【教員採用試験】長崎県の二次試験|個人面接+教科に関する課題面接・模擬授業の内容・日程・出題傾向(実録募集中)

こんにちは、金井志津乃です! 

長崎県の二次って「個人面接だけ」って書いてあるんですけど、本当にそれだけなんですか? 模擬授業があるって聞いたこともあって……。

どちらも正解なんです! 長崎県の二次は「個人面接」という1本の試験の中に、校種ごとに違う中身が入っているという作りなんですよ。小学校・中学校は教科に関する課題面接、高等学校・特別支援学校は教科等に関する模擬授業が「含まれる」形。ここを知らずに準備すると、まったく違う対策をしてしまいます。

この記事では、長崎県公立学校教員採用選考試験第2次試験について、令和9年度採用の実施要項と実際に受験された2名の方の報告、そして市販の全国版過去問集の長崎県分290問の集計から、内容・日程・傾向をまとめます。

この記事の根拠

  • 受験者2名・5件の実録(令和7年度採用1名/令和8年度採用1名)。長崎県は令和8年10月時点で報告が2名分しか届いていない自治体です。そこは正直にお伝えした上で、実施要項・実施状況・志願状況といった公表資料を隅々まで読み込んで補っています。
  • 市販の全国版過去問集から長崎県分290件(令和4年度〜8年度採用の5年分)を独自に集計し、全国平均と比べた出題傾向を確認しました(個別の設問・課題文は転載していません)
  • 日程・形式・評価の観点・段階評価は令和9年度採用(2026年夏実施)の実施要項と照合済み
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
令和9年度採用(2026年夏実施)|選考の日程

出願(電子申請のみ):令和8年2月13日(金)午前10時〜3月16日(月)午後5時
受験票の交付:4月10日(金)発送予定
第1次試験:5月10日(日)(長崎県立長崎西高等学校/長崎県立長崎工業高等学校)
第1次試験合格発表:6月5日(金)午後1時(受験番号をHP掲載+受験者全員に通知書発送。令和8年5月28日付の県の変更通知で午前10時から変更)
第2次試験:6月25日(木)〜7月7日(火)のうち指定された1日又は2日(長崎県教育センター又は長崎県庁行政棟)
第2次試験合格発表:8月7日(金)午前10時(受験番号をHP掲載+受験者全員に通知書発送)
※全国オンライン試験(小・中の「本免」申請者対象)の第2次試験は8月29日(土)

長崎県でまず驚いてほしいのが、第1次試験が5月10日だということ。他の自治体と比べても早めの部類と考えられます。出願は2月13日から3月16日まで。「夏に向けて頑張ろう」では間に合いません。年内から準備を始め、年明けには出願書類と加点申請の書類をそろえておくスケジュール感で動いてください。
※出典:令和9年度実施要項。
令和10年度採用の日程は先行して公表されています。第1次試験は令和9年(2027年)5月8日(土)、第2次試験は6月23日(水)から7月5日(月)、第2次試験の合格発表は8月6日(金)と案内されています。実施要項は令和9年2月上旬頃に公表予定とされています。令和9年度採用については、追加募集(高等学校・特別支援学校の教諭のみ)が令和8年10月21日に公表されました。選考は令和8年11月29日(日)のオンライン個人面接(教科に関する質問を含む)、出願は10月21日〜11月24日、合格発表は12月23日です。

お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

二次試験の中身|30秒でわかる基本情報

構成①適性検査(オンラインによる事前受検) ②個人面接 ③実技試験(該当者のみ)(実施要項「13 第2次試験(2)」)
日程6月25日(木)〜7月7日(火)のうち指定された1日又は2日。中学校「技術」「家庭」、高等学校「家庭」の受験者は実技試験のため指定日を含む2日(実技免除者を除く)。
会場長崎県教育センター又は長崎県庁行政棟
個人面接(小学校・中学校)教科に関する課題面接を含む
個人面接(高等学校・特別支援学校)教科等に関する模擬授業を含む。高等学校(英語)の志願者は英語による質疑応答を含む。
個人面接(養護教諭)児童生徒への対応・技能等に関する課題面接を含む
個人面接(栄養教諭)学校給食管理や食に関する指導等に関する課題面接を含む
実技試験中学校「技術」「家庭」、高等学校「家庭」の受験者のみ(実技免除者を除く。A〜Eの5段階評価)
小論文(論作文)一次・二次とも実施されません。第1次試験は教職教養・専門教科・科目(+該当者は実技・英会話力テスト)です。
集団討論・集団面接令和9年度採用の実施要項に記載はありません
結果発表8月7日(金)午前10時にHPで受験番号を掲載+受験者全員に通知書を発送

※出典:令和9年度採用(令和8年度実施)長崎県公立学校教員採用選考試験実施要項。

ここが長崎県の一番の特徴です。要項の表には「個人面接」としか書かれていません。でも、そのカッコの中に「教科に関する課題面接を含む」「教科等に関する模擬授業を含む」と書いてあるんです。自分の校種のカッコの中を読み間違えると、対策がまるごとズレます。まずはここを声に出して確認してください!

評価は「10〜1の10段階」|5つの観点で見られる

長崎県は配点の内訳(面接何点、模擬授業何点)は公表していません。そのかわり、評価の方法と観点をはっきり書いています。

個人面接(全校種・職)10〜1の10段階評価 観点=適性/意欲/社会性/指導力/専門性の5つ
実技試験(中技・中家・高家)A〜Eの5段階評価 観点=技能/態度/知識/表現
第1次試験(参考)教職教養35点満点/専門教科・科目100点満点(音楽・美術・保健体育は50点)/実技(中学校75点・高等学校100点)/英会話力テスト15点満点(小学校英語専科・中高英語)
選考方法第2次選考は「第1次試験、第2次試験、適性検査及び提出書類を資料として総合的に選考する」(要項)=一次の点数も二次の合否に持ち越されます
開示第1次試験の得点とA〜Dの4段階の一次総合判定ランク、第2次試験の段階評価とA〜Cの3段階の二次総合判定ランクを希望者に通知

※出典:令和9年度実施要項「14 試験の評価・選考方法」「15 公開・開示」。

観点の5つ目に「専門性」が入っているのを見逃さないでください。人柄だけで通る試験ではない、というメッセージです。だから面接の中に課題面接や模擬授業が組み込まれているんですね。そしてもうひとつ大事なのが「第1次試験も資料として総合的に選考する」という一文。一次はボーダーを超えれば終わり、ではありません。

もうひとつ、長崎県には受験生にとって大きな救済制度があります。令和9年度選考の第2次試験不合格者のうち、区分Ⅱ(名簿登載されたが任用に至らなかった方)に該当する人は、令和10年度採用選考の第1次試験が全部免除されます(同一校種・職、教科・科目の受験に限る)。免除対象になるかどうかは、第2次試験の結果通知で知らされます。

■ 長崎県の特別採用選考と一次免除ルート|離島教育・社会人・大学推薦・講師・加点制度

長崎県の倍率|令和9年度採用は実質倍率2.0倍(最終結果)

この記事の倍率の定義

長崎県は2種類の倍率を自分で公表しています。①志願状況の段階で出す志願倍率=志願者数÷採用予定者数。②結果が出たあとの実質倍率=受験者数÷第2次選考合格者数(校種別5年推移PDFの注記)。同じ「長崎県の倍率」でも数字が違うので、必ずどちらの定義かを確かめてください。

令和9年度採用(2026年夏実施)は、志願者1,104人・採用予定519人・志願倍率2.1倍(大学3年生を除く)。第2次選考結果(令和8年8月7日公表)まで確定し、受験者1,005人・第2次選考合格者495人・実質倍率2.0倍でした(このほか9月29日に、オンライン試験の第2次選考合格者12人〔小学校8人・中学校4人〕の受験番号が別枠で公表されています)。これに加えて大学3年生の志願者が262人(令和10年度採用向け〔令和8年度実施〕。令和9年度採用向け〔令和7年度実施〕は218人)います。

区分志願者(R9)受験者(R9)採用予定(R9)2次合格(R9)志願倍率実質倍率
小学校305人283人220人237人1.4倍1.2倍
中学校301人266人140人113人2.2倍2.4倍
高等学校232人214人98人80人2.4倍2.7倍
特別支援学校71人63人35人38人2.0倍1.7倍
養護教諭171人157人25人25人6.8倍6.3倍
栄養教諭23人21人1人1人23.0倍21.0倍
合計1,104人1,005人519人495人2.1倍2.0倍

※志願倍率=志願者数÷採用予定者数、実質倍率=受験者数÷第2次選考合格者数(いずれも長崎県の定義・公表値)。小学校・中学校の志願者数はオンライン受験希望者を含めない暫定値。大学3年生(262人)は含みません。第1次・第2次選考合格者数には第2志望者を含みます。中学校欄は小中連携推進枠を除く小計です。総合計には小中連携(家庭)の志願1人・受験1人・最終合格1人を含みます。
出典:長崎県教育委員会「令和9年度(令和8年度実施)長崎県公立学校教員採用選考試験の志願状況について」「令和9年度長崎県公立学校教員採用選考試験第2次選考結果について」(令和8年8月7日)

ひとつ前の令和8年度採用(2025年夏実施)の確定値は、志願者1,064人・受験者975人・第1次選考合格者730人・採用予定529人・第2次選考合格者536人で、実質倍率1.8倍。校種別では小学校1.2倍・中学校1.9倍・高等学校2.2倍・特別支援学校1.3倍・養護教諭6.1倍・栄養教諭20.0倍でした。

なお、令和9年度採用の第2次試験合格発表は令和8年8月7日(金)午前10時に行われ、同日に第2次選考結果も公表されました(上の表に反映しています)。校種別・教科別の詳しい数字と6年間の推移は、倍率の専用記事にまとめました。

■ 長崎県の倍率|令和9年度採用の最終結果と5年間の推移(校種別・教科別)

① 教科に関する課題面接(小学校・中学校)|長崎県の主戦場

市販の全国版過去問集から長崎県分を集計すると、面接の記録290件のうち174件が「課題面接」でした。実に6割です。長崎県の二次を語るとき、ここを外すことはできません。

設問そのものは転載しませんが、集計から見えた「型」をお伝えします。

課題面接の共通フォーマット(公刊過去問集の集計から)

  • 「学年+教科+単元・領域」が具体的に指定される。小学校なら国語・算数・社会・理科・生活・音楽・図画工作・家庭・体育・外国語活動/外国語と全教科にわたって出題。中学校は志願教科の領域(国語なら「読むこと」「書くこと」など)から。
  • 問い方はほぼ一定で、「〜できるようにするために、あなたはどのような指導の工夫をしますか」という形。つまり目的(育てたい姿)が先に示され、手立てを答えさせる構造です。
  • 「苦手な児童」「つまずきがある生徒」「意欲を持続させる」など、うまくいかない子をどうするかを条件に含む設問が多い
  • 答えたあとに追質問が来る記録もあります(例:もっと学びたい子への支援は/視覚情報以外にできることは、といった方向への広げ方)

市販の過去問集に残っていた形式メモを合わせると、長崎県の個人面接は面接官3〜4人・30分程度が基本(45分という記録も12件あります)。そのうち「教科に関する課題」が10分程度、年度によっては「場面指導5分を含む」という記録もありました(いずれも市販の過去問集の形式メモによる。要項に時間の記載はありません)。

テーマの偏りを数字にすると、長崎県は「授業づくり」に関する内容が面接1,000問あたり403件。全国平均87件の約4.6倍という集計結果です。逆に「自己PR・長所短所」は0件、「学級経営」も1件しかありません。長崎県の面接は、人柄を語る時間より「授業を語る時間」のほうが長い傾向があると考えて準備してください。

「教科の課題なんて、専門じゃないと無理」と思わないでくださいね。聞かれているのは指導技術の正解ではなく、子どもをどう見て、どう手を打つ人かです。私はいつも3つの順番でお答えすることをおすすめしています。①この学年の子がどこでつまずくかを言う → ②だからこういう手立てを打つ、と具体を1つ挙げる → ③その手立てで何ができるようになるかを言う。この3ステップなら、どの教科の課題が来ても同じ型で答えられます。

授業の組み立て方そのものは、模擬授業の解説動画がそのまま使えます。目標を最初に明示する/1時間の流れを最初に示す/子どもの身近なものから導入する——この3点は、口頭で説明する課題面接でも評価につながります。

ちなみに養護教諭は「児童生徒への対応・技能等に関する課題面接」、栄養教諭は「学校給食管理や食に関する指導等に関する課題面接」が個人面接に含まれます(要項)。教科ではなく自分の職の専門性が課題になる、という置き換えで考えてください。

② 教科等に関する模擬授業(高等学校・特別支援学校)

高等学校と特別支援学校は、個人面接の中に模擬授業が入ります。公刊の集計でも令和7年度採用分に模擬授業の記録が37件あり、実録でも2名とも模擬授業を受けています。

実録|実際に出された模擬授業の課題

  • 「布の種類を説明しながら、身近な制服などを例にわかりやすい導入」の授業を行いなさい。(高等学校 家庭・令和7年度採用)
    ※形式メモ:構想12分、模擬授業5分。
  • ハサミを使う指導についての授業を行いなさい。(特別支援学校 中・高等部・令和8年度採用)

この2つを並べると、長崎県の模擬授業の性格がよく分かります。どちらも「教科の知識を説明せよ」ではなく「子どもに分かるように入っていけ」という課題なんです。高校家庭は「身近な制服などを例に」「わかりやすい導入」と条件が明示されていますし、特別支援は「ハサミを使う指導」という生活に直結する技能の指導でした。

私自身、高校地歴の採用試験で模擬授業を受けて合格しました。そのとき産業革命の授業でやったのが、「みんな、自分の制服の繊維をよく見てみて」という一言です(生徒役はおらず面接官だけの場で、演技として行いました)。「この1枚の布は、1本1本の糸がどんなふうに交わっている?」と絵に描いてみるよう促し、「これを手作りするの、めちゃくちゃ時間かからない?」と話しかけました。子どもの目の前にあるものから入る——長崎県の高校家庭で出た「身近な制服などを例に」という課題は、まさにこれを求めています。

構想時間が12分しかない(令和7年度採用の報告)ことを考えると、その場でゼロから考える余裕はありません。どんなテーマが来ても使える「導入の型」を、あらかじめ持っておくことが勝負を分けます。合格する模擬授業に共通する3つのポイントは、こちらで詳しく話しています。

  1. 子どもが見える——模擬授業を見ると、その人が普段どんなふうに子どもと関わっているかが透けて見えます。想定している子どもの反応と疑問がリアルかどうか。見る側が「こんなにスムーズには進まないだろう」と感じるような想定で組んだ授業は、現場でも多分うまくいきません。
  2. 意図が見える——なぜそのタイミングでその発問をしたのか。なぜそこで板書したのか。一つひとつの行動に意図が見える授業は、授業経験のある面接官には読み取れます。長崎県は模擬授業が個人面接の中に入っているので、「なぜそうしたのか」を聞かれても答えられるよう準備しておきましょう。
  3. その人らしさが光る——この授業を通して子どもに何を学んでほしいか、何を感じてほしいか。知識を渡すだけの授業ではなく、「この内容を学んで、どうするの?」に自分の答えを持っていることです。

落ちる授業と受かる授業の違いは、実演で見るのが一番早いです。同じ単元を「知識を一方的に説明する授業」と「生徒の当事者感を引き出す導入の授業」で比べています。

なお、高等学校(英語)の志願者は個人面接に「英語による質疑応答」が含まれます(要項)。第1次試験でも英会話力テスト(外国語指導助手の進行による討論形式・25分程度・15点満点)があるので、英語で自分の教育観を語る練習を早めに始めてください。

③ 個人面接で聞かれること|「長崎で働く覚悟」が問われる

ここからは、面接そのもので聞かれる質問です。まず2名の受験者から寄せられた実録から。

実録|実際に聞かれた質問(受験者2名)

  • 働き方改革についてどう思いますか。(高等学校 家庭)
  • どんなコミュニケーションのとり方をしますか。(高等学校 家庭)
  • どんな信念をもって仕事に臨んでいますか。(高等学校 家庭)
  • ふるさと教育をこれ以外に他にどんなことができますか。(高等学校 家庭)
  • 服装について教えてください。(特別支援学校 中・高等部)
  • 最近腹が立ったことを教えてください。(特別支援学校 中・高等部)

たった2名分ですが、「ふるさと教育」という言葉が出ているのは注目できます。これは長崎県が偶然使った言葉ではないと考えられます。第四期長崎県教育振興基本計画(2024年7月)の政策の柱01に「ふるさと教育の推進」が明記されているのです。しかも質問の形が「ふるさと教育とは何ですか」ではなく「これ以外に他にどんなことができますか」——すでに1つ答えたうえで、もう1つ出せるかを問われています。

この「他には?」がいちばん怖い質問なんです。1つしか用意していないと、そこで止まってしまう。県の重点施策のキーワード(長崎県なら「ふるさと教育」「離島・小規模校の教育」「平和教育」)については、「自分の校種・教科でできること」を複数用意しておきましょう。

次に、市販の過去問集の長崎県分から個人面接76問(令和4・5・6・8年度採用)を数えたとき、他県と比べても目立つ偏りが出ました。

離島勤務・島での勤務個人面接76問中7問(うち「離島」の語を含むもの5問)。「初年度から離島勤務でも大丈夫か」「離島教育について小規模学校のどんな所に関心があるのか」といった聞かれ方。
長崎県そのもの・地元5問。「長崎県の課題とは」「(県外の大学に進学したのに)長崎県に戻ってきた理由」など。
平和教育・平和学習3問。「平和学習はどのように指導するか」「平和教育がなぜ大切なのか」
ストレス・メンタル4問。「ストレスには強いか」「解消法は」「自分で気付けるか」まで掘られる記録あり。
命の大切さ2問。「日頃の学校生活の中でどのように指導していくか」
面接調査票3問。「面接調査票の内容からほとんど聞かれる」という記録も。
併願・他自治体2問。「他の自治体の受験状況について」「両方受かった場合はどうするか」

※市販の全国版過去問集の長崎県分(個人面接76問)を私が集計。母数が小さいので比率の振れ幅は大きい点にご注意ください。設問は転載していません。

離島勤務の質問は「覚悟」ではなく「関心」で答える

長崎県は離島教育特別採用選考(小学校教諭・採用時を含めて通算10年、原則同一離島市町に勤務。対馬市・壱岐市・五島市・新上五島町が基本)という枠を持ち、令和9年度採用ではその採用予定者数を増やしています(要項の「主な変更点」)。離島に赴任できる人を探している県だと考えられます。

「離島勤務は大丈夫ですか」に「大丈夫です、頑張ります」だけで返すのは、正直もったいないです。実際に聞かれているのは「小規模校のどんな所に関心があるのか」という掘り方。つまり覚悟の表明ではなく、関心の中身を見ています。複式学級での学び合い、地域と学校の距離の近さ、一人ひとりに手が届く規模——「小さいからこそできること」を自分の言葉で1つ言えるか。ここが勝負どころです。

ちなみに加点制度にも、離島教育特別採用選考で受験する小学校志願者が「複式教育論」「小規模教育論」などの単位を取得していれば3点加点という項目があります(要項「11 加点制度」⑲)。県が何を大事にしているかが、制度の設計そのものに表れていますね。

「服装」「最近腹が立ったこと」——人柄を見る質問への構え

実録にあった「服装について」「最近腹が立ったこと」は、答えを準備していないと固まる質問です。どちらも正解を探す質問ではなく、あなたの基準を見る質問だと思ってください。

  • 服装——「おしゃれ」と「身だしなみ」は別だ、という線引きを自分の言葉で持っておく。誰のための身だしなみか(子ども・保護者・地域から見てどうか)に着地させる。
  • 腹が立ったこと——「腹が立たない人」を演じる必要はありません。何に対して怒りを感じる人か(=何を大事にしている人か)と、そのあとどう処理したかまでをセットで話す。

当日の服装・所作・入退室の流れは、実演で見ておくと安心です。

④ 実技試験|中学校「技術」「家庭」、高等学校「家庭」だけ

二次の実技試験があるのは中学校「技術」「家庭」、高等学校「家庭」の受験者のみで、この3区分で実技試験を受験する方は、指定日を含む2日間の受験になります(大学推薦や本免の所定の実技免除対象者を除く)。評価はA〜Eの5段階、観点は技能・態度・知識・表現(要項)。内容は要項に書かれていませんが、受験者報告が残っています。

実録|高等学校 家庭の実技試験(令和7年度採用)

  • 被服実技:波縫い、まつり縫い、ボタンつけ、バイアステープ作成&縫い付け
  • 調理実技:かつらむき、ポテトサラダ、ハンバーグ

※受験者1名の報告です。年度によって内容は変わりますので、必ず当年度の要項・当日の指示で確認してください。なお第2次試験の実技の準備物は「第2次試験の受験通知と併せて通知する」と要項に書かれています。

第1次試験にも実技があります。中学校・高等学校の音楽(弾き歌い+ピアノ/声楽/器楽から1つ選択)、美術(水彩画・提示される対象を描く)、保健体育(Ⅰ群:マット運動またはハードル走/Ⅱ群:バレーボール・バスケットボール・ソフトボール/Ⅲ群:柔道・剣道・ダンスから各1種目)です。配点は中学校75点・高等学校100点。用具は原則として自分で持参します(要項「12 第1次試験(3)」)。

【資料編】受験者別 実録アーカイブ(2名・5件)

ここからは、受験者の報告を年度別・受験者別に収録します。ご協力くださったお二人、本当にありがとうございます。

令和8年度採用(2025年夏実施)|1名の実録

特別支援学校 中・高等部

  • 【個人面接】服装について教えてください。/最近腹が立ったことを教えてください。
  • 【模擬授業】ハサミを使う指導についての授業を行いなさい。

令和7年度採用(2024年夏実施)|1名の実録

高等学校 家庭

  • 【個人面接】働き方改革についてどう思いますか。/どんなコミュニケーションのとり方をしますか。/どんな信念をもって仕事に臨んでいますか。/ふるさと教育をこれ以外に他にどんなことができますか。
  • 【模擬授業】構想12分、模擬授業5分。「布の種類を説明しながら、身近な制服などを例にわかりやすい導入」の授業を行いなさい。
  • 【実技】被服実技:波縫い、まつり縫い、ボタンつけ、バイアステープ作成&縫い付け/調理実技:かつらむき、ポテトサラダ、ハンバーグ

この記事は、受験者の皆さんの報告で育ちます

正直にお伝えします。長崎県は、令和8年10月時点で2名分の報告しか届いていません。それでも「模擬授業は構想12分・実演5分だった」「ふるさと教育を『他には?』と掘られた」「服装について聞かれた」といった、要項を読むだけでは分からないことが見えてきました。報告が10名、20名と増えれば、この記事は長崎県を受ける人にとって心強い一冊になります。

長崎県を受験された方、ぜひ来年の受験生のために教えてください。校種・教科と、覚えている範囲の質問だけで十分です。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム

傾向と対策|公表資料と出題データから見えた7つの法則

実録5件と、市販の全国版過去問集の長崎県分290件(令和4年度〜8年度採用)を突き合わせて見えてきた法則です。

  1. 長崎県の二次は「面接1本」に見えて、中身が校種で違う。小・中は教科に関する課題面接、高・特支は教科等に関する模擬授業、養護は児童生徒への対応、栄養は給食管理・食の指導。まず自分の校種のカッコの中を確認する。
  2. 「授業づくり」の出題比率が全国平均の約4.6倍。面接1,000問あたり403件(全国平均87件)。逆に自己PR・長所短所は0件、学級経営は1件。人柄より授業を語る時間のほうが長い傾向のある試験です。
  3. 課題面接の問い方は「〜するために、どのような指導の工夫をしますか」でほぼ固定。目的が先に示され、手立てを答えさせる形。①つまずきを言う→②手立てを1つ挙げる→③何ができるようになるかを言うの3ステップで型を作る。
  4. 離島勤務は必ず想定しておく。個人面接76問中7問。しかも「大丈夫か」ではなく「小規模学校のどんな所に関心があるのか」と掘られます。「小さいからこそできること」を1つ用意する。
  5. ふるさと教育・平和教育は長崎県の看板テーマ。第四期長崎県教育振興基本計画の柱にも「ふるさと教育の推進」が入っています。学年全体で動くものに加えて、個人で一教員としてできることの2種類を持っておくと安心です。
  6. ストレス・メンタルは深く掘られる。「強いか」→「解消法は」→「自分で気付けるか」と3段階まで続いた記録があります。一人で抱えない仕組みを持っていることが伝わればOK。
  7. 追質問チェーン率は4.8%(全国平均約10.5%)。「深掘りが少ない県」に見えますが、これは課題面接・模擬授業が面接時間の多くを占めているためだと考えられます。30分の面接のうち10分前後が教科の課題。残り20分で人物を見られると考えて、質問1つあたりの答えを濃くしておきましょう。

深掘り質問に強くなるコツは、面接官が「知りたい順番」を先回りして準備することです。この考え方は大学講演で詳しく解説しました。

長崎県が求める教師像(実施要項「2」より)

長崎県は、校種・職ごとに求める教師像を書き分けているのが特徴です。自分が受ける校種の一文を、面接の答えの着地点にしてください。

  • 小学校教諭:心豊かで明るく、子どもとともに遊び、ともに学ぼうとする人
  • 中学校教諭:情熱にあふれ、生徒とともにあり、わかる授業に努める人
  • 高等学校教諭:教科に関する専門性が高く、生徒の指導にも熱心に取り組み、明るく社会性に富む人
  • 特別支援学校教諭:子どもに対する純粋な愛情を持ち、ともに学び、ともに成長することを喜びとする人
  • 養護教諭:子どもに対して深い愛情をそそぎ、健やかな成長を支えることに喜びを感じる人
  • 栄養教諭:子どもに対して深い愛情をそそぎ、食をとおした心身の健全な発達に喜びを感じる人

並べてみると面白いのですが、中学校だけに「わかる授業に努める」、高等学校だけに「教科に関する専門性が高く」と入っています。二次の個人面接に課題面接や模擬授業が組み込まれている理由が、この一文に表れていると考えられます。

県全体の方向性は「第四期長崎県教育振興基本計画」(2024年7月・長崎県教育庁教育政策課)にまとまっています。テーマは「つながりが創る 豊かな教育 Nagasaki」。政策の柱01「一人一人に応じた最適な学びを提供する」の中にふるさと教育の推進/ながさきならではの地域資源を生かした体験活動/インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別支援教育/遠隔教育センターを中心とした教育DX/切れ目ない校種間連携が並びます。離島・小規模校を「つながり」で支えるという設計思想が、面接の質問に出ていると考えられます。

また、『生徒指導提要(改訂版)』には現代の教育課題に合わせた生徒指導の在り方が書かれており、いじめ・不登校・命の大切さに関する質問の答えを組み立てるうえで必読です。長崎県の教育施策は長崎県教員採用試験のページから確認できます。

面接対策の「全体像」は、こちらの完全解説動画で体系的にまとめています。個別の質問対策に入る前に、一度この動画で土台を固めるのがおすすめです!

よくある質問

Q. 長崎県に小論文(論作文)はありますか?

A. 令和9年度採用の実施要項には、一次・二次とも小論文(論作文)の記載がありません。第1次試験は教職教養(35点満点)と専門教科・科目(100点満点。音楽・美術・保健体育は50点満点)、該当者は実技試験と英会話力テスト。第2次試験は適性検査・個人面接・実技試験(該当者のみ)です。他県と併願する方は、この違いを押さえておくと勉強時間の配分を間違えません。

Q. 集団討論や集団面接はありますか?

A. 令和9年度採用の実施要項に記載はありません。第2次試験は個人面接が中心です。ただし第1次試験の英会話力テスト(小学校英語専科・中学校英語・高等学校英語)は「外国語指導助手の進行により、討論形式」で25分程度行われるので、英語受験の方は討論の形に慣れておく必要があります。

Q. 過去問は公開されていますか?

A. はい。要項「15 公開・開示」に、第1次試験の教職教養の問題・解答例・配点、第2次試験の実技試験・課題面接及び模擬授業の問題については過去3年分、第1次試験の専門教科・科目の問題・解答例・配点については過去2年分を、教員採用試験ホームページ又は県民センター等で公開していると明記されています。課題面接と模擬授業の課題が3年分公開されているのは、受験生にとって非常に大きいです。必ず取りに行ってください。

Q. 二次試験は何日かかりますか?

A. 6月25日(木)〜7月7日(火)のうち指定された1日です。ただし中学校「技術」「家庭」、高等学校「家庭」の受験者が実技試験を受験する場合は、指定された日を含む2日間になります(所定の実技免除者を除く)(要項「13 第2次試験(2)注①」)。適性検査はオンラインによる事前受検なので、会場では行いません。

Q. オンラインで二次を受けられると聞きましたが?

A. 小学校・中学校の「本免」(他自治体の国公立学校本務教員)申請者を対象に、第2次試験のオンライン受験があります(令和9年度採用は8月29日(土)実施、内容は適性検査+個人面接(教科に関する課題面接を含む))。長崎会場受験とオンライン受験の重複申請はできず、出願期間や試験日も異なるので、「オンライン試験用実施要項」を必ず別途確認してください。令和9年度採用では「全国オンライン試験を拡充(日程見直し、申請要件緩和等)」が要項の主な変更点の1つに挙げられています。

Q. 面接の結果は教えてもらえますか?

A. 希望者に通知されます。第2次試験は実技・個人面接の段階評価と、A〜Cの3段階で示した第2次選考の総合判定ランク。第1次試験は得点とA〜Dの4段階の総合判定ランクです(要項「15 公開・開示」)。再受験を考える方は必ず開示請求をしてください。どの段階でどう評価されたかが、翌年の設計図になります。

Q. 大学3年生でも受けられますか?

A. はい。長崎県には大学3年生用の実施要項(前倒し受験)があります。対象は令和8年3月時点で大学2年生等(最終年次の2年前の年次。科目等履修生・短大生は含まない)で令和9年度末に卒業見込みの方。受験できるのは第1次試験のみで、合格後、翌年度も同一校種・職、教科・科目で出願し、免除申請をした場合は第1次試験が全部免除になり、第2次試験の結果で最終合格が決まります。令和10年度採用向け(令和8年度実施)の志願者は262人(令和9年度採用向け〔令和7年度実施〕は218人)、うち小学校が117人でした。詳しくは特別選考の記事にまとめています。

■ 長崎県の特別採用選考と一次免除ルート|離島教育・社会人・大学推薦・講師・加点制度

面接の手応えが気になる方へ

長崎県は二次が6月25日〜7月7日、発表が8月7日。1か月以上、結果を待つ時間があります。「あの答えでよかったのか」と面接を何度も再生してしまう時期です。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由はこちらの記事にまとめています。

■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由

それでも結果が届かなかったときの進路の考え方も、先に知っておくと落ち着いて受験できます。長崎県には区分Ⅱで名簿に載ったものの任用されなかった人が、同一校種・職、教科・科目で受ける場合に限り、翌年の第1次試験が全部免除になる制度があるので、「もう一年」の設計がしやすい仕組みがあります。

■ 教員採用試験に落ちたらどうする?進路の選択肢とやるべきこと

「もし、今年の教採で落ちたらどうしますか?」のような答えにくい質問への答え方は、実演動画で確認できます。

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