【教員採用試験】横浜市の論文(小論文)|45分・字数は当日提示。過去4年の出題テーマと書き方

こんにちは、金井志津乃です! 

横浜市の論文って、二次試験なのに一次試験の日に書くんですよね? しかも字数が当日まで分からないって、どう対策すればいいんですか……。

そうなんです。横浜市の論文は「第二次試験の科目なのに、第一次試験日に全員が書く」という独特の仕組み。45分・テーマと字数は当日提示です。でも安心してください。過去のテーマを並べると、横浜市が何を書かせたいのかはっきり見えてきますよ!

この記事では、横浜市公立学校教員採用候補者選考試験の論文試験について、過去4年の出題テーマと受験者の皆さんからの報告、横浜市教育委員会が公開した評価の観点をもとに、傾向と書き方をまとめます。

この記事の根拠

  • 令和6年度〜8年度採用の受験者報告4件を校種別に収録(実際に出たテーマと当日の様子)
  • 市販の過去問集から横浜市の論文7題(令和5・7・8年度採用)を整理——テーマの要旨と字数のみ掲載しています(課題文そのものは載せていません。令和6年度採用は受験者報告で補填)。
  • 評価の観点は横浜市教育委員会が公開した「論文試験の評価の観点について」から(時間・実施日は令和8年度実施の受験案内と照合済み)
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

論文試験の形式|30秒でわかる基本情報

位置づけ第二次試験の科目。ただし第一次試験日(令和8年度実施は7月5日)に受験者全員が受験し、第一次試験の合格者と免除者のみ採点されます(受験案内p.8・p.9)。
時間45分
テーマ・字数当日に提示(受験案内に明記)。過去の出題では400字以上500字以内の年と800字以内の年があります。
問題年によっては受験区分ごとに別問題。令和7年度採用では小学校・中学校/高等学校・養護教諭・特別支援学校でそれぞれ違うテーマが出ています(令和5年度採用は全校種共通。公刊の収録と受験者報告から確認したもので、受験案内に明記はありません)。
一次免除の方特別選考①③⑤⑦⑧で第一次試験が免除される方も、7月5日の論文試験だけは受験が必要です(受験案内の各特別選考の説明に繰り返し記載)。
春実施では論文試験はありません。春実施の第二次試験は模擬授業と個人面接のみです。
過去問の閲覧過去5年分の論文課題等は横浜市市民情報センターで閲覧可能。論文課題は横浜市教育委員会のホームページにも掲載されています(受験案内Q4)。

「一次に受かるか分からない段階で、二次の論文を書く」——ここが横浜市最大の落とし穴です。7月5日は、一般選考の方なら筆記2科目に加えて45分の論文もあると思って、体力配分まで含めて準備してください。実際の受験者報告にも「一次試験と同日(教職教養、専門が終わったあと)に行われました」という記録があります。

論文試験の評価の観点(横浜市教育委員会が公開)

横浜市は、令和7年度実施の「論文試験の評価の観点について」を公開しています。《基本的事項》と《論文内容》の2区分・計7項目で評価し、総合的に評定を行うと明記されています。

《基本的事項》

  • 文章の構成
  • わかりやすさ
  • 誤字脱字
  • 字数(論文用紙の80%以上)

《論文内容》

  • 問題の趣旨に沿って論じている
  • 問題の趣旨を的確にとらえ、構造的に考察できている
  • 問題の趣旨に対して、自分の考えを明確に記述できている

横浜市は、令和7年度実施についてこのように評価の観点を公開しています。令和8年度実施の同資料は確認できていません。「字数は論文用紙の80%以上」が観点として明記されているのは非常に大きなヒントです。用紙が800字詰めなら640字以上が目安です(字数が「500字以内」などの場合に「論文用紙の80%」をどう数えるかは、この資料には書かれていません)。この資料では字数も評価の観点の一つですが、80%未満の場合の具体的な減点方法は示されていません。

過去4年の出題テーマ|年によっては受験区分ごとに別問題

令和5年度採用から令和8年度採用までの出題テーマを整理しました。テーマの要旨と字数のみを掲載しています(問題文そのものは、横浜市教育委員会のホームページまたは市民情報センターでご確認ください)。

採用年度(実施)受験区分テーマの要旨字数
令和5年度採用(2022夏)全校種横浜教育ビジョン2030が示す4つの方向性から1つを選び、自分のよさや強みを生かしてどんなことに取り組みたいかを述べる400字以上500字以内
令和6年度採用(2023夏)小学校いじめを生まない学級づくりの取組みを、いじめのメカニズムと発達段階を踏まえて述べる(受験者報告)800字以内
令和6年度採用(2023夏)中学校オンラインを活用した授業の可能性について、基本的な考えと具体的な活用例を述べる(受験者報告)800字程度
令和7年度採用(2024夏)小学校子どもの状況に応じた異なる指導・支援をどう実践するか。あわせて、それが不平等感や不満感につながらないための留意点と工夫を述べる。800字以内
令和7年度採用(2024夏)中学校・高等学校GIGAスクール構想とICTの活用——構想について述べたうえで、ICT活用にどう取り組むかを具体的に述べる800字以内
令和7年度採用(2024夏)養護教諭心身の健康問題の背後にある課題への対応——養護教諭の立場として望ましい対応を、具体的なケースを想定して述べる800字以内
令和7年度採用(2024夏)特別支援学校「交流及び共同学習」——インクルーシブな社会の実現に向けて、どのような教育活動の展開が考えられるかを述べる800字以内
令和8年度採用(2025夏)小学校少数派の意見が尊重される授業——多数派ではなく少数派の意見が尊重されるように、どんな授業をするかを述べる(受験者報告)—
令和8年度採用(2025夏)養護教諭養護教諭の職務の特質と求められる役割について自分の考えを述べる800字以内
令和8年度採用(2025夏)特別支援学校就学前から社会参加までの切れ目ない支援——学校ではどのような取組が求められるかを具体的に述べる800字以内
令和9年度採用(2026夏)—令和8年10月時点で報告は未収録です(下記フォーム)—

※出典:市販の全国版過去問集(横浜市収録分)および当ブログに寄せられた受験者報告
(字数は出題に記載されたもの。令和6年度採用は受験者報告のみを掲載。)

この表から読み取れる3つのこと

  1. 年によっては受験区分ごとに問題が違う。同じ年に小学校・中高・養護教諭・特別支援でそれぞれ別のテーマが出ています。「自分の区分で問われそうなこと」を中心に準備するのがおすすめです(区分共通のテーマが出る年もあります)。養護教諭なら保健室、特別支援なら交流及び共同学習やインクルーシブ、といった具合に。
  2. 字数は年によって変わる。令和5年度採用は400字以上500字以内、令和7・8年度採用は800字以内。受験案内が「字数は当日に提示」としているのは、こうした年による違いがあるためかもしれません。500字でも800字でも書けるように、両方の分量で練習してください。
  3. 設問が「2段構え」の形の年があります。「〜について述べなさい。また、〜についても述べなさい」という形です。留意点と工夫、構想の説明と自分の取り組み、職務の特質と求められる役割……。前半だけ・後半だけの答案は、評価の観点「問題の趣旨に沿って論じている」を満たさず、評価が下がるおそれがあります。

そしてもう1つ。テーマの並びを見ると、「一人ひとりに応じる」という軸が多くの年に見られます(ICT活用やオンライン授業のテーマが出た年もあります)。異なる指導・支援、少数派の意見、いじめのメカニズム、切れ目ない支援、交流及び共同学習——全部そうですよね。これは横浜市が目指す人づくり「自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人」と、求める教師像の「子どもによりそい、豊かな成長を支える教師」と重なる部分があると私は考えています。

受験者の報告|実際に出た問題と当日の様子

令和6年度採用(2023年夏実施)
  • 【小学校】いじめを生まない学級づくりを行うための取組みについて、いじめのメカニズムを考慮し、発達段階を踏まえて述べなさい。
    ——1次試験日に実施。45分間・800文字以内。原稿用紙は横32マス×縦25マスだったと思うとの報告。
  • 【小学校・別の受験者】いじめが起きないようにするため、どうしますか。いじめのメカニズムと児童の発達段階を踏まえて、あなたの考えを述べなさい。
    ——一次試験と同日(教職教養、専門試験が終わったあと)に実施されたとの報告。
  • 【中学校・数学】オンラインを活用した授業の可能性について、どのように考えますか。基本的な考えを述べるとともに、授業での具体的な活用の例について述べなさい。(45分・800字程度)
    ——第一次試験が免除だった受験者が「一次試験の日に論文だけ書きに行った」という報告。
令和8年度採用(2025年夏実施)
  • 【小学校】多数派の意見ではなく少数派の意見が尊重されるように、あなたはどんな授業をしますか。(受験者の記憶による報告)

報告で貴重なのは、「原稿用紙は横32マス×縦25マスだったかと思う」という情報です。32×25=800字。これは当該受験者による過去の用紙の報告です。実際の字数や用紙は、受験する年度に提示された条件を確認してください。

令和9年度採用(2026年7月5日実施)の論文を受験された方は、テーマを教えていただけると次の受験生の力になります。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム

書き方|45分で「趣旨に沿って・構造的に・自分の考えを」書き切る型

横浜市の論文は45分。800字なら、45分ではかなりタイトです。しかも当日まで字数が分かりません。だからこそ、迷わず書き出せる「型」と「時間配分」を先に決めておくことが合否に影響すると私は考えています。私がこれまで多くの受験者を見てきた中で、ベストな時間配分の目安は「構想メモに全体の4分の1程度、残りを執筆と見直しに」です。45分なら構想メモ約10分、執筆と見直しで約35分。ただし人によって違うので、過去問演習で自分に合う配分を掴んでください。

時間やることポイント
最初の10分設問の要求に線を引く→構想メモ設問が「〜。また、〜」と2段構えなら、メモも2ブロックに分けて書き、字数の配分も決める。
28分執筆提示された字数の8〜9割を埋めることをおすすめします(評価の観点に「論文用紙の80%以上」と明記)
最後の7分見直し主語述語のねじれ・誤字脱字・段落の切れ目を確認(評価の観点《基本的事項》そのもの)

※時間配分の目安は金井志津乃のYouTube『小論文完全攻略』(2024年5月)の発言にもとづく。執筆と見直しの内訳は当ブログの目安です。

800字の場合の型

  • ①設問への答えを一文で(約80字):「私は〜と考える」。ここで課題文の言葉をそのまま使うと、論点がずれにくくなります。
  • ②なぜそう考えるか・現状の理解(約200字):子どもの実態や社会的背景に触れる。評価の観点「問題の趣旨を的確にとらえ、構造的に考察できている」はここで見られると考えられます。
  • ③具体的な実践を2つ(約400字):授業での取り組み+学級・家庭・専門家との連携など、自分の受験区分で実際にできることを。設問の後半(留意点・工夫・役割など)はここで回収するのがおすすめです。
  • ④結び(約120字):横浜市の教員としてどうありたいかで締める。

500字の場合の型

令和5年度採用のように400字以上500字以内で出た年もあります。この分量では、②の背景説明を1〜2文に圧縮し、①答え(80字)→②理由(100字)→③実践1つを具体的に(250字)→④結び(70字)の配分に切り替えてください。この字数で実践を2つ並べようとすると、どちらも薄くなりがちです。

小論文でまず意識してほしいのは「課題の趣旨からそれないこと」。横浜市の評価の観点でも、7項目のうち3つが「問題の趣旨」に関するものです。課題文中の言葉をそのまま使って書き出すと、ズレを減らしやすくなります。1分で解説したショートがこちら!

構想メモの取り方は、実際に私が書きながら解説した動画が分かりやすいと思います。漠然としたテーマを、理由→具体→結論に落とすまでを実演しています。45分しかない横浜市では、この10分が勝負です。

横浜市らしい答案にするために|3つの教師像に着地させる

横浜の求める教師像(受験案内・募集案内より)
  • 教育への使命感や情熱をもち、学び続ける教師
  • 「チーム学校」の一員として、ともに教育を創造する教師
  • 子どもによりそい、豊かな成長を支える教師

そして横浜市が目指す人づくりは「自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人」(横浜教育ビジョン2030)。令和8年度からは、そのアクションプランである第5期横浜市教育振興基本計画(令和8年度〜11年度・7つの柱と18の施策)が始まっています。

論文の「実践」を書くとき、意識してほしいのが「一人で抱えない」という視点です。求める教師像の2つ目が「チーム学校」であること、そして令和7年度採用の養護教諭の出題が「心身の健康問題の背後にある課題への対応」だったことを考えると、担任・専科・養護教諭・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・保護者・関係機関とどうつながるかを1つ入れると、横浜市の求める教師像に沿った答案になりやすいと考えられます。

実際に、令和5年度採用の出題は横浜教育ビジョン2030の4つの方向性から1つ選んで書くという、市の計画そのものを扱う問題でした。第5期横浜市教育振興基本計画の概要版には7つの柱と18の施策がコンパクトにまとまっているので、試験前に一度は目を通しておいてください。

また、いじめや生徒指導がテーマの年に備えて、『生徒指導提要(改訂版)』の「発達支持的生徒指導」「課題未然防止教育」といった枠組みを押さえておくと、論の骨格が安定しやすくなります。

そして論文は「書く面接」です。小論文で問われるテーマは面接でも問われることが多く、小論文の成績と面接の成績が連動することもあると私は見ています。論文と面接の答えを同じ軸でそろえておくと、準備が一気に楽になりますよ。全体像は完全攻略動画で。

■ 横浜市の個人面接|実録3年分・受験者9名の質問と傾向

よくある質問

Q. 何字くらい書けばいいですか?

A. 当日提示された字数の8割以上を埋めることをおすすめします。横浜市は評価の観点に「字数(論文用紙の80%以上)」と明記しています。用紙が800字詰めなら640字以上です(提示字数が500字以内などの場合の数え方は資料に書かれていません)。実際には9割前後(800字なら720字前後)で着地する感覚を練習でつかんでおくと安心です。

Q. 一次試験に落ちたら、論文は採点されないのですか?

A. はい。受験案内に「第一次試験合格者及び第一次試験免除者のみ採点します」と明記されています。ただし受験者全員が受験する必要があります(受験案内には、選考を欠席した場合は合否判定の対象とせず、試験結果も通知しないと明記されています)。一次の手応えがどうであれ、45分は全力で書いてください。

Q. 一次試験が免除される選考区分でも論文は書きますか?

A. 書きます。特別選考①(教職経験者)③(大学推薦)⑤(アイ・カレッジ)⑦(リスタート)⑧(大学3年生チャレンジ推薦)で第一次試験が免除される方も、令和8年7月5日(日)の論文試験は受験が必要です。受験案内の各特別選考の説明に、同じ注意書きが繰り返し書かれています。実際に「第一次試験免除だったが、一次試験の日に論文だけ書きに行った」という受験者報告もあります。
■ 横浜市の特別選考と一次免除ルート

Q. 春実施にも論文はありますか?

A. ありません。春実施(小学校のみ)の第一次試験は適性検査SPI3、第二次試験は模擬授業 約8分と個人面接 約30分のみです(受験案内より)。論文も実技もないぶん、模擬授業と面接で見られる内容が中心になります。

Q. 過去問はどこで見られますか?

A. 受験案内のQ&Aによると、過去5年分の「一般教養・教職専門試験」「教科専門試験」の問題・解答・配点、論文課題等を横浜市市民情報センターで閲覧できます。また論文課題は横浜市教育委員会のホームページにも掲載されています。開館状況を確認のうえ、足を運べる方はぜひ実物を見てください。

Q. 対策の時間がありません。最短の方法は?

A. 合格レベルの例文を読んで「OKパターン」を体に入れ、例文をそのまま使うのではなく、具体例や考え、経験は自分のオリジナルにして仕上げていくのがおすすめです。当たり前のことを書いたうえで、自分らしさを後から足すのが、好印象になる形です。

Q. 神奈川県と同じ問題ですか?

A. いいえ。横浜市は神奈川県・川崎市・相模原市とは別の試験(受験案内「1 実施目的」に明記)で、論文も別問題です。この記事の内容は横浜市のものです。

Q. 倍率はどのくらいですか?

A. 令和9年度採用の第一次試験は全体で1.1倍、最終倍率は2.0倍(受験者1,839人÷最終合格者942人、2026年9月30日公表)でした。校種別・教科別の推移は倍率記事にまとめています。
■ 横浜市の倍率|令和9年度採用の一次結果と7年間の推移

この記事の受験者報告は、皆さんからの情報提供で成り立っています。ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございます。応援しています!

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