【教員採用試験】東京都の特例選考・特別選考と一次免除ルート|大学3年生前倒し・大学推薦・カムバック採用・臨任経験者・社会人

こんにちは、金井志津乃です! 

東京都って「特例選考」がすごくたくさんあるみたいなんですが、①〜⑦とか選考方法A〜Dとか、要綱を読んでも自分がどれに当てはまるのか分からなくて……

分かります。東京都は一般選考のほかに特例選考が7種類、特別選考が2種類(東京教師養成塾生を対象とした特別選考と、ア・イの2区分がある国際貢献活動経験者特別選考)、さらに大学推薦・大学3年生前倒し・キャリア採用選考まであるんです。この記事で「自分はどのルートか」「そのルートで何が免除されるか」を一気に整理しますよ!

この記事では、東京都公立学校教員採用候補者選考の特例選考・特別選考・一次免除ルートについて、令和9年度採用の実施要綱と、東京都教育委員会が公表しているルート別の実績データをもとにまとめます。

この記事の根拠

  • 選考区分・受験資格・免除内容は令和8年度東京都公立学校教員採用候補者選考(9年度採用)実施要綱(令和8年3月19日)の条文から。要約する際も要件の言い換えはしていません。
  • 数字はすべて東京都教育委員会の公表資料(選考結果・大学3年生前倒し選考の結果・応募状況)から
  • 東京都の倍率と校種別の推移は →東京都の倍率|令和9年度採用の最終結果と6年間の推移
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

まず全体像|東京都の免除は「選考方法A〜D」で決まる

東京都は、多くの選考区分で「この選考区分だから何点加点」ではなく、選考区分ごとに割り当てられた選考方法(A〜D)によって、第一次選考で受ける科目そのものが変わる仕組みです。ここを押さえると要綱がぐっと読みやすくなります。

選考方法第一次選考で受ける科目第二次選考主な対象
A教職教養(60分)+専門教養(60分)+論文(70分)個人面接+実技(対象教科)一般選考、特例選考⑥(社会人経験者)
B専門教養+論文(教職教養が免除)個人面接+実技(対象教科)特例選考①②④⑦、大学推薦、国際貢献活動経験者特別選考(書類審査で対象者となった場合)
Cなし(第一次選考が全て免除)個人面接+実技(対象教科)特例選考③(カムバック採用)
Dなし(第一次選考が全て免除)個人面接+実技(中高共通・特支の英語のみ)特例選考⑤(令和6・7年度実施の名簿登載者、令和7年度実施の期限付任用名簿登載者)
3年生前倒し通過者選考論文のみ(教職教養・専門教養が免除)個人面接+実技(対象教科)前年に大学3年生前倒し選考を通過した大学4年生等
東京教師養成塾生を対象とした特別選考第一次選考なし個人面接+実技(特別支援学校の英語のみ)令和7年11月開講の東京教師養成塾生

※出典:令和8年度東京都公立学校教員採用候補者選考(9年度採用)実施要綱「各選考区分における選考の方法一覧」「第2 選考方法」
第一次選考は令和8年7月5日(日)、第二次選考の個人面接は8月15日(土)・16日(日)・17日(月)のうち指定された1日(選考日の選択は不可)、実技は8月23日(日)です。

東京都に「◯点加点」という制度はほとんどありません。その代わり免除の幅が大きいのが特徴です。CとDに至っては第一次選考がまるごと免除で、二次は個人面接が中心の勝負です(実技は、Cは音楽・美術・保健体育・英語、Dは中高共通・特別支援学校の英語の受験者のみ。英語には実技の免除制度もあります)。実録にも「一次試験免除で二次試験は個人面接のみでした」「特別選考だったので面接だけでした」という報告が届いています。

早見表|あなたはどのルート?(令和9年度採用)

選考区分主な対象第一次選考公表されている実績
一般選考昭和62年4月2日以降に出生し、必要な免許状を取得済み/令和9年4月1日までに取得見込みの人教職教養・専門教養・論文採用見込3,405人(全区分合計)
大学3年生前倒し選考(3年次受験)大学3年生等(最終年次の1年前。いずれの学校にも所属しない科目等履修生は含まない)で令和9年度中に卒業・修了見込み、必要な免許状を令和10年4月1日までに取得見込み、昭和63年4月2日以降に出生教職教養・専門教養のみ受験(通過すれば翌年この2科目が免除)令和8年度実施:受験3,420人→通過2,762人(80.8%)
3年生前倒し通過者選考(4年次受験)令和7年度実施の前倒し選考の通過者で、令和8年度時点で大学4年生等の最終年次・令和8年度中卒業見込み、昭和62年4月2日以降出生。必要な免許状を令和8年4月2日〜令和9年4月1日に取得見込み(令和8年4月1日時点で取得済みでも、この期間に上位免許(専修免許状など)を取得見込みなら可)論文のみ令和7年度実施:受験3,475人→通過2,809人(80.8%)が対象者/令和9年度採用の選考結果:受験2,234人→名簿登載1,447人
特例選考① 国公立学校の正規任用教員経験者過去に国公立学校の正規任用教員(都教委発令の職を除く)として令和8年3月31日までに3年以上の勤務経験(休職・休業期間を除く)専門教養・論文(教職教養免除)—
特例選考② 東京都公立学校の正規任用教員経験者都公立学校の正規任用教員として3年以上(休職・休業期間を除く)勤務し、令和8年4月1日現在は在職していない人専門教養・論文(教職教養免除)—
特例選考③ カムバック採用都公立学校の正規任用教員として3年以上勤務し、平成29年3月31日以降に退職/勤務時と同一の校種等・教科で受験全て免除令和9年度採用の選考結果:受験161人→名簿登載102人
特例選考④ 国公立学校の臨時的任用教員等経験者令和5年4月1日〜令和8年3月31日の3年間に、臨時的任用教員等(常勤と同様の勤務形態)として12か月以上の勤務経験専門教養・論文(選考方法Bの科目。教職教養は含まれません)—
特例選考⑤ 令和6・7年度実施の名簿登載者等令和6・7年度実施の選考の採用候補者名簿登載者/令和7年度実施の期限付任用教員採用候補者名簿登載者全て免除令和8年度採用の期限付任用名簿登載者は572人
特例選考⑥ 社会人経験者民間企業・官公庁・国公私立学校等で令和8年3月31日までに通算2年以上の勤務経験(常勤/非常勤を問わない)、または協力隊等の派遣経験2年以上教職教養・専門教養・論文(免除なし)
※免許取得期間の猶予制度あり
うち免許取得期間の猶予希望者(令和9年度採用の選考結果):受験171人→名簿登載91人
特例選考⑦ スポーツ・文化・芸術スポーツは大学以降の実績で、指定の国際大会への日本代表出場、指定の全国大会で原則8位以内入賞等(団体は正選手として登録・出場)。文化・芸術は大学以降の国際レベルへの日本代表等としての出場または全国レベルで入賞以上等。これらの者の指導育成実績がある人や、都教委が特に認める顕著な経験・技能を有する人も対象(書類審査あり。詳細は要綱参照)専門教養・論文(書類審査で対象者となった場合は教職教養免除。免除とならなかった場合は一般選考の扱い)—
大学推薦対象大学等の在籍者で推薦基準を満たし、東京都を第一希望として学長が推薦する人専門教養・論文(教職教養免除)採用見込は一般選考に含む
東京教師養成塾生を対象とした特別選考令和7年11月開講の東京教師養成塾生(小学校全科・特別支援学校)第一次選考なし令和8年度採用:応募27→受験26→名簿登載26(1.0倍)/令和9年度採用:応募29→受験29→名簿登載29(1.0倍)
国際貢献活動経験者特別選考(青年海外協力隊等)協力隊等として令和8年3月31日までに教育活動に従事した派遣経験が2年以上(新型コロナウイルス感染症を理由に令和2年3月以降に一時帰国した場合は1年以上。当初の派遣期間・帰国理由を記載した証明書が必要)。昭和40年4月2日以降出生(小学校全科の英語コースは昭和62年4月2日以降)で、必要な免許状は一般選考と同様専門教養・論文(教職教養免除。書類審査で対象者となった場合)令和8年度採用:応募8→受験7→名簿登載4(1.8倍)/令和9年度採用:応募4→受験4→名簿登載3(1.3倍)
国際貢献活動経験者特別選考(在外教育施設等)認定された在外教育施設で令和8年3月31日までに教育活動に従事した経験が2年以上(小学校全科。新型コロナウイルス感染症を理由に令和2年3月以降に一時帰国した場合は1年以上。証明書が必要)。昭和40年4月2日以降出生(英語コースは昭和62年4月2日以降)で、必要な免許状は一般選考と同様専門教養・論文(教職教養免除。書類審査で対象者となった場合)令和8年度採用:応募7→受験7→名簿登載7(1.0倍)/令和9年度採用:応募8→受験7→名簿登載7(1.0倍)
キャリア採用選考令和8年3月31日までに国公私立学校で正規任用教員の勤務経験が8年以上(休職・休業期間を除く。幼稚部以外の小学校〜特別支援学校の教員経験が対象で、寄宿舎指導員・実習助手・臨時的任用教員・非常勤講師等の期間は含まない)、令和9年3月31日現在で満30歳以上選考区分の科目+キャリア論文選考(第一次選考とは別日の令和8年7月12日・90分・1,500字程度)主任教諭・主任養護教諭として20名程度(令和9年度採用の選考結果:受験177人→合格20人)
障害のある人を対象とした選考身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人など。どの選考区分からでも申込可。選択した選考区分に準じる10名程度(一般選考・特別選考の採用見込に含む)

※特例選考①〜⑥は、原則として昭和40年4月2日以降に出生した方が対象です(特例選考⑦のみ昭和62年4月2日以降。免許取得期間の猶予を希望する特例選考⑥は昭和41年4月2日以降)。

※出典:令和8年度東京都公立学校教員採用候補者選考(9年度採用)実施要綱「第1 選考区分」、東京都教育委員会「令和7年度東京都公立学校教員採用候補者選考(8年度採用)結果」「令和8年度…大学3年生前倒し選考(3年次受験)の結果について」
実績欄が「—」の区分は、東京都が選考区分別の受験者数・名簿登載者数を公表していないため算出できません(令和9年度採用の結果で区分別の人数が公表されているのは、3年生前倒し通過者選考・キャリア採用・カムバック採用・適性検査(SPI3)利用・免許取得期間の猶予希望者・東京教師養成塾生・国際貢献活動経験者)。
制度は年度で変わるため、出願前に必ずその年の実施要綱を確認してください。

大学3年生前倒し選考|通過率80.8%、大学3年生から受けられるルート

大学3年生(最終年次の1年前)のうちに教職教養と専門教養だけを受験し、基準を満たせば「選考通過者」となる制度です。翌年、同じ校種等・教科で「3年生前倒し通過者選考(4年次受験)」に申し込めば、第一次選考は論文だけになります。

3年生のとき令和9年度採用の選考では、令和8年7月5日(日)に教職教養〔60分〕と専門教養〔60分〕を受験(会場は東京会場)。第二次選考はなし。適性検査(SPI3)は選択不可。面接票の提出も不要。
通過したら翌年、同じ校種等・教科(科目等)で「3年生前倒し通過者選考(4年次受験)」に改めて申し込む。第一次選考は論文〔70分〕のみ、第二次選考は個人面接(+対象教科は実技)。(令和9年度採用の実施要綱の記載です。翌年度は、その年の実施要綱で確認してください。)
通過しなくても翌年度の一般選考等で受験できる(要綱に、不利になる旨の記載はない)。
注意点通過の権利は翌年度限り(令和6年度以前の通過者は対象外)。教職教養・専門教養の成績は翌年の判定には使われない。教職教養だけ・専門教養だけの免除もない。
発表他の選考区分の第一次選考合格発表と同日(令和8年8月4日火・午前10時)。通過者は在学証明書等をマイページから提出。

実際にどれだけ使われているか、数字を見てみましょう。

  • 令和8年度実施(2026年夏):受験3,420人→選考通過2,762人=通過率80.8%
  • 校種別の通過率は小学校全科91.2%(1,173人→1,070人)、中高共通および小中高共通76.6%(1,772人→1,358人)、特別支援学校93.3%(90人→84人)
  • 令和7年度実施(2025年夏)も同じく通過率80.8%(応募3,791人・受験3,475人→通過2,809人)。この年は養護教諭86.5%、高等学校72.2%、小・中・高共通71.6%、中学校技術100%。

※出典:東京都教育委員会「令和8年度東京都公立学校教員採用候補者選考『大学3年生前倒し選考(3年次受験)』の結果について」(2026年8月4日公表)、令和8年度実施要綱巻末「令和7年度大学3年生前倒し選考結果」

通過率が令和7年度実施・令和8年度実施の2年とも80.8%。5人に4人が通っている計算です。しかも通過できなくても、翌年度の選考には通常どおり申し込めます。私自身、大学2回生のときに「学校の先生になる」と決めて、そこから模擬授業と面接の練習を始めました。なりたいと思ったら、なりたいと思った時からなるための行動を始める。東京都志望の3年生にとっても、早めに動くきっかけになる制度だと私は思います。

ただし、注意してほしいのは「免除は入口が広がるだけ」だということ。前倒し通過者も4年次には論文を書き、個人面接を受けます。東京都の個人面接は、受験者の報告では面接官3人・30〜40分程度で、面接票の深掘り・服務事例・教科指導と場面指導が続いたという例があります。免除で浮いた時間を、そのまま面接準備に回してください。

■ 東京都の個人面接|過去問200問・3年分の実録と傾向対策

教員経験があるルート|①②③④の違いを1枚で

東京都でいちばん混乱しやすいのが、教員経験者向けの特例選考①〜④です。「どこで働いたか」「今も在職しているか」「いつ退職したか」の3点で分かれます。

ルートどこでどんな職で・どれだけ免除
特例選考①国公立学校(東京都教育委員会の発令による職を除く)正規任用教員として令和8年3月31日までに3年以上(休職・休業期間を除く)教職教養
特例選考②東京都公立学校(都教委発令の職)正規任用教員として3年以上(休職・休業期間を除く)。令和8年4月1日現在は在職していない(令和8年3月31日以前に退職)。教職教養
特例選考③(カムバック採用)東京都公立学校東京都教育委員会発令の正規任用教員として、休職・休業期間を除き3年以上勤務し、平成29年3月31日以降に退職。令和8年4月1日現在は東京都公立学校の正規任用教員として在職しておらず、勤務時と同一の校種等・教科で受験。第一次選考の全て
特例選考④東京都公立学校を含む国公立学校令和5年4月1日〜令和8年3月31日の3年間に、臨時的任用教員等(常勤と同様の勤務形態)として12か月以上。都教委発令の産休・育業代替教員、期限付任用教員を含む。選考方法Bの科目(専門教養・論文)。教職教養は科目に含まれません

※特例①・②の3年以上の勤務経験に、休職・休業期間は含みません。特例①②④の勤務経験は受験する校種等・教科と同一でなくても構いません。ただし小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校(幼稚部を除く)のいずれかにおける教員としての任用実績が必要で、実習助手・寄宿舎指導員等の教員以外の職の経験は含みません。名簿登載後に履歴帳票や在職証明書で受験資格の最終確認が行われ、確認できない場合は名簿から削除されます。
出典:令和8年度実施要綱「第1-2 特例選考」および注意事項ア〜キ

もうひとつ、東京都ならではの仕組みがあります。実施要綱の「選考の合否」にはこう書かれています——特例選考④および⑤の3に該当する人のうち、令和8年7月1日現在で東京都公立学校において期限付任用教員または産休・育業代替教員として任用されている人には、一定の得点を加点する。加点の要件となる任用実績は、受験する校種等・教科と同一である必要はありません(東京都教育委員会発令の職に限る)。

講師の強みは3つあると私は考えています。「クオリティ」「信用」「フレッシュさ」。現場で課題意識を持って授業や生徒指導をやってきた実践(クオリティ)、実際に働いてきた積み重ね(信用)、そして現実を見ても初心を忘れていないこと(フレッシュさ)。この3つが面接で伝わる講師は強いです。

そして「実績」は、賞や研究発表のような大それたものでなくて構いません。4月にはこうだった子が、こう関わったらこう変わった。その実体験で語れる実績を持っている人は強い傾向があると私は考えています。私が面接練習を一緒にさせていただいた常勤講師の合格者の方からは、①ネガティブな経験をポジティブに打ち出せるようになった、②自分の教育観が明確になった、③それを適切に言語化できるようになった、というお声をいただきました。

正規教員として別の自治体を受け直すこと(東京都では特例選考①)は、私の実感では簡単ではありません。管理職は「今求められている授業をブラッシュアップし続けているか」「謙虚で一緒に働きたい人か」を見るのではないか、と私は考えています。この2つが伝われば「こんな人が来てくれるなんて」と管理職が思ってくれる可能性がある、という話です。

特例選考⑤|令和6・7年度実施の名簿登載者等なら一次はまるごと免除

他の自治体でいう「補欠者特別選考」に近いのが、東京都の特例選考⑤です。対象は次の3つのいずれかに該当する人で、第一次選考が全て免除されます(選考方法D)。

  1. 令和8年度名簿登載者(令和7年度実施)——令和7年度実施の選考で採用候補者名簿に登載された人(期限付任用教員採用候補者名簿の登載者は該当しません)
  2. 令和7年度名簿登載者(令和6年度実施)——令和6年度実施の選考で採用候補者名簿に登載された人
  3. 令和8年度期限付任用教員名簿登載者(令和7年度実施)——令和7年度実施の選考で期限付任用教員採用候補者名簿に登載された人。任用の有無は問いません。

いずれも名簿登載となった校種等・教科(科目等)と同じ区分でのみ申し込めます。名簿登載期間の勤務について辞退届を出した人も対象になりますが、名簿から削除された人は対象外です。また、特例選考⑤の令和8年度名簿登載者・令和7年度名簿登載者のうち、名簿登載期間中に正規任用教員として採用され、その後退職した人も対象外です(実施要綱の注意事項オ)。

期限付任用教員採用候補者名簿は、実施要綱で「選考の結果、不合格となった者のうち成績が上位で、希望する者」を登載するとされている名簿です。令和9年度採用では、令和7年度実施選考の期限付任用教員採用候補者名簿登載者が、名簿から削除されておらず、同じ校種等・教科で特例選考⑤の3に申し込む場合、第一次選考が全て免除されます。令和9年度採用の結果から翌年度に受ける場合の条件は、翌年度の実施要綱で確認してください。申込時に「希望する」を選ぶかどうかで、名簿に登載される可能性が変わります。合否には影響しません(任用の条件は実施要綱で確認してください)。そして受験した年の面接で何を聞かれたかを、記憶が新しいうちに全部書き出しておいてください。仮に翌年も同様の免除があれば、(英語の受験者は実技も加わりますが)面接中心の勝負になるので、その記録がそのまま有力な教材になります。

社会人の方へ|特例選考⑥は「免許がなくても受けられる」制度つき

特例選考⑥は第一次選考の免除こそありませんが(選考方法A)、東京都の特例選考の中でも間口の広いルートです。要件は民間企業・官公庁・国公私立学校等において、令和8年3月31日までに通算2年以上の勤務経験。しかも常勤・非常勤(アルバイト、パート)を問いません(休職・休業の期間は除く)。協力隊等として2年以上の派遣経験がある人も対象です。

年齢要件昭和40年4月2日以降に出生した人(一般選考は昭和62年4月2日以降なので、特例選考⑥のほうが幅広い)。ただし平成14年4月2日以降に出生した人は申込区分が一般選考に変更され、免許取得期間猶予の対象にもなりません。
免許取得期間の猶予昭和41年4月2日以降に出生し、令和11年4月1日までに必要な免許状の取得を目指す人も受験できます(平成14年4月2日以降に出生した人は対象外)。申込時に「延長希望(令和9年4月2日〜令和10年4月1日)」または「延長希望(令和10年4月2日〜令和11年4月1日)」を選択。猶予者は選考合格後2年以内に免許状を取得することが前提で、取得しなければ採用されません。期限付任用教員採用候補者名簿の登載・特別支援学校等への併願・キャリア採用選考の対象外です。
採用の時期猶予を選んだ人は、選んだ区分に応じて令和10年4月1日付けまたは令和11年4月1日付けで原則採用。欠員の状況によっては、意向確認のうえ免許取得後から翌4月1日までの間に採用される場合もあります。
注意必要な免許状を取得済みの人、令和9年4月1日までに取得見込みの人は「延長希望」を選択できません

※出典:令和8年度実施要綱「第1-2 特例選考⑥」「特例選考⑥における免許取得期間猶予を希望する者の受験について」「第5-2 採用候補者名簿への登載等」

私が社会人受験の方におすすめしている準備は2つです。「社会人経験を学校現場でどう生かしたいか」と「なぜ社会人をしていたのに教員を目指すのか」。この2つを面接でバシッと話せるようにしておくと、社会人から教採を受けるときにも合格しやすくなるポイントかなと思います。実際、東京都の実録にも「前職の勤務内容を差し支えない範囲で教えてください」「民間企業と学校の違いは何ですか」「民間企業で学んだことを学校教育にどう生かしますか」という質問が並んでいます。

私自身、受講生の中で40代・50代で教採に合格する方を数多く見てきました。私が動画でお伝えしているのは、40代・50代の受験者に対して面接官が懸念しやすい3つのポイントです。今求められている教育を謙虚に学んで挑戦する姿勢があるか/年下の同僚と謙虚でフラットな姿勢で働けるか/謙虚な姿勢でチームに貢献しようとしているか——この3点が伝わるかどうかを、私は大切だと考えています。東京都の実録にも「歳下の学年主任等とうまくやれますか」という質問が実際にありました。ここが伝われば、豊富な人生経験はそのまま強みになります。

在学中の方へ|大学推薦・東京教師養成塾・SPI3という3つの選択肢

大学推薦

対象となる大学等の在籍者のうち、指定の推薦基準を満たし、東京都での採用を第一希望とし、学長が推薦する人が対象です。対象となるのは①募集する校種等・教科の免許状を取得できる大学・大学院(教職大学院を含む)または短期大学、②東京都教育委員会と連携協定を締結している大学が設置する教職大学院。書類審査で第一次選考の教職教養が免除となり、専門教養〔60分〕と論文〔70分〕を受験します。

詳細は「大学推薦実施要綱」として別に定められ、関係する大学等へ配布されます。要件や学内の締切は大学ごとに違う場合があるので、必ず在籍している大学の教職課程窓口に問い合わせてください。なお、書類審査の結果、教職教養が免除にならなかった場合は一般選考への申込みとして扱われます(6月中旬に交付される受験票で確認)。受験申込完了後、大学から発行される「大学推薦者決定通知」をマイページ上で提出する必要があります。また、令和7年度実施の大学3年生前倒し選考の通過者は、大学推薦ではなく「3年生前倒し通過者選考(4年次受験)」で受験するよう要綱に指示があります。

東京教師養成塾生を対象とした特別選考

令和7年11月開講の東京教師養成塾生が対象で、小学校全科と特別支援学校で30名程度を採用見込。第一次選考がなく、個人面接(と特別支援学校の英語受験者のみ実技)だけという、特例選考③・⑤と並んで、東京都で第一次選考がないルートです。令和8年度採用の実績は応募27人・受験26人・名簿登載26人(倍率1.0倍)でした。詳細は別に定められています。

適性検査(SPI3)という選択肢

免除ではありませんが、令和9年度採用では「中学校・高等学校共通 英語」と「中学校 技術」の受験者(一般選考・特例選考⑥)に限り、第一次選考の教職教養に替えて適性検査(SPI3)を選べます。内容は基礎能力検査〔約35分間〕(言語的理解力・数的処理能力・論理的思考力/出題範囲は大学卒業程度)で、テストセンター(全国のリアル会場またはオンライン会場)で、受験票通知日から令和8年7月2日(木)までの間の希望日に受検します。受検前に自宅等のパソコン・スマートフォンで性格検査を受ける必要がありますが、性格検査の結果は合否に関係しません。

※出典:令和8年度実施要綱「第3-7 適性検査(SPI3)について」

令和9年度採用の主な変更点

実施要綱の巻頭に示された4つの変更点
  1. 併願を可能とする選考区分の拡大——一般選考・特例選考⑥・3年生前倒し通過者選考に加えて、特例選考①・②・④も特別支援学校等への併願が可能に
  2. 併願可能となる校種等・教科の拡大——小中共通の理科→特別支援学校中学部・高等部の理科、中高共通/小中共通の音楽・美術→特別支援学校の音楽・美術、小中高共通の家庭→特別支援学校の家庭、という組み合わせが追加
  3. 名簿登載期間延長の対象大学院の拡大——進学・在学により名簿登載期間の延長を認める大学院の対象が、専修免許状を取得可能な大学院すべてに
  4. 「障害のある人を対象とした選考」の新設——従来の「障害に配慮した選考」に替わり、障害者手帳をお持ちの方等を対象とした選考を設置。第一次選考・第二次選考面接での合理的配慮に加え、第二次選考の実技試験について障害種別や程度に応じて一部免除または合理的配慮を実施。採用見込は10名程度。

※出典:令和8年度東京都公立学校教員採用候補者選考(9年度採用)実施要綱「主な変更点について」
この選考の対象にならない場合も、妊娠等で配慮が必要な方は希望する配慮の内容を受験申込時に申告できます(申込期間終了後の追加はできません)。

まとめ|免除は「入口」、勝負はどのルートでも個人面接

東京都の第二次選考は個人面接1本(音楽・美術・保健体育・英語などは実技あり)。受験者からは、面接官3人で30〜40分程度の個人面接だったという報告があります。時間や進行がすべてのルート・受験者で同じとは限りません。免除で浮いた時間と労力を、そのまま面接準備に回してください。

面接の評価の観点は、実施要綱に「教職への理解、教科等の指導力、対応力、将来性、心身の健康と人間的な魅力等」と書かれています。そして質疑応答の土台になるのが、当日提出する「面接票」。実際に聞かれた質問と、面接票の書き方は別記事にまとめています。

■ 東京都の個人面接|過去問200問・3年分の実録と傾向対策
■ 東京都の面接票の書き方|面接で深掘りされる欄を実録から逆算
■ 東京都の論文(小論文)|70分・1,050字以内の出題テーマ5年分と書き方

よくある質問

Q. 3年生で前倒し選考を通過し、4年生の二次で不合格になったら?

A. 通過の権利は翌年度限りで、持ち越しはできません(実施要綱に「令和6年度以前に実施した当該選考の選考通過者は受験対象外」と明記)。その翌年は一般選考として第一次選考から受け直しになります。ただし、成績が上位で希望していれば期限付任用教員採用候補者名簿に登載される可能性があり、その場合、翌年度に特例選考⑤で一次が免除されるかどうかは、翌年度の実施要綱で確認してください(令和9年度採用では、令和7年度実施選考の名簿登載者が対象でした)。

Q. 特例選考は複数を組み合わせて申し込めますか?

A. 選考区分は1つを選んで申し込みます。ただしキャリア採用選考は、一般選考または特例選考と併せて申し込めますが、特例選考⑥の免許取得期間猶予希望者は対象外です(申込時に「希望する」を選択)。この場合、選考区分ごとの試験科目に加えてキャリア論文選考〔90分・1,500字程度、令和8年7月12日(日)実施〕も受験します。キャリア論文は採用時の職層の判定のみに使用され、主任教諭の合格に至らない場合でも一定の基準を満たせば「教諭」として合格になります。

Q. 講師経験が3年に満たないのですが、免除は受けられませんか?

A. 東京都の特例選考④は「令和5年4月1日〜令和8年3月31日の3年間に、臨時的任用教員等として12か月以上」が要件です。自治体によっては「通算3年以上」などを求めるところもありますが、東京都の特例選考④は12か月以上の勤務経験で受験でき、第一次選考は選考方法Bの科目(専門教養・論文)になります。ここは東京都のかなり大きな特徴なので、常勤で1年以上働いた経験がある方は要綱の該当箇所を必ず確認してください(特例選考①②では、月の途中の任用等でも1月と数えるとされています。特例選考④の扱いは実施要綱で確認してください)。

Q. 免許がまだないのですが、受験できますか?

A. 原則は「取得済み、または令和9年4月1日までに取得見込み」です。ただし特例選考⑥(社会人経験者)には免許取得期間の猶予制度があり、昭和41年4月2日以降に出生し令和11年4月1日までに必要な免許状の取得を目指す人も受験できます(平成14年4月2日以降に出生した人は対象外)。この場合、名簿登載期間が延長され、採用は令和10年または令和11年の4月1日付けになります。申込時に「延長希望」を選ぶ必要があるので、忘れないでください。猶予を選んだ場合は、選考合格後2年以内に免許状を取得することが前提で、取得できなければ採用されません。

Q. 東京都の教員として在職中ですが、受験できますか?

A. 実施要綱に「東京都公立学校に現に在職する教諭、養護教諭、栄養教諭、実習助手及び寄宿舎指導員は受験することができません」と明記されています。一方、期限付任用教員や産休・育業代替教員として任用されている方も、各区分の資格要件を満たせば受験できます。特例選考④または⑤の3に該当し、令和8年7月1日現在、東京都教育委員会発令の期限付任用教員または産休・育業代替教員として東京都公立学校で任用されている方は、加点の対象になります。

Q. 特例選考ごとの合格率は分かりませんか?

A. 東京都は選考結果を校種等・教科別で公表しており、選考区分別の内訳は一部しか公表していません(東京教師養成塾生・国際貢献活動経験者の特別選考は結果資料に独立した行があり、3年生前倒し通過者選考・キャリア採用・カムバック採用・適性検査(SPI3)利用・免許取得期間の猶予希望者は報道発表の本文に受験者数・名簿登載者数等が載っています)。それ以外の「特例選考①の合格率」といった数字は算出できません。この記事で実績欄が「—」になっているのはそのためで、推定値は載せていません。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

特例選考で受験された方の「二次で何を聞かれたか」は、同じルートで受ける次の受験生にとって貴重な情報です。東京都を受験された方は、ぜひ教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

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