こんにちは、金井志津乃です!

岡山県って特別選考の種類が多すぎて、自分がどれに当てはまるのか分からなくて……。大学3年生で受けられる制度もあるって聞いたんですけど、それって受けたほうがいいんですか?

岡山県は特別選考がA①からJまで13種類。しかも複数に出願することはできないので、選び間違えると損をします。この記事で「自分はどのルートか」「そのルートで何人受けて何人受かったか」まで一気に整理しますね!
この記事では、岡山県公立学校教員採用候補者選考試験の特別選考(第1次試験の免除)と加点制度について、令和9年度採用の実施要項と、教育委員会が公表しているルート別の受験者数・採用候補者数をもとにまとめます。
この記事の根拠
- 選考種別・免除内容・加点は令和9年度採用の実施要項から。数字はすべて岡山県教育委員会の公表資料(出願状況・第1次試験の結果・第2次試験の結果)から集計。
- 「チャレンジ選考合格者の二次合格率」「講師経験者の合格率」などは公表された第2次受験者数と採用候補者数から当ブログで計算したものです
- この記事は岡山県(岡山市立学校を除く)の制度です。岡山市は市教育委員会が別に採用試験を実施しています。
- 岡山県の全体倍率・校種別・教科別の推移は →岡山県の倍率|令和9年度採用の最終結果と7年間の推移(校種別・教科別)
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
早見表|あなたはどのルート?(令和9年度採用・全13種類)
まず全体像です。岡山県の特別選考はA①・A②・B・C①・C②・D①〜⑤・E①・E②・F・G・H・I・Jの13区分(Dは分野で5つに分かれます)。免除の中身は3段階あります。
- 【全免除】第1次試験を免除——筆記も面接もなく、いきなり第2次試験から。C①・E①・E②・G・H・I・J
- 【筆記免除+特別面接】——第1次試験の筆記は免除されるが、代わりに特別面接(口頭試問を含む)を受ける。A①・A②・B・C②・D①〜⑤
- 【一部免除】教職教養試験のみ免除——教科専門試験は受ける。F
そして最重要の注意点。複数の特別選考に出願することはできません(実施要項「5-1 受験資格(2)」)。要件を2つ以上満たす方は、どれか1つを選ぶことになります。なお、審査の結果、特別選考の対象とならなかった場合は一般の選考の出願者として受け付けられます(中・高の併願はできません)。ただし、A②・Dで出願した人が一般の選考の出願者として受け付けられるのは、免許状所有者または令和9年3月31日までの取得見込みの人に限られます。
| 選考種別 | 主な対象 | 第1次試験 | 令和9年度の出願者 |
|---|---|---|---|
| H 「大学3年次等チャレンジ選考」合格者 | 全校種・職種。前年度のチャレンジ選考合格者(同一の校種・職種・教科で出願)。 | 全て免除 | 180人(全員一次免除) |
| C① 講師経験者(前年度第1次試験合格者) | 全校種・職種。令和8年度(令和7年実施)の試験で第2次受験資格を得た人+令和8年度も岡山県の公立学校等で講師として勤務中。 | 全て免除 | 160人(全員一次免除) |
| C② 講師経験者(経験年数) | 全校種・職種。令和4年4月〜令和8年5月に岡山県の公立学校等で通算24か月以上勤務+令和8年度も勤務中。 | 筆記免除+特別面接 | 292人(一次合格82人) |
| E① 教職経験者(本県教職経験者) | 全校種・職種。本県公立学校の正規教員として2年以上+退職から10年未満。 | 全て免除(二次は特別面接のみ) | 67人(全員一次免除) |
| E② 教職経験者(県外現職教員) | 全校種・職種。県外の国公私立学校に正規教員として勤務中+2年以上の経験。 | 全て免除(二次は特別面接のみ) | |
| F 「教師への道」研修修了者 | 全校種・職種。令和7年度に岡山県教育委員会が実施した「教師への道」研修を修了した人。 | 教職教養試験のみ免除 | 61人(一次合格35人) |
| I 大学等推薦者 | 小学校/中学校の国語・理科・技術・家庭・英語/高校工業/特別支援学校。大学等の推薦+岡山県が第一志望+学業成績が優秀。 | 全て免除 | 37人(全員一次免除) |
| D①〜⑤ 民間等のキャリア | 高校の工業・看護・農業・情報/中学校の技術。関連する3年以上の職務経験(実習助手は7年以上)。 | 筆記免除+特別面接 | 17人(一次合格11人) |
| J 外部試験(SPI3) | 小学校。指定期間内に申請し、SPI3を受検して一定の基準に達した人。 | 全て免除 | 11人(全員一次免除) |
| A② 英語を母語とする者 | 小学校(英語専科)・中学校英語・高校英語。英語を母語とし、職務を行う上で必要とされる日本語能力を有し、国内の学校で英語指導の教職経験3年以上(または2年以上の教職経験があり出願時も勤務している人)。 | 筆記免除+特別面接(二次は個人面接と模擬授業のみ) | 7人(一次合格1人) |
| B スポーツの実績 | 中学校・高校の保健体育。令和5年4月1日以降の対象競技で、国際レベルの大会に日本代表として出場し8位以上、または全国規模の大会でベスト4以上(高校在籍以前の実績は除く。団体は正選手に限る。対象競技は要項で確認)。 | 筆記免除+特別面接 | 4人(一次合格0人) |
| A① 英語の資格(グローバル人材) | 小学校・中学校英語・高校英語。英検1級・IELTS 7.0・TOEFL iBT 95などの基準を満たす人。 | 筆記免除+特別面接 | 令和9年度は公表資料に記載なし |
| G 理数系教員養成拠点構築プログラム(CST)修了者 | 小学校・中学校の理科。CST養成拠点構築プログラムを修了(見込み含む)。 | 全て免除 | 令和9年度は公表資料に記載なし |
| 身体に障害のある者を対象とした選考(別枠) | 身体障害者手帳1〜6級の交付を受けている人。上記全ての校種・職種で選考。 | — | 若干名(令和9年度の出願者は0人) |
※出典:令和9年度採用 実施要項「5 特別選考試験」「<選考の種別ごとの試験内容>」、岡山県教育委員会「令和9年度(第1次試験)の結果について」(2026年8月6日)。
制度は年度で変わるため、出願前に必ずその年の実施要項を確認してください。

数えてみてください。令和9年度採用で第1次試験が全免除だった人は、H180+C①160+E67+I37+J11=455人。第1次合格者885人の半分以上です。岡山県の合格ルートは、もう「一般選考で筆記を突破する」だけではありません。
ルート別の実績|二次でどれだけ受かっているか(令和8年度採用)
免除で二次に進んだあと、実際にどれだけ採用候補者になっているか。令和8年度採用(2025年夏実施)の公表データから、ルート別の二次合格率を計算しました。
| ルート(令和8年度採用) | 出願者 | 第1次合格者 | 第2次受験者 | 採用候補者 | 二次合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| F② 「教師への道」研修修了+チャレンジ選考合格 | 85人 | 85人 | 80人 | 62人 | 78% |
| H 「大学3年次等チャレンジ選考」合格者 | 75人 | 71人 | 62人 | 42人 | 68% |
| F① 「教師への道」研修修了者 | 81人 | 54人 | 49人 | 31人 | 63% |
| E①・E② 教職経験者 | 62人 | 62人 | 55人 | 24人 | 44% |
| 全体平均 | 1,583人 | 865人 | 814人 | 416人 | 51% |
| C① 講師経験者(前年度第1次試験合格者) | 158人 | 158人 | 156人 | 58人 | 37% |
| C② 講師経験者(経験年数) | 270人 | 133人 | 131人 | 45人 | 34% |
| A①・A② 英語の資格/英語を母語とする者 | 6人 | 4人 | 4人 | 2人 | (母数が小さいため参考値) |
| D 民間等のキャリア | 18人 | 2人 | 2人 | 2人 | (母数が小さいため参考値) |
| G CST修了者 | 3人 | 3人 | 3人 | 3人 | (母数が小さいため参考値) |
| B スポーツの実績 | 5人 | 0人 | 0人 | 0人 | — |
※二次合格率=採用候補者数÷第2次受験者数(当ブログ算出)。令和8年度採用では「教師への道」研修修了者がF①・F②の2区分に分かれていましたが、令和9年度採用ではFの1区分に統合されています。
出典:岡山県教育委員会「令和8年度岡山県公立学校教員採用候補者選考試験(第2次試験)の結果について」(2025年10月7日)
この表からは、令和8年度採用の1年分ですが、次のことが読み取れます。「早くから岡山県を目指して動いてきた人」ほど、二次の合格率が高い傾向があります。研修修了+チャレンジ選考合格の78%、チャレンジ選考合格の68%、研修修了の63%——いずれも全体平均51%を大きく上回ります。一方で講師経験者ルート(C①37%・C②34%)は平均を下回っています。

誤解しないでほしいのですが、これは「講師は不利」という意味ではありません。C①は「一次が全免除」なので、二次には幅広い層がまとめて進みます。分母が広がると率が下がりやすい、というのは当ブログの見方です。免除は入口が広がるだけで、二次で見られる点が軽くなるわけではないと私は考えています——浮いた時間は面接準備に回すのがおすすめです。
【主流ルート①】大学3年次等チャレンジ選考
大学・大学院の最終年次の1年前に在籍している人(短期大学・科目等履修生を除く)が、第1次試験の筆記だけを受験する制度です。合格後、翌年の令和10年度採用試験に同一の校種・職種および教科(科目)で特別選考Hとして改めて出願すると、第1次試験の筆記試験が免除される予定です(令和10年度採用の要項で確認してください。令和9年度採用で実施した校種・教科が令和10年度採用でも実施されるとは限りません)。
| 3年次のとき | 専用フォームから出願(令和9年度採用の試験では、受付は本試験と同じ2026年4月14日〜5月12日)。筆記試験のみを2026年7月4日に受験(本試験の第1次試験と同じ問題)。日程は年度で変わるため、必ず当該年度の実施要項・出願の手引きで確認してください。第2次試験はなし。自己推薦書の入力は不要。 |
| 合格したら | 令和10年度採用の試験(2027年夏実施)で、同一の校種・職種および教科(科目)で改めて出願し、特別選考Hとして第1次試験の筆記試験が免除される予定(令和10年度採用の要項で確認。令和9年度採用で実施した校種・教科が令和10年度採用でも実施されるとは限りません)。※合格者は地域枠にも出願可能。 |
| 不合格でも | 4年次の選考に影響しません(「大学3年次等チャレンジ選考~出願の手引き~」のQ&Aに明記)。翌年は一般選考として第1次試験から受験できる。 |
| 注意点 | 翌年、H以外の特別選考に出願した場合はチャレンジ選考の合格をもって筆記免除にはならない。また、在籍している大学等を令和9年度中に卒業できなかった場合は、原則として合格が取り消される。 |
| 結果通知 | 令和9年度採用の試験では2026年8月6日(木)午前9時頃。受験した全ての筆記試験の得点が開示される。 |
この制度がどれだけ使われているか、数字を見てみましょう。
- 令和9年度採用の試験(2026年夏)でチャレンジ選考を受験した人:485人、合格276人(57%)。前年は399人受験・212人合格(53%)で、1年で受験者が86人増加。
- 校種別の合格率は小学校82%(190人中156人)・特別支援学校80%(40人中32人)と高く、中学校44%・高校32%・養護教諭0%(28人中0人)と差が大きい
- 令和9年度採用では、前年のチャレンジ選考合格者180人が特別選考Hで出願し、全員が第1次試験を免除。第1次合格者885人の約2割にあたる。
- 令和8年度採用の実績では、Hで二次を受けた62人のうち42人が採用候補者(68%)。全体平均51%を大きく上回る。
※出典:岡山県教育委員会「令和9年度(第1次試験)の結果について」内「大学3年次等チャレンジ選考の結果について」、「令和8年度(第2次試験)の結果について」

私自身、大学2回生のときに「学校の先生になる」と腹を決めて、そこから模擬授業と面接の練習を始めました。なりたいと思ったら、なりたいと思った時からなるための行動を始める。これが私の考えです。岡山県のチャレンジ選考は落ちても翌年の選考に影響しないと「出願の手引き」に明記されています。使うかどうかは、要項を確認して決めてください。
ただし、3年次に受かった人にひとつ注意です。令和8年度採用の実績では、Hで二次を受けた人でも約3割が採用候補者になれていません。一次免除は「面接に全振りできる権利」であって「合格の権利」ではありません。特別選考Hの二次はグループワーク・個人面接・模擬授業・口頭試問(実技は該当者のみ)です。実際に何をやらされるのかは、面接記事で確認してください。
■ 岡山県の個人面接|実録2年分・受験者9名の質問と5年間の出題傾向
【主流ルート②】講師経験者(C①・C②)|令和9年度採用で最も人数が多いルート
令和9年度採用でC①160人+C②292人=452人。特別選考の中で最大の人数がここに集まります。2つの違いは「前年に一次を通ったかどうか」です。
| ルート | 主な要件 | 免除 |
|---|---|---|
| C① 前年度第1次試験合格者 | ①令和8年度(令和7年実施)の選考試験で第2次試験の受験資格を得た(ただしC①・E・Gで受験した人は除く) ②令和8年度、常勤講師等または非常勤講師(県費負担)として岡山県の公立学校等で勤務している(令和8年4月1日〜出願受付最終日の間に勤務実績があればよい) | 第1次試験を全て免除 |
| C② 経験年数 | ①令和4年4月〜令和8年5月の間に、岡山県の公立学校等で常勤講師等または臨時学校栄養職員(常勤)として通算24か月以上の勤務経験(発令期間が月内に1日でもあればその月を経験月として計算)②令和8年度も勤務している | 筆記試験を免除し、特別面接(口頭試問を含む)を実施 |
実務上のポイントを3つ。①出願する人は、事前に所属長にその旨を伝えることと要項に書かれています。②「岡山県の公立学校等」には県立学校・市町村立学校に加えて岡山大学附属の小・中・特別支援学校も含まれますが、岡山市立の小・中・義務教育学校は含まれません。③経験年数を通算するときの校種・職種・教科は問われません。
そしてC①には見落としやすい制限があります。令和8年度試験を免許取得見込みで受験し一次合格しても令和8年3月31日までに取得できなかった人、同試験のF②・Hで一次合格しても令和7年度中に大学等を卒業できなかった人は対象外です。同一の校種・職種であっても、枠を越えての出願はできません。要項の例では「令和8年度に小学校で一次合格 → 令和9年度は小学校のみ出願可、小学校(地域枠)は不可」「令和8年度に小学校(地域枠)で一次合格 → 令和9年度は小学校(地域枠)のみ出願可」とされています。

講師の強みは3つあると私は考えています。「クオリティ」「信用」「フレッシュさ」。現場で課題意識を持って授業や生徒指導をやってきた実践(クオリティ)、実際に働いてきた積み重ね(信用)、そして現実を見ても初心を忘れていないこと(フレッシュさ)。この3つが面接で伝わる講師は強いです。
そして「実績」は、賞や研究発表のような大それたものでなくて構いません。4月にはこうだった子が、こう関わったらこう変わった。その実体験で語れる実績を持っている人は強いです。自己推薦書でも面接でも、そこを軸にしてください。実際、岡山県の実録には「今年度はどんな勤務をしているか教えてください→どんな苦労がありますか→エピソードがあれば教えてください」という深掘りの連鎖が記録されています。
【主流ルート③】教職経験者(E①・E②)|二次は「特別面接のみ」+秋にもう1回チャンス
すでに正規教員として働いている(働いていた)方のルートです。岡山県のこの2区分は、第1次試験が全免除で、第2次試験も特別面接のみという特徴があります。
| ルート | 主な要件 | 試験内容 |
|---|---|---|
| E① 本県教職経験者 | 岡山県の公立学校(岡山市立を除く)の教諭等または養護教諭(いずれも正規教員)として2年以上の勤務経験(受験する校種・職種と同一に限る)があり、出願時に退職日から10年を経過していない人 | 第1次試験を全て免除。第2次試験は特別面接(口頭試問を含む)のみ。 |
| E② 県外現職教員 | 出願時に県外の国公私立学校に教諭等または養護教諭(いずれも正規教員)として勤務し、かつ出願時に2年以上の勤務経験(受験する校種・職種と同一の正規教員としての経験に限る)がある人 |
注目すべきは「第2次試験は特別面接のみ」という点です。他のルートでは原則としてグループワーク・個人面接・模擬授業・口頭試問が課されますが、A②は個人面接・模擬授業のみです。養護教諭は模擬授業に代えて模擬場面指導を行い、校種・教科・選考区分によっては実技もあります。一方、E①・E②は特別面接(口頭試問を含む)1本。グループワークの劇も、模擬授業も、ありません。
令和9年度採用では、県外現職教員(E②)に、夏の試験とは別に秋選考が実施されます(令和9年度採用分の実施要項は令和8年9月下旬に公表されました。詳細は必ず秋選考の実施要項で確認してください)。
- 募集校種(令和9年度採用の秋選考の実施要項より。必ず要項で確認してください):小学校(地域枠を含む)、中学校(地域枠を含む。国語・理科・美術・技術・英語)、高等学校(英語・工業)、特別支援学校、身体に障害のある者を対象とした選考。採用候補者見込数はいずれも若干名。
- 試験実施日:11月14日(土)、予備日15日(日)
- 試験内容:特別面接(口頭試問を含む)
- 出願期間:令和8年9月28日(月)〜10月20日(火)17時(電子申請。令和9年度採用の秋選考は、この期間で受付が終了しています)。試験の結果通知は12月4日(金)です。令和10年度採用の秋選考は、その年度の実施要項で日程を確認してください。
- 夏の試験を受験した人(E②以外の選考の受験も含む)は出願できません
※出典:岡山県教育委員会「令和9年度岡山県公立学校教員採用候補者選考試験(秋選考)の実施について(概要)」「同 実施要項」(令和8年9月28日)。
他県で現職の方は、夏の試験に出るか秋を待つか、どちらか一方を選ぶことになります。
他県の正規教員として岡山県を受け直す方(E②)を含む教職経験者(E①・E②)の二次合格率は、令和8年度採用の実績で約44%(全体平均は51%)です。公表値は合算のため、E②だけの合格率は分かりません。ただ、私の実感では他自治体への再受験は簡単ではありません。管理職は「今求められている授業をブラッシュアップし続けているか」「謙虚で一緒に働きたい人か」に目が向くのではないか、と私は考えています。この2つが伝われば「こんな人が他県から来てくれるなんて」と管理職が思ってくれる可能性がある、という話です。
【主流ルート④】社会人・民間経験者(D①〜⑤)|免許がなくても出願できます
岡山県の民間キャリア枠は、対象が専門教科に限定されているのが特徴です。
| 区分 | 校種・教科 | 主な要件 |
|---|---|---|
| D① | 高等学校の工業(専門分野は限定しない) | 民間企業・官公庁(教職以外)で工業(出願する分野)と関連する3年以上の職務経験+高度な専門的知識・技能/または公立学校の実習助手として工業に関連する7年以上の職務経験+高度な専門的知識・技能+出願時も実習助手として勤務中 |
| D② | 高等学校の看護 | 看護師免許証を有し、看護師・保健師・助産師(いずれも正規職員)として出願時に3年以上の実務経験 |
| D③ | 高等学校の農業 | 民間企業・官公庁(教職以外)で農業に関連する3年以上の職務経験+高度な専門的知識・技能/または公立学校の実習助手として農業に関連する7年以上の職務経験+高度な専門的知識・技能+出願時も実習助手として勤務中 |
| D④ | 高等学校の情報 | 民間企業・官公庁で情報と関連する3年以上の職務経験+高度な専門的知識・技能 |
| D⑤ | 中学校の技術 | 民間企業・官公庁で技術(木材加工・金属加工・機械・電気・栽培・情報等)と関連する3年以上の職務経験+高度な専門的知識・技能 |
大きなポイントは、D①〜⑤は「出願する校種・職種、教科等の教諭普通免許状を有しない者」でも出願できることです(実施要項「5-1 受験資格(1)」のただし書き)。免許を持たない方が採用候補者として登録された場合は、岡山県教育委員会が実施する特別免許状授与のための教育職員検定に合格し、特別免許状の授与を受けることになります。「職務経験」は正規職員として就業した期間を指し、複数の職務経験がある場合は通算できます(ただし民間経験と実習助手経験は通算不可)。
なお、上記に当てはまらない社会人の方のうち、小学校・中学校・特別支援学校の出願者で次の要件を満たす方は、特別選考ではなく「選考に当たって考慮する事項」のほうで評価されます(後述の(13)「同一の民間企業、官公庁等で正規職員として2年以上継続勤務しており、出願時も勤務していること」)。

社会人受験の方に、私がおすすめしている準備は2つ。「社会人経験を学校現場でどう生かしたいか」と「なぜ社会人をしていたのに教員を目指すのか」。この2つを面接でバシッと話せるようにしておくと、社会人から教採を受けるときにも合格しやすくなるポイントかなと思います。岡山県の実録にも「なぜたくさんある職業の中で教員を選んだのですか」「教員以外の職業に就くとしたら何がいいですか」という質問が記録されていますよ。
私自身、受講生の中で40代・50代で教採に合格する方を数多く見てきました。私が動画でお伝えしているのは、40代・50代の受験者に対して面接官が懸念しやすい3つのポイントです。今求められている教育を謙虚に学んで挑戦する姿勢があるか/年下の同僚と謙虚でフラットな姿勢で働けるか/謙虚な姿勢でチームに貢献しようとしているか——この3点が伝わるかどうかを、私は大切だと考えています。ここが伝われば、豊富な人生経験はそのまま強みになります。岡山県は令和9年度採用の要項で昭和42年4月2日以降に生まれた人という受験資格なので、令和9年度採用では59歳まで受験できる計算です(生まれ年の条件は年度ごとに変わるため、当該年度の実施要項で確認してください)。
【その他のルート】F・G・I・J|岡山県ならではの制度
| F 「教師への道」研修修了者 | 令和7年度に岡山県教育委員会が実施した「教師への道」研修を修了した人(過去にFで受験した人は除く)。第1次試験の教職教養試験が免除され、教科専門試験のみ受験する。令和9年度は61人が出願。令和8年度の実績では、研修修了者の二次合格率は63%(F①)・78%(F②=チャレンジ選考合格も併せ持つ人)と非常に高い。 |
| G CST修了者 | 小学校・中学校の理科が対象。「理数系教員(コア・サイエンス・ティーチャー:CST)養成拠点構築プログラム」を修了した人(令和9年3月31日までの修了見込みを含む。過去にGで受験した人は除く)。第1次試験を全て免除。令和8年度は3人が出願し3人全員が採用候補者に。 |
| I 大学等推薦者 | 小学校/中学校の国語・理科・技術・家庭・英語/高校の工業/特別支援学校が対象。要件は①岡山県公立学校(岡山市立を除く)の教員として勤務することを第一志望とし令和9年4月1日から勤務可能 ②岡山県が求める教員像にふさわしい資質と能力を有し学業成績が優秀 ③出願時に大学等に在籍し令和9年3月31日までに卒業(修了)見込み ④免許所有または取得見込み。推薦書は大学等が提出するため、出願者からの提出は不要。第1次試験を全て免除。令和9年度は37人が出願(この年度から実施)。 |
| J 外部試験(SPI3) | 小学校のみが対象。令和8年3月5日(木)〜3月26日(木)午後5時までに「外部試験(SPI3)による特別選考に係る申請」を行い、SPI3を受検して一定の基準に達した人を対象とする。第1次試験を全て免除。令和9年度は11人が出願(この年度から実施)。申請の締切(3月26日)が本試験の出願受付開始(4月14日)より前にある点に注意。 |

I(大学等推薦)とJ(SPI3)は、令和9年度採用から加わった新しいルートです。特にJは申請が3月26日締切——本試験の出願受付(4月14日〜5月12日)よりずっと早い。小学校志望で「筆記が不安」という方は、前年の秋ごろから情報を追い始めておくのがおすすめです。気づいたときには締め切っている、というのが一番もったいないパターンです。
第1次試験の加点制度|英語・情報・その他の資格で5〜10点
令和9年度採用の実施要項では、申請により、第1次試験の教科専門試験等(100点満点)に加点されるとされています(教科専門試験等が免除される特別選考での扱いは、要項に記載が見当たりません)。申請する場合は、電子申請の「加点申請」欄に加えて、英語の資格なら「英語の資格」欄、情報・その他の資格なら「特技・資格」欄にも入力し、実施団体が発行する資格証明書等をPDFで添付する必要があります。
| 加点項目 | 加点 | 対象・主な要件 |
|---|---|---|
| 英語の資格 | 10点 | 小学校・中学校の英語・高等学校の英語。実用英語技能検定準1級以上、TOEIC L&R/S&W 1560以上、TOEFL iBT 72以上、IELTS 5.5以上、TEAP 309以上、GTEC 1190以上、ケンブリッジ英語検定 160以上のいずれか(実施要項<表1>)。 |
| 情報の資格 | 5点/10点 | 小学校・中学校・高等学校・特別支援学校が対象。独立行政法人情報処理推進機構が実施する情報処理技術者試験に平成21年度以降に合格した人。ITパスポート5点/基本情報技術者10点/応用情報技術者10点。 |
| その他の資格 | 10点 | 特別支援学校が対象。視能訓練士、手話通訳士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のいずれかの資格を有する人 |
※「英語の資格」と「情報の資格」の中で複数の資格を有している場合も、重複申請はできません。TOEIC L&R/S&Wについては、TOEIC S&Wのスコアを2.5倍にして合算したスコアで基準を満たす必要があり、公開テストによるスコアのみが対象です。有効期限がある認定書等は出願時点で有効であること。基準の細かい数値は必ずその年の実施要項<表1>で確認してください。
出典:令和9年度採用 実施要項「6 加点に関する事項・選考に当たって考慮する事項」
「選考に当たって考慮する事項」13項目
加点とは別に、岡山県には「選考に当たって考慮する事項」という枠組みがあります。点数として何点、とは公表されていませんが、該当する項目は出願時に電子申請へ入力します。特に英語の資格(<表1>の基準)と剣道・柔道の段位は、該当する場合は必ず所定の欄に入力するよう指示されています。
- 部活動・ボランティア活動・JICA(国際協力機構)が実施するJICAボランティア事業に参加する等の幅広い経験を有していること
- 学校図書館司書教諭の資格を所有していること
- 特別支援学校教諭普通免許状を所有していること
- 社会教育主事になり得る資格を所有していること
- 中学校教諭普通免許状(英語・数学・理科)または高等学校教諭普通免許状(英語・数学・理科)を所有していること
- いずれかの教科(英語・数学・理科を除く)の中学校教諭普通免許状を所有していること
- 各資格・検定において<表1>に示す基準のいずれかを満たしていること
- 小学校教諭普通免許状を所有していること
- 複数教科の中学校教諭普通免許状を所有していること
- 高等学校教諭普通免許状(情報)を所有していること
- 剣道4段以上または柔道3段以上の段位を所有していること
- いずれかの教科の高等学校教諭普通免許状を所有していること
- 同一の民間企業、官公庁等(教職以外)で、正規職員として2年以上継続勤務しており、出願時も勤務していること
※項目ごとに対象となる校種・職種が定められています(実施要項の表で確認してください)。教諭普通免許状および社会教育主事になり得る資格は令和9年3月31日までに取得見込みのもの、学校図書館司書教諭の資格は同日までに必要単位を取得のうえ交付申請完了見込みのものを含みます。

1番目に「部活動・ボランティア活動・JICAボランティア事業への参加等の幅広い経験」が置かれていることに注目してください。しかもこれは、自己推薦書の3つ目の記入欄(250字)とぴったり同じ項目名です。岡山県は「幅広い経験を持っている人か」を、書類の欄まで作って確認しようとしているのではないかと考えられます。ここを空欄同然にして出すのは、もったいないと私は思います。
■ 岡山県の自己推薦書の書き方|自己アピール500字・専門200字・部活動/ボランティア250字を実録から逆算
まとめ|免除は「入口」、勝負はどのルートでも二次
| ルート | 二次の合格率(令和8年度採用の公表値から算出) |
|---|---|
| 「教師への道」研修修了+チャレンジ選考合格(F②) | 約78% |
| 大学3年次等チャレンジ選考の合格者(H) | 約68% |
| 「教師への道」研修修了者(F①) | 約63% |
| 全体平均 | 約51% |
| 教職経験者(E①・E②) | 約44% |
| 講師経験者・前年度第1次試験合格者(C①) | 約37% |
| 講師経験者・経験年数(C②) | 約34% |
どのルートでも、最後は原則としてグループワーク・個人面接・模擬授業・口頭試問です(E①・E②は特別面接のみ、A②は個人面接と模擬授業のみ。養護教諭は模擬場面指導、該当者は実技も)。免除で浮いた時間と労力を、そのまま二次の準備に回してください。岡山県の二次で実際に聞かれた質問、模擬授業のテーマ、そして面接官が読み込む「自己推薦書」の書き方は、それぞれ別記事にまとめています。
■ 岡山県の個人面接|実録2年分・受験者9名の質問と5年間の出題傾向
■ 岡山県の自己推薦書の書き方|面接で深掘りされる欄を実録から逆算
■ 岡山県の倍率|令和9年度採用の最終結果と7年間の推移(校種別・教科別)
よくある質問
Q. 特別選考は複数申し込めますか?
A. できません。実施要項に「複数の特別選考に出願することはできない」と明記されています。要件を2つ以上満たす方は、免除の範囲が大きいほう(第1次試験の全免除>筆記免除+特別面接>教職教養のみ免除)を選ぶのが基本です。ただしE①・E②は二次が特別面接のみになるなど、免除以外の違いもあるので、要項の「<選考の種別ごとの試験内容>」の表を必ず見比べてください。
Q. 特別選考の対象にならなかったら、その年は受けられませんか?
A. 受けられます。実施要項に「特別選考の対象とならなかった者は、一般の教員採用候補者選考試験の出願者として受け付ける」とあります(ただし中高の併願はできません)。審査の結果は受験番号等発表の際に併せて発表されます。なおA②・Dで出願した人が一般選考として受け付けられるのは、免許状所有者または令和9年3月31日までの取得見込者に限られます。
Q. 3年次のチャレンジ選考で不合格になったら、4年次に不利になりますか?
A. なりません。「出願の手引き」のQ&Aに「『大学3年次等チャレンジ選考』で不合格となった成績が、4年次の選考に影響することはありません」と明記されています。また、大学院1年生でも受験可能です(大学および大学院の最終年次の1年前に在籍していれば。短期大学・科目等履修生は除く)。
Q. 講師経験が2年未満の場合は?
A. C②の要件(令和4年4月〜令和8年5月に通算24か月以上)を満たさないので、一般選考になります。ただし令和8年度(令和7年実施)に第2次試験の受験資格を得ていて令和8年度も講師として勤務中なら、C①(第1次試験の全免除)が使える場合があります(C①・E・Gで受験した人は除かれ、同一の校種・職種・教科(科目)等・枠での出願が必要です)。経験月数の計算は「発令期間が月内に1日でもあれば、当該月は経験月として計算する」とされているので、細切れの発令でも通算できる可能性があります。自分で判断せず、必ず要項の条文を読んでください。
Q. 育児休業・病気休職の期間も「勤務している」に入りますか?
A. 入りません。令和9年度採用の実施要項のQ&Aに「『勤務』とは実際に勤務を行っていることを言い、育児・病気等による休業・休職の期間は含まれません。同様に、各選考の要件にある『職務経験』『教職経験』『実務経験』『勤務経験』にも育児・病気等による休業・休職の期間は含まれません」と明記されています。
Q. 地域枠は特別選考ですか?
A. 特別選考とは別の枠組みです。小学校教諭等・中学校教諭等・養護教諭に設けられており、対象は津山市・高梁市・新見市・真庭市・美作市・新庄村・鏡野町・勝央町・奈義町・西粟倉村・久米南町・美咲町で、原則として採用後10年以上勤務可能な人。採用候補者見込数は各校種の内数(令和9年度採用は小学校30人・中学校15人・養護教諭2人)で、地域枠の採用候補者とならなかった場合でも、出願した校種・職種の中で地域枠以外の人と合わせて更に選考され、採用候補者となる場合があります。なお、中学校教諭等(地域枠)を第1志望とする場合や特別選考に出願する場合は、中高併願ができません。
Q. 補欠になったら、翌年はどうなりますか?
A. 岡山県の補欠は「若干名」で、有効期間は令和9年3月31日まで。3月31日までに採用候補者名簿に登録されなかった補欠者は、令和9年4月1日から岡山県の公立学校で常勤講師等として優先的に任用されます(実施要項「12 補欠」)。令和9年度採用のC①には、前年度に第2次試験の受験資格を得ていること(C①・E・Gで受験した人は除く)、同一の校種・職種・教科(科目)等・枠での出願、岡山県の公立学校等での勤務などの条件があり、令和9年度採用ではこの条件を満たせば特別選考C①で第1次試験が全免除になります。令和10年度採用でも同じ仕組みが続くとは限らないため、必ず当該年度の実施要項で確認してください。補欠は「行き止まり」ではなく、次のルートの入口です。
Q. 岡山市立学校の講師ですが、岡山県の講師経験者特別選考は使えますか?
A. 令和9年度採用の実施要項では、C①・C②の「岡山県の公立学校等」は県立の中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校、市町村(組合)立の小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・特別支援学校、および岡山大学附属の小学校・中学校・特別支援学校を指し、岡山市立の小学校・中学校・義務教育学校は除くとされています。岡山市立の小学校・中学校・義務教育学校での勤務は、C①・C②の対象勤務に含まれません。他の特別選考の要件に該当するかは別途確認してください(要件は年度で変わるため、必ずその年の実施要項を確認してください)。
この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます
特別選考で受験された方の「二次で何を聞かれたか」「特別面接はどんな雰囲気だったか」は、同じルートで受ける次の年度の受験生にとって何より貴重な情報です。岡山県を受験された方は、ぜひ教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。
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