【教員採用試験】福島県の二次試験|模擬授業+個人面接の内容・日程・5年間の出題傾向(実録募集中)

こんにちは、金井志津乃です! 

福島県の二次試験って、模擬授業があるんですよね? 何分やるのか、テーマはいつ分かるのか、まったく情報が見つからなくて不安です……。

そうなんです。福島県の二次は「模擬授業+個人面接」の2本柱。しかも要項には「内容」しか書かれていなくて、時間もテーマの出し方も公表されていません。だからこそ、要項から確実に分かることと過去問集に残っている記録を切り分けて押さえるのが近道ですよ!

この記事では、福島県公立学校教員採用候補者選考試験の第二次選考試験について、令和9年度採用の実施要項と市販の全国版過去問集5年分の集計をもとに、内容・日程・評定方法・出題テーマの傾向をまとめます。

この記事の根拠と、正直にお伝えしておくこと

  • 福島県は、令和8年10月時点で、このブログに受験報告が1件も届いていません。そのため、この記事には「実際に聞かれた質問」のリストがありません。他県の記事のような実録アーカイブは、報告が集まり次第この記事に追加していきます。
  • そのかわり、日程・会場・試験内容・評定方法・評価の観点・配点は、令和9年度採用の実施要項から一次資料で確認しています(推測は書いていません)
  • 出題テーマの傾向は、市販の全国版過去問集に収録された福島県分(面接156問・令和4年度〜8年度採用)を独自に集計し、全国平均と比べて解説しています(設問文そのものは転載していません)
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
令和9年度採用(2026年夏実施)|選考の日程

出願(電子申請):令和8年4月22日(水)〜5月18日(月)17時/出願書類の郵送期限:5月29日(金)
第一次選考試験:7月11日(土)筆答試験・特別選考Ⅲ/Ⅳ面接、7月12日(日)実技試験
第一次選考試験の結果発表:令和8年8月6日(木)(要項の規定は「8月末日までに」)
第二次選考試験:9月5日(土)・6日(日)
第二次選考試験の結果発表:令和8年10月13日に名簿A登載者の受験番号を公表(正式には結果通知書で確認。要項の規定は「10月末日までに」)

出典:令和9年度福島県公立学校教員採用候補者選考試験実施要項(福島県教育委員会)、第一次選考試験合格者受験番号(令和8年8月6日発表)。
※令和10年度採用の日程は、実施要項の公開後に更新します。

二次試験の日程は校種によって日が分かれます。ここは意外と見落とされるので、最初に確認しておいてください。

校種第二次選考試験の期日会場
小学校教諭(中学校出願者の小学校併願を含む)9月5日(土)福島市立渡利小学校/福島市立杉妻小学校/福島大学附属小学校のいずれかを指定
中学校教諭・養護教諭9月6日(日)同上
高等学校教諭9月5日(土)・6日(日)福島県立福島工業高等学校
特別支援学校教諭9月5日(土)・6日(日)福島県立福島明成高等学校

※当日の細かい日程は「第二次選考試験受験対象者に対し、結果通知と併せて連絡します」と要項に書かれています。つまり一次合格通知が届くまで、当日の細かな日程は分かりません。
出典:実施要項「7 第二次選考試験の会場、日程、内容等」。

お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

二次試験の形式|30秒でわかる基本情報

試験内容出願書類審査・模擬授業(養護教諭受験者は場面指導)・個人面接・身体検査の4つ(要項に明記)
模擬授業小・中・高・特別支援のすべての校種で実施。養護教諭のみ、模擬授業に代えて場面指導。
評定模擬授業・個人面接ともA〜Eの5段階。模擬授業は「複数の評価者」、個人面接は「複数の面接者」が評定する(人数は非公表)。
評価の観点(模擬授業)教材に対する理解力、実践的な指導力、表現力 等
評価の観点(個人面接)指導力や専門性、教育に対する情熱や使命感、倫理観 等
出願書類審査「総合的な選考の資料として用います」=点数化や評定は行わない。ただし面接の材料にはなる。
身体検査二次試験当日に「教員採用身体検査書」(所定用紙⑩)を提出。判定は適否。
小論文令和9年度採用の実施要項には、一次・二次とも記載がありません
集団討論・集団面接同じく記載がありません(二次は模擬授業と個人面接のみ)
実技試験実技は第一次選考試験(7月12日)で実施。二次にはありません。
結果の開示模擬授業(養護教諭は場面指導)・個人面接のランク(A〜E)と身体検査の適否が、合否とともに各人へ通知される

出典:令和9年度福島県公立学校教員採用候補者選考試験実施要項「3(2)選考区分別受験資格及び選考方法」「7 第二次選考試験の会場、日程、内容等」「8 配点、評定及び評価方法」「10 選考試験結果の通知等」。

ここで一番大事なのは、模擬授業(養護教諭は場面指導)と個人面接はA〜Eの5段階で評定されるということ。書類審査と身体検査も、総合的な選考の資料に用いられます。二次の準備は、この2つの評定を意識して進めましょう!

科目何を見られるか(要項の評価の観点)準備の軸
模擬授業
(養護教諭は場面指導)
教材に対する理解力/実践的な指導力/表現力「教材をどう読んだか」を語れる状態にする。授業の一場面を、子どもの反応込みで再現できるまで練習する。
個人面接指導力や専門性/教育に対する情熱や使命感/倫理観志願書に書いた「志願理由(自己アピール)」の深掘り+倫理観=服務・不祥事への自分の言葉
出願書類審査点数化なし(総合的な資料)志願書は「面接の台本」。書いた内容から質問がつくられる前提で書く(書き方はこちら)。

模擬授業と個人面接、それぞれの中身は記事の後半で詳しく扱います。まずは、この人数の中で戦うのだという実感を持つために、令和9年度採用の数字を見ておきましょう。

福島県の倍率|令和9年度採用の志願状況と一次結果

この記事の「倍率」の定義

福島県教育委員会が公表している倍率は「志願者数 ÷ 採用予定者数」です。受験者数ベースではないので、他県の「受験倍率」より少し高めに出ます。以下の表もこの定義で統一しています。

令和9年度採用の志願者は1,417人、採用予定は660人程度、全体倍率は2.1倍でした(令和8年度採用は志願1,514人・採用予定665人程度・2.3倍)。

校種志願者数採用予定者数倍率第一次合格者数
小学校教諭337人300名程度1.1倍150人
中学校教諭442人230名程度1.9倍193人
高等学校教諭321人70名程度4.6倍74人
特別支援学校教諭122人40名程度3.1倍60人
養護教諭195人20名程度9.8倍23人
合計1,417人660名程度2.1倍延べ500人

※志願者数・倍率の出典:福島県教育委員会「令和9年度福島県公立学校教員採用候補者選考試験志願者数【訂正版】」。
第一次合格者数の出典:同「第一次選考試験 合格者受験番号」(令和8年8月6日発表・校種別5PDF)に記載された人数。
合計500人は5つのPDFの掲載人数を合算した延べ人数で、中学校と小学校の両方に掲載されている併願合格者26人を除くと私が集計の実人数は約474人です(474人は県が発表した数値ではありません)。高等学校・特別支援学校の合格者数には、特別選考Ⅰ及び一次免除者は含まれていません(PDFに明記)。また志願者数は大学3年生等特別選考(408人)を含まない数です。定義が揃わないため、志願者数と一次合格者数を割り算した「一次倍率」はこの記事では出していません。

福島県の一番の特徴は、小学校が1.1倍ということ。数字だけ見れば「ほぼ全入」に見えますが、実際には毎年きちんと不合格者が出ています。低倍率の県ほど「二次で落ちる」怖さがある——ここは絶対に油断しないでくださいね。

年度ごとの推移、教科別の志願者数と名簿登載者数、養護教諭が9.8倍になる理由、そして二次結果が出たあとの最終倍率は、倍率の専用記事にまとめています。

■ 福島県の倍率|令和9年度採用の志願状況・一次結果と4年間の推移(校種別・教科別)
■ 福島県の特別選考と一次免除ルート|大学3年生前倒し・大学推薦・講師経験者・地域採用枠・加点制度

この記事は、あなたの報告で完成します

正直にお伝えします。福島県については、令和8年10月時点で、このブログに受験報告が1件も届いていません。

他県の記事では「模擬授業は何分だったか」「テーマはいつ渡されたか」「面接官は何人だったか」「どんな追質問が来たか」といった、要項には絶対に書かれていないことを、受験された方の報告で埋めています。福島県だけ、令和8年10月時点で、そこが真っ白なんです。

もしあなたが福島県を受験されたなら、ぜひ次に受験する方のために教えてください。10分ほどで入力できるフォームです。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム

「自分の記憶があいまいで、役に立たないかも」と思われるかもしれませんが、1行でも十分です。「模擬授業は◯分だった」だけでも、来年の誰かにとっては金塊のような情報になりますよ!

① 出題傾向|福島県は「倫理観」を全国平均の3倍聞いてくる

受験報告が集まるまでの間、頼りになるのが市販の全国版過去問集です。私は各社の過去問集から福島県分を抜き出してデータベース化し、テーマ別の出現率を全国平均と比較しています。

福島県分の収録は面接156問(個人面接143・場面指導13)、年度は令和4年度〜8年度採用です。ただし令和5年度採用(2022年夏実施)は1問しか収録がなく、実質4年分とお考えください。母数が少ないので比率の振れ幅は大きいのですが、それでも1つだけ、はっきりと突き抜けている項目があります。

テーマ福島県(面接1,000問あたり)全国平均比較
体罰・服務・不祥事71件22件約3.2倍
いじめ26件16件やや多い
学級経営26件27件ほぼ平均
保護者対応26件37件ほぼ平均
志望動機26件39件やや少ない
ICT・端末19件19件平均どおり
自己PR・長所短所19件32件やや少ない
授業づくり45件87件少ない
部活動6件22件少ない
ストレス・メンタル0件16件収録なし

※私が市販の全国版過去問集から福島県分156問を集計したものです。収録数が少ないため、比率はあくまで傾向としてお読みください。

「体罰・服務・不祥事」が全国平均の約3.2倍。これは、要項に書かれた個人面接の評価の観点「指導力や専門性、教育に対する情熱や使命感、倫理観 等」と、きれいに一致しています。福島県は「倫理観」を評価の観点として明記しており、それが実際の質問にも表れていると考えられます。

ここで気をつけたいのは、「研修を受けます」「規範意識を持ちます」だけでは全員が同じ答えになるということ。私がおすすめしているのは、次の3層で組み立てることです。

  • 個人として——不祥事は「疲れているとき・追い込まれているとき」に起きるという自覚。自分の「危ないパターン」を1つ言語化しておく。
  • 同僚として——「あれ?」と思ったときに声をかけられる関係をつくる側に回る。報告・連絡・相談ができる職場は、自分で育てるものだと考える。
  • 組織として——複数人で対応する、記録を残す、密室をつくらないという仕組みで防ぐ

過去問集の収録を見ると、福島県では「不祥事を防ぐために自分が心がけること」だけでなく、「周りの人が不祥事を起こさないために、自分にできる役割は何か」という角度からも問われた記録が残っています。個人の心がけで止めるのではなく、組織の一員としての答えまで用意しておいてください。

② 福島県ならではの質問|「はま・なか・あいづ」を知っているか

過去問集の収録を読み通すと、福島県には特徴的と思われる質問の傾向がうかがえます。テーマとしては、大きく次の3つに集約されます(設問文そのものは著作物のため転載していません)。

(1)勤務地と異動への覚悟

「県内のどこでも勤務できるか」「福島県の人事異動の仕組みを知っているか」という趣旨の質問が、複数の年度で繰り返し記録されています。これは福島県の地理的な特殊性そのものです。実施要項の冒頭にも、県が大切にしている「福島らしさ」として「『はま・なか・あいづ』に代表される広い県土だからこその多様性」が挙げられています。

浜通り・中通り・会津。この3つの地域は気候も産業も歴史もまったく違い、教員は原則としてこの3地域をまたいで異動します。さらに要項では「奥会津(中山間地域を含む)採用枠」「相双採用枠」という地域採用枠も設定されていて、こちらを選ぶと採用後10年程度その地区に勤務することになります。

ですから「どこでも大丈夫です」と答えるだけでは足りないと私は考えています。「どこでも大丈夫です。特に◯◯地域では〜という教育がしたいと思っています」まで言えると、覚悟が伝わります。結論を先に出して答えられるよう準備しておくと安心です。

(2)「福島の子ども」「福島らしい教育」をどう語るか

これも福島県に特徴的です。「福島の子どもたちの良さは何か」「福島らしい教育とはどのようなものか」といった、県そのものについての理解を問う質問が、複数年度で記録されています。

ここは、県外の方ほど準備で差がつくところです。答えの土台は、実施要項の冒頭に書かれている県の言葉そのものにあります。

福島県が定義する「福島らしさ」(実施要項より)
  • 「はま・なか・あいづ」に代表される広い県土だからこその多様性、それぞれの地域の文化と歴史、豊かな自然環境といった独自性
  • 人と人との触れ合いや支え合いの精神など、人々の温かさや絆が息づいている県民性
  • 東日本大震災及び原子力災害によって他の地域よりも複雑で多くの課題を抱える中で、地域の人々が手を取り合って果敢に挑戦を続けていること

出典:令和9年度福島県公立学校教員採用候補者選考試験実施要項(第7次福島県総合教育計画より)

3つ目の「震災・原子力災害を抱えながら挑戦を続けている」という一文は、福島県が自らの言葉として要項の冒頭に置いているものです。この重さを踏まえずに「自然が豊かで人が温かい県です」とだけ答えると、表面をなぞった印象になりやすいです。ご自身の経験と結びつけて、自分の言葉で語れるようにしておいてください。

(3)併願状況を必ず確認される

「他の自治体は受験しているか」「全部受かったらどうするか」という趣旨の確認も、収録の中に繰り返し出てきます。志願書の入力項目にも「他県等との併願状況」が明記されているので、書類に書いた内容がそのまま質問になると考えてください。

併願を隠す必要はありません。大切なのは「なぜ、その中でも福島県が第一志望なのか」を一言で言い切れることです。志願書の入力項目と、面接で聞かれる欄の逆算は志願書の専用記事にまとめました。志望動機の作り方は、こちらの動画で例文つきに解説しています。

③ 面接の進み方|追質問は少ない傾向、テーマが次々に変わる想定で

集計でもうひとつ見えたのが、追質問の少なさです。ひとつの質問に「→ それはなぜ?」「→ 具体的には?」と掘り下げが続いた記録は156問中6問(3.8%)。全国平均は約10.5%なので、3分の1程度です。

これは「深掘りされない=楽」という意味ではありません。むしろ逆で、追質問が少ない面接ではひとつの答えを長く話して挽回するチャンスが少ないと考えられます(私の集計からの見立てです)。テーマが次々に変わるので、1問あたり30秒〜1分で、結論から言い切る練習をしておいてください。

面接の人数・時間について、実施要項には記載がありません。ただし市販の過去問集に添えられた受験報告のメモには、「面接官2人・20分」「面接官3人・15分」という記録が残っています。また年度・校種によっては「第1面接・第2面接」と面接が2回に分かれた記録や、特別支援学校で1回目は特別支援教育に特化した内容、2回目は教職全体の資質という記録もありました。いずれも要項に明記のない情報なので、参考程度にとどめて、当日の案内に従ってください。

なお、特別選考Ⅲ・Ⅳ(スポーツ・芸術・社会人経験等)を受験する方は、第一次選考試験に個人面接(15分)があります。こちらは要項に時間まで明記されていて、2名の面接者がA〜Eの5段階で評定、評価の観点は「指導力、人間的な魅力、教育に対する情熱や意欲 等」です。二次の観点とは少し違い、「人間的な魅力」が入っているのが特徴です。

④ 模擬授業|A評価をとる3つの要素

福島県の二次で、個人面接と並ぶもう一方の柱が模擬授業です。小・中・高・特別支援のすべての校種で実施されます(養護教諭のみ場面指導)。

実施要項に書かれているのは「模擬授業」という名称と、評価の観点=教材に対する理解力、実践的な指導力、表現力 等だけです。時間・テーマの出し方・板書の可否・児童生徒役の有無は、いずれも公表されていません。私にも福島県の受験報告が令和8年10月時点で届いていないため、ここは正直に「分かりません」とお伝えします。(受験された方、ぜひ報告フォームから教えてください!)

ただ、模擬授業で評価されるポイント自体は、自治体が違っても共通する部分が多いと私は考えています。私はこれまで多くの方の模擬授業を個別に指導してきましたが、評価が高い人には共通して3つの要素があります。

  • ① 子どもが見える——目の前に子どもがいないのに、子どもがいるように見える授業。「この場面で子どもはこう反応するだろう」「こんな疑問を持つだろう」という想定がリアルで、その反応に的確に対応できている。普段どんなふうに子どもと関わっているかが、視線と表情に丸ごと出ます。
  • ② 意図が見える——なぜこの構成なのか、なぜこの立ち位置なのか、なぜこのタイミングでこの発問なのか。ひとつひとつに理由がある。評価が伸びない授業は、意図を汲み取ろうとしても汲み取れません。意図を持たずに何となく進めているからです。
  • ③ その人らしさが光る——この授業を通して子どもたちに何を学んでほしいのか、どんな力をつけてほしいのか。知識を注入するだけの授業ではなく、「この授業で何を感じてほしいか」という思いが出ている授業は、面接官の心に残ります。

この3つは、福島県が挙げている評価の観点「教材に対する理解力、実践的な指導力、表現力 等」と重なる部分があります。観点を意識しすぎて硬くなるより、この3つで自分の授業をチェックするほうが実践的です。

「落ちる模擬授業」と「受かる模擬授業」を、実演して比べた動画もあります。頭で分かっていても実演になると崩れるのが模擬授業なので、まず“違い”を目で見ておくのがおすすめです。

テーマがいつ渡されるか分からない以上、「どの単元が来ても、導入5分は組める」状態をつくっておくのが最強の保険です。得意な単元を1つ完璧に仕上げるより、導入の型を1つ持って、単元を差し替える練習をしてみてください!

⑤ 場面指導(養護教諭)|「A教諭の問題点」を問う型

養護教諭受験者は、模擬授業に代えて場面指導が課されます(要項に明記)。ここは福島県の過去問集に、養護教諭以外の校種向けを含めて13件の記録があり、しかも型がはっきりしています。

収録されている課題は、いずれも「教員の初期対応がまずかったケース」を数行の文章で読ませる形式です。たとえば、保健室に来た子の訴えを軽く受け止めてしまった、担任に伝えなかった、部活動中のけがを様子見にしてしまった——といった場面が描かれ、そのうえで「この教諭の問題点を挙げてください」「あなたがこの教諭だったら、このあとどう対応しますか」と問われる形です。

つまり過去問集の収録を見るかぎり、福島県の場面指導は、「自分ならどうするか」を実演する形式ではなく、「他人の失敗を分析して、正しい手順を言葉で示す」形式が目立つようです。ここが分かっているだけで、準備の方向が大きく変わります。

この型に効く答え方の順番

  • 問題点は「複数」挙げる——1つで止めると「他にありますか」と追加を求められることがあります。最初から2〜3個用意する。
  • 「一人で抱えた」を入れることをおすすめします——収録されているケースの多くに共通するのが、担任・養護教諭・管理職の間で情報が共有されていないことです
  • 判断に迷ったら、速決せずにまず事実の詳細を把握するために聞く——軽率に答えてしまったと気づいたら、管理職や学年主任に確認する時間をいただくなど、誠実に改める
  • 子ども本人がどうしたいかを聴く——教師が正解を決めるのではなく、本人の気持ちや意向を理解したうえで、選択肢を示しながら一緒に解決策を見出していく

収録されたケースの背景には、いじめ、不登校・保健室登校、虐待の疑い、部活動中の事故、体調不良の訴え、担任の高圧的な指導といったテーマが並んでいます。どのテーマが来ても崩れない考え方の軸は、こちらの動画にまとめています。

なお、過去問集には小学校・中学校の受験者向けの場面指導課題も記録されている年度があります。現行(令和9年度採用)の要項では場面指導は養護教諭のみですが、個人面接の中で同じような場面を口頭で問われる可能性は十分にあります。養護教諭以外の方も、上の4ステップは押さえておいて損はありません。

⑥ 過去の小論文テーマから読み取れる「福島県の関心」

令和9年度採用の実施要項には、小論文(論作文)の記載がありません。一次にも二次にも出てきません。ですので、令和9年度採用の受験では小論文の対策は不要でした。令和10年度採用の要項で、改めて確認してください。

ただ、過去には実施されていた時期があり、私の過去問データベースには29件のテーマが残っています。これが、「福島県は何を大事にしている県なのか」を知る手がかりとしてとても優秀なんです。模擬授業のテーマ設定や、個人面接で教育観を語るときの材料になります。

収録されているテーマを整理すると、次のような柱が見えてきます(設問文は転載せず、テーマの要旨のみ示します)。

柱扱われていたテーマの要旨
県の計画に直結第7次福島県総合教育計画の「個人と社会のWell-being」、「学びの変革」、「福島ならでは」の教育
学びの質個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実、ICT環境を活用した授業、言語活動の充実、家庭学習の質的向上
多様性と包摂通常の学級における特別な支援を要する子どもへの学級づくり、交流及び共同学習、男女共同参画(ふくしま男女共同参画プラン)
子どもを守る不登校(県内の小中学校で過去最多と示された年度あり)、ヤングケアラー、性同一性障害に係る児童生徒への支援、心のケア
養護教諭の専門性健康相談・日常的な観察からサインに気づく立場、学校全体の取組を進めるコーディネーター役、歯と口の健康づくり(県の学校保健統計を提示)
教員自身カリキュラム・マネジメント、校則の見直し(生徒指導提要の改訂を踏まえて)

※出典:私の公刊過去問データベース(市販の全国版過去問集より福島県分29件を集計)。
年度は令和4年度〜6年度採用。課題文は転載していません。

目を引くのは、県の統計や県の計画を課題文に引いてくるという出し方の多さです。「福島県内の児童生徒の◯◯は全国と比べて〜」「第7次福島県総合教育計画では〜」という形で、受験者に県の資料を読ませてから書かせる。面接でも同じ発想で問われる可能性があると考えられます。

だから福島県の対策は、「第7次福島県総合教育計画」を一度は自分の目で読んでおくことに尽きます。全部を暗記する必要はありません。「学びの変革」「個人と社会のWell-being」「福島ならでは」——この3語を、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう!

福島県が求める教員像|すべての答えの着地点

福島県が求める教員(実施要項冒頭より)

福島県は、「自分の人生を切り拓くたくましさを持ち、多様な個性をいかし、対話と協働を通して、社会や地域を創造することができる児童生徒」を育成するために、学びの変革を実現できる次のような教員を求めています。

  • 「福島らしさ」をいかした多様性を力に変える教育と、福島で学び、福島に誇りを持つことができる「福島を生きる」教育を実践する教員
  • 高い倫理観と教育に対する情熱・使命感を持ち、児童生徒に伴走しながら学び続ける教員
  • 心身共に健康で、自らの強みや指導力をいかし、チームとして多様化・複雑化する教育ニーズに対応する教員

※「学びの変革」=全ての子どもに必要な力を育成するため、一方通行の画一的な授業から、個別最適化された学び、協働的な学び、探究的な学びへと変革すること。
出典:令和9年度福島県公立学校教員採用候補者選考試験実施要項(第7次福島県総合教育計画より)

この3つを、個人面接の評価の観点と並べてみてください。

求める教員像対応する評価の観点面接で聞かれる形
「福島らしさ」をいかす/「福島を生きる」教育指導力や専門性福島の子どもの良さ/福島らしい教育/勤務地への覚悟
高い倫理観・情熱・使命感/学び続ける倫理観・教育に対する情熱や使命感不祥事・服務(全国平均の約3.2倍)/志望動機/学び続ける姿勢
心身共に健康/チームとして対応指導力健康管理/同僚との連携/組織の一員としての役割

きれいに対応しています。2つ目の「高い倫理観」が、そのまま個人面接の評価の観点にも、過去問集で全国平均を大きく上回ったテーマにも表れている——これが福島県対策の一本の芯です。

また、場面指導や生徒指導に関する回答を考えるうえでは、文部科学省の『生徒指導提要(改訂版)』が必読です。過去の小論文でも校則の見直しに関するテーマが出ており、県として改訂内容を意識していることがうかがえます。

面接対策の全体像は、こちらの動画で体系的にまとめています。個別の質問対策に入る前に、一度これで土台を固めるのがおすすめです。

傾向と対策|福島県の二次で押さえる7つの法則

  • 法則1:二次でA〜Eの評定が付くのは模擬授業(養護教諭は場面指導)と個人面接です。書類審査は点数化されず、身体検査は適否のみ。この2つのA〜E評定を軸に準備する。
  • 法則2:「倫理観」が評価の観点に明記されている。過去問集でも服務・不祥事の出現率が全国平均の約3.2倍。個人・同僚・組織の3層で答えを用意する。
  • 法則3:勤務地の覚悟を確認される傾向があります。浜通り・中通り・会津をまたぐ異動がある県。「どこでも大丈夫です」+「特に◯◯地域で〜したい」まで言えるように。
  • 法則4:「福島の子ども」「福島らしい教育」を語れるようにする。要項冒頭の「福島らしさ」3項目が答えの土台。震災・原子力災害への言及を避けない。
  • 法則5:追質問は少なく、テーマが次々に変わる。1問30秒〜1分、結論から。長く話して挽回するチャンスは少ない。
  • 法則6:模擬授業は「子どもが見える・意図が見える・らしさが光る」。テーマの出し方が非公表なので、単元を差し替えられる「導入の型」を1つ持つ。
  • 法則7:養護教諭の場面指導は「他人の失敗を分析する」型。問題点を複数挙げ、事実確認→共有→対応→記録の順で答える。

よくある質問

Q. 模擬授業は何分ですか? テーマはいつ分かりますか?

A. 実施要項には記載がありません。要項には「模擬授業(養護教諭受験者は場面指導)、個人面接」という内容と、「日程等の詳細は第二次選考試験受験対象者に対し、結果通知と併せて連絡します」とあるだけです。私にも福島県の受験報告が令和8年10月時点で届いていないため、正確なことをお伝えできません。受験された方、ぜひ報告フォームから教えてください。

Q. 小論文はありますか?

A. 令和9年度採用の実施要項には、一次・二次とも小論文(論作文)の記載がありません。過去には実施されていた時期があり、私のデータベースには令和4年度〜6年度採用の29テーマが残っていますが、令和9年度採用の選考には含まれていませんでした。ただし過去のテーマは「福島県が何を大事にしているか」の資料として非常に有用なので、この記事の⑥で要旨を整理しています。

Q. 集団討論や集団面接はありますか?

A. ありません。令和9年度採用の実施要項に記載がなく、二次は「出願書類審査・模擬授業(養護教諭は場面指導)・個人面接・身体検査」の4つのみです。他県と併願していて集団討論の練習をしている方も、福島県については模擬授業と個人面接に時間を振り分けてください。

Q. 二次試験の結果はいつ分かりますか?

A. 要項には「10月末日までに福島県庁前掲示場に採用候補者名簿登載者の受験番号を掲示するほか、各人宛に通知します」とあります。令和9年度採用では、令和8年10月13日に県のウェブページに名簿A登載者の受験番号が掲載されました(正式には結果通知書で確認してください)。発表日から1か月間は、福島県教育委員会のウェブページでも受験番号が公開されます。

Q. 得点や評価は教えてもらえますか?

A. はい。令和9年度採用の要項では、二次については模擬授業(養護教諭は場面指導)・個人面接のランク(A〜Eの5段階)と身体検査の適否が、合否とともに各人宛に通知されます。一次については筆答試験・実技試験の得点、不合格者にはさらに不合格者の中での総合ランク(A〜Cの3段階)が開示されます。この開示は、次の受験に向けた最強の材料です。必ず保管しておいてください。

Q. 「採用候補者名簿A」「名簿B」とは何ですか?

A. 福島県は合格者を2種類の名簿に分けて登載します。名簿Aは原則として令和9年4月1日付で採用、名簿Bは他県でいう補欠に近い位置づけと考えられ、令和8年11月末までに名簿Aへ繰り上がる場合があります。繰り上がらなかった場合も、翌年度に募集がある校種等・教科(科目等)のうち、本年度と同一のものを志願し、所定の手続きを行うことにより第一次選考試験が免除されます(その年度の翌年度に限る)。詳しくは特別選考・一次免除の記事にまとめました。

Q. 二次で落ちたら、次の年度はまた筆記からですか?

A. いいえ。一次に合格(併願の場合は第一志望で合格)して二次を有効に受験し、名簿登載にならなかった方は、翌年度の第一次選考試験が免除されます(翌年度に募集がある同一の校種等・教科(科目等)を志願し、所定の手続きを行う場合に限る/採用辞退者を除く/その翌年度1回限り)。令和9年度採用の受験番号が確認できる書類(受験票・二次結果通知など)は必ず保管しておいてください。

Q. 大学院に進学予定でも受験できますか?

A. できます。二次に合格した方で国内の大学院・教職大学院前期課程に進学予定または在籍中の場合、所定の手続きにより最大2年間、名簿登載を猶予できます。ただし猶予期間内に専修免許状を取得することなどが条件です。出願時に「名簿登載猶予願い」(所定用紙⑪)の提出が必要で、提出がないと大学院に合格しても猶予は受けられません。

面接の手応えが気になる方へ

福島県は、二次が9月上旬で、令和9年度採用の発表は10月13日でした。1か月以上結果を待つ県です。「あの答えでよかったのか」と何度も面接を再生してしまう時期が長いということでもあります。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由はこちらの記事にまとめています。

■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由

また、もし令和9年度採用で二次まで進んで名簿Aに載らなかった場合でも、福島県には、所定の条件を満たせば翌年度の一次免除という仕組みがあります。進路の考え方はこちらにまとめました。

■ 教員採用試験に落ちたらどうする?進路の選択肢とやるべきこと

そして繰り返しになりますが、この記事は令和8年10月時点で未完成です。福島県を受験された方の1行が、次にこの記事を読む誰かを救います。受験報告フォームから、どうか教えてください。応援しています!

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