ⅱ)・小論文|過去5年の出題テーマと800字・50分の書き方(受験者報告つき)

こんにちは、金井志津乃です! 

富山県って小論文はありますか? 過去問を探しても「教養(Ⅱ)」としか書いてなくて、よく分からなくて……。

いい質問です! 富山県の論述試験は2種類あります。一般選考の方が受けるのは第2次検査の「教養(Ⅱ)」=50分・800字の事例論述。社会人経験・とやまエキスパート教員選考・特定資格・国際貢献・スポーツ実績の方は、それに加えて第1次検査で「小論文」(60分)もあります。教職経験・大学推薦は一次免除です。「障害者」の扱いは公式資料間に相違があるため、県教委への確認が必要です。名前が違うだけで、中身はしっかり小論文ですよ!

この記事の根拠

  • 形式・時間・配点・評価の観点は、令和9年度採用の実施要項/「検査内容及び評価の観点」/「選考基準」(いずれも富山県教育委員会)から
  • 出題テーマは、市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用)の富山県分15題を独自に整理(課題文そのものは転載していません。要旨のみ)
  • 実際に受検された方の報告3件分を、字数・時間・書式まで収録
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

基本情報|富山県の論述試験は2種類

教養(Ⅱ)小論文(特別選考)
誰が受ける第2次検査を受ける全員(一般選考・特別選考とも)特別選考の受検者(社会人経験・とやまエキスパート教員選考・特定資格・国際貢献・スポーツ実績)
※教職経験・大学推薦は第1次検査が免除。「障害者」は実施要項の表では小論文の対象ですが、選考基準の配点表は一般選考と同じ250点(教養Ⅰ・専門教科筆答・集団面接)で小論文の配点がありません。該当する方は必ず県教委に確認してください。
いつ第2次検査 第1日(令和9年度採用は令和8年8月22日)第1次検査 第1日(同7月11日)
時間50分60分
配点90点(第2次270点満点)60点(特別選考の第1次300点満点)
内容「職務内容に係る児童・生徒への指導場面等」に関する記述・論述問題「当日与えられたテーマについて、自分自身の考えを論述する」
評価の観点教員としての熱意や資質、論述内容、文章の記述の適切さ等教職適性、人柄、文章構成、説得力、独創性等
字数(報告・過去問より)800字以内が基本(受検者報告では「700〜800字」「800字以内」、横書き)今回確認した資料からは、富山県の特別選考小論文の字数下限は確認できません。当日の指示に従ってください。
出題の型事例型(具体的な児童生徒の状況を読み、担任等としてどう対応するかを書く)テーマ型(与えられたテーマについて自分の考えを述べる)

※出典:富山県教育委員会「令和9年度富山県公立学校教員採用選考検査 実施要項」「検査内容及び評価の観点」「選考基準」。
字数は要項・観点には記載がなく、受検者報告と市販の過去問集の記載によります。

ポイントは、教養(Ⅱ)は「筆記で受ける場面指導」だということ。他県なら面接でロールプレイさせるような内容を、富山県は800字の文章で書かせるのです。だから対策も「実演の練習」ではなく「50分で対応策を組み立てて書き切る練習」になります。

過去5年の出題テーマ一覧(令和4年度〜8年度採用)

市販の全国版過去問集5年分から、富山県の出題15題を整理しました。課題文そのものは転載せず、テーマの要旨のみを記載しています。校種ごとに問題が分かれているのが富山県の特徴です。

採用年度校種テーマの要旨形式
令和8年度採用
(2025年夏)
小学校作品制作で使った色をめぐって、男子児童が別の児童から「その色は女の色だ」「男のくせに泣くなんて」と言われ、制作の手が止まってしまった場面への対応(ジェンダー・言葉による傷つき)800字以内
全校種高校1年生の女子生徒と保護者から三者面談で「クラスメイトからいじめを受けている」との訴え。無視、すれ違いざまの暴言、SNSでの被害。担任としてこの後どう対応するか(いじめ・SNS)。800字以内
養護教諭高校1年生の女子生徒が体育の授業後などに頭痛・立ちくらみ・耳鳴りを訴えて度々保健室に来室。来室回数が増えている(健康相談・体調不良の背景理解)。800字以内
令和7年度採用
(2024年夏)
中学校・高等学校中学1年生の男子生徒。入学以来「学校が楽しい」と意欲的だったが夏休み明けから休みがちに。9月下旬、保護者から「もう学校には行かない」と電話(不登校)。800字以内
栄養教諭小学1年生の女子児童。身長・体重は県平均並みだが排便回数が少なく、野菜が苦手。給食では主食・主菜は残さず食べる(食習慣・偏食)。800字以内
令和6年度採用
(2023年夏)
小学校2年生の男子児童は外国人児童。日本語指導担当教師の指導で平易な日本語は理解できるようになったが、自分の思いを日本語で伝えることは難しい状況(外国人児童の指導と学級づくり)。800字以内
中学校・高等学校自傷行為をしたことについて「親に知らせないでほしい」と依頼された。担任としてどのように対応するか(自傷行為・保護者への連絡)。800字以内
栄養教諭中学校の男子サッカー部で、けが・睡眠不足・朝食や夕食の欠食が増えてきた。1か月後の市中学校体育大会に向けて体調を整えるには(スポーツと食事)。800字以内
養護教諭中学2年生の女子生徒(陸上部)。定期健康診断の肥満度が前年度の「普通」から当年度は「やせ傾向」に変化していた(健康診断データからの気づき)。800字以内
令和5年度採用
(2022年夏)
中学校・高等学校卓球に打ち込んでいた生徒が、夏休みの練習に遅刻したことをきっかけに部員からいじめを受けるようになった。担任としてこの後どうするか(部活動内のいじめ)。800字以内
養護教諭中学1年生の女子生徒が合唱コンクールの練習中に突然過呼吸になり保健室へ。3日後にも再び発作。頻繁に発作を起こすようになった(心因性の症状への対応)。800字以内
栄養教諭医師から教育入院を勧められた小学校5年生の児童。「太りたくない」という気持ちから食べすぎに注意していたが、夏休みに入り自宅で1人で過ごすことが多くなった(摂食と生活リズム)。800字以内
令和4年度採用
(2021年夏)
小学校5年生の女子児童。おとなしい性格で、特定の友人と3人でいることが多かったが、別のグループの女子といるところを見られたことをきっかけに状況が変化(女子の人間関係・いじめの兆候)。800字以内
(校種の記載に疑義あり)高校1年生の男子生徒。9月初めから遅刻が多くなり数日欠席。部活動の友人の誘いで放課後の部活動に参加。話を聞くと朝起きるのが辛く昼まで寝ているとのこと(生活リズムの乱れと不登校)。800字以内
栄養教諭小学校の児童の生活習慣アンケート。「朝食を毎日食べている」94%だが、朝食内容で「赤・黄・緑の3つの色の食品を食べている」は49%(朝食の質・食育)。800字以内

※出典:市販の全国版過去問集(令和4年度〜8年度採用の富山県分)。
課題文は転載していません。令和4年度採用の1題は過去問集で「小学校教諭」と分類されていますが、事例が高校1年生の生徒であるため、校種の記載に疑義があります。

この一覧から読み取れる「富山県の型」4つ

  1. この一覧に掲載した15題は「事例型・800字以内」です。具体的な児童生徒の状況を読んで対応を書く練習に活用してください。特別選考など、ここに掲載していない問題の形式まで同じとは限りません。
  2. 校種ごとに別の問題。小学校/中学校・高等学校/養護教諭/栄養教諭で問題が分かれます。養護教諭は「保健室への来室が増えた児童生徒」型、栄養教諭は「食習慣・健康データ」型が、掲載した年では繰り返されています。
  3. 事例の作り込みが細かい。「A子…中学校2年生女子(陸上部)、家族構成4人」のように、学年・性別・家族構成・部活動まで設定されます。これは「その条件を踏まえて書け」というメッセージだと考えられます。設定を無視した一般論は評価されにくいと考えられます。
  4. テーマが県の重要施策と重なっている。不登校・外国人児童・いじめ・自傷行為・多様性——これらは「第3期富山県教育振興基本計画」の10の重要テーマ(不登校児童生徒の教育機会の確保/外国人児童生徒教育の推進/幼児教育、特別支援教育の充実 など)と重なるものがあります(いじめ・自傷行為・多様性は、重要テーマの名称には直接ありません)。

4番目、大事です。県の教育振興基本計画の要点を答案のところどころに盛り込んでいくと、持論だけを書くよりも内容に深みが出ると思います。第3期富山県教育振興基本計画は県のサイトで公開されています。10の重要テーマだけでも目を通しておくと、事例を読んだ瞬間に「これは県が力を入れているテーマだ」と分かりますよ。

受検者の報告|実際の教養(Ⅱ)はこうでした

ご報告いただいた3件です。時間・字数・書式まで分かるのが、受検者報告のありがたいところです。

  • 【令和7年度採用・中学校/高等学校】中学生の生徒が夏休み明けから登校しぶりが見られ、登校できたりできなかったりしている。管理職とともに家庭訪問を行ったが、明確な理由は不明である。あなたは担任としてどう対応するか、述べなさい。(50分・800字)
  • 【令和6年度採用・中学校/高等学校】中学校2年生女子生徒。1学期まで快活な生徒だったが、秋ごろから元気がなくなり、最近自傷行為を発見した。個人面談を行うと、勉強に集中できずつい自傷行為をしてしまうとのこと。親には伝えないでほしいと言われた。あなたが担任ならどうするか、あなたの考えを述べなさい。(試験時間50分・字数700〜800字・横書き)
  • 【令和6年度採用・小学校】外国人児童への授業中の態度について、本人や学級の他の児童への指導及び学級づくりについて述べなさい。(800字以内)

3件とも「担任として、この後どうするか」を問う形です。そして注目してほしいのが、令和7年度採用の事例に「管理職とともに家庭訪問を行ったが、明確な理由は不明である」という一文があること。「もう一人では動いていない」「原因はまだ分かっていない」という条件が、あらかじめ設定されているのです。

これは「原因を決めつけて対応策を書く答案」と「分からないまま関わり続ける答案」を分けるための設定だと私は考えています。富山県の事例は、こういう条件文を丁寧に拾えるかどうかが勝負です。

50分800字を書き切る|時間配分と型

小論文について私が動画でお話ししている基本は4つです。

  1. 指定文字数の8〜9割は必ず書く。文字数不足は不利になる可能性があります。800字以内なら640〜720字は最低ライン。字数の下限が示された場合は、その指示も満たしてください。
  2. 課題文で問われている点を線引きしてピックアップする。富山県の事例は条件が細かいので、これをやるかどうかで答案が変わります。
  3. 学習指導要領・教育振興基本計画の要点を盛り込む。富山県なら、生徒指導提要と第3期富山県教育振興基本計画です。
  4. 構想メモを先に作る。私自身は、90分2000字なら構想メモに15〜20分ほど使っていたと思います。この割合で私が換算すると、50分800字なら構想メモに6〜8分が目安になります。

構想メモは、論点のズレ・途中で筆が止まること・大幅な書き直しを防いでくれます。それだけでなく、周りが先に書き始めても焦らないというメンタル面の効果も大きいんです。取り方は実演で見るのが一番早いですよ。

富山県の事例型に合わせた時間配分(50分・800字)

0〜5分課題文を読み、条件に線を引く(学年・性別・家族構成・部活動・すでに行われた対応・本人の希望)
5〜12分構想メモ。①この場面で最優先すべきこと ②本人への関わり ③学級・他の児童生徒への関わり ④保護者・校内(管理職・SC・SSW)・関係機関との連携 ⑤この対応で目指す姿。
12〜45分執筆。1分あたり約25字のペース。序論(事例の受け止めと自分の基本方針)→本論(具体的な対応を時系列または対象別に)→結論(教員としての姿勢)。
45〜50分読み返し。主語と述語のねじれ、指定字数、誤字。結びが抽象的すぎないかを確認。

③の「学級・他の児童生徒への関わり」を忘れないでください。令和6年度採用の小学校の問題は、そのものずばり「本人や学級の他の児童への指導及び学級づくりについて述べなさい」と2つのことを聞いています。問題文が複数の観点を要求しているのに1つしか書かない——これはNG答案の典型パターンです。

NG例文とOK例文を並べた添削は、こちらで実演しています。「社会的背景の理解不足」「問題文の要求を満たしていない」「主語述語のねじれ」「抽象的で本旨と関連が薄い結び」——自分の答案に当てはまっていないか、チェックしながらご覧ください。

富山県で「入れておきたい」視点

答案の着地点に使えるキーワード

第3期富山県教育振興基本計画(令和4年度〜8年度)の基本理念
ふるさと富山に誇りと愛着を持ち、地域社会や全国、世界で活躍し、未来を切り拓く人材の育成 ― 真の人間力を育む教育の推進 ―

3つの横断的な取組み:「課題解決型の教育」の展開/「ICT教育」の推進/地域社会とつながる、教え合い学び合う協働的な学び「チーム富山教育」の実現

10の重要テーマ:プロジェクト学習(PBL)の推進/ICTを活用した教育の推進/キャリア教育の推進/働き方改革の推進/不登校児童生徒の教育機会の確保/少人数教育の推進/幼児教育、特別支援教育の充実/高等学校の特色化・魅力化/外国人児童生徒教育の推進/データサイエンス教育の推進

特に「チーム富山教育」は、答案の「連携」パートにそのまま生きます。担任1人で抱え込まず、学年・管理職・養護教諭・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・保護者・関係機関とどうつながるか——ここを具体的に書けると、評価の観点にある「教員としての熱意や資質」が伝わりやすくなると考えられます。

もう一つ、必読の資料が『生徒指導提要(改訂版)』です。「発達支持的生徒指導・課題予防的生徒指導・困難課題対応的生徒指導」という2軸3類4層の考え方は、事例型の答案を組み立てるときの骨格そのもの。要点はこの動画で確認できます。

よくある質問

Q. 一般選考でも小論文はありますか?

A. 「小論文」という名前の科目は特別選考の第1次検査だけです。ただし一般選考の方も、第2次検査で教養(Ⅱ)(50分・記述論述・90点)を受けます。中身は800字の事例論述ですから、実質的には一般選考にも小論文があると考えて準備してください。

Q. 過去問はどこで手に入りますか?

A. 令和9年度採用の実施要項に、令和6・7・8年度の筆答検査問題(第1次・第2次)等を富山県庁情報公開総合窓口(県庁東別館2階)で閲覧できると記載されています。利用時間は土日祝・年末年始を除く平日の午前8時30分〜午後5時。教養(Ⅱ)の実物を見られるのは大きいので、県内・近県の方はぜひ足を運んでみてください。

Q. 字数は「以内」ですか、「程度」ですか?

A. 受検者報告と過去問集の記載では「800字以内」が基本で、令和6年度採用の報告には「700〜800字」という例があります。要項や「検査内容及び評価の観点」には字数の記載がないため、当日の問題用紙の指示が最終です。いずれにしても指定の8〜9割以上を目標にしてください。

Q. 養護教諭・栄養教諭の対策はどうすればいいですか?

A. 富山県は校種ごとに別問題で、しかも型がはっきりしています。養護教諭は「来室時の症状や健康診断データなど、児童生徒の健康状態や背景を踏まえた対応を考える」型(過呼吸、頭痛・立ちくらみ、健康診断データの変化)、栄養教諭は「食習慣・生活習慣のデータを読み、指導計画を立てる」型(朝食のアンケート結果、部活動と食事、偏食)。手元で確認できた富山県分(養護教諭は令和8・6・5年度採用、栄養教諭は令和7年度〜4年度採用)では、この型が崩れた年はありませんでした。自分の職種の型に絞って、過去問の状況を差し替えながら書く練習が近道だと考えます。

Q. 教養(Ⅱ)で足切りはありますか?

A. 「選考基準」に基準点の定めが書かれているのは第1次検査の専門教科筆答検査と教養(Ⅰ)で、第2次検査については「一般選考、特別選考ともに、それぞれ受検種目・教科(科目)ごとに、配点に基づく合計得点に、適性検査の結果を勘案して合否を決定する」と記載されています。つまり第2次は教養(Ⅱ)90点+個人面接180点の合計勝負。教養(Ⅱ)だけで不合格になる仕組みは公表資料からは確認できませんが、270点中の90点=3分の1を占める以上、白紙に近い答案では厳しいと考えるべきです。

■ 富山県の個人面接|受検者3名の実録と5年間の出題傾向
■ 富山県の特別選考8区分と第1次検査免除ルート
■ 富山県の倍率|令和9年度採用の第1次結果と10年間の推移

富山県の教養(Ⅱ)は、受検者報告は令和8年10月時点で3件です。実際に受けられた方の「何が出たか」「どんな用紙だったか」の情報が、次の受検生を助けます。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。

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