こんにちは、金井志津乃です!

岡山市って岡山県とは別に試験があるんですよね? 二次に「集団活動」があるって聞いたんですが、集団討論とは違うんですか……?

そうなんです。岡山市は岡山市教育委員会が単独で実施していて、岡山県とは日程も内容も別物。二次の「集団活動」は、店舗の商品構成や新商品のCMなど、学校以外を舞台にした課題も出ている、全国的にもあまり多くないタイプだと思います!
この記事では、岡山市公立学校教員採用候補者選考試験の第2次試験——集団活動・個人面接・模擬授業(模擬場面指導)・口頭試問——について、実施要項と5年分の出題データ、そして受験者の実録をもとに、内容・流れ・傾向と対策をまとめます。
この記事の根拠
- 日程・形式・評価の観点・提出書類は、令和9年度採用(令和8年度実施)の実施要項と照合済み。要項に書かれていることと、受験者報告でしか分からないことを、はっきり分けて書いています。
- 市販の全国版過去問集から岡山市分190件(令和4年度〜8年度採用の5年分)を独自に集計し、全国平均と比べた出題傾向を確認しました(個別の設問は転載していません)
- 受験者報告(実録)は令和8年10月時点で1名分です。岡山市はまだ報告が集まっていない自治体なので、そのことを正直にお伝えした上で、いただいた1名分は模擬授業の条件から口頭試問の中身まで全部載せています。
- 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
出願(岡山市電子申請サービス):4月1日(水)〜5月15日(金)午後5時まで
第1次試験・教科等専門試験(一般選考・大学3年生等特別選考が対象):7月4日(土)10:30〜/特別面接(対象者のみ):7月4日(土)13:00〜
第1次試験・個人面接(対象は選考区分による。一般選考など):7月5日(日)・11日(土)・12日(日)のうち指定された日(筆記とは別日)
第1次試験の結果通知:7月30日(木)
第2次試験:8月8日(土)〜10日(月)・8月15日(土)〜17日(月)のうち指定された日
第2次試験の結果通知:9月11日(金)
岡山市でまず驚くのが、第1次試験の筆記と個人面接が別の日に分かれていることです。一般選考では、7月4日に教科等専門試験(100点・60分)、7月5日・11日・12日のうち指定された日に個人面接があります(特別選考では第1次試験の内容が選考区分によって異なります)。つまり一次の段階で、すでに面接があります。「一次は筆記だけ」と思って対策を後回しにすると、令和9年度採用の日程では7月の個人面接に間に合わなくなるおそれがあります。
※出典:令和8年度実施 岡山市公立学校教員採用候補者選考試験実施要項。
令和10年度採用(2027年夏実施)の日程は、令和10年度採用の要項でご確認ください。
この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。
第2次試験の形式|30秒でわかる基本情報
| 構成 | ①集団活動 ②個人面接 ③模擬授業(模擬場面指導)・口頭試問 ④実技(対象者のみ)。さらにこれらとは別に「テーマに沿った課題作文」を実施(要項「6 選考試験の日程・内容及び会場等(2)」)。 |
| 日程 | 8月8日(土)〜10日(月)・8月15日(土)〜17日(月)のうち指定された日。集団活動と個人面接は全区分が対象。 |
| 会場 | 第2次試験の会場は、岡山市立岡山後楽館中学校・高等学校と岡山市立桑田中学校です(令和9年度採用の要項では、試験ごとの日程・会場は8月上旬頃に教職員課ホームページに掲載するとされていました) |
| 模擬授業 | 小学校(すべての枠)・中学校(すべての枠)・栄養教諭が対象。養護教諭は「模擬場面指導」。いずれも直後に口頭試問がセット。 |
| 課題作文 | 10分間・字数制限なし。テーマが与えられる形式。出題データでは集団活動の控室で書いたという記録があります。 |
| 実技 | 中学校の音楽・美術・保健体育・技術・家庭のみ。音楽=ピアノ弾き歌い(歌唱共通教材から当日指示・前奏付き2番まで)+アルトリコーダーの新曲視奏/美術=描く活動・つくる活動/保健体育=器械運動・球技・ダンス・武道(柔道か剣道を出願時に選択)/技術=製品の製作/家庭=調理。 |
| 小論文(論作文) | 令和9年度採用の要項の試験内容に論作文の記載は確認できず、上記の「課題作文(10分・字数制限なし)」がこれに近い位置づけと考えられます。 |
| 結果通知 | 9月11日(金)。教職員課ホームページに採用候補者名簿に登録された者の受験番号を10日間掲載。第2次試験の受験者には、集団活動・個人面接・実技・模擬授業(模擬場面指導)口頭試問の評価段階が通知されます。 |
※出典:令和8年度実施 岡山市公立学校教員採用候補者選考試験実施要項。
服装はすべての試験でクールビズ(上着・ネクタイ等の着用は不要)と要項に明記されています。
一次と二次で何が違うのか|要項が示す「見ている力」
岡山市は、一次と二次の「主な評価の観点」を要項ですべて公開しています。ここを並べると、市が何を段階的に見ようとしているのかが読み取れます。
| 段階 | 試験 | 主な評価の観点(要項より) |
|---|---|---|
| 第1次 | 個人面接 | コミュニケーション能力/社会性、協調性/主体性 |
| 第1次 | 特別面接(対象者のみ) | コミュニケーション能力/意欲的態度、使命感/教育的愛情、向上心/社会性、協調性 |
| 第2次 | 集団活動・個人面接 | コミュニケーション能力/意欲的態度、使命感/教育的愛情、向上心/社会性、協調性 |
| 第2次 | 模擬授業(模擬場面指導)・口頭試問 | 教科指導(保健指導)に関する知識・技能の保有/児童・生徒の理解/柔軟性/コミュニケーション能力/教育的愛情、向上心 |
| 第2次 | 実技(対象教科) | 音楽・美術=技能及び表現力/技術・家庭=技能及び工夫し創造する能力/保健体育=技能の習得状況 |
※出典:実施要項「7 選考方法等」。
第1次・第2次とも、各試験と受験願書・特別選考申告票等の提出資料を基に総合的に選考すると定められています。課題作文が選考資料に入るのは第2次です。

読み比べると、一次の個人面接だけに「主体性」があり、二次では「意欲的態度、使命感」「教育的愛情、向上心」が加わります。一次は「自分で動ける人か」、二次は「子どもへの思いと、学び続ける姿勢があるか」——そう読むと、準備の力点が変わってきますよ!
そして忘れてはいけないのが、選考の材料に「受験願書」が明記されていることです。岡山市の受験願書には「出願理由(800字程度)」という大きな記入欄があります。ここが面接の質問の元になることがあります。
■ 岡山市の受験願書「出願理由」800字の書き方|面接で深掘りされる欄を要項から逆算
当日の入室から退室までの流れは、こちらの実演動画が一番早いです。
岡山市の倍率|令和9年度採用の第1次試験の結果(7月30日発表)
岡山市教育委員会が実施状況で公表している倍率は、第1次試験受験者数÷採用候補者数です(公表されている各年度の数値から検算して確認しました)。「志願者÷採用予定」を使う自治体とは定義が違うので、他県と並べるときは注意してください。令和9年度採用は令和8年9月11日に最終結果が公表され、採用候補者187人・倍率3.8倍で確定しています。以下の一次段階の表は、第1次試験受験者数÷採用候補者予定数で算出した暫定倍率として区別して示します。
令和9年度採用(2026年夏実施)の第1次試験結果(令和8年7月30日公表)です。出願786人・第1次受験703人・第1次合格418人、採用候補者予定数は170人程度でした。これとは別に、大学3年生等特別選考に261人が出願しています(総計1,047人)。
| 受験区分 | 出願者 | 1次受験者 | 1次合格者 | 採用候補者予定数 | 暫定倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小学校(枠を含む) | 376人 | 340人 | 242人 | 110名程度 | 3.1倍 |
| 中学校(枠を含む) | 320人 | 285人 | 163人 | 55名程度 | 5.2倍 |
| 養護教諭 | 70人 | 62人 | 10人 | 4名程度 | 15.5倍 |
| 栄養教諭 | 20人 | 16人 | 3人 | 1名程度 | 16.0倍 |
| 合計 | 786人 | 703人 | 418人 | 170人 | 4.1倍 |
| (別枠)大学3年生等特別選考 | 261人 | 255人※ | 186人※ | — | — |
※小学校・中学校の数字には英語枠・小中連携推進枠・特別支援教育推進枠(いずれも内数)を含みます。大学3年生等特別選考は「選考受験者」「選考通過者」の呼称で、翌年度の教科等専門試験が免除になる制度です。暫定倍率=第1次受験者数÷採用候補者予定数(当ブログ算出)。
出典:岡山市教育委員会「令和8年度実施 岡山市公立学校教員採用候補者選考試験(第1次試験)の結果について」(令和8年7月30日)
ここで注目したいのは、一次の通過率が59.5%(703人中418人)だということ。そして令和4〜9年度採用の6年は、第2次試験受験者÷採用候補者数はほぼ「2.0倍」で安定しています(令和4年度採用2.1倍/5年度2.0倍/6年度1.9倍/7年度2.0倍/8年度2.0倍/9年度2.1倍)。つまり岡山市は「二次に進めば、おおよそ2人に1人」。だからこそ、二次の集団活動・個人面接・模擬授業に時間を使う価値がある試験です。
令和9年度採用の第2次試験の結果は9月11日に通知されました
令和9年度採用の第2次試験の結果通知は、令和8年(2026年)9月11日(金)と要項に明記されています。採用候補者名簿に登録された方の受験番号は、岡山市教育委員会・教職員課のホームページに通知日から10日間掲載されました(令和9年度採用の要項では、通知日から10日間とされていました)。結果は公表済みで、採用候補者は187人・倍率は3.8倍でした。校種別の結果は倍率記事にまとめています。
6年分の推移、中学校の教科別、二次倍率の読み解きは、倍率の専用記事にまとめています。
■ 岡山市の倍率|令和9年度採用の確定結果と6年間の推移(校種別・中学校教科別)
■ 岡山市の特別選考と一次免除ルート|大学3年生等・講師・大学等推薦・社会人・現職教諭・加点制度
① 集団活動|岡山市では「学校以外が舞台の課題」も出ています
岡山市の二次で、他の自治体を受けてきた人が戸惑いやすいのがここだと思います。要項の名称は「集団活動」。集団討論とも集団面接とも書かれていません。そして5年分の出題データを集計すると、その理由がよく分かります。
5年分のデータから見える集団活動の傾向(設問は転載していません)
- 学校以外を舞台にした課題のほか、新しい学校を設立する設定の課題も確認できます。令和5年度採用は「全国展開する店の社員という設定で、新しい店舗にどんな商品を置き、どう並べるかを考える」型。令和6年度採用は「生活を豊かにする新商品を開発したという設定で、その商品のCMを考えて発表する」型でした。
- 令和6年度採用の記録には、進め方として「話し合い25分 → 全員での寸劇形式による60〜90秒の発表 → 感想」という形式メモが残っています。話し合いのあとに、グループで一つの成果物を作って演じる形式の年があります。
- 令和8年度採用(2025年夏実施)の記録では、集団活動の控室でテーマに沿った作文を10分間・字数制限なしで書き、そのうえで「子どもたちの課題」について話し合う、という進め方が確認できます。作文のテーマは「先生になって大事にしたいこと」といった、教職への構えを問うものでした。
- 形式メモの記録では、集団の試験は面接官2〜3人・受験者4〜5人・25〜30分という組み合わせが中心です
※出典:市販の全国版過去問集(令和4年度〜8年度採用・岡山市分190件)を当ブログで集計。
要項には集団活動の時間・人数の記載はありません。

「学校の話じゃないなら、教育の知識はいらないの?」——そんなことはありません。要項の評価の観点は「コミュニケーション能力」「意欲的態度、使命感」「教育的愛情、向上心」「社会性、協調性」。協調性やコミュニケーション力といったチームへの関わり方に加えて、課題に正対して、みんなで考えを深め合えているかも見られていると思います。集団討論の対策を土台に準備してくださいね。
「他の受験者より良い意見を言う人」と「チームでベストな答えを作る人」——受かりやすいのは後者だと私は考えています。岡山市の集団活動でも、その考え方は生きると思います。
そして、寸劇やCM発表のように「限られた時間で形にする」課題では、時間配分の合意づくりが命綱です。評価を下げやすいと言われる振る舞いは先に知っておきましょう。
② 個人面接|過去問集の記録では面接官2人・15〜25分、深掘りは全国平均より多め
令和9年度採用の要項では、岡山市の個人面接は、一般選考などで一次(7月上旬〜中旬)と二次(8月)の2回ありました(特別選考では選考区分により一次の面接の有無が異なります)。要項には時間・面接官の人数の記載がありませんが、5年分の記録に残された形式メモを集計すると、次のような輪郭が見えてきます。
| 面接官 | 2人という記録が圧倒的多数(3人の記録もわずかにあり) |
| 時間 | 15分/20分/25分の記録が中心。20分前後が最も多い。 |
| 深掘り率 | 1つの質問から「→」で追質問が続いた割合は13.7%(全国平均は約10.5%)。岡山市は全国より深掘りが多め。 |
| 目立つ形式 | 令和7年度採用の記録では「テーマを与えられて1分間スピーチ→そのスピーチについて深掘り」という形式が目立ちます(例:スピーチを自己評価すると何点か、その理由は) |
※出典:市販の全国版過去問集(令和4年度〜8年度採用・岡山市分)を当ブログで集計。
要項に記載のない情報のため、年度によって変わる可能性があります。
出題テーマの偏り|部活動は全国平均より多め
190件をテーマ別に分類し、「面接1,000問あたりの出現数」で全国平均と比べました。岡山市の特徴が数字ではっきり出ます。
| テーマ | 岡山市 | 全国平均 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 部活動 | 37 | 22 | 全国平均より多め。中学校では「指導できる部活はあるか」まで聞かれた記録があります。 |
| 授業づくり | 58 | 87 | 数としては最多。ただし全国よりは低め。 |
| 志望動機 | 21 | 39 | 全国より少なめ。願書の出願理由が前提にある分、短く終わる可能性があります |
| 保護者対応 | 16 | 37 | 面接での比重は全国より低め |
| ストレス・メンタル | 16 | 16 | 全国並み。「ストレスはどう発散するか」は定番。 |
| 働き方・同僚 | 11 | 13 | 全国並み |
| 学級経営/いじめ | 0 | 27/16 | 5年分の記録には出てきていません(面接より模擬授業・口頭試問で問われる場合があるようです) |
※出典:市販の全国版過去問集5年分(令和4年度〜8年度採用)を当ブログで集計。
数値は「面接1,000問あたりの出現数」に換算したものです。岡山市は母数190問なので、1件あたりの重みが大きい点にご注意ください。

この表で私が一番大事だと思うのは、学級経営やいじめの質問が「0」だからといって、準備しなくていいわけではないということ。岡山市の報告では、そういう話を模擬授業のあとの口頭試問で聞かれた例があります(次の章で実物を見てください)。聞かれる場所が違う場合もあるのです。
実際に聞かれた質問|受験者1名の実録(令和6年度採用・中学校)
ここからは、実際に岡山市を受験された方からご提供いただいた「生の質問」です。令和8年10月時点でお寄せいただいているのは1名分。講師経験のある方の受験でした(年代・家族構成が特定できる質問は一般化しています)。
【志望・教育観】
- 志願理由を教えてください。
- 理想の教員とは、どのような教員ですか。
- なぜ今の年齢で受験しようと思ったのですか。→ そのきっかけは何ですか。
- 最後に採用試験を受けたのはいつですか。
【これまでの経験を掘る質問】
- クラス担任の経験はありますか。/教えたことのある学年を教えてください。
- 支援学級の授業の経験はありますか。
- 生徒指導困難校と学力重視の学校、どちらが大変でしたか。
- 経験した校務分掌を教えてください。→ その分掌で大変だったことは何ですか。
- 年下の教諭を指導することになったら、どのように指導しますか。
【勤務条件の確認】
- 自家用車通勤は可能ですか。/自宅から何分以内を希望していますか。/遠い勤務地になった場合どうしますか。
- もしも不合格ならどうしますか。/他の自治体は受けましたか。
この1名分の報告からは、岡山市の個人面接の一例が見えます。教育論を語らせるというより、「あなたはどんな現場を経験し、どこまで動ける人なのか」を具体的に確かめる面接だったようです。5年分の出題データでも、令和8年度採用の個人面接(2次)には、通勤の見通し・自動車免許の有無・併願先・両方とも不合格だった場合の進路といった通勤条件・併願の確認が並んでいます。

「不合格ならどうしますか」は、答え方を準備していないと表情まで崩れる質問です。ここは実演で見るのが一番早いですよ。
③ 模擬授業(模擬場面指導)・口頭試問|条件が細かい。まず条件を守る
岡山市の模擬授業・口頭試問は、第2次試験の会場(岡山市立岡山後楽館中学校・高等学校、岡山市立桑田中学校)のいずれかで行われます。令和9年度採用の要項では、試験ごとの会場は8月上旬頃に教職員課ホームページに掲載するとされていました。要項に書かれているのは「小学校・中学校・栄養教諭=模擬授業・口頭試問/養護教諭=模擬場面指導・口頭試問」ということと、評価の観点だけ。中身は受験者報告でしか分かりません。
いただいた1名分の実録が、その中身を具体的に教えてくれます。
模擬授業の条件(令和6年度採用・中学校社会の報告より)
- 教科書を印刷してラミネートしたものが3枚置いてあり、その中から1つを自分で選ぶ
- 構想5分 → 実演7分以内
- 授業は導入かまとめの部分を行う
- 必ず「めあて」を黒板に書く。「めあて」は教科書に示してある「学習課題」をそのまま書く(オリジナルのめあては不可)。
- その場にない機材・教具は「あるつもり」で行う
- 授業後、面接官から授業についての質疑。続けて口頭試問。
この報告で選択肢として置かれていたのは、地理・歴史・公民から1つずつ(火山のある暮らし/近世の貿易/情報社会)でした。単元を選ばせるのは、「どの単元なら自分の授業観を出せるか」を選ぶ力も見られているからかもしれません。

ここでいちばん怖いのは、「オリジナルのめあては不可」を忘れること。良い授業を作ろうと気合いを入れるほど、自分の言葉でめあてを立てたくなります。でもこの報告の条件では、これは条件違反になります。この報告では、めあてを教科書どおりに書くことが実施条件でした。当日は提示された条件を確認しましょう。まず条件、次に授業です。
授業後の質疑と口頭試問で、実際に聞かれたこと
【授業についての質疑】
- ICT機器を使うなら、どの場面でどう使いますか。
- 授業ではどんなことを意識しましたか。
- よくなかった点はありますか。
【続けて行われた口頭試問】
- 不登校の生徒がひさしぶりに登校することになりました。あなたならどのようなことに注意しますか。
- 学級通信を出すなら、どのような内容を載せますか。→ その内容にする理由は。→ 配慮することがあれば教えてください。
- LGBTQの生徒がいる場合、どのような配慮をしますか。→ もしも「誰にも言わないで」とお願いされたらどうしますか。
ここに、さきほどの「面接では学級経営やいじめが0件」のヒントがあります。令和6年度採用の中学校受験者1名の報告には、模擬授業後の口頭試問で、生徒指導・学級経営・多様性への配慮を質問された例があるのです。しかも「誰にも言わないで、と言われたら」のように、一段深いところまで来ます。
まず、模擬授業そのものの作り方はこちらで。「子どもが見える/意図が見える/その人らしさが光る」の3つが、7分の授業でも伝わります。
そして口頭試問で問われる生徒対応は、どんな場面でも共通する3つのポイントを持っておくと崩れません。
LGBTQの生徒への配慮は、実際に受講生からもよく質問をいただくテーマです。「誰にも言わないで」と言われたときの考え方まで、こちらで話しています。
④ 課題作文|10分・字数制限なし。小論文とは別物です
要項の第2次試験のページには、日程表の下に一行、こう書かれています。「※上記の試験とは別に、テーマに沿った課題作文を実施(10分間・字数制限なし)」。
10分・字数制限なし——これは、いわゆる小論文(論作文)とはまったく別の性格のものです。60分で800字を構成する試験ではなく、10分で自分の考えを一気に書き出す試験。そして要項の「選考の方法」には、この課題作文が選考の材料として明記されています(「集団活動、個人面接、実技、模擬授業(模擬場面指導)・口頭試問及び提出された各種資料(受験願書、課題作文、特別選考申告票等)を基に、総合的に選考する」)。
課題作文について分かっていること
- 要項に書かれていること:第2次試験で、他の試験とは別に実施。10分間・字数制限なし。テーマが与えられる。選考の材料になる。
- 出題データから分かること:令和8年度採用(2025年夏実施)は集団活動の控室で書いた記録が残っています。テーマは「先生になって大事にしたいこと」といった、教職への構えを問うもの。
- 受験者報告から分かること:令和6年度採用(2023年夏実施)の方は、第1次試験の専門教科の筆記(60分)の直後に、10分で「自己PR文」を書いたと報告しています。実施のタイミングは年度によって変わっている可能性があります。

10分で書くものは、その場で考えて書くのではなく、すでに持っているものを出すことになる場合が多いと思います。だから対策はシンプルです。「私が先生になって大事にしたいこと」を、400字くらいで一度書き切っておく。これができていれば、テーマが多少ずれても10分で形にしやすくなります。そして書いた内容は、そのまま願書の出願理由とも、面接の答えとも一本につながりますよ!
【資料編】受験者別 過去問アーカイブ|実録1名分を収録
いただいた報告を、そのままの形で収録します。個人が特定される経歴・家族構成に関する質問は、一般化または非掲載としています。
令和6年度採用(2023年夏実施)|1名の実録
中学校(講師経験あり)
- 【筆記+自己PR文】専門教科の筆記試験60分。試験後すぐに10分で自己PR文を書く。
- 【個人面接】志願理由。/理想の教員とはどのような教員か。/なぜ今の年齢で受験しようと思ったのか。→ そのきっかけは。/最後に採用試験を受けたのはいつか。/年下の教諭を指導することになったら、どのように指導するか。/自家用車通勤は可能か。/自宅から何分以内を希望しているか。/遠い勤務地になった場合どうするか。/クラス担任の経験はあるか。/教えたことのある学年。/支援学級の授業の経験はあるか。/生徒指導困難校と学力重視の学校、どちらが大変だったか。/経験した校務分掌は。→ その分掌で大変だったことは。/もしも不合格ならどうするか。/他の自治体は受けたか。
- 【模擬授業】教科書を印刷・ラミネートした3枚(地理・歴史・公民から1単元ずつ)から一つ選び、導入かまとめの部分の授業を行う。構想5分・実演7分以内。必ず「めあて」を黒板に書き、めあては教科書に示してある「学習課題」をそのまま書く(オリジナル不可)。この場にない機材・教具はあるつもりで行う。
- 【授業後の質疑】ICT機器を使うならどの場面でどう使うか。/授業はどんなことを意識したか。/よくなかった点はあるか。
- 【口頭試問】不登校の生徒がひさしぶりに登校することになった。あなたならどのようなことに注意をするか。/学級通信を出すならどのような内容を載せるか。→ その内容にする理由は。→ 配慮することがあれば。/LGBTQの生徒がいる場合、どのような配慮をするか。→ もしも誰にも言わないで、とお願いされたらどうするか。
- (ご本人のコメント)「他にも聞かれたような気がしますが、もうあまり覚えていません!」
この記事は、あなたの報告で育ちます
正直にお伝えします。岡山市の実録は、令和8年10月時点で1名分です。日程・形式・評価の観点は要項で確かめられますが、個人面接で聞かれた内容や模擬授業の具体的な条件について、受験者の報告を募集しています。集団活動のテーマは、市の情報公開室でも閲覧・コピーができます。
岡山市を受験された方、ぜひ次年度以降の受験生のために教えてください。2〜3分・匿名でご協力いただけます。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。
傾向と対策|要項と5年分の出題データから見えた7つのポイント
- 一次にも個人面接がある。しかも筆記とは別の日。「一次は筆記、面接は二次から」という感覚で臨むと、令和9年度採用の日程では7月の面接に間に合わなくなるおそれがあります。一次の観点は「コミュニケーション能力・社会性、協調性・主体性」です。
- 集団活動は「学校以外が舞台の課題」も出ている。店舗の商品構成、新商品のCMなど。見られているのはチームへの関わり方と、課題にみんなで正対して考えを深められているかだと思います。
- 話し合いのあとに「作って発表する」年があります。令和6年度採用は話し合い25分→60〜90秒の寸劇発表。時間配分の合意を早めに取れる人が有利になりやすい形式です。
- 模擬授業は「条件を守る」が第一関門。教科書の学習課題をそのまま「めあて」に板書、構想5分・実演7分以内、単元は自分で選ぶ(令和6年度採用・中学校社会の受験者報告より)。この条件を外さないことが前提になる、と考えて準備しておくと安全です。
- 生徒指導・学級経営・多様性は、口頭試問で聞かれた報告がある。不登校の再登校時の配慮、学級通信、LGBTQの生徒への配慮。模擬授業のあとが本番だと思って準備してください。
- 部活動の質問が全国平均より多め。「指導できる部活はあるか」「部活で苦労したことは」まで聞かれることがあります。中学校志望は特に、部活動を1テーマ4問で準備しましょう。
- 深掘り率13.7%(全国平均は約10.5%)。想定問答を一問一答で作ると崩れやすくなります。「答え → その理由 → 具体例 → 反対の場合」まで枝を伸ばした深掘りツリーで作ってください。
深掘りに強くなるコツは、面接官が「知りたい順番」を先回りして準備すること。この考え方は大学講演で詳しく解説しました。
実施要項の表紙裏に、こう書かれています。
「教育に対する揺るぎない情熱」「教育の専門家としての確かな力量」「総合的な人間力」の三つの資質能力をバランスよく兼ね備えるとともに、生涯を通して、自らの資質能力を磨き、学び続けることのできる教員
二次の評価の観点にある「教育的愛情、向上心」は、この教員像の1つ目と4つ目に近い、と私は読んでいます。志望動機も、模擬授業の振り返りも、口頭試問の答えも、この3つ+「学び続ける」のどれかに着地させる意識を持つと、回答全体に一貫性が出ますよ!
もう一段深く岡山市を語りたい方は、第3期岡山市教育大綱(令和8年3月策定・令和8年度〜12年度)を読んでおくと強いです。岡山市がめざす教育は「『樹人』明日の世界に雄飛する人を樹うる」。第3期は①学び続ける力の育成 ②不登校のこどもなどの居場所づくりと社会的自立への支援 ③地域社会とつながる力の育成の3本柱を掲げ、これらを通して「自立に向かって成長するこども」を育てるとしています。口頭試問で不登校に関する質問が出た報告があることと、この2本目の柱は、つながっていると考えられます。
また、『生徒指導提要(改訂版)』には、不登校・多様性への配慮を含む現代の生徒指導の在り方が整理されています。岡山市の口頭試問の答えを組み立てるうえで参考になります。
面接対策の「全体像」は、こちらの完全解説動画で体系的にまとめています。個別の質問対策に入る前に、一度この動画で土台を固めるのがおすすめです。
よくある質問
Q. 岡山市と岡山県は、別の試験ですか?
A. まったく別の試験です。岡山市立の小学校・中学校・義務教育学校の教員は、岡山市教育委員会が単独で選考試験を実施しています。日程も試験内容も、結果の発表日も違います(岡山市の令和9年度採用の第2次試験結果は9月11日。岡山県の結果発表日は岡山県の公表資料でご確認ください)。出願・受験はそれぞれ別に必要です。併願できるかどうかは、それぞれの実施要項と日程でご確認ください。岡山県の二次試験については別記事にまとめています。
■ 岡山県の個人面接|受験者9名の実録とグループワーク・模擬授業の内容
Q. 小論文(論作文)はありますか?
A. 令和9年度採用の実施要項の第1次・第2次の試験内容には、小論文・論作文の記載は確認できませんでした。代わりに第2次試験で「テーマに沿った課題作文(10分間・字数制限なし)」が実施され、これが選考の材料になります。60分で書く一般的な小論文とは、時間も性格も別物です。
Q. 集団討論はありますか?
A. 要項上の名称は「集団活動」です。過去の記録を見ると、討論だけで終わる年もあれば、話し合ったうえでグループで発表(寸劇・CM)まで行う年もあります。「討論」という言葉に縛られず、「グループで一つの成果物を作る試験」として準備するのが安全です。全国の集団討論の型は、こちらの記事もあわせてどうぞ。
Q. 場面指導は独立した試験ですか?
A. 養護教諭のみ、独立した「模擬場面指導」があります(他の区分は「模擬授業」)。それ以外の区分では、生徒指導に関わる質問が模擬授業のあとの口頭試問で出た報告があります。実録では、不登校の生徒への配慮やLGBTQの生徒への配慮が口頭試問で出ています。全国版の場面指導対策はこちらです。
Q. 個人面接は何分ですか? 面接官は何人ですか?
A. 実施要項に記載はありません。市販の過去問集5年分に残された形式メモを集計すると、面接官2人・15〜25分(20分前後が最多)という記録が中心です。ただしこれは受験者の記憶にもとづく情報なので、年度や区分によって変わる可能性があります。
Q. 過去問は手に入りますか?
A. 令和9年度採用の要項では、情報公開室で閲覧・コピー(有料)できるとされています。要項「10 その他」に、こう書かれています。
- 第1次試験:岡山市役所本庁舎2階の情報公開室で、筆記試験の問題と解答の閲覧・コピー(有料)が可能。過去3年間分。令和8年度実施分(令和9年度採用)は7月17日(金)から公開。
- 第2次試験:同じく情報公開室で、集団活動のテーマの閲覧・コピー(有料)が可能。令和8年度実施分(令和9年度採用)は8月28日(金)から公開。
つまり集団活動のテーマは、市が正式に公開しているということです。岡山市を本気で狙うなら、情報公開室で過去3年分のテーマを確認しておく価値は十分にあります。
Q. 結果は点数が開示されますか?
A. 一部されます。要項「8(2)選考結果の情報提供」によると、第1次試験で第2次試験の受験資格が得られなかった方には「教科等専門試験の点数」と「個人面接の評価段階」(特別面接の受験者は特別面接の評価段階)が、第2次試験の受験者には「集団活動・個人面接・実技・模擬授業(模擬場面指導)口頭試問の評価段階」が提供されます。ただし選考結果に関する問い合わせには一切応じないとも明記されています。
Q. 補欠合格はありますか?
A. 令和9年度採用の実施要項に補欠合格に関する規定の記載は確認できません(岡山県の制度は岡山県の公表資料でご確認ください)。岡山市は採用候補者名簿への登録という形で、登録の有効期間は令和10年3月31日まで。原則として令和9年4月1日付けで採用となります(場合によってはそれ以前の採用もあり得ると要項に記載)。
Q. 現職の教員です。10月にも試験があると聞きました。
A. あります。現職教諭(小学校教諭等・中学校教諭等)を対象とした特別選考が、本試験とは別に10月に実施されます(令和9年度採用は10月24日(土)・25日(日)のうち指定された日/出願は8月12日〜9月18日/結果通知は11月18日)。試験内容は模擬授業・口頭試問と個人面接で、実践報告書の提出が必要です。詳しくは特別選考の記事にまとめました。
■ 岡山市の特別選考と一次免除ルート|大学3年生等・講師・大学等推薦・社会人・現職教諭・加点制度
面接の手応えが気になる方へ
令和9年度採用の岡山市は、二次が8月上旬〜中旬(8月8日〜10日・15日〜17日)、結果通知が9月11日でした。1か月近く待つことになります。「あの模擬授業でよかったのか」「口頭試問の答えが浅かったかも」と、頭の中で何度も再生してしまう時期です。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由は、こちらの記事にまとめています。
■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由
そして、もし結果が届かなかったときのことも、少しだけ書いておきます。岡山市には講師特別選考という道があり、令和8年度実施の講師特別選考では、前年度の受験区分・教科・選考区分の条件に加え、岡山市立学校等での勤務と所属長の証明など、要項の要件をすべて満たす必要があります。翌年度の免除は、翌年度の要項で確認してください。
■ 教員採用試験に落ちたらどうする?進路の選択肢とやるべきこと
この記事の質問は、受験された方からの情報提供で成り立っています。ご協力くださった方、本当にありがとうございます。応援しています!
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