こんにちは、金井志津乃です!

石川県で講師をしていると筆記が免除になると聞いたのですが……。あと大学3年生でも受けられるとか。自分がどのルートで受けられるのか、正直よく分からなくて。

石川県は特別選考が区分Aから区分Iまで9種類あって、免除される科目がそれぞれ違うんです。しかも「いずれか一つの区分でしか受験できない」というルールつき。この記事で「自分はどのルートか」を一気に整理しますよ!
この記事では、石川県公立学校教員採用候補者選考試験の特別選考(試験科目の免除)と加点制度について、令和9年度採用の実施案内・配点表・選考基準をもとにまとめます。
この記事の根拠
- 選考区分・受験資格・免除内容・加点は令和9年度採用の実施案内(石川県教育委員会公表PDF)から。要約ではなく条文に沿って整理しています。
- 大学3年生選考(区分C)の受験者数・基準到達者数は、教育委員会が公表した各年度の「選考結果」から集計
- 石川県は区分C以外の選考区分別の合格実績を公表していないため、この記事ではルート別の合格率を出していません
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
石川県には第一次試験・第二次試験の区分がありません。7月の筆記・実技と8月の面接試験(模擬授業・個人面接)をまとめて判定します。配点は次のとおりです。
総合教養50点+教科専門150点+個人面接100点+模擬授業100点=総合点400点(英語は教科専門120点+実技30点、音楽・美術・保健体育・技術・家庭は教科専門100点+実技50点で、いずれも400点満点)
特別選考で免除されるのは、多くの区分で「総合教養(50点)」です。つまり、総合教養が免除される区分で軽くなるのは400点中50点分です。「免除された=一気に有利」ではなく、浮いた勉強時間をどこに使うかが勝負を分けます。
出典:石川県教育委員会「令和9年度教員採用候補者選考試験 配点表」
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
早見表|あなたはどの区分?(令和9年度採用)
石川県の選考は「一般選考」のほかに区分Aから区分Iまでの9種類の特別選考があります。免除される科目が区分ごとに違うので、まず全体像を確認してください。
| 区分 | 主な対象 | 免除される試験 | 実際に受ける試験 |
|---|---|---|---|
| 一般選考 | 特別選考によらない全受験者 | — | 筆記(総合教養・教科専門)・実技・適性検査・面接(模擬授業・個人面接) |
| A | 本県講師等として勤務する受験者 | 総合教養 | 教科専門・実技(該当教科)・適性検査・面接 |
| B | 正規教員経験を有する受験者(3年以上) | 小学校等・特別支援=筆記全部+実技/中高・養護・栄養=総合教養 | 小学校等・特別支援=面接・適性検査のみ/中高・養護・栄養=教科専門・実技(該当教科)・適性検査・面接 |
| C | 大学3年生(令和10年度採用に向けた前倒し) | 3年次は面接試験を実施しない | 3年次=筆記・実技・適性検査(総合点200点) |
| D | 前年度に区分Cで基準に到達した人 | 筆記・実技・適性検査のすべて | 面接試験(模擬授業・個人面接)のみ(総合点200点) |
| E | 大学からの推薦を受けた受験者 | 筆記試験(全部) | 面接試験・適性検査(実技試験はなし) |
| F | 障害のある受験者(手帳の交付を受けている人) | 原則なし。必要に応じて実技試験等の一部または全部。 | 原則、一般選考と同じ内容+障害の種類・程度に応じた配慮 |
| G | 英語に係る資格を有する英語受験者 | 教科専門 | 総合教養・実技・適性検査・面接 |
| H | 民間企業等勤務経験を有する工業受験者 | 総合教養 | 教科専門・適性検査・面接 |
| I | 教育職員普通免許状を有しない受験者(中高) | 総合教養 | 教科専門・実技・適性検査・面接(特別免許状の授与が前提) |
※出典:石川県教育委員会「令和9年度石川県公立学校教員採用候補者選考試験 実施案内」3 選考区分及び受験資格等、および配点表。
制度は年度で変わるため、出願前に必ずその年の実施案内を確認してください。

実施案内に大事な注記があります。「いずれか一つの区分についてのみ受験できます」。複数の要件を満たしていても、選べるのは1つだけ。免除される範囲がいちばん広い区分を選ぶのが基本ですが、区分によって受験区分の制限(同一の教科・分野に限る等)があるので、そこも含めて比べてください。
もうひとつ。特別選考区分(区分Cを除く)の採用数は、採用見込数に含まれます。つまり特別選考は「別枠で追加採用される」のではなく、一般選考と同じパイの中での選考です。この点は誤解しやすいので押さえておいてください。
区分C・D|大学3年生の前倒し受験は3年で3倍に
石川県で令和6年度採用の年以降、受験者が大きく増えているルートです。大学3年生のうちに筆記試験・実技試験・適性検査だけを受験し(区分C)、成績が基準に到達し、翌年度に同じ受験区分・教科(分野)で申し込めば、翌年の4年生では面接試験(模擬授業・個人面接)だけを受ける(区分D)——という仕組みです。
| 対象 | 「小学校教諭等」「中学校教諭等及び高等学校教諭等」「特別支援学校教諭等」の受験者のうち、①欠格条項に該当しない②志願する受験区分・教科の教育職員普通免許状を有する、または令和10年3月31日までに取得見込み③昭和43年4月2日以降に生まれた、令和8年度に4年制大学3年生の人 |
| 3年次(受験する年度) | 筆記試験・実技試験・適性検査を受験。総合点200点(配点表より)。面接試験はなし。 |
| 4年次(その翌年度) | 基準に到達していれば区分Dとして面接試験(模擬授業・個人面接)のみを受験。総合点200点。 |
| 受験区分の制限 | 3年次と同一の受験区分・教科(分野)での受験に限る |
| 基準に到達しなかった場合 | 大学4年次の選考試験から、特別選考区分C・D以外で受験できる(不利益はありません) |
| 加点・併願 | 区分Cの志願者は大学4年次に加点申請ができる。併願の有無も大学4年次に選択する(前年度に区分Cで基準到達し、翌年度に区分Dを志願する人は、志願時に併願の有無を選択。第1志望の変更は不可)。 |
| 結果通知 | 3年次の結果(基準に到達したか否か)は、令和9年度採用の選考では2026年9月25日(金)に試験結果通知書を発送 |
この制度がどれだけ広がっているか、教育委員会が公表している数字で見てみましょう。
| 選考年度(区分Cは翌年度の採用向け) | 受験者 | 基準到達者 | 到達率 | 内訳 |
|---|---|---|---|---|
| 令和6年度採用の年 (当時「区分Ⅵ」) | 69人 | 32人 | 約46% | 小学校63→28/特支(小学部)6→4 |
| 令和7年度採用の年 | 126人 | 72人 | 約57% | 小学校118→65/特支(小学部)8→7 |
| 令和8年度採用の年 | 205人 | 96人 | 約47% | 小学校111→63/中・高90→30/特支4→3 |
| 令和9年度採用の年 | 221人(志願230人) | 124人 | 約56% | 小学校113→69/中・高101→50/特支7→5 |
※出典:石川県教育委員会「石川県公立学校教員採用候補者選考結果」令和6年度〜9年度採用版、「令和9年度 志願状況について」。
到達率は私が算出しました
読み取れることは3つです。
- 受験者は69人→126人→205人→221人と、令和6年度採用の年から約3.2倍。令和9年度は志願230人のうち221人が受験しました。
- 令和8年度採用の年から、中学校教諭等及び高等学校教諭等が対象に加わりました。初年度でいきなり90人が受験し30人が到達。令和9年度は中高だけで101人が受験(志願は107人)と、小学校(113人)にほぼ並んでいます。
- 基準到達率はおおむね5割前後(46%・57%・47%・56%)。「受ければ通る」ものではありません。逆に言えば、3年生のうちに筆記・実技・適性検査の成績等で基準に到達できるかどうかが、この制度を使えるかの分かれ目です。上の約5割は受験者に占める基準到達者の割合で、必要な得点率ではありません。

私自身、大学2回生のときに「学校の先生になる」と腹を決めて、そこから模擬授業と面接の練習を始めました。なりたいと思ったら、なりたいと思った時からなるための行動を始める。これが私の考えです。石川県は制度がそれを後押ししてくれています。しかも基準に到達しなくても翌年に不利益はありません。受けるかどうかは、要項を確認して決めてください。
ただし、区分Dで気をつけてほしいことがあります。4年次に受けるのは面接試験だけ=総合点200点のすべてが模擬授業と個人面接で決まるということです。筆記の貯金は使えません。石川県の面接試験は「模擬授業100点+個人面接100点」で、模擬授業の直後に、その授業について質問されたという報告があります。実際に聞かれた質問は面接記事にまとめました。
■ 石川県の個人面接・模擬授業|受験者の実録と5年間の出題傾向
区分A|本県講師等の総合教養免除は「3年間」使えます
石川県で講師をしながら受験する方のためのルートです。仕組みが少し複雑なので、条件を分解します。
| 基本の要件 | 一般選考の受験資格をすべて満たし、本県国公立学校の講師等として、令和8年4月1日から令和9年3月31日までに11か月以上の勤務を見込む人 |
| 加えて必要な条件 | 過去の選考試験(令和6・7・8年度採用のいずれか)の筆記試験で総合教養の成績が基準に到達していること。何年前の到達かによって、追加で必要な勤務実績の条件が変わります。 |
| 免除される試験 | 筆記試験における総合教養(50点分)。教科専門・実技・適性検査・面接試験は受験します。 |
| 免除期間 | 免除の資格を得た試験実施年度の翌年度から、講師等として勤務を続ける3年間 |
| 受験区分の制限 | 免除の資格を得た当該年度の選考試験と同一の受験区分・教科(分野)での受験に限る |
| 「講師等」の範囲 | 任期付職員(育児休業代替講師・養護助教諭・栄養職員・実習助手・寄宿舎指導員)、臨時的任用講師等、非常勤講師等も含む(養護助教諭・栄養職員・実習助手を含む) |
| 「11か月以上」の数え方 | 該当月に1日でも勤務日数があれば1か月と数えます。「出願時に講師等として任用されている人」または「出願時までに講師登録を済ませ、勤務可能な期間を通年とし、講師等としての任用を希望している人」のいずれか。 |
※出典:令和9年度採用 実施案内「3(2)特別選考 ○区分A」
ポイントは2つあります。1つ目は、「講師登録をして通年で勤務可能としていたが、任用されなかった期間がある」人も救済される設計になっていること。実施案内には、令和6年度採用の試験で基準到達した人は令和6年度・7年度の両方、令和7年度採用の試験で基準到達した人は令和7年度について、それぞれ勤務経験11か月以上か、11か月未満でも当該年度の「本県講師登録において勤務可能な期間を通年とし、講師等の任用期間以外においても講師等としての勤務が可能であった者」であることが必要、と書かれています。任用の巡り合わせで勤務日数が足りなかった人は、あきらめる前に確認してください。
2つ目は、免除の権利は3年間続くこと。一度総合教養で基準に到達すれば、講師を続けている限り3年間は総合教養の勉強から解放されます。そして石川県は、一般選考の受験者には「翌年度の区分Aを志願する場合の免除資格」を結果通知書に記載してくれます(実施案内の「11 選考及び選考結果等」)。不合格だった場合も、通知書を確認してください。

講師の強みは3つあると私は考えています。「クオリティ」「信用」「フレッシュさ」。現場で課題意識を持って授業や生徒指導をやってきた実践(クオリティ)、実際に働いてきた積み重ね(信用)、そして現実を見ても初心を忘れていないこと(フレッシュさ)。この3つが面接で伝わる講師は強いです。
そして講師をしていて合格される方に共通しているのは、「経験の中身を深めた」「自分の教育観・軸を明確にした」「それを適切に言語化した」の3つです。講師をしていると、日々の業務に追われて自分の教育観を言葉にする機会が減ってしまいます。模擬授業のあとには「工夫した点は」「身につけさせたい力は」といった質問が想定されるので、この言語化ができているかどうかが大切になります。
「実績」は、賞や研究発表のような大それたものでなくて構いません。4月にはこうだった子が、こう関わったらこう変わった。その実体験で語れる実績を持っている人は強いです。新卒と講師で意識するポイントの違いは、1分のショートにまとめています。
区分B|正規教員経験者は、校種によって免除の幅が大きく違う
国公立学校の正規教員として3年以上の経験がある方のルートです。受験区分によって免除の範囲がまったく違うので、そこを間違えないでください。
| 受験区分 | 免除される試験 | 当日受ける試験 |
|---|---|---|
| 小学校教諭等 特別支援学校教諭等(小学部)(中学部・高等部) | 筆記試験および実技試験(該当教科) | 面接試験・適性検査のみ(8月1日または2日に実施) |
| 中学校教諭等及び高等学校教諭等 養護教諭・栄養教諭 | 筆記試験における総合教養 | 教科専門・実技(該当教科)・適性検査・面接試験 |
要件:一般選考の受験資格をすべて満たし、国公立学校の任用の期限を付さない正規教員(教諭等・養護教諭・栄養教諭)として、令和8年3月31日現在で3年以上(休職・育児休業の期間を除く)の勤務経験があり、かつ①現に正規教員である人、または②過去に正規教員であった人で、本県国公立学校の講師等として令和7年4月1日〜令和9年3月31日に11か月以上の勤務経験(見込みを含む)を有する人。3年以上ある正規教員勤務経験と同一の受験区分での受験に限ります。
小学校・特別支援を受験する場合は筆記と実技がまるごと免除され、8月1日または2日の1日だけで選考が完結します。区分Dを除けば、区分Eと並んで、石川県の特別選考の中で免除範囲が最も広いルートの一つです。ただし、配点表で点数が定められている試験は面接試験(模擬授業100点+個人面接100点)ですが、選考は適性検査結果や活動歴等の評価項目Ⅱも含めた総合的な判断です。

他自治体の正規教員から石川県を受け直す方へ。私の実感では、他自治体への再受験は決して簡単ではありません。管理職が見ているのは「今求められている授業をブラッシュアップし続けているか」と「謙虚で、一緒に働きたい人か」の2つ。この2つが伝われば「こんな人が他県から来てくれるなんて」と管理職が思ってくれる可能性があります。逆に、経験年数を武器のように語ると一気に印象が悪くなります。
区分E|大学推薦は「指定された大学」だけ。筆記が全部免除
免除の幅で言えば区分Bと並ぶ強力なルートですが、対象になる大学が実施案内で名指しされています。
| ①小学校教諭等の受験者 | 石川県教育委員会が指定する大学(金沢大学・金沢学院大学・金沢星稜大学・北陸学院大学・富山大学・上越教育大学・都留文科大学・岐阜聖徳学園大学)から推薦を受けた人 |
| ②中学校教諭等及び高等学校教諭等の「工業」受験者 | 石川県教育委員会が指定する県内大学(金沢大学・金沢工業大学)から推薦を受けた人 |
| 免除 | 一般選考の試験内容から筆記試験を免除 |
| 当日の試験 | 小学校教諭等は8月1日または2日に面接試験・適性検査(会場は小松市立芦城中学校)。中高「工業」の受験者は8月1日または2日に面接試験・適性検査(会場は石川県立小松高等学校)。 |
※出典:令和9年度採用 実施案内「3(2)特別選考 ○区分E」「6 受験区分別試験期日及び試験会場」
指定校に在学している方は、大学の教職センター・就職課に「石川県の推薦枠があるか」を早めに確認してください。推薦の選考は大学側が行うため、募集や学内締切のスケジュールは大学ごとに違います。県の出願受付(令和9年度採用では2026年5月1日〜5月29日)に間に合わせるには、年度が明けたらすぐ動く必要があります。
区分G・H・I|英語資格・工業の社会人・免許がない人のルート
ここからは対象が限られますが、該当すればインパクトの大きい3つの区分です。
| 区分 | 対象と要件 | 免除 |
|---|---|---|
| G 英語に係る資格 | 中学校教諭等及び高等学校教諭等、特別支援学校教諭等(中学部・高等部)の英語受験者のうち、令和6年4月1日以降に①実用英語技能検定1級 ②TOEFL iBT 100点以上 ③TOEIC L&R 900点以上のいずれかを取得した人 | 教科専門(英語は120点)を免除 |
| H 工業の社会人 | 中学校教諭等及び高等学校教諭等、特別支援学校教諭等(中学部・高等部)の工業受験者のうち、同一の研究施設・民間企業・官公庁で正規職員として令和8年3月31日現在3年以上(休職・育休を除く)の勤務経験がある人 | 総合教養を免除 |
| I 免許状を有しない受験者 | 中学校教諭等及び高等学校教諭等の受験者(一般選考の受験資格のうち欠格条項と年齢〈昭和42年4月2日以降に生まれた人〉を満たす人)のうち、①国語・社会・数学・理科・英語で、令和8年3月31日現在、志願教科に関連する博士号を有する人 ②英語で、英語を公用語とする国の大学・大学院を卒業(修了)し学士以上の学位を有し、教員に必要な日本語運用能力があり、令和8年3月31日現在、日本国内の中学校・高等学校等の勤務経験2年以上、または民間企業・研究機関等で英語を使用した実務経験3年以上のいずれかを満たす人(休職・育児休業期間を除く) ③技術で、学士・修士・博士の学位を有し、同一の研究施設・民間企業・官公庁の正規職員として、中学校技術科の分野に関係する業務(木材・金属加工、機械、電気、栽培、情報等)に日常的に従事した勤務経験が令和3年4月1日〜令和8年3月31日に3年以上ある人(休職・育児休業期間を除く) ④看護で、看護師免許証を有し、令和8年3月31日現在、看護師・保健師・助産師として3年以上の勤務経験(休職・育児休業等の期間を除く) ⑤福祉で、高卒以上+介護福祉士の資格を有し、令和8年3月31日現在、正規採用の介護福祉士として5年以上の勤務経験(休職・育児休業等の期間を除く) | 総合教養を免除(特別免許状の授与が前提) |
※出典:令和9年度採用 実施案内「3(2)特別選考 ○区分G・H・I」。
要件の詳細(実務経験の期間・対象となる勤務先など)は条文に細かい規定があるため、必ず原本を確認してください。
区分Iは、令和9年度採用から対象教科が大きく広がりました。実施案内の「主な変更点」に、これまで対象だった技術・看護・福祉に加えて国語・社会・数学・理科・英語の5教科を対象とすると明記されています。教員免許を持たないまま博士号を取得された方にとっては、大きな変化です。

社会人から教員を目指す方に、私がおすすめしている準備は2つです。「社会人経験を学校現場でどう生かしたいか」と「なぜ社会人をしていたのに教員を目指すのか」。この2つを面接でバシッと話せるようにしておくと、社会人から教採を受けるときにも合格しやすくなるポイントかなと思います。石川県は模擬授業も100点ありますから、「専門知識がある」だけでなく「子どもに届く形で教えられる」ところまで見せる必要があります。
区分F|障害のある受験者への配慮
①身体障害者手帳の交付を受け障害の程度が1級から6級の人 ②精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人 ③療育手帳の交付を受けている人が対象です。試験内容は原則として一般選考と同じですが、申請により障害の種類や程度に応じた配慮を行うとともに、必要に応じて実技試験等の一部または全部が免除されます。
大事な注記があります。「区分F以外の特別選考区分を受験する場合で区分Fに該当する人についても、障害の種類や程度に応じた配慮を行うとともに、必要に応じて実技試験等の一部または全部を免除します」。つまり「1区分しか選べない」ルールがあっても、配慮そのものは他の区分と両立します。手帳をお持ちの方は、どの区分で出願する場合でも申請を検討してください(自己申告書と資格を証明する書類の提出が必要)。
加点制度|すべて10点。総合点に上乗せされます
石川県の加点はすべて10点です。そして加点されるのは筆記の得点ではなく総合点(一般選考は加点前400点、区分Dは加点前200点など)に対して。配点表にも「加点対象者には、総合点に加点する」と明記されています。
| 対象となる受験区分 | 基準 | 加点 |
|---|---|---|
| 小学校教諭等 | ア 英語の中学校または高等学校の教育職員普通免許状を有する(令和9年3月31日までに取得見込みを含む)/イ 令和6年4月1日以降に①英検準1級以上 ②TOEFL iBT 80点以上 ③TOEIC L&R 730点以上のいずれかを取得(令和8年5月29日付までのもの) | 10点 |
| 中高教諭等 (英語・技術・家庭・福祉・情報を除く) | ア 中学校「技術」/イ 中学校または高等学校「家庭」/ウ 高等学校「福祉」/エ 高等学校「情報」のいずれかの免許状を有する(取得見込みを含む) | 10点 |
| 中高教諭等「英語」 | ア 小学校/イ 中学校「技術」/ウ 中学校または高等学校「家庭」/エ 高等学校「福祉」/オ 高等学校「情報」のいずれかの教育職員普通免許状を有する(令和9年3月31日までの取得見込みを含む)。ただし、受験教科の中学校免許のみの場合は、アの小学校とイ・ウの中学校の免許、高等学校免許のみの場合は、アの小学校とウ〜オの高等学校の免許が対象 | 10点 |
| 中高教諭等「技術」 | 技術以外の教科の中学校の免許状 | 10点 |
| 中高教諭等「家庭」 | 家庭以外の教科の中学校または高等学校の免許状 | 10点 |
| 中高教諭等「福祉」 | 福祉以外の教科の高等学校の免許状 | 10点 |
| 中高教諭等「情報」 | 情報以外の教科の高等学校の免許状 | 10点 |
| 中高教諭等「水産」 | 一級小型船舶操縦士の資格(令和8年5月29日付までのもの)を有する(取得見込は不可) | 10点 |
| 小学校教諭等・中高教諭等・ 特別支援学校教諭等 | 文部科学省が交付する司書教諭講習修了証書(令和8年5月29日付までのもの)を有する(取得見込は不可) | 10点 |
※出典:令和9年度採用 実施案内「5 加点制度【加点一覧】」。
併願の場合、「対象となる受験区分」は第1志望の受験区分を指します。当該免許状の取得見込者が令和9年3月31日までに免許を取得できなかった場合は、採用候補者であっても採用を取り消される場合があります。
実施案内には、免許の種類による細かい取り扱いも書かれています。たとえば中高教諭等(英語等を除く)の加点では、受験教科の中学校免許状のみを有する場合は「ア(中学校技術)」「イ(中学校または高等学校家庭)」の中学校免許状が加点対象、受験教科の高等学校免許状のみを有する場合は「イからエ」のいずれかの高等学校免許状が加点対象となります。自分の免許の組み合わせで対象になるかどうかは、原本で確認してください。

10点というと小さく見えますが、石川県の総合教養は50点満点です。つまり加点10点=総合教養で2割分の得点に相当します。しかも司書教諭講習修了証書は小学校・中高・特別支援のすべてが対象。持っているのに申請しないのは、10点を自分から捨てるのと同じです。
出願時に郵送が必要な書類|加点申請書と自己申告書
令和9年度採用の石川県の出願はインターネットによる電子申請(石川県電子申請システム。Grafferアカウントの登録が必要)ですが、加点対象者と一部の特別選考志願者は、それとは別に書類を郵送しなければなりません。ここは見落としが命取りになるところです。
| 該当する人 | 提出する書類 |
|---|---|
| 加点の対象者 | ①加点申請書 ②資格を証明する書類(当該免許状の写しまたは免許状取得見込証明書の原本、当該免許証の写し、主催団体発行の公式認定書または合格証明書等の写し、司書教諭講習修了証書の写し) |
| 特別選考区分B・H・Iの志願者 | ①自己申告書 |
| 特別選考区分F・Gの志願者、および区分F以外の特別選考区分志願者で区分Fと同様の配慮・免除を希望する人 | ①自己申告書 ②資格を証明する書類(公式認定書または合格証明書等の写し、身体障害者手帳〈氏名・障害程度等級・障害名の記載頁の写し〉、精神障害者保健福祉手帳の写しまたは療育手帳の写し) |
- 提出期間:令和8年5月1日(金)〜5月29日(金)消印有効(電子申請の受付期間と同じ)
- 提出先:〒920-8575 石川県金沢市鞍月1丁目1番地 石川県教育委員会事務局教職員課採用担当
- 封筒の表に『加点申請書在中』または『自己申告書在中』と朱書きすること
- 提出期間内に提出されなかった場合、加点申請は認められません(実施案内に明記)
- 提出書類の不備・記載もれがあった場合は、受け付けられないことがあります
- 資格を証明する書類の氏名が現在の氏名と異なる場合は、氏名変更の確認ができる書類(戸籍抄本等)を添付
加点申請書と自己申告書の様式は、石川県公立学校「教員募集」ホームページからダウンロードします。実施案内には様式の記入欄や字数の記載がないため、実際の様式を必ずダウンロードして確認してください。自己申告書の用途は実施案内に書かれていません。書いた内容は面接で深掘りされる場合がある前提で準備しましょう。
なお、特別選考区分F・Gの受験者、区分F以外の特別選考区分受験者で区分Fと同様の配慮・免除を希望する人、および小学校教諭等の受験者で加点基準の「イ」(英語資格)に該当する人は、面接試験の当日に受験資格等を証明する書類の原本を持参し、受付で確認を受けます。忘れないでください。
令和9年度採用の主な変更点
実施案内の冒頭に「主な変更点」がまとめられています。特別選考・受験資格に関わるものを抜き出しました。
- 特別選考区分Iの対象教科を拡大。特別免許状の授与を前提として、これまで対象だった技術・看護・福祉に加え、国語・社会・数学・理科・英語の5教科を対象に。
- 「特別支援学校教諭等」の受験対象者を拡大。特別支援学校の教育職員普通免許状を受験した年度内に取得できない人でも、採用後3年以内に特別支援学校免許を取得することを条件に受験可能に(併願の場合も同様)。ただし、基礎となる小学部の小学校免許、中学部・高等部の受験教科の中学校または高等学校免許は、一般選考では令和9年3月31日までの取得(取得見込みを含む)が必要です。大学3年生の区分Cは別に、特別支援学校免許も含め令和10年3月31日までの取得見込みが受験資格のため、区分Cの要件を確認してください。
- 実技試験を行う教科等を一部変更。小学校教諭等・特別支援学校教諭等(小学部)の理科実技を廃止/中高教諭等・特別支援学校教諭等(中学部・高等部)の理科・農業・工業・商業の実技を廃止/技術は実技試験会場を変更。
- 教科「水産」を令和5年度選考試験以来、4年ぶりに実施
特別支援学校の受験資格の拡大は、倍率の面でも見逃せません。令和9年度採用の特別支援学校教諭等は志願50人・採用見込45人程度=1.1倍。免許取得のタイミングで受験をあきらめていた方には、チャンスが広がったと私は考えています。
■ 石川県の倍率|令和9年度採用の志願状況と推移(校種別・教科別)
まとめ|免除は「入口」、免除のある区分では面接試験の比重が上がる
| 免除の広さ | 区分 | 面接試験(模擬授業+個人面接)の重み |
|---|---|---|
| 筆記がまるごと免除 | D(前年に区分Cで基準到達) | 総合点200点=すべて面接試験 |
| B(正規教員経験・小学校/特別支援) | 筆記・実技が免除。得点の対象は面接試験(模擬授業+個人面接)で、選考は総合的な判断。 | |
| E(大学推薦) | 筆記が免除。当日は面接試験・適性検査のみ。 | |
| 教科専門が免除 | G(英語資格) | 総合教養50点+面接200点+実技30点 |
| 総合教養(50点)が免除 | A(本県講師等) | 教科専門・実技で150点(実技のない区分は教科専門150点)+面接200点。面接の比重が相対的に上がる。 |
| B(正規教員経験・中高/養護/栄養) | ||
| H(工業の社会人) | ||
| I(免許状を有しない受験者) | ||
| 配慮・実技の免除 | F(障害のある受験者) | 原則、一般選考と同じ内容 |
こうして並べると、はっきりします。筆記等の免除がある区分では、面接試験の配点比率が上がります。ただし区分Cの大学3年次には面接試験がなく、区分Fも原則として一般選考と同じ内容です。免除で浮いた時間と労力を、そのまま模擬授業と個人面接の準備に回してください。
石川県の面接試験で実際に聞かれた質問、模擬授業で出された課題、そして「石川県が求める教師像」との結びつけ方は、面接記事にまとめています。
■ 石川県の個人面接・模擬授業|受験者の実録と5年間の出題傾向
よくある質問
Q. 複数の特別選考区分の要件を満たしている場合、両方使えますか?
A. 使えません。実施案内に「いずれか一つの区分についてのみ受験できます」と明記されています。ただし例外があり、区分F以外の特別選考区分を受験する場合で区分F(障害のある受験者)に該当する人については、障害の種類や程度に応じた配慮を行うとともに、必要に応じて実技試験等の一部または全部が免除されます。
Q. 大学3年生で基準に到達できなかったら、翌年は不利になりますか?
A. 受験の機会が制限されるわけではありません。実施案内には「大学3年次実施の教員採用候補者選考試験の筆記試験・実技試験・適性検査の成績等が基準に到達しなかった者は、大学4年次の教員採用候補者選考試験から、この特別選考区分C及びD以外で受験することができます」と明記されています。一般選考として普通に受け直せるということです。本番と同じ形式で筆記を経験できる分、翌年の準備に生かせると考えられます。
Q. 区分C(大学3年生)で加点の申請はできますか?
A. 3年次にはできません。実施案内の加点制度の注記に「特別選考区分Cの志願者は、大学4年次に加点申請することができます」とあります。併願の有無も大学4年次に選択します。3年生の間に、司書教諭講習の受講や英語資格の取得など、4年次に申請できる材料をそろえておくのがおすすめです。
Q. 区分A(本県講師等)の免除は、何年間有効ですか?
A. 実施案内の注記に「免除期間は、免除の資格を得た当該試験実施年度の翌年度から講師等として勤務を続ける3年間とします」とあります。ただし免除の資格を得た年度と同一の受験区分・教科(分野)での受験に限るという制限つきです。受験する校種や教科を変える予定がある方は、免除が使えなくなる可能性があるので注意してください。
Q. 非常勤講師でも区分Aの対象になりますか?
A. 「講師等」に含まれます。ただし、ほかの要件(令和8年4月1日から令和9年3月31日までに11か月以上の勤務を見込むこと、過去の選考で総合教養の基準に到達していること)も満たす必要があります。実施案内の注記に、区分Aにおける「講師等」とは任期付職員(育児休業代替講師・養護助教諭・栄養職員・実習助手・寄宿舎指導員)、臨時的任用講師等、及び非常勤講師等(養護助教諭・栄養職員・実習助手を含む)とすると明記されています。勤務月数は「該当月に1日でも勤務日数がある場合は1か月」と数えます。
Q. 加点は何点まで積み上げられますか?
A. 実施案内の【加点一覧】は「対象となる受験区分」ごとに基準が定められており、受験区分ごとの加点(10点)と、司書教諭講習修了証書による加点(10点)が掲載されています。複数申請の可否について実施案内に明示的な記載がないため、該当しそうな項目が複数ある方は、出願前に教職員課採用担当(076-225-1822)に確認することをおすすめします。
Q. 併願(第2志望)はできますか?
A. できます。実施案内の「4 併願について」によると、小学校教諭等と特別支援学校教諭等(小学部)は、両方の受験資格があれば第2志望として互いに併願可能。中学校教諭等及び高等学校教諭等と特別支援学校教諭等(中学部・高等部)も、同一教科(分野)であれば第2志望として互いに併願できます。第2志望の受験区分で採用されることもあります。なお、加点の「対象となる受験区分」は第1志望で判断されます。
Q. 大学院に進学する場合、採用を延期できますか?
A. できます。実施案内の「12 採用」によると、①令和8年度に大学院修士課程または教職大学院専門職学位課程の在学1年目である人は令和10年4月1日まで、②令和9年4月から大学院に進学予定の人は令和11年4月1日まで、名簿登載期間が延長されます。ただし出願時に「大学院修学による採用延期希望選択」で意思表示をしていることが必須で、出願後の申請は認められません。専修免許状の取得期限などの条件もあるため、該当する方は出願前に必ず原本を確認してください。
この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます
制度は実施案内で追えますが、「その区分で受けたら当日どうだったか」「模擬授業で何が出たか」は受験した方の報告でしか集まりません。石川県は、小学校・中学校・高校の報告は令和8年10月時点で多くない自治体です。受験された方は、ぜひ令和10年度採用の受験生のために教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。
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