【教員採用試験】名古屋市の自己アピールシートの書き方|面接で深掘りされる欄を実録から逆算

こんにちは、金井志津乃です! 

名古屋市の「自己アピールシート」って、一次試験の日に持っていくんですよね。筆記の勉強で手一杯で、まだ何も書けていません……。

気持ちはよく分かります。でも名古屋市の要項には、最終選考は「1次試験及び2次試験の結果並びに提出書類を総合して」行うと書かれているんです。自己アピールシートは、最終選考まで見られる書類のひとつ。しかも面接につながってくる提出書類は、面接で深掘りされても的確に答えられるように、ツッコミ質問を見据えて内容を精査しておくことが大切です。筆記の前に、まず1時間だけ使ってください。

この記事では、名古屋市公立学校教員採用選考試験の自己アピールシートについて、提出のルール・面接でどこを聞かれるか・書く前の5原則を、要項と受験者の実録(令和6〜8年度採用の4名、令和9年度採用の2名分)をもとにまとめます。

この記事の根拠

  • 提出方法・期限・注意点は令和8年度実施 名古屋市公立学校教員採用選考試験要項から
  • 「シートのどこを聞かれたか」は、受験者4名(令和6年度〜8年度採用)の実録から逆算
  • 書き方の原則は、志願書の書き方を解説した金井志津乃の動画でお話ししている注意点を土台にした5つの原則
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

自己アピールシート|30秒でわかる仕組み

入手方法名古屋市公式ウェブサイトから印刷(A4判縦・両面印刷)。願書とは別に、自分でダウンロードして用意します
記入するもの選考番号、氏名など必要事項。受験票に貼付する写真と同じ写真を貼ります
いつ出す第1次試験日(令和8年度実施は6月13日・土)に持参して提出
例外令和7年度実施の大学3年生等選考で2次試験受験対象となった人、特例B-2・C・D-1・D-2・F・Gが認められた人は、6月9日(火)(令和8年度実施の場合)までに簡易書留で郵送(一次を受けないため)
誰が読む最終選考は「1次試験及び2次試験の結果並びに提出書類を総合して」行うと要項に明記。二次の個人面接1では、このシートの内容に関する質問が出たという報告が複数あります
返却一切返却されません。必ず手元にコピーを取ってから提出してください
本務教諭の方令和8年度実施の要項では、国公立学校に本務教諭として勤務中の人は、学校保管の履歴書の写しに所属長の原本証明をしたものを一緒に提出(特例B-2の申請時に提出済みなら不要)
大学3年生等1次試験日に提出し、さらに翌年度に全員が再提出します

出典:令和8年度実施 名古屋市公立学校教員採用選考試験要項(p.12・p.13・p.16〜17・p.23)

「コピーを取る」は本当にやってください。返却されないので、二次までの1か月のあいだに、自分が何を書いたか思い出せなくなることがあります。面接官は手元にシートを持っていると考えられるのに、自分は持っていない——これは不利になりやすいです。

様式の「学歴・職歴欄」は、Q&Aで書き方が案内されています

要項には様式の項目名や字数までは書かれていませんが、Q&Aから中身がある程度うかがえます。

Q. 職歴がたくさんあるため、自己アピールシートの学歴・職歴欄が不足する場合はどうしたらよいですか?
A. 1つの枠を2つに分割して記入してください。それでも不足する場合は、自己アピールシートの裏面をコピーのうえ、足りない分の学歴・職歴を記載し、添付してください。必ず中央下に、(1/2)のように(頁/総頁)を記入してください。(のり付けは不要です。)

出典:同要項 p.17「教員採用選考試験Q&A」

ここから分かるのは、裏面に学歴・職歴欄が枠形式で置かれているということ。そして要項Q&Aには、職歴が多くて欄が不足する場合は1つの枠を2つに分割して記入し、それでも不足する場合は裏面のコピーを添付する、と案内されています。職歴を無理に短くまとめなくてよいと考えられます——ここは覚えておいてください。

※記入欄の正確な項目・字数・行数は要項に記載がありません。必ず名古屋市公式ウェブサイトの様式そのものをダウンロードして確認してください。

面接で「シートのどこ」を聞かれたか|受験者4名の報告から

名古屋市の二次は「口述(個人面接1・個人面接2)」で、個人面接2では模擬指導を行います。受験者の報告を並べると、個人面接1でシートの内容を深掘りされた報告が目立ちます。実録から3つのパターンに整理しました。

パターン①|志望動機を「なぜ名古屋市か」まで掘られる

  • 教員の志望動機を教えてください。/教員になりたいと思ったきっかけは何ですか。
  • なぜ名古屋志望ですか。/名古屋市を受けたいと思った理由は何ですか。(複数の受験者が報告)
  • 校種を中学にした理由は何ですか。/他の自治体や他の企業は受けていますか。
  • 名古屋市「学びのコンパス」にある学びの姿と心の居場所について、知っていることを教えてください。/市の政策について教えてください。

名古屋市は愛知県とは別に試験を実施している政令指定都市です。受験者からは「なぜ名古屋市なのか」を尋ねられた報告が複数あり、愛知県を受験しなかった理由や、市の政策を知っているかを確認された例もあります。志望動機の欄に書くひとことは、「ナゴヤ学びのコンパス」の考え方と自分の教育観がつながる一文にしておきましょう。

パターン②|学歴・職歴欄が、そのまま質問リストになる

  • 研究事項について教えてください。(卒論・修論など)
  • これまでの経歴について教えてください。→ その経緯や、進路を決めた理由を教えてください。
  • 一度現場を離れてから復職した経緯を教えてください。
  • 複数免許を持っていますが、なぜですか。
  • これまでの社会人経験は、教員としてどう生きますか。
  • 勤務中の学校で困ったことが起こったときは、どうしましたか。
  • 過去に名古屋市の教採を受けたことはありますか。→ 昨年の結果はどうでしたか。→ 今年はどのような気持ちで臨みましたか。

実録では、学歴・職歴欄の記載がそのまま質問になった例が目立ちます。学歴・職歴欄に書いた「行」のひとつひとつが、質問になる可能性があります。ブランク、転職、複数免許、他業種の経験——書いた以上は聞かれるものとして準備してください。

だからといって、隠すのはおすすめしません。名古屋市の要項Q&Aには、職歴が多い場合に枠を分割して記入する手順が案内されています。大事なのは、1行につき「聞かれたときの短い答え」を用意しておくことです。ブランクや転職も、聞かれたときに語れる状態にしておきましょう。その時間に何を考え、何を得て、いま教員を目指しているのか——そこが語れれば、むしろ厚みになります。

パターン③|「人柄」と「続ける力」を確かめられる

  • 教員で活用できる特技はありますか。
  • 継続して行っていることはありますか。
  • あなたは人に何と言われますか。(他者からの評価)
  • 健康ですか。/ストレスには強いですか。/ストレス発散について教えてください。
  • ご家族は、あなたが教員になることをどう言っていますか。
  • 不合格だったらどうしますか。/もしもの時、来年どう過ごしますか。受験しますか。
  • 最後に自己PRをしてください。

要項の「趣旨」には、名古屋市が求める人材が「専門的な知識と幅広い教養を有し、教育に対する情熱と使命感をもち、健康な体と豊かな人間性を備えた知・徳・体のバランスのとれた人材」と書かれています。「健康ですか」「継続していることは」という質問は、この「体」と「徳」を直接確かめているのだと考えると腑に落ちます。

そして「最後に自己PRをしてください」。シートに書いた自己PRを、口でもう一度言わせる意図があるのかもしれません。書いた内容と話す内容がズレていないか——ここは確認される場合があると思っておきましょう。

書く前に|志願書の5つの原則

ここからは、私が動画でお話ししている注意点を土台にした志願書の原則です。自治体が変わっても、考え方は同じです。

①「深掘りしてほしい種」だけを撒く

ボランティアも部活も資格も、思いつく限り書きたくなりますが、私はおすすめしません。たくさん並ぶと面接官は「どれを聞けばいいか」分からなくなり、受験者に選ばせるか、面接官の感性で選ぶか(聞いてほしくないものが選ばれるリスク)、「なぜそんなにたくさん?」と総論を聞くか、どれも聞かないか——のいずれかになることがあります。「ここを突っ込んでほしい」ものを2〜3個に絞る。これが種の撒き方です。

ただし名古屋市の学歴・職歴欄は例外です。ここは事実の記録なので、絞らずに全部書きます。「絞る」のは自己PRや志望動機の記述欄のほうです。

②突っ込み質問を考えながら書く

アルバイトの経験を書く場合は、「その経験から何を学び、学校でどう生かしますか」など、記入内容への質問を想定して準備してください。卒論のテーマを書けば「その研究を学校にどう生かしたいか」。実際、名古屋市の実録でも「研究事項について教えてください」という質問が出ています。書いた一文ごとに、来る質問と自分の答えを先に用意する。これができていれば本番でうろたえません。

③資質能力のバランスを見る

志望動機で「子どもの自己肯定感を育む学級経営」を書き、自己アピールでも「受容性・傾聴力」と書くと、面接官は「この人、授業力はあるのかな」と不安に思うことがあります。授業力と生徒指導力、志望動機と自己アピールで補い合うのがコツ。すべてを同じレベルで揃える必要はなく、「任せられる最低ライン」が全部にあり、その上で突出したものが1つあればいい、というのが私の考えです。

名古屋市で意識しておきたいのは特別支援の視点です。要項には「小学校・中学校の採用予定人員には、特別支援学級担当教員の採用予定人員約40人を含みます」「小学校・中学校合格者の中から特別支援学級担当教員を配置します」と明記されています。私たちが確認した公刊過去問でも、名古屋市は特別支援・合理的配慮の質問が全国と比べて多めでした。校種を問わず、多様な子への関わりを一言入れておくと、バランスが整います。

④項目の意図を正確に読む

「自己アピール」という項目名を、単なる長所自慢と読まないでください。自己PRを聞く目的は「この人を採用したら、子どもや学校はどうなるか」という採用メリットを知るためです。長所や力は、その根拠として書きます。だから「こんな教育をするために、こんな力を培ってきた」という形が基本になります。

⑤丁寧な字で書き、何人かの目を通す

名古屋市の自己アピールシートは、公式サイトから印刷して記入する様式です(手書きの指定は要項に記載がありません。記入方法は様式でご確認ください)。上手な字である必要はありませんが、読みやすい大きさで、止め・はね・払いを丁寧に。「この字を黒板に書くのか」と連想する面接官は実際にいます。

そして書いたら、必ず何人かに読んでもらってください。面接官によって着眼点は違うので、複数の目を通した志願書ほど、どんな面接官にも魅力が伝わりやすいものになります。写真も、受験票と同じものを貼るルールなので、証明写真は多めに焼き増ししておきましょう。

「言わなくても分かること」に字数を使わない

もうひとつ、私が大学講演でもお伝えしている考え方があります。自己PRの字数は、「言わなければ伝わらない魅力」に使うということです。

  • 3つの長所を並べるなら、性質の違うものを選ぶ。「明るい・元気・前向き」では1つ書いたのと同じです。
  • 2文目に「何のためのその力か」を書く。力の説明だけで終わらせず、教育の目的につなげます。
  • 3文目で「学校現場でどう生きるか」まで書く。そのうえで取り組みの記述は説明しきらず、面接官が「そこ、詳しく」と言いたくなる一言を残しておきます。

私自身が新卒で受験したときの自己PRの実物と、その解説は別記事に載せています。名古屋市のシートとは様式が異なる場合もありますが、考え方は生かせます。

■ 【実物公開】私が新卒で受験したときの自己PRと、その書き方の解説

書いたあとにやること|深掘りツリーをつくる

シートが書けたら、提出前にコピーを取って、そこから「深掘りツリー」を作ります。

  1. シートのコピーに、面接官が線を引きそうな箇所を自分で全部マークする(学歴・職歴の1行ずつ、資格、特技、志望動機のキーワード)。
  2. マークごとに「まず聞かれる質問」を書く。(例:卒論のテーマ →「研究事項について教えてください」)
  3. その答えに対して「さらに来る質問」を考える。(例:「なぜそのテーマにしたのですか」「それを名古屋市の学校でどう生かしますか」)
  4. ここまで書けたら、声に出して簡潔に言う練習をする。名古屋市の面接は1人で13問以上という報告があり(令和9年度採用の高校の報告では、個人面接1回目だけで18項目)、1問あたりは簡潔に答えることをおすすめします。

私たちが確認した範囲では、名古屋市は追質問が重なる割合が全国と比べて少なめです。幅広いテーマを次々に聞かれつつ、シートの記載事項は掘り下げられる場合もあると考えられます。だからこそ、「守備範囲を広く、1問は簡潔に、シートの記載事項は深く」を準備方針にするのがおすすめです。

そして最後に、意外と差がつきやすいと私が考えているのが第一印象です。シートに貼る写真も、当日の入室も、ここに含まれます。

よくある質問

Q. いつまでに書けばいいですか?

A. 令和8年度実施(令和9年度採用)の提出は1次試験日(6月13日)でしたが、時間をとって、早めにじっくり書き上げておくのがおすすめです。書いた内容はロジックツリー(このページでいう「深掘りツリー」)にして整理しておくと、面接で答えやすくなります。

Q. 一次を免除される人(特例B-2・F・Gなど)はどうやって出しますか?

A. 一次試験を受けないので、郵送です。要項には「令和7年度実施 大学3年生等を対象とした選考試験で2次試験受験対象となった人」「特例B-2、特例C、特例D-1、D-2、特例F、特例Gが認められた人」は、受験票で選考番号を確認のうえ、6月9日(火)までに簡易書留で郵送と書かれています(令和8年度実施の場合)。試験日より前が締切なので、うっかり忘れないよう注意してください。

Q. 大学3年生等の前倒し受験でも書きますか?

A. はい、1次試験日に提出します。そして翌年度に全員が再提出します。要項Q&Aには「1年間で努力したことがあり、自己アピールシートを修正したい」という質問への回答として「再度、全員に自己アピールシートを提出していただきます」と書かれています。4年生の1年間の成長を、そのまま書き足せるということ。3年生で通った人は、この1年を「シートに書き足すための1年」として使ってください。

Q. 職歴が多いのですが、書ききれません。

A. 要項に手順が書かれています。1つの枠を2つに分割して記入し、それでも足りなければ裏面をコピーして足りない分を記載し添付(中央下に「1/2」のように頁/総頁を記入。のり付けは不要)。名古屋市は職歴の多い受験者を明確に想定しています。省略せず、全部書いて大丈夫です。

Q. 講師をしています。何を書けば強いですか?

A. 現場で試したことと、その結果の子どもの変化です。「こういう課題があると感じて、こう工夫したら、子どもがこう変わった」——この形が講師の一番の強みです。大きな成果である必要はありません。具体的であることのほうが、はるかに大事です。令和8年度実施の特例B系の希望者は761人でした。B系には講師経験者だけでなく、他の国公立学校の本務教諭やインターンシップ等の経験者も含まれます。「講師をしていた」だけでは差がつきにくいと考えています。

Q. 書いた文章を、そのまま面接で話せばいいですか?

A. 丸暗記して読み上げるのはおすすめしません。ただし内容がズレるのは避けるようにしてください。面接官は手元にシートを持っていると考えられます。名古屋市では「最後に自己PRをしてください」と口頭でも求められた報告があるので、シートの内容を、自分の言葉で短く要約する練習をしておきましょう。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

「シートのこの欄をこう聞かれた」という情報は、次に受ける方にとって本当に貴重です。名古屋市の実録は、令和6年度〜8年度採用の4名に、令和9年度採用の2名分が加わっています。受験された方は、ぜひ報告をお寄せください。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。

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