【教員採用試験】石川県の個人面接・模擬授業|受験者5名の実録と5年間の出題傾向(一次・二次の区分がない一発選考)

こんにちは、金井志津乃です! 

石川県の教採って、二次試験の情報がなかなか出てこないんです……。そもそも一次と二次って、いつなんでしょうか?

それもそのはずで、石川県には「第一次試験」「第二次試験」という区分がありません。7月の筆記と8月の面接をまとめて1回で判定する一括選考なんです。だからこそ「面接試験で何が起きるか」を知っている人が強いですよ!

この記事では、石川県公立学校教員採用候補者選考試験の面接試験(模擬授業+個人面接)について、実際に受験した方々からご提供いただいた「生の質問」をもとに、内容・流れ・傾向と対策をまとめます。

この記事の根拠

  • 令和9年度採用(2026年夏実施)の受験者報告1件を追加収録
  • 令和6年度〜8年度採用(2023〜2025年夏実施)の受験者4名・約30問の実録を年度別・校種別に収録(すべて無料で読めます)。内訳は中学校社会1名・養護教諭3名です。
  • 過去5年分(令和4年度〜8年度採用・石川県分156問)の出題傾向を独自に集計・分析——全国平均と比べて「石川県で多い質問」がデータで分かります
  • 日程・形式・配点・評価項目は令和9年度採用の実施案内・配点表・選考基準(すべて教育委員会の公表PDF)と照合済み
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

まず押さえたい|石川県には「一次・二次」がありません

他県の受験生と話がかみ合わなくなるポイントなので、最初に確認しておきます。石川県の実施案内には、「第一次試験」「第二次試験」という言葉が一度も出てきません。7月の筆記試験・実技試験と、8月の面接試験をひとつの選考としてまとめて判定する一括選考です。

令和9年度採用(2026年夏実施)|選考の日程

出願(インターネットによる電子申請):令和8年5月1日(金)10時〜5月29日(金)23時
筆記試験(総合教養・教科専門)・適性検査:7月18日(土)/実技試験:7月18日(土)・19日(日)(教科により異なる)
面接試験(模擬授業・個人面接):8月1日(土)または8月2日(日)(受験者ごとの日・受付時間は受験票で連絡)
選考結果の発表:9月25日(金)午後3時(受験番号を県教委ホームページに掲載・県庁1階の掲示板に掲示。結果通知書は同日発送)

試験会場は小松市立芦城中学校・小松市立丸内中学校・石川県立小松高等学校(受験区分により異なる)。自動車での来場は禁止されています。
出典:石川県教育委員会「令和9年度石川県公立学校教員採用候補者選考試験 実施案内」。
※令和10年度採用の日程は、実施案内の公開後に更新します。

つまり、「一次に受かってから面接対策を始める」という発想が通用しません。筆記を受けた人は(特別選考区分Cを除き)2週間後には全員が面接試験に進みます。7月18日の筆記が終わってから8月1日の面接まで、準備期間はわずか2週間です。

配点表を見れば、対策の優先順位が決まります

石川県は配点表を公表しているので、「どこで点が動くか」がはっきり分かります。一般選考(実技のない受験区分)の内訳がこちらです。

試験科目配点換算式
筆記試験総合教養50点100×0.5
教科専門150点100×1.5
面接試験個人面接100点30×100/30
模擬授業100点30×100/30
総合点400点加点対象者は総合点に加点

※一般選考の小学校教諭等・特別支援学校教諭等(小学部)・養護教諭・栄養教諭、および中高・特別支援学校教諭等(中学部・高等部)の国語/社会/数学/理科/農業/工業/商業/水産/看護/福祉/情報の配点。英語は教科専門120点+実技30点、音楽・美術・保健体育・技術・家庭は教科専門100点+実技50点で、いずれも総合点400点。
出典:石川県教育委員会「令和9年度教員採用候補者選考試験 配点表」

見てください、一般選考では面接試験だけで200点=加点前の総合点の半分です。しかも模擬授業と個人面接が100点ずつの同格。「面接のおまけで模擬授業がある」のではなく、模擬授業は教科専門に次ぐ配点を持つ独立科目だと考えてください。

もうひとつ、選考基準(教育委員会公表)には点数にならない評価項目も書かれています。総合点(評価項目Ⅰ)に加えて、評価項目Ⅱとして「個人面接試験評価所見」「模擬授業試験評価所見」「適性検査結果」「スポーツ・文化活動歴等」「ボランティア等活動歴」「免許・特技・資格等」が選考の基本資料に載り、教育長が総合的に判断する——という手順です。

面接試験は「点数(評価項目Ⅰ)」と「所見(評価項目Ⅱ)」の二重で見られているということ。そして、ボランティア歴や資格が評価項目に明記されているからこそ、実際の面接でもボランティア経験や取得資格を問う質問が繰り返し出ています(後述)。

面接試験の形式|30秒でわかる基本情報

実施日8月1日(土)または8月2日(日)のいずれか1日。受付時間は6区分(7:50〜/9:15〜/11:30〜/12:55〜/14:20〜/15:35〜)に分かれ、受験票で個別に指定される。
内容実施案内に「面接試験=模擬授業及び個人面接」と明記。受付後に、模擬授業と個人面接を続けて実施。
配点個人面接100点+模擬授業100点=200点(一般選考では加点前の総合点400点の半分)
面接官3人という報告が中心(養護教諭の受験では3人のうち1人が養護教諭という報告あり)
時間要項に明記はありません。受験者報告と公刊過去問集の記載を合わせると模擬授業10分+個人面接10〜15分=合計25分前後が中心です。
順番模擬授業 → 個人面接の順。「個人面接の直前に模擬授業を行う」という報告があり、個人面接では模擬授業の振り返りが毎年のように聞かれています。
適性検査原則7月18日に実施。ただし特別選考区分Bのうち小学校教諭等・特別支援学校教諭等の受験者と区分E(大学推薦)の受験者は、8月の面接試験日に面接とあわせて実施。区分Bの中学校・高等学校・養護・栄養は7月18日に実施。区分D(大学4年生)の試験は面接のみで、適性検査は実施しません。
小論文独立科目ではなく、筆記試験の「総合教養」に小論文(記述)を含むと実施案内に記載(総合教養はマークシートで実施し、そこに記述が含まれる形式)
結果の開示不合格者には、受験区分・教科ごとに総合点の位置が上位・中位・下位(合格者を除き上位から3等分)で通知される

石川県対策の最重要ポイントは、「模擬授業をやった直後に、その模擬授業について面接官から質問される」ことです。過去5年の公刊過去問を集計すると、「模擬授業で工夫した点は」「反省点は」「身につけさせたい力は何か」といった模擬授業の振り返りが5年連続で出題されています。

報告された試験・質問の例内容対策の軸
模擬授業指定された題材で10分程度の授業(養護教諭は保健指導)を実演「子どもが見える/意図が見える/自分らしさが光る」の3要素
個人面接の内容例①(質問順は受験者によって異なる)模擬授業の振り返り(工夫した点・反省点・身につけさせたい力)実演直後に「自分の授業を言語化する」練習をセットで
個人面接の内容例②併願の確認、志望動機・経験・教育観・生徒指導の場面など併願・働き方改革も質問例を参考に準備

つまり石川県の準備は「模擬授業」「模擬授業の振り返り」「定番の個人面接」の3ブロック。当日の入室から退室までの流れは、こちらの実演動画が一番早いですよ!

石川県の倍率|令和9年度採用は志願862人・採用見込340人程度

石川県教育委員会が公表した令和9年度採用(2026年夏実施)の志願状況です。全体では志願者862人・採用見込数340人程度、志願倍率2.5倍。前年度(3.0倍)から0.5ポイント下がりました。

受験区分志願者採用見込数倍率前年度倍率
小学校教諭等271人120人程度2.3倍2.3倍
中・高等学校教諭等435人170人程度2.6倍3.6倍
特別支援学校教諭等50人45人程度1.1倍1.2倍
養護教諭94人5人程度18.8倍17.4倍
栄養教諭12人若干名——
計862人340人程度2.5倍3.0倍

※この表の倍率=志願者数÷採用見込数(石川県教育委員会の定義)。
出典:石川県教育委員会「令和9年度石川県公立学校教員採用候補者選考試験の志願状況について」

注目は中・高等学校教諭等の採用見込数が135人程度→170人程度と35人増えたことです。志願者は47人減っているので、倍率は3.6倍→2.6倍へ1.0ポイントの大幅低下。特別支援学校教諭等も45人程度(+10人)に増え、志願倍率は1.1倍とほぼ全員に近い水準です。一方で養護教諭は採用見込5人程度に対し志願94人=18.8倍と、県内でもっとも厳しい区分が続いています。

令和9年度採用の結果(2026年9月25日発表)

石川県は一次・二次の区分がないため、受験者数・採用候補者数・確定倍率は9月25日の選考結果発表と同時に公表されました。令和9年度採用は受験783人・採用候補者341人・最終倍率2.3倍(前年2.7倍)。小学校2.1倍・中高2.2倍・特別支援1.2倍・養護教諭17.6倍です。

5年間の推移、教科別の倍率、大学3年生を対象とした選考の実態は、専用記事にまとめています。

■ 石川県の倍率|令和9年度採用の志願状況と推移(校種別・教科別)
■ 石川県の特別選考と筆記免除ルート|大学3年生前倒し(区分C・D)・講師経験者・大学推薦・加点制度

① 併願の確認|掲載した養護教諭3名の報告にあります

石川県の面接で、報告や過去問によく見られるのが「併願していますか」という質問です。受験者報告では養護教諭3名全員(実録4名中3名)が聞かれており、しかも報告のひとつには「併願の有無や併願先、働き方改革の質問は、受験生全員に確認しているようです」という観察も添えられていました。公刊過去問でも、令和4年度採用から令和8年度採用まで5年連続で登場します。

  • 本県以外の受験はしていますか。/本県以外の受験の有無を教えてください。(受験者2名に出題)
  • 併願はしていますか。→ 良ければ、併願先の自治体を教えてください。
  • (公刊より)併願の有無を尋ねたうえで、両方に合格した場合の意向を問う質問。
  • (公刊より)県のみの志望かどうか、他に受験した自治体や特別支援学校との併願の希望があるかを尋ねる質問。
  • (公刊より)石川県を受験した理由や、石川の教育課題についての認識を問う質問。

ここで大事なのは、「併願している=不利」とは限らないということです。石川県は併願先の自治体名まで踏み込んで聞いていますが、それは辞退の見込みを把握するための確認という色合いが強い質問です。嘘をつく必要はありません。

私は受験生に、併願は「余裕があるならおすすめ」とお伝えしています。他の自治体でも面接練習ができますし、同じ倍率でも採用枠が大きいほうが受かりやすい傾向もあるからです。ただし「絶対にここしか行かない」という自治体がある人や、併願するキャパの余裕がない人は、1つに専念するのもあり。石川県で聞かれたときは、その考えをそのまま正直に伝えれば大丈夫ですよ。

そのうえで、「両方受かったらどうしますか」まで聞かれる前提で答えを用意しておいてください。ここで詰まると、志望度そのものを疑われることもあります。「石川県が第一志望です。理由は〜」と、石川県でなければならない理由を一言添えられるようにしておきましょう。

② 模擬授業の振り返り|確認した5年分すべてに掲載された質問

ここが石川県の最大の特徴です。模擬授業を実演した直後、そのまま同じ面接官から「今の授業について」質問されます。公刊過去問の集計では、令和4年度〜8年度採用の5年すべてで「模擬授業の振り返り」が出題されており、年によっては複数の受験者が同じ形で聞かれています。

  • 模擬授業で工夫した点はどこですか。(5年連続・最頻出)
  • 模擬授業の反省点・改善点を教えてください。/うまくいったこと、うまくいかなかったことは何ですか。
  • 模擬授業で子どもに身につけさせたい力は何ですか。
  • 模擬授業(個人面接の直前に行う)でどんな点を意識しましたか。
  • 模擬授業はどうでしたか。自分で点数をつけたら何点ですか。
  • (実録・養護教諭)先ほどの保健指導を通して、子どもたちにどんなことを伝えたいですか。

「自分で点数をつけたら何点ですか」——これ、答えにくいですよね。でも意図はシンプルで、自分の授業を客観的に振り返れる人かどうかを見ています。実演で終わりではなく、「振り返りまでが模擬授業」。練習のときから、実演のあとに「工夫した点/足りなかった点/身につけさせたかった力」を30秒で言う癖をつけてください。

そして、その振り返りが説得力を持つかどうかは、模擬授業をつくるときに「意図」を込めていたかで決まります。私が合格する模擬授業に必要だと考えている3つの要素を、実演つきで解説した動画がこちらです。

③ 模擬授業|100点満点の独立科目。実際の課題4件

実施案内には「面接試験=模擬授業及び個人面接」としか書かれておらず、テーマの出し方や時間は公表されていません。ここでは受験者からご報告いただいた実際の課題を、年度別に掲載します。

採用年度校種・教科実際に出された課題
令和6年度
(2023夏)
中学校・社会「日露戦争」の授業を行いなさい(導入まで)
令和7年度
(2024夏)
養護教諭対象:中学生。「異性との適切な距離」について、20分の保健指導の最初の10分の授業を行いなさい。
令和8年度
(2025夏)
養護教諭テーマ「災害時や事件、事故発生時における身体と心の影響とその対処法について」(対象:小学校高学年)の授業を行いなさい
令和8年度
(2025夏)
養護教諭「感染症は、病原体が主な要因となって発生すること。また、感染症の多くは発生源をなくすこと、感染経路を遮断すること、主体の抵抗力を高めることによって予防できること。」について触れながら、20分間の保健指導を行いなさい(対象学年:中学生)。実演は10分間。

この4件から読み取れる石川県の模擬授業の特徴は、次の3つです。

  1. 養護教諭では「20分の保健指導の最初の10分」を実施した報告があります。別の報告は「20分間の保健指導」を計画して10分間実施したもので、最初の10分という指定までは記載されていません。中学校社会には「日露戦争・導入まで」の報告もあります。実演する範囲は、当日の指示に合わせて確認してください。
  2. 対象学年が明示される。「中学生」「小学校高学年」と指定されるので、その学年の子どもに合わせた言葉・発問になっているかが見られると考えられます。指定された学年を無視した授業は、減点につながる可能性があります。
  3. 養護教諭は「模擬授業」ではなく「保健指導」。令和8年度採用の課題は、学習指導要領の保健分野の内容がほぼそのまま課題文になっていました。養護教諭の受験者は、保健の教科書レベルの内容を10分の指導に落とし込む練習をしておくことをおすすめします。

設計の考え方は、「落ちる模擬授業」と「受かる模擬授業」を実演で見比べるのが一番わかりやすいです。導入で子どもの当事者意識をどう引き出すかは、10分程度で行う石川県の模擬授業でも大切になります。

私が模擬授業で見ているのは3つ。①子どもが見える(目の前に子どもがいないのに、リアルな反応や疑問を想定できている)②意図が見える(その発問・その立ち位置・そのタイミングに理由がある)③その人らしさが光る(この授業を通して何を学んでほしいのか、思いが出ている)。石川県は実演のあとにその意図を口で説明させるので、②を持たない授業はそこで見抜かれます。

評価の観点そのものは公表されていませんが、模擬授業は評価項目Ⅰ(100点)と評価項目Ⅱ(模擬授業試験評価所見)の両方に登場します。点数だけでなく「所見」として文章で残るので、基本的な立ち居振る舞いはクリアしている前提で、子どもが見える・意図が見える・その人らしさが光る授業になっているかを意識してくださいね。

④ 子どもとの信頼関係・いじめ・不登校|全国平均の3倍出る

過去5年の公刊過去問を全国平均と比べると、石川県はいじめ(全国の約3倍)・不登校(約3.5倍)・学級経営(約2倍)の出題率が明確に高い県です。実録でも、受験者から次のような質問が報告されています。

  • 子どもとの信頼関係を築く上で大切にしていることは何ですか。(受験者1名に出題)
  • 子供に接するにあたり、どんなことを大切にしていますか。
  • いじめを受けている児童から相談を受けた時の対応について教えてください。
  • (公刊より)学級でいじめが起きた場合や、保護者からいじめ・不登校の連絡があった場合の対応を問う質問。
  • (公刊より)学級に不登校の児童生徒がいた場合や、不登校・登校しぶりのある子への対応を問う質問。
  • (公刊より)学級経営で大切にしていることや、子どもたちが楽しく登校できるように行っている工夫を問う質問。
  • (公刊より)反発してくる生徒への対応や、授業についていけない子への心がけを問う質問。

逆に、石川県でほとんど出ていないテーマもデータではっきりしています。体罰・服務・不祥事(全国は面接1,000問あたり22問/石川は0問)、SNS(全国8/石川0)、安全・危機管理(全国6/石川0)。もちろん「出ない」と断定はできませんが、限られた準備時間の配分としては、服務事例の暗記より、いじめ・不登校・信頼関係づくりの引き出しを厚くするほうが石川県では効率的です。

いじめ・不登校への対応を語るときの土台になるのが『生徒指導提要(改訂版)』です。「発達支持的生徒指導」「課題未然防止教育」といった考え方を自分の言葉にできると、回答に芯が通ります。

■ 生徒指導提要(改訂版)|文部科学省

⑤ 働き方改革・同僚との関係|令和8年度採用の実録で目立ちます

令和8年度採用(2025年夏実施)の受験者2名がそろって「働き方改革」について聞かれています。しかも報告には「受験生全員に確認しているようです」との観察がありました。公刊5年分の集計では「働き方・同僚」の出題率は全国平均より低め(全国13/石川6)なのですが、令和8年度採用の実録では2名に聞かれています。新しい定番になりつつあると見てよさそうです。

  • 働き方改革は必要だと思いますか。→ 働き方改革について、あなたが行っていることはありますか。
  • 働き方改革について、あなたの考えを教えてください。(別の受験者・令和8年度採用で2名)
  • 他の教員と信頼関係を築く上で大切にしていることはありますか。
  • 職場で気の合わない人と、どのように接していますか。
  • (公刊より)上司や他の教員との関係づくりで気をつけていること、意見が異なる場合や一人で対処できない場合の対応を問う質問。

「働き方改革は必要だと思いますか」に対して、「必要ですが、子どものために必要な仕事は削れません」という優等生的な両論併記で止まると、次の「では、あなたは何をしていますか」で詰まります。自分がすでにやっている工夫を1つ、具体的に言えるようにしておいてください。

⑥ 経験・自己PR・ボランティア|評価項目に明記されています

石川県の選考基準には、評価項目Ⅱとして「スポーツ・文化活動歴等」「ボランティア等活動歴」「免許・特技・資格等」が明記されています。だからでしょう、面接でもこの3つを直接たずねる質問が繰り返し出ています。

  • ボランティア経験はありますか。/ボランティア経験の有無を教えてください(学生時代と社会人になってから)。(受験者2名に出題)
  • 学生の時の活動状況で特記すべきことは何ですか。/学生の経歴の中で頑張ったことを教えてください。
  • 取得した資格について教えてください。どうして取得しようと思ったのですか。→ もう1つの資格の取得も、同じような理由ですか。
  • 困難をどのように乗り越えてきましたか。
  • (講師等の勤務経験がある方に)勤務の中で大変だったことを教えてください。
  • 模擬試験をやってみての感想を教えてください。
  • (公刊より)自己PRと、長所およびそれを学校現場でどう生かすかを問う質問。
  • (公刊より)学生時代にボランティア活動に取り組んだか、そこから何を学んだかを問う質問。

ポイントは、「やった」で終わらせないこと。石川県はボランティアも資格も、「なぜ」「そこから何を学んだか」まで踏み込んできます。エントリーする前に、活動歴・資格それぞれについて「きっかけ→やったこと→学んだこと→教員としてどう生かすか」の4段を用意しておいてください。

⑦ 養護教諭の面接|専門性を正面から問われます

石川県の養護教諭は採用見込5人程度に志願94人=18.8倍という最難関区分です。届いている養護教諭の実録3名分から、その質問をまとめて紹介します(面接官3人のうち1人は養護教諭という報告があります)。

  • 養護教諭の魅力とは何ですか。(受験者2名に出題)
  • 養護教諭と看護師の違いについて教えてください。
  • 信頼される養護教諭とはどのような養護教諭ですか。
  • あなたが行った応急手当について保護者からクレームの電話があった時、あなたはどのように対応しますか。
  • 保健指導をする時に、どんなことを大切にしたいですか。
  • 先ほどの保健指導を通して、子どもたちにどんなことを伝えたいですか。
  • 本県の教員は子どもに対して優しいと思いますか。→ なぜ本県の教員は子どもに対して優しいと思うのですか。

「養護教諭と看護師の違い」「信頼される養護教諭とは」は、養護教諭を目指す理由そのものを問う質問です。応急手当や健康管理といった業務の話で終わらせず、「教育職として子どもの成長にどう関わるのか」まで語れると強い。そして石川県では保健指導(模擬授業)と個人面接がつながっているので、「先ほどの保健指導で伝えたかったこと」と「養護教諭としての信念」が一本の線になっていると、印象がまったく変わります。

【2026年夏実施】令和9年度採用の報告|実際に出た質問

令和9年度採用(2026年夏実施)の試験で実際に出た質問です。令和9年度採用の受験者から届いた報告を、追質問(→)までそのまま収録しています。

高等学校|個人面接(模擬授業10分の後にそのまま面接・面接官3人)

  • 高校1年で学ぶ「物理基礎」と、2年以降で学ぶ「物理」の違いについて、どう考えますか。
  • 教師不足について、どう考えますか。
  • いじめが発覚したら、どうしますか。
  • 最近の子どもについて思うことを教えてください。
  • 石川県を志望した理由は何ですか。
  • 模擬授業で工夫したポイントはどこですか。
  • 授業はできますか、大丈夫ですか。(記憶が曖昧な部分を含む受験者報告の要旨)
  • 他の自治体を受けていますか。

高等学校|模擬授業(準備25分・授業10分・指導案の作成あり〔別枠で時間が設けられた〕)

  • 物理基礎の教科書「電流」の冒頭部分(コピーが配布される)を使って、授業を行いなさい。

出典:私の受験報告フォーム(2026年10月15日時点・この自治体の報告1件)。
校種までの表記とし、個人が特定されうる記述は除いています。

【資料編】年度別・受験者別 過去問アーカイブ|実録4名分を収録

ここからは、受験者の報告を年度別・受験者別に整理して収録します。個人が特定される経歴・保有資格に関する部分は省略・一般化しています。

令和6年度採用(2023年夏実施)|1名の実録

中学校・社会

  • 【模擬授業】「日露戦争」の授業を行いなさい(導入まで)。
  • 【個人面接】(講師等の勤務経験がある方に)勤務の中で大変だったことを教えてください。

令和7年度採用(2024年夏実施)|1名の実録

養護教諭

  • 【模擬授業】中学生を対象に、「異性との適切な距離」について、20分の保健指導の最初の10分の授業を行いなさい。
  • 【個人面接】本県以外の受験はしていますか。
  • 学生の時の活動状況で特記すべきことは何ですか。/ボランティア経験はありますか。
  • 信頼される養護教諭とはどのような養護教諭ですか。
  • 他の教員と信頼関係を築く上で大切にしていることはありますか。
  • あなたが行った応急手当について保護者からクレームの電話があった時、あなたはどのように対応しますか。
  • 子どもとの信頼関係を築く上で大切にしていることは何ですか。
  • 本県の教員は子どもに対して優しいと思いますか。→ なぜ本県の教員は子どもに対して優しいと思うのですか。
  • 【筆記免除の報告】特別選考区分A(本県講師等)に該当する場合、前年度の筆記試験で総合教養(当時の一般教養・教職教養)の成績が基準に到達していれば、翌年度からの筆記試験は教科専門のみになるという報告。ただし基準点を満たしていても総合教養を受験することは可能だった、とも報告されています(令和9年度採用の実施案内にも、特別選考の受験資格があっても一般選考を志願できると記載されています)。

令和8年度採用(2025年夏実施)|2名の実録

養護教諭(受験者A)

  • 【模擬授業】テーマ「災害時や事件、事故発生時における身体と心の影響とその対処法について」(対象:小学校高学年)の授業を行いなさい。
  • 【個人面接】本県以外の受験の有無を教えてください。/ボランティア経験の有無を教えてください(学生と社会人になってから)。
  • 学生の経歴の中で頑張ったことを教えてください。/模擬試験をやってみての感想を教えてください。
  • 養護教諭の魅力とは何ですか。/養護教諭と看護師の違いについて教えてください。
  • 子供に接するにあたり、どんなことを大切にしていますか。/困難をどのように乗り越えてきましたか。
  • いじめを受けている児童から相談を受けた時の対応について教えてください。
  • 職場で気の合わない人と、どのように接していますか。
  • 働き方改革は必要だと思いますか。→ 働き方改革について行っていることはありますか。

養護教諭(受験者B)|模擬授業10分+個人面接10分・面接官3名(うち1名養護教諭)

  • 【模擬授業・10分間実施】「感染症は、病原体が主な要因となって発生すること。また、感染症の多くは発生源をなくすこと、感染経路を遮断すること、主体の抵抗力を高めることによって予防できること。」について触れながら、20分間の保健指導を行いなさい。(対象学年:中学生)
  • 【個人面接】★併願はしていますか。→ ★良ければ、併願先の自治体を教えてください。
  • ★働き方改革について、あなたの考えを教えてください。
    (※★の3問は、受験生全員に確認している様子だったとのご報告です)
  • 先ほどの保健指導を通して、子どもたちにどんなことを伝えたいですか。
  • 養護教諭の魅力は何だと思いますか。→(学外での指導経験に触れて答えたところ)中学生に対して性に関する指導をしたのですか。
  • 保健指導をする時に、どんなことを大切にしたいですか。
  • 取得した資格について教えてください。どうして取得しようと思ったのですか。→ もう1つの資格の取得も、同じような理由ですか。

石川県の実録は令和8年10月時点で5名分です。小学校・特別支援学校の報告は令和8年10月時点で届いていません。中学校は社会の報告を掲載しています。受験された方の報告が、このページをさらに育てます。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。

傾向と対策|5年分の出題データと実録から見えた7つの法則

私たちは市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用・石川県分156問)を独自に集計し、受験者4名の実録と突き合わせました。そこから見えた石川県の法則がこちらです。

  1. 「併願していますか」はよく聞かれる。実録では養護教諭3名全員(4名中3名)、公刊では5年連続で出題。併願先の自治体名と「両方受かったら」まで用意しておく。
  2. 模擬授業の振り返りは、確認した5年分すべてに掲載されています。「工夫した点」「反省点」「身につけさせたい力」「自分で点数をつけたら何点か」。実演で終わりではなく、振り返りまでが模擬授業。
  3. 授業づくりの質問が全国平均の約1.5倍。面接1,000問あたり128問(全国87問)で全テーマ中トップ。模擬授業が100点の独立科目である以上、関係していると考えられます。
  4. いじめ・不登校が全国平均の3倍以上。いじめ51(全国16)、不登校38(全国11)。「相談を受けた最初の30秒で何をするか」まで具体的に。
  5. 服務・不祥事の質問は5年間ゼロ。全国平均は22なのに石川県は0。SNS・安全危機管理も0。限られた時間は、いじめ・不登校・信頼関係づくりに寄せるほうが効率的です(出ないと断定はできません)。
  6. 働き方改革は令和8年度採用で急浮上。令和8年度採用の受験者2名がそろって質問され、うち1名は「全員に聞いている様子」と報告。「自分がやっている工夫」を1つ持っておく。
  7. 追質問チェーン率は7.1%と全国平均(約10.5%)よりやや低い。1問ずつ深く掘るというより、10〜15分で幅広く聞かれる傾向があります。1問30〜60秒でテンポよく答え切る練習を。

短い時間で幅広く聞かれる石川県では、「面接ノート」の作り方が結果を左右します。1問ずつ原稿を丸暗記するのではなく、自分の軸から複数の質問に答えられる形で整理してください。

石川県が求める教師像(実施案内より)

石川県は「第4期 石川の教育振興基本計画」を策定し、“未来を拓く心豊かな人づくり”を基本理念として、次の4つの人間の育成を目指しています。

  • ふるさとに誇りを持ち、広い視野に立って社会に貢献する人間
  • 生涯学び続ける意欲に満ち、確かな学力を身に付け、個性や創造性に富む人間
  • 責任とモラルを重んじ、人を思いやる心豊かな人間
  • 健康や体力の増進に努める、活力ある人間

その実現のために、石川県が求めているのは次のような教師です。

  • 児童生徒に対する教育的愛情を有する人
  • 責任感と使命感を有する人
  • 豊かな教養と専門的知識を有する人
  • 広く豊かな体験を持ち、指導力・実践力を有する人
  • 向上心を持ち、明るさ、積極性に富む人

選考基準にも「『石川県が求める教師像』にある、教師としての資質をバランスよく備えている者を採用するため、必ずしも知識の量のみにとらわれず、教育者としての使命感、豊かな体験に裏打ちされた指導力などの人物評価を重視し、総合的な視点に立って判定を行う」と明記されています。公刊過去問にも「石川県が求める教師像に『豊かな教養と専門的知識を有する人』とあるが、そのような教員になるためにどうすべきか」という質問が実際に登場しました。5つの教師像は必ず読み込んでおいてください。

「豊かな体験に裏打ちされた指導力」という言葉が、評価項目Ⅱの「スポーツ・文化活動歴」「ボランティア等活動歴」「免許・特技・資格等」と、面接でのボランティア・資格の質問に、まっすぐつながっています。自分の体験を、指導力にどう変換したのか——これが石川県の面接の背骨です。

面接対策の全体像は、こちらの完全解説動画で体系的にまとめています。個別の質問対策に入る前に、一度この動画で土台を固めるのがおすすめです。

よくある質問

Q. 石川県の一次試験・二次試験はいつですか?

A. 石川県には「第一次試験」「第二次試験」という区分がありません。実施案内にもその言葉は一度も出てきません。令和9年度採用の一般選考では、筆記試験・適性検査が7月18日(土)、実技試験が7月18日・19日、面接試験(模擬授業・個人面接)が8月1日(土)または2日(日)で、これらをまとめて1つの選考として判定します。「一次に受かってから面接準備」ではなく、出願の時点から面接を見据えて動いてください。

Q. 模擬授業は必ずありますか?

A. はい。実施案内の「試験の内容等」に「面接試験=模擬授業及び個人面接」と明記されており、配点表でも模擬授業は100点満点の独立科目です。特別選考区分C(大学3年生)の大学3年次だけは筆記・実技・適性検査のみで面接試験がありませんが、成績等が基準に到達し、翌年度に同じ受験区分・受験教科(分野)で申し込む場合は、区分Dで模擬授業と個人面接だけを受けることになります。

Q. 小論文はありますか?

A. 独立した「小論文」という試験科目はありません。実施案内の「試験の内容等」には、筆記試験の「総合教養」について「マークシートで実施」「小論文(記述)を含む」と書かれています。つまり総合教養の中に記述問題が組み込まれている形式です。総合教養の配点は50点(100点満点を0.5倍換算)。出題テーマは公表されておらず、受験者からの報告も令和8年10月時点で届いていないため、この記事では扱っていません。実際に受験された方は、ぜひ報告フォームから教えてください。

Q. 集団討論や場面指導はありますか?

A. 実施案内の面接試験は「模擬授業及び個人面接」のみで、集団討論・集団面接・場面指導の記載はありません。受験者報告と過去5年の公刊過去問にも、石川県の集団討論・場面指導は登場していません。ただし個人面接では「いじめを受けている児童から相談を受けた時の対応」「どうしても反発してくる生徒への対応」のように、場面を設定して口頭で答えさせる質問は出ています。実演ではなく「言葉で説明する」形での準備をしておきましょう。

Q. 面接試験は何分ですか?

A. 実施案内に時間の明記はありません。受験者報告では「模擬授業10分間実施」「個人面接10分」、公刊過去問集の記載では「面接官3人・25分(模擬授業10分を含む)」「面接官3人・15分」「面接官3人・10分」といった形で、模擬授業10分+個人面接10〜15分=合計25分前後が中心です。受付時間は6区分に分かれており、自分の日時は受験票で通知されます。

Q. 併願していると不利になりますか?

A. 併願そのもので不利になるという情報はありません。石川県では併願の有無と併願先を確認されたという報告があります。これは辞退見込みの把握という性格の質問と考えられます。むしろ気をつけたいのは、「両方受かったらどうしますか」で言葉に詰まること。石川県を志望する理由を自分の言葉で言えるようにしておけば、正直に答えて問題ありません。

Q. 不合格だった場合、成績は分かりますか?

A. 分かります。実施案内には、採用候補者とならなかった人に対して、受験区分(特別支援学校教諭等は小学部/中学部・高等部別に)・教科ごとに、配点表に基づく筆記試験・実技試験・面接試験の合計総合点を「上位・中位・下位」(採用候補者を除き上位から3等分したもの)として結果通知書に記入して知らせる、と明記されています。また一般選考の受験者には、翌年度の特別選考区分A(本県講師等)を志願する場合の免除資格も通知書に記載されます。

Q. 石川県に政令市はありますか?

A. ありません。ただし、金沢市立工業高等学校の教員採用は金沢市教育委員会が独自に実施しています。この記事の数字と情報は石川県教育委員会が実施する選考を対象にしており、県内すべての公立学校の採用を網羅しているわけではありません。

面接の手応えが気になる方へ

石川県は8月上旬に面接を終えてから、結果発表が9月25日。約2か月という長い待ち時間があります。「あの答えでよかったのか」と面接を何度も再生してしまう時期ですよね。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由はこちらの記事にまとめています。

■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由

模擬授業の考え方は、全国共通の対策記事もあわせてどうぞ。

■ 模擬授業の対策|評価される授業のつくり方

この記事では、受験者の皆さんからの情報提供と、公刊過去問の情報をそれぞれ参照しています。ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございます。応援しています!

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