【教員採用試験】名古屋市の小論文|過去5年の出題テーマと「50分・A4判20行」の書き方

こんにちは、金井志津乃です! 

名古屋市の小論文の過去問を見たら、お題が「多様性」の一言だけでした。え、これだけ? 何を書けばいいんですか……。

そうなんです、名古屋市は令和4年度〜8年度採用の5年間ほぼ同じ形のようです。「◯◯」という抽象的な言葉ひとつから、自分でテーマを設定して書くタイプです。課題文もグラフもありません。だから準備した人と、していない人の差が出やすいと私は考えています。逆に言えば、型を持っていれば安定して書きやすくなりますよ!

この記事では、名古屋市公立学校教員採用選考試験の小論文について、過去5年の出題テーマ・答案用紙の特徴・時間配分・書き方の型を、要項と受験者報告をもとにまとめます。

この記事の根拠

  • 令和9年度採用(2026年夏実施)の受験者報告1件を「令和9年度採用の報告」として追加収録
  • 実施日・時間・対象は令和8年度実施 名古屋市公立学校教員採用選考試験要項から
  • 過去5年(令和4年度〜8年度採用)の出題テーマは、市販の全国版過去問集を独自に集計
  • 受験者からの報告(令和6年度採用)も収録しています
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

小論文の形式|30秒でわかる基本情報

いつ第1次試験(令和8年度実施は6月13日・土)。二次にはありません
時間9:40〜10:30の50分。試験当日のいちばん最初の科目です(受付8:20〜、受験上の注意・書類提出9:05〜9:25のあと)
対象高校・中学・小学校・幼稚園・特別支援・養護・栄養に共通する第1次試験の科目です。ただし、特例等による第1次試験免除者を除きます
出題形式抽象的な言葉ひとつから自分でテーマを設定し、自身の具体的な体験と教育観を関わらせて論述する(令和4〜8年度採用)。課題文・グラフはありません
答案用紙原稿用紙ではなく、A4判で20行の罫線があるだけとされています(市販過去問集の分析による。令和9年度採用の受験者報告では「A4判1枚。問題文が上段にあり、その下の罫線のある用紙に記述」とあり、行数の報告はありません)。字数指定ではなく行数で考える形式の可能性があります
字数の目安概ね600字程度(同上)。要項に字数の記載はありません
結果の開示令和8年度実施の要項では、1次不合格者には「内容別評定」「総合教養試験の得点」「専門試験の得点」が提供されるとされています(小論文の得点が提供されるとは記載されていません)
加点特例B-3(なごや教職インターンシップ)が認められると、「総合教養」と「小論文」の成績に加点されます

出典:令和8年度実施 名古屋市公立学校教員採用選考試験要項(p.2「選考方法」、p.7「特例B-3」、p.11「試験日程・内容」、p.14「選考結果の情報提供について」)
答案用紙の様式と字数の目安は、市販の全国版過去問集の分析にもとづく記述です。

この表でいちばん大事なのは「50分」と答案用紙の行数(20行は市販過去問集の分析による目安)です。50分といっても、構想・執筆・見直しを全部その中でやります。しかも原稿用紙じゃないので、「あと何字」ではなく「あと何行」で管理しないといけない。ここを知らずに本番を迎えると、慌てる可能性があります。

【2026年夏実施・令和9年度採用の報告】実際に出た質問

令和9年度採用(2026年夏実施)の試験で実際に出た質問です。令和9年度採用の受験者から届いた報告を、追質問(→)までそのまま収録しています。

小学校|小論文(A4判1枚。問題文が上段にあり、その下の罫線のある用紙に記述)

  • 「学びます」という言葉から想起できることを、あなたの教育観を交えて記述しなさい。(A4判1枚。問題文が上段にあり、その下の罫線のある用紙に記述)

出典:当ブログの受験報告フォーム(2026年9月18日時点・この自治体の報告1件)。校種までの表記とし、個人が特定されうる記述は除いています。

過去5年の出題テーマ|5年連続「抽象語ひとこと」型

市販の全国版過去問集から、名古屋市の小論文を5年分集計しました。設問の形が令和4年度〜8年度採用の5年間は大きく変わっていないことがうかがえます(令和9年度採用の受験者報告では、設問文の書き方が少し違います。上の「令和9年度採用の報告」を参照)。

採用年度(実施年)与えられた言葉設問の型
令和4年度採用(2021年夏)踏み出す「◯◯」という言葉から想起されるテーマを設定し、あなた自身の具体的な体験と教育観とを関わらせて論述しなさい
令和5年度採用(2022年夏)つまずく
令和6年度採用(2023年夏)バランス
令和7年度採用(2024年夏)聴く
令和8年度採用(2025年夏)多様性

※出典:市販の全国版教員採用試験過去問集(名古屋市・全校種)。当ブログで年度別に集計したものです。

全国的に見ると、小論文は「グラフや資料を読み取って書く型」「答申や課題文を読んで書く型」が多い傾向です。そのなかで名古屋市の「抽象語ひとこと型」は珍しい部類の形式です。読み取る材料が一切ないので、受験者が自分の中から材料を出すしかありません。だからこそ、名古屋市は令和4〜8年度採用の設問で「教育観」と「具体的な体験」をセットで求めてきたと考えられます。

受験者の報告(令和6年度採用)

特別支援学校(令和6年度採用・2023年夏実施)

  • 一次試験で、「バランス」という言葉から想起されることについて、自身の教育観を体験と絡めて述べる問題が出た。

この年度の公刊の記録と受験者の報告は一致しました。要項は小論文を全選考区分に共通する科目として示していますが、校種を問わず同じ問題であるとの明記は確認できません。

テーマ語の共通点|「子どもの姿」に翻訳できる言葉が来る

5つの言葉を並べると、共通点が見えてきます。

  • 踏み出す・つまずく……子どもの挑戦と失敗。学びに向かう姿
  • 聴く……教師と子ども、子ども同士の関係づくり
  • バランス・多様性……一人一人の違いをどう扱うか。個別最適な学びと協働的な学び

どれも教育の専門用語ではない日常語で、しかも子どもの姿に置き換えやすい言葉が多い印象です。ここから逆算すると、準備すべきことがはっきりします。

お題の言葉を予想するのは難しいです。でも「自分が語れる具体的な体験」を3〜4本ストックしておくことはできます。教育実習で子どもが変わった瞬間、講師時代に手応えのあった関わり、自分自身が挫折から立ち直った経験——どんなお題が来ても、そのどれかに接続できるようにしておくのが名古屋市対策です。

書き方|50分・20行を、こう配分する

私が小論文でいつもお伝えしているのは、いきなり書き始めないことです。構想メモを先に作る。これだけで、論点のズレも、途中で筆が止まることも、大幅な書き直しも防ぎやすくなります。周りが先に書き始めても焦らずにいられる、というメンタル面の効果も大きいんです。

時間配分の目安(50分)

時間やること
0〜8分構想メモ。お題の言葉から「学校現場のどんな課題・場面が想起されるか」を3つ書き出し、そのうち自分の体験とつながるものを1つ選んでテーマにする。
8〜12分20行の配分を決める。序論3〜4行/本論(体験)6行/本論(実践)6行/結論3行(合計18〜19行。残りは調整用)。ここまでを紙の余白にメモ
12〜43分執筆。行数の目印を決めておけば、書きながら「今どこにいるか」が分かります。
43〜50分見直し。誤字脱字、口語表現・略語、主語述語のねじれをチェック。挿入記号で行間や欄外に文字を書き足すのは避ける。

20行の型(序論→本論→結論)

  1. 序論(3〜4行)|テーマの宣言と、その理由。「私は『◯◯』という言葉から、△△という課題を想起した。なぜなら〜」。お題の言葉をそのまま使うのがポイントです。採点者が「設問に答えているか」を最初に確認する場所だと考えられるので、ここでズレると全体が崩れやすくなります。
  2. 本論①(6行)|自分の具体的な体験。いつ・どこで・誰に・何をして・どうなったか。ここが令和4年度〜8年度採用の設問の核心です。掲載した令和4年度〜8年度採用の設問は「体験と教育観を関わらせて」とする形なので、抽象論だけの答案は設問の要求に応えにくくなります(令和9年度採用の受験者報告の設問文は「教育観を交えて記述」で、体験を求める語は報告されていません。体験を具体例として入れる書き方が一つの型です)。
  3. 本論②(6行)|教員としての具体的な実践。体験から得た教育観を、学校現場でどう形にするか。「授業でどうするか」と「学級経営でどうするか」の2つの視点から書くと、論に幅が出ます。
  4. 結論(3行)|名古屋市の教員としての決意。精神論で終わらせず、「学び続ける」「子どもに伴走する」といった行動で締めます。

字数指定のある試験では「指定字数の8〜9割は必ず書く」とお伝えしています(字数不足は大きな減点になりうるからです)。名古屋市は字数ではなく行数で答案用紙が区切られているので、これも指定された分量の8〜9割を目安に埋めると読み替えてみてください。

いちばん効く練習は「OKパターンを体感すること」

小論文の対策で何をしておくべきかと聞かれたら、私は「合格レベルのOKパターンを、自分の手で一度書き上げて体感しておくこと」と答えます。添削してもらったコメントをもとに、実際に書き直す。この「書き直して完成させた1本」があるかどうかで、本番の安定感がまったく違います。

NG例文とOK例文を並べて添削の過程を見ると、何を直せばいいかが一気につかめます。

名古屋市らしい答案にする|「ナゴヤ学びのコンパス」

名古屋市の教育の土台になっているのが「ナゴヤ学びのコンパス」です。第4期名古屋市教育振興基本計画「コンパスぷらん」(令和6年度〜10年度)の考え方の中核で、面接でも名指しで聞かれた報告があります。

  • 実現したい市民の姿……自由な市民として互いを認め合い、共に社会を創造する
  • 目指したい子どもの姿……ゆるやかな協働性の中で自律して学び続ける
  • 重視したい学びの姿……自分に合ったペースや方法で学ぶ/多様な人と学び合う/夢中で探究する
  • どの学校園でも大人が大切にしたいこと……子どもは有能な学び手であると理解し、子どもの学びに伴走する

過去のお題を思い出してください。「多様性」は「多様な人と学び合う」に、「バランス」は「個別最適な学びと協働的な学び」に、「聴く」は「子どもに伴走する」に、つなげて考えることができます。名古屋市の小論文は、抽象語を通して「本市の学びの考え方を、自分の言葉で語れるか」を見ていると読むこともできるのです。

本論②(実践を書く6行)で、この語彙をひとつでも自分の文脈に混ぜられると、答案がぐっと名古屋市らしくなります。出典:名古屋市「コンパスぷらん(第4期名古屋市教育振興基本計画)」

よくある質問

Q. 何字くらい書けばいいですか?

A. 要項に字数の記載はありません。市販の過去問集の分析では、答案用紙は原稿用紙ではなくA4判で20行の罫線があるだけで、概ね600字程度とされています。字数ではなく行数で構成を決めるのをおすすめします。「序論3〜4行・本論6行+6行・結論3行」(合計18〜19行)のように、あらかじめ行の配分を決めて練習しておきましょう。正確な様式は当日の答案用紙でご確認ください。

Q. テーマは自分で決めていいのですか?

A. はい。令和4〜8年度採用の設問が「想起されるテーマを設定し」となっているため、テーマ設定も評価に関わると考えられます(令和9年度採用の受験者報告の設問文は「想起できることを、あなたの教育観を交えて記述」でした)。ここで「なぜそのテーマにしたのか」を序論で書けているかが最初の分かれ目になります。お題の言葉と、自分の設定したテーマの間に橋を架けてください。

Q. 自分の体験は、教育実習のことでもいいですか?

A. 大丈夫です。令和4〜8年度採用の設問では「自身の具体的な体験」に条件は付いていません。教育実習、講師としての勤務、部活動、アルバイト、自分が子どもだったころの経験——そのお題に対して一番リアルに語れるものを選んでください。大切なのは、体験を書いて終わりにせず、そこから引き出した教育観を実践につなげることです。

Q. 小論文は合否にどれくらい影響しますか?

A. 配点は公表されていません。ただし、名古屋市は1次不合格者に「内容別評定」を提供するとされています(要項には、小論文が評定項目に含まれるかの説明はありません)。また特例B-3(なごや教職インターンシップ)は「総合教養」と「小論文」の成績に加点されます。1日の最初の科目でもあるので、ここで崩れるとその後のマークシートにも響く可能性があります。

Q. 過去問の現物を見ることはできますか?

A. できます。令和8年度実施の要項に「過去4年分の『総合教養』『専門』の問題及び解答例、『小論文』の問題、『口述』の課題を、名古屋市役所西庁舎1階『市民情報センター』で閲覧できます(コピーも可)」と案内されています。ただし郵送の希望には応じてもらえません。名古屋近郊にお住まいなら、一度行く価値は十分にあります。

Q. 愛知県と同じ問題ですか?

A. まったく別です。名古屋市立学校の採用試験は名古屋市教育委員会が独自に実施しており、要項にも「愛知県公立学校教員採用選考試験とは別に行っております」と明記されています。愛知県の小論文は60分・900字詰め原稿用紙1枚という別形式です(出題の型は愛知県の記事でご確認ください)(愛知県の小論文はこちら)。両自治体の令和8年度実施の一次試験は6月13日で重なっています。併願を考える場合は一次免除の適用や二次日程も確認してください。

Q. 対策の時間がありません。最短の方法は?

A. 過去5年のお題(踏み出す・つまずく・バランス・聴く・多様性)で、20行の答案を1本ずつ書く。これが最短ルートだと私は考えています。5本書けば、自分の体験ストックが整理され、序論の書き出しと結論の締め方が自分の型になります。書きっぱなしにせず、1本だけでいいので納得のいくレベルまで書き直すところまでやってください。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

名古屋市の小論文の実録は、令和6年度採用の報告に加え、令和9年度採用の報告も届いています。「その年のお題はこれでした」という一言だけでも、次に受ける方の大きな助けになります。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。

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