【教員採用試験】福岡県の特別選考と一次免除ルート|大学3年生チャレンジ・講師(通算12か月)・現職・社会人・点数加算

こんにちは、金井志津乃です! 

福岡県の要項を開いたら、特例がⓐからⓙまで、特別選考がⅠからⅧまであって……自分がどれに当てはまるのか、正直まったく分かりません。

分かります! 福岡県は特例10種類・特別選考8種類と区分が多いんです(令和9年度採用の要項)。でも中身を整理すると、典型的なルートは4つか5つ。しかも福岡県は講師経験が「通算12か月」から使える設定です(令和9年度採用の要項。非常勤講師は期間を2分の1で算定します)。まず早見表で自分の場所を見つけましょう!

この記事では、福岡県公立学校教員採用候補者選考試験の特例申請・特別選考・点数加算について、令和9年度採用の実施要項をもとに、「自分はどのルートで、どの試験が免除されるのか」が分かる形で整理します。

この記事の根拠

  • 要件・免除の内容は令和9年度採用の実施要項から。P.7の免除表は1マスずつ原典と照合しています。
  • 福岡県が公表した資料(志願状況・一次結果・二次結果)では、特別選考・特例ごとの受験者数や合格者数は確認できません(障がいのある人を対象とした特別選考を除く)。そのため、この記事にルート別の合格率は載せていません(推定値は使わない方針です)
  • 制度は年度で変わります。出願前に必ずその年の実施要項の原文を確認してください。
  • 福岡県の全体倍率・校種別の推移は →福岡県の倍率|令和9年度採用の志願状況・一次結果と推移
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

まず全体像|福岡県は「特例申請」と「特別選考」の2階建て

福岡県でつまずきやすいのが、「特例申請」と「特別選考」は別のものという点です。

一般選考+特例申請(ⓐ〜ⓙ)出願は一般選考。そのうえで自分に当てはまる特例を申請します。10種類あり、試験の免除に関する特例のほか、必要免許状の取得期限に関する特例もあります。
特別選考(Ⅰ〜Ⅷ)そもそも選考区分そのものが別。出願時にどの特別選考かを選ぶ。8種類。
点数加算どちらのルートでも、資格・免許があれば第一次試験の専門教科の得点に加算される(専門教科が免除になる人は対象外)

要項のP.13には「特例申請・特別選考フローチャート」が載っています。ただし要項自身が「フローチャート上で自身の経歴上『YES』に該当する場合でも『NO』を選んだ先の特例申請・特別選考で出願できる場合があります。必ず受験者自身の責任でどの特例申請・特別選考に該当するか選んで出願してください」と注意しています。フローチャートは絞り込みの目安であって、正解を出してくれる装置ではない——ここは要注意です。

早見表|あなたはどのルート?(令和9年度採用)

一般選考の特例(ⓐ〜ⓙ)

特例主な対象第一次試験の扱い第二次試験の扱い
ⓐ 教職等経験者(現職者)令和8年4月1日時点で国公立学校の正規教員として勤務中(校種・教科を問わない)教職教養が免除。小学校・特別支援(小学部)を受験する人は「専門教科」試験内の教職教養に関する内容を免除(※9)。中学校の技術・家庭を受験する人は専門教科ごと免除(※10・中特併願者を除く)。一般選考と同じ(模擬授業・個人面接、該当者は英語面接・実技)
ⓑ 教職等経験者(正規教員・講師等経験者)国公立学校での正規教諭・常勤講師・非常勤講師・助教諭・養護教諭・養護助教諭・栄養教諭の勤務経験があり、令和3年4月1日〜令和8年5月22日に通算12か月以上
ⓒ 教職等経験者(国際貢献活動経験者等)青年海外協力隊・日系社会青年ボランティア・シニア海外ボランティア・日系社会シニア・ボランティア、または文部科学大臣が認定する日本人学校の教員としての派遣経験(研修期間を含む)が、平成28年4月1日〜令和8年5月22日に通算24か月以上
ⓓ 英語有資格者A中学校または特別支援学校(中学部)の英語に出願+英検準1級以上/TOEIC730以上/TOEFL iBT80以上(令和6年4月1日以降に合格・取得したスコアに限る)専門教科(150点)が免除英語面接も免除
ⓔ 英語有資格者B高等学校(中学校併願者を含む)または特別支援学校(高等部)の英語に出願+英検1級/TOEIC900以上/TOEFL iBT100以上(令和6年4月1日以降に合格・取得したスコアに限る)専門教科(150点)が免除英語面接は受験する(高等学校・中学校併願の場合。特別支援学校(高等部)は英語面接を実施しません)
ⓕ 第一次試験合格者①令和8年度採用試験の第一次試験に合格した人(評価要件あり・下記参照)
②前年度に大学3年生チャレンジ特別選考で合格した人
第一次試験がすべて免除模擬授業・個人面接を受験(英語面接は英語受験者、実技は実技のある教科・養護の受験者のみ)
ⓖ 社会人経験者法人格を有する民間企業等に正規職員として、平成28年4月1日〜令和8年5月22日に通算24か月以上。出願日時点で必要な免許を取得済みの人は対象外。一般選考と同じ一般選考と同じ
ⓗ 併願者①養護教員志望で第2希望に小学校(一般)を併願
②中学校・高校志望で第2希望に特別支援学校を併願。出願日時点で第2希望の免許を取得済みの人は対象外。
一般選考と同じ一般選考と同じ(併願先の試験項目もすべて受験)
ⓘ 単位取得後退学(博士課程) ※令和9年度採用で新設県立高校の国語・理科(物理/化学/生物)・工業・情報・英語に出願+大学院博士課程の必要単位は取得したが博士号を取らずに退学した人(出願日時点で必要な教員免許状を取得済みの人は対象外)一般選考と同じ一般選考と同じ
ⓙ 他校種免許所有者小学校(一般・英語有資格者)または特別支援学校教員に出願(併願者を除く)+出願する区分以外の普通免許状を所有(出願日時点で出願する試験区分に必要な教員免許状を取得済みの人は対象外)一般選考と同じ一般選考と同じ

※出典:令和9年度採用 実施要項「3 特例申請」「5 試験区分及び選考区分別の試験項目及び免除等について」。
重複して出願できるのは、ⓐⓑⓒ(教職等経験者)とⓓⓔ(英語有資格者)、またはⓐⓑⓒとⓗ(併願者)の組み合わせだけです。要項には「重複可能な特例の組み合わせは、教職等経験者特例と英語有資格者特例の組み合わせ、又は教職等経験者特例と併願者特例の組み合わせとなります」とあります。

特別選考(Ⅰ〜Ⅷ)

選考区分主な対象第一次試験第二次試験
Ⅰ 現職教員特別選考令和8年4月1日時点で国公立学校の正規教員として勤務中+受験校種等・教科と同じ区分の正規教員経験がある(養護・栄養は校種不問)教職教養・特別支援専門が免除。専門教科は高等学校教員受験者のみ実施(※12)。個人面接のみ(模擬授業・英語面接は高等学校教員受験者のみ実施・実技試験は免除)
Ⅱ 元正規教員特別選考過去に国公立学校の正規教員として3年以上の勤務経験+受験校種等・教科と同じ区分の正規教員経験教職教養・特別支援専門が免除。専門教科は高等学校教員受験者のみ実施(※12)。模擬授業・個人面接(英語面接は高等学校教員受験者のみ・実技試験は免除)
Ⅲ スポーツ成績優秀者特別選考高等学校「保健体育」に出願(高中・高特併願者を除く)+オリンピック等の国際大会に日本代表として出場、または全日本選手権級の全国大会で優勝・準優勝(団体は準々決勝以上に出場)。いずれも高等学校卒業後で、要項に列挙された種目の実績に限る。全国大会の実績は平成28年4月1日以降が対象。競技大会の規模や参加者数等によって対象とならない場合がある。すべて免除模擬授業・個人面接(実技試験は免除)
Ⅳ 高度専門職経験者特別選考 ※令和9年度採用で対象拡充①中学校の理科・技術・英語、高校の理科(物理/化学/生物)・工業・情報・英語に出願+大学の教授・准教授等のうち特に県教育委員会が認める者、または法人格を有する民間企業等(私立学校・学習塾・予備校等を除く)で正規職員として勤務し、志望教科に関する専門分野の勤務経験(正規職員に限る)が令和9年3月31日以前5年以内に3年以上ある者のうち特に県教育委員会が認める者(休職期間等は含みません)
②高校の国語・理科・工業・情報・英語に出願+令和8年4月1日時点で受験教科(科目)の分野の博士の学位を有し、教員の職務に必要な熱意と識見を有する(国語・英語は令和9年度採用から追加)
すべて免除模擬授業・個人面接・英語面接・実技試験(英語面接は英語受験者、実技試験は実技のある教科・養護の受験者のみ)
Ⅴ 教職大学院修了(予定)者特別選考令和3年4月1日以降に教職大学院課程を修了、または在学中で令和10年3月31日までに修了予定すべて免除模擬授業・個人面接・英語面接・実技試験(英語面接は英語受験者、実技試験は実技のある教科・養護の受験者のみ)
Ⅵ 大学等推薦特別選考別途定める「大学等推薦特別選考実施要項」の要件を満たし、大学等を通じて推薦を受ける人(志願者本人が電子申請等で出願する必要あり)すべて免除模擬授業・個人面接・英語面接・実技試験(英語面接は英語受験者、実技試験は実技のある教科・養護の受験者のみ)
Ⅶ 大学3年生チャレンジ特別選考 ※令和9年度採用で要件緩和別途定める「大学3年生チャレンジ特別選考実施要項」の要件を満たす人。対象は小学校(一般・英語有資格者)・中学校・特別支援学校。令和9年度採用から大学の推薦が不要になり、個人での出願に。専門教科・教職教養・特別支援専門を受験第二次試験はなし。合格すれば翌年【特例ⓕ】で第一次試験が全て免除に。
Ⅷ 障がいのある人を対象とした特別選考身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳のいずれかの交付を受けている人。他の特別選考と重複して出願できる。一般選考と同じ(拡大文字・手話通訳等の配慮あり)一般選考と同じ。採用予定15名程度。

※出典:令和9年度採用 実施要項「4 特別選考」「5 試験区分及び選考区分別の試験項目及び免除等について」。
※12は「高等学校教員受験者のみ実施します」。

この表でいちばん驚いてほしいのは、[特別選考Ⅰ]現職教員特別選考の欄です。小・中・特別支援・養護・栄養で受ける現職教員の方は、要項の表の読み方では第一次試験がすべて免除され、第二次試験も「個人面接」だけになると読めます(専門教科・模擬授業・英語面接に付いた※12「高等学校教員受験者のみ実施」の趣旨は要項に明記がないため、出願前に福岡県教職員課へ確認してください)。他県から福岡県に移りたい正規教員の方にとって、これはかなり大きい設計です。

主流ルート①|大学3年生チャレンジ特別選考(Ⅶ)+第一次試験合格者特例(ⓕ)

福岡県には、大学3年生のうちに第一次試験だけを受けておく制度があります。合格すれば翌年、同じ試験区分・教科で受験する場合は【特例ⓕ】で第一次試験が全て免除され、二次から受験できます。

対象の試験区分小学校教員(一般)、小学校教員(英語有資格者)、中学校教員、特別支援学校教員
3年生のとき専門教科・教職教養・(特別支援受験者は)特別支援専門を受験。第二次試験はありません。自己PR用紙の提出も不要。
令和9年度採用の変更点大学からの推薦要件が不要になり、個人での出願に(実施要項「昨年度からの主な変更点」)。所属大学の推薦枠を気にせず出願できるようになりました。
合格した翌年【特例ⓕ】第一次試験合格者として出願。第一次試験がすべて免除され、模擬授業・個人面接・(該当者は)英語面接・実技試験のみ。
提出書類3年生のとき=誓約書・在学証明書/翌年=第一次試験結果通知書の写し
免許の扱い大学3年生チャレンジは、必要な免許状を令和10年3月31日までに取得見込みの人も受験できます

※出典:令和9年度採用 実施要項「4 特別選考」「3 特例申請【特例ⓕ】」「5 免除表」「昨年度からの主な変更点」。
詳しい要件は別途定める「大学3年生チャレンジ特別選考実施要項」(県ホームページに掲載)で確認してください。

【特例ⓕ】は「前年の二次の評価」で使えるかどうかが決まります

ここは福岡県でいちばん誤解が多いところです。前年に一次を通っただけでは足りません。要項にはこう書かれています。

① 令和8年度福岡県公立学校教員採用候補者選考試験の第一次試験に合格した者。ただし、第二次試験の個人面接及び模擬授業の評価が、県立高等学校教員、養護教員及び栄養教員希望者についてはB以上、中学校教員及び特別支援学校教員希望者についてはC以上の者に限る。
② 前年度に大学3年生チャレンジ特別選考で合格した者。

(令和9年度採用 実施要項「3 特例申請」【特例ⓕ】より。※前年度に合格した試験区分・教科等と同一の試験を受験する人が対象。前年度に第一次試験合格者特例の対象だった人・第一次試験免除だった人は対象外。①については併願の申請不可)

つまり二次で不合格でも、模擬授業と個人面接の評価が要項の基準以上で、前年度と同じ試験区分・教科で受験する場合は、翌年度は一次が丸ごと免除になります(令和9年度採用の要項での扱いです。令和10年度採用の要件は、必ず当該年度の実施要項で確認してください)。しかも福岡県は不合格者全員に各試験内容の得点と評価を通知してくれるので、自分が翌年度のⓕの評価要件に当てはまるかどうかを、通知を見て確かめられます(小学校教員希望者は下記のとおり要項に評価要件の記載がありません)。

なお、この条文には小学校教員希望者についての評価要件が書かれていません。判断が必要な方は、出願前に必ずその年の実施要項の原文と、福岡県教育庁教職員課への確認をお願いします。

これは「二次の評価は、翌年度の切符にもなり得る」ということです。二次まで進んだ方は、たとえ手応えがなくても最後まで全力で。そして面接で聞かれた質問を、その日のうちに書き出しておいてください。翌年度にⓕで一次免除になった場合、その記録が役に立つ場合があります。

私自身、大学2回生のときに「学校の先生になる」と腹を決めて、そこから模擬授業と面接の練習を始めました。なりたいと思ったら、なりたいと思った時からなるための行動を始める。これが私の考えです。福岡県は制度がそれを後押ししてくれています(令和9年度採用の要項では、大学3年生チャレンジの対象は小学校・中学校・特別支援学校です)。対象の校種を目指す方は、3年生で一次を受けておくメリットは大きいと私は考えています。

主流ルート②|講師の方へ|福岡県は「通算12か月」から使えます

講師をしながら受験する方に、福岡県で必ず確認してほしいのが【特例ⓑ】教職等経験者特例(正規教員・講師等経験者)です。要件はこうです。

  • 国公立学校(小・中・義務教育学校・高校・中等教育学校・特別支援学校)で、正規教諭・常勤講師・非常勤講師・助教諭・養護教諭・養護助教諭・栄養教諭としての勤務経験がある(校種・教科は問わない)
  • または福岡県内の国・地方公共団体・独立行政法人が設置する教育施設(学校を除く)で指導業務に従事した経験がある(正規・臨時を問わず。実習助手・寄宿舎指導員を除く)
  • 令和3年4月1日〜令和8年5月22日の期間に、通算12か月以上その経験がある

※月に1日でも勤務日があれば「1か月」として算定。非常勤講師の勤務期間は2分の1を乗じて算出(小数点以下切り捨て)。同一月に複数校の勤務がある場合はいずれか一校を対象。
出典:令和9年度採用 実施要項「3 特例申請」および[様式2]の注意事項

ポイントは3つです。①「3年以上」ではなく「通算12か月以上」(令和9年度採用の要項)。②非常勤講師も対象(ただし期間は2分の1で計算)。③校種・教科を問わないので、小学校の講師をしながら中学校を受ける、といった使い方もできます。

免除されるのは教職教養(50点)です。小学校・特別支援(小学部)を受ける方は、専門教科試験のなかの「教職教養に関する内容」が免除されます。さらに中学校の技術・家庭を受験する人は、専門教科ごと免除(※10・中特併願者を除く)。技術・家庭の講師をされている方は、この行を必ず確認してください。

提出書類は[様式2]教職等経験者を対象とした一般選考の特例申請書と、経験を証明する書類(辞令の写し・人事異動通知書の写し・勤務先が発行する証明書など)。福岡県教育委員会の任命のみで期間を満たす人は、様式2だけで申請でき、その際は任用時の職員番号を必ず記載します。

講師の強みは3つあると私は考えています。「クオリティ」「信用」「フレッシュさ」。現場で課題意識を持って授業や生徒指導をやってきた実践(クオリティ)、実際に働いてきた積み重ね(信用)、そして現実を見ても初心を忘れていないこと(フレッシュさ)。この3つが面接で伝わる講師は強いです。

そして「実績」は、賞や研究発表のような大それたものでなくて構いません。4月にはこうだった子が、こう関わったらこう変わった。その実体験で語れる実績を持っている人は強いです。福岡県の自己PR用紙には「活動の記録」欄があり、そこに書いたことが面接で深掘りされた報告があります。新卒と講師で意識するポイントの違いは、1分のショートにまとめています。

主流ルート③|現職教員・元正規教員|二次が「個人面接だけ」になる場合も

他県で正規教員として働いていて福岡県を受け直したい方、過去に正規教員だった方には、専用の特別選考があります。[特別選考Ⅰ]現職教員特別選考と[特別選考Ⅱ]元正規教員特別選考です。

項目Ⅰ 現職教員特別選考Ⅱ 元正規教員特別選考
要件令和8年4月1日(関東会場は令和8年9月1日)時点で国公立学校の正規教員として勤務中(任期付き・非常勤を除く)過去に国公立学校の正規教員として3年以上の勤務経験(任期付き・非常勤を除く)
共通の要件受験する校種等・教科(特別支援学校は部)の正規教員としての勤務経験があること(養護教員・栄養教員は校種を問わない)
専門教科高等学校教員受験者のみ実施(※12)
教職教養・特別支援専門免除
模擬授業高等学校教員受験者のみ実施(※12)実施
個人面接実施
英語面接高等学校教員受験者のみ実施(※12)
実技試験免除
提出書類なし(要項の「特別選考出願に係る書類」の欄が空欄)

※出典:令和9年度採用 実施要項「4 特別選考」「5 試験区分及び選考区分別の試験項目及び免除等について」(P.7)。
※12は「高等学校教員受験者のみ実施します」。

読み解くとこうなります。小・中・特別支援・養護・栄養で受ける現職教員(Ⅰ)は、要項の表の読み方では、第一次試験がすべて免除、第二次試験も個人面接のみになると読めます(※12の趣旨は要項に明記がないため、出願前に福岡県教職員課へ確認してください)。元正規教員(Ⅱ)は、養護教員を除き、これに模擬授業が加わります。高等学校を受ける方は、専門教科・模擬授業・英語面接(英語のみ)が実施されます。

もうひとつ、現職の方にとって大きいのが関東会場です。小学校・中学校・特別支援学校教員の現職教員特別選考試験は、福岡会場のほかに関東会場でも実施されます(令和9年度採用では、出願は9月1日〜9月24日、試験は11月中旬、合格発表は11月下旬)。ただし2会場の試験を両方受験することはできません。

私の実感では、他自治体への再受験は簡単ではありません。管理職は「今求められている授業をブラッシュアップし続けているか」「謙虚で一緒に働きたい人か」を見ています。この2つが伝われば「こんな人が他県から来てくれるなんて」と管理職が思ってくれる可能性がある、という話です。福岡県は二次が個人面接だけになる場合があるからこそ、その1回にすべてが乗ると考えてください。

主流ルート④|社会人の方へ|「免許をこれから取る人も受けられる」設計

福岡県の【特例ⓖ】社会人経験者特例には、次のような特徴があります。それは「出願日時点で必要な教員免許状を取得済みの者は、本特例の対象外とする」という一文です。

つまりこの特例は「これから免許を取る社会人」のための制度。試験そのものの免除はありませんが、代わりに名簿登載期間の延長(本人の申請と教育委員会の承認が必要)が使えます。

要件法人格を有する民間企業等に正規職員として、平成28年4月1日〜令和8年5月22日の期間に通算24か月以上の勤務経験(休職期間等、勤務実績がない期間は含まない)
免許の期限必要な免許状を令和11年3月31日までに取得見込みの人も受験可能
合格後採用候補者名簿の登載期間を令和12年3月31日まで延長できる(本人の申請に基づく教育委員会の承認が必要)。免許取得後の4月から採用となり、令和11年3月31日までに取得できない場合は採用不可。
提出書類[様式3]社会人経験者を対象とした一般選考の特例申請書
同じ仕組みの特例【特例ⓘ】単位取得後退学(博士課程)、【特例ⓙ】他校種免許所有者、【特例ⓗ】併願者も同様に名簿登載期間の延長が使えます(いずれも申請し、教育委員会の承認を受けることが必要です)

※出典:令和9年度採用 実施要項「2 受験資格」「3 特例申請」「10 採用について ⑷名簿登載期間の延長について」

すでに必要な免許をお持ちの方は社会人経験者特例ⓖの対象外ですが、英語有資格者特例など他の特例・特別選考の要件に該当する場合があります。ただし点数加算は使えますし、面接では社会人経験そのものが武器になります。私が社会人受験の方におすすめしている準備は2つ。「社会人経験を学校現場でどう生かしたいか」と「なぜ社会人をしていたのに教員を目指すのか」。この2つを面接でバシッと話せるようにしておくと、社会人から教採を受けるときにも合格しやすくなるポイントかなと思います。

私自身、受講生の中で40代・50代で教採に合格する方を数多く見てきました。令和9年度採用の福岡県の受験資格は「昭和42年4月2日以降に出生した者(令和9年4月1日現在で59歳以下)」——年齢の上限は59歳と高く、壁になりにくいと考えられます(年齢要件は年度ごとに変わるため、必ず当該年度の実施要項で確認してください)。私が動画でお伝えしているのは、40代・50代の受験者に対して面接官が懸念しやすい3つのポイントです。今求められている教育を謙虚に学んで挑戦する姿勢があるか/年下の同僚と謙虚でフラットな姿勢で働けるか/謙虚な姿勢でチームに貢献しようとしているか——この3点が伝わるかどうかを、私は大切だと考えています。

見落としやすい:英語有資格者特例(ⓓⓔ)は「専門教科150点が免除」

英語で受験される方には、福岡県で影響の大きい特例の一つがあります。専門教科(150点)がまるごと免除されるのです。

特例対象資格の水準免除されるもの
ⓓ 英語有資格者A中学校教員・特別支援学校(中学部)教員の「英語」英検準1級以上/TOEIC730以上/TOEFL iBT80以上第一次試験の専門教科+第二次試験の英語面接
ⓔ 英語有資格者B高等学校教員(中学校併願者を含む)・特別支援学校(高等部)教員の「英語」英検1級/TOEIC900以上/TOEFL iBT100以上第一次試験の専門教科(英語面接は受験。特別支援学校〔高等部〕は英語面接を実施しません)

※資格は令和6年4月1日以降に合格・取得したスコアに限る。出願期間内に証明書類の写しを提出する必要があります。
出典:令和9年度採用 実施要項「3 特例申請」「5 免除表」

要項の選考方法には、中学校・県立高等学校の英語について「教職教養の得点が一定程度の水準に達している者を第一次試験合格者とする」と書かれています(英語有資格者特例の対象者の場合)。つまり英検準1級を持って中学英語を受けるなら、一次は教職教養の得点が一定程度の水準に達していれば通過できるということ(水準の具体的な点数は要項に記載がありません)。中学英語の令和9年度採用は志願67人・採用予定55人で1.2倍でした。英語の資格を持っている方にとって、福岡県は検討しやすい自治体の一つです(令和9年度採用の中学英語は志願67人・採用予定55人で1.2倍)。

あわせて、小学校教員には「英語有資格者」という試験区分そのものがあります。中高英語免許の所有者(取得見込みは不可)、英検2級以上・TOEIC550以上(いずれも令和3年4月1日以降に合格・取得したものに限る)、TOEFL iBT42以上(令和6年4月1日以降に取得したスコアに限る)のいずれかを満たし、かつ小学校教員としての共通の受験資格(必要な免許状の所有・取得見込み等)を満たせば出願でき、専門教科試験内の「英語に関する試験」が免除されます(令和9年度採用は志願39人・一次合格35人)。採用後は一般で採用されても英語有資格者で採用されても、原則小学校全科での採用です。

点数加算|小学校は15点+10点+5点。重複加算もできます

特例・特別選考とは別に、第一次試験の専門教科の得点に加算される制度があります(専門教科が免除になる人は対象外)。同一の試験区分で複数の加算要件を満たす場合、加算点数の重複が認められます。

試験区分加算要件加算点
小学校教員中学校教諭(英語)または高等学校教諭(英語)免許状所有者/実用英語技能検定準1級程度以上合格者(TOEIC730以上・TOEFL iBT80以上を含む。いずれも令和6年4月1日以降に取得したスコアに限る)15点
ICT支援員またはITCE(教育情報化コーディネーター)として認定された者(令和8年5月22日までに認定されたものに限る)10点
特別支援学校教諭免許状所有者/司書教諭資格所有者5点
中学校教員特別支援学校教諭免許状所有者/司書教諭資格所有者5点
県立高等学校教員特別支援学校教諭免許状所有者/司書教諭資格所有者/高等学校教諭(情報)免許状所有者(※情報免許状による加算は「情報」に出願する人を除く。他の加算要件とは別)5点
情報処理技術者試験(平成21年度以降の合格):基本情報技術者試験(FE)5点/応用情報技術者試験(AP)または高度試験10点(両方満たす場合は10点)5点/10点
古賀(古賀竟成館)高等学校教員特別支援学校教諭免許状所有者/司書教諭資格所有者5点
特別支援学校教員司書教諭資格所有者5点
養護教員看護師免許所有者15点

※出典:令和9年度採用 実施要項「8 点数加算について」。
証明書類(見込み証明は不可)を出願期間内に提出する必要があります。特別支援学校教諭免許状による加算は、受験資格に書かれた領域(視覚障害・聴覚障害・知的障害・肢体不自由・病弱)の免許状に限ります。令和9年度採用から県立高校の情報免許・情報処理技術者試験が加算に追加されました。

養護教員志望で看護師免許をお持ちの方は15点。令和9年度採用の養護教員は志願415人・採用予定25人で16.6倍という激戦区です。150点満点の専門教科で15点は、順位に影響します。持っている資格を「申請し忘れる」のは、いちばんもったいないミスですよ。点数加算を希望する場合は、令和9年度採用の要項では証明書類を出願期間内に提出する必要がありました(申請方法は、必ず当該年度の実施要項で確認してください)。

まとめ|免除は「入口」、勝負はどのルートでも二次の面接

こんな人はまず確認するのはここ
大学3年生[特別選考Ⅶ]大学3年生チャレンジ(推薦不要・個人出願に)→ 翌年【特例ⓕ】で一次全免除
令和8年度採用で二次まで進んだ(令和9年度採用の特例ⓕ)【特例ⓕ】第一次試験合格者(模擬授業・個人面接の評価がB以上/C以上。小学校教員希望者の評価要件は要項に記載なし)
講師をしている(非常勤も可)【特例ⓑ】教職等経験者(通算12か月以上)→ 教職教養が免除
他県で正規教員として勤務中[特別選考Ⅰ]現職教員(小中特養栄は、要項の表の読み方では一次全免除+二次は個人面接のみ。※12の扱いは要確認)
英語で受験する【特例ⓓⓔ】英語有資格者(専門教科150点が免除)
免許をこれから取る社会人【特例ⓖ】社会人経験者(通算24か月以上)+名簿登載期間の延長
教職大学院に在学・修了[特別選考Ⅴ]教職大学院修了(予定)者(一次全免除)
資格・免許を持っている「8 点数加算について」(重複加算可・申請は出願期間内)

大学3年生チャレンジ(Ⅶ)を除く多くのルートでは、最後は個人面接です(多くの区分では模擬授業とセット。現職教員特別選考の小中特養栄は、要項の表の読み方では模擬授業がありません。養護教員は試験項目に模擬授業がありません)。しかも要項には、小学校・特別支援学校・栄養教員と中高の国語・社会・数学・理科などの場合、「模擬授業がC以上の者の中から、個人面接による人物評価を重視し」と書かれています(実技のある教科は実技試験の成績も、英語は英語面接も重視されます)。免除で浮いた時間と労力を、そのまま二次の準備に回してください。

■ 福岡県の個人面接|実録3年分・受験者10名の質問と5年間の出題傾向
■ 福岡県の模擬授業|実録10件のテーマと「学級活動の一斉指導」の型
■ 福岡県の自己PR用紙の書き方|「活動の記録」欄が面接でどう聞かれるか

よくある質問

Q. 特例は複数申請できますか?

A. 組み合わせが決まっています。要項には「重複可能な特例の組み合わせは、教職等経験者特例と英語有資格者特例の組み合わせ、又は教職等経験者特例と併願者特例の組み合わせとなります」とあります。それ以外の組み合わせはできません。なお[特別選考Ⅷ]障がいのある人を対象とした特別選考だけは、他の特例・特別選考と重複して出願できます。

Q. 特例の要件を満たしていないと判断されたらどうなりますか?

A. 失格にはなりません。要項に「特例申請要件を満たしていないと判断された場合は、一般選考(特例なし)での受験となります」とあります。特別選考も同様で、[特別選考Ⅳ]を希望していて免許を持っていない人は一般選考【特例ⓖ】へ、それ以外の人は一般選考(特例なし)に振り替えられます。迷ったら申請してみるのも一つの方法です。ただし、要件を満たしていないと判断された場合は一般選考(特例なし)として一次試験から受験することになるので、一次の準備も並行して進めてください。

Q. 大学3年生チャレンジで一次に落ちたら、翌年は不利になりますか?

A. 要項に不利に扱うとする記載は見当たりません。翌年度は一般選考として第一次試験から受験できます。ただし合格の権利は翌年度限りで、要項には「前年度に第一次試験合格者特例の対象であった者及び第一次試験免除であった者は、本特例の対象外とする」とあるので、ⓕの連続使用はできません。詳しい要件は別途定める「大学3年生チャレンジ特別選考実施要項」(県ホームページ)で確認してください。

Q. 非常勤講師の期間はどう数えますか?

A. [様式2]の注意事項に「非常勤講師(非常勤養護教諭を含む。)としての勤務期間は、その勤務期間に1/2を乗じ、小数点以下は切り捨てて算出してください」とあります。たとえば非常勤で20か月勤務した場合は10か月として算定されます。また「月に1日でも勤務日があれば1か月」、同一月に複数校の勤務がある場合はいずれか1校が対象です。

Q. 特別選考ごとの合格者数は公表されていますか?

A. 確認できる範囲では公表されていません(障がいのある人を対象とした特別選考を除く)。福岡県教育委員会が公表する「志願状況」は、一般選考・現職教員特別選考・元正規教員特別選考・教職大学院修了予定者特別選考・大学等推薦特別選考(高校・特別支援はこれにスポーツ成績優秀者・高度専門職経験者を加える)を合算した数字です。大学3年生チャレンジ特別選考の志願者数は、公表資料では確認できません。そのためこの記事には、ルート別の合格率を載せていません。

Q. 令和9年度採用で何が変わりましたか?

A. 実施要項の「昨年度からの主な変更点」に8項目が挙がっています。①第一次試験の日程変更(令和7年6月15日 → 令和8年7月12日)②大学3年生チャレンジ特別選考の要件緩和(大学推薦が不要に)③小学校教員採用試験の対象拡大(養護教員志願者が第2希望で小学校を併願可能に)④特別支援学校教員採用試験の対象拡大(併願合格者の名簿登載期間を最大2年延長)⑤高度専門職経験者特別選考の拡充(博士の対象教科に国語・英語を追加)⑥単位取得後退学(博士課程)特例の新設。あわせて点数加算の拡充と第一次試験の記述式問題廃止(全マーク方式化)・英語リスニングテスト廃止も行われました。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

特例・特別選考で受験された方の「二次で何を聞かれたか」は、同じルートで受ける次年度の受験生にとって貴重な情報です。福岡県を受験された方は、ぜひ教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

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