こんにちは、金井志津乃です!

山口県の集団討論って、テーマについて話し合うんじゃなくて「授業を立案する」って聞きました。ふつうの集団討論の対策じゃダメなんでしょうか?

そこ、超重要ポイントです! 山口県の討議は「自分がさっきやった模擬授業と同じ主題で、グループで1時間の授業を立案する」という形式の報告があります。ふつうの「◯◯についてどう思いますか」型とは、準備するものが違う可能性があります。実際の報告から丸ごと解説しますね!
この記事では、山口県公立学校教員採用候補者選考試験第二次試験の集団討論(討議)——試験項目「集団面接(模擬授業・討議)」の後半——について、実際に受験した方々の報告をもとに、形式・出題された課題・立ち回り方をまとめます。
この記事の根拠
- 令和6年度〜8年度採用(2023〜2025年実施)の受験者の報告から、討議の課題・人数・時間を収録
- 市販の全国版過去問集の山口県分(令和5〜8年度採用の35行)と突き合わせ、過年度の出題形式の違いを確認しました
- 試験項目・評価の視点・評価方法・時間割は令和9年度採用の実施要項と照合済み
- 前半の「模擬授業」は別記事にまとめています →山口県の模擬授業|構想15分・導入5分の型と実録の主題
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
山口県の集団討論|30秒でわかる基本情報
| 位置づけ | 第二次試験の試験項目「集団面接」の後半。実施要項の試験内容欄には「模擬授業及び討議」と書かれており、模擬授業と討議で1つの科目です。 |
| 実施日・時間 | 令和9年度採用は7月4日(土)11:50〜17:20の枠内。小論文のあと、模擬授業に続けて実施されます。 |
| 人数 | 5〜6人(受験者報告。「6人」との報告が複数) |
| 討議時間 | 30分(この記事に掲載した受験者報告のうち、時間の記載があるもの) |
| 課題 | 模擬授業と同じ主題で「1時間の授業を立案する」との受験者報告があります。「このグループで協力して、◯年生の子どもたちに『◯◯』について考えを深めさせる1時間の授業を立案する」という形で示された例があります。 |
| 対象学年 | 「中学2年生を対象に」と指定された報告があります。高校では「LHRで1時間の授業を」という指示も。 |
| 司会 | 指定の有無や役割の決め方は当日の指示を確認してください。 |
| 評価の視点 | 個人面接・小論文と共通:教育的愛情、教育に対する情熱・意欲、教育観、人権意識、倫理観、表現力、創造力、指導力、社会性、積極性、協調性 等 |
| 評価方法 | 各評価の視点について5段階で評価(点数化された配点は実施要項に記載がありません) |
※人数・時間・司会は受験者報告にもとづく情報で、実施要項には記載がありません。試験項目・評価の視点・評価方法・時間割は令和9年度採用 実施要項「4 試験項目等」「6 試験時間等」「8 試験内容、評価の視点、評価方法及び選考方法」より。

ここが山口県の一番のクセです。討議の課題は「意見を戦わせること」ではなく「成果物(授業案)をつくること」。だから、いい意見を言った人ではなく「グループの授業案をよくした人」が評価されやすいと考えられます。全国版の集団討論対策で言う「結論を出す形式」の、さらに実務寄りバージョンだと思ってください。
過年度の報告には異なる形式があります
市販の過去問集で山口県の集団討論をさかのぼると、形式の違う課題が載っています。
| 時期 | 形式 | 課題の出し方 |
|---|---|---|
| 過去問集の古い年度(令和5年度採用ごろ。第一次試験の「集団面接(討議)」として掲載) | テーマ討論型 | 「子どもたちの◯◯を育成するために、私たちはどのようなことに心がけたらよいか、みなさんで話し合ってください」。テーマは「規範意識や倫理観」「他者を思いやる心」など、山口県の「3つの力」「3つの心」の項目名がそのまま使われていました。 |
| 令和6年度採用以降の受験者報告 | 授業立案型 | 模擬授業の主題と同じテーマについて、「このグループで協力して、対象学年の子どもたちに考えを深めさせる1時間の授業を立案する」形式。令和6・7・8年度採用の受験者報告は、この形式の記載でした(令和9年度採用の討議の課題については、2026年10月時点で報告を確認できていません)。切り替わった年度は公式資料では確認できていません。 |
つまり「山口県の集団討論の過去問」を古い年度から探すと、形式の違う課題も出てきます。対策では、授業立案型の報告がある令和6年度採用以降を中心に見てください。テーマの言葉は山口県の教育目標と重なるものが多いので、テーマの読み方は昔のものも役に立ちます。
実際に出た討議の課題|受験者報告
- 【小学校】模擬授業「コミュニケーションの大切さ」(導入5分)→ その後、授業についてのグループディスカッション
- 【養護教諭】「望ましい食習慣と健康」について、中学2年生を対象に1時間の授業を作ることについて話し合い、意見をまとめなさい。(5〜6人で30分)
- 【養護教諭・別の受験者】「望ましい食習慣と健康」(導入5分、討論30分)
- 【特別選考】「伝え合うことの大切さ」について考えを深めさせる授業の立案について話し合い、意見をまとめなさい。(30分・6人)
- 【高等学校】模擬授業と同じ課題(自ら考えて行動することの大切さ)で、LHR1時間分の授業を立案してください。
- 【高等学校・別の受験者】試験科目(1)について、討論して授業案を作成しなさい。(受験者報告の原文のとおり。「試験科目(1)」が何を指すかは原文だけでは確定できません)
- 【養護教諭】模擬授業「睡眠と健康」(構想15分・実施5分)→ その後、中学2年生を対象に1時間の授業をする想定で討論(6人・30分)
並べてみると、指示の言い回しは受験者ごとに少しずつ違いますが、共通する点があります。「模擬授業と同じ主題」×「1時間の授業を立案」×「グループで意見をまとめる」。報告ごとに条件が異なるため、当日の課題文で求められる内容を確認してください。
模擬授業で実際に出た主題(伝え合うことの大切さ/自ら考えて行動することの大切さ/コミュニケーションの大切さ/睡眠と健康/望ましい食習慣と健康 ほか)は、模擬授業の記事に収録しています。
30分の授業立案討議|進め方の設計図
「1時間の授業を立案する」討議でも、まず方向性をしっかり明確にしながら議論を進めることが大切だと思います。これから考える授業がどこに向かっているのかを決めずに議論すると、議論がわちゃわちゃと広がりすぎてしまう恐れがあるんですよね。
私が「結論を出す形式」の討論でお伝えしている3ステップを、山口県の30分に合わせるとこうなります。
| 時間 | やること | この場面で言うといい一言 |
|---|---|---|
| 最初の5分 | ①方向性を決める——この1時間で子どもに何を持ち帰らせるか(授業の目標)と、対象学年の実態 | 「まず、この1時間のゴールを1文で決めませんか。◯年生だと、◯◯につまずいている子が多いと思うのですが、いかがでしょう」 |
| 次の10分 | ②多角的な視点を早めに出す——導入/展開の活動/まとめ、それぞれのアイデアを分けて出す | 「導入・展開・まとめで分けて出しませんか。私は展開で◯◯を考えました」 |
| 次の10分 | ③共通点と相違点を整理する——似ている案はまとめ、割れている案はメリット・デメリットで比べる | 「グループワークとワークシートで意見が分かれていますが、◯年生の実態を考えるとどちらが目標に近いでしょうか」 |
| 最後の5分 | 1時間の流れとして言い直す——導入◯分/展開◯分/まとめ◯分で通す | 「残り5分なので、いったん通しで確認させてください。導入で◯◯、展開で◯◯、まとめで◯◯、でよろしいでしょうか」 |

山口県の場合、この設計図には大きなアドバンテージがあります。討議の前に、同じ主題の模擬授業を行ったという受験者報告があるんです。ただし、討議中に構想メモを手元で参照できるとは限りません。
だから最初の5分で「目標を1文で」と切り出せるのは、実は誰にでもできること。構想時間のときに「1時間の見取り図」まで描いておけるかどうか——山口県の集団討論は、そこが大きな分かれ目になると考えています(当ブログの見方です)。
役割の取り方|司会をやるべき?
集団討論の役割は、大きく「MC(司会)」「アイデアマン」「サポーター」の3タイプに分けられます。評価されていると考えられるのはチームへの貢献度と協調性なので、司会をやったから加点になるとは限りません。
私のおすすめは、積極的に司会に立候補するのではなく、様子を見たうえで「チームで作り上げる提案」をするやり方です。「進め方を決めませんか」「時間を区切りませんか」——これは司会の宣言ではなく、グループへの提案。誰も出し抜かず、しかも議論は前に進みます。
そして山口県特有の注意点がもうひとつ。報告によると、討議のメンバーは、直前まで自分の授業の「生徒役」をやってくれた人たちです。模擬授業の時間に反応が薄かった人が、討議になった途端によく喋る——この落差は面接官に見られている可能性があります。模擬授業の生徒役から、すでに集団面接は始まっています。
これをやったら一発アウト|NG行動
- 我を通す。自分とは違う意見や反対意見が出たときに、それを否定してしまったり、相手への苛立ちを顔や雰囲気に出してしまったりするのはNGです。「なるほど」「確かにこういう時にはこうかもしれませんね」と、相手の意見をまずは受け入れてみてくださいね。
- 長時間話す。30分で5〜6人なら、1回あたり30秒〜1分を複数回が目安。一人が3分話したらそれだけで全体の1割です。
- 論点がずれる。「授業を立案する」課題なのに、教育論や現状分析だけで終わる。成果物に近づく発言かどうかを毎回チェックしてください。
- 相手を見下す。講師経験者が学生を、教科の専門家が他教科の人を——本人は無自覚でも、伝わってしまうことがあります。
もし論点がずれたら、「時間もあと◯分なので」という一言が使えます。ポイントは3つ。①他の受験者を出し抜かない言い方にする ②終わり方(この後どうするか)を明確に提示する ③独断で決めず、合意を取る。
主題と「県が育てたい子どもの姿」を照らしてみましょう
令和5年度採用ごろのテーマ討論型の課題も含めて、山口県の討論テーマには県の教育目標と重なる言葉が多く見られます。
教育目標「未来を拓く たくましい『やまぐちっ子』の育成」の達成に向けて、山口県は子どもたちに次の力と心を育成するとしています。
| 3つの力 | 中身 | 3つの心 | 中身 |
|---|---|---|---|
| 学ぶ力 | 知的好奇心/自ら学びに向かう意欲や態度/基礎的・基本的な知識・技能/思考力・判断力・表現力 | 広い心 | 多様な考えを理解し尊重する態度/他国の文化を理解し協調する態度/郷土の伝統や文化を尊重し継承する態度/平和を愛する心や態度 |
| 創る力 | 自ら課題を見つけ将来を見通しながらよりよく解決していく力/科学的なものの見方・考え方、情報や技術を活用する力/豊かな創造力 | 温かい心 | 他者を思いやり共感したり感動したりする心や態度/社会に貢献しようとする態度/感謝する心や態度 |
| 生き抜く力 | 規範意識や倫理観/コミュニケーション能力/自己肯定感、自己有用感/たくましく生き抜くために必要な健康や体力 | 燃える心 | 未知なるものに進んで挑戦する態度/困難に立ち向かい、それに打ち勝とうとする態度/新しいものを進んで取り入れようとする態度 |
※出典:山口県教育委員会「令和6年度 山口県教育推進の手引き」(2024年4月)/山口県教育振興基本計画(2023年度〜2027年度)

この6つの力・心に、実際の主題を当てはめてみてください。「コミュニケーションの大切さ」=生き抜く力、「伝え合うことの大切さ」=生き抜く力、「自ら考えて行動することの大切さ」=学ぶ力・創る力、「睡眠と健康/望ましい食習慣と健康」=生き抜く力(健康や体力)。
6つの力・心それぞれで「1時間の授業の骨組み」を1つずつ作っておくと、当日の主題に対応しやすくなります。これは山口県対策の一つの進め方です。
公刊過去問集の集計では、山口県は個人面接でも「地域連携」「主体的・対話的で深い学び」の質問が全国平均より多い傾向があります。討議で出す活動案にも「子どもが話し合う場面」「地域や家庭とつながる場面」を入れておくと、県の施策に沿った案になりやすいです。
よくある質問
Q. 個人面接があるのに、なぜ集団討論もあるのですか?
A. 集団討論では、リアルな人間関係の中でのコミュニケーション能力が見えるからです。協調性、他者と良い関係を築きながら自分の考えを伝えるスキル——これは一対一の面接では分かりません。山口県の評価の視点にも「社会性」「協調性」が入っています。そして山口県の場合、それに加えて「同僚と一緒に授業をつくれるか」という、現場そのものの力が試されていると考えられます。
Q. 他の受験者より良い意見を言えば合格ですか?
A. いいえ。「他の受験者より優れた回答をする人」と「チームでベストな回答を生み出す人」なら、合格するのは後者です。山口県の課題は「グループで1時間の授業を立案する」——成果物をつくる課題ですから、なおさらです。個人プレーではなく、チーム貢献の意識を持ってください。
Q. 沈黙になったらどうすればいいですか?
A. 自分の迷いを、そのまま柔らかく言葉にして共有してください。「私は◯◯かなと思ったのですが、◯年生には難しいかもと迷っています。皆さんはどう思われますか」——完成した意見を出そうとするから沈黙が続きます。迷いを開くと、他の人も発言しやすい空気になります。
Q. 山口県の集団討論の過去問はどこで見られますか?
A. この記事の受験者報告のほか、令和9年度採用では、山口県は第二次試験の試験問題を2026年7月15日から県内8か所で公開しました(公開期間は実施要項に記載がありません)(情報公開センター〈山口県庁〉および岩国・柳井・周南・山口・宇部・下関・萩の各総合庁舎の地方県民相談室)。県内にお住まいの方は、実物を見に行くのが確実です。また、全国の集団討論の過去問は当ブログのまとめ記事に180問以上収録しています。
Q. メモは取れますか?
A. 討議中にメモを使えるとは限りません。公刊過去問には、メモ用紙等なしで討議した報告があります。実施要項の筆記用具持参の指示だけでは、構想メモを討議で参照できるとは判断できないため、当日の指示を確認してください。
Q. 集団討論は合否にどれくらい影響しますか?
A. 実施要項には配点の記載がありませんが、「集団面接(模擬授業・討議)」は個人面接等・小論文と並ぶ第二次試験の3本柱のひとつで、評価の視点ごとに5段階で評価されます(実施要項より)。不合格の場合は試験項目ごとに3段階の評価ランク(a〜c)が通知されるので、どこが弱かったかが分かります。山口県の第二次試験の合格率は令和9年度採用で約60%でした——3つの試験項目をバランスよく準備しましょう。
この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます
討議の課題について、受験した方の報告を募集しています。山口県を受験された方は、ぜひ次の年度の受験生のために教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。
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