こんにちは、金井志津乃です!

富山県の二次って個人面接だけって本当ですか? 模擬授業もあるって聞いたことがあるんですけど……。

令和9年度採用の「検査内容及び評価の観点」には、はっきり「個人面接において、模擬授業は実施しない」と書かれています! その代わり、面接の中で「あなたの教科をどう教えるか」を口で説明させるのが富山県。ここを知っているかどうかで準備が変わりますよ。
この記事では、富山県公立学校教員採用選考検査第2次検査の個人面接について、実際に受検した方からご提供いただいた「生の質問」をもとに、内容・流れ・傾向と対策をまとめます。第1次検査の「集団面接(討論形式)」と、二次の筆記である「教養(Ⅱ)」もあわせて扱います。
この記事の根拠
- 令和6・7年度採用(2023・2024年夏実施)の受検者3名の実録を、年度別・校種別に収録(すべて無料で読めます)。富山県は令和8年10月時点で報告が多くない自治体です。数を盛らず、3名分と正直にお伝えします。
- 市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用・富山県分151問)を独自に集計・分析——「富山県だけ全国平均から外れている項目」がデータで分かります
- 日程・形式・配点・評価の観点は、令和9年度採用の実施要項/「検査内容及び評価の観点」/「選考基準」と照合済み(すべて富山県教育委員会の公表資料)
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
出願:令和8年5月1日(金)〜6月1日(月)23時59分(電子申請による出願)
第1次検査:7月11日(土)・12日(日)/会場=富山県立富山高等学校・富山県立富山東高等学校
第1次検査結果:8月上旬までに公表(令和9年度採用は7月31日に公表されました)
第2次検査:8月22日(土)・23日(日)/会場は要項では富山県立富山高等学校・富山県立富山東高等学校の2校と記載されています。なお令和9年度採用は、県教委の令和8年8月19日付「第2次検査に関するお知らせ」で第2次の会場が受検区分・校種・教科等に関わらず全員富山高等学校に変更されました。会場は必ず「第2次検査受検者心得」で最終確認してください
第2次検査結果:9月中旬までに公表(本人には10月上旬までに通知)
一次の発表から二次まで約3週間。しかも二次は土日の2日間にわたります。個人面接は「第1日と第2日のうち指定された日」に受検する仕組みなので、両日とも空けておく必要があります。
出典:富山県教育委員会「令和9年度富山県公立学校教員採用選考検査実施要項」。
※令和10年度採用(令和9年度実施)は、県の予告(2026年2月20日報道発表)で第1次検査が令和9年7月10日(土)・11日(日)と示されています。また富山県は「教員採用選考検査に係る第一次選考の共同実施に関する自治体協議会」に参加し、全国の複数自治体が参画して作成する共通問題を活用して実施する予定とされています。第2次以降の日程と詳細は、要項の公開(例年4月)後に更新します。
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
富山県の面接|30秒でわかる基本情報
| 第2次・個人面接 | 20分程度・面接委員3名。願書記載事項等に基づく質問に加え、1分間程度の自己アピールと、受検種目・受検教科の指導内容や指導方法に関する質問を併せて行う(「検査内容及び評価の観点」より)。 |
| 模擬授業 | 実施しないと明記。ただし「教科をどう教えるか」は口頭で問われる(=実質の授業力チェック)。 |
| 評価の観点(個人面接) | 教職適性、教科の指導力、人柄、態度 等 |
| 配点(第2次) | 個人面接180点+教養(Ⅱ)90点=270点満点。これに適性検査の結果を勘案して合否を決定。二次の得点の3分の2が個人面接。 |
| 教養(Ⅱ) | 第2次1日目・50分・90点。「職務内容に係る児童・生徒への指導場面等」に関する記述・論述問題。受検者報告では800字(700〜800字)の事例型。 |
| 適性検査 | 第2次1日目に実施。受検者報告ではクレペリン検査。 |
| 第1次・集団面接 | 一次2日目・30分程度・1グループ6〜8名程度・面接委員3名・90点。当日与えられたテーマについて討論を行う=名称は「集団面接」でも中身は集団討論。 |
| 英語受検者 | 中・高「英語」の個人面接は英語での口頭試問を含む |
| 質問の元ネタ | 電子申請の出願内容(「教員志望の動機」495字以内・「自己アピール」495字以内ほか)から深掘りされる(書き方はこちら) |
富山県対策の最重要ポイントは、「二次は個人面接の配点が3分の2を占める」ことです。第2次検査の配点は個人面接180点・教養(Ⅱ)90点。面接が配点の約67%を占め、合否には適性検査の結果も勘案されます。一般選考の第1次検査では、集団面接(討論)が90点/250点=36%です(第1次検査免除者を除く。特別選考は区分により検査内容・配点が異なります)。富山県は一次・二次を通して「話す力」の比重が非常に大きい選考です。
| 検査 | 実施日(令和9年度採用) | 内容 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 第1次・1日目 | 7月11日(土) | 教養(Ⅰ)60分/専門教科筆答検査50分/専門教科実技(音楽・美術・書道・保健体育のみ) | 教養60+専門100(実技教科は専門50+実技50) |
| 第1次・2日目 | 7月12日(日) | 集団面接(討論) 30分程度・6〜8名程度 | 90(一般選考の一次合計250) |
| 第2次・1日目 | 8月22日(土) | 教養(Ⅱ)50分(指導場面の記述・論述)/適性検査/個人面接(指定日) | 教養(Ⅱ)90 |
| 第2次・2日目 | 8月23日(日) | 個人面接(指定日) | 個人面接180(二次合計270) |
※出典:富山県教育委員会「令和9年度 富山県公立学校教員採用選考検査の選考基準」(令和8年5月)および「検査内容及び評価の観点」(同)。
専門教科筆答検査・教養(Ⅰ)のいずれか1つでも基準点に達しない場合は、他の検査の結果にかかわらず不合格となります。

つまり富山県は「①出願書類の深掘り」「②教科の指導内容・指導方法」「③指導場面の論述(教養Ⅱ)」の3ブロックで準備するのが最短ルート。まずは面接対策の全体像を、こちらの完全解説で固めてください!
富山県の倍率|令和9年度採用の第1次検査・名簿登載の結果
富山県は2つの倍率を公表しています。
①志願倍率=志願者数÷採用予定者数(「志願状況について」の参考表)
②最終倍率=受検者数÷登載者数(「名簿登載状況について」の参考表。※大学3年次の人数を除いた数で算出)
また、富山県は「合格」ではなく「任用候補者名簿への登載」という言い方をします。本記事では、表ごとにどちらの定義かを必ず明記します。
令和9年度採用(2026年夏実施)の第1次検査合格者状況です(令和8年7月31日公表)。全体で志願者931人・受検者864人・第1次合格者709人。志願者数の参考表では志願倍率2.2倍(志願者654人※大学3年次を除く÷採用予定者数300人)でした。
| 受検種目(一般選考) | 志願者 | 受検者 | 第1次合格者 | 第1次倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 373人 | 355人 | 289人 | 1.2倍 |
| 中学校・高等学校 | 382人 | 353人 | 312人 | 1.1倍 |
| 特別支援学校A | 25人 | 25人 | 24人 | 1.0倍 |
| 特別支援学校B | 14人 | 12人 | 10人 | 1.2倍 |
| 養護教諭 | 50人 | 43人 | 9人 | 4.8倍 |
| 栄養教諭 | 7人 | 5人 | 3人 | 1.7倍 |
| 合計(特別選考を含む) | 931人 | 864人 | 709人 | 1.2倍 |
※第1次倍率=受検者数÷第1次合格者数(私が算出)。第1次合格者数には第1次検査免除者を含みます。校種別の行は一般選考のみの人数で、合計は特別選考8区分(社会人経験・とやまエキスパート教員選考・教職経験・特定資格・国際貢献・スポーツ実績・障害者・大学推薦)を含みます。
出典:富山県教育委員会「令和9年度富山県公立学校教員採用選考検査 第1次検査合格者状況について」。
数字を読むと、富山県の構造がはっきり見えます。小学校・中高・特別支援は第1次でほとんど絞られない(1.0〜1.2倍)一方、養護教諭だけは第1次で4.8倍と別世界。つまり教諭志望の方にとって、第2次検査に向けた準備が重要です。二次は個人面接180点だけでなく、教養Ⅱ90点があり、適性検査結果も勘案されます。
なお、令和9年度採用の第2次検査の結果は令和8年9月18日に発表されました(任用候補者名簿登載者及び補欠者の受検番号一覧)。名簿登載は372人(すべて名簿登載A)、補欠者は52人です。同じ日に公表された名簿登載状況では、県公表の最終倍率は1.6倍(大学3年次等を除く受検者602人÷登載者372人)で、前年と同じでした。1つ前の令和8年度採用の最終結果(名簿登載状況)、10年分の推移、特別選考の区分別実績は、倍率の専用記事にまとめています。
■ 富山県の倍率|令和9年度採用の第1次結果と10年間の推移(校種別・名簿登載A/B・補欠)
■ 富山県の特別選考と第1次検査免除ルート|大学3年次出願・大学推薦・教職経験・社会人経験・加点制度
① 自己アピール(1分間程度)と出願書類の深掘り
富山県の個人面接では、「1分間程度の自己アピール」を行います。公式の「検査内容及び評価の観点」には、個人面接で1分間程度の自己アピールを併せて行うと記載されていますが、冒頭に行うという順序までは明記されていません(冒頭に行ったという受検者の報告はあります)。そのほか、電子申請で入力した願書記載事項(志望動機・自己アピール・特技・活動歴など)が深掘りされます。実際の質問はこちらです。
- 自己PRを1分でしてください。(冒頭に実施したという報告があります)
- 教員志望の理由を教えてください。/志望動機を教えてください。
- 中高を志望した理由を教えてください。
- 長所を教職にどう活かしますか。/短所を教えてください。
- ボランティアでの1番の学びは何ですか。
- 資格試験(TOEIC)を受験した理由を教えてください。
- 大学の課外活動での役割を教えてください。→ そこで苦労したこと、学んだことは何ですか。→ それをどう教職に活かしますか。(3段の深掘り)
- 大学時代に勉強以外で頑張ったことを教えてください。
- 挫折経験を教えてください。
- あなたの性格はいつ頃、何によって形成されましたか。(変化球)
- 趣味について教えてください。
- 最後に、教員になりたい意思を伝えてください。(締めのひと言)
ここで効いてくるのが、出願時に495字以内で書いた「自己アピール」と「教員志望の動機」です。市販の過去問集にも「願書からの質問を2〜3問程度」「願書の内容を深掘りされる」という形式メモが繰り返し登場します。富山県の面接対策は、出願の時点でもう始まっていると考えてください。書き方は専用記事にまとめました。
■ 富山県の自己アピール・志望動機(495字)の書き方|面接で深掘りされる欄を実録から逆算
② 教科の指導内容・指導方法|富山県の一番の特徴
ここが富山県で差がつきやすいブロックです。「検査内容及び評価の観点」に、個人面接では「受検種目・受検教科の指導内容や指導方法に関する質問を併せて行う」と明記されており、評価の観点にも「教科の指導力」が入っています。模擬授業は実施しない代わりに、「授業を口で説明する力」が正面から採点されるのです。
- 掛け算に関する授業の導入はどのように行いますか。(小学校)
- 地理を学ぶ意義は何ですか。(中高・社会)
- 生徒は海外旅行等に行ったことがありません。日本はオセアニアなどと関係が深いですが、オーストラリアの特色と、その授業をどう行いますか。(中高・地理/単元名を出しての具体的な授業構想)
- 探究的な授業をするとしたら、どの分野でどのような授業を行うか、口頭で説明してください。(中高・社会)
- 個別最適な学びと協働的な学びを実現するために行うことは何ですか。
- ICTの活用について教えてください。
- 授業においてめあてが達成されなかったらどうしますか。
市販の過去問集5年分の集計でも、この傾向ははっきり数字に出ています。「授業づくり」に関する質問の出現率は、富山県が面接1,000問あたり124問。全国平均は87問——全国平均の約1.4倍です。実際、過去には単元で学ばせたいことの確認、地理の導入の工夫、教科書教材の曲の指導方法といった、単元・教材レベルまで踏み込んだ質問が公刊の過去問集に並んでいます。

準備の仕方はシンプルです。自分の校種・教科で「得意な単元を3つ」決めて、①導入の一言 ②めあて ③子どもがつまずくポイント ④ICTや対話をどう入れるか、を1分で話せるようにする。これだけで、富山県の個人面接は別物になります。中高英語の方は、これを英語でも言えるようにしておいてください(英語での口頭試問が含まれます)。
③ 子ども理解・生徒指導と「配属」の確認
教科の質問と並んで多いのが、目の前の子どもをどう見るかという質問です。そしてもう一つ、富山県には全国平均から突出して多い定番質問があります。
- 特別支援学校に配属になっても良いですか。(複数年・複数校種で出た報告がある、富山県で多い質問)
- 生徒が失敗したときどう声をかけますか。
- 休み時間の子どもたちに対して、担任として気をつけることは何ですか。
- 教員と学習塾の違いは何ですか。
- なぜ転職しようとするのですか。(令和7年度採用・中高社会の受検者報告)
- 現職での業務で困ったことは何ですか。(現職の方へ/※プライバシー配慮のため一般化しています)
「特別支援学校に配属になってもよいか」は、市販の過去問集でも令和4年度採用・令和7年度採用・令和8年度採用と複数年にわたって登場します。集計上、富山県の「特別支援・合理的配慮」に関する質問の出現率は面接1,000問あたり85問(全国平均18問)=約4.7倍。この数字の多くが「配属の確認」です。
実施要項にも「退職者等の状況によっては、出願した校種と異なる校種の学校に配属される場合がある」と書かれています。富山県は特別支援学校教諭A・Bという区分を別に設けたうえで、一般選考の受検者にも配属の可能性を確認しているわけです。「はい、大丈夫です」+そこで何をしたいかを一言——この形で準備しておくと安心です。

逆に、富山県で「聞かれていない」質問も知っておくと準備が軽くなります。5年分の集計では、保護者対応(全国37)・体罰/服務・不祥事(全国22)・地域連携(全国14)・ストレス/メンタル(全国16)の出現数がいずれも0でした。まったく出ないとは言い切れませんが、限られた時間は「教科」と「子ども理解」に集中投下するのが富山県では合理的です。
④ 第1次検査の「集団面接」は、実質は集団討論です
富山県で受検生が一番戸惑うのがここです。第1次検査2日目の科目名は「集団面接」。でも「検査内容及び評価の観点」を読むと、内容は「当日与えられたテーマについて、1グループ(6〜8名程度)で討論を行う。面接委員3名。(30分程度)」——つまり中身は集団討論です。評価の観点も「話し合いに対する貢献度、社会性、論理性、話し合いに臨む態度等」と、討論そのものを見ると書かれています。
一般選考の配点は90点/第1次250点満点です。集団面接の配点も含めて選考されるため、筆記とあわせて対策しましょう。受検者からは、こんなテーマが報告されています。
- 【令和6年度採用・小学校】席替えを生徒に決めさせるか教師が決めるかについて、5段階で自分の立場を表明したうえで討論しなさい。
この「まず自分の立場を数値・段階で表明させてから討論に入る」という進め方は、富山県の集団面接の大きな特徴です。市販の過去問集でも、テーマは「是非を問う型」が中心で、①賛成か反対かを述べたうえで話し合う、②グループとして一つの答えを出す、という指示が付くパターンが繰り返されています。近年のテーマ領域は、学校行事の精選、校則の見直し、校内清掃の外部委託、通知表等の廃止、防犯カメラの設置、児童生徒のSNS利用、AIの教育利用、タイパ(時間対効果)重視の是非など。「学校の当たり前を見直す」系のテーマが圧倒的に多いのが富山県です(※課題文そのものは転載していません)。
時間も年々変化しています。市販の過去問集の形式メモでは、令和4年度採用は25分、令和5年度採用以降は30分。令和6年度採用は「1グループ6〜7名」、令和9年度採用の「検査内容及び評価の観点」では「6〜8名程度」となっています。1人あたりの持ち時間は、30分・7人なら単純計算で4分強。1回30秒〜1分の発言を複数回、が現実的な配分です。
「是非を問う型」で結論まで出すタイプの討論は、進め方の型を知っているかどうかで安定感がまったく変わります。こちらもあわせてどうぞ。
⑤ 教養(Ⅱ)=「筆記で受ける場面指導」
富山県の第2次検査には、面接以外にもう一つ大きな科目があります。教養(Ⅱ)です。要項には「職務内容に係る児童・生徒への指導場面等」に関する記述・論述問題を出題する(50分)とあり、評価の観点は「教員としての熱意や資質、論述内容、文章の記述の適切さ等」。配点は90点です。
受検者の報告を読むと、実態は「事例を読んで、担任としてどう対応するかを800字で書く」=筆記版の場面指導であることが分かります。実際に出題された事例はこちらです(校種・年度別の全文は資料編に収録)。
- 【令和6年度採用・中高】中学2年生の女子生徒。1学期まで快活だったが秋ごろから元気がなくなり、最近自傷行為を発見した。個人面談では「勉強に集中できずつい自傷行為をしてしまう」「親には伝えないでほしい」と言われた。あなたが担任ならどうするか。(50分・700〜800字・横書き)
- 【令和6年度採用・小学校】外国人児童への授業中の態度について、本人や学級の他の児童への指導および学級づくりについて述べなさい。(800字以内)
- 【令和7年度採用・中高】中学生の生徒が夏休み明けから登校しぶりが見られ、登校できたりできなかったりしている。管理職とともに家庭訪問を行ったが、明確な理由は不明である。あなたは担任としてどう対応するか。(50分・800字)
この3題を並べると、富山県の出題意図が見えてきます。自傷行為・外国人児童・不登校——いずれも「第3期富山県教育振興基本計画」が重要テーマに掲げている「不登校児童生徒の教育機会の確保」「外国人児童生徒教育の推進」「幼児教育、特別支援教育の充実」と重なる部分があります。県の計画の重要テーマが出題の背景にある可能性を踏まえて準備しておくのがおすすめです。
教養(Ⅱ)と、特別選考の第1次で課される「小論文」(60分・60点)の書き方は、専用記事にまとめました。
■ 富山県の教養(Ⅱ)・小論文|過去5年の出題テーマと800字・50分の書き方
【資料編】受検者3名の実録|年度別・校種別アーカイブ
ここからは、ご報告いただいた内容を年度別・校種別に整理して収録します。個人が特定される経歴・固有のエピソードに関する質問は、省略または一般化しています。
令和7年度採用(2024年夏実施)|1名の実録
中学校・高等学校/社会
- 【個人面接】志望動機を教えてください。/探究的な授業をするとしたら、どの分野でどのような授業を行うか口頭で説明してください。/現職での業務で困ったことは何ですか。/あなたの性格はいつ頃、何によって形成されましたか。/支援学校に配属になっても良いですか。/なぜ転職しようとするのですか。/教員と学習塾の違いは何ですか。
- 【教養(Ⅱ)/50分・800字】中学生の生徒が夏休み明けから登校しぶりが見られ、登校できたりできなかったりしている。管理職とともに家庭訪問を行ったが、明確な理由は不明である。あなたは担任としてどう対応するか。
- 【適性検査】クレペリン検査を実施。
令和6年度採用(2023年夏実施)|2名の実録
中学校・高等学校/社会(地理選択) ※面接委員3人(男性2人・女性1人)、面接時間20分
- 【個人面接】自己PRを1分でしてください。/教員志望の理由を教えてください。/中高を志望した理由を教えてください。/長所を教職にどう活かしますか。/生徒が失敗したときどう声をかけますか。/ICTの活用について教えてください。/地理を学ぶ意義は何ですか。/生徒は海外旅行等に行ったことがない。日本はオセアニアなどと関係が深い。オーストラリアの特色と、その授業をどう行いますか。/大学の課外活動での役割を教えてください。→ そこで苦労したこと、学んだことは何ですか。→ それをどう教職に活かしますか。/授業においてめあてが達成されなかったらどうしますか。/趣味について教えてください。(1人で13問)
- 【教養(Ⅱ)/50分・700〜800字・横書き】中学校2年生女子生徒。1学期まで快活な生徒だったが、秋ごろから元気がなくなり、最近自傷行為を発見した。個人面談を行うと、勉強に集中できずつい自傷行為をしてしまうとのこと。親には伝えないでほしいと言われた。あなたが担任ならどうするか、あなたの考えを述べなさい。
小学校
- 【個人面接】ボランティアでの1番の学びは何ですか。/資格試験(TOEIC)を受験した理由を教えてください。/短所を教えてください。/挫折経験を教えてください。/掛け算に関する授業の導入はどのように行いますか。/個別最適な学びと協働的な学びを実現するために行うことは何ですか。/大学時代に勉強以外で頑張ったことを教えてください。/休み時間の子どもたちに対して担任として気をつけることは何ですか。/最後に、教員になりたい意思を伝えてください。
- 【集団面接(討論)】席替えを生徒に決めさせるか教師が決めるかについて、5段階で自分の立場を表明したうえで討論しなさい。
- 【教養(Ⅱ)/800字以内】外国人児童への授業中の態度について、本人や学級の他の児童への指導及び学級づくりについて述べなさい。
富山県の実録は令和8年10月時点で3名分です。報告が多くない自治体で、正直に言えば「これから育てていくページ」です。受検された方の報告が、このページを次の受検生にとって役立つものにします。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。
傾向と対策|5年分の出題データと実録から見えた7つの法則
私たちは市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用・富山県分151問)を独自に集計し、実録と突き合わせました。そこから見えた富山県の法則がこちらです。
- 二次の得点の3分の2が個人面接。個人面接180点・教養(Ⅱ)90点。教諭志望の第1次倍率は1.0〜1.2倍なので、二次の準備が重要です。ただし教養(Ⅱ)90点もあり、合否には適性検査の結果も勘案されます。
- 「教科の指導内容・指導方法」は「検査内容及び評価の観点」に明記された質問項目。授業づくりの質問の出現率は全国平均の約1.4倍。単元名レベルで語れる準備を。
- 「特別支援学校に配属になってもよいか」が複数年に見られる質問。特別支援関連の出現率は全国平均の約4.7倍。迷わず答えられるよう準備しておきましょう。
- 1分間程度の自己アピールがあります。公式資料に記載されていますが、実施順序は明記されていません。出願時の495字が、そのまま台本になります。
- 追質問チェーン率17.1%(全国平均約10.5%)。「答えて終わり」ではなく、2段・3段の深掘りが来る前提で準備してください。想定問答は一問一答ではなく「深掘りツリー」で作ります。
- 服務・不祥事・保護者対応は、確認できた過去問には見当たりません。5年分の集計で出現数0でした。教養(Ⅱ)では、児童・生徒への指導場面等について記述・論述する問題が出題されます。
- 模擬授業は実施しない(令和9年度採用の公式資料に明記)。ただし令和4年度採用ごろの市販過去問集には「面接官3人 20分(模擬授業含む)」という形式メモが残っています。形式は年度で変わるので、必ずその年の「検査内容及び評価の観点」を確認してください。
深掘り質問に強くなるコツは、面接官が「知りたい順番」を先回りして準備することです。この考え方は大学講演で詳しく解説しました。
実施要項の特別選考「大学推薦」の要件には「富山県が求める教員像にふさわしい資質・能力及び適性を備えている者」という文言がありますが、教員像そのものの一覧は要項に掲載されていません。回答の着地点として使えるのは、県が公表している第3期富山県教育振興基本計画(令和4年度〜8年度)です。
基本理念:ふるさと富山に誇りと愛着を持ち、地域社会や全国、世界で活躍し、未来を切り拓く人材の育成 ― 真の人間力を育む教育の推進 ―
9つの基本方針を貫く3つの横断的な取組み
- 技術革新やグローバル化など社会の変化に対応できるよう「課題解決型の教育」の展開
- 社会全体のDX加速に応じた教育環境のデジタル化による「ICT教育」の推進
- 地域社会とつながる、教え合い学び合う協働的な学び「チーム富山教育」の実現
10の重要テーマ:プロジェクト学習(PBL)の推進/ICTを活用した教育の推進/キャリア教育の推進/働き方改革の推進/不登校児童生徒の教育機会の確保/少人数教育の推進/幼児教育、特別支援教育の充実/高等学校の特色化・魅力化/外国人児童生徒教育の推進/データサイエンス教育の推進
太字にした3つは、教養(Ⅱ)の出題テーマ(不登校・外国人児童など)と重なるものがあります。個人面接の回答も、この計画のキーワード(課題解決型・ICT・チーム富山教育)のどれかに着地させると、一貫性が出ますよ!
また、『生徒指導提要(改訂版)』には、現代の教育課題に合わせた生徒指導の在り方が書かれています。富山県は教養(Ⅱ)で毎年「指導場面」を書かせる県ですから、ここは必読です。要点はこの動画で押さえられます。
よくある質問
Q. 模擬授業はありますか?
A. 令和9年度採用の「検査内容及び評価の観点」に「個人面接において、模擬授業は実施しない」と明記されています。ただし市販の過去問集を遡ると、令和4年度採用ごろは「面接官3人 20分(模擬授業含む)」という形式メモが残っており、過去には実施されていた時期があります。形式は年度で変わりますので、受検年の公式資料を必ずご確認ください。なお模擬授業がなくても、「その単元をどう教えるか」を口頭で説明させる質問は複数年で見られます。
Q. 「集団面接」は面接ですか、討論ですか?
A. 討論です。「当日与えられたテーマについて、1グループ(6〜8名程度)で討論を行う。面接委員3名。(30分程度)」と公式資料に書かれています。評価の観点も「話し合いに対する貢献度、社会性、論理性、話し合いに臨む態度等」。名称に惑わされず、集団討論の練習をしてください。第1次検査2日目(7月12日)に実施され、配点は一般選考で90点/250点です。
Q. 面接で場面指導(ロールプレイ)はありますか?
A. 公式資料に面接内での場面指導の実施は記載されていません。富山県の場合、「指導場面」は第2次検査の教養(Ⅱ)で筆記として問われます(50分・記述論述・90点)。実演の練習より、800字で対応策を組み立てる練習のほうが直結します。
Q. 大学3年生でも受けられますか?
A. はい。富山県には「大学3年等出願者」の制度があります。出願時に大学・大学院に在籍し、免許を令和10年3月31日(令和9年度採用の場合)までに取得見込みであれば出願でき、第1次検査に合格すると、翌年度の選考検査は第2次検査から受検できます(同一種目・同一教科に限る)。令和9年度採用の6月26日公表の志願状況では、志願者931人のうち大学3年次を除く人数は654人で、差は277人でした。ただし、7月31日の第1次合格者状況と9月18日の名簿登載状況では、大学3年次等を除く志願者数は655人とされています。詳しくは特別選考記事へ。
Q. 「合格」ではなく「名簿登載」と書いてあるのはなぜ?
A. 富山県は「任用候補者名簿への登載」という制度を採っています。名簿登載には「名簿登載A」と「名簿登載B」があり、Bは原則として翌年度(令和10年度)採用の扱いになります(欠員が生じた場合の年度中採用を除く)。さらに名簿登載者以外に若干名の「補欠」が決定され、欠員が生じた場合に名簿登載の対象となります(補欠の効力は令和9年2月28日まで)。名簿の有効期間は登載の日から2年を経過する日の属する年度末までです。
Q. 不合格でも点数は教えてもらえますか?
A. はい。実施要項に、第1次検査不合格者本人には第1次検査における各検査の得点および総合順位を、第2次検査受検者本人には第2次検査における各検査の得点および総合順位を、選考結果と併せて通知すると書かれています。自分がどの検査で何点足りなかったかが分かるのは大きな財産です。再挑戦する方は、必ずこの通知をもとに戦略を立て直してください。さらに、令和6・7・8年度の筆答検査問題(第1次・第2次)は富山県庁情報公開総合窓口で閲覧できるとも記載されています。
Q. 圧迫面接ですか?
A. 圧迫だったという報告は届いていません。ただし追質問チェーン率は17.1%と全国平均(約10.5%)を上回ります。「その授業で、めあてが達成されなかったらどうしますか」のように、答えた内容をさらに掘り下げる質問が来ます。詰められていると感じないよう、深掘りされる前提で準備しておくことが大切です。
深掘り質問の代表格「もし、今年の教採で落ちたらどうしますか?」への答え方は、実演動画で確認できます。
面接の手応えが気になる方へ
富山県は第2次検査が8月下旬、結果の公表が9月中旬。3週間ほど待つことになります。「あの答えでよかったのか」と面接を何度も再生してしまう時期です。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由はこちらの記事にまとめています。
■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由
また、他の自治体と併願する方は、形式の違いを押さえておくと準備がブレません。東京都は1回30〜40分・面接官3人の役割分担型、愛知県は15分×連続2回といったように、同じ「個人面接」でも中身はかなり違います。
■ 東京都教員採用試験の個人面接|過去問200問・3年分の実録と傾向対策
■ 集団討論の過去問140問|全国の出題テーマと進め方
この記事の質問はすべて受検者の皆さんからの情報提供で成り立っています。ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございます。応援しています!
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