こんにちは、金井志津乃です!

神奈川県の模擬授業って10分ですよね。10分なら短いから何とかなるかな……と思っているんですが、甘いですか?

甘いです(笑)。神奈川県の10分は準備と片付けを含んだ10分。しかも受験者の報告では、9分で「やめてください」の合図が入り、残り1分で黒板を消して掲示物をはがして着席するまでが計測されています(8分ほどで合図が鳴ったという報告もあります)。授業できるのは実質7〜8分程度と考えられます。
この記事では、神奈川県公立学校教員採用候補者選考試験 第2次試験の模擬授業について、受験者20件の実録と実施要項、そして県が公開している評価の観点をもとに、テーマ・流れ・準備の仕方をまとめます。
この記事の根拠
- 令和9年度採用(2026年夏実施)の受験者報告6件を「令和9年度採用の報告」として追加収録
- 令和6年度〜8年度採用(2023〜2025年夏実施)の受験者14件の模擬授業の報告を収録。テーマ・当日の流れ・持ち物・時間の合図は、すべてこの実録から。
- 形式・提出物・禁止事項は令和9年度採用の実施要項と照合済み
- 評価の観点は神奈川県教育委員会が公開した「模擬授業及び個人面接の評価の観点について」から(令和9年度採用の実施要項では7月中旬に公開予定とされ、2026年7月6日に更新されました)
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に模擬授業つきで新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
模擬授業の形式|30秒でわかる基本情報
| いつ | 第2次試験(令和9年度採用は8月3日〜14日のうち1日)。受験者報告では、同じ日に、模擬授業と同じ面接官3人が個人面接を行っています。 |
| 内容 | 県が指定したテーマに沿って1単位時間の授業計画を立て、導入から展開にかけての最初の10分間を実演(実施要項) |
| 時間 | 10分(準備・片付けを含む)。受験者報告では、受験番号を言い始めた時点から計測し、9分で終了の合図があった例があります。一方、8分くらいで合図があった例もあるため、当年度・当会場の指示に従ってください。 |
| 指導案 | A4サイズの紙・片面1枚にまとめ、試験当日に提出(県公式「模擬授業の内容について」。実施要項では「A4用紙1枚の予定」)。県公式ページ(令和9年度採用分)では、受験区分が英語の人は、表面に英語表記の指導案、裏面に日本語表記の指導案を作成して1枚にまとめると案内されています。作成の詳細は第1次試験合格者に郵送で案内されるとされています(県公式の記載による)。令和9年度採用の受験者報告には、略案を事前に作って持参した例と、当日の構想時間内に作成した例の両方があります。受験者報告では3部を提出したという記録があります。 |
| テーマの発表 | 令和9年度採用分は県公式ページに掲載済み(実施要項では6月下旬に公開予定) |
| 評価の観点の公開 | 2026年7月6日更新の県公式ページに掲載済み |
| 会場 | 教室。4〜5人のグループで1教室に入り、順番に前に出て実演。他の受験者が生徒役になります。 |
| 面接官 | 受験者報告では3人(そのまま個人面接を担当)。「うち1人は教育事務所の人事課の方」という報告あり。 |
| 栄養教諭 | 1回の給食の時間における食に関する指導において、導入からの部分で授業を行います |
| 禁止・不可 | 実施要項に明記されているのは着替え不可・会場の電源使用不可・危険物(火気、劇薬、刃物等)の持込み禁止。このほかの制限は下の「持ち物」で解説します。 |

令和9年度採用の実施要項では、「模擬授業のテーマは6月下旬にホームページで公開する予定」とされ、実際に一次試験の前に公開されました。これが神奈川県の特徴のひとつです。一次試験(7月5日)の前に、二次の模擬授業のテーマが分かるんです。つまり「一次に受かってから考えよう」では、準備期間が短くなる可能性があります。県のホームページ(令和9年度採用分は公開済み)をチェックしてください。
当日の流れ|受験者の報告から時系列で再現
複数の受験者の報告を突き合わせて、当日の流れを時系列にまとめました(会場や年度で細部は異なります)。
- 集合・受付:入場指示 → 校舎内入場 → 集合時刻(午後の回で12:00/12:05/12:20という報告)。校内に入った時点でスマートフォンの電源を切るよう指示があったという報告があります(当日の指示に従ってください)。
- 待機室へ:受付で受験票を見せると「グループ番号・アルファベット・待機教室」を指定されます。机上のアクリルスタンドに自分の番号(1E・1Fなど)が置かれた席へ。
- 提出物の回収:集合時刻に回収が始まります。報告された順番は①指導案3部 ②面接カードとアピールセット ③県の封筒(受験者が切手を貼った状態)。回収は集合時刻ちょうどに始まったという報告があるので、余裕を持って会場に入ってください。
- 教室へ移動:模擬授業の道具と受験票を持って、班ごとにアルファベット順で1列で移動。選考区分別に10分刻みで進む報告があります。
- 教室の配置:面接官の席は黒板と垂直方向に前から1・2列目。生徒役(他の受験者)の座席は前から4・5列目あたりに「VVV」の形で、前後1つ空けて1列目に2〜3人、2列目に2〜3人。黒板の前に教卓と机。
- 開始:呼ばれて前に出て、受験番号(4桁)→対象学年→単元または題材を述べる。ここから10分のカウントが始まります(号令をかけるかどうかは各受験者の判断という報告あり)。
- 実演:生徒役の受験者が手を挙げたり、困ったふりをしたりしてくれます。授業者から生徒役への発問はできたという報告があり、生徒役から授業者への質問はできません(県公式)。席を動かす・移動はできませんが(県公式)、周りの人と話し合ってもらう活動は可能だったという報告があります。
- 終了合図:9分ちょうどに「(授業)やめてください」のアナウンス(8分くらいでタイマーが鳴ったという報告もあり)。残り1分で黒板を消し、掲示物をはがし、マグネットを袋につめて着席。
- 片付けも試験時間内:「全て片付けて『ありがとうございました』と頭を下げて着席するまでの時間を計測されている」「準備・片付けがもたつくと試験官から『急ぐように』と注意を受ける」との報告があります
- 個人面接へ:全員の模擬授業が終わったあと、受験者報告では模擬授業を行った順に同じ面接官3人による個人面接(聞かれた質問はこちら)

神奈川県は「片付けまでが試験」なんです。掲示物を何枚も貼る授業を組むなら、準備と、はがして袋に入れる片付けまで込みで10分。本番と同じ道具で、片付けまで通しで練習しておくと安心です。準備や片付けでもたつくと注意されたという受験者報告があります。
持ち物と使用可否|受験者報告から
公式に示されているのは、実施要項の「着替え不可」「電源使用不可」「危険物(火気、劇薬、刃物等)持込禁止」に加えて、令和9年度採用分として県が公開している「模擬授業の内容について」の「机や椅子の移動・照明の消灯はできない」「受験者同士が身体に触れるなどの接触を伴う行為は行わない」「児童・生徒役に物を食べさせることはできない」「児童・生徒役の受験者から質問をしたり意見を言ったりすることはできない」です。以下は受験者の報告にもとづく情報で、年度・会場によって変わる可能性があります。当日の指示に必ず従ってください。
| 項目 | 報告された扱い |
|---|---|
| 板書 | 可。「チョークは白チョークのみ」という報告あり(年度・会場により異なる可能性)。 |
| 持参する教具 | 可。掲示物・模造紙・ワークシートを用意した受験者の報告が多数。ただし「試験官は授業案(指導案)以外は一切受け取らない」(=配ったものは自分で回収)。 |
| ワークシート | 配布は自由。ただし生徒役の受験者は何も書いてはいけないというルールの報告あり。 |
| ICT・タブレット | 使用不可の報告。ただし「面接官の許可を得て、スライド画面の代わりに黒板へ模造紙を貼る」「学習用端末の画面を紙に印刷して貼る」のは可という報告があります。 |
| タイマー | 使う場合は事前に面接官の許可が必要。スマートフォンやタブレットを時計・タイマー代わりにするのは禁止。 |
| 時間の確認 | 「受験者個人が時間を確認できるのは腕時計(タイマー機能等は使用不可)のみ」という報告あり |
| 小学校の例 | 「指導案を事前に用意。持ち物はチョークのみ」で実施した報告あり |
時間確認については、腕時計のみだったという報告と、許可を得てタイマーを使用できたという報告があります。黒板の前では腕時計を見づらいこともあります。だからこそ、ある受験者はこう書いています——「練習量が大きく影響します」。本番で時計を見なくても、体で「今6分経った」と分かるところまで通しで練習しておいてください。
令和9年度採用(2026年夏実施)の試験で実際に出た質問です。令和9年度採用の受験者から届いた報告を、追質問(→)までそのまま収録しています。
小学校|模擬授業(授業開始から導入の10分間・略案を事前に作成し持参・1グループ4〜5人)
- 【模擬授業】教科・単元は自由。授業開始から導入の10分間を行いなさい。指導案は事前に略案を作り、印刷して会場まで持参すること。
高等学校|模擬授業(導入10分・指導案の作成あり〔構想時間の中で〕)
- 形式のみ報告。
中学校|模擬授業(指導案の作成あり〔別枠で時間が設けられた〕)
- 形式のみ報告。
特別支援学校|模擬授業(指導案の作成あり〔構想時間の中で〕)
- 形式のみ報告。
特別支援学校|模擬授業(指導案の作成あり〔別枠で時間が設けられた〕)
- 課題は神奈川県のホームページに掲載されているとの報告。
特別支援学校|模擬授業(指導案の作成あり〔構想時間の中で〕)
- 形式のみ報告。
出典:当ブログの受験報告フォーム(2026年10月15日時点・この自治体の報告6件)
校種までの表記とし、個人が特定されうる記述は除いています。
【実録】実際に出たテーマ(令和6年度〜8年度採用)
受験者から届いた模擬授業のテーマです。実録では、神奈川県のテーマは「教科の単元名」ではなく「授業に込めるべき視点」で与えられる年が多く見られます(令和9年度採用の小学校の報告には「教科・単元は自由」とあります)。
令和8年度採用(2025年夏実施)
- 【特別支援学校】一人ひとりの発達段階等をふまえ、各教科等の特質に応じた学習のねらいを明確にし、キャリア発達の視点を取り入れた児童・生徒等の主体的な取り組みを引き出す授業(3名から同一テーマの報告)
- 【特別支援学校・形式の報告】4人1チームに分かれて各教室へ。呼ばれたら1人ずつ前に出て、番号(名前は言わない)、学年、単元名を伝え、そこから10分のタイマースタート。実際には8分くらいでタイマーが鳴り、すぐさま片付け。全て片付けて「ありがとうございました」のところで10分以内でなければならない。
- 【特別支援学校・形式の報告】番号を呼ばれた時点でタイム計測スタート。前に出て受験番号のみを言い、授業準備をする。時間が来ると「はい、やめてください」とだけ言われるので、急ぎで片付けて「ありがとうございました」と頭を下げて着席するまでの時間を計測されている。同じグループになった受験者が子ども役となり、手を挙げたり困ったふりをしたりする。ワークプリントを使用する場合、子ども役の受験者は何も書いてはいけない。1教室4人のグループ。
令和7年度採用(2024年夏実施)
- 【高等学校・地理歴史】インクルーシブ教育、人権教育などが複合された課題。準備を含めて10分間、授業の導入を行う。教具の持ち込みは可能だが、試験官は授業案以外は一切受け取らない。
- 【中学校・社会・形式の報告】面接官は3人(うち1人は教育事務所の人事課)。4人または5人のグループ(午前はすべて4人グループ)。準備・片付けを含む10分(受験番号を言い始めてからが1秒目、9分経過で「やめ」の合図、残り1分以内で片付けと着席)。タイマーや電子機器を使う場合は面接官の許可が必要。学習用端末の画面を紙に印刷して貼るのは可。チョークは白チョークのみ。
- 【高等学校・英語・形式の報告】事前に準備した模擬授業を行う。グループで実施し、他の受験者は生徒役。時間は試験官が管理し、受験者個人が時間を確認できるのは腕時計(タイマー機能等は使用不可)のみなので、練習量が大きく影響する。
令和6年度採用(2023年夏実施)
- 【高等学校】教科等横断的な視点を踏まえた、主体的・対話的で深い授業の導入を行いなさい(導入の10分間)
- 【高等学校】教科横断の視点を持ち、主体的・対話的な深い学びを実践する授業(別の受験者の報告。上と同一テーマとみられます)
- 【養護教諭】事前に決められたテーマについて指導案(A4・1枚)を作成し、授業を行いなさい(養護教諭は対象学年や校種は自由)。当日の同じグループ4人の題材はストレス対処法(中1)/未病(高1)/リフレーミング(中1)/プライベートゾーン(小2)。ワークシートの配布は自由、他の受験者が生徒役になって発問に答えてもらうことが可能。席を動かす・移動は不可だが、周りの人と話し合ってもらう活動は可能。準備物の持参可、ICT不可、板書可。
- 【小学校】指導案を事前に用意。持ち物はチョークのみ。報告者は算数科3年「余りのある割り算」で実施(問題文を書いて子ども役に尋ねる→問題文を最後まで書く→机間巡視→式・答えを書く→誤答例を書いてどこが違うか尋ねる→そこからめあてを作る、というところで時間切れ)。
- 【特別支援・形式の報告】面接官は3名。受験者は4〜5名でグループ(報告者のグループは4名)。感染症対策の透明シートはなくなり、受験者と授業者のやり取りが可能に。授業者からの質問(発問)は可、生徒役からの質問は不可。準備から片付けまでが10分間に含まれる。受験番号・単元名を発した時からスタート。
- 【中学校・社会・形式の報告】開始のセリフは受験番号4桁 → 対象学年 → 単元または題材(号令の有無は各受験者の判断)。教卓の横で受験番号を言ったところから計時開始、9分ちょうどに「やめてください」のアナウンス。準備・片付けがもたつくと試験官から「急ぐように」と注意を受ける。
神奈川県の実録は2026年10月15日時点で20件です。令和9年度採用(2026年夏)の受験報告も引き続き募集しており、皆さんの報告がこのページをさらに育てます。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。
テーマの読み方|神奈川県は「視点」を指定してきます
過去のテーマを並べると、共通点がはっきり見えます。実録を見る限り、神奈川県は「何を教えるか」ではなく「どんな視点を授業に埋め込むか」を指定する年が多いようです。
| 年度 | 指定された視点 | 授業に埋め込むべきもの |
|---|---|---|
| 令和6年度採用(高校) | 教科等横断的な視点/主体的・対話的で深い学び | 他教科・他分野とのつながりを示す発問+子ども同士が話し合う場面 |
| 令和7年度採用(高校) | インクルーシブ教育/人権教育などが複合された課題 | 誰も置いていかない教材の工夫(ルビ・視覚支援・選べる活動)+一人ひとりの違いを価値にする声かけ |
| 令和8年度採用(特別支援) | 発達段階/各教科等の特質に応じた学習のねらい/キャリア発達の視点/主体的な取り組みを引き出す | ねらいを明示する導入+「自分で選ぶ・決める」場面+将来の生活とのつながり |
つまり神奈川県の模擬授業は、「あなたの教科の腕前」より「県が大事にしている視点を、自分の授業に翻訳できるか」を見ていると考えられます。実際、個人面接では模擬授業について「狙いの中に主体的な学びが入っていると思いますが、あの授業の中でどのような姿を目指しましたか」「指導案には子どもたちの主体性を伸ばす部分が書かれていますが、具体的にどのような引き出し方をしていますか」と、テーマの視点をどう授業化したかを直接聞かれています。

だから指導案を書くときは、テーマの言葉をそのまま「ねらい」の欄に入れることをおすすめします。そして授業の中に、その言葉が形になる場面を最低1つ作る。面接官も授業をつくってきた人たちなので、意図は伝わります。「ここがテーマに対応する場面だな」と分かるように設計しておきましょう。
○指導力・表現力
- 板書・指示は的確か
- 教材作成に創意工夫はあるか
- 柔軟な対応ができているか
- 子どもの意欲を引き出す構成か
○姿勢・態度
- 活気や熱意があるか
- 児童・生徒と向き合っているか
- 安心感があるか
- 誠実に取り組んでいるか
出典:神奈川県教育委員会「令和8年度実施 神奈川県公立学校教員採用候補者選考試験(夏期試験)模擬授業及び個人面接の評価の観点について」
令和9年度採用の実施要項では、この観点は7月中旬に県のホームページで公開する予定とされ、2026年7月6日に更新されました。
10分の授業をどう組むか|私が採用試験でやったこと
私自身、高校地歴の採用試験で模擬授業を受けて合格しました。そのときに意識していたポイントと、その後たくさんの受験生を指導してきて分かったことを、神奈川県の評価の観点に対応させながらお話しします。
① 先生としての雰囲気(→「姿勢・態度」)
- 声の大きさ:教室のどこに座っていても聞こえる大きさか
- 目線:教室の隅々まで、どこの席に座っている子にも目を配れているか
- 話すスピード:早口すぎないか・聞き取れるか
- 姿勢:猫背で自信なさそうに話していないか
これは一人で練習しても分かりにくいところです。私のおすすめは、家でいいので自分の授業を自撮りして、客観的に見返すこと。私自身、YouTubeの動画を撮っていて「自分、全然イケてないな」と思うことがしょっちゅうあります。撮っているときには気づかなかった改善点が、映像にすると一目で分かるんです。
② 授業の構成(→「子どもの意欲を引き出す構成か」)
- 目標を示す:「この授業の終わりに、こういうことが説明できるようになっていたら目標クリアだよ」と、授業の軸になる目標を最初に明示する。
- 授業の流れを最初に示す:「まずこれを見て、次にこれが分かると、最後にこれが説明できるようになるよ」と1時間の流れを伝える。これは先を見通せないと集中力を保つのが難しい子にとって、有効な手立てでもあります。
- 興味関心を引きつける工夫:自分の身近なもの、自分に関係があると思えること、子どもたちの文化に切り込む。
3つ目について、私が実際にやった例をお話しします。産業革命の模擬授業で、いきなり「みんな、自分の制服の繊維をよく見てみて」と言ったんです(生徒役はおらず面接官だけの場で、演技として行いました)。その後、「この1枚の布は、1本1本の糸がどんなふうに交わっている?」と絵に描いてみるよう促し、「この布を手作りするの、めちゃくちゃ時間かからない?」と言ってから、産業革命に入っていきました。
子どもの目の前にあるものから入る——これが導入の一番簡単で強い型です。神奈川県は「導入から展開にかけての最初の10分間」を見るので、導入が評価に大きく関わると考えられます。
③ 授業者としてのスキル(→「板書・指示は的確か」「柔軟な対応ができているか」)
- 対話を2種類入れる:教師と生徒の対話(「どうなってた?」)と、生徒同士の対話(ペアワーク・グループワーク)。神奈川県は席を動かせませんが、「隣の人と話し合ってみて」という活動は可能だと報告されています。
- 意欲・自己肯定感を高める言葉かけ:子ども役が答えたあとに「面白いことに気づいたね」と返す。これは演じることで十分アピールできます。
神奈川県は他の受験者が生徒役になってくれるので、対話は本当に成立します。手を挙げてくれる、困ったふりをしてくれる——この反応をどう拾うかが「柔軟な対応ができているか」という観点にあたると考えられます。
合格する模擬授業の3要素
ここからは、基本ができている前提で「他の受験生より高い評価を得るために必要なこと」です。私がこれまで個別指導で模擬授業の指導をさせていただいた方のうち、高校のある教科で2名という少ない枠を合格された方(神奈川県に限らない話です)も、この3つをすべてクリアされていました。
- 子どもが見える——その人の模擬授業を見ると、普段どんなふうに子どもと関わっているかが透けて見えます。子どもたちを見る視線の温かさ。そして、想定している子どもの反応と疑問がリアルかどうか。見る側が「こんなにスムーズには進まないだろう」と感じるような想定で組んだ授業は、現場でも多分うまくいきません。
- 意図が見える——なぜそのタイミングでその発問をしたのか。なぜその立ち位置なのか。なぜそこで板書したのか。一つひとつの行動に理由がある授業は、面接官に伝わりやすくなります。逆に評価が伸びない授業は、意図を汲み取ろうとしても汲み取れない。理由なく何となく進めているからです。
- その人らしさが光る——この授業を通して子どもに何を学んでほしいか、何を感じてほしいか、どんな力を身につけてほしいか。その人なりの思いが授業に出ていること。知識を注入するだけの授業ではなく、「この内容を学んで、どうするの?」に自分の答えを持っていることです。
この3つは、神奈川県の評価の観点の「児童・生徒と向き合っているか」「安心感があるか」(子どもが見える)、「板書・指示は的確か」「子どもの意欲を引き出す構成か」(意図が見える)、「活気や熱意があるか」「教材作成に創意工夫はあるか」(その人らしさ)に、おおよそ対応しています(当ブログによる対応づけです)。
落ちる授業と受かる授業の違いは、実演で見るのが一番早いです。同じ単元を、知識を一方的に説明する授業と、生徒の当事者感を引き出す導入の授業で比べています。
模擬授業のあと、すぐに面接があります
神奈川県で忘れてはいけないのが、受験者の報告では同じ日に、模擬授業と同じ面接官3人が個人面接を行うことです。実録には、模擬授業について次のような質問が並んでいます。
- 模擬授業は何点でしたか。(複数の年度・校種で報告あり)
- 今日の模擬授業はどうでしたか。/模擬授業の感想を教えてください。
- どんなことを考えて導入を作りましたか。/この授業では生徒に何を身につけさせますか。
- 模擬授業は誰に見てもらいましたか。→ アドバイスを受けて変えたことを教えてください。
- (指導案から)子どもたちの主体性を伸ばす部分が書かれていますが、具体的にどのような引き出し方をしていますか。
- 模擬授業でルビ振りをしていましたが、何か意図はあったのですか。

「模擬授業は何点でしたか」への答え方は、点数とその理由、これからどう工夫したいかを一言添えると、よい内容になります。当ブログがおすすめする型は点数+できたこと+課題+改善策の4点セットです。謙遜しすぎても自信満々すぎても損。「70点です。◯◯はできましたが、△△が課題でした。次にやるなら□□します」——これなら「自ら学ぶ姿勢があるか」という個人面接の評価の観点にも沿います。
■ 神奈川県の個人面接|実録3年分・受験者19名の質問と出題傾向
■ 神奈川県の面接カードの書き方|面接で深掘りされる欄を実録から逆算
よくある質問
Q. テーマはいつ分かりますか?
A. 県のホームページで公開されます(令和9年度採用分は公開済み。実施要項には「6月下旬に公開予定」と記載)。第1次試験(7月5日)より前です。評価の観点は別途公開されます(令和9年度採用分は2026年7月6日更新。実施要項には「7月中旬に公開予定」と記載)。
Q. 単元は自分で決めるのですか?
A. はい。県が指定するのは「テーマ(視点)」で、その視点をどの単元・題材で表現するかは受験者が決めます。開始時に「受験番号 → 対象学年 → 単元または題材」を述べる形式です。養護教諭は対象学年・校種も自由という報告があります。
Q. 10分で授業が終わらなかったら減点ですか?
A. 神奈川県は「導入から展開にかけての最初の10分間」を実演する形式なので、1時間の授業が終わらないのは前提です。ただし片付けまで含めて10分なので、終了の合図(9分、または8分くらいという報告)のあと時間内に着席するまでが試験時間に含まれます。準備・片付けがもたつくと注意されるという報告もあります。
Q. 生徒役の受験者は答えてくれますか?
A. はい。報告では「同じグループになった受験者が子ども役となり、手を挙げたり、困ったふりをしたりする」「他の受験者が生徒役になって発問に答えてもらうことが可能」とあります。ただし生徒役から授業者への質問はできないというルールの報告があります。自分が生徒役になったときも、そこは採点されていると考えて誠実に取り組んでください。
Q. 指導案は何部持っていけばいいですか?
A. 実施要項には「指導案(A4用紙1枚の予定)は、試験当日に提出していただきます」とあるだけで部数の記載はありません。受験者報告では3部を提出したという記録があります(面接官3人分と考えると自然です)。当日の指示に従ってください。
Q. 実技試験とは別ですか?
A. 別です。実技試験(中学校・高等学校の音楽/美術/保健体育/家庭/英語、中学校の技術)は、面接試験日とは別の1日に実施されます(令和9年度採用は8月10日〜17日のうち1日)。ただし特別選考⑧(国公立学校正規教員)は実技試験が免除されます。
Q. 二次の倍率はどのくらいですか?
A. 神奈川県の第2次試験の倍率は令和6年度〜8年度採用は約2.0倍、令和9年度採用は2.3倍(令和9年度採用は1,900人受験・823人合格)。第2次試験は模擬授業・個人面接・論文が基本で、対象教科には実技試験もあります。ただし特別選考⑧では論文と実技が免除されます。
■ 神奈川県の倍率|令和9年度採用 第1次試験の結果と校種別・教科別の推移
■ 神奈川県の論文(小論文)|過去5年の出題テーマと600〜825字の書き方
この記事の実録は、受験された皆さんからの情報提供で成り立っています。ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございます。応援しています!
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