こんにちは、金井志津乃です!

出願の締切が近くて、志願書を書く時間がありません。とりあえず埋めて出してしまおうかと思っているのですが……。

ちょっと待ってください。志願書は「提出したら終わる書類」ではなく、数か月後の面接であなたが読み上げられる“台本”です。私の受講生も、一緒に志願書を考えたときに「これまでどれだけ適当に書いてきたのか」と悔やまれる方がとても多いんですよ。
教員採用試験の志願書・自己PR・面接カードは、忙しい時期に書くことになります。だからこそ「こんなクオリティで出していいのかな」と悩みながら、結局とにかく書いて出してしまい、不合格になってしまった——という人が本当に少なくありません。
この記事では、面接で深掘りしてほしくないことの“種”を志願書に撒いて自爆したり、深掘りしてもらえば自分の良さを出せたはずなのにその種を撒かずに損したり——そういうことが起きないように、志願書の書き方を全部お話しします。
さらに前半では、全国46自治体の「提出書類の名前・字数・提出時期」の一覧と、受験者の報告から分かった「志願書のどこが面接で聞かれたか」もまとめました。「自分の自治体は何をいつまでに出すのか」から確認できます。
この記事の根拠
- 全国46自治体の実施要項から作成した、提出書類の名前・字数・提出時期の一覧(自治体別の詳しい記事にもリンクしています)
- 同じ46自治体に届いた受験者報告から拾った「志願書のどこが、どう聞かれたか」
- 倍率10倍を超える採用枠1〜2名の教科の合格に立ち会ってきた私自身の指導経験と、合格者の志願書の実例(本人が特定されないよう一部文言を変えています)
- 志願書をテーマにしたYouTube動画とセットで学べます
- 自分の自治体が「何を・いつまでに」出すのか確認したい
- 志願書に何を書けば、面接で自分の良さが出せるのか知りたい
- 志望動機・自己PRを、面接官に刺さる形にしたい
志願書は「提出書類」ではなく「面接の台本」です
まず、いちばん大事な前提からお話しします。志願書は、あなたが自分で書いた面接の台本です。
多くの自治体で、志願書・面接カード・自己PR用紙は二次試験の個人面接で面接官の手元に置かれ、そこに書かれた言葉から質問が組み立てられます。実施要項にはっきり書いている自治体もあります。東京都の実施要綱には「受験者があらかじめ作成し面接当日に提出する『面接票』を基に質疑応答」、福岡県には「選考に当たっては、第一次試験の結果及び志願書・自己PR用紙の記載事項を考慮するものとする」、和歌山県には「面接では、入力事項をもとに質問します」——このように明記されています。
つまり、志願書に書いたことは面接で深掘りされやすく、書かなかったことは面接官の側から拾ってもらいにくい。面接で何を語るかは、志願書を出した時点でかなり決まってくるんですね。
だからこそ、「とりあえず埋めて出す」がいちばん危ない。深掘りされたくないことを書いてしまえば、そこを突かれます。逆に、語れば自分の良さが伝わることを書かなければ、面接官はそこに触れてくれません。志願書を書く作業は、数か月後の面接の設計図を引く作業だと思ってください。
自治体別|提出書類の名前・字数・提出時期【全国46自治体】
まずは自分の自治体の「型」を確認してください。呼び名は志願書・面接カード・面接票・自己PR用紙・自己アピール票・エントリーシート・自己推薦書・調査票・プレゼンテーションシートなど自治体でまったく違いますが、役割はどれも同じ——面接で使われる書類です。
直近の令和9年度採用(2026年夏実施)の実施要項に基づいた一覧です。日付・字数・様式は年度で変わることがありますので、必ずご自身が受験する年度の実施要項で確認してください。ここに載っていない自治体は「提出書類が無い」という意味ではなく、当ブログにまだ個別記事が無いというだけです。自治体名をタップすると、その自治体の詳しい記事に飛べます。
| 自治体 | 書類の名前 | 字数・分量 | いつ・どうやって出す | 面接での使われ方 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道・札幌市 | エントリーシート(+願書) | — | 出願時(4/6〜4/30)。Web送信+願書を簡易書留で郵送 | 二次の面接検査Ⅰ・Ⅱ(1回20分・2日間) |
| 宮城県 | 自己アピール票①・② | 様式で確認 | 二次選考の当日、各面接室で提出(それぞれ2枚ずつ) | 票の言葉がそのまま引用されて深掘りされる |
| 山形県 | エントリーシート | 様式で確認(電子申請の入力画面) | 出願時(4/20〜5/12 24:00)。やまがたe申請 | 二次の個人面接1(210点)・個人面接2(140点) |
| 福島県 | 志願書 | — | 電子申請4/22〜5/18+書類を5/29までに簡易書留で郵送 | 一次・二次とも「出願書類審査」あり |
| 茨城県 | 志願書(別に自己申告書・面接カード) | — | 志願書は電子申請2/24〜3/24 | 二次の個人面接(面接員3名・240点) |
| 栃木県 | 自己推薦書(所定用紙①) | 「志望の動機」「自己PR」の2欄(国際貢献活動等の経験による選考は「活動内容」を加えた3欄) | 出願時。特別選考の一部区分の方のみ提出 | 願書の「活動内容」欄とあわせて面接の材料に |
| 群馬県 | 自己アピール用紙(自己アピール・本県志望の動機) | A4サイズ1面程度・自筆 | 電子申請4/16〜5/15 23:59(自筆をスキャンして添付) | 二次の個人面接で掘り下げられる |
| さいたま市 | 自己申告書 | 様式で確認 | 一次試験当日(7/5)に持参。一次免除者は二次当日 | 一次・二次とも参考資料として総合的に検討 |
| 千葉県・千葉市 | 面接カード(+自己申告票) | A4両面・自筆・楷書 | 一次選考当日(7/5)に原本+コピー2部を持参 | 二次の個別面接(30分・100点・面接官2人) |
| 東京都 | 面接票 | 様式で確認(マイページで作成し印刷) | 一次合格発表日(8/4)に入手→二次当日に持参 | 要綱に「面接票を基に質疑応答」と明記。面接官3人 |
| 神奈川県 | 面接カード | 様式で確認 | 二次試験当日(8/3〜14のうち1日)、待機室で回収 | 二次の個人面接(面接官3人=模擬授業と同じ3人) |
| 横浜市 | 面接カード | 様式で確認 | 一次試験当日に持参(春季選考は4/15郵送) | 二次の個人面接(約30分) |
| 川崎市 | 面接カード | A4・長辺綴じ両面印刷 | 一次試験当日に提出(一部は7/5郵送) | 二次の個人面接(25分) |
| 新潟県 | 自己申告用紙 | A4片面 | 一次検査当日に持参 | 一次の合否判定+二次の個人面接 |
| 新潟市 | 自己PRカード | A4サイズ | 出願時に郵送(一次検査の受付4/22〜5/26) | 二次検査の判定資料 |
| 富山県 | 自己アピール・教員志望の動機 | 495字以内 | 電子申請5/1〜6/1 23:59 | 二次の個人面接(面接委員3名) |
| 山梨県 | 自己紹介書 | A4両面1枚(字数は非公表) | 一次通過者に送付→二次検査【第一回】8/1に持参 | 二次検査【第二回】(8/8〜10)の個人面接 |
| 長野県 | 個人面接カード | 要項の例示は①高校生活の印象②大学卒業論文の概要 | 事前提出(二次選考の受験要領で案内) | 要項に「個人面接カードの内容に関する質問」と明記。二次の個人面接300点 |
| 静岡県 | 面接用シート | 様式で確認(自筆・PC入力どちらも可) | 一次選考当日に持参(免除者は5/8消印有効で郵送) | 二次の個人面接(100点) |
| 静岡市 | 面接シート(様式2) | 様式で確認 | 電子申請2/6〜3/13 | 一次・二次の個人面接(計2回) |
| 愛知県 | 願書の「自己アピール」欄 | 様式で確認 | 6/1頃に受験票と一緒にダウンロード→一次当日(6/13)に写しとともに提出 | 二次の個人面接(15分×2回・別室で別の面接官3人) |
| 名古屋市 | 自己アピールシート | A4縦・両面印刷 | 一次試験日(6/13)に持参 | 二次の個人面接1はこのシートを軸に進む |
| 滋賀県 | 面接カード | 様式で確認 | 秋選考は試験当日に持参(夏の選考は要確認) | 秋選考の個人面接(秋選考に一次・二次の区分なし) |
| 京都府 | プレゼンテーションシート | 要項に「ポイントを絞り、簡潔に入力」 | 出願フォームで3/23正午〜5/11正午 | 面接試験で使用。これ以外の自己アピール資料は無効 |
| 大阪府 | 面接個票 | 様式で確認 | 二次の面接テスト当日。原本1部+写し3部 | 面接テストの面接員(報告では3人) |
| 堺市 | 面接シート | 様式で確認 | 一次面接当日に持参(一部は6/12郵送) | 一次面接で面接員全員に配布される |
| 豊能地区 | エントリーシート/面接個票 | ES=A4、面接個票=A3。各4部 | ESは6/30〜7/5、面接個票は8/18〜8/22 | 一次の集団面接・二次の個人面接 |
| 兵庫県 | 出願内容の「志望動機等」(作文欄) | 250字以内(改行・スペース不可) | 電子申請4/6〜5/11 | 二次の個人面接(面接委員3人程度) |
| 神戸市 | エントリーシート(+二次の面接資料) | 様式で確認 | ESは出願時(4/8 10時〜5/10 23:59)。面接資料は二次の面接会場受付で提出 | 二次の個人面接 |
| 和歌山県 | 電子申請の入力欄(志望理由/自己PR/困難を乗り越えた経験) | 各200字以内 | 電子申請4/10 10:00〜4/30 17:30 | 要項に「入力事項をもとに質問します」と明記。面接官3人 |
| 島根県 | 受験者調査票 | 様式で確認 | 一次合格発表後〜二次前にWeb入力(特別選考は4/19 17時) | 二次の個人面接(30分程度×2回) |
| 岡山県 | 自己推薦書 | 自己アピール500字/専門の教科200字/部活動等250字 | 電子申請4/14〜5/12 17:00 | 要項に「提出された各種資料(受験願書、自己推薦書、特別選考調書等)を基に…総合的に選考する」と明記(一次・二次とも) |
| 岡山市 | 受験願書の「出願理由」 | 出願理由800字程度/資格・特技100字程度 | 電子申請4/1〜5/15 17時 | 一次・二次の総合選考の材料 |
| 広島県・広島市 | 出願フォームの「自己アピール・教職実績報告」 | 800字以内+400字以内(計1,200字) | 電子申請4/6〜5/7 17:00(=出願と同時) | 二次の模擬授業面接・個人面接 |
| 山口県 | 志願理由書 | 様式で確認 | 電子申請2/4〜3/13 17時 | 二次の個人面接。報告10件中8件で1問目に志望動機を質問されている |
| 徳島県 | 志願書 | 様式で確認 | 電子申請5/7〜5/25 17:00 | 二次審査の面接 |
| 香川県 | 面接カード | 記入欄は8ブロック | 一次合格発表後〜8/14 17:00に電子申請(正味8日間) | 二次の個人面接(第1面接・第2面接) |
| 高知県 | 申告書・自己評価書 | 様式で確認(一次結果通知時に案内) | 7/8必着(一次結果は6/26予定=実質2週間弱) | 二次の面接審査(模擬授業・口頭試問に続く個別面接) |
| 福岡県 | 自己PR用紙 | 字数指定なし・罫線なしのA4 1枚 | 一次試験当日(7/12)に持参。一次免除者は出願期間内 | 要項に「志願書・自己PR用紙の記載事項を考慮する」と明記 |
| 福岡市 | 自己PRシート | 様式で確認 | 受験票到着日〜6/30消印有効に簡易書留で郵送(出願自体は郵送4/1〜4/27消印有効・電子申請4/30 17時) | 面接試験の資料 |
| 佐賀県 | エントリーシート | 様式で確認(PC入力・自筆どちらも可) | 一次試験当日(6/14)に会場で回収。一次免除者は6/15まで | 二次の個人面接Ⅰ・Ⅱ |
| 熊本県 | 調査票(教員採用選考考査調査票) | 様式で確認 | 一次結果通知時(7/2以降)に案内→通知に書かれた期限まで(面接日とは別。参考: R9採用は一次発表から7/27・28組で25〜26日、延期後の8/12〜14組で41〜43日) | 個人面接①・②(各面接官2人) |
| 熊本市 | 面接カード | 様式で確認 | 専用フォームで7/7〜7/14 17:15 | 二次の個人面接(2回) |
| 大分県 | 自己紹介書 | 様式で確認(6月下旬にHP掲載) | 7/14〜7/21(消印有効)に郵送または持参 | 二次の面接Ⅱ(個人面接・200点・面接官3人) |
| 宮崎県 | 面接シート(県HPの表記は面接カード) | 様式で確認 | 一次合格発表後、電子申請で7/20まで | 個人面接の質問の土台 |
| 沖縄県 | 受験調書(+面接調書) | 自己PR文600字以内 | 受験調書は8/3必着で郵送、面接調書は当日提出 | 二次の面接(面接官3人) |
提出のタイミングは、大きく3つの型に分かれます
一覧を見ていただくと分かるように、いつ書くかは自治体によってまったく違います。ここを間違えると、準備の順番そのものが狂います。
| 型 | 特徴と、必要な備え |
|---|---|
| ① 出願と同時(2〜5月) 広島・岡山県・岡山市・和歌山・兵庫・京都府・山口・富山・群馬・山形・神戸市・静岡市 ほか | 面接の3〜5か月前に、面接の台本を書き上げることになります。「一次に受かってから考える」が通用しない型。電子申請は送信すると手元に紙が残りません。入力内容は必ずコピーして保存し、二次の直前に読み返してください |
| ② 一次試験の当日に提出 愛知・名古屋市・千葉・福岡県・佐賀・静岡県・新潟県・さいたま市・横浜市・川崎市 ほか | 受験番号を書く欄があるため、受験票が出てから一次までの2〜3週間が実質の執筆期間。筆記対策と重なる時期なので、要項が出た段階で下書きだけ作っておくのが現実的です |
| ③ 一次合格後に書く 東京・香川・熊本県・高知・宮崎・大分・島根・山梨・神奈川(当日回収)ほか | 執筆期間が短く、自治体によっては10日ほどしかありません。東京都は一次合格発表(8/4)から面接まで実質10日ほどで、その間に実技の準備も重なります。一次の結果を待つ間に下書きを作っておけるかどうかで、余裕がまったく変わります |
①の自治体を受ける方は、「もう出してしまった志願書」が二次の台本になります。二次までの間に、書いた内容を読み返して深掘り質問への答えを作っておくこと。これだけで準備の質が変わります。
実録|志願書の内容は、面接でこう聞かれています
ここからは、実際に受験された方から当ブログに届いた報告をもとに、「志願書のどこが、どう聞かれたか」を全国横断でまとめます。志願書系の書類が登場する報告は43自治体・4年分で115件。自治体は違っても、面接官のやることは驚くほど似ています。
| 聞かれ方のパターン | 実際に届いた報告(自治体・校種まで) |
|---|---|
| ① 書いた言葉をそのまま読み上げて深掘り | 「事前に提出した資料をもとに質問を受ける」「先に提出していた書類を見てからの質問がほとんど」(熊本県)/「エントリーシートに書いたことを中心に質問された」(大阪府)/「一次は面接シートの内容を深掘りされました」(静岡県・高等学校)/「調査票から多く質問される」(島根県)/「(エントリーシートから)恩師のエピソードを教えてください」(大阪府・小学校)/「主に提出した面接シートからの内容でした」(横浜市・小学校) |
| ② 書いた経験を「学校でどう活かすか」に変換させる | 「教育実習で学んだことは何ですか。→それをどう生かしますか」(東京都・小学校全科)/「自己PRとともに、その良さを生かして教員として取り組みたいことを教えてください」(岐阜県・小学校)/「(自己PRより)今までの仕事でどんな力を身につけたか」(愛知県)/「この経験をどのように教育活動で活かそうと考えているか」(高知県) |
| ③ 書いた志望動機を、口頭でも言わせる | 「(願書より)志望動機を2回とも聞かれた」(愛知県・個人面接15分×2回)/受験者10名の報告で8名が1問目に「志望動機」「教員を志望した理由」(山口県)/「最初に自己PR1分、次にエントリーシートからの質問」(大阪府) |
| ④ 志願書+口頭の自己PRをセットで課す | 個人面接の冒頭に2分または3分の自己PR。特別支援学校は3分の報告が複数、高等学校では「志望理由と自己アピールを合わせて4分程度で」という報告も(茨城県)/面接冒頭に「1分間で自己アピール」(宮城県)/「自己アピールを1分間でしてください」(千葉県・特別支援)/「自己PRと志望動機を1分でお願いします」(大阪府・栄養教諭)/「30秒で自己PR(過ぎたら終了)」(埼玉県・高等学校) |
| ⑤ 書いた項目のうち、面接官が選んで掘る | 「事前に提出した面接カードから、面接官がいくつかの項目をピックアップして、より深く知るための質問をする」(神奈川県・複数年の記録)/「自己アピール用紙から掘り下げていく面接」と説明を受けた(群馬県)/「3つ〇があるが、1つ選ぶならどれですか。また、この言葉をどういう意味でとらえてこの言葉にしましたか」(福岡市・高等学校) |
| ⑥ 深いところ・弱いところを突く | 「(申告書より)自己PRから、挫折経験について詳しく教えてください」(高知県)/「二次は自分の思う長所や短所、部活動のこと、趣味、悩んだときの対応など性格のことを深掘りされました」(静岡県・高等学校) |
| ⑦ 書いた事実の裏取りをする | 「(申告書より)『賞罰なし』と書いてありますが、間違いないですか」(高知県)/「面接カードや履歴書に沿った質問という流れだった」(茨城県) |
この7パターンを見て、気づいていただきたいことがあります。面接官が深掘りしやすいのは、あなたが書いたことです。面接の質問の多くは、あなたが撒いた種から生えてきます。
志願書を書くときの5つの原則
ここからが本題です。志願書を書くときに押さえてほしいことを5つに整理しました。
原則1|上手でなくていい。丁寧な字で書く
これまで多くの方の志願書を拝見してきて、字はその人の第一印象に大きく影響すると私自身は考えています。もちろん字だけで合否が決まるわけではないので神経質になる必要はありませんが、丁寧に書いておくに越したことはありません。
大事なのは上手な字を書くことではなく、面接官にとって読みやすい字の大きさで、止め・跳ね・払いが丁寧に書けていること。志願書の字を見て「この人はこの文字を黒板に書くのか」と連想してしまう面接官も、やっぱりいらっしゃいます。
なお、いまは電子申請でPC入力の自治体も増えています(山形・広島・和歌山・岡山県ほか)。一方で、群馬県のように「自筆で作成」と募集要項に明記されている自治体、千葉県のように「必ず自筆・楷書」と指定されている自治体もあります。自分の自治体がどちらなのかは、必ず要項で確認してください。
原則2|書く項目の「意図」を正確に読み取る
自治体によって記入項目はまったく違いますが、一つ一つの項目で、どんな内容が求められているのかを正確に読み取ることがとても大切です。ここでつまずいている人が、本当に多い。
たとえば横浜市の面接カードには「教員を志望する理由(横浜を選んだ理由も含めて)」という記入欄がありましたが、教員を志望する理由だけを書いている人、横浜を選んだ理由だけを書いている人がいらっしゃいます。志望理由と自己PRを両方書かなければならない様式で、どちらか一方しか書いていない人も少なくありません。
佐賀県の自己PRには、こんな指示がありました。「これまでにあなたが一番頑張ったことについて、次の点に留意して書いてください。①どのような目標を定め、達成に向けてどのような試み・取組をしたのかを具体的に書いてください。②その過程で困難なことや課題をどのように乗り越えたのかを具体的に書いてください」。
ここで「どのような目標を定め」という文言をスルーして、ただ取組だけを書いてしまう受験者が少なくありません。出題者があえてその言葉を入れているのは、現場で明確な目標を持ってほしい、それを自己PRに書き表してほしいという意図があるからです。その意図を汲み取って書かれた志願書は、面接官にとっても好印象です。
私がやっている確認法——願書の項目に下線を引いて番号を振り、自分が考えた文章のどこにその要素が表現できているかを最後にチェックします。こうすると、求められている要素を漏れなく書けます。
※上に挙げた横浜市・佐賀県の記入指示は、私がこの内容を動画でお話しした2023年時点のものです。現行の様式と同じとは限りませんので、ご自身の年度の様式で必ず確認してください。
原則3|書く内容を「精査」する——手当たり次第に書かない
志願書には、ボランティア・部活動・受賞歴・趣味・特技・資格・講師としての校務分掌などを書く欄があります。ここで手当たり次第に書き上げるのではなく、「これだけは面接で踏み込んで聞いてほしい」というものがあるなら、その他の不要なものは書かないという選択が必要な場合もあります。
なぜか。面接官の立場に立つと、数多く挙げられている中でどれを深掘りすればいいのか分からなくなるからです。そのときの面接官の行動は、だいたい次の4つに分かれます。
| 面接官の行動 | 受験者にとって何が起きるか |
|---|---|
| ① 1つ選ばせる「たくさん書いてくださっていますが、最もアピールしたいものを1つ選んでお話しください」 | どれを深掘りすればいいか分からない、という面接官の心理が働いています。自分で選べる分、まだ良いパターン |
| ② 面接官の感性で1つ選ぶ | 深掘りしてほしくない方を選ばれるリスクがあります。優先度の高いものが明確にあるなら、最初から不要なものは削っておくのがおすすめ |
| ③ 総論を問う「これだけ多くのボランティアをしようと考えた理由は何ですか」 | 明確に答えられて、それを語ることで教員としての魅力が伝わるならOK。困るなら絞っておくべき |
| ④ もはや聞かない | 人は選択肢が多すぎると選択疲れして、結局何も選びません。私も面接練習で面接官役をしたときに「一つ一つ聞く時間もないし、もう聞かないでおこう」とスルーしたことがあります |
「たくさんやったこと自体を最優先でアピールしたい」「どれを深掘りされても同じように濃い話ができる」という場合は、やった分だけリストアップするのもOKです。でも「これについてはぜひ深掘りしてほしい、それ以外は突っ込まれたくない」なら、優先順位の高いものを2〜3つに絞る。ボランティアだけでなく、受賞歴・資格・趣味・特技・分掌歴も同じです。
目指すのは、記入したことのどれを聞かれても自分の魅力をアピールできる状態。私たちが志願書を書く目的は、教員としての資質能力をより高く面接官に感じてもらって合格することですからね。
原則4|面接官の「突っ込み質問」を考えながら書く
何気なく書いている卒業論文のテーマからも、面接官は「この人は何に関心や課題意識を持っているのか」「その研究を学校でどう活かそうとしているのか」という視点であなたを見ています。自己PRにアルバイト経験を書けば、「学校現場で活かせることがあるからここに書いたのだろう」と考えて、その経験から何を学んで学校でどう活かすのかを聞いてくれます。趣味・特技・経歴も同じです。
茨城県の自己申告書のように、「教員として使命感を持ち、その役割と職務内容を理解しているか」といった項目に1〜4の数値で自己評価させる様式もあります。この場合も、「この項目に4を付けていますが、具体的にはどのようなことを学校で実践していますか」「この項目は3にしていますが、その理由は何ですか」——そう聞かれたときにどう答えるかまで見据えて評価を付けることをおすすめします。先のことを考えずに感覚的にチェックを付けると、面接で初めて突っ込まれてうろたえ、的確な回答ができなくなります。
ここで大事な線引きを一つ。「精査」はしていいけれど、「詐称」は絶対にダメです。書く・書かないの選択の余地がないもの(経歴など)は、突っ込まれたときにどう答えるかを事前に考えておくのがベストです。休職していた時期がある、教員を目指す前は仕事を転々としていた——捉え方によっては面接官の反応をプラスに変えられるパターンもあります。私の受講生にもそうした合格実績はありますので、努力次第で何とかなると私は考えています。
原則5|資質能力の「バランス」を考えて書く
たとえば志望動機で「生徒の自己肯定感を育むために、子どもの良いところを認め合う学級経営をしたい」と書き、自己PRの長所も「受容性・傾聴力・協働力」で揃えてしまうと——面接官は「この人に授業力はあるのかな」「教科の専門性や目的意識はあるのかな」と疑念を持ちます。
そこで「どんな授業をしたいですか」と聞かれ、「自己肯定感を高めるために授業でも子どものできたところをたくさん褒めたい」と返ってきたら、面接官は「またか」と感じます。学力を高める指導はできないのかな、自己肯定感を高める引き出しが“褒める”しかないのかな、と。
採用する側が求めているのは、生徒指導と学習指導のどちらの力も備えていて、それらがバランスよく相互に影響し合って、生徒の心と頭の成長を促してくれる先生です。生徒指導力が欠けていたら、どんなに専門性が高くても話を聞いてもらえません。専門性が乏しければ学習指導ができない。中学・高校で授業が成り立たなくなっている先生を、普段校長をしている面接官はよく知っています。養護教諭に置き換えても同じで、心のケアの専門性が高そうでも「救急処置や保護者対応の判断は大丈夫だろうか」と面接官が不安になれば、安心して任せられません。
だから、志望動機で教科指導へのこだわりを前面に出すなら、自己PRでは学級経営や生徒指導もできそうだと感じさせる要素を入れる。私ならそうします。
ただし誤解しないでいただきたいのは、すべての力を同じレベルに揃えるという意味ではないということ。授業も担任も保護者対応も同僚関係も最低限のレベルは求められますが、その中で突出して優れているものがあっていいんです。
私自身、教員歴の浅い時代に、文科省や教員採用試験の人事を務めたことのある方からこう言われました。「教員になったら3年以内に、自分が何で勝負をしていくのか決めなさい。生徒指導を極めるのか、授業を極めるのか、部活を極めるのか、何でもいい。何か一つ、これは誰にも負けないという飛び抜けられるものを、3年間で定めなさい」。そこで私は2年ほど、生徒指導も授業も部活動も分掌も全部に全力投球してみました。結果、生徒指導と授業が特に密接に関連して相乗効果があると感じたので、どちらかを選ぶのではなく「生徒が自分で自分の人生を切り開く心や姿勢を身につけられるような学級経営と授業を並行してやる」と考えるようになりました。
+仕上げ|書いた志願書は、何人かの目を通す
5つの原則に加えて、最後にもう一つ。書き上げた志願書は、何人かの目を通してください。一人の目だけでは気づかなかったところに気づけて、微修正できます。
面接官にもいろいろなタイプの方がいて、あなたの志願書に対する着眼点は人によって違います。どんな面接官が見ても、できる限りあなたに魅力を感じてもらえる志願書をデザインするために、複数の目は効果的です。文章は、フレッシュな視点で何度も目を通すことで洗練されていきます。
目的はただ一つ、あなたの魅力が面接で最大限に発揮されること。そこからぶれずに、志願書から面接本番までの動線を描いていきましょう。
ここまでの5原則を、実例つきで話している動画がこちらです。合格者の志願書の実例(本人が特定されないよう一部文言を変えています)も紹介しています。
「その自治体を志望する理由」の書き方
ここからは項目別に。まず「本県(本市)の教員を志望する理由」です。新卒で保健体育に一発合格した方の文章を例に、押さえてほしいポイントを3つお話しします。
ポイント1|自分がやりたい教育と、自治体が求める教育をマッチさせる
この合格者は、「地域や家庭と一体となって新たなことにチャレンジし、未来に向かって挑戦していく人材を育みたい」という自分の考えと、「地域教育力日本一を目指す本県」という自治体の方向性をマッチさせていました。
採用する側としては、自分の自治体を受験するのであればせめてその自治体の教育課題やこだわりを調べて知っておいてほしいと純粋に思うものです。何も調べずに丸腰で面接に来られると「本当に採用される気があるのか」と感じてしまう面接官もいます。
ただし、本当にしたいと思っていないのに、教育振興基本計画に書いてある言葉をただピックアップするのはNGです。深掘りされたときにボロが出ます。
ポイント2|その自治体でやりたい教育活動を、自分なりに明確に持っておく
この合格者は「授業では地域スポーツ指導者の派遣や実技講習会等により、子どもの興味を引き出し、運動の楽しさを伝え、子どもの成長につながる授業を展開したい」と、その自治体でやっている活動と結びつけて書いていました。
ただし分量の都合で書けなくてもOKです。「では具体的に、本県でやりたい教育活動はありますか」と深掘りされたときに答えられればいいですからね。大事なのは、書く・書かないに関わらず持っておくこと。持っていれば、どんな形で問われても対応できます。
難関を突破した受講生の中には、「その自治体の教育課題に対して、こんな教育をすることで改善していきたい」という方向で書いた方もいました。いちばん大事なのは、その活動が「そもそもあなたがやりたいと思っている教育の軸」につながっていること。総論と各論がつながっていなければ、あちこちに書いてあることを切り貼りしたようにしか見えません。一貫性が感じられなければ、主体性や熱意も感じにくくなります。
ポイント3|客観的事実と主観的感情を織り交ぜる
先ほどの例で、「本県が地域教育力日本一を目指している」「地域スポーツ指導者の派遣や実技講習会をしている」は客観的事実。一方「教育実習で子どもたちの登下校を見守る地域の方の温かみに触れ」は主観的感情です。
人は、客観的事実だけを話されると論理的には納得できても「それって本当にあなたが心からやりたいことなの?」と本気度を感じにくくなり、逆に主観的感情だけを話されると「それ、実際の行動に起こせるの?」と疑ってしまう。両方を織り交ぜることで、面接官が論理的にも感情的にも納得できる志望動機になります。
おまけ|「この自治体に貢献したい」はごますりでNG?
結論から言うと、ごますりはNGですが、本当に思っているなら胸を張って書けばいいと私は思っています。
ごますりとは「自分が思ってもいないのに、相手に気に入られるように振る舞うこと」。ある県の魅力なんて伝えたくないと内心思っているのに「魅力を子どもたちに伝えて貢献します」と書くのは、ごますりです。これは良くない。内心はしたくないと思っているので、「では具体的にどうしますか」と深掘りされても答えられず沈んでしまうからです。
私自身、最初から「教員になって和歌山に貢献しよう」と考えていたわけではありませんでした。でも和歌山県の教育振興基本計画を読んだり、社会科の教員として公民の授業を考えたりしているうちに——自分の暮らす和歌山に大事な人が暮らしている。その人たちにとって今より住みにくい環境にしないためには、地域に愛着を持って貢献したいと思う人がどれだけいるか、どれだけ人を呼び込み残せるかが大事だ——そう考えるようになりました。納税してくれる人の数や、観光に来てくれる人の数によって、公的な手当や施設・サービスに充てられる予算が変わってくるからです。そこから「社会科の教員として、どうすれば子どもたちは生まれ育った地域に愛着を持つようになるのか」を真剣に考えるようになったんですね。
つまりごますりがNGかOKかではなく、その自治体に貢献しようという視座を持てるかどうかが本質。本気で思っているなら明言して、深掘り質問に対応できる準備をして面接に臨めばいい。私が面接官なら、その視座を持って具体的にどんな授業をするのかを話せる受験者を採用したいと思います。
あわせて断っておきたいのは、志望理由という一側面だけで合否は決まらないということ。「◯◯県に貢献します」と書いていなくても、確かな授業力や生徒指導力があって教員としての高い資質能力を感じれば合格します。逆に「貢献します」と豪語しても、そのための具体的な行動が言えなければ不合格になります。表面的なスタンスの違いに右往左往せず、本質を見極める目を持ってください。
志望動機そのものの組み立て方は、志望動機の作り方の記事でさらに詳しく解説しています。
「教員を志望する理由」の書き方
次は「あなたが教員を志望する理由」。40代で特別支援教諭に合格した方の文章を例に、3つのポイントをお話しします。
ポイント1|あなたの「教育の目的」を1文目に書く
この合格者は1文目に「障がいのある児童生徒とその保護者が、不安なく希望を持って生活できる支援をするために、特別支援の教員を志望しました」と書いていました。
面接官がいちばん知りたいのは、この人が学校でどんな教育をしたいのかです。それを知った上で「いつからそう思うようになったんだろう」「具体的にはどんなことをしてきたんだろう」とあなたの過去を聞きたくなる。でもそれは、1文目で言った教育像や使命感にどうつながるのかを理解するために聞いているのであって、思い出話を聞きたいわけではありません。結論として、できる限りあなたの教育の目的を1文目に持っていきましょう。
ポイント2|なぜその教育をしたいのか、理由や背景を書く
書き方は2パターンあります。
| パターン | 中身と向き・不向き |
|---|---|
| A:自分の経験を書く | 「我が子の発語が遅く、毎日不安な日々を過ごす中でも着実な成長を見られたことが私の希望でした。この経験から——」のように、そう考えるようになった経験を書く。面接官の心に響きやすく、おすすめ |
| B:根拠・理由を客観的に書く | 「AIなどの技術革新やグローバル化が進む中で、子どもたちが自ら人生を切り開いていくためには——」のように、その教育が大事だと考える根拠を書く。よほど教育や社会情勢を学んでいる人でないと、薄っぺらい一般論に見えてしまうので使いこなせる人が少ない |
ベストは両方の要素が簡潔に表現されていること。ただし最悪どちらか一つでも構いません。面接官は、きっかけを知りたければ経験を聞いてくれますし、理由を知りたければ「なぜそう考えるのですか」と聞いてくれるからです。
ポイント3|「今のあなた」を優先して書く
2文目以降で自分の経験を書くとき、小学校の頃の担任の話や高校時代の経験に字数の多くを割いてしまう人が少なくありません。その経験はもちろん志望動機の第一歩として尊いものですが、面接官が知りたいのは「今のあなたがどう考えているか」です。
字数が限られていて全部は書き切れない場合は、教育の目的について「これだ」と思った決め手になった、今により近い経験を優先するほうがいい。「数年前にこの仕事にやりがいを感じた」より「今こんなふうに子どもたちと関わって、ここにやりがいを感じている」のほうが、教育的情熱が冷めていない感じがしますよね。
ただし、過去を書かないという意味ではありません。先ほどの合格者も2文目に過去の経験を書いています。さらっと表現してあげることで、面接官が時系列を整理してあなたの世界観に入り込みやすくなる。字数が限られているなら今のあなたを優先、という優先順位の話です。
おまけ|「書く志望動機」と「話す志望動機」は微妙に変える
これは個人的に強くおすすめしたいことです。文字として読むのと、音声で聞くのとでは、同じ内容でも伝わり方がまったく違います。
文章は構造を全体的に理解しながら読めるので、漢字が多くても多少複雑な文法でも理解できます。だから凝縮した一文に編集できる。でも音声で聞く場合は、あとどれくらい話が続くのかも、内容を構造化することも難しい。だから、書くときは字数の都合で省いた重複表現も、話すときはあえて重ねたほうが伝わることがあります。
【書くとき】この経験から、子どもたちの意欲を成長に結びつける体験活動を取り入れ、児童生徒の成長を保護者に伝えることで安心感を与えることを心掛けています。
【話すとき】この私自身の母親としての経験から、学校で子どもたちの意欲を成長に結びつける体験活動を積極的に取り入れて、その体験活動を通して見られた児童生徒の成長を保護者に伝えていくことによって、保護者に安心感を与えることを心掛けています。
書き言葉ならあえて書かなくても文脈で分かる言葉を、話し言葉では付け加える。聞き手が1回で理解できるようにしてあげるのがコツです。提出した志願書を暗記して話すだけでは、言葉に思いが乗りにくくて面接官の心に響きません。
「自己PR」の書き方
自己PRは、様式によって書き方の自由度がまったく違います。愛知県の「自己アピール」のように自由に文章を作る形もあれば、何をどう書くかの指示が明確な様式もあります。
たとえば神奈川県の自己アピール書には「あなたは今までにどのような活動・学習・その他の経験をし、どのような能力があると思いますか。自らを振り返ってみて、アピールできると思う経験や能力について、①その経験や能力の具体的な内容、②その経験や能力を身につけるに至った動機や経過を、次の枠内に簡潔に記入してください」という指示がありました。
わざわざ「動機や経過を」と書かれているのは、採用側が受験者の思考の癖や行動傾向を見たいからです。動機や経過を見れば、その人がどんなことに目的意識を持ち、どんなことに琴線が振れ、どんな境遇でどう考えて行動するのかが分かります。先ほどの佐賀県の「困難なことや課題をどのように乗り越えたのか」も同じで、主体的に目標を定め、適切に自己理解して課題解決策を見出せる人材を採用したいという意図が読み取れますよね。
合格者が使った構成(分量の多い自己PRの場合)
| 様式のタイプ | 合格者が使った構成 |
|---|---|
| 能力を複数アピールする型 | 培った力を3つピックアップし、「①◯◯で培った△△力」「②◯◯できる□□力」のように経験と能力を端的にタイトル化。それぞれに段落を設けて、どんな経験だったのか・その中でどう考えたのか・どんな気づきがあったのか・どう乗り越えたのかという経過を書く |
| 「一番頑張ったこと」型 | 1文目で結論(一番頑張ったことは◯◯したこと)→なぜその目標を定めたのかの背景(「研究授業の前は△△な点が課題でした。この背景を受けて◯◯という目標を定め」)→「私が行ったことは以下の3つです。1点目は——」と取組を挙げながら、困難をどう乗り越えたかも織り込む |
2つ目の型で目標設定の背景まで書いたのには理由があります。ただなんとなく目標を立てる人より、明確な課題意識や背景を受けて目標設定をする人のほうが、主体的で有効な取組をするだろう——面接官は無意識にそう感じやすいからです。
自己PRで魅力を感じさせる2つのポイント
- 「思い」「目的意識」「行動」の3つを入れる——思い(どんな思いでそれをしたのか)を書けば教育的情熱が伝わる。目的意識(何のために参加したのか・何のために学んだのか)を書けば、学び続ける教員としての姿勢が伝わる。行動(具体的に何をしたのか)を書けば、頭や心で思っているだけでなく現実を変えられる実行力が伝わる。「この人やるな」「将来性があるな」と思えるのは、この3つが揃ったときです
- バランスを考える——努力して培った考え方や能力(後天的)と、生まれ持った性格や能力(先天的)のバランス。授業力・生徒指導力・人間的魅力のバランス。これらをうまく散りばめて、提出書類と面接を一通り通して魅力が伝わるように構成を考える
おまけ|分量が多いならストーリーテリングが一推し
分量の多い自己PRであれば、ストーリーテリングにするのが実は私の一推しです。特にどん底からの這い上がりストーリーは聞き手の心を打ちます。最初はうまくいかなかったけれど頑張って状況を好転させた、教員を目指す前は人生フラフラしていたけれど、あることをきっかけに魅了されて鬼努力した——自分なりの黒歴史や挫折経験がある人におすすめです。
実は私自身も、教採を受けたときの自己PRを、一次試験では「長所は3つあります」という形式で、二次試験ではストーリーテリングで話しました。その自己PRでは「最初は学校の先生を目指していたわけじゃない」という、一見マイナスに思われそうなことも思いっきり自己開示して、合格しました。
ストーリーテリングは、その人の雰囲気や声の調子を感じながら聞ける面接でこそ威力を発揮します。面接で「1分間自己PR」を求められる場合には、ぜひチャレンジしてみてください。
私自身が愛知県の願書に書いた自己アピールの全文と解説は、愛知県の自己アピール記事に載せています。自己PRの作り方そのものは自己PRのつくり方の記事もあわせてどうぞ。
受験者の声
フォーム「情報提供のお願い」に寄せられた一言から、匿名で抜粋しています。
- 「いつも動画を見て勉強していました。教育について哲学する大切さを金井先生から学び実践した結果、合格できました」(川崎市・2024年)
- 「金井先生の動画や資料を拝見したことで、どんなことに気をつければ良いかや、どんな教育の問題が現在はあるのかなどを知ることができました」(兵庫県・茨城県・特別支援学校・2024年)
- 「金井先生が教えてくださったノート、これが私を支えました」(東京都・特別支援学校・2026年)
志望動機と自己PRが「融合した様式」の書き方
群馬県の「自己アピール・本県志望の動機」、福岡県の「自己PR(志願理由も含めて記入すること)」、岡山市の「出願理由800字程度」のように、志望動機と自己PRを一つの文章にまとめる様式があります。これがいちばん難しい。
合格者が使った構成はこうです。
- 序盤=志望動機エリア:受験者の教育の目的を簡潔に表現する
- 中盤=自己PRエリア:「こんな教育をするために、次のように研鑽してきた」という流れで、1・2・3と力を挙げていく
- 結び:もう一度、教育の目的で締めくくる
融合型で押さえてほしいポイントはただ一つ。志望動機と自己PRに、つながりを持たせることです。
序盤の志望動機はあなたの教育の目的。その後の自己PRはその教育を実現するために身につけてきた力・活かせる能力であるべきです。もし最初に書いた志望動機と何のつながりもない強みや長所を書いても、面接官は「それがあなたの目指す教育にどうつながるの?」と、教員としての資質能力を感じにくくなってしまいます。
つながりのない自己PRを書くことは、目的に向けて適切な努力や行動をしていないという印象を与えます。逆に、志望動機で教育の目的を明確に表現し、自己PRでその目的を達成するための努力・能力・経験が書いてあれば、「この人は目的達成に向けて努力できる人だ」「この経験は目的達成につながっているんだ」と感じてもらえます。
融合型で迷ったら、この役割分担を思い出してください
志望動機=教育の目的/自己PR=その目的達成につながる努力・能力・経験(=手段)。この働きを自分の中で明確に持って書くと、文章がぶれにくくなります。
書いたあと|面接までにやる3つのこと
志願書は出したら終わりではありません。むしろここからが本番です。
1|必ず手元に控えを残す
これは絶対にやってください。電子申請は、送信すると手元に紙が残りません。京都府の要項には「入力した内容は、提出前にPDF形式で出力し、内容に入力漏れや間違いがないか確認した上で、保存してください」と明記されています。岡山県は出願後も電子申請サービスの「申請状況確認」から見返せます。
紙で提出する自治体も同じです。さいたま市の要項には「提出された書類は返却しません」、福岡県には「志願書等の提出後は、いかなる理由があっても提出書類は返却しません」と書かれています。必ずコピーを取ってから提出してください。二次の直前に読み返すために、絶対に必要になります。
2|自分で「深掘りツリー」を作る
書いた一文一文に対して、面接官になったつもりで質問をぶら下げていきます。先ほどの実録7パターンが、そのまま質問の型になります。
- 「◯◯とありますが、もう少し詳しく教えてください」(そのまま深掘り)
- 「その経験を、学校でどう活かしますか」(変換)
- 「なぜそう考えるようになったのですか」(背景)
- 「具体的にはどうしますか」(行動)
- 「うまくいかなかったことはありますか」(挫折・課題)
この5つを、志願書に書いたすべての項目に当ててみてください。答えに詰まる場所が、本番で崩れる場所です。
3|面接ノートに落とし込む
深掘りツリーの答えを、丸暗記できる文章ではなく図式化したノートにしておくのがおすすめです。面接ノートを文章で書いてしまうと「一言一句正確に言おうとして萎縮する」「書き言葉と話し言葉のズレで伝わりにくい」という弊害が出ます。作り方はこの動画で実演しています。
手順は面接ノートの作り方の記事にまとめています。
最後に確認|面接官が見ている3つのポイント
志願書を書き終えたら、最後にこの視点で見直してください。面接官が見ているのは、突き詰めると「教育的情熱」「専門性」「人間性」の3つです。自治体によって文言の差はありますが、共通する評価軸だと私は考えています。
実際、各自治体の評価の観点にも同じ趣旨のことが書かれています。長野県の個人面接の観点は「意欲(教育への情熱・使命感・目的意識)/人間性(広い視野、確かな人権意識)/協調性・創造性/社会性/専門性」。東京都は「教職への理解、教科等の指導力、対応力、将来性、心身の健康と人間的な魅力」。和歌山県の個人面接には「実績を生かす力(自己アピール)」という項目そのものがあります。
あなたの志願書は、この3つが伝わる形になっているでしょうか。情熱だけになっていないか。専門性だけになっていないか。人間性が見えるエピソードはあるか。——ここまで確認できたら、志願書は完成です。
よくある質問
Q. 様式に字数の指定がありません。どれくらい書けばいいですか?
福岡県の自己PR用紙のように、字数指定も罫線もない様式は実際にあります。この場合、書く量は自分で決めることになります。目安としては、枠を極端に余らせない・詰め込みすぎて読みにくくしない。京都府のプレゼンテーションシートには要項に「ポイントを絞り、簡潔に入力してください」と明記されています。長く書けばいいわけではありません。面接で深掘りしてほしい種が撒けているかどうかで判断してください。
Q. 様式の項目や字数が、実施要項に書かれていません
これはとても多いパターンです。宮城県・山形県・神奈川県・大阪府・熊本県・島根県など、実施要項に様式の中身が書かれていない自治体はたくさんあります。この場合は、教育委員会のホームページに掲載される様式か、電子申請の入力画面、あるいは一次合格後に届く案内で確認するしかありません。「要項に書いていないから存在しない」ではなく、「様式で確認する」と覚えておいてください。
Q. 出願時に提出する自治体です。まだ何も決まっていないのに書けません
広島県・岡山県・和歌山県・兵庫県・京都府・山口県のように、出願と同時に提出する自治体は、面接の3〜5か月前に台本を書くことになります。「一次のあとで考える」余裕はありません。だからこそ、要項が公開されたらまず提出書類の項目を確認して、そこから逆算して自己分析を始める。これが最短ルートです。逆に言えば、この時期に自己分析を終えた人は、一次の勉強に集中できます。
Q. 書いた内容と、面接で話す内容がずれてもいいですか?
内容を変えるのではなく、言い方を変えると考えてください。書き言葉と話し言葉では伝わり方が違うので、話すときは省略した言葉を補い、重複を恐れずに繰り返して、聞き手が1回で理解できるようにします。ただし事実がずれるのはNGです。高知県の報告には「『賞罰なし』と書いてありますが、間違いないですか」という確認の質問もありました。書いた事実と違うことを言えば、そこで信用を失います。
Q. 自分にはアピールできる中身がありません
私が携わってきた合格者も、最初はみなさんそう思っていました。でもヒアリングを通して魅力や思いや経験を聞いていくと、その人なりに持っている魅力・良さ・武器は一人一人に必ずあります。それを自分で自覚していなかったり、うまく表現できていなかったりするから、面接官に伝わっていないだけ、ということのほうが多いんです。
合格できる志願書を書くには、自己分析がめちゃめちゃ勝負になります。ただし、自己否定をしながら自己分析をしても楽しくないですし、いい志願書は出来上がりません。他の人と比べるのではなく、あなた自身の良さを肯定的に見て拾い上げ、原石を磨いていく——そんなつもりで、自己分析を楽しんでください。
まとめ|志願書は、あなたが自分で書く面接の台本です
最後にもう一度だけ。面接官が深掘りしやすいのは、あなたが書いたことです。
だから志願書を書くときは、「何を書けば埋まるか」ではなく「面接で何を語りたいか」から逆算してください。深掘りしてほしいことの種を撒き、突っ込まれたときの答えを用意し、資質能力のバランスを整える。それが、数か月後のあなたを助ける台本になります。
忙しい時期に書く書類です。完璧なものを一発で作ろうとしなくて構いません。下書きを作って、何人かの目を通して、直す。その過程を経て、最終的に納得のいくものに仕上がってきます。あなたの良さが面接で最大限に発揮されることだけを目的に、書き進めていってください。応援しています!
あなたの1行が、来年の受験生を救います
この記事の自治体別の一覧と「面接でどこを聞かれたか」は、すべて受験された方からの報告と各自治体の実施要項でできています。志願書は自治体差がとても大きい書類なので、報告が1件増えるだけで、その自治体を受ける人の準備がまるごと変わります。受験された方は、ぜひ受験報告フォームから教えてください。
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