【教員採用試験】川崎市の二次試験|場面指導5分・個人面接25分の内容と出題傾向(実録募集中)

こんにちは、金井志津乃です! 

川崎市って、神奈川県の採用試験と一緒に受けるんですか? あと、場面指導で「生徒役」もやるって聞いたんですが……。

川崎市は神奈川県・横浜市・相模原市とは別の試験です。川崎市の受験案内に書かれています。そして生徒役も、令和8年度採用の「試験の内容と評価」では行うとされています! 川崎市の場面指導は受験者どうしで教師役と児童生徒役を交代しながら行う形式と公表されています。

この記事では、川崎市立学校教員採用候補者選考試験の第2次試験(場面指導・個人面接・実技試験)と、第1次試験で行われる集団討論について、実際に受験した2名の方からご提供いただいた「生の質問」と、公表資料をもとに整理します。

この記事の根拠

  • 受験者2名・6件の実録(令和7年度採用1名/令和8年度採用1名)を、年度別・受験者別に収録しています。川崎市は令和8年10月時点で報告がとても少ない自治体です。「2名の報告」であることを正直にお伝えした上で、そのぶん受験案内と「試験の内容と評価」(配点・評価の観点)を徹底的に読み込んで補っています。
  • 市販の全国版過去問集から川崎市分197件を独自に集計し、全国平均と比べた出題傾向を確認(個別の設問は転載していません)。収録は4年分(令和4・5・7・8年度採用。令和6年度採用は収録がありません)。
  • 日程・形式・提出物は令和9年度採用(令和8年度実施)の受験案内と照合済み。配点と評価の観点は川崎市が公表している「試験の内容と評価」(令和8年度採用)によります。
  • 執筆:金井志津乃(高校地歴の教員採用試験に新卒合格・高校教員として6年半勤務・教採スクール「教員の学校」運営・YouTubeチャンネル登録者1.7万人・大学講演・教採専門誌「教員養成セミナー」への執筆経験)
令和9年度採用(令和8年度実施)|選考の日程

受付(電子申請のみ):令和8年3月27日(金)〜5月7日(木)
第1次試験:7月5日(日)/会場は川崎・愛知・兵庫・宮城(愛知・兵庫・宮城は一部の試験のみ)
面接カードの提出:第1次試験当日に試験会場で提出(後日提出は不可。特別選考5・6は7月5日消印有効で郵送)
第1次試験合格発表:7月23日(木)(要項上の予定日)
第2次試験(実技。一部の教科のみ):8月4日(火)/第2次試験(面接):8月6日(木)〜8月21日(金)のうち指定された1日
第2次試験合格発表:9月17日(木)

川崎市で見落としてはいけないのが、面接カードの提出が「第1次試験の当日」だということ。出願時ではありません。つまり令和9年度採用の第1次試験日(2026年7月5日)に、筆記と小論文(区分によっては集団討論も)を受けに行くその手に、二次の個人面接で使われる面接カードを持って行くということです。5月の出願を終えたら、すぐ面接カードに取りかかってください。
※出典:令和8年度実施 受験案内。
令和10年度採用の日程は、受験案内の公開後に川崎市のホームページでご確認ください。

お読みいただく前に

この記事は各自治体の実施要項等をもとに記載しています。ただし、日程や制度の変更、こちらの見落としがないとは言い切れません。最後は必ず、各自治体の実施要項をご自身でご確認ください。

目次

川崎市の選考の全体像|30秒でわかる基本情報

まず、どの試験がいつ行われるのかを整理します。川崎市は集団討論が第1次試験にも第2次試験にある(区分による)ので、ここを取り違えると準備の順番を間違えます。

第1次試験(7月5日)受ける科目は選考区分で異なります(受験案内10ページの表。特別選考7は受験する選考区分によります)。一般教養・教職専門試験(60分・マークシート)/教科専門試験(60分・マークシート。小学校は令和9年度採用から廃止)/小論文A(60分・600字以内。特別選考1〜4のみ。うち小学校の特別選考1・2は令和9年度採用から廃止)/集団討論(特別選考1・2のみ)/小論文B(60分・600字以内。第2次試験の扱いですが第1次試験日に実施。特別選考5・6を除く受験者全員)。
第2次試験(8月4日・8月6日〜21日)実技試験(特別選考5・6を除く中学校・高等学校の音楽/美術/保健体育/英語)/場面指導/集団討論(大学3年次在籍者推薦のみ)/個人面接
集団討論はどっち?第1次試験で集団討論を受けるのは特別選考1・2の受験者だけです(受験案内10ページの表で、一般選考と特別選考3〜6の集団討論欄は「—」。特別選考7は受験する選考区分の試験項目によります)。第2次試験の集団討論は大学3年次在籍者推薦の受験者のみ(受験案内「(イ)面接試験 b 集団討論」)。
場面指導大学3年次在籍者推薦の受験者を除く全員が受けます(受験案内「(イ)面接試験 a 場面指導」)。テーマは第1次試験の時に知らされます(特別選考5・6は第1次試験日以降)。
小論文Bの扱い特別選考5・6を除く受験者全員に第1次試験日に実施し、第2次試験の対象者だけを採点します。つまり一次で落ちると採点されません。
令和9年度採用の主な変更点①栄養教諭の選考を新設 ②小学校の教科専門試験を廃止 ③小学校の特別選考1・2の小論文Aを廃止 ④前年度試験実績者特別選考を廃止 ⑤中学校・高等学校「数学」「理科」から「技術」への併願を新設
結果の開示不合格者にはランク等・総合評価得点・試験の種類ごとの得点(換算点)が選考結果通知に記載されます

※出典:令和8年度実施 川崎市立学校教員採用候補者選考試験 受験案内。

配点|素点と合否判定の換算点を区別する

川崎市は配点と評価の観点を「試験の内容と評価」という資料で公表しています。ここを読むと、力の配分がはっきり見えてきます。

試験区分素点・評価方法(合否判定では換算。令和8年度採用の資料)実施方法
一般教養・教職専門1次100点マークシート・60分
教科専門1次100点マークシート・60分
小論文A1次(特別選考1〜4のみ。小学校の特別選考1・2を除く)300点600字以内・60分
集団討論1次7段階評価概ね7人〜10人程度のグループ・1グループ35分(時間・進行は令和8年度採用の資料)
小論文B2次(1次日に実施。特別選考5・6を除く)300点600字以内・60分
実技試験2次100点特別選考5・6を除く中高の音楽・美術・保健体育・英語
場面指導2次7段階評価教師役は1人5分・事前に与えられた7個から当日1つを指示
個人面接2次7段階評価複数の試験官・1人25分程度

※出典:川崎市「試験の内容と評価」(令和8年度採用)。
令和9年度採用の受験案内には配点の記載がありません。受験案内とは別に、令和9年度採用の選考概要と合格基準が公表されています。素点と換算点を区別してください。年度によって変わる可能性があるので、当年度の資料もあわせて確認してください。

この表、じっくり見てほしいんです。素点で点数が示されているのは筆記200点、小論文(A300点・B300点)、実技100点。そして集団討論・場面指導・個人面接は「7段階評価」です。ただし、素点がそのまま合否の配点になるわけではなく、一次と二次で別々に換算されます。換算後の配点は市の合格基準で公表されています。

■ 川崎市の小論文A・B|各600字の書き方と過去テーマ(かわさき教育プランが土台)

川崎市の倍率|令和9年度採用の実質倍率は2.1倍

この記事の倍率の定義

川崎市教育委員会が「実施結果」で公表する実質倍率=公表された受験者数(第1次試験の免除者等を含む)(A)÷最終合格者数(B)です。応募状況の速報値で使われる応募倍率=応募人数÷募集人数とは分母も分子も違います(募集人数に幅がある教科は中間値、若干名は2.5名として計算、と川崎市が注記)。他県でよく使われる「志願者÷採用予定」とも違うので、比較のときは注意してください。

令和9年度採用(令和8年度実施)は、募集428名程度に対して応募918人(確定値)、最終合格369人、実質倍率2.1倍でした(応募は令和8年6月2日の報道発表・速報値で923人・応募倍率2.2倍)。令和7年度・8年度採用の実質倍率はどちらも1.8倍で、5年前(令和4年度採用の2.9倍)からははっきり下がっていますが、令和9年度採用はやや上がりました。

採用年度募集人員応募受験(A)1次合格最終合格(B)実質倍率
令和4年度採用268名程度1,0929456953252.9
令和5年度採用348名程度1,2021,0548104362.4
令和6年度採用368名程度1,2161,0427864472.3
令和7年度採用430名程度1,0008746884861.8
令和8年度採用470名程度9918496504751.8
令和9年度採用428名程度9187685803692.1

※出典:川崎市「実施結果」令和3年度〜7年度実施、「令和8年度実施 応募状況(速報値)」。
令和7・8年度採用は大学3年次在籍者推薦の分を別表で公表しているため、上の表には含めていません。

令和9年度採用の第2次試験の結果は令和8年9月17日(木)に発表され、実施結果は公表済みです。応募918人・受験768人・1次合格580人・最終合格369人、実質倍率は2.1倍でした。校種別・教科別の推移は倍率の専用記事にまとめました。

■ 川崎市の倍率|令和9年度採用の応募状況と5年間の推移(校種別・教科別)
■ 川崎市の特別選考1〜7と加点制度|講師・社会人・市外現職・ジョブ・リターン

① 場面指導|教師役5分、そして「生徒役」もやる

川崎市の二次でいちばん特徴的なのが場面指導です。「試験の内容と評価」の記述を、そのまま読んでみましょう。

場面指導の実施方法(川崎市「試験の内容と評価」(令和8年度採用)より)

  • 受験者が教師役と児童生徒役になって、「学級担任(又は養護教諭)が教室で学級指導を行う」という設定で行う
  • 教師役の時間は1人5分間
  • 指導内容(テーマ)は事前に与えられた7個の中から、当日指示した1つで行う(令和8年度採用の資料。令和7年度採用の受験者報告では10個、令和9年度採用の受験案内では「第1次試験の時にお知らせ」)
  • 学年設定は小学校=小学5年生/中学校・高等学校=中学2年生/高等学校(情報・工業・商業)=高校2年生。特別支援学校・養護教諭・栄養教諭は小5か中2のどちらかを選択。
  • 受験者は、教師役、児童生徒役の両方を行う

そして実際に受験した方の報告が、これを裏づけています。

実録|場面指導(令和7年度採用・中学校 社会)

「テーマは一次試験の結果とともに送られてきた10個の中からクジを引いて決める形でした。教師役が一回、生徒役を四回しました。」

公刊過去問集に記録されている形式メモにも「面接官3人・受験者5人・5分」という記載が繰り返し出てきます。実録の「教師役1回+生徒役4回」と合わせると、5人1組で、1人ずつ順番に教師役をやり、自分の番以外は児童生徒役に回る——という進み方だった可能性があります(公式の要項に「5人1組」の規定は見当たりません)。自分の番以外の時間も、試験官に見られている前提で臨むのが安全です。

ここが川崎市の落とし穴です。生徒役の時間も、見られている前提で臨みましょう。自分の教師役が終わってホッとして、雑に生徒役をやってしまう人がいるんですね。でも「試験の内容と評価」の観点には「子どもが安心して考えることができる雰囲気をつくっている」とあります。他の受験者が指導しやすい生徒を演じられる人は、教室で子どもの立場に立てる人です。生徒役は、人柄が出やすい場面です。

場面指導の評価の観点(令和8年度採用の資料で公表)

指導力指導内容を理解し、解決に向けて適切に指導しているか。<状況に応じて発問や展開等を工夫している/指導内容に応じて事実の確認や子どもの気持ちを聞くなどして、子ども自身に考えさせたり気づかせたりして指導している/子どもの反応等に対して、適切に対応している>
表現力指導に必要なコミュニケーション能力が備わっているか。<適切な言葉遣いや話し方/子どもの発達段階に応じて例示をしたり板書を工夫したり/状況に応じた表情>
意欲・人柄指導の中に子どもへの愛情が感じられるか。<子どもの心情を受け止めながら指導している/子どもが安心して考えることができる雰囲気をつくっている/指導全体を通して、子どもをひきつける魅力が感じられる>

※出典:川崎市「試験の内容と評価」(令和8年度採用)。

注目してほしいのは、指導力の欄に「子ども自身に考えさせたり気づかせたりして指導している」と書いてあること。正論を言い切る5分ではなく、子どもに考えさせる5分が求められています。

どんなテーマが出ているか(公刊過去問の傾向)

市販の全国版過去問集に収録されている川崎市の場面指導テーマを集計すると(令和7・8年度採用で各20件)、大きく2つの系統に分かれます。設問そのものは転載しませんが、傾向はこうです。

学級経営・生活指導の系統学級のまとまり/学校行事のあと/年度末・進級への意識/クラス替え直後の関係づくり/整理整頓や落ち着かない学級/あいさつ/GIGA端末の使い方のルールと個人情報/SNSでの発信/避難訓練・地震への備え/通学路と登下校のマナー/地域住民からの連絡/日本語を話すことができない児童生徒の転入/ゲストティーチャーへの礼儀
健康・保健の系統(養護教諭向けが中心)感染症の予防/熱中症/視力/けがの予防/生活リズムと睡眠/換気/薬の正しい使い方/健康診断・尿検査の意義/宿泊学習前の健康チェック/不安や悩みからの体調不良/ストレスへの対処/正しい姿勢
出題の型多くが「〜という状況です。このことについて指導してください」という形。荒れた場面より「みんなに向けて話す場面」が中心で、ほめる場面・意識を高める場面も出ます(例:進んでごみを拾う子がいる/ゲストティーチャーに態度をほめられた、など)。

※出典:市販の全国版過去問集の川崎市分(令和7・8年度採用の場面指導40件)を当ブログで集計。
個別の設問文は掲載していません。

「ほめる場面指導」が出ているのは川崎市の特徴の一つです。叱る場面ばかり練習していると、当日「進んでごみを拾う子がいます。このことについて指導してください」とクジで出た瞬間に固まります。ほめる場面は「事実を具体的に言う→私はうれしかったと伝える→だから次はこうしていこう、と全体に広げる」で組み立てられますよ。

5分の一斉指導をどう組むか|私が受講生に伝えている3つ

川崎市の場面指導は、面接官と1対1でやるロールプレイではなく、クラス全体に向けて話す「一斉指導系」です。この形式を成功させるコツは3つあります。

  1. 生徒の気持ちに寄り添う。「迷惑になるから気をつけましょう」とストレートに正論を言っても、子どもの行動は変わりません。私たち大人も「甘いものをやめて運動したら痩せるんだからやりなさい」と言われて、「分かっているけどできないんだよね」と思いますよね。子どもも同じです。私も昔は正論ばかり投げかけていましたが、それで行動が改善されたことはあまりありませんでした。まず子どもの言い分を想定して口に出す——「一列だと友達と話せない、って思うよね。先生もその気持ちは分かるよ」。ここから始めてください。
  2. Iメッセージで伝える。「あなたたちは〇〇だ」(Youメッセージ)ではなく「私は〇〇だと思いました」(Iメッセージ)。ただしラベリングに注意です。「あなたたちが交通マナーの悪い生徒たちだということに、私は残念に思いました」——これは一見Iメッセージですが、人格を評価しています。「あなたたちの交通マナーが良くなかったということを聞いて、私は残念に思いました」なら過去の行動だけに言及できます。さらに子どもの良い点にも触れながら使うのがおすすめ:「みんなの一生懸命なところや優しいところも私はたくさん見てきたから、今回のことはすごくもったいないと私は思いました」
  3. 自分の言葉で語る。「〇〇っていう人が多いけど私は違うと思う」のように誰かを否定する言い方は避けてください。面接官がそのスタンスを持っていたら一気に評価が下がる可能性が高いです。私が面接官役をしていて「この人の言葉ではなさそうだな」と感じる場面指導や回答は、受験者の教育者としての深みや教育的愛情、使命感を感じにくいと思っています。実際に面接官を経験された方と話しても、ほとんどの方が「もっと自分の言葉で語ってほしい」とおっしゃいます。

どんなテーマが来ても使える「事実確認」「生徒理解」の型は、こちらでまとめています。令和8年度採用の資料では7個のテーマが事前に配られるとされていましたが、当日どれが指示されるかは分からないので、型を1つ持っておくことが役に立ちます。

② 個人面接|1人25分程度(令和8年度採用の資料)、面接官3人の報告あり、面接カードが起点とみられる

個人面接は複数の試験官・1人25分程度(令和8年度採用の「試験の内容と評価」)。実録と公刊過去問の形式メモを合わせると、面接官3人・受験者1人・25分という組み合わせが見られるようです。

実録|面接官3人の「役割分担」(令和7年度採用・中学校 社会)

「面接官は3人で、自己PRについて確認する人、教科について質問する人、そのほか学級経営などについて聞く人がいました。」

これ、川崎市を受ける人にはものすごく価値のある1行です。3人の面接官がそれぞれ①面接カードの自己PR ②教科の専門性 ③学級経営という担当を持っている。ということは、この3本柱で25分が組み立てられている可能性があります(受験者1名の報告です)。準備しておきたい引き出しの手がかりになります。

もう1名の方(令和8年度採用・中学校・高等学校 英語)からは、質問そのものをご提供いただきました。

実録|個人面接で実際に聞かれた質問(令和8年度採用・中学校・高等学校 英語)

  • なぜ教師になろうと思いましたか。
  • 子どもたちと関わる上で、大切にしていることは何ですか。
  • 英語の授業で大切にしていることは何ですか。
  • (これまでの経歴について)一度学校現場を離れた経緯と、もう一度教員を目指した理由。
  • 多様性とは何ですか。
  • 今の時代、中学を卒業して高校に行かない子どももいます。そういう子どもたちがいる中で、中学校に配属されたらどのようなことに気を付けますか。
  • 今まで働いた中で、納得のいかなかったことはありますか。→納得のいかなかったことは、どのように対処しましたか。

この7問(追質問を含めると8問)を並べてみると、川崎市の個人面接の傾向の一端が見えます。「志望動機」「子ども観」「教科観」「経歴」「多様性」「納得できないことへの対処」。前半は面接カードの中身、後半は組織の中で働ける人かどうかを確かめる質問と読めます。

そして「多様性とは何ですか」と正面から聞かれているのは見逃せません。川崎市は「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」を制定している自治体で、集団討論のテーマにもこの条例が登場しています。多様性は川崎市が重視しているテーマの一つと考えられます。

公刊データで見る川崎市の個人面接|全国と比べてどうか

市販の全国版過去問集から川崎市分の面接178件を集計し、全国平均と比べました(面接1,000問あたりの出現件数)。

テーマ全国と比べた傾向
授業づくり少なめ
志望動機同程度
自己PR・長所短所同程度
ストレス・メンタル↑ 多め
特別支援・合理的配慮↑ 多め
地域連携↑ 多め
部活動同程度
学級経営同程度
ICT・端末同程度
不登校↑ 多め
安全・危機管理↑ 多め
保護者対応少なめ
体罰・服務・不祥事少なめ
いじめ少なめ

※出典:市販の全国版過去問集の川崎市分(面接178件・4年分)を当ブログで集計。
件数が少ないテーマは比率の振れ幅が大きい点はご承知おきください。

この表から読み取れることは3つです。

  • 「あなた自身」を聞く質問が確認できる。志望動機・自己PRは全国と同程度、ストレスは全国と比べて多めでした。令和7年度採用の中学校社会の受験者からは「面接官3人のうち1人が自己PRの確認担当」との報告があります。
  • 「教育課題への意見」を聞く質問は、確認できた範囲では少なめ。いじめ・不祥事・保護者対応は、全国と比べて少ない傾向でした。小論文A・Bで教育課題への考えを書く場面があることとも関係しているのかもしれません。
  • 地域連携は全国と比べて多め。「川崎を選んだきっかけ」「川崎市のよさは」といった質問が出ています。かわさき教育プランが「地域とともにある学校」を掲げていることと関係していると考えられます。

追質問(深掘り)の連鎖は、確認できた範囲では全国と同程度で、平均的です。「1問聞いてすぐ次」ではなく、要所で1〜2回掘られると考えて、想定問答は一問一答ではなく深掘りツリーで作っておいてください。

個人面接の評価の観点

社会性あいさつやマナーなど、社会人としての基本的な素養がある/質問の意図を正しく理解し、自分の考えを簡潔に伝えている/考え方に柔軟性や適応性があり、職場の教職員等と良好な人間関係を築くことができる
教員としての適性子どもへの愛情があり、子どもとしっかりと向き合って指導・支援しようとしている/学び続ける姿勢があり、常に成長しようとする意思がある/教育公務員としての責任感と自覚をもっている
意欲・人柄前向きで積極性があり、困難な状況の中でも柔軟に対応しようとしている/ものごとを広い視野でとらえ、よりよいものを求めようとする/親しみやすい雰囲気をもち、応答から誠実さが感じられる

※出典:川崎市「試験の内容と評価」(令和8年度採用)。

社会性の欄の「自分の考えを簡潔に伝えている」——これははっきり書かれていますね。25分程度で3人の面接官が3つの柱を聞くとすると、1問あたり1分前後が一つの目安です。長く語るほど良いわけではありません。結論→理由→具体例→だから川崎での4ステップで、30秒版と1分版を用意しておきましょう。

面接カードの書き方は専用記事にまとめました。川崎市は面接カードを一次試験の当日に提出するので、準備の始め方が他県と違います。

■ 川崎市の面接カード|一次当日提出という落とし穴と、25分で掘られる欄の作り方

入室から退室までの流れは、実演動画で見るのが一番早いです。

③ 集団討論(第1次試験)|概ね7〜10人・35分程度・進行は試験官(令和8年度採用の資料)

川崎市の集団討論は第1次試験にあり、受けるのは特別選考1・2の受験者です(一般選考・特別選考3〜6にはありません。第2次試験の集団討論は大学3年次在籍者推薦のみ)。該当する方は、ここを見落とすと筆記だけ対策して7月5日を迎えることになるので注意してください。

人数10人程度のグループ(受験案内は「概ね7人〜10人程度」)
時間1グループ35分間
進行進行は試験官が行います(=受験者が司会を決める必要はありません)
評価7段階評価。観点は意欲・対人関係能力・人柄/適性。
実録の証言「1分間テーマについて考える時間があり、その後自由討論という形でした」(令和7年度採用・中学校 社会)

※出典:川崎市「試験の内容と評価」(令和8年度採用)、令和8年度実施 受験案内、受験者報告。

「進行は試験官が行います」(令和8年度採用の「試験の内容と評価」による)——これが令和9年度採用でも同じなら、集団討論でいちばん悩む「司会をやるべきか」問題は、川崎市では最初から消えていることになります。無理に司会を取りにいく必要はないと考えられます。35分を10人で割ると1人3.5分。私の指導経験では1回あたり30秒〜1分が適切なので、4〜5回登場するのがちょうどいい配分になります。1回で3分半しゃべってしまうと、独壇場と見られるおそれがありますよ。

「かわさき教育プラン」に関するテーマもある

実録でも「テーマは自治体の教育振興基本計画に関することでした」と報告されています。公刊過去問集の川崎市の集団討論テーマ25件を見ても、多くが次の型に当てはまります。

川崎市の集団討論テーマの型

「かわさき教育プラン(または川崎市の条例・育成指標)では〇〇を掲げています。そのために、あなたが心がけていることや実践していることは何ですか。また、そのことを進めるうえで大切なことについて、グループで話し合ってください。」

過去に登場した論点は、人権尊重(差別のない人権尊重のまちづくり条例)、共生・協働、キャリア在り方生き方教育、かわさきGIGAスクール構想、不登校対策と多様な学習機会の確保、子どもの居場所づくり、地域の教育力の活用、文化財・市内施設を活用した教育活動、学ぶ意欲、教職員育成指標ステージ1の「信頼関係・人間関係の構築」など。養護教諭は健康観察・健康相談・保健室経営計画・チーム学校といった専用テーマが記録されています。

※出典:市販の全国版過去問集の川崎市分(集団討論25件・4年分)を当ブログで集計。
設問文は掲載していません。

この型、対策がとてもしやすいんです。問われるのは「あなたが心がけている・実践していること」——つまり抽象論ではなく自分の実践。学生さんなら教育実習・ボランティア・アルバイト、講師の方なら日々の学級での工夫。かわさき教育プランの各テーマに、自分のエピソードを1つずつひもづけておくと、35分への備えとして大きな助けになります。

なお、全国の集団討論テーマ140問と進め方の基本は、こちらの記事にまとめています。

■ 教員採用試験の集団討論 過去問140問|テーマ別まとめ

④ 実技試験|英語は「マイクロティーチング」がある

実技試験は、特別選考5・6を除く中学校・高等学校の音楽/美術/保健体育/英語が対象(100点満点)。このうち英語には模擬授業(マイクロティーチング)が含まれます。他の受験者を生徒役にして、与えられた言語材料の導入とその後の指導場面を行う形式です。

実録|英語のマイクロティーチングで与えられた言語材料(令和8年度採用)

  • 現在完了形(継続)の授業を行いなさい。
  • 現在完了形(経験)の授業を行いなさい。
  • have to の授業を行いなさい。
  • 過去進行形の授業を行いなさい。
  • be going to の授業を行いなさい。

受験案内には「模擬授業の『言語材料』については、第1次試験の時にお知らせします」と書かれています。上のリストのように、中学校で扱う基本的な文法事項が複数示され、その中から実施すると考えられます。評価の観点は「導入のアイデアは、生徒が関心をもてるよう工夫されているか」「文法事項を適切な方法で提示することができるか」「英語で授業を進めることができるか」の3つ(令和8年度採用の資料)。英語で授業を進められることが明記されています。

英語の実技はほかに、共通テーマでの自己紹介を含むスピーチ、テーマについて自分の考えを述べたあと他の受験者と行うディスカッションがあります。音楽は弾き歌い・新曲視唱と伴奏付け(初見)・ピアノ以外の楽器による独奏、美術は静物淡彩、保健体育はマット運動(必須)+鉄棒・跳び箱・平均台から1種目選択、50mハードル走(必須)、バスケットボールとバレーボール(必須)です。

※出典:令和8年度実施 受験案内「(ア)実技試験」、川崎市「試験の内容と評価」。
バレーボールのネットの高さは男子2m20cm・女子2m10cm。雨天等で内容が変更されることがあります。

【資料編】受験者別 過去問アーカイブ

ここからは、受験者の報告を年度別・受験者別に整理して収録します。個人が特定される経歴に関する記述は一般化しています。ご協力くださったお二人、本当にありがとうございます。

令和8年度採用(2025年夏実施)|1名の実録

中学校・高等学校 英語

  • 【個人面接】なぜ教師になろうと思いましたか。/子どもたちと関わる上で、大切にしていることは何ですか。/英語の授業で大切にしていることは何ですか。/(経歴について)一度学校現場を離れた経緯と、もう一度教員を目指した理由。/多様性とは何ですか。/今の時代、中学を卒業して高校に行かない子どももいます。そういう子どもたちがいる中で、中学校に配属されたらどのようなことに気を付けますか。/今まで働いた中で、納得のいかなかったことはありますか。→納得のいかなかったことは、どのように対処しましたか。
  • 【実技試験(英語)・マイクロティーチング】現在完了形(継続)/現在完了形(経験)/have to/過去進行形/be going to

令和7年度採用(2024年夏実施)|1名の実録

中学校 社会

  • 【個人面接】面接官は3人。自己PRについて確認する人、教科について質問する人、そのほか学級経営などについて聞く人という構成。(設問そのものの記録はなし)
  • 【場面指導】テーマは一次試験の結果とともに送られてきた10個の中からクジを引いて決定。教師役を1回、生徒役を4回実施。
  • 【集団討論】川崎市の教育振興基本計画に関するテーマ。1分間テーマについて考える時間があり、その後自由討論。
  • 【小論文】2題。1つは自治体の教育振興基本計画に関するもの、もう1つは教育問題についてのテーマ。

この記事は受験者の皆さんの報告で育ちます

川崎市は、令和8年10月時点で2名分の報告しか集まっていません。それでも「面接官3人に役割分担がある」「令和7年度採用の場面指導は、教師役1回・生徒役4回だった」「テーマはクジで決める」といった、受験案内だけでは分かりにくいことが見えてきました。川崎市を受験された方は、ぜひ次の年度の受験生のために教えてください。ご報告いただいた方には、お礼に「合格発表のあとどうなる?」ガイド(PDF)をお渡ししています。

■ 教採 過去問データベース|受験報告フォーム

傾向と対策|公表資料と実録から見えた7つの法則

  1. 小論文A・Bはそれぞれ600字以内・60分です。Aは特別選考1・2の小学校以外と特別選考3・4、Bは特別選考5・6を除く受験者が対象です(特別選考7は組み合わせによります)。A・Bの素点はそれぞれ300点ですが、一次と二次で別々に換算されます。令和9年度採用の選考概要・合格基準では、二次は総合100点中、個人面接50点、小論文B30点(実技ありは10点。特別選考5・6はBなし)とされています。
  2. 面接カードは「一次試験の当日」に提出。出願時ではありません。5月に出願を終えたらすぐ着手を。二次の個人面接25分は、このカードが起点です。
  3. 場面指導は、教師役と児童生徒役の両方を行います。教師役は1人5分。令和7年度採用の中学校社会の受験者からは、教師役を1回、生徒役を4回担当したとの報告があります。
  4. 場面指導のテーマは事前または第1次試験の時に知らされる(年度により異なる)。令和7年度採用の受験報告では一次の結果と一緒に届き、当日にくじで1つを選んだとされています。現行の受験案内では第1次試験時に通知(特別選考5・6は第1次試験日以降)とされています。示されたテーマ(令和8年度採用の資料では7個)をすべて5分の形にしておくのが一つの進め方です。
  5. 集団討論は司会を取りにいかなくてよいと考えられます。進行は試験官(令和8年度採用の資料)。35分・10人なら1回30秒〜1分を4〜5回が一つの目安。
  6. 「あなた自身」を聞く質問が確認できる。志望動機・自己PRは全国と同程度、ストレスは全国と比べて多め。一人で抱えない仕組みを持っていることを伝えられるようにしておきましょう。
  7. 対策の一つの起点は「かわさき教育プラン」。集団討論・小論文とも、このプランに関する出題があります。プランの言葉に、自分の実践エピソードをひもづける——これが川崎市対策の背骨です。
川崎市の教育がめざすもの(第3次かわさき教育プラン)

令和8年3月に「第3次川崎市教育振興基本計画 かわさき教育プラン」が策定され、令和8年度から12年間の計画が始まりました。集団討論・小論文のテーマは、これまで第2次プランの「自主・自立」「共生・協働」を土台にしたものが中心でしたが、令和10年度採用以降は第3次プランが土台になる可能性があります。

  • めざすもの:「一人ひとりが輝き、共に未来をつくる」
  • みんなと共有したい価値観:「一歩、踏み出す」「自分の幸せ みんなの豊かさ」「多様性を可能性へ」
  • Key Project 1:社会参画に向けた資質・能力を育成する探究的な学びの充実(かわさき探究2.0)
  • Key Project 2:組織等の枠を越えた連携による切れ目のない支援
  • Key Project 3:教職員が働きやすい環境づくり
  • Key Project 4:生涯を通じた「学び」と「学び合い」社会の実現

実録の質問と並べてみてください。「多様性とは何ですか」は価値観の3つ目「多様性を可能性へ」に、「高校に行かない子どもがいる中で何に気を付けるか」はKey Project 2の「切れ目のない支援」に、それぞれきれいに対応しています。回答の最後を、この言葉のどれかに着地させる意識を持つと、面接全体に一貫性が出ますよ! ※出典:第3次川崎市教育振興基本計画 かわさき教育プラン第1期実施計画 概要版(令和8年3月)

また、『生徒指導提要(改訂版)』には現代の教育課題に合わせた生徒指導の在り方が書かれており、場面指導の回答を組み立てるうえで参考になります。川崎市の施策は川崎市教育委員会のページから確認できます。

面接対策の全体像は、こちらの完全解説動画で体系的にまとめています。個別の質問対策に入る前に、一度これで土台を固めるのがおすすめです!

よくある質問

Q. 神奈川県や横浜市と併願できますか?

A. 川崎市の受験案内には「(神奈川県、横浜市及び相模原市の採用試験とは異なります。)」と明記されています。まったく別の試験なので、他の自治体との併願の可否や日程は、各自治体の要項でご確認ください。ただし川崎市の第1次試験は令和8年7月5日(日)ですので、必ず各自治体の日程で確認してください。なお受験案内でいう「併願」は、川崎市の中での他校種・教科との併願(中高全教科→特別支援学校、中高数学・理科→技術)と、育児休業代替任期付教員選考との併願を指しています。

■ 神奈川県の二次試験|内容・日程・出題傾向 ■ 横浜市の二次試験|内容・日程・出題傾向

Q. 場面指導のテーマは、いつ分かりますか?

A. 受験案内では第1次試験の時にテーマを通知します(特別選考5・6は第1次試験日以降)。令和8年度採用の「試験の内容と評価」では、事前に与えられた7個から当日指示された1つを行うとされています(令和9年度採用の個数・通知時期は受験案内の通知で確認してください)。一方、令和7年度採用の受験者1名からは、一次結果とともに届いた10個から当日くじで選んだとの報告があります。過年度の報告と令和9年度採用の案内は区別し、受験する年度の通知に従って準備してください。

Q. 模擬授業はありますか?

A. 教科の模擬授業は、中学校・高等学校の英語の実技試験の中にあるだけです(マイクロティーチング)。小学校をはじめ他の校種・教科には、独立した模擬授業の科目はありません。授業力は場面指導と個人面接(教科について質問する面接官)で見られると考えられます。全国共通の模擬授業対策は、こちらの記事が使えます。

■ 教員採用試験の模擬授業対策|評価されるポイントと組み立て方

Q. 圧迫面接ですか?

A. 実録には「怖かった」「詰められた」という報告はありません。ただし25分程度は長い(令和8年度採用の資料)ので、1つのテーマを掘られる前提で準備しておくと安心です。評価の観点(令和8年度採用の資料)にも「困難な状況の中でも柔軟に対応しようとしている」とあります。答えにくい質問への向き合い方は、実演動画で確認できます。

Q. 得点は教えてもらえますか?

A. 受験案内に、第1次試験・第2次試験の不合格者へは「試験結果(ランク等、総合評価得点、試験の種類ごとの得点(換算点))を、選考結果通知に記載してお知らせします」とあります。試験の種類ごとの得点(換算点)が分かるとされています(採点の対象にならなかった試験、たとえば第1次試験で不合格の場合の小論文Bの得点は出ません)。再受験する方にとっては次年度の設計の手がかりになります。

Q. 試験会場は川崎市外にもありますか?

A. 第1次試験は川崎会場のほか、愛知会場(愛知大学 名古屋キャンパス)・兵庫会場(関西国際大学 尼崎キャンパス)・宮城会場(秀英予備校 仙台本部校)が予定されています(いずれも一部の試験のみ実施。特別選考1・2は川崎会場のみ)。ただし「応募人数や会場の状況等により、川崎会場での受験をお願いする場合があります」との注記があり、受験票で指定された会場で受験することになります。第2次試験はすべて川崎市内(実技は川崎市立川崎高等学校ほか、面接は川崎市立小杉小学校・上丸子小学校・川崎市教育会館の予定)です。

Q. 奨学金の返還支援があると聞きました。

A. 川崎市は奨学金返還支援事業を実施しています。令和8年度実施の選考試験の合格者のうち成績上位者50名程度を対象に、日本学生支援機構の第一種・第二種奨学金の返還を上限200万円まで支援するもの(支援額を10分割し、採用2年目から10年間支給)。大学3年次在籍者推薦も対象です。その他の条件は市ホームページで確認してください。
※出典:令和8年度実施 受験案内。

面接の手応えが気になる方へ

令和9年度採用の川崎市は、二次の面接が8月6日〜21日、発表が9月17日でした。1か月近く、結果を待つ時間がありました。「あの答えでよかったのか」と面接を何度も再生してしまう時期ですよね。面接官の反応の読み方と、手応えがなくても受かる理由はこちらの記事にまとめています。

■ 面接官の合格サイン・不合格サイン|手応えがボロボロでも受かる理由

それでも結果が届かなかったときの進路の考え方も、先に知っておくと落ち着いて受験できます。

■ 教員採用試験に落ちたらどうする?進路の選択肢とやるべきこと

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