こんにちは、金井志津乃です!

三重県の二次って、個人面接の中に模擬授業が入ってるって本当? しかも3人1組で、そのあと受験者同士で話し合うって聞いたんだけど……どう準備すればいいの?

本当です! 三重県の第2次選考試験は「面接試験[個人面接(模擬授業を含む)]」という名前で、150点という最大の配点がついています。模擬授業も話し合いも、全部この「面接試験」の中の出来事なんですよ。
この記事では、三重県公立学校教員採用選考試験第2次選考試験の面接試験について、実際に受験した方々からご提供いただいた「生の報告」と、実施要項・三重県教育委員会が公表した「評価の観点等」をもとに、内容・流れ・傾向と対策をまとめます。
この記事の根拠
- 令和7・8年度採用(2024・2025年夏実施)の受験者5名の実録を、年度別・校種別に収録(すべて無料で読めます)。三重県はまだ報告数が少ないので、「5名の報告」と正直にお伝えします。
- 過去5年分(令和4年度〜8年度採用)の市販過去問集226問を独自に集計——三重県で「全国平均より明らかに多い質問テーマ」がデータで分かります
- 日程・配点・模擬授業の実施方法は令和9年度採用の実施要項、評価の観点は三重県教育委員会が令和8年6月10日に公表した「面接、技能・実技試験の評価の観点等」と照合済み
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
出願:4月3日(金)午前10時〜4月24日(金)午後5時(原則、電子申請のみ)
第1次選考試験:6月13日(土)/第1次選考試験 合格者発表:7月1日(水)
第2次選考試験・技能・実技試験:7月11日(土)(対象教科等のみ)
第2次選考試験・論述試験:7月18日(土)(全校種・教科等/60分)
第2次選考試験・面接試験:7月25日(土)〜8月1日(土)のうち指定した1日(会場は三重県立聾学校)
第2次選考試験 合格者発表:8月下旬
一次の発表から論述試験まで17日、面接試験までは最短で24日。しかも面接試験日は変更できません(実施要項に明記)。発表を待たずに動き出しておくのが、三重県対策のコツです。※令和10年度採用については、三重県教職員課の予告(令和8年9月2日付)で、第1次選考試験が令和9年(2027年)6月12日(土)、第2次選考試験が7月中旬以降、合格発表が8月中の予定とされています。第1次選考試験の筆答試験は、自治体協議会が作成した共通の問題を使う予定です。詳細は実施要項の公開(例年4月上旬)後に更新します。
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
三重県の二次試験|30秒でわかる基本情報
| 二次の科目 | 技能・実技試験(100点)・論述試験(50点)・面接試験(150点)の3本立て。技能・実技は対象教科等のみ、論述と面接は原則全校種・教科等で実施。ただし教職経験者等特別選考[Ⅰ]申込資格(3)は技能・実技と論述が免除され、面接のみです(実施要項【9】【14】)。 |
| 面接試験の中身 | 実施要項の表記は「面接試験[個人面接(模擬授業*を含む)]」。個人面接と模擬授業がひとつの試験項目として150点で評価されます。 |
| 模擬授業 | 受験者3人を1組として実施(人数により2人1組の場合あり)。受験者それぞれが1人4分程度の模擬授業を行い、その後実施した模擬授業の内容について受験者同士で話し合いをします。課題等の詳細は第1次選考試験の合格通知と併せて連絡(実施要項9頁)。 |
| 面接官・時間 | 市販過去問集5年分の形式記録では面接官3人が大半(面接官2人の記録も一部あります)。時間は10〜30分が中心(60分という記録も一部あります)で、「個人面接+模擬授業+場面指導で合わせて20〜30分」という記録が最多です(私が集計)。 |
| 場面指導 | 実施要項に独立した試験項目としての記載はありませんが、個人面接の中で出題された報告があります(受験者報告・市販過去問集ともに多数) |
| 集団討論 | 令和9年度採用の実施要項に独立した試験項目としての集団討論はありません。ただし模擬授業のあとに行う「受験者同士の話し合い」は、実質的に討論の場です(後述)。 |
| 評価の観点 | 個人面接は「教育に対する情熱と使命感」「専門的知識・技能に基づく課題解決能力」「自立した社会人としての豊かな人間性」の3観点を、8段階(8=非常に優れている〜1=非常に劣っている)で評価(三重県教育委員会公表) |
| 質問の元ネタ | 第1次選考試験当日に提出する「整理票」(学歴・職歴・部活動歴・ボランティア活動・特技・資格・趣味などを記入)。実録でも「提出書類に沿って質問された」という報告が複数。 |
| 得点開示 | 受験者全員に、合否とともに試験項目ごとの得点が通知されます(実施要項【9】3(3))。自分の面接150点が何点だったかが分かる、全国的にも親切な自治体です。 |
三重県対策の最重要ポイントは、「模擬授業と個人面接が別々の試験ではない」ことです。模擬授業の出来がそのまま面接の評価に流れ込み、しかも面接150点は、技能・実技を実施する区分では二次300点(技能・実技100点+論述50点+面接150点)の半分、実施しない区分では二次200点の4分の3を占めます。教職経験者等特別選考[Ⅰ]申込資格(3)は面接のみです。
| 選考 | 試験項目 | 配点 | ねらい(実施要項より) |
|---|---|---|---|
| 第1次 | 筆答試験(専門) | 小学校・特別支援・養護・栄養100点/中学校・高等学校150点 | 教科・科目についての内容及び教科指導上の専門知識など |
| 筆答試験(教養) | 50点(加点は教養の配点とは別の「その他」欄。英語以外の上限15点に、小学校・中学校英語・高校英語は英語加点を加算) | 教職教養(生徒指導・特別支援教育・人権教育を含む)及び一般教養 | |
| 第2次 | 技能・実技試験 | 100点(対象教科等のみ) | 校種等・教科・科目に応じて求められる指導上の専門的知識、専門技能など |
| 論述試験 | 50点 | 教職に関する知識と理解、学校教育に関する課題の認識及び記述する力など | |
| 面接試験 | 150点 | 教育に対する情熱と使命感、課題解決能力、豊かな人間性等を中心とした資質など |
※出典:令和9年度三重県公立学校教員採用選考試験実施要項【9】選考方法等。
第1次選考試験は「採用見込数の2〜3倍程度を基本として総合的に選考」、第2次選考試験は「採用見込数の範囲内で総合的に選考」と明記されています。

つまり「模擬授業4分」「話し合い」「個人面接」の3ブロックで準備するのが最短ルートです。まずは面接の入室から退室までの流れを、この実演動画で体に入れてしまいましょう!
三重県の倍率|令和9年度採用の結果(校種別・最終合格538人)
三重県教育委員会が公表する「校種・教科等別実施状況」には倍率の欄がありません(人数のみの公表)。そこでこの記事では、全国比較ができる志願倍率=申込者数÷採用見込数を基本とし、必要に応じて実質倍率=第1次選考試験受験者数÷第2次選考試験合格者数を併記します(いずれも私が算出)。表ごとに定義を明記します。
令和9年度採用(2026年夏実施)は、全体で採用見込約533人・申込1,646人・第1次受験1,556人・第1次合格1,246人・第2次受験1,163人・最終合格538人。志願倍率は3.1倍、第1次受験者数を最終合格者数で割った実質倍率は2.9倍でした(大学3年生等を対象とした特別選考を除く)。
| 校種等 | 採用見込 | 申込者 | 1次受験 | 1次合格 | 2次受験 | 最終合格 | 志願倍率 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 小学校教諭 | 約214人 | 583人 | 562人 | 545人 | 513人 | 218人 | 2.7倍 | 2.6倍 |
| 中学校教諭 | 約184人 | 525人 | 499人 | 417人 | 383人 | 185人 | 2.9倍 | 2.7倍 |
| 高等学校教諭 | 約100人 | 328人 | 298人 | 201人 | 185人 | 100人 | 3.3倍 | 3.0倍 |
| 特別支援学校教諭 | 約26人 | 49人 | 47人 | 46人 | 46人 | 26人 | 1.9倍 | 1.8倍 |
| 養護教諭 | 約8人 | 131人 | 121人 | 30人 | 29人 | 8人 | 16.4倍 | 15.1倍 |
| 栄養教諭 | 約1人 | 30人 | 29人 | 7人 | 7人 | 1人 | 30.0倍 | 29.0倍 |
| 合計 | 約533人 | 1,646人 | 1,556人 | 1,246人 | 1,163人 | 538人 | 3.1倍 | 2.9倍 |
※志願倍率=申込者数÷採用見込数、実質倍率=第1次受験者数÷最終合格者数。いずれも私が算出です(三重県の公表資料に倍率の欄はありません)。数字は大学3年生等を対象とした特別選考を除く(同特別選考は別枠で申込457人・第1次受験443人・第1次合格375人)。
出典:三重県教育委員会「令和9年度三重県公立学校教員採用選考試験 校種・教科等別実施状況」「同 第2次選考試験合格状況」
三重県の数字で目を引くのは「第1次選考試験の通過率の高さ」です。令和9年度採用では、第1次受験1,556人に対して第1次合格1,246人=約80%が通過しています。校種別に見ると小学校97%・特別支援98%・中学校84%・高校67%。小学校と特別支援は「ほぼ全員が二次に進む」状況です。

ここが三重県対策の分岐点です。一次で絞られない=勝負は二次の面接150点ということ。「筆記を頑張れば受かる県」ではなく、「面接と模擬授業で決まる県」だと思って準備してください。
令和9年度採用 第2次選考試験の結果(二次倍率2.2倍)
第2次選考試験の合格者は令和8年8月下旬に発表され、「第2次選考試験合格状況」が公表されました。第2次選考試験を受験した1,163人のうち538人が合格で、二次だけの倍率は2.2倍(私が算出)。校種別では小学校2.4倍・中学校2.1倍・高校1.9倍・特別支援1.8倍・養護3.6倍・栄養7.0倍です。
参考までに、ひとつ前の令和8年度採用(2025年夏実施)の最終結果は、第1次受験1,666人→第1次合格1,272人→第2次受験1,222人→最終合格580人。実質倍率(第1次受験÷最終合格)は2.9倍、二次だけの倍率(第2次受験÷最終合格)は2.1倍で、令和9年度採用(2.9倍/2.2倍)とほぼ同じ水準でした。
6年分の推移、校種別・教科別の詳しい数字(三重県は教科別の申込・受験・合格まで公表しています)、特別選考の内訳は、倍率の専用記事にまとめています。
■ 三重県の倍率|令和9年度採用の結果と6年間の推移・校種別・教科別
■ 三重県の特別選考と一次免除ルート|大学3年生前倒し・現職教員・講師経験者・社会人・加点制度
① 模擬授業|3人1組・1人4分・そのあと受験者同士で話し合い
三重県の面接試験でいちばん特徴的なのが、この模擬授業です。実施要項には次のように書かれています。
- 模擬授業は、受験者3人を1組として行う(受験者の人数によっては2人1組となる場合もある)
- 受験者それぞれで1人4分程度の模擬授業を行う
- そのあと、実施した模擬授業の内容について、受験者同士で話し合いをする
- 模擬授業の課題等、詳細については第1次選考試験合格通知と併せて連絡される
受験された方の報告からは、実際の進め方がもう少し具体的に見えてきます。
- 【中学校・保健体育/令和7年度採用】事前に示されたテーマが3つあり、その中から当日「どのテーマをやるのか」を指定される。当日は3人1組。やり方は、最初にテーマとその授業について説明してから、冒頭部分を行う。3人が終わった後で、模擬授業について振り返りなどを行う。
- 【小学校全科/令和7年度採用】模擬授業は4つの内容から1つを選択する形式だった。
- 【小学校/令和7年度採用】模擬授業後に受験者数人で話し合いもある。
- 【小学校/令和8年度採用】理科・小学校4年生「回路」について(報告されたテーマ。設問全文は未確認)。
報告から読み取れる三重県の模擬授業の型は、次の3点です。
- 中学校・保健体育の報告では、事前に3つ示されたテーマから当日に実施テーマが指定されています。小学校全科の報告は「4つの内容から1つ」とのみ記載されています。示された全テーマ分の指導案を作り込めるのが三重県の準備の勝ち筋です。
- いきなり授業に入らず、まず「テーマとその授業についての説明」から——単元のどこで、何をねらって、この4分をどう位置づけるのかを、自分の言葉で先に言う場面があります
- 中学校・保健体育の受験者報告では、実演したのは「冒頭部分」——導入の4分で、子どもの興味をどう引き出すかが見られます

模擬授業で押さえるべきは「子どもが見える」「意図が見える」「その人らしさが光る」の3つです。私が個別指導で高校の2名枠を突破された方も、この3つはすべてクリアされていました。詳しくはこの動画で解説しています。
「子どもが見える」というのは、目の前に子どもがいないのに、子どもがどんな反応をするか・どんな疑問を持つかがリアルに想定されているということです。三重県は4分と短いぶん、そこがはっきり出ます。「こんなにスムーズには進まないだろう」という展開で作ってしまうと、現場でやってもうまくいかない授業だと見抜かれます。
そして「落ちる模擬授業と受かる模擬授業」を実演で比べたのがこちらです。同じテーマでも、導入の作り方だけでここまで変わります。
模擬授業のあとの「受験者同士の話し合い」をどう乗り切るか
三重県には独立した試験項目としての集団討論はありません(令和9年度採用の実施要項に記載なし)。ただし、実施要項が定める「実施した模擬授業の内容について、受験者同士で話し合いをします」という時間は、実質的にグループでの話し合いの場です。受験者の報告でも「3人が終わった後で、模擬授業について振り返りなどを行う」「模擬授業後に受験者数人で話し合いもある」と一致しています。
ここで大切なのは、これは「勝ち負けを決める討論」ではないということです。話題は「いま3人がやった模擬授業」。つまり、他の受験者の授業をきちんと見ていたかどうかが、そのまま発言の質になります。
- 他の2人の授業について、「よかった点」を具体的に1つ言えるように見ておく(発問・板書・声かけなど、行動レベルで。私の提案です。メモできるかどうかは当日の案内に従ってください)
- 自分の授業については、「ねらい」と「改善したい点」をセットで語れるようにしておく(公刊過去問の記録には、個人面接で模擬授業の自己評価を問われた例があります)
- 相手を否定しない。「私は◯◯と考えましたが、△△さんの導入は子どもが動きやすいと感じました」のように、いったん受け止めてから自分の考えを重ねる。

面接官が見ているのは「同僚として、この人と一緒に働きたいか」です。三重県が求める人物像にも「組織の一員として関係者と協力して職責を果たし……」とあります。話し合いの場は、この観点をそのまま見られる場面だと思ってください。
② 個人面接|「整理票」からの深掘りが基本ルート
三重県の個人面接は、第1次選考試験当日に提出する「整理票」をもとに進みます。整理票に書く欄は次のとおりです(実施要項6〜8頁の記入例より)。
| 提出のタイミング | 第1次選考試験当日(令和9年度採用は6月13日)に試験会場で提出。第1次選考試験のすべての免除を希望する場合は、整理票(令和8年4月24日現在)と返信用封筒を、4月24日当日消印有効で簡易書留により郵送。大学3年生等を対象とした特別選考で受験する場合は提出不要。 |
| 書く内容 | 選考種別/校種等・教科/氏名・生年月日・現住所/現在の職業(現職の教職員は朱書)/学歴(高校入学以降)/職歴(大学卒業時から現在まで、「無職」「家事従事」等の期間も含め1ヶ月以上の空白がないよう詳細に)/取得(見込)免許状/特技・資格等/趣味等(余暇の過ごし方)/部活動歴・ボランティア活動等 |
| 面接での使われ方 | 実録では「申告書に沿って質問される」「事前に提出した面接シートからの質問」という報告。市販過去問集の記録でも、経歴・ボランティア・部活動・趣味からの深掘りが繰り返し確認できます。 |
※実録の「申告書」「面接シート」は受験者の方の表現です。実施要項には、「整理票」の記入例と提出方法が示されています。また、令和9年度採用の第1次選考試験合格者向け案内では、整理票とは別に「自己申告書」の入力が求められています(入力締切は令和8年7月16日(木)17時)。詳細は合格者向け通知と公式案内をご確認ください。様式の詳細は、受験される年度の実施要項で必ずご確認ください。

ここ、三重県受験者が見落としがちなところです。整理票は「事実を書く紙」なので、つい事務的に埋めてしまう。実録では「提出書類に沿って質問された」という報告が複数あります。部活動歴・ボランティア・特技・趣味の4欄が、あなたの面接の「台本」になると思って書いてください。
実際に受験者の方から寄せられた個人面接の質問です(令和7・8年度採用)。
- 【中学校・保健体育】事前に提出した面接シートからの質問。→ 具体的にはどうしたいですか。→ 授業や指導の中でどのように取り入れていきますか。
- 【小学校】なぜ小学校を受験したのですか。(他校種で現職の方への質問)
- 【小学校】現在の勤務状況について教えてください。
- 【小学校全科】提出した申告書に沿って質問された(具体的な設問の記録なし)。
報告数が限られているのですが、共通しているのは「書いたことを、現場の行動レベルまで下ろさせる」質問の作りです。「具体的にはどうしたいか」「授業や指導の中でどう取り入れるか」——この2段構えは、三重県の実録で最も明確に現れているパターンです。
市販の過去問集5年分(三重県分226問)を私が集計したところ、三重県の面接は「追質問チェーン率15.3%」(全国平均およそ10.5%)と、深掘りの多い自治体でした。一問一答ではなく「深掘りツリー」で準備する必要があります。
「なぜ三重県か」を語るときは、抽象的な「自然が豊かで」ではなく、三重県の施策と自分の実践をつなぐのが効きます。志望動機のbefore・afterはこちらの実演が分かりやすいです。
③ 場面指導|個人面接の中で出題される
令和9年度採用の実施要項に「場面指導」という試験項目はありません。しかし受験者の報告では、個人面接の質問の流れの中で場面指導が出題されています。市販の過去問集でも、三重県分226問のうち場面指導に分類される設問が5年で41件確認できました。
- 【中学校・保健体育/令和7年度採用】面接シートからの質問が終わると、場面指導で「靴を無くした子がいます。あなたならどのように指導しますか。」
- 【小学校/令和8年度採用】「宿題をしない生徒について、あなたは担任としてどのような指導をしますか。」
2件とも「実演」ではなく「あなたならどう指導するか」を口頭で答えさせる型で、しかも特定の1人の子どもへの対応です(学級全体への一斉指導ではありません)。日常のささいな場面——靴がない、宿題をやってこない——から入るのが三重県らしいところで、派手な事件ではなく「担任として、目の前のこの子にどう関わるか」が問われています。

どんな場面が来ても崩れない共通のポイントが3つあります。①子どものメンツを守る ②事実確認 ③生徒理解です。「靴を無くした子」も「宿題をしない子」も、いきなり指導に入るのではなく、まず何があったのかを聞き取る。そこから背景(家庭の状況・その子の考え方のくせ・満たされていない気持ち)を理解して、これからどうしたいかを子どもと一緒に決める——この順番です。
三重県の場面指導は「学習意欲が低い子」「やるべきことをやってこない子」に近い題材が多いので、この動画も併せてどうぞ。
④ 5年分のデータで見る、三重県が「よく聞くテーマ」
受験者の実録だけでは母数が足りないので、市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用・三重県分226問)を独自に集計し、全国平均と比べて三重県で出やすいテーマを洗い出しました。数字は「面接1,000問あたりの出現数」です。
| テーマ | 三重県 | 全国平均 | 傾向 |
|---|---|---|---|
| 保護者対応 | 68 | 37 | 全国の約1.8倍 |
| 志望動機 | 63 | 39 | 全国の約1.6倍 |
| 体罰・服務・不祥事 | 42 | 22 | 全国の約1.9倍 |
| 学級経営 | 42 | 27 | 全国の約1.6倍 |
| ICT・端末 | 32 | 19 | 全国の約1.7倍 |
| SNS | 21 | 8 | 全国の約2.6倍 |
| 個別最適・協働的な学び | 16 | 3 | 全国の約5倍 |
| 授業づくり | 100 | 87 | 全国並み(ただし最頻出) |
| 不登校 | 16 | 11 | やや多い |
| 特別支援・合理的配慮 | 5 | 18 | 全国より少ない |
| 地域連携 | 0 | 14 | 記録なし |
| 安全・危機管理 | 0 | 6 | 記録なし |
※私が市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用)を集計。設問文は転載していません。三重県分の総数は面接190問・小論文36問の計226問です。
この表からは、三重県の面接の性格がはっきり見えます。「授業づくり」が最頻出——模擬授業が面接の中に組み込まれている県ですから、当然です。そして「保護者対応」「服務・不祥事」「SNS」が全国より明確に多い。この3つは、三重県が求める人物像の「自立した社会人としての豊かな人間性」「優れた人権感覚と社会人としての良識」と正面から重なります。
また、市販過去問集に載っている三重県の形式記録では、面接官はほぼすべて3人。時間は「個人面接+模擬授業+場面指導で20分」「同30分」という記録が中心で、「配点:面接(模擬授業・個人面接あわせて)150点」という記載も複数年で確認できます。実施要項の配点表とも一致しています。
【資料編】年度別・校種別 過去問アーカイブ|受験者5名の実録を収録
ここからは、受験者の方から寄せられた報告を年度別・校種別に整理して、収録します。個人が特定される経歴・固有のエピソードに関する記述は省略・一般化しています。
令和8年度採用(2025年夏実施)|1名の実録
小学校
- 【個人面接・場面指導】宿題をしない生徒について、あなたは担任としてどのような指導をしますか。
- 【個人面接】なぜ小学校を受験したのですか。(他校種で現職の方への質問)
- 【個人面接】現在の勤務状況について教えてください。
- 【模擬授業】理科・小学校4年生「回路」について(報告されたテーマ。設問全文は未確認)。
- 【論述試験】生成AIについて/不登校について/人権について(報告されたテーマ。設問全文は未確認)。
令和7年度採用(2024年夏実施)|4名の実録
中学校・保健体育
- 【個人面接】事前に提出した面接シートからの質問。→ 具体的にはどうしたいですか。→ 授業や指導の中でどのように取り入れていきますか。
- 【個人面接・場面指導】(上記が終わったあと)靴を無くした子がいます。あなたならどのように指導しますか。
- 【模擬授業】事前に示されたテーマが3つあり、その中から当日どのテーマをやるのか言われる。当日は3人1組。最初にテーマとその授業についてを説明してから、冒頭部分を行う。3人が終わった後で、模擬授業について振り返りなどを行う。
- 【技能・実技】保健体育の実技試験があった。「思ったよりも点数が高くなかったので、実技の対策も十分に取り組み、技能をかなり高める必要がある」との感想。
小学校全科
- 【個人面接】提出した申告書に沿って質問される。
- 【模擬授業】4つの内容から1つを選択する形式。
小学校
- 【模擬授業】模擬授業後に受験者数人で話し合いもある。
- 【論述試験】テーマ(課題)が3つ出題された。
- 【技能・実技】英語リスニングテスト。
校種未記載(論述試験の受験者報告)
- 【論述試験】三重県教育ビジョン(令和6年3月 三重県・三重県教育委員会)の基本施策2「未来を創造し社会の担い手となる力の育成」の一つ「(2) グローカル教育の推進」のめざす姿(子どもたちが、グローバルな視野と志を持ちながら、自ら定めた目標に向けて挑戦しようとする意欲を高め、地域にあっても、世界にあっても活躍できる力を身につけています)を実現するために、あなたが取り組みたい教育活動を1つ挙げ、そのねらいとともに具体的に述べ、250字以内でまとめなさい。
三重県の実録は令和8年10月時点で5名分です。正直に言えば、数が足りていません。受験された方の報告が、このページを令和10年度採用の受験生のために育てます。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。
傾向と対策|実録とデータから見えた三重県の7つの法則
- 模擬授業は「面接の一部」で150点の中に入っている。模擬授業だけ別枠で対策する県ではありません。授業→話し合い→個人面接をひと続きの150点として練習してください。
- 模擬授業のテーマは事前に複数示される。「3つのうち当日1つ指定」「4つから1つ選択」という報告。示された全テーマの4分プランを作り込むのが有力な準備です。
- 実演の前に「テーマとその授業についての説明」がある。単元のねらい・この4分の位置づけを、自分の言葉で20〜30秒で言えるように。
- 質問の起点は「整理票」。部活動歴・ボランティア・特技・趣味の欄が、そのまま面接の台本になります。事務的に埋めないこと。
- 深掘りは「具体的にはどうしますか」「授業や指導にどう取り入れますか」の2段構え。追質問チェーン率は15.3%と全国平均(約10.5%)より高め。想定問答は一問一答ではなく深掘りツリーで。
- 場面指導は「日常のささいな場面」×「特定の1人の子」。靴を無くした子、宿題をしてこない子。事実確認→背景の理解→これからどうするか、の順で。
- 保護者対応・服務/不祥事・SNSは全国平均の1.8〜2.6倍。三重県が求める「自立した社会人としての豊かな人間性」を、この3テーマで確認しにきていると考えて準備を。
評価の観点と「教員として求める人物像」は同じことばで書かれている
三重県のいちばんありがたい点は、面接の評価の観点と、求める人物像が、まったく同じ3つのことばで書かれていることです。ここに合わせて回答を設計すれば、それだけで「観点に沿った答え」になります。
- 教育に対する情熱と使命感
- 専門的知識・技能に基づく課題解決能力
- 自立した社会人としての豊かな人間性
評価の基準は8段階です。
8=非常に優れている/7=優れている/6・5=やや優れている/4・3=やや劣っている/2=劣っている/1=非常に劣っている
出典:三重県教育委員会「令和9年度教員採用選考試験 面接、技能・実技試験の評価の観点等」(令和8年6月10日掲載)
- 教育に対する情熱と使命感をもつ人……子どもに対する愛情や教育者としての責任感が強く、常に子どもの人格と個性を尊重した指導ができる人
- 専門的知識・技能に基づく課題解決能力をもつ人……常に自己研鑽に努め、子どもとともに課題に取り組む創造性、積極性、行動力をもつ人
- 自立した社会人としての豊かな人間性をもつ人……優れた人権感覚と社会人としての良識に富み、組織の一員として関係者と協力して職責を果たし、子どもや保護者との間に深い信頼関係が築ける人
3つの観点の言い回しに注目してください。1つ目は「子どもの人格と個性を尊重した指導」、2つ目は「子どもとともに課題に取り組む」、3つ目は「人権感覚」「組織の一員」「保護者との信頼関係」。模擬授業・話し合い・個人面接という三重県の3ブロックに、きれいに対応しています。
さらに実施要項の巻末(39〜40頁)には「校長及び教員としての資質の向上に関する指標」が載っていて、「教職着任時」に求められる姿が項目ごとに書かれています。面接で語る「なりたい教員像」は、ここから逆算すると外しません。たとえば——
- 教育的愛情・使命感・責任感:児童生徒から学び、共に成長しようとする姿勢を身につけている
- 社会性・コミュニケーション力:互いの人権を尊重し、多様性を認め合う確かな人権感覚を身につけている
- 学び続ける意欲・探究心:自らの強み・弱みを理解しようとするとともに、自己研鑽に励んでいる
- 授業改善:主体的・対話的で深い学びを実現するため授業改善の必要性を理解している
- 生徒指導・いじめへの対応:実態に即して個に応じた指導や集団への指導の必要性を理解している/いじめの防止、早期発見の必要性を理解している
「模擬授業のあとに受験者同士で話し合いをさせる」という三重県独自の形式も、「自らの強み・弱みを理解しようとする」「授業改善の必要性を理解している」という指標をそのまま試す設計になっている、と読むと納得がいきます。
あわせて、場面指導や生徒指導に関する質問に答えるときの土台として、『生徒指導提要(改訂版)』は必読です。三重県の第1次選考試験・筆答試験(教養)にも「生徒指導、特別支援教育、人権教育を含みます」と明記されています。
ここまでお伝えした面接対策の「全体像」は、こちらの動画で体系的にまとめています。個別の質問対策に入る前に、一度ここで土台を固めるのがおすすめです。
よくある質問
Q. 三重県に集団討論はありますか?
A. 令和9年度採用の実施要項には、独立した試験項目としての集団討論はありません。ただし模擬授業のあとに「実施した模擬授業の内容について、受験者同士で話し合いをします」という時間が実施要項に明記されており、これが実質的にグループでの話し合いの場になります。なお、実施要項のQ&Aでは「過去5年分の……集団面接(討論)……の問題及び解答等」を情報公開の対象として挙げているため、過去には集団面接(討論)が実施されていた年度があると読めます。受験される年度の実施要項で必ず確認してください。
Q. 模擬授業のテーマはいつ分かりますか?
A. 実施要項に「模擬授業の課題等、模擬授業の詳細については、第1次選考試験合格通知と併せて連絡します」と明記されています。令和9年度採用の第1次選考試験合格者発表は7月1日、面接試験は7月25日〜8月1日。準備できる期間は3〜4週間です。受験者報告では「事前に3つのテーマが示され、当日どれをやるか指定される」「4つの内容から1つを選択」という形式が確認できています。
Q. 面接の点数は教えてもらえますか?
A. はい。実施要項【9】3(3)に「受験者全員に合否とともに、試験項目ごとの得点を通知します」と明記されています。面接試験150点・論述試験50点・技能・実技試験100点それぞれの得点が分かるので、不合格だった場合もどこを立て直せばいいかが数字で見える県です。次年度に向けた計画を立てるうえで、これは大きな武器になります。
Q. 過去の問題は見られますか?
A. 見られます。三重県は第1次選考試験=筆答試験(問題と正解)・小論文(問題、解答用紙)、第2次選考試験=論述試験(問題、解答用紙、解答例)・技能・実技試験(問題または課題内容)・模擬授業課題を開示しています。閲覧場所は三重県情報公開・個人情報総合窓口(津市栄町1丁目954 三重県栄町庁舎1階/TEL 059-224-2073、土日祝・年末年始を除く)。開示は第1次が7月2日以降、第2次が8月21日以降で、過去5年分が同様に開示されます。写しはコピー代金1枚10円が必要です。模擬授業課題が開示対象というのは、三重県受験者にとって非常に大きい情報です。
Q. 実技試験はありますか?
A. 技能・実技試験(100点)は中学校教諭・高等学校教諭の音楽/美術/保健体育/家庭/英語、中学校教諭の技術、特別支援学校教諭中学部・高等部の保健体育、養護教諭で実施されます(令和9年度採用は7月11日)。評価の観点も教科ごとに公表されていて、たとえば保健体育は「保健体育の授業を行うための、基礎的・基本的な技能の達成度合」、英語は「英語を聴いたり話したりすることに関する意欲・態度、表現力、内容・構成力」、養護教諭は「専門性に基づいた知識・技能、判断力、指導力」です。受験者からも「保健体育で実技があったが、思ったよりも点数が高くなかった。実技の対策も十分に取り組み、技能をかなり高める必要がある」という報告が届いています。100点は面接150点に次ぐ配点——対象教科の方は軽視できません。
Q. 二次に合格したら必ず採用されますか?
A. 実施要項のQ&Aに「申込に必要な資格または申請した加点の要件に係る資格が取得できない場合を除いては、原則、合格者の全員を採用しています」と書かれています。採用予定日は令和9年4月1日、合格の有効期間は令和9年4月1日から令和10年3月31日までです。
Q. 小論文(論述試験)はどんな問題ですか?
A. 三重県の記述式は第2次選考試験の「論述試験」(50点・60分・原則全校種で実施。ただし教職経験者等特別選考[Ⅰ]申込資格(3)は免除)です。受験者報告では「テーマ(課題)が3つ」「生成AI・不登校・人権の3題」と、1つの長い小論文ではなく、短い記述を複数書く形式であることが分かっています。1題あたりの字数は250字以内・300字以内が中心です。過去のテーマと書き方は専用記事にまとめました。
■ 三重県の小論文(論述試験)|過去5年の出題テーマと250字・300字の書き方
面接の手応えが気になる方へ
三重県は面接試験が7月下旬〜8月頭、発表が8月下旬。1か月近く待つことになります。「あの答えでよかったのか」と面接を何度も再生してしまう時期ですよね。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由はこちらの記事にまとめています。
■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由
「もし今年落ちたらどうしますか」という質問への答え方を扱う動画です(三重県での出題実績は未確認)。答え方の実演はこちら。
この記事の質問はすべて、受験者の皆さんからの情報提供で成り立っています。ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございます。三重県は掲載が5名分——あなたの1件が、令和10年度採用の受験生の景色を変えます。応援しています!
あわせて見たい面接・模擬授業の対策動画
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