こんにちは、金井志津乃です!

横浜市の模擬授業って、当日に3つのテーマを出されて5分で考えるんですよね? それが変わったって聞いたんですが、本当ですか?

本当です。令和9年度採用から、模擬授業のテーマ(課題)が事前提示方式に変わりました。つまり学年や単元を自分で決めて(教科は小学校・特別支援学校区分のみ自分で設定)作り込んで臨む試験になったんです。当日その場で考える試験から、準備の質がそのまま出る試験へ。かなり大きな変更ですよ!
この記事では、横浜市公立学校教員採用候補者選考試験 第二次試験の模擬授業について、令和9年度採用の受験案内の条件と、受験者9件の実録テーマ・当日の流れをまとめます。
この記事の根拠
- 形式・条件・持込ルールは令和8年度実施の受験案内【夏実施】【春実施】および記者発表「ここが変わる!教員採用試験2026」と照合済み
- 令和6年度〜8年度採用(2023〜2025年夏実施)の受験者9件の実録から、実際に出たテーマ・当日の流れ・授業後の質疑を年度別に収録
- ※実録はすべてテーマが当日提示だった時代のものです。令和9年度採用からの新方式との違いも本文で整理しています。
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に模擬授業つきで新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
模擬授業の形式|30秒でわかる基本情報(令和9年度採用)
| 時間 | 約8分(受験案内に明記。8分間に準備・片付けの時間は含みません) |
| テーマ(課題) | 受験案内の公表と同時に公開=事前提示方式。示されるのは受験区分ごとの範囲で、学年・単元は自分で設定します(教科は小学校・特別支援学校区分のみ自分で設定。中学校・高等学校区分は受験教科)。 |
| 生徒役 | 面接員を児童生徒に見立てて授業をします。面接員とは授業の中で指示や発問等のやりとりをすることもできます。 |
| できないこと | 机間指導は禁止。号令・あいさつなどは不要(授業そのものを行う)。朝の会等の短い時間、個別支援学級・通級指導教室の指定はできません。 |
| どの場面でもよい | 導入・展開・まとめのどの分節を取り出して行っても構いません。 |
| 始め方 | 授業を始める際に、学年・教科・障害種等を発表してから始めます(受験案内の記載をご自身でも確認してください)。 |
| 使えるもの | 試験教室内の黒板とチョーク(白・黄)またはホワイトボードとマーカー(黒・赤)。 |
| 持込 | 「模擬授業テーマ兼メモ用紙」(ホームページに様式掲載。A4用紙1枚まで・両面印刷可・貼付禁止)のみ持込可。所定の様式を使わない場合もA4用紙1枚が限度。これ以外の物品・資料は持込不可。持込資料を見ながら授業をしてもよく、面接員への提出は不要。 |
| 養護教諭 | 模擬授業の代わりに模擬対応(場面指導)を実施します。 |
| 実施の順番 | 受験者報告では模擬授業 → そのまま同じ面接員と個人面接(約30分)→ 場面指導という流れでした。 |
※出典:令和8年度実施【夏実施】受験案内 p.10「(3)第二次試験 エ 試験内容」および【模擬授業】の表
受験区分ごとのテーマ(課題)
| 受験区分 | 模擬授業テーマ(課題) |
|---|---|
| 小学校 | 小学校における教科の授業(特別の教科道徳、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動は除く) |
| 中学校・高等学校 | 中学校における受験教科の授業(特別の教科道徳、総合的な学習の時間及び特別活動は除く) |
| 特別支援学校 | 特別支援学校における教科の授業(特別の教科道徳、外国語活動、総合的な学習の時間、総合的な探究の時間、特別活動及び自立活動は除く) |
| 高等学校(情報・商業・工業) | 高等学校における受験教科の授業(総合的な探究の時間及び特別活動は除く) |
※教科は小学校区分と特別支援学校区分のみ自分で設定します(中高・高校区分は受験教科)。障害種は特別支援学校区分のみ設定します。
出典:同上

ここ、読み飛ばさないでください。「道徳」「外国語活動」「総合的な学習の時間」「特別活動」は除外です。実録を見ると、以前は「クラス集会」(=特別活動)や「話し合い」「防災意識」「人権週間」といったテーマも出ていました。令和9年度採用(令和8年度実施)の方式では、これらの時間(道徳・総合・特別活動など)の授業は選べません。教科の授業一本で勝負します。
何が変わったのか|「当日にひらめく試験」から「作り込む試験」へ
横浜市教育委員会は令和8年2月10日の記者発表で、変更の理由をこう説明しています。「これまでは、模擬授業テーマ(課題)を試験当日に提示していたため、受験者は様々な課題に備え幅広い準備が必要でした。受験者の試験準備への負担を軽減し、より本市を選択・受験していただきやすくなるよう、模擬授業テーマ(課題)を事前提示方式に変更します。」
| 変更前(〜令和8年度採用) | 変更後(令和9年度採用〜) | |
|---|---|---|
| 受験案内の公表時 | 試験時間のみ | 試験時間・実施方法・テーマ(課題) |
| 試験当日 | 実施方法の説明 → テーマ(課題)の提示および授業構想 → 授業実施 | 授業実施のみ |
| 受験者報告での実際 | 3つのテーマが提示され、そこから1つ選択。控え室で5分構想(メモと鉛筆2本が配られ、移動時に鉛筆は回収。消しゴム不可という報告も)→ 部屋を移動して10分授業。 | —(令和8年10月時点で令和9年度採用の報告は未収録です) |
※出典:横浜市教育委員会 記者発表資料「ここが変わる!教員採用試験2026」(2026年2月10日)、令和8年度実施【夏実施】受験案内、当ブログに寄せられた受験者報告
この変更が意味すること
- 「その場のひらめき勝負」ではなくなった。以前は「事前に準備していたものとほとんどテーマが掠っていなかった」(受験者報告)という運もありましたが、令和9年度採用からは自分が一番自信のある単元で勝負できます。
- そのぶん「作り込みの差」が丸見えになる。全員が準備できる条件なので、教材研究の深さ・発問の練り方・板書計画の質が、そのまま評価の差になりやすいと考えられます。
- A4用紙1枚のメモが命綱。「模擬授業テーマ兼メモ用紙」を持ち込めます。板書計画・発問・想定される子どもの反応を、この1枚に凝縮しておきましょう。

準備できるようになった、ということは「準備していないことがバレる試験」になったということでもあります。ここからは、私が考える「合格する模擬授業」の中身をお話ししますね。
8分で何を見せるか|合格する模擬授業の3要素
模擬授業で高い評価を得る人には、はっきりした共通点があります。私は3つだと考えています。
- 子どもが見える。普段の子どもとの関わりが透けて見えること。リアルな反応や疑問を想定できていること。横浜市は面接員が児童生徒役で、やりとりもできます。「この発問なら、どんな答えが返ってくるか」を想定しておいてください。
- 意図が見える。発問のタイミング、立ち位置、板書のどこに何を書くか。すべてに理由があること。事前提示方式になった令和9年度採用でも、ここは大切にしたいポイントです。
- その人らしさが光る。授業を通して伝えたい思いがあること。8分は短いですが、「この人の授業を受けたい」と思わせるには十分です。
そして評価のポイントを、私は次の3観点で整理しています。①教師としての雰囲気(声量・目線・話す速さ・姿勢)、②授業構成(目標の提示・流れの明示・興味を引く導入)、③対話を入れるスキル。横浜市は机間指導が禁止なので、①の「立ち位置と目線」でカバーする工夫が要ります。
「落ちる授業」と「受かる授業」の違いは、実演で見るのが一番早いです。知識を一方的に説明する授業と、子どもの当事者感を引き出す導入の授業。同じ単元でどう変わるかを比較しました。
授業のあとが本番|質疑があったという報告が複数あります
受験者報告には、模擬授業の直後に質疑があったという例があります(ある報告では2〜3分でした)。しかもその質問が、かなり具体的でした。
- 今後の授業の流れについて教えてください。(=この1時間の続きをどう組み立てるか)
- この授業で意識したところはどのようなところですか。
- (1年生の生活科で端末を使う授業をした受験者に)この時期、端末をどの程度使えると想定していますか。
- (同)何をしたら良いか分からないという児童は何名いると想定しますか。→ その児童にどのように支援しますか。
※出典:当ブログに寄せられた受験者報告(令和6年度採用)

「何名いると想定しますか」——ここまで聞かれた報告があります。つまり授業のあとの質疑では、「その授業を、実際のクラスでどう回すつもりか」が問われる場合があります。だから準備するのは8分の台本だけではありません。①単元のどこを切り取ったのか ②この時間のあとどう続くのか ③つまずく子は何人いて、どう支援するのか——この3つを、A4のメモ用紙の裏にでも書いておいてください。
過去の受験者からは、質疑が終わるとそのまま同じ面接員と個人面接に入ったとの報告があります(令和9年度採用の個人面接は約30分)。模擬授業の余韻を引きずったまま面接が始まるので、切り替えの練習もしておきましょう。
【資料編】実録9件|実際に出た模擬授業テーマ(令和6年度〜8年度採用)
ここからは、受験者の報告を年度別・校種別に収録します。すべてテーマが当日提示だった時代のものですが、「横浜市がどんな題材を教員に授業させたいと考えているか」を考える手がかりになります。事前提示方式になった令和9年度採用でも、自分で単元を選ぶときの発想の参考になります。
令和8年度採用(2025年夏実施)
- 【小学校】「円柱」「発芽」「話し合い」の中から1つ選んで10分の模擬授業。45分のうちのどこかを切り取って、試験官2人を児童役として実施。テーマ選択と授業案の構想は控え室で5分間行い、その後に部屋を移動。
- 【小学校】「防災意識」「手紙」「人権週間」
令和7年度採用(2024年夏実施)
- 【小学校】「交通安全」「修飾語」ほか計3つのテーマから1つを選択。
——交通安全を選び、2年生の学校探検後に危険スポットの地図を作る授業を実施したという報告。
令和6年度採用(2023年夏実施)
- 【小学校】「円」「色の使い方」「将来の夢」の3つから1つを選択。
——「事前に準備をしていたものとほとんどテーマが掠っていなかったが、なんとかこじつけで授業を行った」という感想つき。 - 【小学校】「角の大きさ」「楽器」「クラス集会」から選択。
——クラス集会を選び、3年生・道徳・他者との関わりで10分実施。めあて+発問2回という構成メモが残っています。 - 【小学校】「角の大きさ」「楽器」「クラス集会」(配布された紙に記載)から1つ選び、5分で構想(鉛筆2本が配られる。消しゴムは使えない)→ 面接官のいる教室へ移動して10分授業→ 2〜3分の質疑応答。
——授業開始のあいさつは不要と事前説明あり。面接官2名の机に「Aさん」「Bさん」と書いた紙が貼ってあり、授業中に指名してもよいとの説明。1年生の生活科で端末を活用する授業を実施。 - 【小学校】「約数と倍数」「スケッチ」「時間の大切さ」から1つ選んで10分(検討時間5分)。
——学年・科目などは自分で設定し、模擬授業の前に申告。原則として通常学級向けの授業(特別支援学級・複式学級は除外)。 - 【中学校・数学】指定された3つのテーマから1つ選択(そのテーマであれば授業のどの場面を切り抜いてもよい)。テーマ例は「連立不等式/円に内接する四角形/道徳の内容」「文字式の利用/データの分布/防災」。
——構想5分・授業10分。試験官2人(横浜市教育委員会事務局と管理職)が生徒役で、授業中に必ず指名しなければならない。号令や挨拶は行わない。線が引いてあり、そこから先に入れない。道具は受験会場によって異なり、市庁舎はホワイトボードと赤・黒のペン、高校会場は黒板と白・黄チョーク各2本。説明を聞いた部屋で全員一斉に5分間構想(メモと鉛筆2本が配られ、移動時に鉛筆は回収)。受験者が一斉に入室し、注意事項の説明後に模擬授業。終わったらそのまま個人面接に移る。 - 【中学校・英語】「ボランティア」「お弁当」「体育祭」の中から1つ選んで授業。
横浜市の模擬授業の実録は令和8年10月時点で9件です。令和9年度採用(2026年夏実施)から事前提示方式に変わったので、この年の報告は特に貴重です。受験された方は、ぜひ次に受験する方のために教えてください。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。
実録から見えた4つのポイント
- 「1単位時間の授業を想定し、その一部を取り出す」が横浜市の基本。受験案内でも「導入、展開、まとめのどの分節を取り出して行っても構いません」と明記されています。8分で1時間を詰め込まない。切り取った場面の前後を語れるようにしておくと安心です。
- 過去の受験者報告には、指名を求められた例と、指名してもよいと案内された例があります。ある報告には「授業中に必ず指名しなければならない」、別の報告には「面接官の机に『Aさん』『Bさん』と書いた紙が貼ってあり、指名してもよい」とあります。面接員を子どもとして扱えるかが見られていると考えられます。
- 会場や年度によって黒板かホワイトボードかが変わる場合があります。受験案内も「黒板及びチョーク(白・黄)又はホワイトボード及びホワイトボードマーカー(黒・赤)」と両方を挙げています。どちらでも同じ板書ができるように練習してください。
- 学年・教科は先に申告しておくと安心です。受験案内に「授業を始める際に、学年、教科、障害種等を発表してください」と明記。報告にも「模擬授業の前に申告します」とあります。ここで面接員の頭の中に「何年生の教室」が立ち上がります。短く、はっきりと。
横浜市は神奈川県・川崎市・相模原市とは別の試験です。模擬授業の条件もこれだけ違います。
- 時間:横浜市は約8分(準備・片付けを含まない)/神奈川県は10分(準備と片付けを含む)
- 指導案:横浜市は提出不要(A4用紙1枚のメモを持込可)/神奈川県はA4用紙1枚の指導案を当日提出
- 生徒役:横浜市は面接員/神奈川県は受験者報告では他の受験者
準備の作り方がまるごと変わります。併願する方は、早い段階で切り分けておいてください。
■ 神奈川県の模擬授業はこちら
よくある質問
Q. 結局、時間は8分ですか? 10分ですか?
A. 令和9年度採用の受験案内には「模擬授業 約8分」と明記されています(春実施も同じ)。一方、令和6年度〜8年度採用の受験者報告のうち、時間が記録されている5件はすべて「10分」でした。受験案内の変更点欄に時間の変更は明記されていませんが、いま準備するなら8分を基準にしてください。なお8分に準備・片付けの時間は含まれません。
Q. 指導案は提出しますか?
A. 提出しません(令和9年度採用の受験案内では)。受験案内には「持込資料を見ながら授業を行っても構いません。面接員への提出は不要です」と明記されています。持込資料はA4用紙1枚まで(両面使用可・貼付不可)で、所定の「模擬授業テーマ兼メモ用紙」以外の様式も使えます。神奈川県のように指導案を作って提出する必要はありません。
Q. ICT機器や教材(模造紙・ワークシートなど)は持ち込めますか?
A. 令和9年度採用の受験案内では、持ち込めません。受験案内に「この他の物品及び資料の持込みはできません」と明記されています。A4用紙1枚のメモ以外は不可、と考えてください。使えるのは試験教室の黒板・チョーク(白・黄)またはホワイトボード・マーカー(黒・赤)だけです。「板書だけで成立する授業」を設計する必要があります。
Q. 机間指導ができないと、何を見せればいいですか?
A. 受験案内に「机間指導は禁止します」とあります。歩き回れないぶん、見せられるのは①発問の質 ②面接員(=子ども)とのやりとり ③板書の構造です。受験案内には「面接員とは、授業の中での指示や発問等のやりとりをすることもできます」とも書かれています。やりとりを設計に組み込んでください。また「試験教室内には机の置かれていない場所があるが、その場所に面接員以外の児童生徒がいる想定で授業を行っても構わない。ただしその場合は、面接員以外の児童生徒とのやりとりのみで終わりとせず、面接員とのやりとりも含めるように」とも明記されています。
Q. 個別支援学級や特別支援学級の設定で授業してもいいですか?
A. できません。受験案内に「朝の会等の短い時間や、個別支援学級(特別支援学級)、通級指導教室の指定はできません」と明記されています。受験者報告にも「原則通常学級向けの授業。特別支援学級や複式学級は除外」とありました。なお特別支援学校区分の方は、障害種を自分で設定して特別支援学校の教科の授業を行います。
Q. 養護教諭も模擬授業をしますか?
A. いいえ。養護教諭は模擬授業の代わりに模擬対応(場面指導)を実施します(受験案内に明記)。他の区分は個人面接の中で模擬対応を2分程度行いますが、養護教諭は模擬授業の枠でそれを行う形です。
■ 横浜市の場面指導(模擬対応)|実録の全場面と2分の型
Q. 春実施の模擬授業も同じですか?
A. 内容は同じです。春実施(小学校のみ)の第二次試験も模擬授業 約8分+個人面接 約30分(面接の中で模擬対応2分程度)で、テーマも「小学校における教科の授業(特別の教科道徳、外国語活動、総合的な学習の時間及び特別活動は除く)」。持込ルールもA4用紙1枚まで、机間指導禁止と同じです。違いは春実施の教室はホワイトボードとマーカー(黒・赤)と記載されている点、そして論文と実技がない点です。
この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます
事前提示されたテーマを当日どう授業にしたか、教室の様子、授業後にどんな質問が来たかは、受験した方の報告が参考になります。特に令和9年度採用(2026年夏実施)は事前提示方式になった最初の年です。受験された方は、ぜひ次に受験する方のために教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。
■ 横浜市の面接カードの書き方|約30分の面接で深掘りされる欄を実録から逆算
■ 横浜市の倍率|令和9年度採用の一次結果と7年間の推移
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