こんにちは、金井志津乃です!

岩手県の二次試験って、何をするんですか? 小学校は模擬授業がないという話を聞いたのですが……。

本当です! 岩手県の第2次選考は個人面接・模擬授業・実技試験の3本で組まれていますが、小学校教諭は個人面接だけ。中学校の模擬授業も国語・社会・数学の3教科だけなんです。自分の校種・教科が何を受けるのかを最初に確定させるところから始めましょう。
この記事では、岩手県公立学校教員採用候補者選考の第2次選考について、令和9年度採用(2026年夏実施)の実施要項と、市販の全国版過去問集から集計した出題傾向をもとに、内容・日程・準備の順番をまとめます。
この記事の根拠
- 岩手県は、令和8年10月時点で、このブログに受験報告が1件も届いていません。「実際に聞かれた質問はこれです」と書けるだけの一次情報がないため、この記事では質問リストを載せていません。そのかわり、実施要項・選考結果の公表資料・市販過去問集の集計という公開データを徹底的に読み込んで、二次の全体像を組み立てています。
- 日程・実施科目・配点・着眼点・提出書類は、令和9年度採用(2026年夏実施)の実施要項と照合済み。数字はすべて原典からで、推定は使っていません。
- 市販の全国版過去問集から岩手県分88件(個人面接65・実技15・模擬授業3・小論文5)を独自に集計し、全国平均と比べた出題傾向を確認しました(個別の設問は転載していません)
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
申込(電子申請):令和8年4月10日(金)〜4月24日(金)17:00
申込(書類郵送・簡易書留):4月10日(金)〜4月27日(月)消印有効
受験票作成完了通知メール:5月下旬(6月2日までに届かない場合は要問合せ)
第1次選考:7月11日(土)/第1次選考結果:8月6日(木)午後3時頃
第2次選考〈個人面接・模擬授業〉:8月中旬〜9月中旬のうち別途通知される日
第2次選考〈実技試験〉:8月29日(土)/会場:岩手県立杜陵高等学校(盛岡市上田2-3-1)
第2次選考結果:9月28日(月)午後3時頃
岩手県で最初に押さえてほしいのは、個人面接・模擬授業の日程が「8月中旬〜9月中旬」と1か月も幅があることです。自分の試験日は第1次選考結果の通知で初めて分かります。一次発表(8月6日)のすぐ後に呼ばれる可能性もあれば、1か月以上先になる可能性もあるということ。一次の前から二次の準備を始めておかないと、早い日程を引いたときに間に合いません。
※出典:令和9年度岩手県公立学校教員採用候補者選考実施要項。
令和10年度採用の日程は、要項の公開後に更新します。
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
第2次選考の形式|30秒でわかる基本情報
| 構成 | ①個人面接(全員) ②模擬授業(該当する校種・教科) ③実技試験(該当する教科)の3本立て(実施要項「6 第2次選考(3)選考の方法」) |
| 対象 | 一般選考・一般選考A・C・Eの第1次選考合格者と、第1次選考が全部免除の一般選考B(他都道府県現職教員)・一般選考D(元岩手県教員)の受験者。大学3年生通過者選考も同じ日程で実施。 |
| 個人面接 | 全校種・全教科で実施。着眼点は「意欲・探究心・使命感・責任感・倫理観・教育的愛情・人権意識・コミュニケーション力 等」(要項) |
| 模擬授業 | 中学校は国語・社会・数学のみ。高等学校は全員(理科は観察・実験の基本操作、英語は英会話の実技的要素を含む)。特別支援学校は全員で「各教科等を合わせた指導」。養護教諭は実技的な要素を含む模擬保健指導。小学校教諭は要項の表で模擬授業の欄が斜線(記載なし)。 |
| 実技試験 | 8月29日(土)・岩手県立杜陵高等学校。中学校は理科・音楽・美術・保健体育・技術・家庭・英語、高等学校は音楽・美術・書道・保健体育・家庭、特別支援学校(中学部・高等部)は音楽・美術・保健体育・家庭。 |
| 小論文 | 令和9年度採用の要項に、小論文(論作文)の実施はありません。一次免除を受けない一般選考は教科等専門(200点)+教職専門(50点)の筆答試験です。一般選考A・C・Eは教職専門を免除して教科等専門250点、一般選考B・Dなどは一次全部免除です。 |
| 集団討論・集団面接 | 要項に記載はありません。第2次選考は個人面接・模擬授業・実技試験です。 |
| 結果発表 | 9月28日(月)午後3時頃。県ホームページと岩手県庁前掲示板に受験番号を公表+受験者全員に簡易書留で郵送。第2次選考は成績と選考結果があわせて通知されます(口頭開示は行われません)。 |
※出典:令和9年度岩手県公立学校教員採用候補者選考実施要項(岩手県教育委員会)
校種・教科別|あなたが二次で受けるもの
岩手県の二次でいちばん間違えやすいのが、ここです。同じ中学校でも、教科によって受ける試験が違います。
| 校種・職種 | 個人面接 | 模擬授業 | 実技試験 |
|---|---|---|---|
| 小学校教諭 | 全員 | なし | なし |
| 中学校教諭(国語・社会・数学) | 全員 | あり | なし |
| 中学校教諭(理科・音楽・美術・保健体育・技術・家庭・英語) | 全員 | なし | あり |
| 高等学校教諭(全教科) | 全員 | 全員(理科は観察・実験の基本操作、英語は英会話の実技的要素を含む) | 音楽・美術・書道・保健体育・家庭(書道は大学3年生通過者選考では募集なし) |
| 特別支援学校教諭(小学部) | 全員 | 全員(「各教科等を合わせた指導」) | なし |
| 特別支援学校教諭(中学部・高等部) | 全員 | 全員(「各教科等を合わせた指導」) | 音楽・美術・保健体育・家庭 |
| 養護教諭 | 全員 | 模擬保健指導(実技的な要素を含む) | — |
※出典:実施要項9ページ「6 第2次選考(3)選考の方法」。表の「なし」は、要項の表で斜線(記載なし)となっている欄を読み取ったものです。
大学3年生通過者選考も、募集のある校種・教科については同じ試験構成です(要項18ページ)。ただし令和9年度採用の同選考では、高等学校「書道」は募集されていません。

この表、コピーして手元に置いておいてください。小学校教諭は個人面接だけ——つまり二次の合否が個人面接1本で決まるということです。逆に高等学校は全員が模擬授業を受けます。準備の配分がまったく変わりますよね。
【個人面接】意欲/探究心/使命感/責任感/倫理観/教育的愛情/人権意識/コミュニケーション力 等
【模擬授業】授業に関する基礎・基本の理解と実践力
※出典:実施要項9ページ「(4)個人面接・模擬授業の着眼点」。
配点は要項に公表されていません(第1次選考の配点は250点満点と明記されていますが、第2次選考の配点の記載はありません)。
この8項目は、そのまま面接ノートの見出しになります。「意欲」「使命感」は志望動機で、「倫理観」は服務・コンプライアンスの質問で、「教育的愛情」「人権意識」は児童生徒への関わり方の質問で、それぞれ見られると考えられます。自分の答えが8項目のどれを証明しているのかを意識して準備すると、面接全体に一貫性が出ます。
岩手県の倍率|令和9年度採用の第1次選考結果
令和8年8月6日に公表された第1次選考結果です(一般選考)。採用予定360人に対して、申込860人・第1次選考受験625人・第1次選考免除171人・第1次選考合格539人でした。
| 校種 | 採用予定 | 申込者 | 1次受験者 | 1次免除者 | 1次合格者 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 230人程度 (小・中計。大学3年生通過者選考とあわせて) | 245人 | 151人 | 83人 | 198人 |
| 中学校 | 238人 | 179人 | 50人 | 132人 | |
| 小・中学校 計 | 483人 | 330人 | 133人 | 330人 | |
| 高等学校 | 110人 (県立学校計) | 195人 | 159人 | 18人 | 118人 |
| 特別支援学校 | 65人 | 53人 | 8人 | 44人 | |
| 県立学校 計 | 260人 | 212人 | 26人 | 162人 | |
| 養護教諭 | 20人 | 117人 | 83人 | 12人 | 47人 |
| 総計 | 360人 | 860人 | 625人 | 171人 | 539人 |
※1次受験者は1次選考免除者・当日欠席者を除く数、1次免除者は一般選考B・一般選考D及び大学3年生選考通過者の合計、1次合格者は1次選考免除者を含む数(いずれも県の定義)。
出典:岩手県教育委員会「令和9年度教員採用選考特別選考結果及び一般選考受験者数について」(令和8年8月6日現在)
一般選考の第1次選考合格者は、免除者を含め539人、採用候補者は330人でした。両者の比は約61.2%ですが、二次の実受験者数を分母にした合格率ではありません。また、採用予定360人には特別選考分も含まれます。だからこそ、この記事で扱う個人面接と模擬授業に時間を使う価値があります。
なお、令和9年度採用の第2次選考結果は令和8年9月28日(月)に発表され、一般選考は採用候補者330人・倍率2.4倍(小学校1.7倍・中学校計2.9倍・高等学校計2.5倍・特別支援学校計2.3倍・養護教諭4.8倍)でした。前年の令和8年度採用の倍率は総計2.3倍(小学校1.7倍・中学校計2.2倍・高等学校計3.4倍・特別支援学校計2.3倍・養護教諭2.6倍)でした。校種別・教科別の詳しい数字と推移は、倍率の専用記事にまとめています。
■ 岩手県の倍率|令和9年度採用の結果と推移(校種別・教科別)
■ 岩手県の特別選考と一次免除ルート|大学3年生選考・大学推薦・現職教員・講師経験者・加点制度
① 個人面接|岩手県の二次の中心
岩手県の第2次選考は、全校種・全教科で個人面接が課されます。小学校教諭は、要項の表の読み取りでは個人面接だけです。要項には回数や時間の記載がありませんが、市販の全国版過去問集に残された形式メモを集計すると、次のような記録が確認できます。
市販過去問集に記録された形式メモ(岩手県・年度と校種はまちまち)
- 面接1回目3人・2回目3人/各15分
- 面接官3人×3回/10分×3
- 面接1回目2人・2回目3人・3回目4人/30分
- 面接官2〜4人/30分(面接3回、各10分)
共通しているのは「面接が複数回に分かれている」という点です。10分×3回、15分×2回といった形で、面接官の組み合わせを変えながら合計30分前後という記録が目立ちます。1回あたりは短く、そのぶん回数があるという記録です。

複数回方式で怖いのは、2回目・3回目で答えがブレることです。面接官が変われば、当然また志望動機を聞かれます。そのたびに違うことを言ってしまうと、通しで見たときに「この人は何をしたいんだろう」となってしまう。核になるメッセージを1つ決めて、どの部屋でもそこに戻ってくる——これが複数回面接で意識したい点です。なお、回数・時間は年度や校種で変わりますので、必ず受験年度の通知で確認してくださいね。
出題テーマの傾向|岩手県は志望動機が全国平均の2.5倍
市販の全国版過去問集から岩手県の個人面接65問(令和4・5・7・8年度採用の4年分)を集計し、全国平均と比べました。母数が小さいので比率の振れ幅は大きい点はご承知おきください。それでも方向性ははっきり出ています。
| テーマ | 岩手県(面接1,000問あたり) | 全国平均 | 比較 |
|---|---|---|---|
| 志望動機 | 96件 | 39件 | 約2.5倍 |
| 学級経営 | 36件 | 27件 | やや多い |
| 授業づくり | 36件 | 87件 | 少なめ |
| 自己PR・長所短所 | 24件 | 32件 | 同程度 |
| SNS | 24件 | 8件 | 約3倍 |
| キャリア教育 | 12件 | 1件 | 突出 |
| いじめ/不登校/ICT/部活動/地域連携/働き方 | 各12件 | 11〜22件 | 同程度 |
| 体罰・服務・不祥事 | 12件 | 22件 | 少なめ |
| 保護者対応 | 12件 | 37件 | 少なめ |
| 特別支援・合理的配慮/ストレス・メンタル/外国籍・多様性 | 0件 | 5〜18件 | 収録なし |
※私が市販の全国版過去問集から独自に集計した数値です(設問は転載していません)。岩手県の収録は個人面接65問と少ないため、参考値としてご覧ください。
ここから見える岩手県の個人面接の性格は、はっきりしています。授業づくりや保護者対応といった「技術」の質問は相対的に少なく、志望動機・自己PR・学級経営といった「あなた自身」を問う質問に寄っているということ。着眼点に「意欲・使命感・責任感・教育的愛情」が並んでいるのと、きれいに一致します。
もう一つ、集計していて目を引いたのがコンプライアンスに関する質問です。「守れるか」だけでなく「どう定義するか」「守ることをどう思うか」まで踏み込んで聞かれている記録があります。要項の着眼点にも「倫理観」が明記されていますから、岩手県を受けるなら備えておきたいテーマです。
この種の質問は、「規範意識を持ちます」「研修を受けます」で終わらせないのがコツです。次の3層で組み立ててみてください。
- 個人として——不祥事は、疲れているとき・追い込まれているときにこそ起きるという自覚。自分にとっての「危ないパターン」を1つ言葉にできるか。
- 同僚として——「あれ?」と思ったときに声をかけ合える関係をつくる側に回る。報告・連絡・相談を自分から。
- 組織として——複数人で対応する、記録を残す、密室をつくらないという仕組みで考える
志望動機は「思い出話」で終わらせない
この集計では、岩手県で最も出現率が高かったのが志望動機です。しかも面接が複数回に分かれる年度がありますから、同じ日に2回・3回と志望動機を語る可能性があります。ここは優先して仕上げておきましょう。
面接官が志望動機を聞くのは、「その人がどんな教育をしたいと思っていて、どんな生徒を育てたいと思っているのか」というビジョンと、教員という仕事や子どもたちに対する本気度・使命感を感じたいからです。そして志望動機を足掛かりに「じゃあ、そんな子どもを育てるために具体的にどうするんですか?」と突っ込んでくる。裏返せば、突っ込んでほしいところを自分で仕込んでおけば、面接を自分のペースに持っていけるということです。
よくある失敗は2つあります。1つは「塾講師でこんな生徒がいて……」という思い出話で終わってしまうパターン。エピソードは語られているのに、どんな教師になりたくて、どんな子どもを育てたいのかが明言されていないんです。もう1つは恩師のアピールになってしまうパターン。恩師がいかに素晴らしかったかに字数を使い切って、「で、あなたはどうしたいの?」が抜けてしまう。これでは恩師の模倣にしか聞こえません。
直し方はシンプルです。①どんな教師になりたいか・どんな力を子どもにつけたいかを最初に明言する ②自分の経歴から面接官が抱くであろう疑問(塾ではなく公教育を選ぶ理由、他業界から教員を目指す理由など)に先回りして答えておく ③そのうえでエピソードを添える。この順番にするだけで、同じ材料が「面接官の心を掴む志望動機」に変わります。例文の添削は動画で見るのが一番早いです。
深掘りへの備え|岩手県は追質問チェーン率14.5%
集計していて、もう一つ見えたことがあります。岩手県は「→」でつながる追質問(1つの質問から掘り下げが続く形)の割合が14.5%。全国平均の約10.5%より高い数字です。実際、収録された設問には1つの答えに対して「その原因は?」「それを嫌がっていたらどうする?」と重ねて聞いている記録が並んでいます。
だから想定問答は、一問一答ではなく「深掘りツリー」で作ってください。面接官が深掘りするときの順番はだいたい決まっていて、まず「理解しているか」を確かめ、そのあとに「で、具体的にどうするのか」を聞いてきます。自分の回答の下に「なぜ?」「具体的には?」「うまくいかなかったら?」の3本の枝を先に生やしておけば、その場で慌てずに済みます。
試験整理カードは「面接の資料」になる
岩手県の一般選考では、申込書(電子申請後に印刷)・試験整理カード・結果通知等用の返信用封筒を提出し、該当者は履歴証明書、臨時的任用教職員申告書、加点関係書類等も必要です。試験整理カードは県教委のホームページから様式をダウンロードして必要事項を記入し、写真を貼って郵送します。記入欄は次のとおりです。
| 区分 | 受験校種/受験教科科目/選考種別/加点措置の有無/養護教諭希望順(小中学校・高校特支) |
| 基本情報 | 氏名・生年月日(令和9年4月1日現在の年齢)・現住所・電話・性別・写真(4.5cm×3.5cm、上半身正面脱帽6か月以内。電子データの貼付も可) |
| 学歴 | 小学校から大学院・専攻科まで、在籍期間と所在地都道府県・学校名・卒業/修了見込等 |
| 職歴 | 在職期間(年月日)・所在地都道府県・勤務先・職名等(7欄) |
| 免許状 | 取得(取得見込)年月日・種類・教科 |
| 所属した部、クラブ(大会への参加、成績等)/その他社会的活動等 | 中学校・高等学校・大学の3段に分けて記入 |
| 臨時的任用教員希望 | 小学校/中学校/高等学校/特別支援学校/希望なし に○ |
※出典:令和9年度採用「一般選考 試験整理カード」(岩手県教育委員会)。
志望動機や自己PRを書く欄は設けられていません。

自己PR欄がないからといって、油断は禁物です。過去には、志望書に記入した「希望校種」「趣味・特技」について質問されたという記録が残っています(一方で、面接個票に記入したものはほとんど聞かれなかったという記録もあります)。面接につながる提出書類は、面接で深掘りされても的確に答えられるよう、ツッコミ質問を見据えて内容を精査して書いておいてくださいね。深掘りしてほしいものがあるなら、書く項目を絞るのも一つの方法です。
② 模擬授業|中学校は国語・社会・数学、高校は全員
要項には「模擬授業」としか書かれておらず、時間・テーマの提示方法・板書の条件は公表されていません(特別支援学校は「各教科等を合わせた指導」、養護教諭は「実技的な要素を含む模擬保健指導」とだけ記載)。だからこそ、どんな条件で来ても崩れない型を作っておくことが対策になります。
私自身、高校地歴の採用試験で模擬授業を受けて合格しました。そのときに意識していたことと、その後たくさんの受験生を指導してきて分かったことをお話しします。
まず土台になるのが先生としての雰囲気です。声の大きさ(教室のどこに座っていても聞こえるか)、目線(隅々の席まで目を配れているか)、話すスピード、姿勢。これは一人で練習しても分かりにくいので、家でいいので自分の授業を自撮りして見返すのが一番です。私自身、YouTubeの動画を撮っていて「自分、全然イケてないな」と思うことがしょっちゅうあります。撮っているときには気づかなかった改善点が、映像だと一目で分かるんです。
次に授業の構成。①「この授業の終わりに、こういうことが説明できるようになっていたら目標クリアだよ」と目標を最初に明示する。②「まずこれを見て、次にこれが分かると、最後にこれが説明できるようになるよ」と1時間の流れを最初に示す。先を見通せないと集中力を保つのが難しい子にとって、有効な手立てでもあります。③興味関心を引きつける導入——子どもの身近なもの、子どもの文化に切り込む。
私が実際にやった例をお話しします。産業革命の模擬授業で、いきなり「みんな、自分の制服の繊維をよく見てみて」と言ったんです(生徒役はおらず面接官だけの場で、演技として行いました)。「この1枚の布は、1本1本の糸がどんなふうに交わっている?」と絵に描いてみるよう促し、「この布を手作りするの、めちゃくちゃ時間かからない?」と。そこから産業革命に入っていきました。子どもの目の前にあるものから入る——これが導入の一番簡単で強い型です。
ここからは、基本ができている前提で「他の受験生より高い評価を得るために必要なこと」です。私が個別指導で見てきた中では、少ない採用枠で合格された方が次の3つをクリアしていた例がありました。
- 子どもが見える——その人の模擬授業を見ると、普段どんなふうに子どもと関わっているかが透けて見えます。子どもを見る視線の温かさ。そして、想定している子どもの反応と疑問がリアルかどうか。「こんなにスムーズには進まないだろう」という想定で組んだ授業は、現場でもうまくいきません。
- 意図が見える——なぜそのタイミングでその発問をしたのか。なぜその立ち位置なのか。なぜそこで板書したのか。一つひとつの行動に理由がある授業は、見ている側にも意図が読み取れます。
- その人らしさが光る——この授業を通して子どもに何を学んでほしいか、何を感じてほしいか。知識を注入するだけの授業ではなく、「この内容を学んで、どうするの?」に自分の答えを持っていることです。
岩手県の模擬授業の着眼点は「授業に関する基礎・基本の理解と実践力」。基礎・基本という言葉が入っているのがポイントです。奇をてらった授業より、ねらいが明確で、流れが見えて、子どもの反応を拾える授業。落ちる授業と受かる授業の違いは、実演で見るのが一番早いです。
なお、市販過去問集の令和6年度採用(2024年度)・岩手県欄には、模擬授業として小学校3・4年生の歌唱共通教材から1曲を選んでピアノ伴奏等を準備するという記録(令和9年度採用の要項の表では、小学校教諭の模擬授業・実技試験の欄は斜線です)、特別支援学校の「各教科等を合わせた指導」、養護教諭の実技的な要素を含む模擬保健指導という記録が残っています。教科によっては「授業」と「実技」の境目があいまいだということです。音楽・保健体育などの実技系で受験する方は、演奏や実演をしながら説明する場面を想定して練習しておくと安心です。
③ 実技試験|8月29日(土)・杜陵高等学校
実技試験だけは日程と会場が要項で確定しています。令和9年度採用は8月29日(土)・岩手県立杜陵高等学校(盛岡市上田2-3-1)。個人面接・模擬授業の日程は別途通知されます。内容は要項に細かく書かれているので、該当する方は必ず原典を読んでください。
| 教科 | 中学校教諭 | 高等学校・特別支援学校(中学部・高等部)教諭 |
|---|---|---|
| 理科 | 観察・実験の基本操作に関する試験 | —(高校理科は模擬授業に実技的要素を含む) |
| 音楽 | 器楽(ピアノ:ツェルニー40番1〜10から当日指定)/声楽(指定7曲から当日指定の弾き歌い)/初見視唱(単旋律) | 聴音(8小節程度の旋律聴音)/初見視唱(コードネーム付きメロディ譜の弾き歌い)/声楽(指定4曲から1曲を選びピアノで弾き歌い・原語暗譜・調性自由)/ピアノ(任意のソナチネ又はソナタの第1楽章を演奏。緩徐楽章を除く・繰り返しなし・暗譜) |
| 美術 | 問題は当日指示 | 問題は当日指示 |
| 書道 | — | 問題は当日指示(高等学校のみ。大学3年生通過者選考では書道の募集なし) |
| 保健体育 | ①器械運動 ②武道 ③球技 ④保健 の4種類(実施方法は当日指示) | |
| 技術 | 問題は当日指示 | — |
| 家庭 | 被服・食物の両方 | |
| 英語 | 英語運用能力の試験 | —(高校英語は模擬授業に英会話を含む) |
※出典:実施要項「6 第2次選考(5)実技試験」。
声楽の課題曲は要項に曲名がすべて列挙されています。携行品も教科ごとに指定があり、保健体育は運動着の胸部に横20cm×縦15cmの白布に黒ペンで受験番号を書いたゼッケンを縫い付けておくこと(柔道着・防具は不要)、美術は彩色用具一式、家庭は裁縫用具一式と調理実技ができる服装、理科は白衣等が必要です。

ゼッケンを縫い付けるという指定、見落としがちです。当日の朝に慌てないよう、受験票作成完了通知メールが届いたらすぐ準備してくださいね。実技の内容だけでなく、持ち物や当日の指示も正確に確認して準備してください。
岩手県ならではの3つの視点
- 分かりやすい授業ができ、児童生徒に確かな学力をつけることができる教師
- 児童生徒に対する愛情を持ち、一人ひとりの児童生徒と真剣に向き合うことができる教師
- 豊かな人間性を持ち、幅広い教養と良識を身につけている教師
- 教員としての使命感や責任感を持っている教師
そして要項には、こう続きます。「岩手の先生は、すべての児童生徒を個人として尊重し、『お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて』の実現を目指しています。」
面接の着眼点8項目(意欲・探究心・使命感・責任感・倫理観・教育的愛情・人権意識・コミュニケーション力)と並べてみてください。1番目は模擬授業の着眼点そのもの、2番目は「教育的愛情」、3番目は「倫理観」、4番目は「使命感・責任感」に対応しています。回答の着地点をこの4つのどれかに置くと、面接全体に一本の筋が通ります。
もう一段深く準備したい方は、岩手県教育振興計画(2024〜2028)まで目を通しておくと強いです。ここに岩手県の教育の「主語」が書かれています。
- 基本目標:「学びと絆で 夢と未来を拓き 社会を創造する人づくり 〜自分らしい生き方の実現に向けた 新たな時代のいわての教育〜」
- 取組の視点は5つ:①一人ひとりの可能性を伸ばす学びの確保 ②郷土に誇りと愛着を持ち、岩手で世界で活躍する人材の育成 ③岩手らしさを生かした生涯にわたる学びの充実 ④教育分野におけるDXの推進 ⑤東日本大震災津波の経験や教訓を踏まえた学びの推進
- 施策の筆頭に「いわての復興教育」などの推進、続いてキャリア教育の推進とライフデザイン能力の育成が挙げられています
※出典:岩手県教育振興計画(2024〜2028)の概要(岩手県)
過去問集の集計でキャリア教育の出現率が全国平均の12倍という結果が出ましたが、該当は1問ほどの数字なので、傾向とまでは言えません。そして震災を直接知らない世代の子どもたちに、震災の経験と教訓をどう伝えるか——これは岩手県で教員になる以上、必ず自分の言葉を持っておきたいテーマです。実際、過去問集には震災の記憶の継承について問う設問の記録が残っています。

県外から岩手県を受験する方は、ここが差のつくポイントです。私がいつもお伝えしているのは、①自分の教育観とその自治体の方針が重なる点を調べる ②教育と関係なくてもいいので、その自治体の好きなところを見つけておく——この2つ。「なぜ岩手県なのか」は聞かれることが多いので、準備しておくことをおすすめします。
また、『生徒指導提要(改訂版)』には現代の教育課題に合わせた生徒指導の在り方が書かれており、いじめ・不登校・SNSに関する質問や、養護教諭の模擬保健指導を考えるうえで必読です。岩手県の教育施策は岩手県教育委員会のページから確認できます。
【お願い】岩手県を受験された方、教えてください
冒頭でお伝えしたとおり、岩手県は、令和8年10月時点で、このブログに受験報告が1件も届いていません。
要項を読み込めば「何が実施されるか」は分かります。でも、面接が何回あったのか。1回あたり何分だったのか。面接官は何人だったのか。模擬授業のテーマはいつ、どうやって示されたのか。板書はできたのか。何を持って入れたのか。——こういうことは、実際に受けた方にしか分かりません。他県の記事では、こうした報告のおかげで「要項だけでは絶対に分からないこと」がたくさん見えてきました。
岩手県を受験された方は、ぜひ来年の受験生のために教えてください。受験年度・校種・教科と、覚えている範囲の質問だけで十分です。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。いただいた情報は、個人が特定されない形に整えたうえでこの記事に追加していきます。
準備の順番|要項から逆算する7つのポイント
- まず「自分が二次で何を受けるか」を確定させる。要項の表の読み取りでは、小学校は個人面接のみ。中学校は国語・社会・数学が模擬授業、それ以外の7教科は実技。高校は全員模擬授業。ここを取り違えると準備がずれてしまいます。
- 二次の日程は「8月中旬〜9月中旬のどこか」。自分の日は一次発表(8月6日)まで分かりません。一次の前から二次の準備を始めることをおすすめします。
- 志望動機を仕上げる。この集計での出現率は全国平均の約2.5倍。面接が複数回に分かれる年度がある県なので、同じ日に何度も語る前提で、核になるメッセージを1つに絞る。
- コンプライアンス・倫理観を自分の言葉で。着眼点に「倫理観」が明記されています。過去問集にも関連する記録があります。個人・同僚・組織の3層で語れるように。
- 深掘りツリーを作る。追質問チェーン率14.5%(全国平均約10.5%)。「なぜ?」「具体的には?」「うまくいかなかったら?」の3本の枝を先に用意する。
- 試験整理カードの全欄を語れるように。自己PR欄はありませんが、学歴・職歴・部活動・社会的活動から質問が飛びます。書くことがないから空欄、ではなく、語れることを書く。
- 岩手県の教育に自分を接続する。求める教師像4つ、「希望郷いわて」、いわての復興教育、キャリア教育。とくに県外からの受験は「なぜ岩手県か」を必ず用意する。
面接対策を「いつから何をするか」の全体像は、こちらの動画で体系的にまとめています。個別の質問対策に入る前に、一度ここで土台を固めるのがおすすめです。
よくある質問
Q. 岩手県に小論文(論作文)はありますか?
A. 令和9年度採用の実施要項に、小論文の実施は書かれていません。一次免除を受けない一般選考の第1次選考は教科等専門(200点)+教職専門(50点)の筆答試験(一般選考A・C・Eは教職専門を免除して教科等専門250点)、第2次選考は個人面接・模擬授業・実技試験です。ただし特別選考(社会人・大学推薦・英語有資格者)に出願する方は、2,000字程度の自己アピール作文を提出書類として提出します(幼稚園教諭経験者特別選考は不要)。なお、市販の過去問集には令和4年度〜6年度採用の小論文(1,000字以内)が収録されており、以前は実施されていたことが分かります。受験年度の要項で必ず確認してください。
Q. 集団討論や集団面接はありますか?
A. 令和9年度採用の実施要項に、集団討論・集団面接の記載はありません。第2次選考は個人面接・模擬授業・実技試験です。他県と併願する方は、この違いを押さえておくと準備がブレません。
Q. 面接は何回、何分ですか?
A. 要項には回数・時間の記載がありません。市販過去問集の形式メモには「10分×3回」「各15分×2回」「合計30分」といった記録があり、複数回に分けて実施された年度があることが分かります。ただし年度・校種によって異なりますので、第1次選考結果とあわせて届く通知で必ず確認してください。私にも受験報告が届きしだい、この項目を更新します。
Q. 小学校志望ですが、本当に模擬授業はないのですか?
A. 令和9年度採用の要項9ページの表では、小学校教諭の模擬授業・実技試験の欄はいずれも斜線(記載なし)で、個人面接のみが「全員」となっています。要項の表を読む限り、二次は個人面接1本で評価されると考えられます。準備を面接に全振りできるぶん、1回の面接の密度がそのまま合否になると考えてください。
Q. 得点は教えてもらえますか?
A. はい。要項に「第1次選考の成績については、試験科目毎の点数を選考結果とあわせて通知します。第2次選考については成績と選考結果をあわせて通知します」と明記されています。ただし口頭開示は行われません。再受験する方にとっては、次年度の設計図になる情報です。
Q. 第1次選考が免除される人はいますか?
A. います。要項の勤務年数・勤務先・受験する校種等の要件を満たす一般選考B(他都道府県現職教員)と一般選考D(元岩手県教員)は第1次選考の全部が免除され、いきなり第2次選考からの受験になります(8月6日に二次の案内が送付されます)。一般選考A(岩手県現職教職員)・C(臨時的任用教職員経験者)・E(岩手県中学校臨時的任用教員等)は教職専門が免除され、教科等専門250点で判定されます。また大学3年生選考の通過者は翌年度に同一校種・職種・教科(科目)で「大学3年生通過者選考」に改めて申込み、第2次選考から受験します。令和9年度採用では171人が第1次選考免除でした。詳しくは特別選考の記事へ。
■ 岩手県の特別選考と一次免除ルート|大学3年生選考・大学推薦・現職教員・講師経験者・加点制度
Q. 会場はどこですか?
A. 第1次選考は小学校・中学校=岩手県立盛岡第三高等学校(盛岡市高松4-17-16)、高等学校・特別支援学校・養護教諭=岩手県立盛岡商業高等学校(盛岡市本宮2-35-1)。第2次選考の実技試験は岩手県立杜陵高等学校(盛岡市上田2-3-1)。個人面接・模擬授業の会場は別途通知です。いずれも会場への自家用車の乗り入れ、周辺施設への無断駐車、送迎時の周辺施設駐車場での乗降は禁止と要項に明記されています。公共交通機関で向かってください。
Q. 過去問は手に入りますか?
A. 筆答試験については、要項に「令和6年度〜令和8年度の第1次選考筆答試験の問題は、岩手県庁1階行政情報センター及び各広域振興局内行政情報サブセンターで閲覧できます」と案内されています(盛岡・花巻・奥州・一関・大船渡・釜石・宮古・久慈・二戸)。面接・模擬授業については公表がないため、受験者の報告が大きな手がかりになります。
面接の手応えが気になる方へ
岩手県は、二次が8月中旬〜9月中旬、発表が9月28日。人によっては1か月以上、結果を待つ時間があります。「あの答えでよかったのか」と面接を何度も再生してしまう時期です。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由はこちらの記事にまとめています。
■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由
不合格だったときの進路の考え方も、先に知っておくと落ち着いて受験できます。
■ 教員採用試験に落ちたらどうする?進路の選択肢とやるべきこと
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