こんにちは、金井志津乃です!

奈良県の二次って、面接の前に「詩を読んでください」って言われるって本当ですか? しかも集団面接なのに、中身は討論だと聞いて混乱しています……。

どちらも本当です! 高校・国語の個人面接では、「机の上に伏せてある教材を読むところから始まる」という報告があります。そして「集団面接(討議)」という名前ですが、受験者の報告では、中身は集団討論の形式でした。名前に惑わされず、実際に何が行われたかから逆算していきましょう!
この記事では、奈良県(大和高田市と共同実施)公立学校教員採用候補者選考試験の第2次試験——集団面接(討議)と個人面接について、実際に受験した方々からご提供いただいた「生の質問」2年分をもとに、内容・流れ・傾向と対策をまとめます。
この記事の根拠
- 令和9年度採用(2026年夏実施)の受験者報告1件を追加収録
- 令和6・7年度採用(2023・2024年夏実施)の受験者7名の実録を、年度別・校種別に収録(すべて無料で読めます)
- 市販の全国版過去問集4年分(令和4・5・6・8年度採用)の奈良県分153問を独自に集計——奈良県に特有の出題の偏りがデータで分かります(令和7年度採用分は収録がないため4年分としています)
- 日程・配点は令和9年度採用の受験案内と照合し、評価の観点は「2次試験実施案内」(教職員課Webサイト)の記載をもとにしています
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
出願:4月22日(水)9:00〜5月15日(金)17:00(奈良スーパーアプリでのみ受付。郵送・持参は不可)
第1次試験(筆記):6月13日(土)/実技:6月14日(日)/第1次試験結果発表:7月8日(水)
第2次試験・集団面接(討議):7月18日(土)・19日(日)のいずれか指定された1日
第2次試験・個人面接:8月6日(木)〜10日(月)、12日(水)〜14日(金)のいずれか指定された1日
最終合格発表:9月4日(金)(結果はWebサイト掲載・奈良スーパーアプリ・文書で通知されます。時刻などの詳細は、当該年度の結果案内でご確認ください)
奈良県の二次で見落としてはいけないのが、集団面接と個人面接が別日だということ。7月中旬に集団面接(討議)があり、そこから約3週間空けて8月に個人面接があります。「二次=1日で終わる」つもりで予定を組むと崩れますので、8月中旬まで丸ごと空けておいてください。※この日程は令和9年度採用のものです。令和10年度採用の日程は、受験案内の公開後に必ず当該年度の実施要項でご確認ください。
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
第2次試験の形式|30秒でわかる基本情報
| 科目と配点 | 原則として集団面接(討議)100点+個人面接300点=400点(全校種共通・受験案内より)。ただし、障害者特別選考で全国障害学生支援ならネット修了証を提出する該当者は、集団面接(討議)が免除されます。第2次試験に筆記や小論文はありません。 |
| 集団面接(討議) | 受験者6〜7名・面接官2名という報告が中心。A4のメモ用紙が配られ、1〜2分考える時間のあと1人ずつ意見を述べ、そこから自由討議へ。司会は立てなくてよく、結論も出さなくてよいという説明があったと、複数の受験者が報告しています。 |
| 個人面接 | 令和6・7年度は面接官2名、令和9年度小学校は3名・30分という報告もあります。1人が教科指導の質問、もう1人が場面指導・経歴の質問を担当した、という報告があります。 |
| 高校・国語で報告された流れ | 机の上に伏せて置かれた教材(詩・古文など)を読むところから始まるという報告が高校・国語で複数。読む→音読・朗読する→「どこに気をつけたか」→「授業でどう扱うか」と展開します。 |
| 教科指導の質問の範囲 | 出願した校種・教科等について、学習指導要領の目標に沿った質問が行われます。どの校種・教科でどの目標が扱われるかは、2次試験実施案内(7月3日公開)に表で明記されます。 |
| 英語による質問 | 小学校英語選考、中学校・高等学校の外国語(英語)、国際バカロレア教員選考の受験者には英語による質問があります(受験案内・2次試験実施案内より) |
| 小論文 | 実施されません。第1次試験は原則として教職教養・教科専門で、対象教科は実技も実施します。社会人・大学院選考は第1次試験で個人面接を実施します。 |
| 自己PR欄 | 令和6年度採用の受験者報告では、奈良県の出願様式(一般選考)に自己アピールや志望動機を書く欄がなかったとのことです(令和9年度採用は奈良スーパーアプリでの出願になったため、入力項目は出願画面でご確認ください。社会人選考・大学院選考は自己推薦文2,000字以内の提出が必要です)。面接の場でしっかり伝える準備をしておくと安心です。 |
もうひとつ、評価の観点を確認しておきましょう。2次試験実施案内(教職員課Webサイト。受験案内では2026年7月3日(金)公開予定とされていました)に、次のように記載されています。
集団面接(討議)/教員としての職務を遂行するのにふさわしい能力・適性をもった人物を選考する。集団の中で発揮される資質や能力を評価する。
① 論理的思考力 ② 発信力 ③ 受信力 ④ 社会性・対応力
個人面接(教科指導)/思考力・判断力・表現力等を育て、発達の段階に応じた課題解決能力を育成するための教科指導力を有しているかを問う。
① 表情・姿勢・態度 ② 表現力・的確な応答 ③ 専門的知識・理解 ④ 指導方法・創意工夫
個人面接(人物)/自立した社会人としての豊かな人間性、教育者としての識見、資質・適性等、総合的に優れた人物を選考する。
① 自立した社会人としての豊かな人間性 ② 自己成長に向けた探究心 ③ 問題解決や社会の変化に柔軟に対応できる能力 ④ 教育者としての識見、資質・適性
ここまでを整理すると、奈良県の二次対策は次の3ブロックになります。
| 時期 | 科目 | 準備の軸 |
|---|---|---|
| 7月中旬 | 集団面接(討議)100点 | 6〜7人でテーマを深める型。結論を出さなくてよい形式だからこそ「深める貢献」で差がつく。 |
| 8月上〜中旬 | 個人面接 300点 | 教科指導:学習指導要領の目標+「この教材をどう授業するか」を言語化する |
| 場面指導・経歴:追質問(保護者からの電話まで)の想定+自己PR欄がない分の「自分の言葉」 |

配点を見てください。個人面接が300点、集団面接が100点。個人面接は集団面接の3倍の重みがあります。まずは個人面接、とりわけ教科指導の質問に一番時間をかけることをおすすめします。面接対策の全体像は、こちらの動画で先に土台を固めておくとスムーズですよ!
奈良県の倍率|令和9年度採用は合格倍率3.9倍(最終結果)
令和9年度採用(2026年夏実施)は、出願状況(2026年5月)・第1次試験の結果(2026年7月8日)に続いて、第2次試験の結果が2026年9月4日(金)に公表されました。全体で2次合格388人・合格倍率3.9倍(令和8年度採用は4.1倍)です。
| 校種等 | 採用予定 | 出願者 | 1次免除者 | 1次受験者 | 1次合格者 | 1次合格倍率 | 2次合格者 | 2次合格倍率 | 合格倍率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 小学校 | 155人 | 560人 | 350人 | 182人 | 139人 | 1.3倍 | 155人 | 3.2倍 | 3.4倍 |
| 中学校 | 100人 | 431人 | 170人 | 225人 | 152人 | 1.5倍 | 99人 | 3.1倍 | 4.0倍 |
| 高等学校 | 75人 | 331人 | 94人 | 209人 | 135人 | 1.5倍 | 75人 | 2.9倍 | 4.0倍 |
| 特別支援学校 | 40人 | 107人 | 47人 | 54人 | 41人 | 1.3倍 | 40人 | 2.1倍 | 2.5倍 |
| 養護教諭 | 12人 | 128人 | 47人 | 75人 | 34人 | 2.2倍 | 12人 | 6.4倍 | 10.2倍 |
| 栄養教諭 | 4人 | 28人 | 3人 | 24人 | 11人 | 2.2倍 | 4人 | 3.5倍 | 6.8倍 |
| 実習助手・寄宿舎指導員 | 3人 | 32人 | 18人 | 12人 | 10人 | 1.2倍 | 3人 | 9.0倍 | 10.0倍 |
| 合計 | 389人 | 1,617人 | 729人 | 781人 | 522人 | 1.5倍 | 388人 | 3.1倍 | 3.9倍 |
※1次合格倍率=1次受験者数÷1次合格者数、2次合格倍率=2次合否対象者数÷2次合格者数、合格倍率=受験者数÷2次合格者数(いずれも奈良県教育委員会の公表値)。1次受験者数=出願者数−1次免除者数−欠席者数(欠席者は全体で107人)で、県の「受験者数」(全体1,510人)は1次免除者を含みます。出願時倍率(出願者数÷採用予定者数)は全体4.2倍。令和9年度の3年次選考の出願264人はこの表に含みません。一方、この表の2次合否対象者・2次合格者には、令和8年度3年次選考の最終面接合格者を含みます。
出典:奈良県教育委員会「令和9年度 奈良県・大和高田市公立学校教員採用候補者選考試験 1次試験の結果」(令和8年7月8日)、「同 2次試験の結果」(令和8年9月4日)、「出願状況(資料1・資料2)」

この表で一番大事なのは、1,617人の出願者のうち729人(約45%)が1次免除だということ。奈良県は県内の常勤講師・3年次選考の合格者・カムバック選考など、一次が免除される人が半数近くいます。しかも2次合格倍率は3.1倍——一次の1.5倍よりはるかに厳しい。つまり二次の面接の比重が大きいと考えられます。この記事を読み込む価値は、そこにあります。
教科(科目)別の詳しい数字、令和3年度採用からの推移、二次だけの倍率は、専用記事にまとめています。
■ 奈良県の倍率|令和9年度採用の最終結果と7年間の推移・教科別の完全統計
■ 奈良県の特別選考と一次免除ルート|3年次選考・カムバック選考・大学等推薦・講師経験者・加点制度
令和9年度採用(2026年夏実施)の試験で実際に出た質問です。令和9年度採用の受験者から届いた報告を、追質問(→)までそのまま収録しています。
小学校|個人面接(面接官3人・30分/教科・場面指導・個人についての質問で3人が役割分担)
- 10年後の自分は、どんな教師になっていると思いますか。
- 長所と短所を教えてください。
- 今までで培ってきた自分の強みは何ですか。
- ストレス解消法は何ですか。
- 県内どこでも勤務できますか。
小学校|集団討論(受験者8名・司会やまとめ役は置かず、受験者同士は番号で呼び合う)
- 【集団討論】将来を考える力をつけさせるには、どうすればよいか。
小学校|場面指導(個人面接の中で口頭質問・ロールプレイ形式ではない)
- 【場面指導】ひとりぼっちでいる児童に、どのように対応しますか。(ロールプレイではなく口頭で答える形式)
小学校|筆記(教職教養・教科専門〔国語・社会・数学・理科・英語〕)
- 科目のみの報告。教職教養、一般教養〔国語・数学・英語・理科・社会〕。次年度から筆記試験の内容が大幅に変更されるとのこと。
出典:当ブログの受験報告フォーム(2026年9月18日時点・この自治体の報告1件)。
校種までの表記とし、個人が特定されうる記述は除いています。
① 教科指導についての質問|奈良県の個人面接は、ここが本丸
奈良県の個人面接の大きな特徴の一つがここです。受験案内には「個人面接において、教科指導についての質問を行います」と明記され、しかもどの学習指導要領のどの目標を扱うかが、校種・教科ごとに2次試験実施案内の表で示されるとされています。
- 出願した校種・教科等について質問される(小学校は出願時に選択した国語・社会・算数・理科・英語のいずれか(小学校英語選考は英語)、高等学校地理歴史は出願時に選択した領域=日本史・世界史・地理のいずれか)
- 質問は2次試験実施案内の表に示された学習指導要領の目標に沿って行われる。表に示された目標に加えて、出願した校種・教科等についての質問も行われる。
- 義務教育学校教員選考の受験者には小学校・中学校の両方の教科指導について質問される(教科は出願時に選択し、保有する免許状の教科に限る)
- 小学校英語選考、中学校・高等学校の外国語(英語)、国際バカロレア教員選考の受験者には英語による質問がある
そして高校・国語の受験者の報告に見られるのが、「机の上に伏せて置かれた紙」から始まるという流れです。
- 入室し、席の横に立って受験番号と名前を述べて着席(机と椅子が用意されている)
- 机上に伏せた紙が1枚置かれている(近代の詩、古典の冒頭など)
- 1分程度で目を通すよう指示される
- 音読・朗読するよう指示される
- 「どのような点に気をつけて読みましたか」→「これを授業で扱うならどうしますか」と展開(ここから教科の質問へ)
実際に受験者の報告にあった質問です。
- 【高校・国語】机上に伏せて置かれた紙の詩(近代の詩)を1分程度で読んでください。→ その詩を朗読してください。→ どのような点に気をつけて読みましたか。→ 言語文化の授業で近代の詩を扱うならどうしますか。
- 【高校・国語】(古典の冒頭に目を通し)音読してください。→ どんなところに気をつけて音読しましたか。→ これを授業で扱う際、どのようにしますか。→ 音読をすることで、どのような効果があると思いますか。
- 【高校・国語】国語は一方的な講義になりがちですが、どんな授業をしたいですか。→ 効果的だと思った問いかけは何ですか。→ 他にどんな方法がありますか。
- 【高校・国語】「古文、漢文を学ぶ意義って何」と生徒に問われたらどうしますか。
- 【高校・国語】国語の授業で「書くこと」が難しいという生徒にどのように指導しますか。→ それが効果的だと思う理由は何ですか。
- 【高校・英語/英語での質問】How are you?(簡単なやり取り)/Why are you interested in English language learning?/What skill is the most important?
- 【高校・英語】英語コミュニケーションⅠで「書く」に関するパフォーマンステストをどのように実施しますか。(1分間の構想時間あり)
- 【高校・英語】授業中、英語で話す活動を行う際に話し続けることのできないペアがいます。どのように指導しますか。/ALTとの授業において、どのように授業を行いますか。
- 【高校・数学】(受験者が知人から聞いた情報)図形と方程式を教えるにあたって、座標を使うことによるメリットは何ですか。→ その指導を行うにあたって、生徒に身につけさせられる見方・考え方は何ですか。
- 【高校・数学】(受験者が知人から聞いた情報)ICTを効果的に使える場面はどこですか。/協働的作業をどのような場面で取り入れたいですか。
- 【共通】ICTを授業でどう活用していますか。/電子黒板について教えてください(受験者が知人から聞いた情報)。(ICTは複数年・複数教科で出題)
私たちが集計した市販の全国版過去問集4年分(奈良県分153問)でも、「授業づくり」に関する質問が全体の約8%で最も多く、「ICT・端末」は全国平均より多い傾向がありました。一方で部活動に関する質問は4年間の153問のうち0件、志望動機を問う質問も全国平均より少ない傾向でした(母数が小さいため、目安としてお読みください)。奈良県は「授業ができる人かを聞く」比重が大きい傾向があると考えて準備してください。

教科指導の質問への答え方は、模擬授業対策とほとんど同じです。「この教材で、どんな力を、どうやってつけるか」が一本の線でつながっているかどうか。2次試験実施案内で自分の校種・教科の目標を確認したら、その目標を自分の言葉で言い換えるところから始めてみてください。
「ICTを授業でどう活用しますか」は、複数年の報告で出ている質問です。この質問は答え方で差が出るので、実演のbefore・afterで確認しておきましょう。
② 場面指導|個人面接の中で出題され、追質問が「保護者からの電話」まで伸びる
奈良県には「場面指導」という独立した科目はありません。個人面接の中で、口頭で「あなたならどうしますか」と問われる形式です(実演ではなく、質問に答える形式という報告が中心)。
そして受験者の報告に多いのは、追質問が「その後どうなるか」まで伸びること。とくに「保護者から電話がかかってきたらどうしますか」への接続が、複数の受験者・複数の年度で報告されています。実際の出題です。
- 【高校・国語】「授業がわからない」と言って周囲の生徒と雑談している生徒に、あなたはどのように対応しますか。→ 家に帰って生徒が保護者に「あの先生の授業わからん」と言い、保護者から「それはけしからん!」と電話がかかってきたらどう対応しますか。
- 【高校・国語】文化祭の出し物などで意見が割れ、多数決で決めたが、採用されなかった側の生徒が納得いかないと言っている。どうしますか。→ さらに納得してもらえない場合はどうしますか。→ 保護者から「うちの子の意見を聞いてもらえない」と電話があったらどうしますか。
- 【高校・英語】(受験者が知人から聞いた情報)決めごとで、多数決に負けて自分の意見が採用されなかったため文句を言ってきた生徒に対して、どのように対応しますか。(「多数決」を題材にした出題は複数の教科で報告あり)
- 【高校・英語】授業中、机間巡視をしていると悪口が書かれた紙が落ちているのを発見しました。授業後どのように指導しますか。→ 書かれている内容から悪口の対象となっている生徒が分かった場合、どのように指導しますか。→ 悪口の対象となった生徒に対して、どのように対応しますか。→ 悪口が書かれた生徒の保護者が動揺してしまった場合、どのように対応しますか。
- 【高校・数学】(受験者が知人から聞いた情報)あなたが担任を持っているクラスの生徒が「A先生に身体を触られた」と言ってきました。どう対応しますか。→ その生徒の指導の時に気を付けたいことは何ですか。
- 【中学校】授業中に塾の宿題をしている生徒にどう対応しますか。/マラソン大会で、走りたくない生徒にはどうしますか。
- 【共通】(受験者が知人から聞いた情報)掃除の指導をどのように行いますか。→ 掃除をする上で気をつけていることは何ですか。→ 生徒が納得して掃除するにはどうしたらよいですか。
- 【養護教諭・公刊の傾向より】保健室に頻繁に来室する児童生徒への対応、性の多様性に配慮した対応など、養護教諭には養護教諭固有の場面が出されています
公刊の集計でも、奈良県は「保護者対応」に関する質問の出現率が全国平均の約1.6倍と高く、逆に「体罰・服務・不祥事」は全国平均の3分の1でした。愛知県のように「不祥事はなぜ起こるか」を全員に聞くタイプではなく、「目の前の子どもと、その保護者にどう向き合うか」を掘るタイプだと考えてください。

どんな場面にも使いやすい3つのポイントは、①子どものメンツを守りながら問題行動を止める ②事実確認を徹底する ③生徒理解(背景の理解と、本人が今後どうしたいかの理解の両方)です。奈良県のように追質問が保護者まで伸びる場合は、この②の「事実確認」がしっかり答えられているかどうかで、後の展開が変わることがあります。
場面指導には「面接質問系」「個別対応ロールプレイ系」「一斉指導実演系」の3つの形式があり、奈良県は、受験者の報告では「面接質問系」が中心です。形式ごとのコツはこちらでまとめています。
③ 経歴・志望動機・人柄|「書く欄がない」からこそ、面接で語り切る
奈良県の出願は奈良スーパーアプリからで、提出書類は免除・加点・受験資格の証明書類が中心。令和6年度採用の受験者からは「奈良は職歴や賞罰歴などを書くだけで、自己アピールや志望動機を書く欄がありません。だからこそ面接の場でしっかりアピールする必要があります」という助言が届いています。受験者の報告では、個人面接の後半に、この「書かれていないあなた」について聞かれる流れが見られます。
- なぜ奈良県を志望しましたか。(複数年・複数校種の報告で確認)
- 奈良県内どこでも勤務できますか。/奈良県全域で働けますか。(複数の個人面接の報告で確認されています)
- (別の教科の免許を持つ方へ)なぜ今の教科に転身しようと思ったのですか。→ 前の教科を教えてくれと言われたらできますか。
- (非常勤での勤務が続いている方へ)その理由は何かありますか。→ 採用となったらフルタイムですが、大丈夫ですか。
- 教員にとって、一番大切な資質能力は何ですか。/教師以外に迷っていた仕事はありますか。
- 大学時代に力を入れていたことは何かありますか。/学生時代のアルバイトは何ですか。/何か部活動の経験はありますか。
- 周りからどのような人だと言われますか。→ そのように振る舞える理由は何ですか。→ 「それは違うよ」と思うことを言われたときはどうしますか。(複数の受験者が「周りからどう言われるか」を報告)
- どんなクラスを作りたいですか。/常勤として採用されたあとにしたい取り組みは何ですか。
- 今、現場で実際に子どもたちを見ていて、どんな力を養いたいと思いますか。
- (受験者が知人から聞いた情報)あなたが最近一番感動したことは何ですか。→ 逆に一番ショックだったことは何ですか。
- (出願時に提出した情報を見て)これまでの経験について詳しく教えてください。/何か資格はありますか。
公刊の集計でも、奈良県で目立つのは「誰にも負けないという自分の強みは何か」型の質問が複数年で出ていること、そして「今の子どもに足りていない力・つけさせたい力は何か」が繰り返し出ていることです。長所短所を「性格」で答えるのではなく、教育観とセットで答えるようにしてください。

「奈良県内どこでも勤務できますか」は、複数の受験者から報告されている質問です。受験案内の【共通受験資格】にも「県内どこにでも勤務できる人」と明記されていますから、「はい」+そこで何をしたいかを一言の形で準備しておくと安心です。
④ 集団面接(討議)|名前は「集団面接」、中身は集団討論
奈良県の第2次試験には「集団面接(討議)」という100点満点の科目があります。名前だけ見ると「順番に質問に答える集団面接」を想像しますが、実際には集団討論の形式で行われているという報告が複数あります。名称の「討議」とも合っています。
当日の流れ(受験者の報告より)
| 実施日 | 令和9年度採用は7月18日(土)・19日(日)のいずれか指定された1日(個人面接とは別日) |
| 人数 | 令和6・7年度は6〜7名1組という報告、令和9年度小学校は8名という報告があります。同じ校種・同じ教科でそろえられた回と、校種は同じで教科がばらばらの回の両方が報告されています(欠席が出て5名で実施された報告も)。 |
| 面接官 | 2名(公刊の形式メモでも「面接官2人・受験者6〜7人」が最多) |
| 時間 | 報告では25分〜45分程度。「人数×5分だったと記憶している」という報告があり、公刊の形式メモでも「6〜7人・45分」「7人・25分」の両方が見られます。 |
| 呼び方 | 受験者同士は割り振られた番号で呼び合う(氏名は使わない)という報告 |
| メモ用紙 | A4のメモ用紙が配布される。内容は選考の対象にならないが、最後に回収される。 |
| 進め方 | 司会・タイムキーパーなどの役割は決めなくてよい。最終的に結論を出さなくてよい(試験官からの説明として複数の報告で一致)。 |
| 開始の型 | 1〜2分自分の意見を考える時間 → 1人ずつ1分程度で意見を述べる(番号順、あるいは意見がまとまった人・挙手した人から)→ 全員が話し終わったら自由討議へ |
| 時間の合図 | 試験官が残り10分・残り5分のタイミングで知らせてくれる、という報告 |
【実録】実際に出た討議テーマ
受験された方から届いたテーマです。1つのテーマを与えられ、そのテーマについて議論する、というシンプルな形式です。
令和7年度採用(2024年夏実施)
- 【高校】地域との連携(校種は高校でそろえられ、教科はばらばらのグループ)
- 【高校】多様性の尊重
- 【高校】防災教育(7人・25分ほど。2分の構想 → 1人ずつ挙手で意見 → 25分の討論)
- 【中学校】体罰・不祥事の根絶
令和6年度採用(2023年夏実施)
- 【高校】奈良の魅力発信(同校種・同教科の7人1組。1分の構想 → 1番の人から順に1分ずつ → 自由討議20分)
- 【中学校】不登校
市販の全国版過去問集4年分の集計でも、奈良県の討議テーマは「教育時事のキーワードを、そのまま名詞で出す」傾向が見られます。共生社会・人権・インクルーシブ教育といった人権と多様性、規範意識・生活習慣・清掃指導といった生徒指導の基本、ICT活用・主体的で対話的な学びといった授業改善、そして働き方改革・ワークライフバランスといった教員自身のこと。この4つの箱を用意しておくと、準備の抜けを減らしやすくなると考えられます。

ここでひとつ、受験された方から届いたとても実践的なアドバイスを紹介させてください。奈良県は県政情報センター(県庁東棟1階)で、過去5年分の1次筆記の問題・解答と、面接試験(集団面接の討議テーマ・個人面接の課題)を閲覧・コピーできます(令和9年度採用の受験案内に明記。コピーは1枚10円・開庁日9〜17時。著作権許諾の関係で一部閲覧できない箇所があります。利用前に当該年度の案内でご確認ください)。報告者いわく「前年度の予備だったテーマが、翌年度のテーマになる場合が多いようなので、閲覧に行って予備のテーマを確認しておくことをすすめる」とのこと。奈良県内・近郊にお住まいの方は、行く価値が大きいですよ。
評価の観点から逆算する|奈良県の4項目にどう応えるか
奈良県の集団面接(討議)の観点は①論理的思考力 ②発信力 ③受信力 ④社会性・対応力。ここに「受信力」が独立して入っているのが特徴です。つまり「聞く力」が評価の観点の一つになっていると考えられます。話した量ではなく、他の人の意見をどう受け取り、どう生かしたかが見られていると考えられます。
| 観点 | 本番でやること |
|---|---|
| ① 論理的思考力 | 結論→理由の順番で、30秒〜1分に整理して話す。そして必ずテーマに軸足を置く。「防災教育」がテーマなら、自分のエピソードも「だから防災教育ではこれが大事だと思った」という着地にする。 |
| ② 発信力 | 方策を出すだけで止めない。具体的な取り組み・留意点・工夫まで踏み込む。「〜が大事だと思います」で終わる発言と、「具体的には〜、その際は〜に気をつけます」まで言う発言では、聞き手の納得がまるで違います。 |
| ③ 受信力 | 「〇〇さんのお考えに共感しました。ですが」の“ですが”を封じる。「共感しました。具体的な方法として私は〜」「〇〇さんのお話を聞きながら、もう一つの視点として〜も大事だと思いました」と上乗せしていく。うなずき・「確かに」といった反応も受信力の一部です。 |
| ④ 社会性・対応力 | 提案で合意を得る。「まず1人ずつ考えを述べていくのはいかがでしょうか」「ここまで〇〇と〇〇の観点が出たという理解で合っていますか」。軌道修正したいときも「論点がずれている」とは言わず、テーマに合った進め方を提案するだけでOKです。 |

奈良県は「結論を出さなくてよい」形式です。ということは、結論をまとめること以上に、「議論をどれだけ深めたか」への貢献が大切になると私は考えています。私が採点者側として集団討論を見てきて、つい高評価をつけたくなるのは、多角的な視点が出て、具体的な取り組みや留意点まで深まり、参加者から「確かに」「なるほど」という気づきの反応が出ている討論。そういう討論を作れる人です。
これだけはやってはいけない|集団討論で避けたいNG
- 我を通す——自分と違う意見や反対意見が出たときに否定したり、苛立ちを顔や雰囲気に出したりしてしまうこと。素直に「なるほど」と一度受け入れてみることも大切です。
- 1回の発言が長い——7人で35分なら、1回30秒〜1分を複数回が目安。「1人ずつ1分で意見を述べる」という奈良県の開始の型は、そのまま自由討議中の目安にもなります。
- 論点がずれる——発言の前に今のテーマを確認する習慣をつけておくと、防ぎやすくなります
- 相手を見下す——集団討論では、講師の方と新卒の方が同じグループになることもあります。現場経験を「教えてあげる」トーンで話してしまうと、相手を見下す印象になりかねません。余計な一言は、できる限り言わないように心がけましょう。
「司会はやったほうがいいのか」「沈黙になったらどうするか」「論点がずれた人がいたら」——集団討論でよく出る3つの疑問には、こちらで答えています。
全国の自治体の討議テーマを180問以上集めた記事もあります。奈良県のテーマには全国の定番と重なるものもあるので、練習素材として使ってください。
■ 教員採用試験の集団討論【過去問180問超】|全国の実施テーマ
【資料編】年度別・受験者別 過去問アーカイブ|実録2年分を収録
ここからは、受験者の報告を年度別・校種別に整理して収録します。個人が特定される経歴・家庭の事情・固有のエピソードに関する質問は、省略または一般化しています。
令和7年度採用(2024年夏実施)|5名の実録
高等学校・国語(面接官2名。教科の質問をする面接官と、経歴・場面指導の質問をする面接官。机と椅子が用意され、受験番号を述べてから着席)
- 【教科】古典の冒頭に目を通す → 音読してください。→ どんなところに気をつけて音読しましたか。→ これを授業で扱う際どのようにしますか。→ 音読をすることでどのような効果があると思いますか。
- 【教科】国語は一方的な講義になりがちですが、どんな授業をしたいですか。→ 効果的だなと思った問いかけは何ですか。→ 他にどんな方法がありますか。
- 【教科】「古文、漢文を学ぶ意義って何」と生徒に問われたらどうしますか。/ICTを授業でどう活用していますか。
- 【場面指導】文化祭の出し物などで意見が割れ、多数決で決めたが、採用されなかった側の生徒が納得いかないと言っています。どうしますか。→ さらに納得してもらえない場合は。→ 保護者から「うちの子の意見を聞いてもらえない」と電話があったら。
- 【経歴・人柄】非常勤での勤務が続いていることに理由はありますか。→ 採用となったらフルタイムですが大丈夫ですか。/何か部活動の経験はありますか。/学生時代のアルバイトは何ですか。/どんなクラスを作りたいですか。/国語の免許を取ろうと思った理由は何ですか。/奈良県を志望した理由は何ですか。/どんな人だとよく言われますか。→「それは違うよ」と思うことを言われたときはどうしますか。/奈良県内どこでも勤務できますか。
- 【集団面接(討議)】6〜7名で1つのテーマを議論。時間は人数×5分程度だったと記憶している、との報告です。A4のメモ用紙が配られ、採点対象外だが最後に回収される。司会は立てなくてよく、結論も出さなくてよい。意見がまとまった人から1人ずつ話し、全員の意見が出そろったら自由論議へ。
※この方からのアドバイス:前年度の「予備」だったテーマが本年度のテーマになる場合が多いようなので、県庁の県政情報センターで過去問を閲覧し、予備のテーマを確認しておくとよい。
高等学校・英語(個人面接20分。教科に関する質問 → 場面指導的な質問 → 一般的な質問の順)
- 【英語での質問】How are you?(簡単なやり取り)/Why are you interested in English language learning?/What skill is the most important?
- 【教科】英語コミュニケーションⅠで「書く」に関するパフォーマンステストをどのように実施しますか。(1分間の構想時間のあとに回答)/授業中、英語で話す活動を行う際に話し続けることのできないペアがいます。どのように指導しますか。/ALTとの授業において、どのように授業を行いますか。
- 【場面指導】授業中、机間巡視をしていると悪口が書かれた紙が落ちているのを発見しました。授業後どのように指導しますか。→ 書かれている内容から悪口の対象となっている生徒が分かった場合は。→ 悪口の対象となった生徒に対しては。→ 悪口が書かれた生徒の保護者が動揺してしまった場合は。
- 【総合】(出願時に提出した情報を見て)これまでの経験について詳しく教えてください。/教師以外に迷っていた仕事はありますか。/アルバイトの経験はありますか。/何か資格はありますか。/周りからどのような人だと言われますか。→ そのように振る舞える理由は何ですか。/奈良県のどこでも勤務できますか。
- 【集団面接(討議)】テーマ「防災教育」。7人で25分ほど。教科も経歴も異なるメンバー。はじめに2分与えられ、個人で考えを整理。その後1人ずつ挙手で意見を述べたあと、25分の討論がスタート。
- 【一次・筆記】専門教科(英語)60分・マークシート方式+100字程度の英作文。第1問はリスニング(試験開始5分後に放送。前半は1回のみ、後半の「英語を聞いて要約文の空欄に入る語を選ぶ」問題は2回)。第2問以降は単語・文法が4〜5問、長文2つ、英作文(100字)。/教職教養45分・マークシート方式。この年は例年になかった「絵を見て答える問題」が出題された。
高等学校・美術
- 【集団面接(討議)】テーマ「多様性の尊重」
高等学校・国語(別の受験者)
- 【集団面接(討議)】テーマ「地域との連携」。校種は高校でそろえられ、教科がばらばらのメンバー。定員より1名欠席で5名での実施だった。
中学校・理科
- 【個人面接】教科指導・場面指導・その他、という構成だったとの報告(具体的な設問の記録はなし)
- 【集団面接(討議)】テーマ「体罰・不祥事の根絶」
令和6年度採用(2023年夏実施)|2名の実録
高等学校・国語(面接官2名〈報告者の教室では男女の組み合わせ〉。入室後、席の横に立って受験番号と名前を言って着席。机上に伏せた紙が1枚。前半10分は教科に関する質問を面接官1名とやり取りし、後半10分は経歴に関する質問)
- 【教科】机上に伏せて置かれた紙の詩(近代の詩)を1分程度で読んでください。→ その詩を朗読してください。→ どのような点に気をつけて読みましたか。→ 言語文化の授業で近代の詩を扱うならどうしますか。
- 【教科】国語の授業で「書くこと」が難しいという生徒にどのように指導しますか。→ それが効果的だと思う理由は何ですか。/国語の授業でICTをどのように活用しますか。
- 【場面指導】「授業がわからない」と言って周囲の生徒と雑談している生徒にどのように対応しますか。→ 家に帰って生徒が保護者に「あの先生の授業わからん」と言い、保護者から「それはけしからん!」と電話がかかってきたらどう対応しますか。
- 【経歴・人柄】なぜ前の教科から今の教科に転身しようと思ったのですか。→ 前の教科を教えてくれと言われたらできますか。/なぜ常勤ではなく非常勤を続けていたのですか。/なぜ奈良県を志望しましたか。/大学時代に力を入れていたことは何かありますか。/常勤として採用されたあとにしたい取り組みは何ですか。/今、現場で実際に生徒を見ていてどんな力を養いたいと思いますか。/県内どこでも勤務できますか。
- 【集団面接(討議)】テーマ「奈良の魅力発信」。同校種・同教科の7人1組。受験者同士は割り振られた番号で呼び合う。A4のメモ用紙が配布される(内容は選考の対象にならない)。1分間自分の意見を考える時間が与えられ、1番の人から順に1分間で意見を述べ、7番の人まで終わったら、そこから自由にグループで20分間討議する。残り10分・5分のタイミングで試験官が知らせる。最後にメモ用紙を提出して終了。
- ※この方からのアドバイス:奈良は職歴や賞罰歴などを書くだけで、自己アピールや志望動機を書く欄がないので、面接の場でしっかりとそこをアピールする必要がある。
中学校
- 【個人面接】なぜ、奈良県を志望しますか。/教員にとって、一番大切な資質能力は何ですか。/授業中に塾の宿題をしている生徒にどう対応しますか。/マラソン大会で、走りたくない生徒にはどうしますか。
- 【集団面接(討議)】テーマ「不登校」。これについて討論してください、との指示。
受験者から届いた「他の受験者の情報」
令和7年度採用の高校・英語の方が、同時期に受験した知り合いの方から聞いた質問も報告してくださいました(伝聞ですが、教科の質問の具体度がよく分かります)。
- 【高校・英語】電子黒板について教えてください。/ICTについて教えてください。/【場面指導】決めごとで、多数決に負けて自分の意見が採用されなかったため文句を言ってきた生徒に対して、どのように対応しますか。
- 【高校・数学】ICTを効果的に使える場面はどこですか。/協働的作業をどのような場面で取り入れたいですか。/図形と方程式を教えるにあたって、座標を使うことによるメリットは何ですか。→ その指導を行うにあたって、生徒に身につけさせられる見方・考え方は何ですか。
- 【高校・数学】【場面指導】あなたが担任を持っているクラスの生徒が「A先生に身体を触られた」と言ってきました。どう対応しますか。→ その生徒の指導の時に気を付けたいことは何ですか。
- 【共通】掃除の指導をどのように行いますか。/掃除をする上で気をつけていることは何ですか。/生徒が納得して掃除するにはどうしたらよいですか。/あなたが最近一番感動したことは何ですか。/逆に一番ショックだったことは何ですか。
令和6・7年度採用の実録は7名分です。加えて、令和9年度採用の小学校の報告を本文前半に掲載しています。特別支援学校・養護教諭・栄養教諭の報告は、この掲載分には含まれていません。受験された方の報告が、このページをさらに育てます。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。
傾向と対策|4年分の出題データと実録から見えた7つの法則
市販の全国版過去問集4年分(令和4・5・6・8年度採用・奈良県分153問)を独自に集計し、実録と突き合わせました。そこから見えた奈良県の法則がこちらです。
- 個人面接300点のうち、最初の主戦場は「教科指導」。集計でも「授業づくり」に関する質問が最多。しかも扱う学習指導要領の目標が事前に公開される——ここを読んでおくと、準備の方向を定めやすくなります。
- ICT・端末の質問は全国平均より多い傾向。「使います」ではなく「この単元のこの場面で、この目的で使います」まで。教科ごとに1つずつ実例を用意してください。
- 保護者対応は全国平均より多い傾向。とくに場面指導の追質問が「保護者から電話がかかってきたら」へ伸びる型が、複数の年度で報告されています。生徒対応と保護者対応をワンセットで組み立てましょう。
- 「部活動」の質問は公刊集計の4年間で0件、「志望動機」も全国平均より少ない傾向。ただし受験者の報告では「なぜ奈良県を志望しましたか」「学生時代の部活動の経験」も聞かれているため、他県の想定問答をそのまま持ち込むと準備の重心がずれる場合があります。奈良県は授業と生徒指導の比重が大きい傾向があります。
- 「外国籍・多様性」は全国平均より多い傾向。討議テーマにも「多様性の尊重」「共生社会の実現」「人権の尊重」が繰り返し登場します。奈良県には日本語指導教員選考もあり、県として力を入れている領域と考えられます。
- 「奈良県内どこでも勤務できますか」は複数の受験者から報告されている質問。受験案内の【共通受験資格】に「県内どこにでも勤務できる人」と明記されている以上、ここは迷いなく答えるところです。
- 集団面接(討議)は「結論を出さなくてよい」形式。まとめ役の椅子取りゲームではありません。①論理的思考力②発信力③受信力④社会性・対応力のうち、③受信力が独立した観点として置かれていることを忘れずに。
そして、追質問に強くなるコツは、面接官が「知りたい順番」を先回りして準備することです。この考え方は大学講演で詳しく解説しました。
令和7年3月に策定された「第3期奈良県教育振興大綱」(令和7年度〜10年度)は、目指す教育の方向性をこう掲げています。
「一人一人の可能性を最大限に引き出す教育 〜郷土奈良に誇りをもち、新たな価値を創造する力と、たくましく生きる力を育む〜」
5つの柱のうち、面接で使いやすいのは2番目です。
- 生きる力の基礎を培う就学前の教育を推進します
- 自ら学び、考え、意見を述べる力をはぐくむ学校教育を推進します(=問題発見・解決能力や意見を述べる力の育成。教育DXの推進、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実、特別支援教育の充実。郷土の歴史や文化を理解し、郷土奈良に誇りや愛着をもてるよう教育内容を充実)
- 学校における教育の基盤となる教育環境、体制の整備を推進します(働き方改革、教員が学び続けられる研修システム)
- 地域や家庭で学び支え合う社会の実現に向けた教育を推進します
- 誰一人取り残さない教育を推進します
柱2の「自ら学び、考え、意見を述べる力」は、個人面接の観点「思考力・判断力・表現力等を育て、発達の段階に応じた課題解決能力を育成するための教科指導力」と、集団面接の観点「論理的思考力・発信力・受信力」に通じると考えられます。教科指導の質問に答えるときは、この一本の線を意識してみてください。なお、「奈良の魅力発信」という討議テーマは令和6年度採用(2023年実施)の報告で、この大綱の策定(2025年3月)より前です。
また、『生徒指導提要(改訂版)』には現代の教育課題に合わせた生徒指導の在り方が書かれており、場面指導の追質問(とくに保護者対応・多様性への配慮)を考えるうえで参考になります。
よくある質問
Q. 「集団面接」と書いてありますが、集団討論とは違うのですか?
A. 奈良県の正式名称は「集団面接(討議)」です。2次試験実施案内でもカッコ書きで「討議」と明記され、評価の観点は「集団の中で発揮される資質や能力を評価する」。受験者からも、与えられたテーマについて討論する形式が報告されています。人数は6〜7人という報告に加え、欠席により5人、令和9年度小学校で8人という報告もあります。集団討論の対策をしておくと安心です。受験者の報告では、順番に質問へ答える形式ではありませんでした。
Q. 個人面接で「詩を読んでください」と言われるのは、全校種ですか?
A. 「机上に伏せた教材」からの出題は高等学校・国語の受験者から複数報告されているもので、全校種で行われると断定できる情報はありません。ただし「出願した校種・教科等について、学習指導要領の目標に沿った教科指導の質問を行う」ことは全校種共通(2次試験実施案内)。教材を渡されるかどうかは分かりませんが、「自分の教科の指導について、その場で考えて答える」準備は全員に必要です。
Q. 小論文(論作文)はありますか?
A. ありません。受験案内の第1次試験は原則として「教職教養」と「教科専門(対象教科は実技も実施)」で、社会人・大学院選考では個人面接を実施し、第2次試験は「集団面接(討議)」と「個人面接」のみです。ただし社会人選考・大学院選考の受験者は「自己推薦文(様式自由・2,000字以内・日本語に限る)」の提出が必要で、大学院選考はさらに「大学院での研究の概要(A4用紙3枚程度)」も必要です。この2つの選考を受ける方は、実質的に「書く準備」が要ります。
Q. 過去問はどこで見られますか?
A. 令和9年度採用の受験案内に明記されています。過去5年分の1次筆記試験の問題および解答、面接試験(集団面接の討議テーマ・個人面接の課題)を、県政情報センター(県庁東棟1階)で閲覧・コピー(有料・1枚10円)できます。利用時間は開庁日の9時から17時まで。※著作権許諾の関係で一部閲覧できない箇所があります。閲覧できる範囲が広い制度なので、通える方はぜひ活用してください。
Q. 面接の点数は教えてもらえますか?
A. はい。令和9年度採用の受験案内によると、第2次試験は受験者全員が、結果発表の翌日から1か月間、総合得点・順位・各試験の得点の開示を受けられます(第1次試験は不合格者が対象。1次合格者は2次の期間内に1次の結果も併せて提供)。受験者本人が奈良県教育委員会事務局教職員課(県庁内)へ、受験票または顔写真のある身分証明書を持参して、口頭で申し出る方式です。電話やはがきでは受け付けられません。次の受験に向けて「どの科目で何点足りなかったか」を知るのは、対策の出発点です。
Q. 大和高田市を受けたい場合は?
A. この試験は「奈良県・大和高田市公立学校教員採用候補者選考試験」として、奈良県教育委員会と大和高田市教育委員会が共同で実施しています。受験案内も1冊です。この記事の内容はそのまま当てはまります。
Q. 令和10年度採用から何か変わりますか?
A. 受験案内の最終ページに大きな予告があります。奈良県教育委員会は「教員採用選考に係る第一次選考の共同実施に関する自治体協議会」に参画しており、令和10年度採用(令和9年に実施)の試験から、中学校・高等学校の外国語(英語)は教科専門の筆記試験を実施し、英語資格は加点対象のみとなります。令和9年度採用まで英語資格が最大200点として得点化されていた仕組みが変わるということなので、英語で受験予定の方は必ずご確認ください(令和10年度採用の受験案内が公開されたら、必ず当該年度の実施要項でご確認ください)。
面接の手応えが気になる方へ
奈良県の令和9年度採用では、個人面接が8月上〜中旬、最終合格発表が9月4日でした。面接から発表まで3週間から1か月ほどあります。「あの答えでよかったのか」と面接を何度も再生してしまう時期ですよね。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由はこちらの記事にまとめています。
■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由
また、他の自治体と併願する方は、形式の違いを押さえておくと準備がブレません。東京都や愛知県など、自治体によって個人面接の形式(時間・人数・回数)が異なります。奈良県のように「教科指導の質問」が正面に来る自治体は、私が見た範囲では多くないので、併願先ごとに当該年度の実施要項で形式を確認し、準備の重心を変えてください。
■ 東京都教員採用試験の個人面接|過去問200問・3年分の実録と傾向対策
この記事では、受験者の皆さんからの情報提供と、公刊過去問の情報をそれぞれ参照しています。ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございます。応援しています!
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