こんにちは、金井志津乃です!

島根県の二次って、面接が30分×2回もあるんですよね……。しかも模擬授業と場面指導が面接の中に入っているって、どういうことですか?

そこが島根県の一番の特徴です! 実施要項に「個人面接(30分程度を2回実施)※面接の中で『模擬授業』と『場面指導』を実施」と書かれていて、模擬授業も場面指導も独立した試験ではなく、面接の一部なんです。だから「授業をして終わり」ではなく、そのあとの質疑応答まで含めて評価されます。
この記事では、島根県公立学校教員採用候補者選考試験の第2次試験——個人面接・模擬授業・場面指導について、実際に受験した方々からご提供いただいた「生の質問」をもとに、内容・流れ・傾向と対策をまとめます。
この記事の根拠
- 令和6・7年度採用(2023・2024年夏実施)の受験者5名の実録を、年度別・受験者別に収録(すべて無料で読めます)
- 市販の全国版過去問集令和4年度〜8年度採用の島根県分を独自に集計——島根県に出題の偏りの傾向が見られます(集計に他県分が混ざる可能性があるため、件数は載せていません)
- 日程・形式・配点は令和9年度採用の実施要項および島根県教育委員会の公表資料と照合済み(推定値は使っていません)
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
出願:2月14日(土)9:00〜3月23日(月)17:00(島根県教員採用試験受験等申込みシステムによるWeb出願)
受験票交付:4月下旬(システムからダウンロード)
第1次試験:5月9日(土)(松江・大阪・東京・福岡の4会場/第1次試験全免除者を除く)
第1次試験結果:5月27日(水)9:00(マイページで通知)
受験者調査票の提出:第1次試験結果のあと(第2次試験の前)
第2次試験:6月21日(日)〜7月7日(火)のうち指定する日(追試験は7月18日)
最終合格発表:8月5日(水)9:00(マイページで通知)
繰り上げ登載の可否の通知:2026年10月30日(金)まで
出典:島根県教育委員会「令和9年度(令和8年度実施)島根県公立学校教員採用候補者『一般選考試験』実施要項」。
※令和10年度採用の日程は、実施要項の公開(2027年1月25日の予定)後に更新します。
島根県は一次が5月上旬、最終発表が8月上旬と、早いスケジュールです。第2次試験は6月下旬から7月上旬。一次の結果が出てから二次初日の6月21日までは25日しかありません。二次の指定日が後半の場合は1か月を超えることもあります。しかも第2次試験の会場は原則として松江ですが、小学校・特別支援学校の受験者で併願をしていない方は大阪・東京会場も選べます(実施要項より)。
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
第2次試験の形式|30秒でわかる基本情報
| 試験内容 | 個人面接(30分程度を2回実施)。実施要項に「※面接の中で『模擬授業』と『場面指導』を実施」と明記。第2次試験に筆記や小論文はありません。 |
| 面接官 | 3人という報告が中心。受験者の報告では「2回の面接で試験官は異なる」とされています。 |
| 模擬授業 | 面接の中で実施。授業は6分という報告が複数。過去問集の記録では「構想2〜3分・授業6分・質疑応答10分=20分程度」という形式メモが残っています。 |
| 場面指導 | 面接の中で実施。3分・完全に一人芝居(相手役はつかない)という報告。テーマ提示後に構想の時間を希望できたという報告もあります。 |
| 養護教諭・栄養教諭 | 養護教諭は模擬授業ではなく「ロールプレイング」と「場面指導」、栄養教諭は「場面指導」のみを面接の中で実施(実施要項) |
| 実技 | 中学校・高等学校・特別支援学校の音楽受験者(音楽実技)・美術受験者(美術実技)のみ。個人面接とは別の日に実施。 |
| 質問の元ネタ | 第1次試験結果発表後・第2次試験前に提出する受験者調査票。「調査票から多く質問される」という報告が複数あります(書き方はこちら)。 |
| 小論文 | 第1次試験の「論述試験」(350〜400字・40分・30点)として実施=二次にはありません(論述試験の記事はこちら) |
受験者の報告と過去問集の記録を合わせると、2回の面接はこう組み立てられています。
| 回 | 中身(報告より) | 対策の軸 |
|---|---|---|
| 個人面接Ⅰ 30分程度 | 模擬授業(または場面指導)+その実演についての質疑応答+受験者本人への質問 | 実演のあとに来る「ねらいは何か」「この後の流れは」「工夫した点は」に答える準備 |
| 個人面接Ⅱ 30分程度 | 場面指導(または模擬授業)+質疑応答+志望動機・教育観・調査票の深掘り | 調査票の全項目に「深掘りツリー」を用意する |
※どちらの回に模擬授業が入り、どちらに場面指導が入るかは、受験者によって報告が分かれています(「個人面接Ⅰで場面指導だった」という報告も、「模擬授業のあとに面接、場面指導のあとに面接」という報告もあります)。どちらの順番でも動けるようにしておきましょう。

令和6年度採用の中学校社会の受験者1名が報告しているのが、「1回目と2回目のあいだに1時間半ほど待ち時間があった」ということ。そして「試験官が違うので質問が被る。回答がぶれないように意識した」という一言です。2回とも同じ人が話しているように聞こえること——これが島根県の一番の準備ポイントですよ! 面接対策の全体像は、この動画で先に土台を固めておくとスムーズです。
島根県の倍率|令和9年度採用は最終結果まで公表済み(2.5倍)
倍率 = 受験者(A) ÷ 名簿登載者(B)(島根県教育委員会の公表定義)
「名簿登載者」=第2次試験の合格者です。他県でよく使われる「志願者数÷採用予定者数」とは分母・分子が違うので、他県と比べるときは注意してください。この記事では島根県の公表資料に合わせてこの定義で統一します。
令和9年度採用(令和8年度実施)の第2次試験の結果は、2026年8月5日に公表されています。
| 校種・職種 | 採用予定者 | 受験者(A) | 第2次試験受験者 | 名簿登載者(B) | 倍率(A)/(B) |
|---|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 150名程度 | 283 | 255 | 200 | 1.4 |
| 中学校(計) | 140名程度 | 267 | 197 | 138 | 1.9 |
| 高等学校(計) | 42名程度 | 250 | 158 | 33 | 7.6 |
| 特別支援学校(計) | 28名程度 | 35 | 34 | 21 | 1.7 |
| 養護教諭 | 10名程度 | 134 | 56 | 11 | 12.2 |
| 栄養教諭 | 1名程度 | 25 | 12 | 1 | 25.0 |
| 合計 | 375名程度 | 995 | 713 | 405 | 2.5 |
※出典:島根県教育委員会「令和9年度(令和8年度実施)島根県公立学校教員採用候補者『一般選考試験』第2次試験の結果について」(2026年8月5日)。
合計には国スポ競技力向上枠1名を含みます。このほか繰り上げ登載候補者が65名います。

ここで見てほしいのが「受験者995人のうち、第2次試験まで進んだのが713人」という数字。受験者の約7割が二次に進み、その713人から405人が名簿登載されています。つまり二次に進めば約57%(私が算出)。島根県は勝負が二次の面接に集中している県なんです。だからこそ、この記事を読み込む価値があります。
教科別の詳しい数字、令和5年度採用からの推移、特別枠・地域限定採用の実績は、専用記事にまとめています。
■ 島根県の倍率|令和9年度採用の最終結果と4年間の推移・校種別・教科別
■ 島根県の特別選考と一次免除・加点|特別選考試験・島根創生特別枠・講師経験者・県内高校出身者の加点
① 「なぜ島根県か」と地域|石見・隠岐まで含めて答える
受験者の報告では、実際に以下のような質問がありました。
- 島根県を志望した理由は何ですか。/島根県の魅力は何ですか。
- 島根県教育委員会の、教員募集に関する紹介ホームページを見ましたか。
- (県外在住の方へ)県外に住んでいますが、島根県を志望する理由は何ですか。
- 出身の県と島根県の共通点と違いは何ですか。→ 出身の県と島根県の中学生の違いは何だと思いますか。
- 採用されたら勤務地はどこでもいいですか。
- 合否に関係ないので、他県の採用試験は受けていますか。(複数の年度・複数の受験者から報告あり)
過去問集にも「出雲圏域、石見圏域、隠岐圏域どこに配属されても大丈夫か」「全域での採用の場合、石見や隠岐にも転勤になるが行けるか」といった趣旨の質問が複数年にわたって記録されています。島根県は募集区分そのものに「石見地域限定」「隠岐地域限定」があり、地域は建前ではなく制度です。「はい、どこでも」で終わらせず、そこで何をしたいかを一言添えられるようにしておきましょう。

「他県は受けていますか」は、島根県では「合否に関係ないので」と前置きされたうえで、最後に聞かれるという報告が目立ちます。正直に答えて構いません。大事なのは、そのあとに「それでも島根で働きたい理由」を自分の言葉で続けられることです。
② 授業づくり・教科指導|島根県の面接は「授業の話」が主戦場
島根県の面接で時間を使うことが多いのが、ここです。模擬授業が面接の中で行われる関係で、授業のねらい・展開・評価まで、その場で言語化することを求められた報告があります。
- (授業直後に)模擬授業をやってみてどうでしたか。→ この後の流れを教えてください。→ ねらいは何ですか。→ まとめでどんな言葉が生徒から引き出せていると良いですか。
- いつもこのような形で授業をしていますか。/導入をあのようにしたねらいを教えてください。
- その単元を選んだ理由は何ですか。→ ほかにどんな題材が考えられますか。→ この授業で子どもに身に付けさせたかった資質は何ですか。→ この模擬授業を考えるに当たり、何を参考にしましたか。
- (小学校でも学ぶ内容について)中学校段階で学習する理由を教えてください。
- 子どもたちが最後にどのようなふりかえりを書いたらよいですか。
- 教科の魅力は何ですか。/その教科でどんな授業をしてみたいですか。
- 主体的・対話的な授業をするために工夫していることは何ですか。
- その教科の授業で身につけさせたい「生きる力」とは何ですか。
- ICTを活用していますか。→ ノートの画像を子どもが写す意味はありますか。→ 反転学習ではどんなことをしていますか。→ 動画を家庭で見てこない生徒がいたらどうしますか。→ 家庭学習をさせるために工夫していることはありますか。
- 小中学校の学力調査の結果は知っていますか。→ 小中学校の教科教育が高校に与えている影響はありますか。
市販の全国版過去問集の島根県分を集計すると、「授業」に関する語を含む問題の出現率が全国平均より高く出ます。ただしこれは、島根県分には模擬授業の課題文が多く収録されているためでもあります(集計には他県分の混入や年度の偏りがありうるため、倍率や件数は目安です)。数字のからくりを差し引いても、「島根県の過去問集は模擬授業の課題が厚い」という傾向は、この県の性格を表していると考えられます。
③ 模擬授業|「単元の導入6分」を全教科で用意する
島根県の模擬授業は、独立した試験科目ではなく個人面接の一部です(実施要項)。受験者の報告から分かっている形式を整理します。
| 時間 | 6分という報告が複数(「模擬授業6分間と個人面接」「導入6分、完全一人芝居」)。過去問集の形式メモには「構想2〜3分・授業6分・質疑応答10分=20分程度」と記録。 |
| 形式 | 完全に一人芝居(面接官が児童生徒役をすることはない)という報告。授業後、試験官3人のうち1人がその授業について質問する、という報告があります。 |
| 課題の出方 | 令和6年度採用の報告では「模擬授業で行う単元は2次試験を通過した人に2週間前くらいに通知される。当日にどちらをやるか分かる」(その年は2つの単元が示され、当日どちらかを指定)。令和7年度採用の報告でも「事前に内容の発表があった」とされています。 |
| 扱う場面 | 「導入場面」の指定が中心。過去問集の記録では「導入場面」のほか「問題解決場面」「実験方法を計画する場面」など、単元の中の特定の場面を指定する出し方が確認できます。 |
実録で報告された、実際の模擬授業の課題がこちらです。
- 【高校・理科(化学)】「化学反応式」の学習で「化学反応式における化学反応に関与する物質とその量的関係」について導入部分の授業を行いなさい。(令和6年度採用)
- 【中学校・社会】「領土」または「文化」の授業を行いなさい(2週間ほど前に2つの単元が通知され、当日にどちらを行うか分かる)。(令和6年度採用)
- 【中学校・社会】「開発」についての授業を行いなさい(導入6分・完全一人芝居)。(令和7年度採用)
- 【中学校・音楽】「夏の思い出」の授業を行いなさい(事前に内容の発表あり)。(令和7年度採用)
過去問集に収録された5年分を見ると、島根県の模擬授業は小学校・中学校・高校・特別支援学校のほぼ全教科について、それぞれ別の課題が用意されていることが分かります。しかも小学校は「数理枠」「英語枠」「特別支援教育担当」といった募集区分ごとに課題が分かれる年もありました。つまり「自分の区分で出る1本」を仕上げれば戦いやすくなると考えられます。

合格する人の模擬授業に必要な要素は3つあります。1つ目は「子どもが見えること」。一人芝居でも、子どもがどう反応するか・どんな疑問を持つかをリアルに想定して進めているかどうかは、表情や授業の組み立てに表れます。2つ目は「発問や立ち位置に理由がある(意図が見える)」こと。そして3つ目は「その人らしさが光る」ことです。
「落ちる模擬授業」と「受かる模擬授業」を同じ題材で実演した動画もあります。導入の作り方の差が、いちばん分かりやすく出ています。
④ 場面指導|3分・一人芝居・「構想時間は必要ですか」と聞かれた報告も
島根県の場面指導も、面接の中で実施されます。受験者の報告がとても具体的なので、そのまま紹介します。
| 時間 | 3分という報告が複数(令和6年度採用・令和7年度採用) |
| 面接官 | 3人。実演中にリアクションをされることはない(完全に一人芝居)。 |
| 構想時間 | テーマを与えられたあと「構想の時間は必要ですか?」と聞かれたという報告。「少し欲しいです」と答えたところ1分間もらえたそうです。 |
| テーマ提示の前後 | ある受験者は、テーマが与えられる前に「あなたは生徒たちに話をする際、どのような方針で話しますか」と聞かれ、その方針を軸に指導を組み立てたと報告しています |
| 終わったあと | 面接官3人のうち2人が場面指導に関連した質問をする。1人は最後まで場面指導に関する質問、もう1人は途中から受験者個人への質問に切り替わった、という報告。 |
実録で報告された、実際の場面指導のテーマがこちらです。
- 【中学校・社会】「高校なんて、行けさえすればどこでもいいと言っている生徒がいる。その言葉を受け、全体に対し指導をする。」→(実演後)緊張していましたか。→ 「高校なんて〜」というセリフをどの時間帯に言われましたか。→ それを受けて、いつこの指導をしましたか。(令和6年度採用)
- 【高校・理科】① 担任になったらどんな学級をつくりたいですか。
② 大学見学を予定しているが、「自分の志望校ではないから行く意味がない」という生徒が一部いる。クラス全体に指導してください。(令和6年度採用) - 【中学校・社会】ペアワークをやる度に「一人がいい」と言い出す生徒が数人いる。これについて指導しなさい。(3分・完全一人芝居)→ どの点に留意しましたか。→ 場面設定(中学2年)の根拠は何ですか。→ 寄り添いの姿勢が見られましたが、子どもへの教育経験はありますか。(令和7年度採用)
- 【中学校・音楽】ペア学習をする際に、子どもたちの中から「ひとりで学習したい」と訴えがあった。どのような対応をしますか。(内容は口頭で説明)→ 先ほどの指導で工夫したことは何ですか。→ 先ほどの指導で生徒の行動は改善されましたか。またこの後はどのようにしますか。(令和7年度採用)
お気づきでしょうか。令和7年度採用の2人が、ほぼ同じテーマ(ペア学習を嫌がる子への全体指導)を受けています。過去問集にも、令和8年度採用として「休み時間に児童間で意見が食い違い、トラブルが起きてしまった。クラス全体に対してどう指導しますか。学年は自由に想定してください」という趣旨の記録があります。島根県の場面指導には「クラス全体への一斉指導」型の記録があり、学年は自分で設定する出題もあります。具体的な対応はその場面設定によって都度考える必要がありますが、共通して押さえるポイントを持っておくと、テーマが変わっても対応しやすくなります。
そして島根県の実録には、実演後の追質問があった報告があります。「場面設定の根拠は何か」「どの点に留意したか」「工夫した点は」。実演そのものより、実演を自分で説明できるかが問われると考えて準備しておくことを、私はおすすめします。どんな場面が来ても崩れない「3つのポイント」は、この動画で押さえられます。
島根県のような「一斉指導の実演」形式に絞ったコツは、こちらで場面指導の3つの形式ごとに解説しています。
⑤ 生徒指導・保護者対応・学級経営
- いじめや不登校のないクラスづくりを、どうやって行いますか。(回答からさらに深く質問されたという報告)
- 不登校気味で生徒が3週間休んだら、どう対応しますか。
- 指導しても伝わらない生徒へ、どう対応しますか。
- 授業の中や普段の現場で子どもたちが対立したときは、どのように対応しますか。
- 生徒と接するときに大切にしていることは何ですか。(この後さらに詳しく聞かれた、という報告)
- 保護者との連携で大切にしていることは何ですか。→ 保護者との連携を生徒指導にどう活かしますか。→ 生徒を育てる上で保護者とどのようにかかわりたいですか。
- 生徒指導、保護者対応で不安を感じたことはありますか。→ 不安を感じたときなどに助言をもらう教員はいますか。
- 社会人として、子どもに身に着けさせたい資質は何ですか。/今求められる教育は何だと思いますか。
過去問集の5年分を集計すると、島根県は「保護者対応」の出現率が全国平均とほぼ同じである一方、「特別支援・合理的配慮」は全国平均の約2倍、「地域連携」は約3倍と出ます。「保護者と対立したらどうするか」「地域と家庭と学校の連携を図るためにしていきたいことは」といった質問が、複数年にわたって記録されています。
⑥ 服務・不祥事|島根県でも定番の質問
- 教員の不祥事についてどう思いますか。→(不祥事についての)研修で印象に残っているものは何ですか。
- 上司と意見がくい違ったとき、どのように対応していますか。
- 学校で職員との関係はどうですか。
- どんな時にストレスがたまりますか。
過去問集にも「教員の不祥事はなぜ起きるのか」「信用失墜行為は第何条に記されているか」「不祥事が起こらない学校にするにはどうするか」といった質問が、令和4年度採用から令和8年度採用まで毎年記録されています。出現率は全国平均とほぼ同じですが、島根県の場合は条文まで踏み込む質問(地方公務員法第33条の信用失墜行為の禁止など)が記録されているのが特徴です。
⑦ 受験者調査票からの深掘り|島根県の面接の「元ネタ」
島根県では、第1次試験の結果が出たあと、第2次試験の前に「受験者調査票」をシステムに入力して提出します(実施要項の「受験の流れ」に明記)。そして受験者の報告では、この調査票が面接の質問の元ネタになっていることが繰り返し語られています。
- 「調査票から多く質問される。調査票に教員の資質を見るアンケート(5段階評価のもの)と趣味・特技欄があったが、それについての質問は無かった」(令和6年度採用・中学校)
- 「調査書の内容が多かったです」(令和7年度採用・中学校)
- 創意工夫を「3」にした理由は何ですか。(5段階の自己評価を、そのまま突かれた例)
- 「生徒の伴走者」と書いた理由を教えてください。(自由記述の言葉をそのまま拾われた例)
- 生徒から話しかけられやすい、と調査票に書いてありますが、根拠はありますか。
- 調査票に書かれている自分の強みを元に、最後に自己PRをしてください。
- 島根県があなたを採用したときのメリットを教えてください(30秒以内で自己PR)。

ここ、本当に大事です。5段階の自己評価の数字について、「なぜその数字にしたか」を聞かれた報告があります。全部5にすれば良いわけでも、謙遜して3にすれば良いわけでもありません。「3にした理由」を語れるかどうかが見られています。書き方は専用記事にまとめました。
■ 島根県の受験者調査票|自己評価・趣味特技・強みの書き方と、面接でどこを聞かれたか
【資料編】年度別・受験者別 過去問アーカイブ|実録5名分を収録
ここからは、受験者の報告を年度別・受験者別に整理して収録します。個人が特定される経歴・居住地・固有のエピソードに関する質問は、省略または一般化しています。
令和7年度採用(2024年夏実施)|2名の実録
中学校・社会(受験者A)
- 【個人面接①】県外に住んでいますが、島根県を志望する理由は何ですか。/社会人経験を経て教員を目指したきっかけは何ですか。/これまでの職歴について説明してください。/(調査票から)職場での「分かりやすい説明」について、エピソードを教えてください。/社会人として子どもに身に着けさせたい資質は何ですか。/指導しても伝わらない生徒へどう対応しますか。/これまでの職場で、人との対応で苦労したことは何ですか。/今求められる教育は何だと思いますか。/取得している語学系の資格を、どのように活かしたいですか。
- 【個人面接②】島根県を志望した理由は何ですか。/島根県の魅力は何ですか。/島根県教育委員会の、教員募集に関する紹介ホームページを見ましたか。/語学系の資格試験を受けてきたようですが、何に活かしたいですか。/取得した検定を受けた理由は何ですか。/苦手を克服したエピソードはありますか。/これまでの職歴は同業種ですか。/職歴について教えてください。/教職の経験がありませんが不安はありますか。/出身の学びと担当教科が異なりますが、活かせそうなことはありますか。/最後に、合否に関係ない質問ですが、併願状況を教えてください。
- 【場面指導】ペアワークをやる度に「一人がいい」と言い出す生徒が数人いる。これについて指導しなさい。(3分・完全一人芝居)→ どの点に留意しましたか。→ 場面設定(中学2年)の根拠は何ですか。→ 寄り添いの姿勢が見られましたが、子どもへの教育経験はありますか。
- 【模擬授業】「開発」についての授業を行いなさい。(導入6分・完全一人芝居)→ 中学社会の「開発」はいろいろ考えられますが、その単元を選んだ理由は何ですか。→ 南アメリカ以外の「開発」の授業は何が考えられますか。→ この授業で生徒へ身に着けさせたかった資質は何ですか。→ この模擬授業を考えるに当たり、何を参考にしましたか。
中学校・音楽(受験者B)
- 【模擬授業】「夏の思い出」の授業を行いなさい。(事前に内容の発表あり)
- 【授業後の個人面接】いつもこのような形で授業をしていますか。/導入をあのようにしたねらいを教えてください。/強弱は小学校でも勉強する内容ですが、中学校段階で学習する理由を教えてください。/子どもたちが最後にどのようなふりかえりを書いたらよいですか。/音楽の授業で身につけさせたい「生きる力」とは何ですか。
- 【個人面接】教師として特に身に着けたい力は何ですか。→ そのように思った具体的なエピソードを教えてください。/保護者との連携で大切にしていることは何ですか。/保護者との連携を生徒指導にどう活かしますか。/生徒を育てる上で保護者とどのようにかかわりたいですか。/上司と意見がくい違ったときどのように対応していますか。/これまでの担当経験から、一番身についた力は何ですか。/生徒と接するときに大切にしていることは何ですか。(この後さらに詳しく聞かれた)/校種間の連携について、どのように考えていますか。/島根県があなたを採用したときのメリットを教えてください(30秒以内で自己PR)。
- 【個人面接Ⅰ(場面指導)】ペア学習をする際に、子どもたちの中から「ひとりで学習したい」と訴えがあった。どのような対応をしますか。(内容は口頭で説明)→ 先ほどの指導で工夫したことは何ですか。→ 先ほどの指導で生徒の行動は改善されましたか。またこの後はどのようにしますか。
- 【同じ回の質問】実際の現場でもペア学習を取り入れることがありますか。/創意工夫を「3」にした理由は何ですか。/特別支援学級の担任はできますか。/生徒指導、保護者対応で不安を感じたことはありますか。/不安を感じたときなどに助言をもらう教員はいますか。/授業の中や普段の現場で子どもたちが対立したときは、どのように対応しますか。/「生徒の伴走者」と書いた理由を教えてください。/続けているボランティア活動は今でも続けていますか。なぜですか。自分へのメリットは何ですか。/調査票に書かれている自分の強みを元に、最後に自己PRをしてください。(報告者コメント:「調査書の内容が多かったです」)
- 【第1次試験・論述試験】これからの教員に求められる資質能力をひとつあげて、そのことについてあなたの考えを述べなさい。
令和6年度採用(2023年夏実施)|3名の実録
高等学校・理科(化学)(受験者C)
- 【模擬授業】「化学反応式」の学習で「化学反応式における化学反応に関与する物質とその量的関係」について導入部分の授業を行いなさい。
- 【模擬授業後の面接】化学の授業で心掛けていることは何ですか。/主体的、対話的な授業をするために工夫していることは何ですか。/講師経験の中でいちばんうれしかったことは何ですか。/これまでの勤務経験から、いま工夫していることは何ですか。/勤務校のグランドデザインの中で実践していることは何ですか。/小中学校の4月の理科の学力調査の結果は知っていますか。/小中学校の理科教育が高校に与えている影響はありますか。/自分は人からどう見られていると思いますか。/ICTを活用していますか。→ ICTのノート画像を生徒が写す意味はありますか。→ 反転学習ではどんなことをしていますか。→ 実験動画を家庭で見てこない生徒がいたらどうしますか。→ 家庭学習をさせるために工夫していることはありますか。→ 実験動画は何分に編集しましたか。/学校で職員との関係はどうですか。/教員の不祥事についてどう思いますか。→(不祥事についての)研修で印象に残っているものは何ですか。/採用されたら勤務地はどこでもいいですか。/合否に関係ないので、他県の採用試験は受けていますか。
- 【場面指導】① 担任になったらどんな学級をつくりたいですか。
② 大学見学を予定しているが、「自分の志望校ではないから行く意味がない」という生徒が一部いる。クラス全体に指導してください。 - 【場面指導後の面接】ICTを活用していますか。/どんな時にストレスがたまりますか。/これまででいちばんうまくいった実験は何ですか。/実験をする上で大事なことを2つ教えてください。/理系に進む女子生徒が少ない理由は何ですか。→ 増やすためにはどうすればよいと思いますか。/不登校気味で生徒が3週間休んだらどう対応しますか。/部活動主顧問で持ってみたい部活動は何ですか。/副顧問を兼任するとしたら、運動部なら何がいいですか。/これまでの職務経験で役に立ったことは何ですか。/生徒から話しかけられやすいと調査票に書いてありますが、根拠はありますか。
- 【同じ面接の中でのクイズ】ノーベル化学賞の日本人受賞者は何人ですか。→ その中で名前と研究がわかる人はいますか。/あなたは桃太郎です。イヌ・サル・キジ以外で家来を連れて行くとしたら、誰を連れて行きますか。(動物・人間なんでもよい、3人以下でもよい)
中学校・社会(受験者D)
- 【場面指導】高校なんて、行けさえすればどこでもいいと言っている生徒がいる。その言葉を受け、全体に対し指導をする。(面接官3人・3分間。実演中にリアクションはなし。テーマを与えられたあと「構想の時間は必要ですか?」と聞かれ、1分間もらった)
- 【テーマ提示の前に】あなたは生徒たちに話をする際、どのような方針で話しますか。(この方針を軸に場面指導を組み立てた、との報告)
- 【実演後】緊張していましたか。/「高校なんて〜」というセリフをどの時間帯に言われましたか。→ それを受けて、いつこの指導をしましたか。
- 【模擬授業】「領土」または「文化」の授業を行いなさい。(模擬授業6分間。単元は2次試験を通過した人に2週間前くらいに通知され、当日にどちらを行うか分かる)→ 模擬授業をやってみてどうでしたか。→ この後の流れを教えてください。→ ねらいは何ですか。→ まとめでどんな言葉が生徒から引き出せていると良いですか。
- 【個人面接】出身の県と島根県の共通点と違いは何ですか。/出身の県と島根県の中学生の違いは何だと思いますか。/中学校時代はどんな学生でしたか。/社会科の魅力は何ですか。/社会科でどんな授業をしてみたいですか。/いじめや不登校のないクラスづくりをどうやって行いますか。(回答からさらに深く質問された)/職歴が重なっていますが苦ではないですか。/現在は別の校種で勤務していますが、どうして中学校ですか。/今の職場で学んだこと、大変なことは何ですか。/働く上で楽しみなこと、不安なことは何ですか。
- 【形式について】場面指導・模擬授業のあとに、それぞれ25分間の質問が入る。圧迫面接はなく、和やかな雰囲気。個人面接は2度行われ、試験官は異なるが質問内容が被ることもある。調査票に教員の資質を見るアンケート(5段階評価)と趣味・特技欄があった。1回目の面接の後、2回目まで1時間半の待ち時間があった。
校種・教科の記載なし(受験者E)
- 30分×2回の面接(計1時間)。場面指導と模擬授業を含む。「島根の教育や教員へのやる気など、計1時間あるので会話的な感じでたくさん聞かれました」との報告。
島根県の実録は、令和8年10月時点で5名分です。小学校・特別支援学校・養護教諭・栄養教諭、そして令和8・9年度採用の報告は、届いていません。受験された方の報告が、このページをさらに育てます。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。
傾向と対策|5年分の出題データと実録から見えた7つの法則
私たちは市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用・島根県分227問)を独自に集計し、受験者5名の実録と突き合わせました。そこから見えた島根県の法則がこちらです。
- 模擬授業と場面指導は「面接の一部」。実演で終わりではなく、そのあとの質疑応答まで含めて1つの試験。実演を自分で説明できるところまでが対策範囲です。
- 模擬授業の課題は「単元+場面」の指定。過去問集には5年分(令和4年度〜8年度採用)で78問収録されており、これは全国でも突出した厚さ。「導入場面を6分」が基本形です。
- 学級全体への指導や、学年を自分で設定した場面指導の報告があります。実際の指定に従ってください。場面設定の根拠を追質問で聞かれた報告があります。設定を先に決めて実演に入りましょう。
- 受験者調査票が質問の元ネタ。自己評価の数字や自由記述の言葉を選んだ理由を聞かれた報告があります。一方、自己評価・趣味特技欄について質問されなかった報告もあります。
- 2回の面接は試験官が別。それでも質問は被る。令和6年度採用の中学校社会の受験者1名が「回答がぶれないように意識した」と報告しています。2回とも同じ軸で話せることが最大の準備です。
- 「地域」の質問は建前ではなく制度。島根県は募集区分に石見地域限定・隠岐地域限定があり、「どの圏域でも大丈夫か」は毎年記録されています。「特別支援・合理的配慮」(全国平均の約2倍)「地域連携」(約3倍)も、島根県で出やすいテーマです。
- 雰囲気は和やかだが、質問数は多い。「計1時間あるので会話的な感じでたくさん聞かれた」「圧迫面接はなかった」という報告が中心です。一問一答ではなく深掘りツリーで準備しましょう(追質問チェーンは約9%と全国平均並みですが、実録では「回答内容からさらに深く質問された」という記録が目立ちます)。
深掘り質問に強くなるコツは、面接官が「知りたい順番」を先回りして準備することです。この考え方は大学講演で詳しく解説しました。
- すべての子どもが学びの主人公 〜一人ひとりを尊重する学校〜
- 実体験に根ざした本物の教育 〜地域とともにある学校〜
- 挑戦心、探究心が育つ学びの環境 〜子どもも大人も学び成長する学校〜
育てたい資質・能力は「学びの土台をなす人間力」「学びの中核をなす学力」「学びを展開する社会力」の3本柱。旧「しまね教育魅力化ビジョン」の基本理念は「ふるさと島根を学びの原点に 未来にはばたく 心豊かな人づくり」です。
出典:島根県教育委員会「しまね教育振興ビジョン(令和7年度-令和11年度)」(令和7年3月)
この3つは、そのまま面接の着地点になります。「地域とともにある学校」は島根が全国に先駆けて取り組んできたと明記されていますし、令和8年度採用の論述試験はこのビジョンの「発達の段階に応じた学力の育成」を題材に出題されています。志望動機も模擬授業のねらいも場面指導の方針も、最後はこの3つのどれかに着地させる意識を持つと、2回の面接に一貫性が出ますよ。
また、『生徒指導提要(改訂版)』には現代の教育課題に合わせた生徒指導の在り方が書かれており、場面指導の回答を考えるうえで必読です。
よくある質問
Q. 模擬授業の単元は事前に分かりますか?
A. 令和9年度採用の実施要項には記載がありません。受験者の報告では、令和6年度採用のケースで「模擬授業で行う単元は2次試験を通過した人に2週間前くらいに通知される。今年の単元は2つで、当日にどちらをやるか分かる」とされ、令和7年度採用でも「事前に内容の発表があった」という報告があります。一方で過去問集の形式メモには「構想2〜3分」という記録も残っています。「単元は事前、細かい場面指定は当日」のつもりで、単元が来たらすぐ組み立てられるよう練習しておくのが安全です。
Q. 場面指導で相手役はついてくれますか?
A. 過去の受験者からは、相手役やリアクションがなかったという報告があります。複数の報告で「完全に一人芝居」「場面指導中、リアクションをされることはない」と書かれています。うなずきも返事もない中で3分話し切る練習を、必ず一度はやっておいてください。
Q. 小論文(論作文)はありますか?
A. 第2次試験にはありません。第1次試験の「論述試験」として実施されます(350〜400字・40分・30点)。第1次試験の一部免除者は、この論述試験のみを受験します。過去のテーマと書き方は別記事にまとめました。
■ 島根県の論述試験(小論文)|350〜400字・40分の出題テーマと書き方
Q. 集団討論・集団面接はありますか?
A. 令和9年度採用の実施要項には記載がありません。第2次試験の試験内容は「個人面接(30分程度を2回実施)」と実技(音楽・美術受験者のみ)です。
Q. 面接の配点や評価の観点は公表されていますか?
A. 実施要項には第2次試験の配点・評価の観点の記載がありません(第1次試験は専門教養100点・教職教養30点・論述試験30点=160点満点と明記されています)。ただし、第1次試験の特例に「前年度第2次試験選考結果のうち『個人面接試験』の段階がA」という区分があることから、個人面接は段階評価で結果が残る仕組みであることが分かります。
Q. 圧迫面接ですか?
A. 報告では「圧迫面接はなかった。和やかな雰囲気」「会話的な感じでたくさん聞かれた」とされています。ただし回答からさらに掘られるのは共通していて、実際に「クイズ形式の質問」(ノーベル化学賞の受賞者、桃太郎の家来を選ぶ問題)まで飛んできた報告もあります。正解を出す試験ではないので、考え方を落ち着いて言葉にする練習をしておきましょう。
Q. 松江まで行かないと受けられませんか?
A. 第1次試験は松江・大阪・東京・福岡の4会場です。第2次試験は松江が基本ですが、小学校・特別支援学校の受験者で併願をしていない方は大阪会場・東京会場も対象になります(実施要項より。会場等の都合により希望どおりにならない場合があります)。
Q. 併願制度があると聞きました。二次の面接も2回分やるのですか?
A. 一般枠には、必要免許状などの要件を満たす方が第1志望・第2志望を出せる併願制度があり(中学校→小学校、高校→小学校など8パターン)、併願志望者は第1志望の試験に加えて、第2志望の専門教養試験と個人面接を受験する必要があります(実施要項)。令和9年度採用では、中学校→小学校の併願で27人が受験し、第2志望での名簿登載が3人という実績でした。
面接の手応えが気になる方へ
島根県は第2次試験が6月下旬〜7月上旬、発表が8月5日。約1か月、面接を何度も再生してしまう時期が続きます。しかも島根県は繰り上げ登載候補者に対する登載可否の通知が2026年10月30日まであるので、8月に結果が出てからもう一度待つ方もいます。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由はこちらの記事にまとめています。
■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由
この記事では、受験者の皆さんからの情報提供と、公刊過去問の情報をそれぞれ参照しています。ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございます。応援しています!
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