【教員採用試験】静岡県の特別選考と一次免除ルート|教職経験者・カムバック・補欠者・しずおか未来創造枠・加点制度

こんにちは、金井志津乃です! 

静岡県で講師をしています。特別選考で一次が免除になると聞いたのですが、種類が多すぎて自分がどれに当てはまるのか分からなくて……。

静岡県は教職経験者選考だけで「ア1・ア2・イ・ウ・エ」の5パターンあって、要項を読むだけで一苦労ですよね。小・中学校では選考区分そのものによる全免除が「ア1」で、前年度一次合格等による全免除もあります(養護・栄養の区分名は「ア」)。この記事で「自分はどのルートか」を一つずつ整理していきましょう!

この記事では、静岡県公立学校教員採用選考試験の特別選考・第1次選考試験の免除・加点制度について、令和9年度採用の実施要項の条文をもとに整理します。

この記事の根拠

  • 選考区分・免除内容・加点は令和9年度採用の実施要項4本(小学校・中学校・養護教員・栄養教員)の条文から。要件は原文どおりに記載しています。
  • 静岡県は選考種別ごとの受験者数・合格者数を公表していないため、この記事にはルート別の合格率は載せていません(推定値は使いません)
  • 静岡県の全体倍率・校種別の推移は →静岡県の倍率|令和9年度採用の最終結果と6年間の推移
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

早見表|あなたはどのルート?(令和9年度採用)

まず全体像です。静岡県の選考は「一般選考」のほかに5〜6種類の特別選考と、小学校・特別支援学校小学部のしずおか未来創造枠、そして大学院修士課程の特例があります。第1次選考試験の扱いがルートごとに違うのがポイントです。

選考区分主な対象第1次選考試験
一般選考受験資格を満たす全員教職・一般教養(50点)+教科等専門(100点)
教職経験者 ア1他自治体を含む国公立の正規教諭で、採用試験に合格した校種と同一校種を受験。令和8年3月31日に在職見込みで、同日まで連続3年以上の実務経験。全て免除
教職経験者 ア2正規教諭だが、合格した校種と異なる校種を受験。令和8年3月31日に在職見込みで、同日まで連続3年以上。教科等専門のみ(教養は免除)
教職経験者 イ県内の臨時的任用・任期付職員で令和7年度に勤務実績があり、過去5年度で通算36か月以上教科等専門のみ(教養は免除)
教職経験者 ウ国公立の正規教諭として2年以上の実務経験課題作文+教科等専門
教職経験者 エ県内の臨時的任用・任期付職員で令和7年度に勤務実績があり、過去3年度で通算24か月以上課題作文+教科等専門
カムバック選考過去に静岡県(政令市を除く)の採用試験に合格した定年制教諭として6年以上勤務し、志願時に同県(政令市を除く)の教諭でない人(勤務時と同一校種・教科)全て免除
障害者を対象とした選考身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳等の交付を受けている人課題作文+教科等専門
多文化共生を推進する教員選考国際貢献活動経験者/海外教育機関経験者/日本語指導経験者課題作文+教科等専門
社会人経験者を対象とした選考民間企業・官公庁等で正規採用され通算3年(36か月)以上課題作文+教科等専門
民間企業等での勤務経験を有する者【美術・技術・家庭】
※中学校のみ
3教科に係る業務に3年以上従事。免許状がなくても受験可(二次合格後に教育職員検定に合格して特別免許状を取得する必要があり、採用内定とならない場合もある)。課題作文+教科等専門
しずおか未来創造枠(自己推薦枠)
※小学校・特別支援学校小学部のみ
静岡県の未来を担う児童生徒の育成に熱意とビジョンを持ち、静岡県を第1志望とする人一般選考等と同じ試験+自己推薦用紙を提出
大学院修士課程の特例免許取得時期・在籍学年等の所定の要件を満たす大学院修士課程在籍者/進学予定者試験は通常どおり。合格後の名簿登載期間を延長できる。
大学3年生選考大学3年生(小学校・中学校教員のみ。別冊の「【大学3年生選考】試験要項」で申請)第1次選考(筆記)のみ前倒しで受験。通過すると、令和10年度採用では同一校種・教科で第2次選考のみ受験

※出典:令和9年度静岡県公立学校教員採用選考試験要項(小学校・中学校・養護教員・栄養教員)。
養護教員・栄養教員の教職経験者選考は「ア・イ・ウ・エ」の4分類(ア1・ア2の区別なし)で、区分そのものによる全免除は「ア」です。養護は養護教諭、栄養は栄養教諭としての所定の経験が必要です。栄養のイ・エは臨時的任用職員の経験が規定され、任期付職員は列挙されていません。制度は年度で変わるため、出願前に必ずその年の要項を確認してください。

ここで大事なのは、「特別選考=一次免除」ではないということ。小学校・中学校・養護教員・栄養教員の要項で選考区分そのものによって第1次選考試験が丸ごと免除になるのは「教職経験者ア1(養護・栄養はア)」と「カムバック選考」だけです(高等学校・特別支援学校は区分の扱いが異なるため、各要項で確認してください)。他の特別選考は「教職・一般教養が免除される」「課題作文に置き換わる」という違いになります。

第1次選考試験が免除になる4つのルート

実施要項の「<第1次選考試験免除の対象について>」に、免除の条件が明記されています。静岡県の特徴のひとつは、補欠者への手厚い規定です。

  1. 「教職経験者を対象とした選考 ア1」または「カムバック選考」で受験する者は、第1次選考試験を免除する。
  2. 令和7年度採用選考試験において、補欠と判定された者は、令和9年度採用選考試験の第1次選考試験を免除する(同一の校種・教科を受験する場合に限る)。
  3. 令和8年度採用選考試験において、補欠と判定された者は、令和9・10年度採用選考試験の第1次選考試験を免除する(同一の校種・教科を受験する場合に限る)。
  4. 令和8年度採用選考試験において、第1次選考試験を合格した者(1次試験免除者は除く)のうち、「教職経験者を対象とした選考 ア2・イ・ウ・エ」で受験する者は、令和9年度採用選考試験の第1次選考試験を免除する(同一の校種・教科を受験する場合に限る)。

※出典:令和9年度採用 実施要項「Ⅶ 選考試験の実施方法 <第1次選考試験免除の対象について>」(養護教員は「ア」「イ・ウ・エ」の表記)

③に注目してください。前年度の補欠者は「翌年と翌々年」の2年間、第1次選考試験が免除されます。補欠になった年から数えて2回のチャンスを、二次だけに集中して使えるということです。

そして④は、静岡県で講師をしている方に直結する規定です。令和8年度採用の一次に合格した人(一次免除者を除く)が、令和9年度採用で教職経験者選考(ア2・イ・ウ・エ)として同一の校種・教科を受験する場合は、一次が免除になります。二次で残念な結果になっても、翌年は二次対策に集中できる(中学校の音楽・美術・保健体育・技術・家庭・英語は実技試験もあります)ということ。令和9年度採用の一次合格者の翌年度の扱いは、翌年度の要項で確認してください。「一次合格」は、翌年への切符になりうるのです。

一次免除者も必ずやること
  • 免除対象者であっても、電子申請による受験の申請が必要(出願期間は令和8年1月14日〜3月3日)
  • 「面接用シート」を令和8年5月8日(金)消印有効で郵送する(小学校・中学校・養護・栄養の要項の場合。一般受験者は一次試験当日に持参。免除者だけ郵送です。高等学校・特別支援学校の要項では、面接用シートは全員が3月10日消印有効の郵送のため、日付が異なります)。しずおか未来創造枠の志願者は「自己推薦用紙」も同封。
  • 電子申請で第1次選考試験免除の項目を必ず入力する。申請がない場合や記載に不備がある場合は、該当者であっても免除にならないことがある(要項に明記)。

出典:令和9年度採用 実施要項(⑤⑥)

教職経験者を対象とした選考|ア1・ア2・イ・ウ・エの違い

静岡県の特別選考のなかで、講師や教諭の経験がある方が対象になるのが、この教職経験者選考です。「正規教諭だったか、臨時的任用職員だったか」「経験年数」「同じ校種か」の3点で5つに分かれます。

区分要件(小学校・中学校の場合)一次の試験項目
ア1県内外の国公立学校で教諭(=採用試験に合格した定年制の職)として実務経験があり(在職中も含む)、受験する校種が合格した校種と同じ。令和8年3月31日まで連続3年以上の実務経験(在職見込であること)。全て免除
ア2同上だが、受験する校種が合格した校種と異なる。連続3年以上。教科等専門のみ
イ県内の国公立学校で臨時的任用職員または任期付職員として令和7年度に勤務実績があり、かつ直近の過去5年度(令和3年4月〜令和8年3月)で通算36か月以上勤務した(見込み含む)教科等専門のみ
ウ県内外の国公立学校で教諭として、令和8年3月31日までに2年以上の実務経験課題作文+教科等専門
エ県内の国公立学校で臨時的任用職員または任期付職員として令和7年度に勤務実績があり、かつ直近の過去3年度(令和5年4月〜令和8年3月)で通算24か月以上勤務した(見込み含む)課題作文+教科等専門

※「教諭」とは採用試験に合格した定年制の職のみで、臨時的任用職員・任期付職員は該当しません。「実務経験」は令和8年3月31日までに実際に勤務した期間(休業・休職期間は含まない。ただし育児休業取得者は育児休業期間を加算してよい)。臨時的任用職員には、県内の政令市教育委員会・市町教育委員会が任命した職で県教育委員会が同等と認めた職を含みます(非常勤講師は対象外)。
出典:令和9年度採用 実施要項「Ⅲ-2-(1)」

提出書類は「教職経験者を対象とした選考申請書(勤務歴証明)」。ホームページからダウンロードして記入例に従って記入し、最終勤務校または現在勤務校の証明を得て、3月10日(火)消印有効で郵送します。

ここで気をつけてほしいのは、イとエの要件の違いは「36か月/5年度」か「24か月/3年度」かという点です(イは課題作文が課されず、エは課題作文が課されます)。要件が厳しいイのほうが、課題作文を書かなくてよい分だけ負担が軽くなります。自分がどちらに当てはまるか、必ず勤務月数を数えて確認してください。証明書には最終勤務校の証明が必要なので、令和9年度採用の要項では締切が3月10日でしたので、締切から逆算して、2月中には学校へ依頼しておくことをおすすめします。

そして、講師の方には動画でお伝えしていることがあります。私は、講師の強みは3つあると考えています——「クオリティ」「信用」「フレッシュさ」。現場で課題意識を持って授業や生徒指導をやってきた実践(クオリティ)、実際に働いてきた積み重ね(信用)、そして現実を見ても初心を忘れていないこと(フレッシュさ)。この3つが面接で伝わる講師は強いです。

「実績」は、賞や研究発表のような大それたものでなくて構いません。4月にはこうだった子が、こう関わったらこう変わった。その実体験で語れる実績を持っている人は強いです。

カムバック選考|静岡県に戻ってくる人のための制度

他県ではあまり見かけない、静岡県の特色ある選考です。第1次選考試験が全て免除されます。

ア過去に、静岡県(政令市は除く)の教諭として勤務した者
イ志願時に、静岡県(政令市は除く)の教諭として在職していない者
ウ静岡県(政令市は除く)の教諭として6年以上の実務経験を有する者
エ勤務時と同一校種・教科等を志願する者

※アからエのすべてに該当することが必要。「教諭」は採用試験に合格した定年制の職のみ。手続きは、電子申請で所属校等の情報を確実に入力します(別途の申請書は不要)。
出典:令和9年度採用 実施要項「Ⅲ-2-(2)」

結婚・介護・家庭の事情などで一度静岡県の教壇を離れた方が、筆記をやり直さずに二次から戻ってこられる制度です。ブランクがある方も、現場を知っている経験は強みになります。面接では「なぜ辞めたか」より「離れていた間に何を考え、今どんな学校教育をしたいか」を語るのがおすすめです。

しずおか未来創造枠(自己推薦枠)|小学校・特別支援学校小学部の「先に決まる」枠

令和9年度採用の要項では、小学校教員(小学校および特別支援学校小学部)の選考区分として規定されています(中学校・養護教員・栄養教員の要項には選考区分としての記載はなく、面接用シートの様式に欄があります)。

どんな枠か静岡県に愛着があり、未来を担う児童生徒等の育成に対する熱意とビジョンを具現化していく力量を持った者を対象に行う選考。試験内容は小学校教員受験者と同様。
採用見込小学校教員220人程度のうち、しずおか未来創造枠の合格者30人程度を含む
選考の順番要項に明記:「まず『しずおか未来創造枠』を志願した者の中から合格者を決定する。次に『しずおか未来創造枠』による合格者を除いたすべての志願者を対象として全体の合格者を決定する」
申請要件①静岡県の未来を担う児童生徒等の育成に対する熱意とビジョンを持つ
②静岡県公立学校教員となることを第1志望とする
③令和9年4月1日付けで静岡県公立学校に勤務することができる
手続き電子申請時に「しずおか未来創造枠」欄の「希望する」を選択。併せて「自己推薦用紙」をダウンロードし、印刷して記入のうえ、小学校の要項では第1次選考試験当日に1部持参します(必ずA4判用紙1枚・片面のみに収める)。特別支援学校(小学部)の要項では、3月10日(火)消印有効で郵送です。
二次での扱い個人面接に加え、自己推薦用紙を加味した面接にもとづき総合的に選考(要項の第2次選考試験の表に明記)
併願一般選考および特別選考との併願が可能。ただし「大学院修士課程の特例」を希望する場合は出願不可。

※出典:令和9年度採用【小学校】【特別支援学校(小学部)】実施要項「Ⅰ 選考試験を行う教員種別」「Ⅲ-3 しずおか未来創造枠(自己推薦枠)」「Ⅶ-2 第2次選考試験の概要」

「先に選考され、落ちても全体の選考に自動的に戻る」という仕組みです。静岡県が第1志望で、4月から働ける方は、要項で要件を確認してください。ポイントはA4片面1枚に収める自己推薦用紙。要項は「熱意」と「ビジョンを具現化していく力量」を求めています。やりたい教育+それを実現できる根拠(経験)をセットで書いてください。

■ 静岡県の面接用シートの書き方|志願理由・自己アピール欄を実録から逆算

社会人・民間企業経験者のルート

ルート要件一次の試験項目提出書類
社会人経験者を対象とした選考民間企業または官公庁等において正規採用され、令和8年3月31日までに通算3年(36か月)以上の勤務経験がある課題作文+教科等専門(教職・一般教養は免除)勤務経験証明書(当該企業等の所属長による。3月10日消印有効)
民間企業等での勤務経験を有する者を対象とした選考【美術・技術・家庭】
※中学校のみ
美術・技術・家庭に志願し、3教科に係る業務に従事し、令和8年3月31日時点で3年以上の勤務経験が見込まれる課題作文+教科等専門勤務経験証明書

特筆すべきは中学校の【美術・技術・家庭】枠で、中学校教諭普通免許状を有しない場合でも受験できます(第2次選考試験合格後に教育職員検定に合格し、静岡県教育委員会が発行する特別免許状を取得することが必要。そのため第2次選考試験合格後に採用内定とならない場合もある、と要項に明記)。

倍率記事でも触れましたが、令和9年度採用の中学校技術は志願7人・合格6人、家庭は志願4人・合格4人。この2教科は志願者が少なく(令和9年度採用は技術が志願7人、家庭が志願4人)、特別免許状の道も用意されています。ものづくりや被服・食物の実務経験がある方には、チャンスの大きい枠だと考えられます。

社会人経験のある方に、私がおすすめしている準備が2つあります。「社会人経験を学校現場でどう生かしたいか」と「なぜ社会人をしていたのに教員を目指すのか」。この2つを面接でバシッと話せるようにしておくと、社会人から教採を受けるときにも合格しやすくなるポイントかなと思います。

私自身、受講生の中で40代・50代で教採に合格する方を数多く見てきました。私が動画でお伝えしているのは、40代・50代の受験者に対して面接官が懸念しやすい3つのポイントです。今求められている教育を謙虚に学んで挑戦する姿勢があるか/年下の同僚と謙虚でフラットな姿勢で働けるか/謙虚な姿勢でチームに貢献しようとしているか——この3点が伝わるかどうかを、私は大切だと考えています。なお静岡県の受験資格は「昭和40年4月2日以降に生まれた者」(令和9年度採用の場合)。年齢の上限は広めだと私は感じています。

多文化共生を推進する教員選考|静岡県ならではの枠

外国にルーツを持つ子どもが多い静岡県らしい選考区分です。次のア〜ウのいずれかに該当し、多文化共生に関する経験を有する人が対象です。

ア 国際貢献活動経験者青年海外協力隊・日系社会青年ボランティアで継続した2年間の任期を満了した実績を有する者(新型コロナウイルス感染症の影響で任期が短縮された場合は、本来の派遣期間と短縮された期間の両方が記載された実績証明書の提出により対象となる場合がある)
イ 海外教育機関経験者令和3年4月1日から令和8年3月31日までに、在外教育施設(日本人学校・補習授業校)やその他海外の学校等で通算2年(24か月)以上の勤務実績を有する者
ウ 日本語指導経験者日本語教育に関する所定の要件(令和8年3月31日までに、①大学(短大を除く)・大学院で所定の日本語教育課程を履修し単位修得、②同大学等で日本語教育科目26単位以上修得、③日本語教育能力検定試験合格、④学士の学位を有し、かつ文部科学省の確認結果(令和7年10月31日現在)に掲載された申請機関が対象となる期間に実施した日本語教育に関する研修420時間以上を修了、⑤文部科学省の日本語教員試験の基礎・応用に合格、のいずれか)を満たし、かつ令和8年3月31日までに国内の国公立学校で臨時的任用職員または任期付職員として通算1年(12か月)以上の勤務実績を有する者

※提出書類は、アは派遣実績証明書、イは勤務経験証明書、ウは勤務経験証明書+日本語指導資格等の証明(いずれも3月10日消印有効)。
出典:令和9年度採用 実施要項「Ⅲ-2-(4)」

この選考と対になるのが、加点制度の「ポルトガル語またはスペイン語に関する資格等」で5点という規定です。静岡県は、ポルトガル語・スペイン語の資格に加点を設けています。静岡県の教育現場で必要とされる力が、制度に反映されていると考えられます。

障害者を対象とした選考

全ての教員種・教科を対象に、一般選考とは別に選考を実施します(募集は若干名・全校種で、各教員種別の合格者数に含まれます)。次のいずれかの手帳等の交付を受けている人が対象です(受験申込日および受験日当日において有効であることが必要)。

  • 身体障害者手帳、または身体障害者福祉法第15条に基づく指定医・産業医による障害者雇用促進法別表の身体障害を有する旨の診断書・意見書(心臓、腎臓、呼吸器、膀胱・直腸、小腸、HIVによる免疫、肝臓の機能障害については指定医に限ります)
  • 療育手帳、または児童相談所・知的障害者更生相談所・精神保健福祉センター・精神保健指定医・障害者職業センターによる知的障害者であることの判定書
  • 精神障害者保健福祉手帳

提出書類は「障害に関する証明書」(要項の様式例に沿ってA4判で作成し、手帳の写しを貼付。「受験に際して希望する配慮事項」を記入する欄があります)。3月10日消印有効。第1次選考試験は課題作文+教科等専門で、課題作文のテーマは「これまでの経験に基づくテーマ」と要項に明記されています。

教科専門試験の加点制度|校種で内容が違う

要件を満たし希望する人に対して、第1次選考試験の得点に加点されます。校種によって項目と点数が違うので、自分の校種の表を見てください。

小学校教員/小学校・特別支援学校小学部共通教員加点
特別支援学校教諭普通免許状の取得(取得見込可。教育領域は問わない)5点
中学校教諭普通免許状(英語)の取得(取得見込可)、または英語に関する資格等(英検準1級/TOEIC L&Rの得点+S&Wの得点を2.5倍した得点の合算1560(公開試験のみ・IP不可)/TOEFL iBT72 等)5点
英語に関する資格等(英検2級/TOEIC L&Rの得点+S&Wの得点を2.5倍した得点の合算1150/TOEFL iBT42 等)3点
ポルトガル語またはスペイン語に関する資格等5点
司書教諭の資格取得(取得済みであること)3点
中学校教諭普通免許状(美術・技術・家庭)の取得(取得見込可)5点
「公認心理師」または「臨床心理士」の資格取得5点
日本語指導資格等の所有5点
中学校教員/小・中学校共通教員/中学校・特別支援学校中学部共通教員加点
特別支援学校教諭普通免許状の取得(取得見込可)5点
複数教科の中学校教諭普通免許状の取得(取得見込可)5点
英語に関する資格等(英検準1級/TOEIC L&Rの得点+S&Wの得点を2.5倍した得点の合算1560/TOEFL iBT72 等)※英語受験者が対象10点
ポルトガル語またはスペイン語に関する資格等5点
司書教諭の資格取得(取得見込不可)3点
「公認心理師」または「臨床心理士」の資格取得5点
日本語指導資格等の所有5点
養護教員加点
特別支援学校教諭普通免許状の取得(取得見込可)5点
ポルトガル語またはスペイン語に関する資格等5点
「公認心理師」または「臨床心理士」の資格取得5点
日本語指導資格の所有5点

※出典:令和9年度採用 実施要項「Ⅳ 教科専門試験の加点制度」。
表は要約です。英検・ケンブリッジ英語検定は令和8年3月31日まで、その他の英語資格は令和6年4月1日〜令和8年3月31日の取得が条件です。TOEICは全区分で公開試験のみ(IP不可)、S&Wを2.5倍してL&Rと合算します。ポルトガル語・スペイン語、日本語指導資格、免許取得見込みの可否は各要項の別表・留意事項を確認してください。中学校の複数教科免許は国語・社会・数学・理科・音楽・美術・保健体育・保健・技術・家庭・英語が対象です。証明書類は4月28日(火)消印有効で郵送します。当該免許状等を取得できなかった場合は、採用候補者であっても採用を取り消す場合があると要項に明記されているのでご注意ください。栄養教員の要項には加点制度の章がないため、この記事では表を掲載していません(栄養教員志望の方は要項でご確認ください)。

加点で最も注目してほしいのは「中学校英語の英語資格=10点」と「小学校の特別支援学校免許=5点」です。第1次選考試験は教職・一般教養50点+教科等専門100点(足すと150点)ですから、10点は無視できない差。すでに資格や免許を持っている方は、申請しないだけで自分からハンデを背負うことになります。忘れずに申請してください。

大学院修士課程の特例・任期付職員・大学3年生選考

大学院修士課程の特例所定の免許取得時期・在籍学年等の要件を満たす大学院修士課程在籍者/進学予定者が第2次選考試験に合格し、申請して県の許可を得た場合、採用候補者としての名簿登載期間を変更できる(教職大学院・一般大学院を問わない)。在籍者区分の対象は、要項の冒頭の概要(受験する校種・教科の免許状を取得済みで修士課程に在籍している人)と、本文(1)ア(令和8年4月1日までに必要免許状を取得見込みで、同年4月から進学予定の人。長期履修3年課程の2年生、4年課程の2・3年生を含む)で書き方が異なります。どちらが当てはまるかは、要項と静岡県教育委員会で確認してください。進学予定者区分は令和9年4月1日までの必要免許取得見込みが条件です。詳細は要項『大学院修士課程の特例』を確認してください。申請書は3月10日(火)消印有効で郵送。修了予定年月までに修士課程を修了しない場合は、合格であっても名簿登載を取り消し。
任期付職員採用選考(教員未経験者)令和8年3月31日時点で、国公立学校で通算1年以上の教員実務経験をもたない人が対象(会計年度任用職員=非常勤講師・支援員等の期間は含まない)。電子申請で「希望する」を選ぶだけで、教員採用選考試験の結果に基づき選考。希望の有無は教員採用選考試験の合否に影響しない。結果発表は令和8年10月20日(火)正午でした(令和9年度採用の小学校・中学校・養護教員・栄養教員の要項。高等学校・特別支援学校の要項は発表日・実施時期の書き方が異なります)。教員経験者を対象とした任期付職員採用選考は、同じ要項に「11月から12月に実施する予定」と記載されていました。日程・受験資格は静岡県教育委員会の案内で確認してください。
大学3年生選考要項の冒頭に「大学3年生選考を希望する者は、『【大学3年生選考】試験要項』に基づき申請を行う」と記載があります。別冊の要項では、対象は令和8年度に4年制大学の3年生に在籍し令和9年度中に卒業見込みの人(小学校教員・中学校教員のみ)、第1次選考(筆記:教職・一般教養+教科等専門)を前倒しで受験し、選考通過者は令和10年度採用で第2次選考のみを受験する、とされています(面接用シートの提出は不要。免許状は令和10年4月1日までの取得見込みで可。加点は取得済みのものに限る)。
なお結果は公表されており、志願336人・受験315人・選考通過236人(小学校は志願159人・受験152人・通過150人、中学校は計で志願177人・受験163人・通過86人)。中学校は教科差が大きく、英語は受験19人中19人が通過、社会は受験19人中4人、保健体育は受験26人中1人でした(出典:静岡県教育委員会の公表資料。
当ブログでは倍率を算出していません)。

任期付職員は「希望する」を選ぶだけで、合否に影響しない——ここは必ず押さえてください。静岡県の要項に明記されています。正規採用に届かなかった場合の受け皿になりますし、要項には希望の有無が合否に影響しないと明記されています。迷ったら「希望する」でよいと私は考えています。

まとめ|免除は「入口」、勝負はどのルートでも二次の個人面接

静岡県の要項には、こう明記されています。「試験内容については、選考区分等(一般選考、特別選考、しずおか未来創造枠、大学院修士課程の特例)による違いはない」——つまりどのルートで来ても、二次の試験内容は同じです(小学校・中学校・養護・栄養は個人面接100点。中学校の一部教科は実技試験もあり、高校・特別支援学校は校種ごとに内容が異なります)。

あなたの状況使えるルート
他県の正規教諭で、採用試験に合格した同じ校種を受ける(令和8年3月31日に在職見込み、同日まで連続3年以上)教職経験者ア1 → 一次免除
他県の正規教諭で、採用試験に合格した校種と違う校種を受ける(令和8年3月31日に在職見込み、同日まで連続3年以上)教職経験者ア2 → 教養免除
正規教諭の経験が2年以上教職経験者ウ → 課題作文+教科専門
県内の臨時的任用・任期付職員(令和3〜7年度で通算36か月以上・令和7年度も勤務。非常勤講師は対象外)教職経験者イ → 教養免除
県内の臨時的任用・任期付職員(令和5〜7年度で通算24か月以上・令和7年度も勤務。非常勤講師は対象外)教職経験者エ → 課題作文+教科専門
静岡県(政令市を除く)の定年制教諭を6年以上経験し、志願時に同県(政令市を除く)の教諭でなく、勤務時と同じ校種・教科を受験カムバック選考 → 一次免除
令和7年度採用または令和8年度採用の選考で補欠と判定され、同一校種・教科を受験補欠者の免除規定 → 一次免除(令和8年度採用の補欠なら2年間)
令和8年度採用で一次に合格した教職経験者選考の受験者(一次免除者を除く)が、同一校種・教科を受験前年度一次合格の免除(免除④) → 一次免除(小・中はア2・イ・ウ・エ、養護・栄養はイ・ウ・エ。高等学校・特別支援学校は区分の書き方が異なるため各要項で確認)
民間企業・官公庁で3年以上(正規採用)社会人経験者選考 → 課題作文+教科専門
美術・技術・家庭の実務経験が3年以上(免許なしでも可)民間企業等での勤務経験を有する者【中学校】
青年海外協力隊・在外教育施設・日本語指導の経験がある多文化共生を推進する教員選考
静岡県が第1志望で、令和9年4月1日から勤務できる(小学校)しずおか未来創造枠(+一般選考と併願可)

免除で浮いた時間と労力を、そのまま面接準備に回してください。静岡県の面接で実際に聞かれた質問、そして面接官が読み込む「面接用シート」の書き方は、それぞれ別記事にまとめています。

■ 静岡県の個人面接|受験者6名の実録と5年間の出題傾向
■ 静岡県の面接用シートの書き方|志願理由・自己アピール欄を実録から逆算
■ 静岡県の課題作文(小論文)|一次で課される特別選考の作文と過去5年のテーマ

よくある質問

Q. 非常勤講師の経験は、教職経験者選考に使えますか?

A. 使えません。要項の注記に「臨時的任用職員には、県内の政令市教育委員会、市町教育委員会が任命した職で、県教育委員会が同等と認めた職を含む。(非常勤講師は対象としない)」と明記されています。任期付職員採用選考の要件でも、会計年度任用職員(非常勤講師・支援員等)の期間は実務経験に含まないとされています。

Q. 補欠になったら、翌年は必ず一次免除ですか?

A. 同一の校種・教科を受験する場合に限り免除されます。校種や教科を変えると免除にはなりません。また、令和8年度採用の補欠者は令和9・10年度採用の2年間、令和7年度採用の補欠者は令和9年度採用の一次が免除、というのが令和9年度採用要項の規定です。免除の項目を電子申請で入力し忘れると免除にならないことがあるので、そこだけは忘れないようにしてください。

Q. 加点は複数申請できますか?

A. 令和9年度採用の要項には、複数申請の可否についての明記がありません。申請条件一覧表には申請記号ごとに条件と点数が並んでいます。複数の資格をお持ちの方は、出願前に静岡県教育委員会義務教育課(令和9年度採用の要項に記載の電話番号は054-221-3663)に直接ご確認ください。

Q. 特別選考の申請書は、いつまでに出せばいいですか?

A. 令和9年度採用の要項では、特別選考に係る証明書(教職経験者・障害者・多文化共生・社会人経験者・大学院修士課程の特例)は令和8年3月10日(火)消印有効、加点に関する証明書類は令和8年4月28日(火)消印有効で郵送するとされていました。書類に不備がある場合は受け付けない・提出書類は返却しないと要項にあります。所属長の証明が必要な書類は、余裕をもって依頼してください(受験に係る書類は信書に該当するため、メール便は利用できません)。

Q. しずおか未来創造枠で不合格だと、一般選考でも不利になりますか?

A. 要項の記載では、まず未来創造枠の志願者から合格者を決定し、次に「未来創造枠による合格者を除いたすべての志願者」を対象に全体の合格者を決定する仕組みです。つまり未来創造枠で選ばれなかった人も、そのまま全体の選考の対象になります。一般選考・特別選考との併願も可能です。

Q. 静岡市・浜松市の講師経験は使えますか?

A. 教職経験者選考イ・エの「臨時的任用職員」には、「県内の政令市教育委員会、市町教育委員会が任命した職で、県教育委員会が同等と認めた職を含む」とあります(非常勤講師は除く)。一方、カムバック選考は「静岡県(政令市は除く)の教諭」が要件です。ご自身のケースが該当するかは、必ず義務教育課に確認してください。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

特別選考で受験された方の「二次で何を聞かれたか」は、同じルートで受ける次の年度の受験生にとって何より貴重な情報です。静岡県を受験された方は、ぜひ教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

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