【教員採用試験】埼玉県の場面指導|実録22件のテーマ・構想2分/実演3分の流れ・評価の観点

こんにちは、金井志津乃です! 

埼玉県って、個人面接の中で場面指導をやるんですよね? しかも面接官が子ども役になって話しかけてくるって聞きました……。何を言われるか分からないのが怖いです。

そうなんです。埼玉県は選考方針に「個人面接には、場面指導を含む」とはっきり書かれている県。しかも試験員が児童役になって反応するという報告が複数あります。でも大丈夫。どんな場面が来ても崩れない3つのポイントと、埼玉県で実際に出たテーマを見ていきましょう!

この記事では、埼玉県公立学校教員採用選考試験の場面指導について、受験者報告から整理した22項目の実際のテーマと、要項・選考方針に書かれた形式・評価の観点、そして実演のコツをまとめます。

この記事の根拠

  • 令和9年度採用(2026年夏実施)の受験者報告5件を「令和9年度採用の報告」として追加収録
  • 令和6年度〜8年度採用(2023〜2025年夏実施)の受験者報告から整理した17項目を年度別・校種別に収録(すべて無料で読めます)
  • 実施される場所(個人面接の中か、集団面接の中か)・試験員の人数・配点・観察項目は令和9年度採用の選考試験要項と「選考方針」(教育委員会公表)で照合済み
  • 実演のコツは、私が現場で実践し、受講生にも実践してもらってきた方法です
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

場面指導の形式|30秒でわかる基本情報

埼玉県の場面指導は、校種によって「どこで実施されるか」が違います。ここを間違えると準備の方向がずれるので、最初に確認してください。

小学校等・中学校等・養護・栄養高等学校等・特別支援学校
どこで個人面接の中(選考方針:「個人面接には、場面指導を含む。」)集団面接の中(要項:「5人程度の集団で、質疑応答(『場面を想定した実演』を含みます。)」)
試験日第2次試験③=令和8年8月30日(日)第2次試験③=令和8年8月18日(火)〜21日(金)のうち指定する1日。ただし、高等学校等教員の保健体育・音楽・美術工芸・書道・英語は8月18日(火)
試験員2名3名(受験者5名を原則)
配点個人面接として100点個人面接100点に加えて、集団面接として90点(場面を想定した実演は集団面接に含まれる)
観察項目意欲・情熱/倫理観/明朗性・協調性/理解力・判断力/使命感・経験積極性/意欲・情熱/論理性/表現力/責任感

※出典:令和9年度埼玉県公立学校教員採用選考試験要項、令和9年度選考方針(小学校等教員・中学校等教員・養護教員・栄養教員/高等学校等教員・特別支援学校教員)

当日の流れ(受験者の報告より)

要項にも選考方針にも構想時間・実演時間の記載はありません。以下は、すべて受験者の報告にもとづく情報です。

  1. 面接の冒頭で課題が示される。「場面指導(ロールプレイ系)から始まりました」という報告が複数あります。
  2. 構想2分(過年度の小学校等に報告があり、令和9年度採用でも小学校・中学校から報告されています)
  3. 実演3分以内(小・中で最多)。高等学校では立って1分間、校種の記録がない美術の報告では場面指導5分+個人面談25分。高等学校・特別支援の集団面接内では1分(1分の思考時間ののち挙手制、という報告も)。
  4. 試験員が児童生徒役になって反応するケースがあります(後述)
  5. 実演後に追質問:「何に気をつけて指導しましたか」「この児童にはどんな背景がありますか」「他の児童には、このあとどのような指導をしますか」
  6. 場面指導を含めて個人面接全体で25〜30分という報告が多数

埼玉県で一番押さえてほしいのは「実演の後の追質問までが場面指導」だということ。「何に気をつけて指導しましたか」「この児童にはどんな背景がありますか」——自分の指導を客観視して語れるかまで見られていると考えられます。実演がうまくいかなくても、この追質問で挽回できる可能性があります。

【2026年夏実施・令和9年度採用の報告】令和9年度採用で実際に出た質問

令和9年度採用(2026年夏実施)の試験で実際に出た質問です。令和9年度採用の受験者から届いた報告を、追質問(→)までそのまま収録しています。

高等学校|場面指導(二次の集団面接の中で実施・テーマ発表後に1分考え、挙手制で発表)

  • 【場面指導】インターネットの情報をうのみにする生徒に対して、どのような話をしますか。

小学校|場面指導(構想2分・実演5分・試験官2名)

  • 【場面指導】あなたは小学5年生の担任です。掃除用具の箒が折れているのが分かりましたが、誰も名乗り出ません。どう指導しますか。→それが続くようならば、どうしますか。

小学校|場面指導(構想2分〔メモなし〕・ロールプレイ3分)

  • 【場面指導】あなたは5年生の担任です。掃除箱の中に折れた箒があったときのクラス対応をしなさい。

特別支援学校|場面指導(構想1分・整った人から挙手して発表)

  • 【場面指導】修学旅行の目的の一つが「時間を意識した行動を取ろう」と決まりました。子供たちに説明をしてください。(学年・授業などの場面は自分で設定してよい)

中学校|場面指導(構想2分・実演2分)

  • SNSの不適切利用によりクラス内で誹謗中傷があると、保護者から申告がありました。どのような指導をしますか。

出典:当ブログの受験報告フォーム(2026年10月15日時点・この自治体の報告5件)。
校種までの表記とし、個人が特定されうる記述は除いています。

【実録】埼玉県で実際に出た場面指導のテーマ

受験者の皆さんからご提供いただいた報告を、年度別・校種別に収録します。「模擬授業」という種別で報告されたものも、内容が場面指導と同じ形式のためここにまとめています。

令和8年度採用(2025年夏実施)

  • 【中学校・美術】中学2年生の担任です。新年度に学級で決めた席が、ある日、席替えされていました。あなたはこのときどうしますか。
  • 【中学校・家庭】席替えをした後に生徒が勝手に席を移動していました。対応してください。
  • 【美術】席替えした席と違う席に座る生徒がいた場合、あなたはどのように指導しますか。(場面指導5分。このあと個人面談25分)
  • 【小学校】いじめを想定した場面指導(「児童に発達障害がある系」か「いじめ系」のどちらかが想定されており、この受験者はいじめ)。→ いじめの定義を知っていますか。→ いじめの未然防止のためにどんなことをしますか。→ いじめが見つかったときどんな対応をしますか。→ いじめが起きたとき保護者にはどのように報告しますか。

令和8年度採用は「席替え」が3件。中学校・美術・家庭と、区分をまたいで同系統のテーマが出ています。

令和7年度採用(2024年夏実施)

  • 【小学校等】あなたは小学校2年生の学級担任です。チャイムが鳴っても着席せず、教室の後ろで遊んでいる児童Dがいます。注意するとカッとなり大声を出し反発しました。あなたは担任としてどう対応しますか。(構想2分・実演3分)→ この児童Dにはどんな背景があるか。→ 児童D以外の児童に、このあとどのような指導をするか。
  • 【小学校】小学2年のA君は、授業が始まっても席に座らず遊んでいます。A君に対して、どのような指導をしますか。3分以内で実践しなさい。→ 何に気をつけて指導しましたか。
  • 【小学校】朝会で校長先生が挨拶の大切さについて話をされました。その内容について、6年生を対象にクラスの前で話をして指導しなさい。(試験員が児童役:「先生、この間、〇〇先生に挨拶したのに、無視されました」「下の学年の子にあいさつしても、返事が返ってきません」と反応)→ 挨拶を推進するのに、学校でできる具体的な取り組みを一つ答えてください。
  • 【中学校・数学】席替えを生徒たちで決めたいとき、あなたはどのように指導しますか。
  • 【中学校・数学】処分に関して知っている種類を教えてください(体罰、事故、セクハラ等)。→ あなたが犯しそうなものと、どう気をつけるかも教えてください。/先輩教員が生徒を罵倒(体罰)していた。あなたはどうしますか。/先輩教師が生徒を自家用車で最寄り駅まで送迎したのを見かけた。あなたならどうしますか。(「場面指導」の見出しのもとで複数題)
  • 【高等学校・保健体育】文化祭でグランプリを目指していたが、受賞できませんでした。そのときのSHRでの話を、立って1分間で行いなさい。
  • 【特別支援】来月校外学習に行くにあたり、月初のホームルームで、あなたは子どもたちに気をつけてもらうこととしてどのようなことを話しますか。

令和6年度採用(2023年夏実施)

  • 【小学校】あなたは小学校3年生の担任です。あなたの勤める学校で「朝読書」が始まります。クラスの児童に「読書の良さ」を伝えていきます。どのように伝えていきますか。(2分構想・3分実演)
  • 【小学校】夏になっても長袖・長ズボンの児童Fが、体育の授業には保健室へ行きます。あなたはどんな指導をしますか。(ロールプレイ形式で、面接の冒頭から実施)
  • 【小学校】小学2年生の担任です。暑くなり、ほとんどの児童が半袖・半ズボンで登校する中、児童Fは長袖・長ズボンで登校しています。そして体育の時間になると保健室へ行きます。児童Fにどう指導しますか。(上と同一年度・同系統の課題。2名から報告)
  • 【特別支援教育】あいさつの大切さについて(集団面接の中で実施。1分の思考時間ののち、挙手制で回答)
  • 【高等学校・理科】理科を学ぶ意味を生徒に伝える想定で1分間(集団面接の中で実施)
  • 【高等学校・工業】授業に取り組む前に生徒に伝えること(集団面接の中で、自己アピール30秒とセットで実演1分。時間が過ぎると打ち切られる)

埼玉県の場面指導の実録は、令和6年度〜9年度採用の報告で22件です。受験された方の報告が、このページをさらに育てます。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。

テーマの傾向|埼玉県の場面指導は「2つの型」に分かれる

実録を並べると、埼玉県の場面指導は次の2つの型に整理できます。

型設問の形埼玉県での出方
①個別対応(ロールプレイ系)「あなたは小学校◯年生の学級担任です。児童◯は〜という状況です。あなたは担任として、この児童◯にどのような指導をしますか。」小学校・中学校で中心。試験員が児童役になって反応してくるケースあり。児童・生徒をアルファベットの記号で示す課題も報告されています。
②一斉指導(実演系)「〜について、学級(学年・全校)にどのような指導をしますか」「〜の話をして指導しなさい」朝読書・あいさつ・文化祭のSHR・校外学習の事前指導など。高等学校・特別支援では集団面接の中で1分程度。

報告の多かったテーマを整理すると、こうなります。

  • 席替え(4件・令和7年度〜8年度採用)——生徒で決めたい/勝手に移動していた/違う席に座っている。令和7年度〜8年度採用の掲載報告では最多。
  • 授業に向かえない子(2件)——チャイムが鳴っても着席せず遊んでいる/授業が始まっても席に座らない
  • あいさつ(2件)——校長の話を受けての一斉指導/あいさつの大切さについて
  • 体育を避ける子(2件・同一年度)——長袖長ズボンで登校し、体育の時間は保健室へ行く
  • 行事の前後(2件)——校外学習の事前指導/文化祭で受賞できなかったときのSHR
  • いじめ(1件)——実演後にいじめの定義・未然防止・発見時の対応・保護者への報告まで追質問
  • 服務系(1件)——「場面指導」の枠で、処分の種類・先輩教員の体罰・自家用車での送迎への対応を問われた報告

市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用・埼玉県分)で場面指導に分類される問題は、確認できた範囲では令和4年度採用から令和8年度採用にかけて増加傾向です。テーマの中心は「日常の学級の困りごと」で、災害・重大事故のような非日常の危機管理シナリオはほとんど見当たりません。

埼玉県の場面指導は、特別な知識より、目の前の子にどう関わるかが問われている傾向がありそうです。だからこそ、型を知っておくと対応しやすくなりますよ。

どんな場面でも押さえる3つのポイント

具体的な対応は、その時の状況や子どもの個性によって変わります。でも、共通して押さえるポイントはあります。私が3つに絞ってお伝えしているのがこちらです。

① 子どものメンツを守る

いま止めるべき行動を止めるとき、見せしめ的に叱らないということです。現場で子どもたちと関係づくりをするとき、私が第一に大切にしてきたのがここでした。生徒対応は日々の関係づくりが土台ですが、関係ができていない段階でも指導しなければいけないタイミングはあります。そのときこそ、その子のメンツを崩さない声かけを心がけてください。

埼玉県の「チャイムが鳴っても着席せず、注意するとカッとなり大声を出して反発した児童D」——この場面はまさにここが試されています。クラス全員の前で正論を突きつけたら、その子はもっと反発してしまうことがあります。まず全体の活動を動かしてから個別に声をかける、席の近くまで行って小さな声で話す、といった配慮が「教育的愛情」として伝わりやすくなります。

② 事実確認

止めるワンステップの後、どんな経緯だったのか、本当にその子が主犯なのか、同席者の話はどうか——まずしっかり事実確認をします。これは対子どもだけでなく、保護者・同僚に対しても同じです。事実確認を怠ると、その後の判断も正しくできませんし、保護者や他の教員への説明責任も果たせなくなります。

③ 生徒理解(2つの意味で)

  • 背景の理解:なぜその子はそうしたのか。抱えているストレス、満たされていない承認欲求、家庭環境、その子自身の考え方の癖——話を聞きながら客観的に把握してあげること。
  • 「今後どうしたいか」の理解:ここで止まってはいけません。たとえばいじめの相談を受けたとき、教師が正しい答えを出さなければいけないと考えている人は多いのですが、私はそう考えていません。「あなたから聞いたと加害者に伝えるのは嫌だよね」「それなら、私が休み時間に見ていて気づいたという形にするのはどう?」——選択肢を提案して、その子が「それならうまくいきそう」と感じるものを一緒に選ぶ。子ども自身が納得していない対応は、現場でもうまくいきません。

型①|個別対応(ロールプレイ)のコツ3つ

試験員が児童生徒役・保護者役になり、あなたが教員役としてやり取りする形式です。埼玉県の小学校・中学校の場面指導は、この形式の報告が中心です。

① 相手のテンポやトーンに合わせる(ペーシング)

子どもが「先生、相談があります」とスローテンポ・低いトーンで話しかけてきたら、「お、どうした? 友達か? 部活か?」と早口・高いトーンで返すのではなく、「うん、どうした?」と同じテンポ・トーンで受ける。これをペーシングといいます。人は安心感を覚える相手にこそ本音を打ち明けるものです。開始の数秒で信頼関係の土台がつくれます。

② とにかく聞く

多くの人がやってしまいがちなのが、十分に話を聞かないうちに「大丈夫だよ」と安心させようとしたり、すぐ解決策を提案したりすること。実際、場面指導の試験で面接官から「なぜあの時、生徒の話をもっと聞かなかったんですか」と追及された方もいます。聞くべきことは3つです。

  • 客観的事実を、絵やストーリーが浮かぶまで聞く——時系列・場所・関係性・具体的な発言や行動。頭でイメージできるまで。
  • 気持ちに寄り添いながら聞く——「こんな大事な話を教えてくれてありがとう」。子どもがネガティブな気持ちを打ち明けたとき、ジャッジせずに受け止めてくれる存在を求めています。
  • 理想的な未来を聞く——本当はどうしたいのか。どんな学級なら来られるのか。友達とはどんな関係でありたいのか。これが今後の対応を考える「目的地」になります。

③ 学校全体に視野を広げて、慎重に判断する

「検討します」「大丈夫だと思います」と即座に判断してはいけません。判断に迷ったら、つまりそれは情報不足ということ。「私の一存では判断できないのですが、まずはこれまでの詳細を教えていただけないでしょうか」と切り返して、事実確認から入ってください。

もし軽率な判断をしてしまったと途中で気づいたら——その場で誠実に改めればいいんです。「すみません、先ほど大丈夫だとお伝えしてしまったのですが、改めて考えると他のクラスでも同様の恐れがあると思いますので、一度管理職や学年主任に確認する時間をいただけますでしょうか」。私が管理職なら、そう対応できる受験者を見て「この人はミスをミスのまま流さず、誠実に対応してくれる」と感じます。最初のミスを、むしろチャンスに変えられるということです。

これは埼玉県の観察項目「倫理観(教育公務員として高い規範意識を備え、社会的責任を自覚しているか)」「理解力・判断力(状況に応じた的確な判断ができるか)」に通じる考え方です。

型②|一斉指導(実演)のコツ3つ

「朝読書の良さを伝える」「あいさつの大切さについて話す」「文化祭で受賞できなかったときのSHR」——クラス全体に向けて話す形式です。

① 生徒の気持ちに寄り添う

「〜したら迷惑になるから気をつけましょう」——正論をストレートに言っても、子どもの行動はなかなか変わりません。私たち大人だって「甘いものをやめて運動したら痩せられるんだからやりなさい」と言われて、素直にできるでしょうか。「分かっているけどできないんだよね」と思うだけですよね。子どもも同じです。

私も昔は正論ばかり投げかけていましたが、子どもの行動が改善されたことはあまりありませんでした。試行錯誤するうちに、子どもの気持ちに寄り添うほうが行動改善が見られると分かってきたんです。実演では、リアルに出てきそうな子どもの言い分を想定して、「確かに◯◯したい気持ちは先生も分かるなあ」と気持ち自体は受け止める。そのうえで、逆の立場を考えさせたり、客観的なリスクを一緒に考えたり、自分たちで解決できる方法を考えさせたりする——ここで初めて子どもの姿勢が変わります。

埼玉県の「朝会で校長先生が挨拶の大切さについて話された。6年生に指導しなさい」で、試験員が児童役として「挨拶したのに無視されました」「下の学年の子に挨拶しても返事が返ってきません」と返してきた報告があります。こうした場面でも、子どもの気持ちに寄り添う姿勢を意識してみてください。正論で押し切らず、その気持ちをまず受け止められるかが問われていると考えられます。

② Iメッセージで伝える(ただしラベリングは厳禁)

「あなたは〇〇だ」がYouメッセージ、「私は〇〇だと思いました」がIメッセージです。Iメッセージを使うと、言われた相手が責められているという感情を持ちにくくなります。

ただし注意が必要です。「あなたたちがマナーの悪い生徒だということに、私は残念に思いました」——これは一見Iメッセージですが、「マナーの悪い生徒だ」というラベリングを伴っています。人格をラベリングされると、子どものセルフイメージがその方向に固定化されてしまう。正しくは「マナーが良くなかったということを聞いて、私は残念に思いました」。人格ではなく、過去の行動に対してIメッセージを使ってください。

ネガティブなことを伝えるときは、良い点にも触れながら使うのがおすすめです。「みんなの一生懸命がんばっているところや優しいところも、私はたくさん見てきたから、◯◯だった点はすごくもったいないと私は思いました」。褒める場面の実演(文化祭のSHRなど)でも、結果・過程・気持ちなど様々な角度から褒めポイントを探してIメッセージで伝えていきましょう。

③ 自分の言葉で語る

なぜそうすることが大事なのか、みんなにどうなってほしいのか——あなたなりの考えを真っ直ぐに伝えることで、子どもの心に届く言葉になります。私たちも子どもの頃、先生が口先だけで言っているかどうか、すぐ分かりましたよね。今の子どもたちも同じです。

面接官視点で場面指導を見ていると、「この人の言葉ではなさそうだな」「こう言ったほうが良さそうだから言っている感じかな」と感じる実演があります。そういう回答からは、教育者としての深みや教育的愛情、使命感が感じにくい。実際、面接官を経験された方たちと話しても、ほとんどの方が「もっと自分の言葉で語ってほしい」とおっしゃいます。

ただし、自分の言葉で語るときも「〇〇という人が多いけど、私は違うと思う」のように誰かの考えを否定・批判する内容は避けてください。否定したスタンスを面接官が持っていた場合、一気に評価が下がる可能性があります。

よくある質問

Q. 3分で問題を解決しないといけないのですか?

A. いいえ。ここは多くの受験者が誤解しているところです。普段の学校の実務なら何十分・何日もかけて解決策を見出していく課題を、数分でやりなさいということ自体が無理難題ですよね。面接官は、時間内に課題が解決に至らなくても、その人の課題への向き合い方・考え方・人柄から、課題を解決する能力を評価することができます。「解決しきる」より「向き合う姿勢を見せる」と考えてください。

Q. 試験員が児童役で話しかけてきたら、どうすればいいですか?

A. 本当の子どもだと思って、そのまま応答してください。埼玉県ではまさにこの形式の報告があり、児童役の試験員が「挨拶したのに無視されました」と返してきています。ここで大切なのは、まず気持ちを受け止めること。実録では、挨拶したことを褒めたうえで、先生は気づかなかったのかもしれないと伝え、あきらめずに挨拶を続けるよう励ましたという報告があります。否定から入らないことが最大のポイントです。

Q. 実演の後に「学校でできる取り組みを一つ答えてください」と聞かれて、答えられませんでした。

A. 実際にそういう報告があります(面接官が「学級通信に載せる」「児童会での挨拶運動」といった答えを教えてくれたそうです)。面接官は、学級のことだけでなく、学校全体に視野を広げて慎重に判断できているかを見ていると考えられます(場面指導のコツとして、私が動画でもお伝えしているポイントです)。テーマごとに「担任としてやること」「学年・学校としてやること」「家庭・地域と連携してやること」の3段構えで用意しておくと、この追質問に強くなります。

Q. 高校・特別支援を受けます。個人面接では場面指導はないのですか?

A. 要項・選考方針を読むかぎり、高等学校等教員・特別支援学校教員は個人面接と集団面接の両方があり、「場面を想定した実演」は集団面接に含まれます(小・中・養・栄は個人面接に場面指導を含む、と書き分けられています)。実録でも、高校・特別支援で実施場所の記録がある報告はすべて集団面接の中でした(場所の記録がない報告もあります)。1分程度・立って実演という報告が中心で、小・中には実演2分・3分・5分の報告もあり、校種や報告によって時間が異なります。短時間で「何を一番伝えたいか」を絞る練習をしておいてください。

Q. 「模擬授業」という科目はありますか?

A. 埼玉県の要項に「模擬授業」という試験種目はありません。受験者の報告に「模擬授業」として記録されているものも、内容は席替えや校外学習の事前指導など、実質は場面指導です。自治体によっては同じ内容を「模擬授業」という名称の科目にしている県もあるので、併願される方は名称の違いに注意してください。

Q. 場面指導の対策は、何から始めればいいですか?

A. まずこの記事の実録22件のテーマを、実際に声に出して3分やってみてください。頭で考えるのと、口に出すのはまったく別物です。次に、この記事で報告の多かったテーマ(席替え・授業に向かえない子・あいさつ・体育を避ける子・行事の前後・いじめ)を1つずつノートにまとめる。個別対応と一斉指導の両方の型で書いておくと、当日どちらが来ても対応できます。

学習意欲が低い子への対応は、面接質問としても場面指導としても取り上げられることのあるテーマです。背景の整理のしかたを解説しています。

いじめ対応の場面指導が来たときは、『生徒指導提要(改訂版)』の「未然防止・早期発見・対処」の順序と、自己指導能力の獲得を目指すという理念を押さえておくと、追質問(いじめの定義・未然防止・発見時の対応・保護者への報告)にも一貫して答えられます。

■ 埼玉県の個人面接|実録3年分・受験者18名の質問と5年間の出題傾向
■ 埼玉県の集団討論|実録16件のテーマ・進め方(人数・時間は報告例)・評価の観点
■ 埼玉県の小論文(論作文)|過去5年の出題テーマと60分800字の書き方

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

令和9年度採用の要項によると、過去の試験問題は埼玉県県政情報センターで閲覧(無料)・コピー(有料)ができます(場面指導の課題が含まれるかは窓口でご確認ください)。一方、試験員の反応や受験者とのやり取りを知るうえでは、受験した方の報告が貴重な情報源です。埼玉県を受験された方は、ぜひ次の年度の受験生のために教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム

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