【教員採用試験】茨城県の特別選考と一次免除ルート|大学3年生前倒し・大学等推薦・講師等経験者【区分A/B】・SPI3・加点制度を数字で解説

こんにちは、金井志津乃です! 

茨城県って講師の一次免除ができたって聞いたんですけど……あと大学3年生でも受けられるとか、SPI3で受けられるとか。種類が多すぎて、自分がどれで受けられるのか全然わかりません。

茨城県は特別選考などのルートが多い自治体です。令和9年度採用には特別選考等の複数の区分+志願者の特例が5つ+加点(上限20点)があります。この記事で「自分はどのルートか」「そのルートで何人受けて何人受かったか」まで一気に整理しますよ!

この記事では、茨城県公立学校教員選考試験の特別選考(第1次試験の免除)と加点制度について、令和9年度採用の実施要項と、教育委員会が公表しているルート別の志願者数・合格者数をもとにまとめます。

この記事の根拠

  • 選考種別・免除内容・加点は令和9年度採用(令和8年度実施)の実施要項から。数字はすべて茨城県教育委員会の公表資料(志願状況・選考試験の結果について)から集計。
  • 前年度(令和8年度採用)の実施要項とも突き合わせ、令和9年度採用の新設・廃止を明示しています
  • 茨城県の全体倍率・校種別の推移は →茨城県の倍率|令和9年度採用の志願状況と5年間の推移
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

早見表|あなたはどのルート?(令和9年度採用)

茨城県の選考は「一般選考」に加えて、①一般選考の中の「志願者の特例」(5種類)、②特別選考等(実施要項上の区分。県の統計資料では別枠を含めてさらに細かく集計されています)、③加点制度(20点上限)という三層構造になっています。第1次試験の扱いがルートごとに違うので、まず全体像から。

ルート主な対象第1次試験の扱い実績(志願→合格)
大学3年生を対象とした前倒し選考卒業年次の1年前の学生(大学・短大・専門学校)一次のみ受験。通過すれば翌年は一次免除。令和8年度実施:志願864名→通過510名(約59%)(令和7年度実施:志願705名→通過451名=約64%)
前倒し選考通過者の第1次試験免除(志願者の特例5)前年に前倒し選考を通過し、同一区分で受験する人全て免除令和9年度採用:志願377名→合格324名(約86%)
大学等推薦特別選考茨城県を第一志望とし、県教委が指定する大学等の学長等の推薦を受ける卒業見込者一次+二次の口述・実技を免除令和9年度採用:志願38名→合格38名(前年:志願41名→合格41名)
講師等経験者特別選考【区分B】(令和9年度採用で新設)公立学校の非常勤を除く臨時的任用講師等で、受験校種・教科における過去36月以上かつ出願時勤務、または直近5年(令和3年4月〜令和8年3月)36月以上の勤務経験全て免除令和9年度採用(初年度):志願176名→合格102名(約58%)
講師等経験者特別選考【区分A】臨時的任用の講師・養護助教諭・実習助手・寄宿舎指導員等で直近4年に12月以上(在職中)または24月以上一般選考と同じ(別枠で選考)令和9年度採用:志願183名→合格53名(約29%)(前年:志願202名→合格58名)
現職教諭等在職者の特例(志願者の特例1)他の都道府県・指定都市の公立学校の正規教諭等で通算36月以上在職一次+二次の口述・実技を免除令和9年度採用:志願46名→合格37名(約80%)(前年:志願56名→合格51名)
小学校担任経験者の特例(志願者の特例3)県内公立小・中・義務教育学校で学級担任を経験し、出願時も担任として勤務中で、かつ小学校(義務教育学校前期課程を含む)の担任経験がある講師等全て免除令和9年度採用:志願44名→合格42名(約95%)(前年:志願47名→合格37名)
英語の資格による一部試験の免除(志願者の特例2)中学校・高校区分Bは英検準1級やTOEIC LR785以上(L400かつR385)等、高校区分Aは英検1級やTOEIC LR945以上(L490かつR455)等。いずれも一般選考の受験資格と所定の資格証明が必要中学・高校区分Aは一次+二次の口述を免除/高校区分Bは一次を免除令和9年度採用:志願51名→合格33名(約65%)(前年:志願50名→合格34名)
教員資格認定試験受験者の特例(志願者の特例4)小学校・高校(情報)の一般選考の受験資格を満たし、令和8年度の教員資格認定試験を受験する人。県の二次通過に加え、認定試験の全試験合格と指定期限内の当該年度合格証書写しの提出が名簿登載の条件全て免除令和9年度採用:志願5名→合格3名
外部試験(SPI3)による特別選考全校種。一次をSPI3テストセンターで受験。一次がSPI3(基礎能力検査200点+性格検査)に置き換え令和9年度採用:志願74名→合格12名(約16%)(前年:志願84名→合格18名)。採用予定約200名
鹿行地域勤務希望者特別選考鹿嶋市・潮来市・神栖市・行方市・鉾田市での勤務を希望する人(高校・特別支援)一般選考と同じ(別枠で選考)令和9年度採用:高校 志願23名→合格5名/特別支援 志願22名→合格11名(前年:特別支援のみ 志願24名→合格12名)
令和9年4月2日以降に免許取得見込みの方を対象とした選考(令和9年度採用で新設)小学校(免許を後から取得)・特別支援(民間等で36月以上の勤務経験+免許を後から取得。採用後おおむね3年以内に特別支援学校教諭免許の取得が必要)一般選考または外部試験と同じ令和9年度採用(初年度):小学校 志願46名→合格38名/特別支援 志願18名→合格3名
障害者を対象とした選考一般選考の受験資格を満たし、職務遂行が可能で、所定の手帳・判定書の交付を受けている人(第1次試験前日までの交付見込みを含む。身体障害者手帳は1〜6級)原則一般選考と同一。障害の種類・程度に応じ実技の全部または一部を免除。令和9年度採用:志願10名→合格0名(前年:志願12名→合格0名)。採用予定10名程度
離職者/スペシャリスト/前年度第2次試験合格者/実習助手実施要項の別紙で規定別紙参照令和9年度採用:離職者 志願8名→合格8名/スペシャリスト 志願20名→合格8名/前年度2次合格者 志願2名→合格2名/実習助手 志願45名→合格7名(前年:離職者 11→4、スペシャリスト 39→14、前年度2次合格者 3→3、実習助手 44→6)

※令和9年度採用の志願→合格は「令和8年度実施 茨城県公立学校教員選考試験の結果について」(令和8年10月15日公表)、前年(令和8年度採用)は同資料の前年欄と「令和7年度実施 結果について」の数字です。通過率は志願者数と合格者数から当ブログが算出しました。「令和9年4月2日以降に免許取得見込みの方」の志願者数には外部試験(SPI3)の志願者(小学校2名・特別支援学校7名)が含まれる、と県資料に注記があります。制度は年度で変わるため、出願前に必ずその年の実施要項を確認してください。

まず知っておいてほしい注意点を2つ。①「志願者の特例」(5種類)は重複して申し込めません。2つ以上当てはまる場合は、いずれか1つを選びます。②「志願者の特例」を選ぶと、加点制度は使えません。免除と加点、どちらが自分に得かを出願前に計算してくださいね。

令和9年度採用の主な変更点|講師の一次免除が新設されました

実施要項の冒頭に「主な変更点」が明記されています。令和9年度採用では大きな変更が5つありました。

  • 講師等経験者特別選考【区分B】の新設——受験する校種・教科で36月以上の勤務経験(過去の勤務で出願時も勤務中、または直近5年)がある講師等の第1次試験を免除(採用予定100名程度+若干名)
  • 中学校教諭保健体育(小学校体育専科教員併願)の新設——中学校保健体育で不合格でも小学校体育専科教員の志願者として扱う(10名程度。小学校免許がなくても志願できますが、採用後おおむね3年以内に小学校普通免許状を取得見込みであることが必要です)
  • 高等学校教諭(中学校併願)の新設——高校で不合格でも中学校の一般選考志願者として扱う(令和9年度採用の志願353名)
  • 令和9年4月2日以降に教員免許状取得見込みの方を対象とした選考の新設(小学校40名程度・特別支援10名程度)——合格後、最長で令和12年4月1日まで名簿登載を猶予
  • 鹿行地域勤務希望者特別選考の拡充——対象校種に高等学校教諭を追加(旧「(仮称)神栖特別支援学校」開校に伴う特別選考から名称変更)

一方で、令和8年度採用まであった「いばらき輝く教師塾」修了生特別選考(32名程度)は、令和9年度採用の実施要項から選考枠としては姿を消しました。ただし加点制度には「『いばらき輝く教師塾』Ⅱ期を修了した方=5点」が残っています。修了生の方は、選考枠ではなく加点制度(5点)の対象になります。申請の方法や条件は、必ず当該年度の実施要項で確認してください。

大学3年生を対象とした前倒し選考|令和8年度実施の通過率は約59%、小学校は約93%

大学3年生等(最終年次の1年前)のうちに第1次試験だけを受験し、通過すれば翌年は第1次試験が免除され、二次から受けられる制度です。茨城県では、このルートの志願者が増えています(令和7年度実施705名→令和8年度実施864名)。

受験資格第1次試験日において大学3年生等(大学・短期大学・専門学校の最終年次の1年前)として在籍し、翌々年3月31日までに卒業見込み。免許状の要件は一般選考に準じます。受験区分の普通免許状を現に有する方を除き、取得見込みの期日は令和9年4月2日〜令和10年4月1日です。
3年生のときに受けるもの専門教科・科目 300点のみ。第2次試験はなし。「志願者の特例」「併願制度Ⅰ・Ⅱ」「加点制度」は利用できません。
選考基準他の選考とは別に選考し、一定の基準に達した者を選考通過者とする(他の選考とは別の通過基準で選考)
結果の開示通過とならなかった場合、順位・得点・選考通過最低点が通知される扱いとされています(令和9年度採用の実施要項)
通過したら翌年、同一の校種・教科等の区分で改めて出願し、第1次試験の免除を受けます。第2次試験には校種・教科により口述試験・実技試験もあります。選考通過後、結果通知で指定された期日までに、3か月以内発行の在学証明書を提出する必要があります。
通過しなかったら翌年以降、一般選考として受験できます。前倒し選考の結果の扱いは、受験する年度の実施要項で確認してください。
権利の有効期間翌年度限り(持ち越し不可)。通過した区分以外で受験することもできますが、その場合は一次免除になりません。

数字で見てみましょう。

  • 令和7年度実施の前倒し選考:志願705名→通過451名(約64%)。校種別では小学校247名→235名(約95%)、中学校200名→133名、高校114名→43名、特別支援37名→36名、養護97名→3名、栄養10名→1名。
  • 令和8年度実施(令和9年度採用)の前倒し選考:志願864名(小302・中257・高146・特支36・養113・栄10)と、1年で159名増。通過は510名(約59%)で、小学校282名(約93%)・中学校145名・高校51名・特別支援29名・養護2名・栄養1名
  • 令和7年度実施の前倒し選考通過者のうち377名が令和9年度採用に「第1次試験免除」で出願(小197・中110・高36・特支30・養3・栄1)し、324名が合格(小185・中90・高21・特支27・養1・栄0)
  • 令和8年度採用では、小学校の「前倒し選考通過者を対象とした特別選考」に志願175名→合格100名(採用予定100名程度)

※出典:茨城県教育委員会「令和7年度実施 結果について」「令和8年度実施 志願状況について」

私自身、大学2回生のときに「学校の先生になる」と腹を決めて、そこから模擬授業と面接の練習を始めました。なりたいと思ったら、なりたいと思った時からなるための行動を始める。これが私の考えです。茨城県の前倒し選考は専門教科1科目だけで、しかも通過率は小学校で約93〜95%(令和7年度実施は約95%、令和8年度実施は約93%)。受けるかどうかは、要項を確認して決めてください。

ただし気をつけてほしいのは、一次免除は「二次に全振りできる権利」であって「合格の権利」ではないということ。令和9年度採用の茨城県の二次は個人面接240点+模擬授業240点(特別支援学校教諭は集団活動240点、中高の英語・実技教科は口述試験または実技試験100点が加わります)で、一つでも一定の基準に達しないと不合格になります。浮いた1年を、そのまま模擬授業と面接の準備に使ってください。

■ 茨城県の個人面接・模擬授業|実録10名の質問と5年分の出題傾向

大学等推薦特別選考|志願38名に対して合格38名

茨城県で通過率が100%だったルートのひとつが、これです。

募集人数(令和9年度採用)小学校24名程度、中学校15名程度(県教委が指定する教科)、小・中学校8名程度、高等学校10名程度(同)、特別支援学校3名程度=計60名程度(県の志願状況資料では小中学校51名程度・計64名程度と区分が異なります)
推薦基準①茨城県公立学校教員を第一志望とする
②成績が優秀であるとともに、茨城県の教員として優れた実践力を発揮することが期待でき、県教委が指定する大学等の学長等が推薦する
③令和9年3月31日までに大学または大学院を卒業・修了見込み
出願方法「大学等推薦特別選考実施要項」に基づき大学等が取りまとめて郵送(電子申請での出願は不可)。実施要項は指定する大学等に送付されます。
選考試験第1次試験ならびに第2次試験の口述試験・実技試験を免除
実績令和9年度採用:志願38名→合格38名/令和8年度採用:志願41名→合格41名/令和7年度採用:志願50名→合格50名

※出典:令和9年度採用 実施要項【5】2(2)、茨城県教育委員会「令和8年度実施 結果について」「令和7年度実施 結果について」

募集60〜64名程度(資料により区分が異なります)に対して志願が38〜50名。枠が埋まっていないのです。もちろん大学の推薦を得るための学内選考はありますし、推薦がもらえるかは大学次第。でも茨城県が「指定する大学等」に在籍していて、茨城県が第一志望なら、まず大学の就職支援課・教職支援室に「大学等推薦の枠はありますか」と聞きに行ってください。ここを知らずに一般選考で受けている方もいるようです。

講師の方のルート|【区分A】と【区分B】の違い

令和9年度採用から【区分B】が新設され、講師の方に「第1次試験の全部免除」の道ができました。要件が似ていて混乱しやすいので、並べて整理します。

講師等経験者特別選考【区分A】講師等経験者特別選考【区分B】(新設)
勤務実績a 直近4年(令和4年4月〜令和8年3月)で12月以上+出願時も勤務中/b 直近4年で24月以上a 過去において36月以上+出願時も勤務中/b 直近5年(令和3年4月〜令和8年3月)で36月以上
対象の職非常勤講師を除く臨時的任用の講師、養護助教諭、実習助手、寄宿舎指導員、任期付教職員非常勤講師を除く臨時的任用の講師、任期付教職員
第1次試験一般選考と同じ試験を受験(別枠で選考)全て免除
募集人数小25/中40/高17/特支9/養護若干名(県の統計上は計105名程度)小40/中30/高20/特支10(県の統計上は計107名程度)
令和9年度採用の志願→合格183名(志願倍率1.7倍)→合格53名176名(志願倍率1.6倍)→合格102名
提出書類「講師等経験者特別選考勤務実績証明書(所定様式3)」を出願時に郵送(最終勤務校または現勤務校の校長の証明)
共通の扱い勤務実績はAでは受験する校種・職種、Bでは受験する校種・教科で必要。ただしAのb(直近4年で24月以上)では、臨時的任用または任期付の実習助手・寄宿舎指導員として勤務している方は教諭・養護教諭を志願できます(中高一貫校等の扱いは要項参照)/県外の公立学校の勤務も算入可/1日でも任用のあった月は1月として計算/勤務期間は連続でなくてよい/市町村教育委員会の選考試験を経て採用された市町村費負担教員(非常勤講師を除く)の勤務も算入可

※出典:令和9年度採用 実施要項【5】1(1)、【5】2(3)、「令和8年度実施 志願状況について」。
【区分B】は「他の選考と併願できない選考等」に位置づけられており、【区分A】との併願はできません。なお実施要項では【区分A】と鹿行地域勤務希望者特別選考にも重複して志願できないと定められています。

令和9年度採用の実績は、【区分A】が志願183名→合格53名(約29%)、【区分B】が志願176名→合格102名(約58%)でした。参考までに、令和8年度採用(【区分A】のみだった年)の実績は志願202名→合格58名(採用予定105名)。教科別に見ると、中学校社会が志願20名→合格7名、中学校保健体育が志願32名→合格6名と、一般選考と同じく社会・保健体育が激戦でした。一方、小学校は志願27名→合格18名です。

講師の強みは3つあると私は考えています。「クオリティ」「信用」「フレッシュさ」。現場で課題意識をもって授業や生徒指導をやってきた実践(クオリティ)、実際に働いてきた積み重ね(信用)、そして現実を見ても初心を忘れていないこと(フレッシュさ)。この3つが伝わる講師は強いです。令和9年度採用の茨城県は模擬授業が240点——現場で毎日授業をしている講師の方にとって、強みを生かしやすい配点だと考えられます。

そして「実績」は、賞や研究発表のような大それたものでなくて構いません。4月にはこうだった子が、こう関わったらこう変わった。その実体験で語れる実績を持っている人は強いです。自己PRでも面接でも、そこを軸にしてください。

県内で小学校の担任をしている方は、もう1つ道があります

「志願者の特例(3)小学校担任経験者による第1次試験の免除」は、茨城県内で学級担任をしている講師等のための特例です。①令和6年度・令和7年度に県内の公立小・中・義務教育学校で学級担任(特別支援学級の担任を含む)の経験がある ②出願時も県内の公立小・中・義務教育学校で学級担任として勤務している ③令和6年度〜令和7年度の出願時までに小学校(義務教育学校前期課程を含む)の学級担任の経験がある(期間は問わない)——この3つを満たせば第1次試験が全て免除されます。令和9年度採用は志願44名→合格42名(約95%)、令和8年度採用は志願47名→合格37名(約79%)でした。

他県の正規教員の方|「現職教諭等在職者の特例」は合格率が高い

他の都道府県または指定都市の公立学校で、出願時に正規任用の主幹教諭・指導教諭・教諭・養護教諭・栄養教諭として勤務し、令和8年3月31日までに休職・育児休業等を除いて36月以上在職していることなどが必要です。受験資格を満たせば、第1次試験ならびに第2次試験の口述試験・実技試験が免除されます(中学校英語・高校英語で出願する場合は、英検準1級・TOEIC LR785以上などの資格が別途必要)。提出書類は「勤務実績証明書(所定様式1)」と「自己推薦書(任意様式1)」です。出願できる校種・職種は正規教諭等としての勤務実績、教科は教育課程内の授業担当実績があるものに限られます(科目は不問)。連携型・併設型の中高一貫校などでの勤務の扱いは要項3ページを確認してください。

実績は令和9年度採用で志願46名→合格37名(約80%)、令和8年度採用で志願56名→合格51名(約91%)。令和7年度採用も50名→45名と、高い水準です。ただし免除されるのは口述・実技まで。個人面接240点と模擬授業240点(特別支援学校教諭は個人面接240点と集団活動240点)は全員が受けます。

私の実感では、他自治体への再受験は簡単ではありません。管理職は「今求められている授業をブラッシュアップし続けているか」「謙虚で一緒に働きたい人か」を見ています。この2つが伝われば「こんな人が他県から来てくれるなんて」と管理職が思ってくれる可能性がある、という話です。茨城県の面接では実際に「現職の方がなぜ本県を受けようと思われたのですか」「茨城県では初任者となるので担任などになりますが、大丈夫でしょうか」と確認された報告があります。

社会人・免許がまだの方|SPI3と「後から免許」の2ルート

茨城県は、教員免許や教職課程の勉強から離れている方への入口が2つあります。

外部試験(SPI3)による特別選考第1次試験がSPI3の基礎能力検査(言語・非言語)200点+性格検査に置き換わります(中高英語は英語検査200点が追加)。試験日は令和8年4月20日〜5月15日のうち受験者が選ぶ日、会場は全国のSPI3テストセンターから選択(オンライン会場の有無は、受験する年度の実施要項で確認してください)。採用予定は小80名・中60名・高30名・特支20名・養護5名・栄養若干名=約200名と大きな枠です。ただし5月10日実施の他の選考とは併願できません。
令和9年4月2日以降に免許取得見込みの方を対象とした選考(今年度新設)小学校40名程度:小学校免許を令和9年4月2日〜令和12年4月1日に取得見込みで、中学校または高等学校の免許要件を満たす方。特別支援学校10名程度:小学校・中学校(実施要項【3】に記載の教科)・高等学校(同【3】の教科のうち農業・工業・商業・水産・看護・福祉・技術以外)のいずれかの普通免許状を同期間に取得見込みで、民間企業や官公庁等の正規職員として36月以上の勤務経験があり、採用後おおむね3年以内に特別支援学校教諭普通免許状を取得していただく方。小学校・特別支援とも年齢要件は「昭和45年4月2日以降に出生した方」で、一般選考(昭和42年4月2日以降)とは異なります。合格後、最長で令和12年4月1日まで採用候補者名簿への登載が猶予され、免許取得後に登載されます。

※出典:令和9年度採用 実施要項【9】、別紙[外部試験による特別選考]。
SPI3の枠は採用予定約200名に対し、令和9年度採用は志願74名→合格12名(約16%)、令和8年度採用は志願84名→合格18名でした。

社会人の方が面接で準備しておくとよいのは2つ。「社会人経験を学校現場でどう生かしたいか」と「なぜ社会人をしていたのに教員を目指すのか」。この2つを面接でバシッと話せるようにしておくと、社会人から教採を受けるときにも合格しやすくなるポイントかなと思います。

私自身、受講生の中で40代・50代で教採に合格する方を数多く見てきました。私が動画でお伝えしているのは、40代・50代の受験者に対して面接官が懸念しやすい3つのポイントです。今求められている教育を謙虚に学んで挑戦する姿勢があるか/年下の同僚と謙虚でフラットな姿勢で働けるか/謙虚な姿勢でチームに貢献しようとしているか——この3点が伝わるかどうかを、私は大切だと考えています。なお茨城県の受験資格は昭和42年4月2日以降に出生した方(令和9年度採用の一般選考)。大学3年生を対象とした前倒し選考は昭和43年4月2日以降、令和9年4月2日以降に免許取得見込みの方を対象とした選考は昭和45年4月2日以降と、選考ごとに異なります。

加点制度|上限20点。免許・資格の「持ち駒」を全部出す

令和9年度採用の一般選考の第1次試験は専門教科・科目300点の一発勝負。そこに合計20点を上限として加点されます。一般選考の受験者が対象で、「志願者の特例」による受験者は利用できません。また前倒し選考・免許後取得の選考でも利用できません(外部試験(SPI3)による特別選考での扱いは、要項で確認してください)。

対象資格等加点
全校種・職種博士の学位を有する20点
小・中・高・特登録日本語教員の資格を有する20点
小・中・高・特英検準1級以上/TOEFL iBT 72以上/TOEIC LR 785以上(L400かつR385)/GTEC CBT 1180以上/IELTS 5.5以上/TEAP 309以上/TEAP CBT 600以上/ケンブリッジ英語検定160以上(「英語」志願者を除く)20点
小・中・高・特応用情報処理技術者15点
全校種・職種教職修士(専門職)の学位を取得(見込可)し、受験する校種・職種・教科の専修免許状を有する10点
全校種・職種所定の青年海外協力隊員等として継続2年以上の派遣実績/認定された在外教育施設で継続2年以上の教育活動従事経験(令和9年4月1日の採用時点で2年に達する見込みも対象)各10点
小・中・高・特「外国語(英語)」以外の「外国語」普通免許状を有する10点
小・中・高・特基本情報処理技術者/情報セキュリティマネジメント10点
小・中・高・特日本語教育能力検定試験に合格10点
小・中・特英検2級以上/TOEFL iBT 44以上/TOEIC LR 550以上(L275かつR275)/GTEC CBT 930以上/IELTS 4.0以上/TEAP 225以上/TEAP CBT 420以上/ケンブリッジ英語検定140以上(「英語」志願者を除く)10点
高等学校「情報」の普通免許状(当該教科の志願者を除く)/「地理歴史」受験者で「公民」/「公民」受験者で「地理歴史」/「福祉」または「看護」の普通免許状(当該教科の志願者を除く)各10点
特別支援学校特別支援学校教諭の普通免許状/「知的」「肢体不自由」「病弱」のいずれかのほか「視覚」または「聴覚」の領域/小・中・高・特の4校種の普通免許状/中学校および高等学校の「数学」または「理科」の普通免許状各10点
全校種・職種「いばらき輝く教師塾」Ⅱ期を修了5点
小・中・高・特司書教諭の資格/ポルトガル語・スペイン語・中国語の各検定(APLE B1以上、Celpe-Bras中級以上、西検4級以上、DELE A2以上、中国語検定3級以上、HSK4級以上のいずれか)各5点
小・中・高特別支援学校教諭の普通免許状を有する5点
小・中学校小学校教諭および中学校教諭の普通免許状を有する5点
中学校中学校教諭の複数教科の普通免許状を有する5点
特別支援学校『小・中・特』または『小・高・特』の3校種の普通免許状(4校種の加点との重複不可)5点

※合計が20点以上の場合は20点とする。要項本文には、免許状以外の資格(司書教諭を除く)は取得見込みでは申請できないとあります。一方、同じ頁の表では教職修士(専門職)に「見込可」と明記されており、両者の適用関係は要項に説明がありません。取得見込みで申請したい場合は、出願前に県教育委員会へ確認してください。令和9年度採用の実施要項では、既得の免許状・資格の写しは電子申請時に添付するか、令和8年3月24日消印有効で簡易書留郵送とされています。取得見込みの免許状の「取得見込証明書」は第1次試験当日に提出とされています。提出方法・期限は、必ず当該年度の実施要項で確認してください。
出典:令和9年度採用 実施要項【6】加点制度

茨城県の加点は英語資格の配点が大きいです。英検準1級を持っていれば、英語以外の教科で受けるだけでいきなり20点(上限いっぱい)。300点満点の試験で20点は大きい。「英語の資格は英語の先生のもの」と考えている方もいますが、茨城県では英語以外の教科の志願者にも加点があります。令和9年度採用の加点利用者は657名(合格288名)——志願者の約2割にとどまっています(前年の882名から減ったのは、前倒し選考通過者の扱いが変わり加点制度の対象外になったためと、県の結果資料に注記があります)。

併願制度|落ちても「もう一度」拾われる仕組み

茨城県には、第一志望で不合格になった場合に別の校種の志願者として扱う併願制度があります。これも一種の「合格ルート」です。

併願枠内容令和9年度採用の志願→合格
高等学校教諭(中学校併願)(新設)高校で不合格の場合、中学校の一般選考志願者として扱う(高校と対応する中学校の両方の一般選考の受験資格が必要。国語・社会・数学・理科・英語・保健体育・音楽・美術・技術・家庭が対象)353名→合格33名
中学校教諭(小学校併願)中学校で不合格の場合、小学校の一般選考志願者として扱う(小学校免許が必要)127名→合格9名
中学校教諭保健体育(小学校体育専科教員併願)(新設)中学校保健体育で不合格の場合、小学校体育専科教員の志願者として扱う。小学校普通免許状を現に有する方又は令和9年4月1日までに取得見込みの方は対象外で、中学校教諭(小学校併願)制度を利用します。この体育専科枠では採用後おおむね3年以内に小学校普通免許状を取得見込みであることが必要です。92名(10名程度)→合格7名
中学校/高等学校教諭(特別支援学校併願)第一志望の校種と特別支援学校の両方の受験資格が必要です。第一志望校種の二次試験で不合格の場合、特別支援学校教諭の一般選考志願者として扱う。二次はそれぞれの校種と特別支援の両方を受験。中学校38名→合格4名・高等学校19名→合格0名
小学校教諭算数・理科教員選考枠小学校教諭の一般選考の受験資格を満たしたうえで、中学校教諭(数学)又は(理科)の普通免許状を有する方(令和9年4月1日までの取得見込みを含む)が対象です。不合格の場合は小学校の一般選考志願者として扱う。算数14名→合格13名・理科8名→合格6名(各15名程度)

※併願制度Ⅰと併願制度Ⅱは重複できません。併願制度Ⅱは(1)〜(5)に重複して志願することもできません。
出典:令和9年度採用 実施要項【4】3・4、「令和8年度実施 志願状況について」「令和8年度実施 結果について」

令和9年度採用の実績では、高校受験者の中学校併願で33名、中学校受験者の小学校併願で9名・小学校体育専科教員併願で7名、中学校受験者の特別支援併願で4名(高校受験者は0名)が合格しています。令和8年度採用は、中高一貫校教諭受験者の高校併願で1名、中学校受験者の小学校併願で8名、中学校・高校受験者の特別支援併願で3名が合格でした。数は多くありませんが、「出願のときの一手間で合格の可能性が2つになる」のは事実です。

まとめ|免除は「入口」、勝負は二次。試験内容・配点は校種・教科と免除条件を確認

ルート令和9年度採用の志願→合格通過率参考:令和8年度採用の志願→合格(通過率)
大学等推薦特別選考(一次+二次口述・実技免除)38名→38名100%41名→41名(100%)
小学校担任経験者の特例(一次免除)44名→42名約95%47名→37名(約79%)
前倒し選考通過者の特例(一次免除)※令和8年度採用は小学校のみの「特別選考」377名→324名約86%175名→100名(約57%)
現職教諭等在職者の特例(一次+二次口述・実技免除)46名→37名約80%56名→51名(約91%)
英語の資格による一部試験の免除51名→33名約65%50名→34名(約68%)
講師等経験者特別選考【区分B】(令和9年度採用で新設)176名→102名約58%—
鹿行地域勤務希望者特別選考高校23名→5名/特別支援22名→11名高校約22%/特別支援50%特別支援のみ 24名→12名(50%)
講師等経験者特別選考【区分A】183名→53名約29%202名→58名(約29%)
外部試験(SPI3)による特別選考74名→12名約16%84名→18名(約21%)
「いばらき輝く教師塾」修了生特別選考 ※令和9年度採用では枠を廃止——94名→50名(約53%)
参考:全体3,215名→1,369名約43%3,054名→1,247名(約41%)

※通過率は、公表された志願者数と第2次試験合格者数から当ブログが算出したものです。
出典:茨城県教育委員会「令和8年度実施 茨城県公立学校教員選考試験の結果について」(令和8年10月15日公表)「令和7年度実施 茨城県公立学校教員選考試験の結果について」

大学3年生を対象とした前倒し選考(令和8年度実施は第1次試験のみ)と、離職者・スペシャリストを対象とした特別選考(小論文100点+個人面接200点の300点)を除き、最後は個人面接240点+模擬授業240点(特別支援は個人面接240点+集団活動240点。中高の英語・実技教科は、口述試験・実技試験の免除を受ける場合を除き、100点が加わり580点)です。免除で浮いた時間と労力を、そのまま二次の準備に回してください。茨城県の面接で実際に聞かれた質問、そして面接員が読み込む自己PRの作り方は、それぞれ別記事にまとめています。

■ 茨城県の個人面接・模擬授業|実録10名の質問と5年分の出題傾向
■ 茨城県の自己PR・志願書の書き方|冒頭2〜3分と自己申告書の深掘りを実録から逆算

よくある質問

Q. 「志願者の特例」と「加点制度」は両方使えますか?

A. 使えません。実施要項に「志願者の特例を希望する方は、加点制度を利用できません」と明記されています。また志願者の特例(1)〜(5)に重複して志願することもできません。免除で確実に一次を通すか、加点で一次の得点を上げるか——たとえば英検準1級(20点)を持っている講師の方なら、どちらが有利かをよく考えて選んでください。

Q. 3年生で前倒し選考を通過したのに、4年生で不合格になったら?

A. 実施要項では、第1次試験が免除されるのは前年度(令和7年度実施)の前倒し選考通過者で、同一試験区分を受験する方と定められています。その前倒し選考による一次免除は翌年度限りです。それ以後の受験区分や、ほかの一次免除の適用可否は、受験する年度の要項で確認してください。ただし二次を一度経験した強みは大きいので、聞かれた質問と模擬授業の質疑応答は記録しておくことをおすすめします。令和9年度採用の実施要項では、第2次試験の不合格者には順位と得点合計・合格最低点が通知されるとされており、自分の得点と合格最低点の差を数字で確認できます。

Q. 県外の学校での講師経験もカウントされますか?

A. されます。講師等経験者特別選考【区分A】【区分B】とも、要件は「茨城県内外の公立学校における非常勤講師を除いた臨時的任用の講師等」です。国立大学法人が設置する学校も含まれ、市町村教育委員会の選考を経て採用された市町村費負担教員(非常勤講師を除く)の勤務も算入されます。1日でも任用のあった月は1月として計算され、期間は連続していなくても構いません。

Q. 鹿行地域勤務希望者特別選考は、ずっと鹿行で働くのですか?

A. 実施要項には「原則として採用後は下記の期間、鹿行地域の県立学校で勤務することとなります」として、高等学校教諭は15年程度、特別支援学校教諭は10年程度と記載されています。鹿行地域は鹿嶋市・潮来市・神栖市・行方市・鉾田市。勤務内容は一般選考の教諭と同じです。原則として指定された地域で長期間勤務することを前提に、別枠で選考される仕組みです。

Q. 大学院に進学する予定でも受けられますか?

A. 受けられます。大学院修士課程に進学予定の方・在籍中の方も出願でき、要件を満たせば採用候補者名簿への登載が猶予されます。令和8年度に修士1年に在籍している方は令和10年4月1日、令和9年4月から進学予定の方は令和11年4月1日に名簿登載となります(合格区分・教科の専修免許状を取得見込みであることなどが条件)。

Q. 第2次試験に不合格でも、何か道はありますか?

A. 実施要項に「任期付教職員選考試験の併願」という制度があります。第2次試験に不合格となった方で希望する方は、1年を超える育児休業を取得する教員等の代替となる任期付教職員の候補者になれます(電子申請時に選択)。第2次試験を受験した方は、任期付教職員選考試験がすべて免除されます。候補者になっても必ず採用されるとは限りませんが、翌年以降に選考試験を受験することも可能です。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

特別選考で受験された方の「二次で何を聞かれたか」は、同じルートで受ける次年度以降の受験生にとって何より貴重な情報です。茨城県を受験された方は、ぜひ教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム

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