こんにちは、金井志津乃です!

京都市の教採って、京都府とは別の試験なんですよね? 二次の集団討議がなくなったって聞いたんですが、じゃあ何が出るんでしょうか……

そうです、京都市は京都府とはまったく別の試験。そして令和9年度採用から二次の集団討議が廃止され、個人面接に変わりました。一般選考では原則として一次と二次で個人面接が2回あります(一次全部免除等は区分により異なります)。ここを知らずに準備すると出遅れます!
この記事では、京都市立学校教員採用選考試験の個人面接について、実際に受験した方からご提供いただいた「生の質問」と、公表資料から読み取れる出題傾向をまとめます。あわせて、二次で最大の配点をもつ模擬授業(60点)、一次の面接内で行われる場面指導、そして令和8年度採用まで実施されていた集団討議についても整理します。
この記事の根拠
- 令和6年度採用(2023年夏実施)の受験者3名の実録を、校種別に収録しています(すべて無料で読めます)。「受験者3名」は正直な数字です。報告が届くたびにこのページを更新します。
- 令和4年度〜8年度採用(2021〜2025年夏実施)の出題傾向を独自に集計——京都市に特有のテーマが、全国平均との比較でデータとして見えます
- 日程・試験内容・配点・特別選考は令和9年度採用の実施要項(京都市教育委員会)と照合済み
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
出願:4月1日(水)9時〜4月30日(木)正午受信分まで(電子申請・志願書はエクセル様式)
第1次試験(筆記):6月13日(土)
第1次試験(個人面接):6月14日(日)・20日(土)・21日(日)のうち指定する1日
第1次試験の結果発表:7月下旬(令和9年度採用は7月24日に発表)
第2次試験(論文・模擬授業・個人面接・実技):8月7日(金)〜9日(日)のうち指定する2日
第2次試験の結果発表:9月中旬
出典:京都市教育委員会「令和9年度京都市立学校教員採用選考試験実施要項」。
筆記と個人面接が別日なのが京都市の特徴で、一次だけで2日間かかります。二次は3日間のうち2日を指定される形です。※令和10年度採用の日程は、実施要項の公開(令和8・9年度採用では3月上旬)後に更新します。なお、筆記試験日(令和9年6月12日(土))は先行して発表されています。
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
京都市の面接|30秒でわかる基本情報
| 個人面接の回数 | 一般選考は原則として一次と二次で計2回(一次全部免除等は区分により異なります)。一次は筆記とは別日に実施(実施要項に「場面指導等を行う場合があります」と明記)。 |
| 配点(一般選考) | 第1次:一般・教職教養筆記30点/専門筆記100点/実技30点/個人面接70点 第2次:論文20点/模擬授業60点/個人面接35点/実技30点 |
| 面接官・時間 | 受験者報告の形式メモでは面接官2人がほぼ全件。時間は10分と15〜20分の2パターン(要項には記載がありません)。 |
| 場面指導 | 一次の個人面接の中または最後に組み込まれる形。1分程度で実演という報告が中心。考える時間は「30秒」または「なし」 |
| 模擬授業 | 二次で実施(大学3回生等JUMP UP・大学3回生等コースは第1次のみで二次はありません)。60点=二次の最大配点。令和9年度採用の実施要項では、幼・小・中・養護・栄養は一次結果発表日頃に教科・学年・単元が指定され、指導案を作成して当日持参とされています。 |
| 集団討議 | 令和9年度採用から廃止(個人面接に変更)。令和8年度採用まではグループ討議が二次にありました。 |
| 論文 | 二次で実施(20点)。600字程度が中心(詳しくは小論文の記事へ)。 |
| 評価の観点 | 実施要項に観点の明記はなく、配点のみ公表されています(「求める人物像」は要項冒頭に掲載) |
京都市対策の最重要ポイントは、この配点の形にあります。個人面接は一次70点+二次35点=105点、模擬授業は60点。合わせて165点——専門筆記100点の1.6倍です。京都市は、面接と模擬授業の配点が大きい自治体です。
| 試験 | 科目 | 配点 | 準備の軸 |
|---|---|---|---|
| 第1次 | 一般・教職教養筆記(30分) | 30点 | 常勤講師・社会人経験者などは免除/論文に振替(免除ルート) |
| 第1次 | 専門筆記(50分〜110分) | 100点 | 一次の最大配点。校種・教科で時間が異なる。 |
| 第1次 | 実技(英語リスニング) | 30点 | 中学校・高等学校の英語のみ |
| 第1次 | 個人面接 | 70点 | 場面指導を含む。筆記とは別日。 |
| 第2次 | 論文 | 20点 | 施策論述型と服務事例型の2系統 |
| 第2次 | 模擬授業 | 60点 | 二次の最大配点。事前に指導案を作って持参(校種による)。 |
| 第2次 | 個人面接 | 35点 | 令和9年度採用から新設(集団討議に替えて) |
| 第2次 | 実技 | 30点 | 中学校の音楽・美術・保健体育・英語/高校の英語/養護教諭(救急処置等) |
※出典:京都市教育委員会「令和9年度京都市立学校教員採用選考試験実施要項」(参考3 令和9年度採用選考試験の配点)。
現職教諭特別選考とフロンティア特別選考保健体育コースは、一次の個人面接が80点(最大10点の加点を含む)になります。
- 第2次試験の集団討議を廃止し、新たに個人面接を実施。これに伴い、二次の実施期間が2日間から3日間に変更(各受験者は従来どおり2日間)。配点の変更はありません(広報資料に「集団討議から個人面接への変更による試験の配点の変更はありません」とあります)。
- 中学校の採用予定数を大幅増(120名程度→180名程度)。中学校35人学級の実施を踏まえたもので、特に数学・理科はそれぞれ30名以上を採用予定。
- 社会人経験者チャレンジ制度の要件を「連続3年以上」から「連続2年以上」に緩和
- 第1次試験の加点対象に「京都教師塾の卒塾生」を追加(5点・加点上限は10点)
- 大学・大学院推薦制度の対象に「高等学校 国語」「高等学校 英語」を追加
出典:京都市教育委員会 広報資料「令和9年度(令和8年度実施)京都市立学校教員採用選考試験について」(2026年3月3日)・実施要項<昨年度からの主な変更点>

集団討議がなくなったからといって、討議のテーマ研究が無駄になるわけではありません。教育テーマは、面接でも集団討論でも小論文でも問われうるので、これまで討議で問われてきたテーマも、自分の考えをすぐ話せるようにしておけば無駄になりません。この記事の後半でその中身を整理しますね。まずは面接全体の土台から!
京都市の倍率|令和9年度採用は9月11日に最終結果を公表(内定441名・倍率3.1倍〔市公表の1次受験者÷内定者〕。志願者÷内定者では3.3倍)
京都市教育委員会が公表した令和9年度採用(2026年夏実施)の実施状況です。採用予定450名程度に対し、志願者1,457人・第1次受験者1,351人・第1次通過者840人。最終結果(第2次試験)は令和8年9月11日に公表され、第2次受験者808人・内定者441人・倍率3.1倍で確定しました。
| 校種 | 採用予定数 | 志願者 | 1次受験者 | 1次通過者 | 1次通過率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小学校(幼稚園を含む) | 160名程度 | 492人 | 467人 | 325人 | 69.6% |
| 中学校 | 180名程度 | 530人 | 495人 | 286人 | 57.8% |
| 高等学校 | 20名程度 | 182人 | 153人 | 66人 | 43.1% |
| 総合支援学校 | 70名程度 | 126人 | 117人 | 114人 | 97.4% |
| 養護教諭 | 10名程度 | 92人 | 84人 | 31人 | 36.9% |
| 栄養教諭 | 若干名 | 35人 | 35人 | 18人 | 51.4% |
| 合計 | 450名程度 | 1,457人 | 1,351人 | 840人 | 62.2% |
※出典:京都市教育委員会「令和9年度教員採用選考試験の実施状況」。
「1次受験者」「1次通過者」には第1次試験免除者を含みます。「採用予定数」の合計欄には特別選考の採用予定数(10名)を含みます。1次通過率は当ブログが計算したものです。
この表で見逃せないのが1次通過率62.2%という数字です。京都市は一次で6割以上が通過し、二次で絞られる形になっています。しかも7月24日に発表された第1次試験合格者の受験番号一覧は586名(1次免除者は記載されていません)。1次通過者840人との差254人——つまり一次通過者の約3割は第1次試験免除者という計算になります(ただし大学推薦・離職者チャレンジは一次日程の個人面接あり。当ブログ集計)。

ここ、京都市を受ける方にはとても大事なところです。二次の会場には、前年度の一次合格者・大学推薦の合格者など第1次試験の免除を受けた方が、一次通過者の約3割にあたる計算(当ブログ集計)でいます。二次は面接と模擬授業で95点の勝負。ここから逆算して準備しましょう!
参考までに、前年の令和8年度採用(2025年夏実施)は、志願1,423人・第1次受験1,324人に対し内定424人でした。当時の公表資料の倍率3.4倍は「志願者÷内定者」で出した値で、令和9年度の3.1倍(第1次受験者÷内定者)とは定義が違います。同じ「第1次受験者(1次免除者を含む)÷内定者」にそろえると、令和8年度採用も3.1倍(当ブログ算出)で、前年と同じ水準です。内定424人は、当時の公表で平成以降最多でした。校種別・教科別の5年間の推移、二次倍率、特別選考の実績は、倍率の専用記事にまとめています。
■ 京都市の倍率|令和9年度採用の状況と5年間の推移(校種別・教科別)
■ 京都市の特別選考と一次免除ルート|大学3回生JUMP UP・現職教諭・常勤講師・加点制度
京都市の面接で「何が問われるか」|全国平均との比較
受験者3名の実録だけでは全体像は描けません。そこで、当ブログでは公刊されている過去問(令和4年度〜8年度採用)をテーマごとに分類し、「面接1,000問あたり何問出るか」という形で全国平均と比べています。京都市の結果は次のとおりです(設問文そのものは転載していません)。
| テーマ | 全国と比べた傾向 |
|---|---|
| 学級経営 | 確認できた範囲で目立つテーマの一つ |
| 授業づくり | 全国並み(出題の多いテーマの一つ) |
| 保護者対応 | 全国と比べて多め |
| 志望動機 | やや多め |
| 体罰・服務・不祥事 | 全国と比べて多め |
| SNS | 全国と比べて多め |
| いじめ | 多め |
| 特別支援・合理的配慮 | 多め |
| ICT・端末 | 多め |
| 地域連携 | 多め |
| 個別最適・協働的な学び | 全国と比べて多め |
| 働き方・同僚との関係 | やや多め |
| 自己PR・長所短所 | 全国より少なめ |
| 部活動 | 全国より少なめ |
| ストレス・メンタル | 確認できた範囲では出ていない |
※当ブログが公刊過去問データベース(京都市の面接・令和4年度〜8年度採用)を独自に集計し、傾向として示したものです。集団討論・場面指導の設問を含む集計です。
ここから読み取れる京都市の性格は、はっきりしています。
- 「学級経営」は確認できた範囲で目立つテーマの一つ。「どんな学級にしたいか」ではなく「そのために何をするか」まで聞かれる前提で作りましょう。
- 「服務・不祥事」と「SNS」がセットで多い。京都市は論文でも服務事例が繰り返し出題されており、面接と論文の両方で問われる二重構造です。
- 「個別最適な学びと協働的な学び」が全国と比べて多め。用語を説明できるだけでなく「授業の中で子どものどんな姿がそれにあたるか」まで答えられるよう準備しておくと安心です。
- 「自己PR・長所短所」は全国より少なめ。自分語りより、教育観と具体的な手立てを厚く準備しておくほうが、京都市の面接では生かしやすいと考えられます。
① 志望動機・京都市を選ぶ理由
受験者の報告では、実際に以下の質問がありました。
- なぜ京都市を志望しますか。(令和6年度採用の中学校受験者による、前年の第1次試験についての報告/第1次試験の個人面接)
たった1問ですが、受験者の報告では、これが一次面接の質問の一つでした。そして公刊の集計でも、志望動機は確認できた範囲で全国と比べてやや多め。「なぜ京都府ではなく京都市なのか」——完全別実施の政令市を受ける以上、ここは用意しておくと安心です。
京都市には、答えの材料になる固有の要素がたくさんあります。
- 京都教師塾(京都市独自の教員養成システム)と連合教職大学院——令和8年度採用では、内定者424名のうち142名(約3分の1)がこの出身者でした
- 総合支援学校という呼称(学校教育法上の特別支援学校)と育成学級(同・特別支援学級)——京都市で使われている言い方です。面接で使えると、調べている印象につながると考えられます。
- 「学校教育の重点」——京都市が毎年度出している教育の柱。論文でも面接でも、ここから出る年があります。
- 常勤講師として市内で働いている方が多い——令和8年度採用では、内定者の約半数にあたる196名が本市の常勤講師でした(志願書の自己申告に基づく集計)
志望動機は「気持ち」で終わらせず、自分の経験 → 京都市でやりたいこと → その裏づけの順に組み立てるのがおすすめです。実演のbefore・afterで見るのが一番わかりやすいと思います。
② 学級経営・授業づくり ※京都市で目立つテーマ
集計上、京都市で目立つのがこのブロックです。学級経営や授業づくりの設問が確認できます。廃止された集団討議でも、学級経営・学習規律・集団づくりが繰り返しテーマになっていました。実録では、集団討議で次のテーマが出ています。
- 【集団討議】学習規律で大切にしたいことと、その必要性について述べなさい。また、学習規律を確立・定着させるための取り組みについて討論しなさい。(令和6年度採用・小学校)
- 【集団討議】学校への携帯電話の持ち込みについて、生徒指導・生徒支援・不祥事の観点からグループで討議し、グループとしての答えを出しなさい。(令和6年度採用・中学校/30分間)
令和9年度採用から集団討議はなくなりましたが、この「テーマそのもの」は個人面接や論文でも問われうるので、備えは無駄になりません。討議のテーマは、「あなた1人の考えを述べてください」という形でも聞かれうるからです。実際、公刊の集団討議テーマを整理すると、京都市が5年間で繰り返し扱ってきたのは次の領域でした。
- 学習規律・学級経営・集団づくり(担任として何を大切にし、どう定着させるか)
- 校則(生徒心得・学校生活の手引)の意義と見直し
- 教員と児童生徒のSNS・携帯電話の連絡先交換(服務との重なり)
- 発達支持的生徒指導と教科指導・生徒指導の一体化(『生徒指導提要』の枠組み)
- ICT・教育DXと「主体的・対話的で深い学び」の関係
- 多様性(発達障害・LGBTQ・療育手帳を持つ児童の在籍など、具体的な事例設定つき)
京都市の面接・討議では、「事例が具体的」な傾向が見られます。学年・人数・診断名・手帳の等級まで設定されたケースが出ることがあります。抽象論だけでなく、具体的な場面まで準備しておくと安心です。「この学年のこの子に、私は明日何をするか」まで落としてください。
③ 服務・不祥事・SNS ※面接と論文の両方で問われます
ここが京都市の特徴の一つです。服務・不祥事の質問は確認できた範囲で全国と比べて多めで、SNSの質問はさらに目立ちます。さらに——
京都市は、二次の論文でも「服務事例」を繰り返し出題している年が確認できます。飲酒運転、私的なアルバイト(営利企業への従事)、個人情報を入れたUSBの持ち出し、生徒とのSNS上のやりとり、体罰——こうした事例を読ませ、「不適切である理由」「及ぼす影響」「防ぐにはどうすべきだったか」を書かせる形式です。面接で聞かれることと、論文で書くことが、そのまま重なっています。
受験者からは、論文でこの事例型が出たという報告が届いています。
- 【論文】教員の不祥事についての事例から、あなたの考えを述べなさい。(令和6年度採用・中学校/40分間)
- 【論文】個別最適な学びと協働的な学びの一体化を考えたとき、ICTの活用も重要である。情報モラルも含めて、ICTをどのように活用するか、あなたの考えを述べなさい。(同じ受験者からの報告)

服務の質問で差がつくのは、「他人事にしない」ところです。「気をつけます」で終わる人と、「自分にも起こりうるのはこの場面。だからこう仕組みで防ぐ」と言える人。京都市は後者を見ていると考えられます(要項に評価の観点の記載はありません)。論文の準備が、そのまま面接の準備になりますよ!
■ 京都市の小論文(論文)|過去5年の出題テーマと600字の書き方
④ 場面指導|一次の個人面接の中で、1分で実演
実施要項には、第1次試験の個人面接について「場面指導等を行う場合があります」とだけ書かれています。二次の欄には記載がありません。つまり、令和9年度採用の要項の記載からは、京都市の場面指導は一次の個人面接に組み込まれた形と考えられます。
受験者からの報告は次のとおりです。
- 【場面指導】あなたは中2の担任です。生徒が勉強が嫌だと言っています。あなたはどのような指導をしますか。(令和6年度採用の中学校受験者による、前年の第1次試験についての報告/1分間・個人面接の中で実施)
そして、公刊過去問に記録されている形式メモを集めると、京都市の場面指導の「かたち」がかなり具体的に見えてきます(設問文ではなく、実施方法の記録です)。
| 実演時間 | 1分という記録がほとんど |
| 実施タイミング | 「面接の最後の1分を利用して実施」「個人面接の後にそのまま」「個人面接中に実施」——面接から切り離されていません |
| 考える時間 | 「お題を出され、考える間はなくすぐに実施」という記録と、「椅子の横の机に置かれた紙を読み、30秒で考えて1分ほど話す」という記録の両方があります |
| 形式のバリエーション | 「面接官のうちの1人を調理員だと思って話しかけるように」と指示された例も(栄養教諭)。相手役が指定される場合があります。 |
| 指導の相手 | 「全体指導」(学級全体に話す)と「個別対応」の両方。実録の中2の例は個別対応です。 |
※出典:当ブログが公刊過去問データベースの形式メモを集計したもの。
実施要項には時間・方法の記載がないため、あくまで受験者記録の集計です。
1分という実演時間は短めです。前置きを話しているうちに終わってしまいます。最初の一言で子どもの心を掴み、30秒で本題、最後の10秒で「これからどうするか」——この密度で組み立ててください。
どんな場面が来ても崩れない「型」は、この動画にまとめています。
⑤ 模擬授業|二次の最大配点60点・指導案を作って持参
京都市の二次で、いちばん配点が大きいのが模擬授業(60点)です。しかも実施方法が校種によって違います。実施要項の記載を整理しました。
| 校種・職種 | 教科・学年・単元の示され方 | 指導案 |
|---|---|---|
| 幼稚園・小学校・中学校・養護教諭・栄養教諭 | 第1次試験結果発表日頃にホームページで指定 | 事前に作成し、試験当日に持参 |
| 高等学校 | 試験当日に学年・単元を提示 | 指導案作成と模擬授業を同日に実施 |
| 総合支援学校 | 指導案作成日に学年・単元を提示 | 指導案作成の翌日以降に模擬授業 |
| 幼稚園 | — | 模擬保育はピアノを使用して実施 |
※出典:京都市教育委員会「令和9年度京都市立学校教員採用選考試験実施要項」4(1)試験内容。
フロンティア特別選考の英語コースは、指導案を英語で作成することも認められています。
小・中・養護・栄養の方にとって、これは「一次の結果発表から二次まで、約2週間で指導案を仕上げる」ということです。令和9年度採用でいえば、7月24日発表・8月7日開始。この2週間の使い方が大きく影響すると考えられますので、一次の合否を待つ間に「どの単元が来ても書ける形」を用意しておくのが現実的です。
実録で報告された模擬授業は次の2件です。口頭試問がセットになっている点に注目してください。
- 【模擬授業】「医薬品の正しい使い方」の授業を行いなさい。(令和6年度採用・中学校保健体育/授業8分間+口頭試問3分間)
【口頭試問】・この授業で、オーバードーズについては計画していましたか。
・前時までの授業とのつながりを教えてください。
・保護者から「この授業なら評価はどのように行うのですか」と聞かれたら、何と答えますか。 - 【模擬授業】社会(ごみについて)の授業を行いなさい。(令和6年度採用・小学校)
この口頭試問では、オーバードーズについて計画していたか、前時とのつながり、保護者に評価をどう説明するかが質問されています。

私が個別指導で見てきた中で、合格する模擬授業には共通点があります。そのうちの2つをお伝えします。ひとつは「子どもが見える」こと。その人が普段どんな視線で子どもたちを見ているかは、目の前に子どもがいなくても模擬授業に出てしまうんです。もうひとつは「意図が見える」こと。発問のタイミングや立ち位置に理由がある人は強いです。
⑥ 実技|対象は限られています
実技は第1次・第2次の両方にありますが、対象は限定的です。
| 第1次(30点) | 中学校・高等学校の英語(リスニング)のみ。CEFR B2相当以上の英語力がある方は免除の特例あり。 |
| 第2次(30点) | 中学校の音楽・美術・保健体育・英語/高等学校の英語/養護教諭(救急処置等) |
| 中学校保健体育の内容 | 球技(バレーボール)・陸上競技(走り高跳び)・器械運動(マット運動)・柔道(受け身、立ち技)。令和9年度採用の要項では、ゼッケンを縫い付けた運動のできる服装・屋内用運動靴・柔道衣を持参するとされています(変更があれば第1次試験結果発表日頃に連絡)。 |
| その他の教科 | 内容・集合時刻・持参物は第1次試験結果発表日頃に受験者へ連絡 |
実録でも、中学校保健体育の受験者から「柔道、バレーボール、体つくり運動」という報告が届いています(令和6年度採用)。要項の記載と種目が一部異なるので、その年度の要項を必ず確認してください。なお、中学校保健体育の体育実技は、身体等の事情により受験しないことを認められる場合があります。
【資料編】受験者3名の実録(令和6年度採用)
ご提供いただいた報告を、受験者ごとに掲載します。個人が特定できる情報は掲載していません。
受験者A(中学校・保健体育)
- 【論文・40分間】教員の不祥事についての事例から、あなたの考えを述べなさい。/個別最適な学びと協働的な学びの一体化を考えたとき、ICTの活用も重要である。情報モラルも含めて、ICTをどのように活用するか、あなたの考えを述べなさい。
- 【模擬授業・8分間】「医薬品の正しい使い方」の授業を行いなさい。
【口頭試問・3分間】この授業で、オーバードーズについては計画していましたか。/前時までの授業とのつながりを教えてください。/保護者から「この授業なら評価はどのように行うのですか」と聞かれたら、何と答えますか。 - 【集団討議・30分間】学校への携帯電話の持ち込みについて、生徒指導・生徒支援・不祥事の観点からグループで討議し、グループとしての答えを出しなさい。
※集団討議は令和9年度採用から廃止されました。 - 【実技】柔道、バレーボール、体つくり運動
受験者B(中学校) ※前年度に一次合格していたため、この年は二次からの受験。以下は前年の第1次試験の個人面接についての記録です。
- 【個人面接】なぜ京都市を志望しますか。
- 【場面指導・1分間】あなたは中2の担任です。生徒が勉強が嫌だと言っています。あなたはどのような指導をしますか。
受験者C(小学校)
- 【論文・600字】言語活動の充実について、あなたの考えを述べなさい。
- 【模擬授業】社会(ごみについて)の授業を行いなさい。
- 【集団討議】学習規律で大切にしたいことと、その必要性について述べなさい。また、学習規律を確立・定着させるための取り組みについて討論しなさい。
京都市の実録は、2026年10月時点で3名分(令和6年度採用)です。京都府の記事に比べるとまだ薄く、正直なところ、みなさんの報告がこのページを育てます。受験報告はこちらから(2〜3分・匿名OK・お礼の特典PDFあり)。特に令和9年度採用で新設された二次の個人面接がどんな内容だったかは、令和10年度採用以降の受験者にとって非常に貴重な情報になります。
京都市の面接|7つの法則
ここまでの実録・公刊集計・実施要項から見えてきた、京都市対策の要点を7つにまとめます。
- 「人を見る配点」の自治体。個人面接105点+模擬授業60点=165点に対し、専門筆記は100点。筆記だけでなく、面接と授業にも時間を配分しておくと安心です。
- 一次で6割が通り、二次で絞られる。令和9年度採用の1次通過率は62.2%。一方、令和8年度採用の二次倍率は約1.9倍。勝負どころは二次と考えられます。
- 一次通過者の約3割が「一次免除組」にあたる計算です(当ブログ集計)。前年度の一次合格者等が対象です。ただし、大学推薦合格者・離職者チャレンジ制度の利用者は、一次の日程で別途個人面接を受けます。周りが慣れて見えても動じないこと。
- 学級経営は確認できた範囲で目立つテーマの一つ。「どんな学級にしたいか」だけでなく「学習規律をどう定着させるか」「集団づくりに何をするか」まで、具体で答える準備を。
- 服務・不祥事とSNSは面接と論文の両方で来る。京都市は論文でも服務事例を繰り返し出題している年が確認できます。「自分に起こりうる場面」で語れるようにしておきましょう。
- 過年度の受験報告には、場面指導を1分で行った例があります。考える時間は30秒だったり、ほとんどなかったりしたという記録もあります。長い前置きは捨てて、最初の一言から本題に入る練習を。
- 追質問(深掘り)の連鎖も想定しておくと安心です。公刊の記録では、1問1問が具体的に聞かれる傾向があります。一問一答ではなく「その手立てを選ぶ理由」まで用意しておくと安定します。
- 子どもへの教育的愛情と教職への使命感や情熱をもっている
- 常に自己研鑽に努め、子どもと共に学び、成長しようとする姿勢がある
- チームとして周囲と連携・協働でき、幅広い知見で課題解決する力がある
出典:京都市教育委員会「令和9年度京都市立学校教員採用選考試験実施要項」冒頭。
3つ目の「チーム」が入っているのが京都市らしいところです。集団討議が廃止されても、この観点が消えたわけではありません。個人面接の中で「同僚とどう連携するか」「困ったとき誰に相談するか」を語れるようにしておきましょう。志望動機・場面指導・模擬授業の回答を、この3つのどれかに着地させる意識を持つと、全体に一貫性が出やすくなりますよ!
あわせて、京都市が毎年度出している「学校教育の重点」は必読です。京都市の論文は「学校教育の重点」の項目をそのまま問いにしてくる年が多く、面接の材料にもなります。京都市教育委員会のページから、受験年度のものを確認してください。
また、『生徒指導提要(改訂版)』は、京都市が討議テーマにも使ってきた「発達支持的生徒指導」「生徒指導の実践上の4つの視点」の出どころです。場面指導と学級経営の回答を考えるうえで必読です。
よくある質問
Q. 京都市と京都府は併願できますか?
A. 京都市と京都府は別々の教育委員会が実施する、完全に別の試験です。この記事は京都市のものです。日程が重なるかどうかは毎年の要項で確認が必要ですが、京都市の要項には「他の自治体等が実施する試験も受験する場合、試験日程について個別の要望に応じた調整はできない」と明記されています(Q&A・Q20)。なお、令和9年度採用の要項では、京都市の中で、小学校・中学校・総合支援学校は第3志望までの組合せがあり、高等学校との併願は同一教科の中学校との組合せに限られます(養護教諭・栄養教諭は併願不可)。
Q. 集団討議がなくなって、何が有利になりましたか?
A. 一概には言えませんが、「グループの空気に左右されにくい」面はあると考えられます。集団討議は、グループの構成によって発言のしやすさが変わりうる試験でした。個人面接になれば、準備した内容を伝えやすくなると考えられます。一方で「他の受験者の発言を受けて自分の考えを付け足す力」を見せる場がなくなったので、その分を個人面接の中で「同僚・チーム」の話として語る必要があります。
Q. 個人面接は何分ですか?
A. 実施要項に時間の記載はありません。受験者記録の集計では、面接官2人で10分という記録がもっとも多く、次いで15〜20分という記録があります。過去年度の記録から一次と二次の時間差までは判断できません。令和9年度採用から二次の個人面接が新設されたため、令和9年度採用の受験報告が集まるまでは確かなことは言えません。届き次第、このページを更新します。
Q. 模擬授業の単元はいつ分かりますか?
A. 幼稚園・小学校・中学校・養護教諭・栄養教諭は、第1次試験の結果発表日頃に、ホームページで教科・学年・単元等が指定されます。指導案を作成し、試験当日に持参します。高等学校は当日提示、総合支援学校は指導案作成日に提示です。ホームページの指示事項を必ず確認してください。
Q. 不合格でも成績は教えてもらえますか?
A. 点数そのものではなく、区分での通知です。令和9年度採用の要項では、第1次試験で併願区分も含めて全て不合格だった方には、第1志望区分に限り5段階(B-1〜B-5、成績上位から順。ただし大学3回生等コースは3段階)で結果が郵送で通知されます。第2次試験の不合格者には3段階(B-1〜B-3)で通知されます。この「B-1」がとても重要で、令和9年度採用では、前年度のB-1判定の方に所定の条件を満たす場合の第1次試験全部免除(前年度不合格者のうち上位者)の特例があります。翌年度以降の扱いは、その年度の要項で確認してください。詳しくは特別選考の記事へ。
■ 京都市の特別選考と一次免除ルート|大学3回生JUMP UP・現職教諭・常勤講師・加点制度
Q. 過去問は公開されていますか?
A. 令和9年度採用の京都市の要項によれば、京都市情報公開コーナー(京都市役所・平日9:00〜17:00)で過去3年分の問題等を無料閲覧・コピー(有料)できます。郵送での提供は行われていません。面接の質問は当然そこには載らないので、この記事のような受験者報告が頼りになります。
Q. 免許がなくても受験できると聞きました。本当ですか?
A. 一部については本当です。中学校の数学・理科・技術、高等学校の数学・理科・工業は、当該免許を持たない方・取得見込みのない方も受験できます(合格後に特別免許状が授与されれば正式採用。授与されない場合は臨時免許状で常勤講師として任用し、令和13年4月1日までに普通免許状を取得すれば正式採用)。総合支援学校教諭は、小・中・高いずれかの普通免許状を有するか令和9年4月1日までに取得見込みであること等が必要です(小学校の育成学級希望者は小学校、中学校の育成学級希望者は中学校の普通免許状が必要)。特別支援学校の普通免許状については、採用後3年以内に取得する計画を示す条件で出願できる特例があります。令和8年度採用ではこの特例で56名が志願し25名が内定しています。
面接の手応えが気になる方へ
令和9年度採用の京都市は、二次が8月上旬、発表が9月中旬でした。1か月以上待つことになります。「あの答えでよかったのか」と面接を何度も再生してしまう時期ですよね。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由は、こちらの記事にまとめています。
■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由
また、集団討議の対策をしてきた方は、その蓄積を捨てないでください。討議で扱われてきたテーマの一覧は、全国版の記事にもまとめています。京都市の論文・個人面接の材料としてそのまま使えます。
この記事では、受験者の皆さんからの情報提供と、公刊過去問の情報をそれぞれ参照しています。ご協力くださった皆さん、本当にありがとうございます。応援しています!
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