こんにちは、金井志津乃です!

福岡市で講師をしています。特別選考っていろいろあるみたいなんですが、自分がどれに当てはまるのか分からなくて……。

福岡市は講師の方にとって手厚い制度がそろっている自治体です。まず2月に出願する「教職経験特別選考」——筆記なし、個人面接と勤務成績だけ、しかも採用予定は86名程度(令和8年1月末時点の見込み)。ここで決まれば5月下旬にはもう合格です。そこに乗れなくても、一般選考の中に、講師や正規教員の方が使える第1次試験が全部免除になる区分が5つあります。まずは自分がどの入口に立っているかを、この記事で確かめてください。
この記事では、福岡市立学校教員採用候補者選考試験の選考区分・特別選考・第1次試験の免除・加点制度を、令和9年度採用(2026年夏実施)の実施要項3本から整理します。
この記事の根拠
- 令和9年度福岡市立学校教員採用候補者選考試験の実施要項3本(一般選考試験/教職経験特別選考/大学連携特別選考)
- 福岡市教育委員会が公表した令和8年度採用の選考基準(第1次試験の選考手順・配点・不可とする基準)
- 同「令和9年度〜の志願状況について」(採用予定者数)、「令和8年度〜(教職経験特別選考)合格者」
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
早見表|福岡市には「3つの試験」があります
まず全体像から。福岡市は1年の中で3つの試験を別々の日程で走らせています。ここを知らずに「教採=夏」と思っていると、春の入口を丸ごと逃します。
| 試験 | 対象 | 出願 | 試験 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 教職経験特別選考 | 福岡市立学校の講師等経験者 | 2月9日〜3月2日 | 面接試験 4月25日〜5月3日 | 5月下旬 |
| 大学連携特別選考 | 協定締結大学の学生 | 3月11日〜4月7日 | 書類選考+特別面接 (区分A・C 5月/区分B・D 7月) | 5月下旬〜 |
| 一般選考試験 (選考区分Ⅰ〜Ⅶ) | 全員 | 電子申請:4月1日〜4月30日17時/郵送:4月1日〜4月27日消印有効 | 1次 7月12日(SPI3は受験票受領日〜7月12日から選択) 2次 8月17日〜25日のうち1日または2日間(予定) | 10月上旬 |
※出典:令和9年度(一般選考試験)/(教職経験特別選考)/(大学連携特別選考)実施要項
一般選考試験の中にある7つの選考区分
そして一般選考試験の中に、さらに7つの選考区分があります。区分によって第1次試験で何を受けるかが大きく違うので、この表がこの記事の心臓部です。
| 選考区分 | 第1次試験で受けるもの | 第2次試験 |
|---|---|---|
| Ⅰ 一般 | 教養試験+専門試験 | 模擬授業・面接試験・実技(高校のみ) |
| Ⅱ-A 現職正規教員 | 全部免除 | 同上 |
| Ⅱ-B 本市正規教員経験者 | 全部免除 | 同上 |
| Ⅱ-C 元正規教員 | 全部免除 | 同上 |
| Ⅱ-D 2年本市講師経験者 | 全部免除 | 同上 |
| Ⅱ-E 前年度1次合格の現役本市講師 | 全部免除 | 同上 |
| Ⅱ-F 前年度1次受験の現役本市講師 | 専門試験のみ(教養免除) | 同上 |
| Ⅱ-G 本市講師経験者 | 専門試験のみ(教養免除) | 同上 |
| Ⅱ-H 常勤講師等経験者 | 専門試験のみ(教養免除) | 同上 |
| Ⅲ 教職大学院修了者 | 論文試験のみ(令和8年度採用の配点は100点) | 同上 |
| Ⅳ 社会人等 | SPI3(基礎能力検査)のみ ※令和9年度採用から | 同上 |
| Ⅴ スポーツ・芸術 | 書類選考+論文試験 | 模擬授業・面接試験(実技なし) |
| Ⅵ 障がい者 | 教養試験+専門試験(一般とは別に選考) | 模擬授業・面接試験・実技(高校のみ) |
| Ⅶ 大学推薦 | 全部免除 | 模擬授業・面接試験(高等学校教諭以外が対象) |
※出典:令和9年度実施要項「2 選考区分・採用区分及び試験の概要」

この表を見て、真っ先に気づいてほしいのは、一般選考試験の選考区分Ⅰ〜Ⅶでは「模擬授業と面接は全員同じ」だということ。この表のどの区分から入っても、最後は模擬授業60点+面接試験90点(令和8年度採用の配点)で勝負します(高等学校教諭は実技試験もあります)。一次免除の区分は「二次のスタートラインに早く立つための制度」であって、二次が甘くなるわけではありません(教職経験特別選考は、模擬授業のない面接試験と勤務成績による別の選考です)。ルート探しと同じくらい、二次の準備に時間を使ってくださいね。
■ 福岡市の二次試験|模擬授業と個人面接の内容・配点・出題傾向
主流ルート①|教職経験特別選考(採用予定86名程度)
福岡市の特別選考のうち、採用予定者数が要項に示されているのがこれです。要項には「福岡市立学校における講師等としての優秀な勤務実績があり、即戦力として活躍できる人材を採用することを目的として実施します」と書かれています。
| 受験資格 | 令和7年4月1日〜令和8年3月31日に福岡市立学校で、①常勤講師または週の勤務時間が16時間以上の非常勤講師(養護助教諭を含む)として勤務し、 ②同一校における通算6月以上の勤務があること(職種・校種・学部・教科は問わない)。加えて福岡市立学校教員を第一志望とすること。 |
| 試験 | ①講師等としての勤務成績(令和7年度の勤務期間の勤務成績を選考資料とする) ②面接試験(福岡市立学校教員としての資質・適性等に関する個人面接) 筆記試験・模擬授業はありません |
| 採用予定者数 | 小学校教諭20名程度/中学校教諭(国語5・社会5・数学5・理科5・音楽3・美術3・保体3・技術3・家庭3・英語5名程度)/特別支援学校教諭 小学部3名程度・中学部20名程度(要項の印字どおり)/養護教諭3名程度 =合計86名程度(当ブログ合算) |
| 日程 | 出願2月9日(月)〜3月2日(月)午後5時(電子申請)/自己PRシートを同期間に郵送/面接4月25日(土)〜5月3日(日)のいずれか1日(予定)/結果5月下旬 |
| 持参物 | 受験票(原本+写し。自己PRシートと同一の写真を貼付)、筆記用具、上靴、下靴入れ袋 |
| 一般選考との併願 | できます。ただし同一の採用区分(教科含む)で併願していて本特別選考に合格した場合は、一般選考試験の出願を取り下げたものとして扱われます。 |
※出典:令和9年度福岡市立学校教員採用候補者選考試験(教職経験特別選考)実施要項。
表の日程・採用予定者数は令和9年度採用のものです。採用予定者数は令和8年1月末時点の見込みで、変動する場合があります。令和10年度採用の日程・条件は、必ず当該年度の実施要項で確認してください。
実際にどれくらいの方が通っているのか。福岡市は合格者数を数字では公表せず、受験番号の一覧だけを掲載しています。令和8年度採用の合格者一覧(令和7年5月23日発表)を当ブログで数えると58人でした(令和9年度採用分は令和8年5月下旬に発表済みですが、本記事では集計していません)(志願者数は非公表のため、合格率は出せません)。春のうちに58人が決まっている——この規模感は、頭に入れておく価値があります。
「同一校で6月以上」の数え方に落とし穴があります
要項が1ページ丸ごと使って説明しているのが、この期間の数え方です。ここを勘違いすると出願できません。
- 1日でも勤務した月は1月として算定する
- 同一の特別支援学校の小学部・中学部・高等部での勤務は、同一校とみなして通算できる
- 休暇(年次有給休暇を含む)・休職等により実際に勤務していない期間は含めない。要項の例では、任用期間が4月11日〜9月30日でも、8月に1日も実際の勤務がなければ8月は計上できず、勤務期間は5月となって受験資格を満たさない、とされています。
- ただし時間年休等で1日のうち一部でも勤務した時間がある日は、勤務実績があるものとみなす

「同一校で」というのが本当に大事です。年度の途中で学校が変わっていると、合算できません。令和9年度採用の教職経験特別選考の対象は令和7年度の勤務でした。令和10年度採用を考える方は、対象となる年度の勤務を手帳やカレンダーで確認してみてください。出願は令和9年度採用では2月9日からでした(令和10年度採用の日程は要項で確認してください)。年末年始のうちに自己PRシートの下書きを始めておくのが理想です。
■ 福岡市の自己PRシートの書き方|個人面接で深掘りされる欄を逆算する
講師は不利ではありません。むしろ3つの強みがあります
「講師をしながらだと勉強時間が取れなくて不利」と思っている方が少なくないのですが、私はそう思いません。講師の方には、新卒にはない3つの強みがあります。
- クオリティ——現場で実際に子どもと向き合っているからこそ持てる、リアルな課題意識。「こういうやり方だとうまくいかなかったけれど、こうしてみるとすごく生徒が輝いた」といった実践例を、リアルに話せるのは常勤講師の強みです。
- 信用——現場での積み重ね。福岡市の教職経験特別選考は、まさにこの「勤務成績」を選考資料にする試験です。日々の仕事がそのまま試験になっていると考えてください。
- フレッシュさ——現場の現実を見てもなお、教員を目指したときの初心や信念を忘れていないことは強い武器になります
合格された講師の方の声を紹介すると、面接指導の中で次の3つができるようになった、というものがありました。①ネガティブな経験をポジティブに打ち出せるようになった。②自分の教育観が明確になった。③それを適切に言語化できるようになった。「実績」というと大きな話を用意しようとする方がいますが、現場での子どもとの具体的な変化のエピソードも実績になります。
主流ルート②|第1次試験が「全部免除」になる5つの区分
一般選考試験の中で、7月12日の筆記試験を受けずに二次へ進めるのは、この5つと、後述のⅦ 大学推薦です(全部免除者に該当するかどうかは受験票で通知されます。該当する場合は、令和9年度採用では受験票到着後、6月30日(火)消印有効で受験票と自己PRシートを郵送します。期限までに提出がないと受験を辞退したものとみなされます)。福岡市の令和8年度採用の選考基準にも「第1次試験免除のため、必要書類を期限までに提出した志願者全員を、第1次試験合格者とした」と明記されています。
| Ⅱ-A 現職正規教員 | 令和8年4月30日時点で、幼・小・中・義務教育・高・中等教育・特別支援学校の正規教員として現に勤務(休職・育児休業中も含む)。国公私立・職種・校種・学部・教科は問わない。ただし任期付き教員は除き、勤務経験に休職・育児休業等の期間は含めない。現に勤務している自治体または学校法人等に継続12月以上在籍し、そこで通算12月以上の勤務経験。 |
| Ⅱ-B 本市正規教員経験者 | 令和8年4月30日時点で、福岡市立学校(幼稚園を含む)の正規教員として継続12月以上在籍し、通算12月以上の勤務経験(現に勤務している者も含む) |
| Ⅱ-C 元正規教員 | 令和3年4月1日〜令和8年3月31日に、正規教員として同一の自治体・学校法人等に継続12月以上在籍し、通算12月以上の勤務経験(福岡市立学校の元正規教員はⅡ-Bで志願) |
| Ⅱ-D 2年本市講師経験者 | 令和6年4月1日〜令和8年4月30日に福岡市立学校の常勤・非常勤講師(週16時間以上。助教諭・養護助教諭・栄養教諭を含む)または常勤の学校栄養職員として通算24月以上、かつ令和8年4月30日時点でも勤務中 |
| Ⅱ-E 前年度1次合格の現役本市講師 | 令和8年度採用試験(2025年夏実施)の第1次試験合格者(同一採用区分を一般・障がい者区分で受験)または同一の採用区分を志願し、大学推薦で第1次試験が免除された者、または令和8年度採用(2025年夏実施)の大学連携特別選考の不合格者で、かつ令和8年4月30日時点で福岡市立学校の講師等として勤務中 |
※出典:令和9年度実施要項「4 受験資格及び選考区分の内容」

Ⅱ-Eに注目してください。「令和8年度採用で一次に合格して二次で落ちた」「大学連携特別選考の書類選考で落ちた」——そういう方が令和8年4月30日時点で福岡市立学校の常勤または非常勤の講師(週16時間以上に限る)、または常勤の学校栄養職員として勤務し、前表の前年度試験・採用区分の条件も満たせば、令和9年度採用の一次はまるごと免除になります。前の年の惜しい結果が、翌年の武器に変わる仕組みです。福岡市はこの「もう一度おいで」の設計が本当に丁寧な自治体だと思います。
「一部免除」=教養試験が免除になる3つの区分
| Ⅱ-F 前年度1次受験の現役本市講師 | 令和8年度採用試験(2025年夏実施)の第1次試験を受験し、教養試験の得点が「不可とする基準」より高かった者(同一採用区分・一般または障がい者区分)で、令和8年4月30日時点で福岡市立学校の講師等として勤務中 |
| Ⅱ-G 本市講師経験者 | 令和3年4月1日〜令和8年3月31日に、福岡市立学校の常勤・非常勤講師(週16時間以上)または常勤の学校栄養職員として通算12月以上の勤務経験 |
| Ⅱ-H 常勤講師等経験者 | 令和3年4月1日〜令和8年3月31日に、国公私立の幼・小・中・義務教育・高・中等教育・特別支援学校で、常勤講師(フルタイムのみ)・正規教員(任期付き教員を除く)・学校栄養職員(任期付きでない正規職員、育児休業代替任期付き職員、または福岡市立学校の臨時的任用職員)として通算24月以上の勤務経験。福岡市以外の勤務でもOK。 |
この3つは専門試験だけを受けます。そしてここが福岡市の面白いところなのですが、一般区分と一部免除者の第1次試験は「専門試験の得点が高い者から」合格が決まっていました(令和8年度採用の選考基準)。つまり、一般区分の方にとって教養試験は「不可とする基準を超えるだけでよく、順位には効かない」(令和8年度採用の基準)。教養が免除される一部免除の方は、専門試験が順位を決める科目になります。
第1次試験の選考手順(令和8年度採用の選考基準より)
- 選考区分「スポーツ・芸術」の書類選考を実施(実績のレベル・成績等で受験資格の有無を確認)
- 「正規教員・講師等経験者(全部免除者)」「大学推薦」は、必要書類を期限までに提出した志願者全員を第1次試験合格者とする
- 「教職大学院修了者」「社会人等」「スポーツ・芸術」「障がい者」は、試験科目の得点がいずれも「不可とする基準」に該当しない受験者を合格とする
- 「一般」「正規教員・講師等経験者(一部免除者)」は、第1次試験合格予定者数から②③の合格者数を除いた数を枠とし、「専門試験」の得点が高い者から合格とする

③に注目してください。令和8年度採用の基準では、教職大学院修了者・社会人等・スポーツ芸術・障がい者は「不可に当たらなければ全員合格」でした——つまり順位を競う形ではありませんでした。教職大学院修了者なら論文がDランクでなければいい(令和8年度採用の基準)。令和9年度採用で導入された社会人等のSPI3の合格基準は、実施要項では第2次試験結果発表後の選考基準で公表されるとされています(令和8年10月時点では本記事に反映していません)。ここは知っているだけで気持ちが全然違うはずです。
主流ルート③|大学連携特別選考(学生の最短ルート)
大学生で、福岡市立学校で教育実習をする(した)方はぜひここを確認してください。福岡市と協定を結んだ大学の学生が対象で、筆記試験も模擬授業もなしで採用候補者名簿に載る可能性があるルートです。
| 対象 | 令和8年3月31日時点で福岡市と「教員養成にかかる連携・協力協定」を締結している大学・短期大学(大学院を含む。通信課程を除く)に令和8年4月7日現在在籍し、令和9年3月31日までに卒業・修了見込みの方。教育実習の実施時にも、同じ協定締結大学・同じ課程に在籍していることが必要です(例:学部で実習し、翌年度に同大学の大学院へ進んだ場合は対象外)。協定締結大学の一覧は市教委HPに掲載。 |
| 選考区分 | 区分A=小・中学校教諭/令和7年度に実習 区分B=小・中学校教諭/令和8年度第1期(4月7日〜6月12日)に実習 区分C=特別支援学校教諭/令和7年度に実習 区分D=特別支援学校教諭/小・中学校教諭免許状取得の教育実習は令和7年度、特別支援学校教諭免許状取得の教育実習は令和8年度第1期に実施 |
| 実習の要件 | 小学校教諭=教育実習+特別学生サポーター活動が合計4週間以上(うち2週間以上は教育実習) 中学校教諭=合計3週間以上(うち2週間以上は教育実習) 特別支援学校教諭=小学部志望は小学校で、中学部志望は中学校で2週間以上+特別支援学校で2週間以上(学部は問わない) ※小・中学校教諭の採用区分では、実習と特別学生サポーター活動を同一校で、8週間(56日)の期間内(年度をまたがない)に実施 |
| 選考方法 | ①書類選考(福岡市立学校における教育実習の実習校評価+在籍大学からの推薦書) ②特別面接(書類選考の合格者が対象。福岡市での勤務の意思を確認する趣旨で、原則として面接を行った受験者全員を採用候補者名簿に登載) |
| 不合格でも | 書類選考で不合格になっても、一般選考試験の第1次試験は免除されます(第2次試験は受験が必要) |
| 出願 | 3月11日(水)〜4月7日(火)午後5時。本選考への出願=一般選考試験の併願扱いなので、一般選考の出願手続きは不要。自己PRシートを同期間に郵送。 |
| 日程 | 区分A・C:4月中旬 書類選考 → 5月中旬 特別面接(5月12日〜14日予定) → 5月下旬 特別面接の合格発表/区分B・D:特別面接は7月14日〜17日(予定) |
※出典:令和9年度福岡市立学校教員採用候補者選考試験(大学連携特別選考)実施要項

この制度、「教育実習が試験そのもの」ということです。実習校の先生がつける評価票が書類選考の資料になる。だから実習の1日目から採用試験は始まっています。そして書類選考に落ちても一次免除という設計がすごい。書類選考に落ちても一次免除になるので、出願のデメリットは小さいと考えられる制度です(福岡市立学校教員を第一志望とすることが条件で、不合格の場合も第2次試験は受験が必要です)。協定締結大学に在籍している方は、大学の就職課・教職課程の窓口に「福岡市の大学連携特別選考、うちは対象ですか」と聞いてみてください。出願可能な採用区分は大学ごとに違い、各大学へ直接通知されます。
主流ルート④|社会人等(令和9年度採用からSPI3に)
令和9年度採用でいちばん大きな変更点がここです。実施要項の冒頭に「昨年度からの主な変更点」として、はっきり書かれています——選考区分「Ⅳ 社会人等」の第1次試験に、SPI3(基礎能力検査)を導入。
| 受験資格 | ア 社会人=令和3年4月1日〜令和8年3月31日に、法人格を有する民間企業の正社員または官公庁等の正規職員として通算24月以上の勤務経験 イ 青年海外協力隊員等=平成28年4月1日〜令和8年3月31日に、青年海外協力隊員または日系社会青年海外協力隊として継続24月以上の派遣期間 |
| 免許 | 免許状の所有の有無は問いません。ただし受験する採用区分・教科に必要な免許状を令和11年3月31日までに取得すること。 |
| 第1次試験 | SPI3(基礎能力検査)のみ。受験票受領日〜7月12日(日)の間で受験者が日を選択。会場は全国のテストセンター(リアル会場またはオンライン会場)。基礎能力検査の前に自宅等で性格検査を受検するが、性格検査の結果は合否に関係なし。 |
| 合格の決まり方 | 令和8年度採用の選考基準では、試験科目の得点が「不可とする基準」に該当しなければ第1次試験合格(順位を競う形ではない)。令和9年度採用のSPI3の合格基準は、第2次試験結果発表後の選考基準の公表を待つ必要があります。 |
| 免許取得期間猶予制度 | 合格して名簿登載された方で免許未取得(令和9年3月31日までの取得見込みの方を除く)の場合、所定の期日までの申請により名簿の有効期間を令和11年4月30日まで延長。令和11年3月31日までに免許を取得すれば、取得後の4月1日から採用。 |
| 必要書類 | 「職歴証明書(社会人等用)」または「派遣証明書」 ※第2次試験の合格発表後、合格者のみ提出 |
※出典:令和9年度実施要項「4(2)Ⅳ 社会人等」「6(7)選考区分『Ⅳ 社会人等』の受験者」「9(10)」

免許がなくても受験できて、合格後に取ればいい——これは福岡市の大きな特徴です。令和9年度採用では、一次はSPI3。教職教養も専門も要りません。民間からの転職を考えている方にとって、令和9年度採用の制度では、福岡市は現実的な入口の一つだと思います。ただし二次は模擬授業と個人面接があり、高等学校教諭の採用区分では実技試験もあります。「授業ができる人」であることは、ここで見られると考えられます。
社会人の方が面接で準備しておくとよいのは、次の2点です。①社会人経験を学校でどう生かすのか。②なぜ社会人経験を経て、教員を目指したのか。この2つがはっきり語れれば、経歴はそのまま強みになります。
40代・50代で合格される方は珍しくありません。ただし面接官が懸念しやすいポイントがあるので、そこを先回りして安心させてあげてください(令和9年度採用の受験資格は昭和42年4月2日以降の出生です)。①いま求められている教育(ICT、主体的・対話的な授業)を謙虚に学べるか。②年下の同僚とフラットに働けるか。③人生経験を生かして、調整役として価値を出せるか。この3つです。
そのほかの選考区分|教職大学院・スポーツ芸術・障がい者・大学推薦
| Ⅲ 教職大学院修了者 | 区分A=教職大学院を修了した者または令和9年3月31日までに修了見込みの者。区分B=令和9年4月1日〜令和10年3月31日に修了見込みの者(合格すると令和10年度の名簿に登載され、採用は令和10年4月1日以降)。第1次試験は論文試験のみ(100点)。令和8年度採用の選考基準では、Dランクでなければ合格でした。 |
| Ⅴ スポーツ・芸術 | スポーツ=国際的規模の競技会に日本代表として出場、または日本選手権等の全国的規模の競技会で特に優秀な成績(高校生以下対象の大会を除く)。対象は17競技(陸上、水泳、バスケットボール、バレーボール、卓球、テニス、ソフトテニス、バドミントン、野球、ソフトボール、サッカー、ラグビー、ハンドボール、柔道、剣道、体操、ダンス)。芸術=国際レベルのコンクール・展覧会等で優秀、または全国レベルで特に優秀。採用区分は中学校教諭(保健体育/音楽・美術)の「中高枠」に限る。第1次試験前に書類選考があり、認められなかった場合は一般区分での受験になります。 |
| Ⅵ 障がい者 | 療育手帳・判定書(知的)/精神障害者保健福祉手帳/身体障害者手帳(1〜6級)のいずれかの交付を受けている方。選考は一般区分とは別に行われます。受験上の配慮が必要な場合は出願時に記載。第1次試験は教養+専門で、令和8年度採用の選考基準では「不可とする基準」に該当しなければ合格でした。 |
| Ⅶ 大学推薦 | 令和8年4月30日現在、協定締結大学に在籍し令和9年3月31日までに卒業・修了見込みで、大学から推薦を受けた方。福岡市立学校教員を第一志望とすること。第1次試験は全部免除。対象は高等学校教諭以外の採用区分。推薦書は大学から市教委へ提出されるため、推薦書の提出は不要です(出願と、受験票・自己PRシートの6月30日までの提出は必要です)。 |
※出典:令和9年度実施要項「4 受験資格及び選考区分の内容」
スポーツ・芸術区分の「中高枠」について補足します。要項のQ&Aによると、これは中学校と高等学校のどちらの勤務も経験できる制度で、両方の免許が必要。第2次試験の内容は中学校教諭と同一です。初任で高等学校に配置されれば原則4年後に中学校へ、中学校からなら4年後に高等学校へ配置されます。ただし「中高枠」は中学校教諭として二次に合格した人の中から決定するため、志願しても「中学校教諭」として名簿登載されることがあります。
正規教員(Ⅱ-A)や元正規教員(Ⅱ-C)として他自治体を再受験する方へ。正直、実際は簡単ではないと私は思っています。管理職は「今の自治体でそのまま働いてもらえばよいのでは」と考えることもあるでしょう。でも授業力のブラッシュアップと謙虚さが伝われば、「良い人材が来てくれてラッキー」と受け取ってもらえることがあります。今の職場への感謝を前提に、福岡市で何をしたいのかを語ってください。
加点制度|第1次試験の優遇措置は3種類
福岡市の一般区分・一部免除者の第1次試験は、令和8年度採用の選考基準では「専門試験の得点が高い者から」決まりました(令和9年度採用の基準は、実施要項では第2次試験結果発表後に公表するとされています)。だから、この基準が続くなら専門試験への加点は、そのまま順位に効くと考えられます。
| 優遇措置 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| ① 特定の資格 (CEFR B2相当以上の英語資格) | 小学校教諭/特別支援学校教諭 小学部 | 専門試験の得点に配点の1割程度を加点 |
| 中学校教諭(英語)/高等学校教諭 外国語(英語)/特別支援学校教諭 中学部(英語) | 専門試験を免除し、同試験の配点に応じた点数を加点 | |
| ② 複数の免許状 | 小学校教諭=中学校/高校(英語のみ)/特別支援(※) 中学校教諭=小学校/中学校(受験教科以外)/高校(情報のみ)/特別支援(※) 高等学校教諭=高校(情報のみ) 特別支援 小学部=中学校/特別支援 中学部=小学校 | 専門試験の得点に配点の1割程度を加点 |
| ③ 学生サポーター等の活動実績 | 全ての採用区分。福岡市立学校での活動が対象年度中に合計10日以上。 | 専門試験の得点に配点の1割程度を加点 |
※出典:令和9年度実施要項「3 優遇措置」。
資格・免許による優遇措置(①・②)と学生サポーター等の優遇措置(③)の両方を希望した場合は、資格・免許による優遇措置のみ適用。資格・免許(①・②)の中で複数の区分に当てはまっても、学生サポーター等(③)の中で複数の区分に当てはまっても、優遇措置の適用は1つだけです。
※小学校教諭・中学校教諭の志願者が使える特別支援学校の免許状は、知的障害と肢体不自由、又は知的障害と病弱の領域を含む特別支援学校教諭普通免許状(養護学校教諭普通免許状も対象)に限られます。
CEFR B2相当以上の英語資格(令和8年4月30日時点で所有しているものに限る)
ケンブリッジ英語検定160以上/実用英語技能検定 準1級以上/TOEIC L&R・S&W 1560以上/GTEC 1190以上/IELTS 5.5以上/TEAP 309以上/TEAP CBT 600以上/TOEFL iBT 72以上
※TOEIC L&R/S&Wは、S&Wのスコアを2.5倍にして合算したスコアで判定。TOEIC IPテスト等、公開テストでないものは除く
「学生サポーター等」に含まれる活動(福岡市立学校での実績)
- 令和5年度〜7年度が対象:学生サポーター/部活動指導員・部活動支援員/放課後児童クラブの支援員・補助支援員/ふれあい学び舎の支援リーダー・支援員/学習指導員
- 令和6・7年度が対象:教育支援員/わいわい広場のプレイワーカー
※学生サポーターは、福岡市と関係大学が締結した協定書に基づき派遣されたものに限る(教育実習と併せて実施した特別学生サポーターは本優遇の対象になりません=そちらは大学連携特別選考の要件です)。年度をまたいだ合算はできませんが、同じ年度の中なら複数の区分の実績を合算できます。現に大学に在籍していない方でも希望できます。

③の「10日以上」って、思っているよりずっと現実的な数字ですよね。1年のうち10日、福岡市立学校で活動すればいい。大学1・2年生でこの記事を読んでいる方は、学生サポーターなどの活動を検討してみてください(令和9年度採用の加点対象は令和5〜7年度の活動です。対象年度・日数は受験する年度の要項で確認してください)。令和9年度採用の学生サポーター加点には対象年度・活動日数等の条件があり、大学連携特別選考にも協定締結大学からの推薦や実習時期・期間等の条件があります。今後の受験では、その年度の要項を確認してください。福岡市には、学生サポーターなど「早くから関わってくれた人」を加点で評価する仕組みがあります。
ルート別まとめ|自分はどこから入るか
| あなたの立場 | まず見るべき入口 | 動く時期 |
|---|---|---|
| 福岡市立学校で令和7年度に同一校6月以上の講師 | 教職経験特別選考(筆記なし・勤務成績と個人面接) | 2月9日出願開始 |
| 福岡市立学校で2年(24月)以上の講師で現在も勤務中 | Ⅱ-D(一次全部免除) | 4月1日出願開始 |
| 令和8年度採用の一次に合格/大学推薦免除/大学連携不合格で、現在も本市講師 | Ⅱ-E(一次全部免除) | 4月1日出願開始 |
| 福岡市で12月以上の講師経験(過去5年以内) | Ⅱ-G(教養免除・専門のみ) | 4月1日出願開始 |
| 他県・私立を含め24月以上の常勤講師/正規教員経験 | Ⅱ-H(教養免除・専門のみ) | 4月1日出願開始 |
| 現職の正規教員/過去5年以内の元正規教員 | Ⅱ-A・Ⅱ-B・Ⅱ-C(一次全部免除) | 4月1日出願開始 |
| 協定締結大学の学生で、福岡市立学校で教育実習 | 大学連携特別選考(落ちても一次免除) | 3月11日出願開始 |
| 協定締結大学の学生で、大学の推薦がもらえる | Ⅶ 大学推薦(一次全部免除) | 4月1日出願開始 |
| 民間企業・官公庁で24月以上(免許なしでも可) | Ⅳ 社会人等(一次はSPI3のみ) | 4月1日出願開始 |
| 教職大学院を修了(見込み) | Ⅲ 教職大学院修了者(一次は論文のみ) | 4月1日出願開始 |
| いずれにも当てはまらない | Ⅰ 一般(教養+専門)+加点3種を確認 | 4月1日出願開始 |
※出典:令和9年度実施要項3本より当ブログが整理。
受験資格の詳細な日付・月数は必ず当年度の要項でご確認ください。
■ 福岡市の倍率|令和9年度採用の志願状況と推移
■ 福岡市の論文試験(小論文)|教職大学院修了者・スポーツ芸術の一次科目
よくある質問
Q. 特別選考と一般選考は併願できますか?
A. 教職経験特別選考は併願できます(別途出願手続きが必要)。ただし同一の採用区分で併願していて教職経験特別選考に合格した場合、一般選考試験の出願は取り下げたものとして扱われます。異なる採用区分で併願した場合は、教職経験特別選考に合格しても一般選考を受験できますが、一般選考に合格した場合は教職経験特別選考の合格を辞退したものとして扱われます。
大学連携特別選考は、出願そのものが一般選考試験の併願扱いです。一般選考の出願手続きを別途行わないよう注意してください(扱いの詳細は実施要項で確認してください)。
Q. 受験資格を証明する書類はいつ出しますか?
A. 福岡市は令和9年度採用で「第2次試験の合格発表後、合格者のみ」という運用でした。選考区分Ⅱ・Ⅲ・Ⅳで出願した方の実績証明書・職歴証明書・修了証明書等、そして優遇措置に必要な資格の公式認定証等は、合格してから提出します。ただし提出できない場合は合格が取り消され、採用候補者名簿から削除されます。要件を満たすことを確認したうえで出願してください。なお、選考区分Ⅴ(スポーツ・芸術)とⅥ(障がい者)だけは、出願時に証明書類の郵送が必要です。
Q. 講師の経験年数はどう数えますか?
A. 要項のQ&Aに明記されています。1日でも勤務した月は1月として計算します。ただし同一の月に異なる任用の終期と始期を含む場合は、いずれか一方のみを1月と計算します(例:A校4月12日〜8月15日=5月、B校8月20日〜3月28日=7月)。また、選考区分Ⅱでは複数の校種・職種での勤務経験を組み合わせてもかまいません(受験資格に合致する校種・職種の範囲内で。教職経験特別選考は同一校での通算6月以上が条件です)。臨時免許状による勤務でも大丈夫です。
Q. 福岡市の講師にはどうやってなりますか?
A. 福岡市は臨時教職員(講師等)任用候補者選考試験(令和8年度)の出願を随時受け付けています。市教委は3つのメリットを挙げています——①本市講師だけが受験できる教員採用試験の特別選考を実施、②教員採用試験で試験が免除になる、③常勤講師研修・非常勤講師等研修を受講できる。給与の例は(令和8年度の募集案内より)、常勤の講師・養護助教諭(小中高)で大学卒 約285,000円〜、短大卒 約266,000円〜(地域手当を含む。条件に応じて期末・勤勉手当、通勤手当等を支給)。詳しくは「福岡市 臨時教職員募集」で検索してください。
Q. 特別支援学校の免許を持っていると得ですか?
A. 得になる場合があります。理由は3つ。①複数免許状の優遇措置で、小・中学校教諭の志願者は、知的障害と肢体不自由又は知的障害と病弱の領域を含む特別支援学校教諭普通免許状(養護学校教諭普通免許状も対象)を有するか令和9年3月31日までに取得見込みであれば、専門試験に加点される、②小学校教諭↔特別支援学校教諭(小学部)の併願ができる(特別支援学校教諭 中学部は令和9年度採用の志願倍率が2.5倍と、中学校教諭の志願倍率4.9倍より低い)、③奨学金返還支援事業——福岡市は特別支援教育の充実のため、小学校・中学校・特別支援学校で採用された新規採用教員のうち特別支援学校免許状を保有する方を対象に、日本学生支援機構の第一種・第二種奨学金の返還を採用後3年間で最大54万円(年額18万円×3年間)支援しています(令和9年度採用の実施要項の記載です。制度は年度で変わることがあります)。
Q. 名簿に載ったら必ず4月から働けますか?
A. 「採用は令和9年4月1日以降、採用候補者名簿に登載されている者の中から逐次行います」というのが要項の表現です。名簿の有効期間は令和10年4月30日まで。つまり年度途中の採用もあり得ます。なお教職大学院への進学を理由に採用の延期を希望する場合は、選考区分Ⅲでの出願者を除き、申請して承認を得れば名簿登載期間を令和11年4月30日まで延長できます(所定の期日までに「名簿登載期間延長申請書」と進学が確認できる書類の提出が必要)。ただし昭和42年4月2日〜昭和43年4月1日生まれの方は令和9年度の採用候補者名簿のみの登載です。
Q. 年齢制限はありますか?
A. 昭和42年4月2日以降に出生した者という条件があります(令和9年度採用の場合)。ただし昭和42年4月2日〜昭和43年4月1日に出生した方は、「令和9年度福岡市立学校教員採用候補者名簿」のみの名簿登載になります。年齢だけで諦める必要はないと考えています。私は受講生の中で40代・50代の合格者を見てきました。
この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます
制度は要項で分かります。でも「教職経験特別選考の面接で何を聞かれたか」「大学連携の特別面接はどんな雰囲気だったか」は、受けた方にしか分かりません。福岡市は、令和8年10月時点で報告が1名分しか届いていない自治体です。ぜひ次の年度の受験生のために教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。
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