【教員採用試験】大分県の小論文|社会人特別選考の1000字と過去の出題テーマ

こんにちは、金井志津乃です! 

大分県の小論文って、みんなが受けるわけじゃないんですよね? 社会人枠だけと聞いたのですが……。

そのとおりです! 大分県の小論文は特別選考Ⅱ(社会人特別選考)の受験者だけが受けます。しかも教養試験と専門試験の代わり——つまりこの1本で一次の合否が決まる150点満点の試験なんです。

この記事では、大分県公立学校教員採用選考試験の小論文について、令和9年度採用の実施要項・選考基準と、過去の出題テーマをもとに、形式・評価のされ方・書き方をまとめます。

この記事の根拠

  • 実施範囲・字数・配点・合否の基準は令和9年度実施要項および第1次試験結果(選考基準)から。推定は含みません。
  • 過去の出題テーマは市販の全国版過去問集の大分県分から、出典資料名と形式(字数・段落構成)だけを紹介しています。課題文は転載していません。
  • 大分県の小論文についての受験者報告は、令和8年10月時点で届いていません。受験された方はぜひ教えてください。
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

基本情報|誰が・いつ・何点で受けるのか

対象特別選考Ⅱ(社会人特別選考)の受験者のみ。一般選考・他の特別選考では実施されません(要項に「小論文試験は、特別選考Ⅱの受験者に対してのみ実施する」と明記)。
いつ第1次試験(令和9年度採用は令和8年6月14日(日))。教養試験・専門試験に代えて実施されます。
時間日程表では10:00〜11:10(70分)の枠。一般選考の専門試験と同じ時間帯に行われます。
字数1000字以内(令和9年度採用)。過去問の記録では「1000字以内(論題を含む)」という表記で、令和8年度採用から1200字以内→1000字以内に変わっています。
構成令和9年度の段落指定は未確認。確認した令和4・6・7・8年度の過去問では「各段落が論点1・2・3に対応する」形式が続いています。
配点150点満点(一般選考の教養50点+専門100点=150点と同額)。第1次試験の合格者は第1次試験の成績により決定。
一次の合格者数特別選考Ⅰおよび特別選考Ⅱの合格者数は採用予定者数の3倍(令和9年度は採用予定10人=一次合格の目安30人。実際の一次合格者は13人でした)
結果の開示受験者全員に第1次試験・第2次試験の得点および総合点が結果通知とともに送付されます
過去問の入手大分県情報センター(大分県庁舎本館1階/電話097-506-2285/9:00〜17:00・土日祝を除く)で過去の試験問題等を情報提供。閲覧・コピーサービス(有料)・オンラインによる公開・郵送希望にも対応。

※出典:令和9年度大分県公立学校教員採用選考試験 実施要項「2(2)特別選考」「6(3)日程及び試験内容」「6(5)試験結果」「8 各試験の配点」「13 その他(5)」、令和9年度 第1次試験結果

ここ、すごく大事です。一般選考の人は「教養+専門」で150点を取りにいきますが、社会人特別選考の方は小論文1本で150点。筆記の暗記に時間を使わなくていい代わりに、この1本で全部が決まるということ。だからこそ、対策の効率はとても良い試験です。

評価は「4つの観点」でA〜Eの5段階|足切りの基準が公表されています

大分県のすごいところは、小論文の評価方法と足切りラインを公表していることです。令和9年度採用の「合格者選考基準(第1次試験)」には、次のように書かれています。

特別選考(Ⅱ)における「成績が著しく低い場合」(令和9年度採用の選考基準)

小論文の4つの観点の評価において、「E(20%以下)の評価が1つでもある」場合、または「D(20%超40%以下)の評価が2つ以上ある」場合は、合格ラインの範囲内であっても合格者としない。

つまり4つの観点それぞれで一定以上の評価を取る必要があるということ。1つでも空欄同然の観点があれば、他がどれだけ良くても不合格になります。

そして令和9年度採用の4つの観点は、次のとおり公表されています。

観点①不登校について自身の考えを述べているかを確かめる
観点②不登校対策につながる社会人経験を確かめる
観点③不登校対策に向けた、教職員としての指導力を確かめる
観点④論点や留意点に沿った記述ができているか確かめる

※出典:大分県教育委員会「令和9年度大分県公立学校教員採用選考試験 第1次試験結果」(令和8年7月14日)内「2 選考基準」。
文中の「不登校」の部分から、令和9年度採用(2026年夏実施)の出題テーマが「不登校」だったことが読み取れます。

この4観点は、そのまま設計図です。ただし、論点の内容や段落への割り当ては年度の問題文で確認してください。

  1. そのテーマについて、自分はどう考えるか(=観点①・3段落構成の第1段落)
  2. 自分の社会人経験のどれが、そのテーマにつながるか(=観点②・第2段落)
  3. 教員としてどう指導するか・何をするか(=観点③・第3段落)
  4. 問題文に書かれた論点と留意点を、全部拾って書く(=観点④・全体を貫く)

観点②に注目してください。「社会人経験を確かめる」——大分県の小論文は、社会人としての経験も評価観点に含まれています。教育論だけを立派に書いても観点②がEになりかねません。あなたが仕事で何を見て、何をしてきたか。そこがこの試験の中心です。

過去の出題テーマ|資料を読んで、論点1・2・3に答える形式

市販の全国版過去問集に収録されている大分県の小論文から、出典資料と形式を整理しました(課題文は転載していません)。

採用年度対象提示された資料(出典)形式
令和4年度採用
(2021年夏実施)
記録上は「全校種」中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現〜」(令和3年1月)から、次代を切り拓く子供たちに求められる資質・能力に関する部分1200字以内(論題を含む)・3段落構成(各段落が論点1・2・3に対応)
令和5年度採用
(2022年夏実施)
—※手元の資料に収録がありません(欠測)
令和6年度採用
(2023年夏実施)
社会人特別選考学習指導要領関連の答申資料から、教科等横断的な視点からの教育課程の編成と、言語能力の育成に関する部分1200字以内(論題を含む)・3段落構成
令和7年度採用
(2024年夏実施)
社会人特別選考中央教育審議会答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」(平成28年12月21日)から、「社会に開かれた教育課程」に関する部分1200字以内(論題を含む)・3段落構成
令和8年度採用
(2025年夏実施)
社会人特別選考文部科学省初等中等教育局児童生徒課長通知「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策等について」(令和5年10月)から、いじめの積極的な認知と適切な対応に関する部分1000字以内(論題を含む)・3段落構成
令和9年度採用
(2026年夏実施)
社会人特別選考不登校(第1次試験結果に掲載された4つの評価観点の文言から判明)1000字以内(要項の記載)。段落構成は要項に記載なし(過去問の記録では3段落構成が続く)。

※出典:市販の全国版過去問集(各年度版)の大分県分に記録された出題資料名・形式、および大分県教育委員会「令和9年度 第1次試験結果」。
令和4年度採用の対象区分は資料上「全校種」と記録されていますが、現行の実施要項では特別選考Ⅱの受験者のみが対象です。令和5年度採用分は手元の資料に収録がなく、確認できていません。

この一覧から、大分県の小論文の性格が3つ見えてきます。

  • 問題文を確認した令和4・6・7・8年度は、「国の答申・通知」の抜粋が資料として提示されています。中教審答申か、文科省の通知。ノーヒントの一行テーマ型ではありません。
  • 掲載した令和4・6・7・8年度の記録では3段落構成です。令和9年度の段落指定は未確認です。各段落は問題文の論点1・2・3に対応していました。「自由に論じなさい」ではなく「指定された3つに順番に答えなさい」という形式です。
  • テーマは「令和の日本型学校教育」→「教科等横断的な視点・言語能力」→「社会に開かれた教育課程」→「いじめ」→「不登校」と(令和5年度採用分は資料に収録がありません)、抽象的な教育論から具体的な生徒指導課題へ寄ってきています

直近2年が「いじめ」「不登校」。ということは、『生徒指導提要(改訂版)』と、毎年10月ごろに公表される文科省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」は必ず目を通しておいてください。答申の抜粋を読まされる形式なので、その分野の言葉を知っているかどうかで読解のスピードが全然違います。

■ 生徒指導提要(改訂版)|文部科学省

70分・1000字をどう書くか|私がおすすめする手順

① 最初の15分は「構想メモ」に使う

いきなり書き始めないでください。おすすめしたいのは、書き出す前に構想メモを作ることです。理由は3つあります。論点がズレるのを防ぐ/途中で筆が止まるのを防ぐ/大幅な書き直しを防ぐ。それに加えて、周りが先に書き始めても焦らずにすむというメンタル面の効果も大きいです。

大分県は、掲載した令和4・6・7・8年度の記録では3段落構成で、各段落が論点1・2・3に対応していました(令和9年度の段落指定は未確認)。ですから構想メモも3つの箱で作ります。

第1段落(論点1)テーマについての自分の考え。資料の言葉を引きながら「なぜこれが今の学校で重要なのか」を書く。ここで資料に線を引いた言葉を必ず1つ以上使う。
第2段落(論点2)自分の社会人経験のうち、テーマにつながるものを1つ。「どんな場面で、何をして、どうなったか」を具体的に。職種の説明に字数を使わず、行動と結果に使う。
第3段落(論点3)教員として何をするか。第2段落の経験を、学校現場の行動に翻訳する。「担任として」「学年で」「組織として」の3層で書けると強い。

② 指定字数の8〜9割は必ず書く

1000字以内なら800〜900字。字数不足は足切りの恐れがあります。「以内」だからといって600字で終わらせるのは、自分から観点④(論点や留意点に沿った記述)を捨てているようなものです。逆に1000字ぴったりを狙って途中で切れるのも危険なので、900字前後で着地する練習をしてください。

③ 課題文で問われている点に線を引く

大分県の問題には「論点」と「留意点」が明示されます(観点④に「論点や留意点に沿った記述ができているか」とあるとおり)。まず問題用紙の論点1・2・3と留意点に線を引き、番号を振ってください。書き終えたら、その番号を1つずつ指差し確認する。これだけで観点④の評価は安定します。

そして資料の言葉を自分の文章の中で使うこと。「社会に開かれた教育課程」「積極的な認知」「個別最適な学び」——資料に出てきたキーワードを自分の文脈で言い換えて使えると、「資料を読めている」と伝わります。

④ NG例文とOK例文の差を体感する

落ちる小論文には共通点があります。社会的背景の理解不足/問題文の要求(複数の観点)を満たしていない/主語述語のねじれ/抽象的で本旨と関連が薄い結び。同じテーマでNG例文とOK例文を並べて添削した動画があるので、書き始める前に一度見ておいてください。「自分の文章、これに当てはまってるかも」と気づけるだけで、伸びしろが変わります。

「OKパターン」を体感で覚えたい方は、大学講演でお話しした回もどうぞ。

着地点は「大分県が求める教員像」

大分県教育委員会が求める教員像(募集案内より)
  • 専門的知識をもち、実践的指導力のある人
  • 使命感にあふれ、高い倫理観と豊かな人間性をもつ人
  • 柔軟性と創造力をそなえ、未知の課題に立ち向かう人
  • 学校組織の一員として考え行動する人

社会人特別選考の実施理由として、要項には「社会人としての多様な経験や専門的な知識・技能を教育にいかすため」と書かれています。あなたの経験は「未知の課題に立ち向かう」力そのものです。第3段落の結びは、この4つのどれかに着地させると、県の求める人物像と一致します。

ひとつだけ気をつけてほしいのは、「前職の話」で終わらせないこと。私がいつもお伝えしているのは、経験そのものではなく「そこで身につけた姿勢が学校でどう生きるか」を一文で添えるということです。たとえば接客業なら「お客様はプロのサービスを期待している。だから初任でも、子どもたちは良い教育を受けたいと思っている。同じプロ意識で働きたい」——このように学校の言葉に翻訳するのがコツです。

小論文のあとに待っているもの

小論文を突破すると、第2次試験は一般選考と同じ内容——模擬授業(場面指導)+面接Ⅰ、面接Ⅱ、実技試験(該当区分のみ)で550点満点です。しかも面接Ⅱは単独で足切りがあります(200点満点中80点以下は不合格)。

令和9年度採用の特別選考Ⅱは、延べ出願16人・一次合格13人に対して最終合格は5人(実質倍率3.0倍)でした。前年(令和8年度採用)も出願15人・一次合格11人に対して最終合格5人です。なお、合格者選考基準では、特別選考Ⅱの合格者は第2次試験の総合成績が、志望区分の一般選考の採用予定者数の2倍の順位の受験者以上であることも条件とされています(一般選考の第2次試験受験者数が採用予定者数の2倍に満たない場合などは適用されません)。勝負は二次です。小論文の準備と並行して、模擬授業と面接の練習も始めてください。

■ 大分県の個人面接|受験者6名の実録と出題傾向(模擬授業+面接Ⅰ・面接Ⅱ)
■ 大分県の自己紹介書の書き方|面接Ⅱで深掘りされる欄を実録から逆算
■ 大分県の特別選考と一次免除ルート|7つの特別選考・大学等推薦・講師経験者

よくある質問

Q. 一般選考でも小論文はありますか?

A. ありません。一般選考と特別選考Ⅰ(障がい者特別選考)の第1次試験は教養試験(50点)+専門試験(100点)です。実施要項に「小論文試験は、特別選考Ⅱ(社会人特別選考)の受験者に対してのみ実施する」と明記されています。第2次試験にも小論文はありません。

Q. 過去問はどこで手に入りますか?

A. 大分県情報センター(大分県庁舎本館1階/〒870-8501 大分市大手町3丁目1番1号/電話097-506-2285/9:00〜17:00・土日祝を除く)で、過去に出題した第1次試験筆記試験の問題および正解・配点、第2次試験の模擬授業のテーマ、面接Ⅰの概要、模擬授業および面接等の評価票・評価基準等が情報提供されています。閲覧・コピーサービス(有料)・オンラインによる公開・郵送に対応(募集案内Q3)。面接Ⅰの概要や評価票まで公開されているのは全国的にも珍しいので、大分県を志望する方はぜひ問い合わせてみてください。

Q. 免許がなくても社会人特別選考は受けられますか?

A. 中学校教諭・高等学校教諭の志望に限り、受けられる場合があります。「志望する教科・科目に関する専門的な知識経験または技能を有する者」かつ「社会的信望があり、教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を持っている者」に該当すれば出願可能で、提出書類(アピール書・資格を証する書類)にもとづき特別免許状授与の可否について予備的な審査が行われます。ただし「志望する教科・科目に関する専門的な知識経験または技能に関連した実務経験を令和8年4月1日現在3年以上有していること」が基準です(実施要項「3 受験資格(6)」および注意書き)。あわせて、民間企業・官公庁等で常勤の正社員・正規職員(国公私立学校・学習塾・予備校等の教育職員を除く)として令和8年4月1日現在3年以上継続して勤務していること(出願時に休職中の者を除く)も必要です(同(7))。不明な点は事前に教育人事課へ確認するよう要項に明記されています。

Q. 社会人特別選考に合格したら、いつから働きますか?

A. 特別選考Ⅱの合格者は研修を実施するため令和9年1月1日付けで事務職員として採用され、研修期間を経て令和9年4月1日付けで合格した試験区分の教諭として任用されます(実施要項「11 採用及び給与(1)③」)。つまり1月から3か月間、給与を受けながら研修を受けられるということ。他県ではあまり見ない仕組みです。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

大分県の小論文については、令和8年10月時点で受験者からの報告が1件も届いていません。「どんな資料が出たか」「論点はいくつだったか」「時間は足りたか」——受験された方の一言が、次の年度の受験生の助けになります。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム

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