こんにちは、金井志津乃です!

島根県の小論文って、二次にはないんですよね? でも「論述試験」というのが一次にあるみたいで……これが小論文のことですか?

そのとおりです! 島根県は第1次試験の科目名が「論述試験」。実施要項には「教員としての思考、識見を問う論述式による筆記試験(350〜400字)」と書かれています。40分で350〜400字——構想メモを取ると、論点のずれを防げますし、途中で筆が止まることも少なくなります。
この記事では、島根県公立学校教員採用候補者選考試験の論述試験(小論文)について、形式・過去5年の出題テーマ・40分で書き切る型を、実施要項と受験者報告をもとにまとめます。
この記事の根拠
- 形式・配点・時間・字数は令和9年度採用の実施要項から。推定値は使っていません。
- 過去のテーマは市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用)の島根県分と、受験者の報告から。課題文そのものは転載せず、要旨と字数だけを紹介しています。
- 二次の個人面接で何を聞かれるかは別記事にまとめています →島根県の個人面接|受験者5名の実録と傾向
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
論述試験の形式|30秒でわかる基本情報
| 実施時期 | 第1次試験(令和9年度採用は令和8年5月9日・土)。第2次試験にはありません。 |
| 科目名 | 論述試験(実施要項の表記) |
| 試験内容 | 「教員としての思考、識見を問う論述式による筆記試験(350〜400字)」(実施要項) |
| 配点・時間 | 30点・40分(第1次試験は専門教養100点60分+教職教養30点20分+論述試験30点40分=160点満点。小・中の特別支援教育担当と特別支援学校は特別支援教育専門教養40分もあり、各校種・教科の専門教養と合わせて100点) |
| 対象 | 全校種・全職種の受験科目に設定されています(小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・養護教諭・栄養教諭)。ただし一次全免除者や、障がいの状況に応じて免除を受ける場合を除きます。 |
| 問題は共通か | 受験科目一覧では校種・職種を問わず「論述試験○」。過去問集の記録でも全校種共通の1問として収録されています。 |
| 一部免除者 | 論述試験のみを受験します(特例区分4・5・6の該当者)。論述試験の配点は30点です。これとは別に該当区分の加点があり、他の加点にも該当する場合は一部免除者向けの換算が適用されます。 |
| 特別枠 | 島根創生特別枠・島根連携特別枠・国スポ競技力向上枠は論述試験のみ(専門教養・教職教養は実施しない) |
| 評価の観点 | 公表資料は確認できていません(本文では触れていません) |

ここ、島根県対策でいちばん見落とされるポイントです。一部免除ルート(講師経験者・正規教員経験者・地域限定の推薦者)で受験する方は、第1次試験が論述試験だけ。つまり試験科目は30点の論述試験のみですが、該当する免除・加点の特例などによる加点は別にあります。「免除だからラク」ではなく、「一発勝負の1本」なんです。同じことが大学推薦の特別枠にも言えます。
過去5年の出題テーマ|字数は600字→300字→350〜400字へ
市販の全国版過去問集5年分の島根県分と、受験者の報告から、テーマの要旨と形式を整理しました(課題文そのものは掲載していません)。
| 採用年度 | テーマの要旨 | 型 | 字数 |
|---|---|---|---|
| 令和4年度採用 (2021年夏実施) | 「子どもたちを取り巻く環境と学び」について、保護者や地域住民向けの校報(学校が発行する広報)の原稿案を作成する(時候の挨拶などの前置きは不要、本題のみ) | 実務文書作成型 | 600字程度 |
| 令和5年度採用 (2022年夏実施) | 「生きる力は、___がつくる。」の空欄に言葉を入れて子どもの学びの本質を表す一文をつくり、その言葉を入れた理由を説明する(2問構成) | 穴埋め+理由説明型 | (問2)300字程度 |
| 令和6年度採用 (2023年夏実施) | 教師としてあなたが特に大切にしたいことを3つあげ、それらについて述べる | 複数列挙型 | 350〜400字 |
| 令和7年度採用 (2024年夏実施) | これからの時代の教師に求められる資質能力のうち、最も大切にしたい資質能力を1つあげ、それをあげた理由と、その資質能力を高めるために取り組みたいことを述べる ※改行はしないことという指示つき | 1つ選択+理由+取組型 | 350〜400字 |
| 令和8年度採用 (2025年夏実施) | 「しまね教育振興ビジョン」(令和7年度〜令和11年度)の柱の一つ「発達の段階に応じた学力の育成」において、あなたが大切にしたいことを2つあげ、それらについて述べる(「発達の段階」の範囲は問題文に注記あり) | 県の政策文書+複数列挙型 | 350〜400字 |
※出典:市販の全国版過去問集(令和4年度〜8年度採用の島根県分)。
令和7年度採用のテーマは、私に届いた受験者報告(中学校・音楽)でも「これからの教員に求められる資質能力をひとつあげて、そのことについてあなたの考えを述べなさい」と報告されており、内容が一致しています。
ここから読み取れる3つのこと
- 令和6年度採用から字数が「350〜400字」で固定されている。令和9年度採用の実施要項にも「(350〜400字)」と明記されました。次年度の字数は、その年度の要項で確認してください。
- 「◯つあげて述べよ」という指定が繰り返し出ている。3つ(令和6年度採用)→1つ(令和7年度採用)→2つ(令和8年度採用)。いくつ挙げるかは年度によって変わるので、「柱を1つでも3つでも組み立てられる」練習が必要です。
- 令和8年度採用から、県の政策文書が題材になった。「しまね教育振興ビジョン」(令和7年3月策定)の柱がそのまま問題文に入りました。令和9年度以降もビジョンからの出題を想定しておくのが安全です。

それと、令和7年度採用の「改行はしないこと」という指示。これ、地味ですが大きいですよ。段落で見せる書き方が使えないということです。400字を一段落で読ませるには、接続詞で論の切れ目を作る方法が有効だと私は考えています。「まず〜。次に〜。そのために〜。」という言葉の設計図を持っておきましょう。
書き方|40分・350〜400字を「構想15分・執筆20分・見直し5分」で
400字は、原稿用紙1枚。手を動かせば10〜15分で書けます。つまり島根県の論述試験は「書く時間が足りない試験」ではなく「考える時間がたっぷりある試験」。だから配分はこうです。
| 時間 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 課題文を2回読み、問われていることに線を引く | 「いくつあげるか」「理由も書くか」「取組も書くか」を丸で囲む。ここを外すと、どんなに良い文章でも評価されにくくなると考えられます。 |
| 5〜15分 | 構想メモを書く | ①挙げるもの(1〜3つ)②それぞれの理由③現場での具体的な取組——を箇条書きで。ここで全体の骨組みを決めます。 |
| 15〜35分 | 本文を書く | 350字以上400字以内に収めます。本記事では島根県の評価の観点・採点基準を確認できていないので、まずは指定字数を確実に守ることを優先しましょう。 |
| 35〜40分 | 見直し | 主語と述語のねじれ、誤字、字数。課題文の言葉を使えているかも確認します。 |
構想メモの取り方は、実演した動画があります。「学び続ける教師」という漠然としたテーマを題材に、理由から現場での取り組みへ組み立てていく流れをそのまま見せています。島根県の「◯つあげて述べよ」型にも、この作り方を応用できます。
島根県の350〜400字を組み立てる型
【2つあげる場合の配分例】各範囲をそのまま足すと310〜410字となるため、最終的な合計が350〜400字に収まるよう調整してください。
- 書き出し(40〜60字)/課題文の言葉を使って「私が大切にしたいことは2つある」と宣言する
- 1つ目(120〜150字)/何を大切にするか → なぜか(社会的背景や子どもの実態) → 現場で何をするか
- 2つ目(120〜150字)/同じ構造で。1つ目と違う角度(例:授業づくりと学級経営、個と集団)にする。
- 結び(30〜50字)/島根県の教員として何をしていくかで締める
小論文を書くときにとにかく意識してほしいのは、「課題の趣旨・論点からそれないこと」です。そのためのコツの一つが、課題文の言葉をそのまま使って書くこと。課題文の言葉を使うと、論点がずれていないかチェックしやすくなります。たとえば「発達の段階に応じた学力の育成において、私が大切にしたいことは……」と書き出す方法があります。本論は論点がずれやすいので、書いたあとに読み返して確認しましょう。
そして、NG例文とOK例文を並べて添削した動画も用意しています。「社会的背景の理解不足」「問題文の要求を満たしていない」「主語述語のねじれ」「抽象的で本旨と関連が薄い結び」——落ちる答案の共通点は、だいたいこの4つです。
島根県らしい答案にするために|しまね教育振興ビジョンに着地させる
令和8年度採用の問題文に「しまね教育振興ビジョン」が直接登場した以上、ここを読まずに受けるのはもったいないです。3つの基本目標だけでも頭に入れておきましょう。
旧「しまね教育魅力化ビジョン」の基本理念:ふるさと島根を学びの原点に 未来にはばたく 心豊かな人づくり
3つの基本目標
- すべての子どもが学びの主人公 〜一人ひとりを尊重する学校〜(こども基本法の理念を踏まえ、学びの主体としての子どもの人権が尊重される教育を行う)
- 実体験に根ざした本物の教育 〜地域とともにある学校〜(島根が全国に先駆けて取り組んできた「地域とともにある学校」の良さを生かす)
- 挑戦心、探究心が育つ学びの環境 〜子どもも大人も学び成長する学校〜(学んだことを使って考え、問いを立てて探究する主体性を育む)
育てたい資質・能力:学びの土台をなす人間力/学びの中核をなす学力/学びを展開する社会力
具体的施策の柱:①発達の段階に応じた学力の育成 ②教育上の配慮が必要な子どもの学びへの支援 ③地域との協働による学びの充実 ④教育の基盤となる環境の整備と充実
出典:島根県教育委員会「しまね教育振興ビジョン(令和7年度-令和11年度)」(令和7年3月)
令和8年度採用で出題されたのは、この①「発達の段階に応じた学力の育成」でした。ということは、残る②配慮が必要な子どもの学びへの支援 ③地域との協働 ④環境の整備も出題候補です。4つの柱それぞれについて「私が大切にしたいこと」を2つずつ用意しておく——これが島根県の論述試験の、有力な準備のひとつだと私は考えています。

ビジョンの本文には「島根が全国に先駆けて取り組み、実績を積み上げてきた『地域とともにある学校』」という一文があります。ここが島根県の誇りです。答案でも面接でも、「地域」をどう自分の教育観に組み込むかが、島根らしさの決め手になりますよ。
よくある質問
Q. 何字くらい書けばいいですか?
A. 実施要項に「350〜400字」と明記されています。350字以上400字以内に収めることが条件です。私はいつも「指定字数の8〜9割は必ず書く」とお伝えしていますが、島根県のように下限が示されている場合は下限を割らないことが前提です。380字前後で着地させるつもりで練習しましょう。
Q. 論述試験は一次の合否にどれくらい影響しますか?
A. 一般の受験者は160点満点のうち30点(約19%)です。ただし一部免除者(特例区分4・5・6)は論述試験のみ=試験科目は30点だけ(該当する加点は別)、島根創生特別枠・島根連携特別枠・国スポ競技力向上枠も論述試験のみです。自分がどのルートで受けるかによって、この試験の重みはまったく変わります。
■ 島根県の特別選考と一次免除・加点|どのルートで受けるかを決める
Q. 校種によって問題は違いますか?
A. 実施要項の受験科目一覧では、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・養護教諭・栄養教諭のすべてで「論述試験○」となっており、校種別の区別は書かれていません。過去問集でも全校種共通の1問として収録されています。
Q. 評価の観点や採点基準は公表されていますか?
A. 島根県教育委員会が論述試験の評価の観点を公表している資料は、確認できていません。実施要項に書かれているのは「教員としての思考、識見を問う」という試験内容の説明と、30点・40分・350〜400字という枠だけです。
Q. 対策の時間がありません。最短の方法は?
A. まず合格レベルの答案を読んで、ゴールのイメージを持つことです。そのうえで丸写しにせず、自分の経験と島根県の施策を1つずつ入れ替えていく——これは私の型としての進め方です。350〜400字なら、私の目安として1本20分×5本を回してみてください。時間がないときの考え方は、この動画で話しています。
Q. 論述試験の対策は、面接にも役立ちますか?
A. 役立ちます。小論文は「書く面接」と言われます。教育課題に対する自分の考えと取り組み、その具体例を文字で書くことは、やっていることの本質が面接と変わらないからです。たとえば令和7年度採用の論述テーマは「これからの教員に求められる資質能力」でしたが、二次の面接でも「教師として特に身に着けたい力は何ですか」「今求められる教育は何だと思いますか」が聞かれた、という報告があります。書いた内容は、面接の答えにもつながります。
■ 島根県の個人面接|受験者5名の実録と5年間の出題傾向
■ 島根県の倍率|令和9年度採用の最終結果と4年間の推移
この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます
論述試験は問題が持ち帰れないため、受験した方の記憶だけが頼りです。島根県を受験された方は、覚えている範囲で構いませんので、ぜひ次の年度の受験生のために教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。
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